6結果が変わる!「五感」を研ぎ澄ます習慣
01五感を磨けば仕事はミニマムになる02オンとオフの切り替えが仕事の質を高める03年単位「スケジュール」を立てる04「」2005仕事の進め方は「キャラクター優先」06自分を整えるノートをつけるおわりに
「ミニマム思考」をいかんなく発揮できるかどうかは、実は個人の五感の状態に大きく左右されます。
なぜなら、五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)が研ぎ澄まされた状態でないと、あふれかえる情報を処理することができず、ミニマムにものを考えられないばかりか、センスのよいバリューや仮説を立てることができないからです。
このような状態では、ムダなことばかり考えてしまい、エネルギーが分散するだけです。
私たちは五感を通して世界を認識しています。
五感を媒体にして、起きている事象を把握し、判断します。
その五感を司っているのが脳と神経系です。
脳と神経系はコンピューターにおける「OS」と同じです。
どんなにソフトウェアをダウンロードしても、「OS」の機能がダウンしていれば、ソフトウェアは使えません。
脳という「根」に水をやらなければ、成果という「花」は咲かないのです。
私がこれまでにお会いしてきた一流のエリートたちも、五感を研ぎ澄ます習慣をもっていました。
超早寝早起き、瞑想、運動、ヨガ、デジタル・デトックスなど、彼らのスタイルや好みに合わせた習慣をもっていました。
たとえば、マッキンゼー時代では、瞑想を実践している人がおり、この頃、私も瞑想をはじめました。
ミニマム思考のできる人ほど、五感が研ぎ澄まされて直感が冴えわたっています。
そして、「今、ここ」に100%集中しています。
他の人と同じような情報に触れているにもかかわらず、「そんな発想があったか!」とまわりが舌を巻くアイデアを出してきます。
そういうコンサルタントの立てる仮説は、まさしく「セクシー」です。
「優秀な人はセンスが違うから」と片づけるのは簡単です。
でも、私がこれまで見てきた経験から言えるのは、「高いバリューを出せるミニマム思考の人は、五感が鈍らないような習慣をもっている」ということです。
つまり、数多くの情報の中からバリューに直結する情報をキャッチし、処理できるように五感を研ぎ澄ませているのです。
だから、まわりをあっと言わせるひらめきが降りてきます。
そして、彼らは異次元レベルとも言える究極に高いバリューを出せるのです。
疲れていたり、不安に思っていることがあったりすると、人間の五感は鈍くなっていき、集中力は低下します。
結果、ムダなことをあれやこれや考えたり、ムダなことを行ったりします。
寝不足のときは、頭がボーッとして思うように働きません。
仕事の能率も落ちるし、ミスも多くなる。
そのように五感が鈍っている状態では、バリューに結びつく情報が目の前にあっても見過ごしてしまいます。
疲れていれば、心も不安定になり、不安や心配といった感情が生まれます。
人の心は自分の感情を処理するために具体的な「理由」を必要とします。
抽象的な概念では処理できないのです。
したがって、実際には何の問題も生じておらず、単に疲れてネガティブになっているだけなのに、「このまま今の部署で仕事をしていることに将来性を感じられないから」「この間提出した企画書を実は上司が評価してくれていないのではないか」というように、自分がネガティブな気持ちになっている「理由」を探そうとします。
そして、その「理由」に従って、行動してしまうのです。
これは、思考が分散し、ムダにエネルギーを使い、ますます疲れてしまう「負のスパイラル」に陥ってしまっている状態です。
このような心の状態のまま仕事をしていたら、有益な情報を見逃してしまいます。
メガネのレンズがくもっていたら対象を正しく認識できません。
レンズがブルーになっていれば、世の中のものすべてがブルーを帯びて見えてしまいます。
五感が鋭く働く状態を保っていると、まさに「アイデアが天から降ってくる」という感覚を得ることが可能になります。
なぜなら、この状態になると、努力することなく自然と「今、ここ」に100%集中でき、目の前のことに十分に力を発揮できるからです。
たとえば、あるテーマについて調べようと、インターネットで検索をはじめてから5分後には、まさに欲しい情報について書いてある記事やデータを発見し、アイデアが広がっていくことがあります。
