商品だけでなく、売るための仕組み全体を販売するフランチャイズが成功したことは、ビジネスの世界で大きなニュースとなった。
創業後一年以内に、普通の会社の四〇%が廃業しているのとは対照的に、フランチャイズの九五%が成功を収めた。
そして最初の五年間で普通の会社の八〇%が廃業しているのに対して、フランチャイズの七五%が成功を収めているのである―
成功率が高い秘訣とは
フランチャイズビジネスがこれほどまでに成功を収めた秘訣は、商品を販売する前に試作モデルをつくるように、事業にも試作モデルをつくるという考え方を取り入れたからである。
試作モデルをつくる中で、起業家のアイデアが練り上げられて、事業が成功する確率が高められるのである。
また試作モデルは、起業家のアイデアがどのくらい有効なのかを、机上の空論ではなく、現実世界でテストする場所でもある。
そして実際にうまく機能することが証明されれば完成である。
「顧客が望むものを提供しながら、どのようにして収益を確保するのか?」このお決まりの質問に対する答えが試作モデルなのである。
マクドナルドではモデル店舗を使って、あらゆる問題への対処方法が検討された。そして、個人の能力に依存しなくてもすべてがうまくいくような仕組ながつくられたのである。
・フライドポテトはべとつかないように、保温器に七分以上置かないこと。べとついているものは、マクドナルドのフライドポテトではない。
・ハンバーガーの湿度を適切に保つために、保温トレイで十分以上経過したものは廃棄すフハ一ヽ」レ」。
・冷凍されたハンバーグを焼くときには、決められた時間にひっくり返すこと。
・ピクルスがお客さまの膝に落ちないように、決められたところに置くこと。
・食事は六十秒以内にお客さまに出すこと。
・清潔さを保つために、細部にまで注意を払うこと。
・ルールを守ること、作業内容を標準化すること、整理整頓をすることがマクドナルドのモットーである。
レイ・クロツクは、価格が安いからといつて、品質や顧客対応が悪くても許されるはずはないという信念をもっていた。
顧客が期待する通りの商品・サービスがいつも提供されるように、これほどまで注意を払らてきた会社はなかったのである。
また彼は、ハンバーガー大学と呼ばれる教育機関をつくり、フランチャイジーが最初からうまく経営できるようなサポートを行らた。
ここでは、ハンバーガーをつくる方法ではなく、顧客を必ず満足させるシステムを運営する方法を教えている。
このような仕組みをつくったことが、マクドナルドが成功を収める基礎となったのである。マクドナルドは自社を「世界で最も成功を収めたスモールビジネス」と呼んでいるのはもっともなことである。
ハンバーガー大学、ピクルスの乗せ方、ハンバーガー用のパンをあらかじめ温めておく方法などレイ・クロツクが四十年前につくつた取り決めは、いまだにマクドナルドのシステムの中核として、すべての店で徹底されているのである。
一度システムを学んだら、もう事業を成功させるためのノウハウが詰め込まれたパッケージを手に入れたようなものである。
だから、私はこれを事業のパッケージ化と呼んでいるのである。フランチャイジーはこのシステムを使う権利を与えられ、使い方を勉強し、パッケージの封を開ける。
あとはパッケージに詰め込まれたノウハウを活用すればよいのである。フランチャイジーにとって、これほど都合のよい話はない。
なぜなら、試作モデルが完全なものに仕上がつていれば、あらゆる問題はすでに解決済みとなっているはずだからだ。フランチャイジーがするべきことは、このシステムを管理する方法を学ぶだけとなる。
事業の試作モデルで、自分の夢を形にする
起業家にとって事業の試作モデルは、自分の夢を形にする手段である。マネジャーにとつてはルールが決まり、計画や管理がしやすくなる。
そして職人にとつては、自分が得意な分野の仕事に打ち込むことが可能になる。
事業の試作モデルがあることで、スモールビジネスのオーナーは三つの人格のバランスをとりながら、事業をつくりあげることができるのである。
そう、もうおわかりだろう。この事業の試作モデルこそが、あなたの探しているものなのだ。
成功しているフランチャイズ企業の試作モデルはバランスがとれているので、あなたの中にいる起業家、マネジャー、職人を一度に満足させることができるのである。
そして、それはどこにでもあるものなのだ。マクドナルドにも、フェデラルエクスプレスにも、ウォルト・ディズニーにもある。
サンドイツチのサブウェイにも、ドミノ・ピザにも、ケンタッキー・フライド・チキンにも、ユニバーサル・スタジオにもある。
事業の試作モデルは、あなたの周りにあって、あなたが見つけてくれるのを待っているのである。
また、たとえフランチャイズの形をとっていなくても、あなたの周りで成功している会社は、独自に完成度の高い運営システムをもっているはずである。
こう考えれば、成功している事業のほとんどは、フランチャイズ展開しても成功する可能性をもっているといえるだろう。
なぜなら、彼らがもっている独自の運営システムは、他の場所でも成功する可能性が高いからである。そこであなたは疑間をもつことになる。
どうやつて自分の事業の試作モデルをつくるのか?どうやつてそれを成功させるのか?どうやってマクドナルドのように、簡単かつ安定的に利益を上げる事業をつくるのか?どうやって他人に任せても、うまくいくような仕組みをつくるのか?
最後の疑間が特に重要なのがおわかりいただけるだろうか?なぜなら、他人に任せることができないかぎり、あなたは自分が始めた事業の奴隷になってしまうからであるの逆にいえば、これを解決するようなアイデアさえ思いつけば、あなたにも自由と成功への道が開けることになる.サラは、私の言いたかったことを理解してくれたようだった。
そして事業の試作モデルをつくり出そうという起業家的な意欲がわき出してきたようだったの彼女にはもうわかっていた。
彼女の事業にも、レイ・クロツクの方法は応用できる。あとはその方法を学ぶだけだ―
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