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6章 2050年から世界は、神社は、どうなっていくのか?

この章では、ちょっと視点を未来に向けてください。 2050年から 2100年くらいです。 我々の未来を予測し、未来における生き方や神社の役割、神様との付き合い方を先読みします。 いま日本でも世界でも、政治、経済、ビジネス、芸能などの分野で社会をリードする人たちが、しくじり続けているのを不思議に思いませんか? リーダーたちの質が低下しているように感じるかもしれません。 ただ、それは彼らに責任があるだけではなく、時代の変化が関係しています。 それも大きな、大きな変化です。 いままでのやり方が通じなくなってきたのは皆様お感じでしょう。ただ、その「いままで」の長さは、この数十年なんてレベルの話ではありません。数百年でも数千年でも足りない。驚かないで聞いてください。 いま我々は「人類始まって以来の文明の転換点」を迎えているのです。 その転換点とは、新型コロナの感染拡大「コロナ禍」をきっかけに、「男社会が終了する」ことです。 男性が絶滅するんじゃないですよ(私はまだ死にたくないっ!)。 上下関係に支配される男性的社会が終了するのです。 別に女性ウケを狙って書いているわけでも、ポリティカルコレクトネス(政治的妥当性)を意識しているわけでもありません。『イシューからはじめよ』(英治出版)などの著者で、慶應義塾大学教授の安宅和人氏は、新型コロナの感染拡大による社会の変化を「開疎化」という造語で表しました。 これまで数千年にわたって人類は「都市化」を進めてきました。「都市化」とは「密で密閉化」を進めること。 人類の歴史は都市化の歴史です。 一方、新型コロナなど感染症が広がる社会は、逆に「疎で開放化」に向かうと安宅氏は主張し、注目を集めました。 この開疎化が男社会に終わりをもたらす……これは安宅氏の説ではなく、私はこう解釈しています。 人類はいままでできるだけ集まり、くっつきたがっていました。 人はさみしがり屋で、疑い深いからです。 人類は、密閉空間をつくってさみしさをまぎらわすと同時に、上下関係をつくることで疑う相手を支配してきました。上下の序列を決める戦いも常にありました。 しかし、都市化が止まり、開疎化が進めば、序列を決める戦いも終わります。「人類始まって以来の文明の転換点」です。 開疎化がもたらすのは、男社会の終了だけではありません。 開疎化で資本主義と格差社会も終了します。これも安宅氏の説ではなく、私が勝手に思っていることです。「経済成長する時代の終わり」といってもいいでしょう。 資本主義とは、 18世紀後半、産業革命やアメリカ独立革命、フランス革命によって始まった、自由に経済活動が行える体制のことです。 小難しく聞こえる経済用語ですが、かんたんなしくみです。 資本とは商売の元手。商売を始めるためのお金や株式、建物、設備、人材などです。 この「元手 =資本」は、どんどん増えますし、また増やさなければならないのが資本主義の特徴です。 資本を使って生産・販売し、得た利益の一部を資本としてまた蓄積。そうすると元手 =資本が増えるから、生産量も販売量も増える。これを続けて、資本を増やし続けるのが資本主義のしくみです。 要するに、もうけたお金の一部を投資にまわせば、もうけは増え続けるのが資本主義ということ(笑)。 だからこそ、「世界経済は成長し続ける」のが、資本主義の常識で神話でした。 しかし、ご承知のようにコロナ禍を転換点に、すべての先進国で経済成長は縮小。以来、世界全体で資本主義の成長神話は崩壊しつつあります。 かつての日本にたとえると、バブル経済崩壊直後のような、まだ夢から覚めきっていない状態がいまの欧米諸国、「アジア四小龍」と呼ばれた香港・台湾・韓国・シンガポール、新興国の中でも大国の中国・ロシアなどです。 有力国は全滅ですね(もちろん日本も同様です)。 ロシア・ウクライナ戦争の影響で、各国の経済はさらに悪化。 30年前のバブル崩壊以来、ろくに経済成長しない日本ですが、 2023年はアメリカや EU(欧州連合)の方が低成長になる見通しです(国際通貨基金の予想値 2022年7月 26日より)。 日本もさえないけど、他国の方がより大変なのです。