私は五感を磨く習慣を心がけるようになってから、このような経験を何度もしています。
しかし、五感が鈍っていると、同じようなアイデアを得るのに、丸1日かかってしまうといったことがよくあります。
これは、疲れている心があれやこれやさまよい、「今、ここ」に100%集中できないからです。
バリューを出せない人にかぎって、日々の業務に疲れ切って、五感というセンサーが正しく作動していないのです。
睡眠を変えるだけで仕事の結果が変わるやることが多くて疲れもとれない……。
そのように感じている人は、五感を研ぎ澄ますために、一旦立ち止まって休むことをおすすめします。
あれもこれもやらなければと思考が分散し、疲れているなと感じたら、休むサインです。
これ以上仕事を続けても、ムダなことばかりしてしまい、パフォーマンスは下がる一方です。
寝不足では、そもそもミニマムに考えることができません。
寝不足が続くと、疲れは蓄積され、脳と神経系の働きは低下してしまいます。
寝不足で頭が働かないという人は、22時には就寝するような生活をしてみる。
いつ寝るかも重要です。
22時から2時の間によく眠ることができると、質の良い睡眠になり、疲れもしっかりとれます。
ミニマム思考の人は質の高い睡眠をとることを習慣にしています。
徹夜で仕事をするのはやめましょう。
アメリカのある大学の実験で、17時間寝ないでいると、血中におけるアルコール濃度が0・05%、つまり酩酊の状態と同じになり、仕事のパフォーマンスも、この状態のレベルに低下するという結果が報告されました。
徹夜をしても、成果を上げるのはむずかしいということです。
22時には就寝する。
お酒が好きな人は、お酒もやめる。
少なくとも3日間続けてください。
これは経験則です。
これを3日間でも続けていると、頭がスッキリして冴えわたる感覚になるのを実感できます。
疲れを引きずることもないので、五感が研ぎ澄まされ、集中する力もアップし、いいアイデアも浮かびやすくなります。
これを実践すれば、これまでとは頭の働き方が違うことを実感できるはずです。
私がビジネスエリートに行ってきたエグゼクティブ・コーチングの中でも、この方法をすすめているのですが、「頭の中がクリアになって、ムダなことを考えないようになった」といった感想をおっしゃって
くれます。
また、いい仮説やアイデアが浮かばないというときには、一旦作業をやめて、休む。
早く寝る。
すると次の日にいい仮説やアイデアがひらめくということがあります。
寝ている間に、脳の海馬といわれる場所で、それまで蓄積したいろいろな情報の整理整頓をしているといわれており、いろいろな情報を吟味し組み合わせ、記憶を再構成するのです。
つまり、答えは睡眠からやってくるということ。
なかなかアイデアが出ない、あれやこれや考えてしまうというときには、さっさと寝てしまうことです。
ミニマム思考のできる人は、運動も習慣にしています。
適度な運動をすることもクリアな五感の状態を取り戻すために有効です。
そして集中力アップにもつながります。
コンサルタント時代には、私は毎週2回ほど水泳に行っていました。
するとリフレッシュするのです。
実際、多くのコンサルタントが運動を実践していました。
ノースカロライナ大学やUCLA大学の研究によると、運動をすると認知能力がアップすると報告されています。
運動は脳への血流を増やし、結果、脳の容積やニューロンの形成が増加する効果があるということです。
つまり、頭がスッキリするのは、運動によって脳の疲れが回復するからです。
おすすめは散歩。
毎日のスケジュールに簡単に組み込むことができ、費用もかからず、手軽に実践できます。
たとえば、最寄りの駅の3駅手前から歩いてみたり、通勤途中にある公園に立ち寄って散歩したりする。
朝の通勤前に太陽の光を浴びると、脳内にセロトニンという神経伝達物質の分泌が活性化されます。
すると集中力がアップし、気持ちも前向きになります。
結果、仕事の質とスピードが高まります。
「そんな時間があったら仕事をしたい」という人もいるかもしれませんが、時間に追われてストレスを感じたまま仕事をしても、質の高いアウトプットは出せません。
リラックスできる時間を確保することで、結果的にバリューの高い仕事が少ない時間でスピーディーにできます。
最大のパフォーマンスは適切な休息から生まれるのです。
仕事は継続して発生します。
