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8「クレームゼロ」よりも「クレーム発生」

 ひょっとしたら、あなたの会社でも「クレームゼロ運動」をやっているかもしれません。  でも、「クレームゼロ運動」と、「ミスゼロ運動」ないしは「事故ゼロ運動」とでは根本的に違います。そして、  ミスゼロ運動をやることは正しいが、  クレームゼロ運動を行うことは正しくありません。  というのも、クレーム発生に対しては、ただちに対応することが大原則なのに、クレームゼロ運動をやっていると、「クレームを報告したら叱られる、みなに迷惑をかける」という認識から、どうしても、それを報告しないことが起こってしまうのです。  お客さまは、クレームを申し立てた時点でも頭にきていますが、それを会社が握りつぶして何も対応しないとなると、もう許してはくれません。二次クレームが発生します。  クレームはいやなものです。わたしの小さな会社でもときどきクレームを頂戴しますが、社長としてあまり気分のよいものではありません。でも、クレームに誠心誠意対応したおかげで、一生のお客さまとなってもらえることも少なくないのも事実です。  「クレームが発生することよりもクレームのないことを恐れたほうがよい」ということを昔ある社長から教わりましたが、そのとおりだと実感しています。  これは、ひとつにはクレームを握りつぶしてしまうことの恐ろしさを語ったものですが、それより恐ろしいのは、感性が麻痺していて、クレームをクレームと感じない人たちがいるということです。そもそも、クレームだという認識がなければ、それに対応しようがないわけですから。  電話であろうと対面であろうと、「すみません」と謝ったことはすべてクレームだと考えることです。クレームを適当に「ごまかす」、「かわす」のが、できる社員だと考えているような会社ではお客さまが離れていくばかりです。  また、クレーム対応で大事なのは、そのクレームを自分が思っているより一〇〇倍たいへんなことと思って対応することです。お客さまは、たいへんなことだと思うからクレームを申し立てているのです。  ある会社の調査だと不満に思っているお客さまのうち、四%程度しかそれを申し立てないといいます。ひとつのクレームの後ろには、同じ不満を持つ二十五人の人がいると考えるべきでしょう(同じ調査では、クレームに真摯に対応したお客さまからの売上は、その後、上がっているということでした。逆に、クレームを申し立てたかったが、あえて言わなかったお客さまは、その後ほとんど取引を増やさないかやめてしまっているとのことです)。  ただし、「クレーマー」への対応は異なります。「お客さま第一」と言ってもなかには、「言いがかり」をつけてくる人もいます。慎重に判断することが必要ですが、言いがかりであることが明らかな場合には、毅然と対応することが必要です。クレーマーに対して言いなりになっていると、担当している人たちがつぶされます。そのような場合には、弁護士、場合によっては警察と相談してもよいでしょう。  これに関連して、「お客さま第一」の基準づくりも必要です。何でもお客さまの言いなりになることがお客さま第一ではありません。例外はあるのです。ひとつは「法令違反」です。お客さまに頼まれても、法令違反は厳禁です。絶対にやってはいけません。  さらに、「ほかのお客さまの迷惑になるお客さま」も例外です。自分だけ先にやってほしい、自分だけタダにしてほしい。それでは、ほかのお客さまが犠牲になります。  ただ、例外をあまり広げすぎると、「お客さま第一」はできなくなります。例外はあくまでも例外で、他社でやれることなら自社でも必ずやるという気持ちも重要です。  最後に、クレームに関してもうひとつ。先にも触れましたが、わたしがクレーム「対応」という言葉を使っていることにお気づきでしょうか。  クレーム「処理」という言葉を使う会社が少なくないようですが、クレームは「処理」するものではなく、「対応」するものです。クレームを事務のように「処理」されては、お客さまはたまったものではありません。本書の最初の章でもお話ししたように、「お客さま第一」を徹底させるうえでは、こうした「小さな言葉遣い」が大切です。

まとめのチェックリスト □「新規営業」がうまいのがよい会社と思っていないか? □上手に真似るのが商売上手と思っていないか? □売れないのを価格や製品のせいにしていないか? □一番大きな会社が強いと思っていないか? □顧客が多いと個別対応は無理と思っていないか? □「お客さま満足度」で自己満足していないか? □よい商品なら売れると思っていないか? □「クレームゼロ運動」を行っていないか?

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