それでも多くの人は「いずれ経済は元に戻り、成長し続ける」と信じています。 ただ、資本主義で経済成長し続けるには、ひとつ条件があるんです。「中心都市」の存在です。 もうけたお金の一部を投資にまわせば、もうけは増え続けると書きましたが、現実はそうかんたんな話ではありません。 資本を投資する中心地が必要です。 効率的に投資できる場所、投資対効果の高い場所です。 そのもっとも投資対効果の高い場所が中心都市で、現在の世界経済ではニューヨーク、ロンドン、東京、シンガポールあたり。香港はもう中心都市ではないでしょう。過去にさかのぼると、 16世紀はイタリアのジェノバ、 17世紀はオランダのアムステルダムが世界経済の中心都市でした。 そして世界でもっとも投資対効果の高い中心都市のある国が、世界をリードする「覇権国家」になりました。 経済成長し続けるために、資本は中心都市に集中し、経済は豊かになります。逆に中心都市から遠ざかるほど、資本は集まらず、貧しくなっていく。富める者と貧しい者の格差が極端に大きくなります。 この極端な格差が、資本主義の陰の側面です。資本主義 =格差社会ですね。 開疎化で資本主義 =格差社会が終了するのは、お金の集まる中心都市がなくなっていくからです。 中心都市は朝も昼も夜も、人がたくさん集まり、お金がたくさん動きます。しかしコロナ禍で、中心都市は感染症に極めて弱いことが明らかになりました。 人がたくさん集まるからこそ、にぎやかに遊んでお金をたくさん落とす街だからこそ、危険になったのです。 ハーバード大学教授でアメリカの財務長官も務めたローレンス・サマーズ氏の言葉を借りると「世界的な過剰貯蓄、過少投資」が起こっています。 投資対効果の高い場所が少なくなった結果、お金が余っているわけですね。お金が余るのは良いことではなく、投資しないと、経済は成長しません。 だからといって、「ニューヨークがダメなら次は上海だ、ムンバイだ」はない。次の世界経済の中心都市はありません。 世界をリードする現在の覇権国家はアメリカですが、「アメリカがダメなら次は中国だ、インドだ」もない。次の覇権国家もありません。「密から疎」「密閉から開放」に向かうにつれ、大量に密集した富も、徐々に広く薄く散らばります。富の密集がなくなれば、格差社会も終了です。 もちろん、今日明日にも資本主義や格差社会が終了するわけではありません。 何せ、人類始まって以来の変化です。とはいえ、何百年も先の話ではなく、アメリカの Z世代( 1997年ごろ ~ 2010年ごろ生まれ)が高齢者になる 40 ~ 50年後には、資本主義と格差社会の終わりが見えてくると予測しています。 アメリカの Z世代は、資本主義よりも社会主義の方に多く賛成する世代です。 アメリカ総人口の 20%以上を占める「もっとも人数の多い世代」のため、 2029年以降のアメリカ政治は、 Z世代の価値観が支配的になります。 若い世代になるほどアメリカでは資本主義に否定的ですから、資本主義と格差社会の終了は、もうそこまで来ています。 資本主義国の日本でも、経済成長しないことは大問題のはずです。 しかし日本には他の先進国や新興国にない大きな強みがあります。 それは何か? 1990年以降、経済成長しなかったのは、日本とサハラ砂漠より南のアフリカ諸国くらいなのです!「どこが強み? 弱みでしょ!」とのツッコミありがとうございます(笑)。 でも、この弱みだったこと、逆に強みになります。 成長しない経済に、日本国民は慣れている。 これ、いまとなってはアドバンテージだからです。「人類始まって以来の文明の転換点」を迎えて、新しい時代の新しい豊かさを、人類は見つけるときです。 日本は、経済が低迷した 1990年以降の「失われた 30年」で、新しい豊かさを見つけた人が結構いるはずなのです。 私は日本は「幸福先進国」になれると思います。 何せ、 30年時代を先取りしているのですから。

では、新しい時代の新しい豊かさとは何でしょうか? そして日本で、そんなものは見つかっているのでしょうか? はい、見つかっています。しかもいま、日本から世界に発信されています。 日本発の新しい時代の新しい豊かさ。「生きがい」です。 日本の考え方「生きがい」は、 IKIGAIとして国際語になり、人生 100年時代といわれる長寿社会の幸せな生き方の秘訣として、世界中でブームになりました。 2017年、スペイン人で日本在住のエクトル・ガルシア氏と、同じスペイン人のフランセスク・ミラージェス氏が英語で出版した『 IKIGAI: The Japanese Secret to a Long and Happy Life』は、国際的なベストセラーになりました。 この本は、長寿の里で知られる沖縄県大宣味村で、 100人の長寿者に「幸せに長生きする秘訣」を聞き取り調査したもの。 2016年にスペイン語で出版されたのですが、翌年イギリスの BBC放送で取り上げられ、英語版も出版されて世界各国で反響を呼びました。「生きがい」が国際語になるきっかけをつくったのは、アメリカの研究者で作家のダン・ベットナー氏です。 ベットナー氏は 2010年の TEDトークで「 100歳を超えて生きるには」と題し、国立老化研究所などとの専門家チームで行った、世界の長寿地域4つの調査結果を報告。 健康に長生きする心のあり方こそ「生きがい」だと提唱しました。「生きがい」とは何でしょうか? ベットナー氏は「かんたんにいえば、明日めざめるための理由」と説明します。 長寿地域のひとつ、沖縄県北部の調査では……。 102歳の空手の達人にとって、生きがいとは空手の技を磨くことでした。 100歳の漁師にとって、家族のために週 3回、魚をとってくることでした。 102歳の女性にとって、 101歳半も年の離れた曽曽曽孫を抱くことでした。