ひとつの仕事が終わっても、次の仕事がやってきます。
よって、段取りは一時的なものではありません。
日々の段取りの積み重ねで、うまく仕事が進んだり、滞ったりします。
継続的に段取りよく仕事を進めることが大切なのです。
ミニマム思考のできる人は、仕事にメリハリをつけて、継続的にムダのない段取りで仕事を進めます。
休みなく毎日仕事を詰め込んでいると、いつか限界がやってきます。
フルパワーで働くのは一時的には可能でも、いつまでも続けるのは不可能です。
一般的に、仕事ができる人は仕事量も多く、残業をせざるを得ないケースも少なくありませんが、ミニマム思考な人ほど仕事にメリハリをつけます。
ある先輩のコンサルタントは、猛スピードで仕事をこなし、毎日18時には仕事を切り上げて退社。
「18時には仕事を終える」と半強制的に決めることで、時間をムダにすることなく、仕事に集中できていたのだと思います。
それを習慣にすることで、脳は反復で訓練され、短時間で仕事を完了することができるほどに格段に集中力がアップされたのでしょう。
もちろん、仕事の成果も他の人よりずば抜けていました。
その先輩は、仕事が立て込んでいたときには、いつもより朝早く出社していました。
他の優秀なコンサルタントについてもいえますが、段取りがよい人は朝早くに出社している傾向がありました。
究極の段取りは、早寝早起きです。
朝早く仕事をはじめ、残業をせずに帰る。
五感が鋭敏になり集中力が高まります。
朝は仕事がはかどります。
脳がリフレッシュされた状態なので、頭を使う仕事をするにはもってこい。
集中力もアップするので、特に考える作業を中心に仕事を進めるといいでしょう。
私は22時には寝て、5時に起床する生活をするように意識していますが、そのような生活を数日続けられると、5~6時間かかる仕事が、2~3時間で終わる感覚があります。
また、会社の始業時間よりも早く仕事をスタートすれば、会社の会議や打ち合わせ、電話対応などに時間をとられることなく、仕事を進めることができます。
早寝早起きを習慣にする。
それだけでも時間の有効活用ができ、段取り力はアップします。
「インプット」「アウトプット」を意識するある優秀な先輩コンサルタントは、「毎週金曜はインプットの日」と決めていました。
この日は絶対に仕事を入れず、インプットに集中する日。
クライアント先にも出向かずに、仕事に関連した書籍だけではなく、哲学や芸術などの書籍を読むといった勉強の時間にあてていたのです。
またある先輩は、毎日数時間は、自分の将来に投資するための時間と決めて、勉強したり、人に会ったりする時間にあてていました。
当時、パートナーでいらっしゃったある大先輩は、マンガから古今東西の哲学や文学にいたるまで造詣が深く、だからこそ、それらからクライアントがぐっとくる知見を提案できるのだと思っていました。
アウトプットするばかりでは、疲弊していくだけです。
インプットをする時間を確保していたからこそ、その先輩たちはユニークな視点や洞察のあるアウトプットを出し続けることができたのでしょう。
私は哲学、文学オタクでした。
そして、どうしても人文科学の領域で、クリティカルに考える論理学を使って、もっと知を探求したいという思いにかられ、シカゴ大学院で人文科学を勉強するところまでいきましたが、人文科学で探求したインプットは、アイデア出しをしたり、洞察したりする視点の基盤となっているのを実感しています。
自分の好きなことを探求するインプットの時間も大切にしてほしいと思います。
休みの日を「ブロック」する段取りがうまくいかない人ほど、「どうせ就業時間内には終わらない」「残業すればいいや」という前提で仕事に取り組んでいます。
そして、日中ダラダラと過ごした結果、夜遅くまで残業したり、家に仕事をもち帰ったりしています。
仕事に集中するときは徹底して集中する、休むときは思い切って休む。
仕事は月曜~金曜日で終わらせて、土日は自分の時間にあてる。
オンとオフの時間を決めて、メリハリをつけることによって、質の高い成果を出し続けることができるのです。
オンとオフの時間をはっきり分けるためには、オフのための時間をあらかじめブロックしておくような工夫も必要になります。
たとえば、数カ月も先のバカンスの日程や趣味にあてる時間を早々に決めて、「この日は仕事を入れない」と関係者に伝え、ブロックする。
