「ナンバーワンよりオンリーワン」などという歌が数年前に流行りましたが、まさか、あなたの会社は、「オンリーワン」を目指していたりはしませんか? たしかに、そうなれば楽です。でも、その考え方はたいへん危険です。 オンリーワンには、「よいオンリーワン」と「悪いオンリーワン」があります。 よいオンリーワンとは、ライバルがいるなかで、お客さまから「この会社しかない」と言ってもらえるオンリーワン。一方、自社中心の考えでライバルがいなくなればよいなどと思っているオンリーワンは、悪いオンリーワンです(この世で唯一の存在だからと、切磋琢磨から逃避しているのは、弱いオンリーワンです)。 だいたいが、オンリーワンになると、お客さまから見て選択肢がなくなります。内部的にも甘えや驕りが出ます。わけも分からずに「オンリーワン戦略」などと言っている会社でうまくいったところは見たことがありません。 ほんとうに強い会社は、「オンリーワン」ではなくて「ナンバーワン」を目指します。お客さまから見た「他社との違い」を明確にし、ライバル他社に対して優位に立とうとします。それが、「ナンバーワン戦略」です。 お客さまから見れば、多くの選択肢があったほうがよいはずです。そして、その、たくさんの選択肢から選んでもらえるのがほんとうの強い企業です。 ほんとうに強い会社の経営者は「ライバルがいてくれて助かる」と話します。ライバル企業がいるおかげで自社の商品やサービスのよさが際立つからです(わたしのお客さまで、「ライバルのおかげで高い価格が設定できる」とまでおっしゃった社長がいます。断トツの「ナンバーワン」だからです)。 では、ナンバーワン企業であるためにはどうしたらいいか? キーポイントは、この章の最初にお話ししたように、お客さまが求めているものは何かということを見極めること、そして、それを「徹底」することです。 大事なことは、たいていだれでも、どこの企業でも分かっているものです。でも、それを徹底している企業、人となると、非常に限られます。 たとえば、セブン─イレブンは、一店舗当たりの毎日の売上がライバル店に比べて二割以上多くなっています。それが一万二千店舗ですから、売上高、利益で他のコンビニチェーンを圧倒するわけです。では、なぜ、そうできているのでしょうか? それが「徹底」の差だとわたしは思っています。 セブン─イレブンは、約一万二千の店舗すべてに、「品揃え、鮮度管理、クリンリネス(店の美しさ)、フレンドリーサービス」を徹底させていることで知られていますが、この「品揃え、鮮度管理、クリンリネス、フレンドリーサービス」がお客さまに求められていることは、他のコンビニ各社も十分に承知しているはずです。ところが他社は、分かっていながらも、毎日二割以上もセブン─イレブンに差をつけられている──それが「徹底」の差です。何をやらなければならないかは、みんなよく分かっています。 それを「徹底」できるかできないかが、ナンバーワンかその他大勢かの違いです。 これは、個人においても同じでしょう。自分の仕事、勉強、人生は、どうしたらもっとうまくいくのか、そのために何をやらなければならないかは、みんな実はよく分かっています。でも、それを実際にコツコツと努力し、徹底して継続する人はほんの一握りしかいない。その一握りの人が、成功するのでしょう。 お客さまが何を求めているかを見いだし、それを徹底することです。それによって、「オンリーワンよりナンバーワンでいたい」と言うことができる強い企業となれます。
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