そうしないとどんどん仕事が入ってしまうからですが、ただ休みがほしいという理由ではなく、ミニマム思考の人はオンとオフの時間を分けることが仕事の質を高めることを理解しているのです。
ミニマム思考の人は、1日の仕事の時間でもメリハリをつけて、一定の集中力を維持できるようにしています。
自分が継続して集中できる時間を把握して、その時間が来たら、休憩するというオン・オフサイクルを1日の中に組み込んで仕事を進めるのです。
私は平均30分くらいは質の高い濃密なレベルの集中を維持できることを把握しています。
したがって、30分仕事をしたら5分くらい休憩することを繰り返しています。
通常、人の集中力は90分持続するといわれていますが、個人によって時間の長短はあります。
まず自分の集中力がどれくらい継続するか時間を測ってみることです。
たとえば、90分であれば、90分仕事をしたら、5分から10分休むというオンとオフのメリハリをつけて仕事をしてみると、質とスピードがアップします。
私がエグゼクティブ・エリートのコーチングをするときに、よくアドバイスしているのは、年単位でスケジュールを把握しておくということです。
たとえば、3年後に起業・独立をするという目標を立てたとします。
いざ起業しようと思えば、計画的に準備を進める必要があります。
「1年後には、起業に必要なスキルを習得する」「2年後には将来の見込客となる人を30人獲得する」といった具合です。
せっかく将来のありたい姿が描けているのに、忙しさにかまけて、それに向けたステップを踏むことができなければ、起業・独立のプランは絵に描いた餅となってしまいます。
起業・独立を目指すなら、そこから逆算して「1年後にはこういう状態になっている」「6カ月後にはこういう状態になっている」「3カ月後にはこういう状態になっている」といったことを明確にし、それをひとつずつ実行していく必要があります。
したがって、どんなに仕事が忙しくても、自分にとって重要な目標を達成する人は、年単位でスケジュールを見て、到達度をチェックしています。
一方で、これを怠っている人は、年末になって「結局、今年1年何もできなかった……」とぼやくことになるのです。
大きな目標を成し遂げたいなら、年単位でスケジューリングし、「2年後」「1年後」「半年後」「3カ月後」「1カ月後」の自分の「あるべき姿」を描いておくべきです。
これをしておくと、重要なことから目を逸らさず、目標に近づいているか、自己チェックができます。
たとえば、8月までに到達したい「あるべき姿」が明確になっていれば、7月に入った時点で「あるべき姿に向けてこれをしないといけない」という意識が働きます。
また、あるべき姿に向けて、行動ができたかを振り返ることもできます。
もし十分な行動を起こせていないのであれば、そこで時間を確保したり、段取りを軌道修正したりすることも可能です。
おすすめは、トイレに1カ月単位のカレンダーを貼っておくこと。
トイレは心も体も弛緩させて、「空」になれる時間です。
空になれる時間とは、脳がボーッとしている状態です。
そういう状態のときに、ひらめきが浮かびやすいのです。
この空になれるとき、目の前のカレンダーを見ながら、「今週は目標に向けた行動をとれたか」「今何にフォーカスするといいのか」などと振り返ります。
あるいは、「中旬だな、今月もあと2週間。
今何をすることが重要かな?進捗は順調かな?」などと自問自答するのです。
すると、「翌月までに○○をする必要がある」「こうするといいのでは」など、考えが浮かび、自然と重要なことにフォーカスするように習慣化されます。
1年間のオンとオフをスケジューリングする先ほど「オンとオフの切り替えが仕事の質を高める」と話しましたが、年単位でスケジュールを意識することは、オンとオフのバランスをとることにも役立ちます。
たとえば、勤務が暦通りの会社に勤めている人であれば、正月休みはしっかり休み、休み明けからゴールデンウィークまでは仕事に集中して突っ走る。
そして、ゴールデンウィークはしっかりオフの時間を満喫し、お盆休みまで仕事に集中する。
お盆休みで存分に休息をとったら、シルバーウィークまで仕事に専念。
シルバーウィークをしっかり休んだら、年末まで一気に走り抜ける──。
このように1年という括りでスケジューリングをして、オンとオフのサイクルをつくり出すのです。
オンとオフの時間を分けるようにすれば、コンディションもよくなり、五感も研ぎ澄まされます。
「集中したいけれど、なかなか集中できない」。
そんな悩みをよく聞きます。
しかし、そもそも「集中しよう」と思うこと自体がナンセンスなのです。
人の心というのは、本来魅力的なものに引かれます。
おいしそうな食べ物のにおいがすれば、「何の料理だろう。
おいしそうだ。
そうだ、今日は何を食べようか」と勝手に考えが浮かんでくる。
魅力的な異性が目の前に現れれば「すてきな人だ。
恋人はいるのだろうか?」などといつの間にか妄想を膨らませてしまいます。
仕事で集中しようと思っても、メールやインターネットが気になって、いつの間にか集中力が途切れてしまうのは、仕事のほかに魅力的なものがまわりにあるからです。
寝食を忘れて、自然な状態で物事に集中することを「フロー状態」といいます。
心が落ち着いて澄み渡った状態。
このとき、心は静かで雑念のない状態です。
「ゾーンに入る」ともいいます。
この状態になると、リラックスしているのに、五感は究極に研ぎ澄まされて、密度の高い集中を自然と維持することができます。
野球選手がインタビューの中で、「ボールが止まっているように見えたんです」と答えることがあります。
あれこそ集中力が研ぎ澄まされたフロー状態といえます。
仕事でも同じ。
いつもなら2時間かかる仕事が、サクサク進み、30分で終わってしまうことがあります。
このように集中して仕事ができるときも、まさにフロー状態に入っているといえます。
このフロー状態も、「フローになろう」と決意したからといって、本当にフロー状態になれるわけではありません。
あとで気づいたときには、何もかも忘れて集中していた……フロー状態とは自然となるものです。
無理やり「集中しよう」と思っても、結局は質の低い集中しかできず、すぐに集中力は途切れてしまいます。
ビジネスエリートは瞑想を習慣にしている集中するには、自然と集中できるように心や体、環境を整えて、ベストコンディションをつくり出すことが大切になります。
疲れや忙しさによって頭の中があれやこれや散漫な状態になっていたら、集中することはできません。
ベストコンディションをつくるためにおすすめしたいのは、「静かな時間」を朝夕と2回、1日20分もつことです。
私は普段から毎朝、毎夕、20分間、瞑想することを習慣にしています。
瞑想という静かな時間をもつことで、自分や人生を振り返ることができるだけでなく、自然に緊張やストレスからも解き放たれます。
瞑想も集中と同じで、「無になろう」といくら念じても、本当に「無」になることはできません。
緊張やストレスといったものから解き放たれたときに、はじめて「無」の感覚を得ることができるのです。
実際、瞑想によって脳波も変化することが検証されています。
いろいろな瞑想法がありますが、瞑想の種類によって活性化する脳波に違いがあることが、ヴァージニア・コモンウェルス大学のジョナサン・シア氏らによって研究されています。
ある瞑想法は40ヘルツの脳波が活性化し、ベータ波とガンマ波に特徴が現れ、強く集中している状態になり、また別の瞑想法は、脳の左前頭葉が活性化し、シータ波に特徴が現れます。
また、ある瞑想法はアルファ波を活性化し、同時に異なる脳の部位を同調させて活性化し、記憶力やクリエイティブな発想をアップします。
脳の一部分を活性化する瞑想ではなく、脳全体を同調させて活性化する瞑想をすることが重要です。
瞑想で静かな時間をもつことによって、集中力は高まり、五感を研ぎ澄ますことができます。
すると、自分が今、集中すべきことが見えてきますし、ムダなことを考えなくなり、センスのよいバリューや仮説を生み出すためのコンディションを整えることができます。
バリューを出し続けているエグゼクティブの中には、瞑想を習慣にしている人が少なくありません。
アップル社の創業者である故スティーブ・ジョブズ氏も、生前、どんなに忙しくても必ず土曜日の朝に座禅を組んで瞑想していたといいます。
日本の多くのエリートも瞑想をしています。
私も多くのエグゼクティブに瞑想をすすめ、集中力が増したなど、その効果を体感されています。
瞑想はハードルが高いという人は、何もしないで心を落ち着かせる時間をもつだけでも十分効果があります。
1日のうち10分でも15分でも、「静かな時間」をつくる。
この時間はスマホや携帯はオフにする。
できれば何もない場所に移動して、ボーッと過ごす。
たとえば、目を閉じて休むのもいいでしょう。
そうすることで、心のコンディションが整い、五感が研ぎ澄まされていきます。
理想は、自分のやりたいこと、最も重要なことに集中し、それ以外の時間はボーッと無心で過ごすことです。
すると、エネルギーをムダにすることなく、最も重要なことのみに100%集中することが自然とできるようになります。
そのときの集中は質が高く、濃密なレベルのものになります。
「ぼんやり過ごす時間」が創造を生むミニマム思考のできる人は、ボーッと過ごす時間が大切だと知っています。
カフェや公園に座ってぼんやりしたり、オフィスでも仕事の合間にボーッとする時間を過ごします。
彼らは集中的に仕事をし、そしてボーッとする時間や無心に遊ぶ時間を過ごし、また仕事に集中します。
ワシントン大学のレイクル教授によると、ぼんやりと過ごしているとき、脳は活動的に働いているといいます。
これを「デフォルトモードネットワーク」といいます。
ぼんやりとしているときには、脳内である種の有機的なネットワークがつくられて、これまで脳に蓄積された、いろいろな情報や知識を「ひとつの意味」につなげる活動をしているといいます。
つまり、いろいろな情報や知識という「点」と「点」を「線」や「面」につなげているということ。
非線形思考が自然と起こりやすい時間でもあるといえるでしょう。
ぼんやりしているときにこそ、複雑な問題の分析や考察が活発に行われている、ということです。
ボーッと意識をさまよわせることで、クリエイティブな発想につながるのです。
いろいろな情報や知識を寝かせて発酵させる、ひらめきやアイデア、いい切り口の仮説を思いつくための大切な時間になるのです。
ミニマム思考の人は「ボーッとする時間」を確保します。
また、ミニマム思考の人は呼吸を整えると五感が研ぎ澄まされることを知っています。
仕事の合間に数分間深呼吸をする。
たとえば、集中力が途切れたなと思ったら、あるいは1時間ごとに数分間深呼吸をしてみてください。
やり方は簡単です。
目を閉じて、座っているときには足は組まずにしっかりと床につける。
背筋は伸ばして、最初に息を鼻から吐きます。
お腹の底まで吐き切ったら、今度は鼻から息を吸います。
これを10回くらい繰り返します。
これを繰り返すだけで、心が静まり、五感がクリアになると感じるでしょう。
デジタル・デトックスで集中できる環境をつくるミニマム思考でバリューを出す人は、今やるべき仕事に集中するのが得意です。
だから、質×スピードのあるアウトプットを出すことができます。
なぜ、集中できるのか。
それは、意識して集中できる「環境」をつくっているからです。
たとえば、集中すべきときは、パソコンやスマートフォンの電源を切って、メールやインターネットを見られない環境に身を置く。
これを「デジタル・デトックス」といいますが、集中力を削ぐものを目の前から排除することで、自然と集中しやすい環境をつくるのです。
また、ついインターネットばかり見てしまう、いわゆるインターネット依存になると、脳のデフォルトモードネットワークが乱されることがわかっています。
つまり、アイデアやひらめきをつくり出す脳の環境を壊してしまう可能性があるということ。
うまく集中できない人は、他人のことを気にしてしまいがちです。
SNSなどで知り合いが頑張っていたり、結果を出していたりするのを見て、「自分もやらなくては」と焦りの気持ちが生まれてしまう。
しかし、焦ったり、ストレスを感じたりすればするほど集中できなくなり、結果が出ないという悪循環に陥ってしまいます。
目の前のやるべき仕事にフォーカスすることによって、バリューの高い結果を出すことができるのです。
ビジネスパーソンは、大きく分けてシングルタスクタイプとマルチタスクタイプがいます。
シングルタスクタイプは、ひとつの仕事を完結させないと気が済まない人。
このタイプは、ひとつの仕事に対する集中力が高く、質の高い仕事をしますが、こだわりすぎて時間がかかったり、マルチタスクが強いられる状況になると気が散ってしまって仕事の質、スピードがともに落ちる可能性があります。
このタイプの人は、意識して80%:20%のルールを徹底することです。
時間をかけて100%の質を目指すのではなく、短時間で80%の質を達成するための段取りを組んで、残りの時間は、他の仕事に使うのです。
一方、マルチタスクタイプは、複数の仕事が同時並行でも平気なタイプです。
ひとつの仕事が途中でも、他の仕事にも取りかかることができます。
器用なタイプで仕事の処理スピードも速い傾向にありますが、どれも中途半端に終わる危険性もあります。
目の前の楽しいこと、刺激的なことにぱっと注意が向く傾向があります。
また、「締め切り」のプレッシャーを必要とするタイプでもあります。
つまり時間ギリギリで瞬発力を発揮するということ。
このタイプの人は、仕事を小さく分けて締め切りを細切れに設定することが大切です。
毎日、やることの優先順位を意識して、最も重要な仕事から始めること。
そして、最も重要な仕事をしているときには、そのことだけに集中することを徹底するのです。
それ以外の時間は、メールのやり取り、資料の整理など、いつもやる仕事や重要度の低い仕事は並行して行う。
このようにひとつのことに集中するときと並行してやるときのメリハリをつけるといいでしょう。
シングルタスクタイプか、マルチタスクタイプかあなたは、どちらのタイプでしょうか。
安心してください。
どちらがよくて、どちらが悪いということではありません。
どちらも優れている点があります。
大切なのは、自分がどちらのタイプであるか見極めること。
ミニマム思考の人は、自分のキャラクターを活かした仕事のしかたを選択し、五感をフル稼働させています。
そのほうが結果的に質×スピードのアップにつながるのです。
たとえば、自分がシングルタスクタイプであれば、複数の仕事を同時並行しなければならない状況になっても、80%:20%のルールを意識して段取りを組み、一つひとつの仕事に集中することができます。
また、自分がマルチタスクタイプであると自覚していれば、器用貧乏にならず、仕事の優先順位を明確にして、一つひとつの仕事を集中して終わらせることを徹底することができます。
自分がどちらのタイプであるかを意識するだけでも、段取りの巧拙はもちろん、仕事の質×スピードも変わってきます。
ミニマム思考のできる人は、自分のタイプを知っていて、そのタイプの良さを生かしながら、仕事をこなします。
私はスケジュールをおもにスマートフォンで管理していますが、それとは別に「自分を整えるノート」というものをつけています。
これも、五感を磨くために欠かせないツールです。
これは、自分自身を整えるためのノートで、イヤだと思ったことや気になっていることなどを何でも書き綴ります。
そういう意味では日記に近いともいえますが、決定的に異なる点があります。
それは、あとでこのノートを見返して、イヤな感情や気になっていることに関する記述に対して、「賢人」だったら、あるいは尊敬する○○さんだったらどうするか、という視点でアドバイスを書くのです。
私の場合はピンクのペンですが、お気に入りのペンで書くといいでしょう。
そのときは真剣に悩んでいたことでも、あとで振り返ってみると、「なんでこんなことで悩んでいたんだろう」と感じることがありますよね。
そのとき悩んでいることも、冷静になってみると、簡単に解決策が見つかったり、取るに足らないことであると気づいたりするものです。
だから、悩みなどを書き綴って、スッキリしてきたら、一旦ノートを閉じます。
そして目を閉じて深呼吸します。
数分したら自分を整えるノートを開いて、それに対して客観的な視点から眺めてみるのです。
そうすると、意外と簡単に解決策が見つかったり、気分がすっきりしたりします。
たとえば、「上司から会議で積極的に発言するように言われてつらい気持ちになった」とその日の出来事をノートに書いたとします。
そうしたらあとでノートを開き、なぜそんなことを言われたのかを客観的に考えてみる。
すると、「準備が足りなかったから、意見が言えなかっただけ」「上司は期待してくれているから注意してくれたんだ」などのアドバイスが浮かびます。
言葉にすれば、冷静に自分のことを見つめ直せます。
また、記録としてノートに記しておけば、今度同じような状況になったときに悩みを抱えずにすみます。
精神的にも安定するでしょう。
悩みなく仕事ができる環境をつくることは、五感を研ぎ澄まし、段取りよく仕事をこなすためにも大切なことです。
自分を整えるノートを活用して心を整えると、五感が整い、クリアになって、シンプルに考えられるようになるのです。
おわりに私は、マッキンゼー時代にミニマム思考が鍛えられたと断言できます。
本書で述べてきたとおり、当時、仕事の質とスピードが求められ、大変な激務をこなさなければ居場所がなくなってしまいました。
大変な負荷の中、新人時代から極限まで仕事の質とスピードを高めることを、否が応にも体験させられたわけです。
こうした環境の中でもまれてきたことで、「ミニマム思考」を身につけられたのだと思います。
そのときの経験は、それ以後の私のキャリアでも大きな武器になっています。
マッキンゼーを辞めたあとは、「こんなにみんなゆっくり仕事をしているんだ」と感じたほど、私の仕事のスピードは上がっていたのです。
だから、どんなにハードな仕事でも、段取りよく仕事をこなすことによって、まわりからそれなりに評価される成果を出すことができたと感じています。
そして、振り返ると新人時代にこそ極限までストレッチして自分を鍛えることが大切だと思っています。
新人のときに何が自分の生み出すべきバリューか考え抜き、徹底的に仕事のスピードとクオリティを高めて、そのバリューを生み出すことに集中するのです。
そこで今回は、仕事の経験が浅い新人に向けて、身につけてほしいミニマム思考をできるだけわかりやすく説明して、さらに第5章で「ワンランク上の超・段取り術」を紹介しました。
ミニマム思考は、どこに行っても通用する普遍の仕事の哲学です。
これさえ身につけていれば、どこに行ってもいい仕事ができますし、会社に頼らず独立することもできます。
今、私が自分のやりたい仕事をして、人生を楽しんでいられるのは、若いときに鍛えてもらったミニマム思考のおかげと言っても過言ではありません。
ミニマム思考ができるようになると、仕事だけでなく人生もうまくいきます。
自分が大切にしたいことがわかるようになり、それを大切にするようになるからです。
段取りがよくなれば、仕事が楽になって早く終わります。
それは同時に、自分のために使う時間を生み出すことになります。
その時間は、英会話の習得や資格取得、勉強会・セミナーへの参加など自己投資にあててもいいですし、趣味を充実させるために使ってもよいでしょう。
「自分がこうありたい」というゴールに向かって行動を起こすことができます。
段取り力が、あなたの夢をかなえてくれると言っても言い過ぎではないと私は思っています。
そのためには、段取りを意識しながら毎日仕事をすること。
運動と同じで、段取りも何度も繰り返し続けていれば、自然と頭と体が動くようになります。
「この仕事は、ここに問題があるから、こんな仮説が立てられそうだ」「この仕事は、このくらいのスケジュールで終わらせることができそうだ」というように勘が働くようになります。
そうなったら、鬼に金棒です。
そして最も大切なアドバイスがあります。
それは目の前のことを楽しむと決めることです。
目の前にある仕事で自分が生み出すべきバリューは何かを考える。
それを生み出す段取りを考えて実践してみるのです。
そこに集中してください。
それを楽しむのです。
「今、ここ」にフォーカスし、何であれ、思いっきり楽しんでください。
結果は、目の前にある仕事からはじまります。
今ここにある仕事を大切にする。
楽しく工夫するのです。
本書がきっかけで、あなたの仕事と人生が充実することになれば、これほどうれしいことはありません。
大嶋祥誉
〔著者紹介〕大嶋祥誉(おおしまさちよ)センジュヒューマンデザインワークス代表取締役。
エグゼクティブ・コーチ、組織開発・人材育成コンサルタント。
上智大学外国語学部卒業。
米国デューク大学FuquaSchoolofBusinessMBA取得。
米国シカゴ大学大学院人文科学学科修士課程修了。
マッキンゼー・アンド・カンパニーでは、新規事業の立ち上げ戦略、全社戦略立案、営業戦略立案などのコンサルティングプロジェクトに従事。
その後、ウイリアム・エム・マーサー、ワトソンワイアット、グローバル・ベンチャー・キャピタル、三和総合研究所にて、経営戦略や人材マネジメントへのコンサルティングおよびベンチャー企業支援に携わる。
2002年より独立し、エグゼクティブ・コーチングや組織変革コンサルティング、チームビルディング、リーダー開発に従事する。
著書に『マッキンゼー流入社1年目問題解決の教科書』『マッキンゼー流入社1年目ロジカルシンキングの教科書』『マッキンゼーのエリートはノートに何を書いているのか』(以上、SBクリエイティブ)、『マッキンゼーのエリートが大切にしている39の仕事の習慣』(アスコム)などがある。
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