次の図は、世界中の SNSに拡散された「 IKIGAIマップ」を懸田剛氏による日本語訳を元に作成したものです。 あなたが大好きなこと、あなたの得意なこと、あなたが稼げること、世間が必要とすること、この4つを重ね合わせた中心にあるのが生きがいであり、人生の目的だとします。 せっかくなので、この「 IKIGAIマップ」に、あなたの大好き、あなたの得意などそれぞれ記入して、あなたの生きがいが何か発見してください。 また、生きがいについて、さらに理解を深めたい方は、精神科医の故・神谷美恵子氏の名著『生きがいについて』(みすず書房)も併せてお読みください。 とくにハンセン病患者に寄り添う中で得られた神谷氏の生きがい論は、「人は何のために生きるのか?」を豊富な経験と優れた知性でつきつめたものです。

「もうそんな皆と一緒に行動しなくていい。それぞれの思うように生きていいよ」 そう言われたら、うれしいでしょうか、困るでしょうか。 そう言われたら、まず周りの様子をうかがうのが、多くの日本人だと想像します。 日本人といえば、集団行動の国民性です。 学生時代は制服着用、集団登校、就職活動でリクルートスーツ着用、ラッシュでの通勤、通勤時は皆同じような色のスーツを着るなど、足並みそろえて同じ行動をします。 私自身、集団の中で皆と同じ行動をしないと、不安になりました。 小学 5、 6年生のとき、担任の方針は「休み時間も放課後も、生徒みんな一緒に遊ぶ」でした。仲良しグループに分かれることなく、みんな一緒に、です。 放課後もみんなと遊ぶ時間ですから、用もないのに帰ってはいけませんでした。まるでサービス残業ですね。 ところが私は当時、中学受験をするため塾通いをしていて、放課後さっさと帰らなければいけませんでした。これはつらかった。受験勉強がつらいのではありません。 他の生徒と違う行動をするのが、つらかったのです。「みんなと違うことをすると不安になる。みんなと同じでいれば不安にならない」 これを「同調バイアス」といいますが、自然な心理状態です。 みんなと異なる行動をとり、権力者の担任に逆らうのですから、脳が危険を感じていたわけですね。 ところが、日本も世界も、みんなの様子をうかがいにくい時代になりました。 仕事とプライベートを分ける考えが広がり、さらにコロナ禍を契機にリモートワークが進展し、オフィスに来ない選択肢もできました。 これは 40年以上前に予測されていた「止められない流れ」です。 未来学者アルビン・トフラー氏は、 1980年出版の著書『第三の波』で、科学・情報技術( I T)の発展で、大量生産・大量消費型の社会が終わり、多品種・少量生産型に向かうと予言していました。 同じものをたくさんつくるのではなく、たくさんのものを少しずつつくるということですね。 トフラー氏曰く、過去の大量生産型社会では、6つの原則がありました。 (1)規格化:重さや長さの単位統一、大学入試センター試験、 JIS規格 (2)分業・専門化:専門家による知識の独占と権威化 (3)同時化:勤務時間…同じ時間に働く、学校の時間割…同じ時間に学ぶ (4)集中化:都市への人口集中、職場に集まって働く、学校に集まって学ぶ (5)極大化:大企業、大病院、大手なら安心 (6)集権化:権限の一極集中、トップが決める 世界の先進国は、この6つの原則を学校や職場で実践してきました。 しかし、この6つの原則は、もう通用しません。 コロナ禍も経験したいま、多くの方が「たしかに通用しないな」と共感してくれるでしょう。 先ほど申し上げたように、人類はその歴史が始まって以来、できるだけ多くの人が集まろうとしました。大きな国家をつくろうとしました。 人が集まれば、その中で役割を分担します。あなたはこれをやってね、私はこれをやるからという分業です。分業して、各人が自分の役割の専門家になれば、より効果的・効率的でしょう。 この人類始まって以来の流れの究極が「グローバル化」でした。「グローバル化」とは、世界がひとつの市場になること。世界中の人が集まってひとつのしくみに統合されれば、個人の分業化や専門化も究極に進み、世界はもっとも効果的・効率的に運用されるはずと考えたわけです。 ところが、一人ひとりがあまりに分業化・専門化しすぎて、誰も全体が見えなくなり、誰も全体に責任をもたなくなりました。 責任をもつのが不可能になったともいえ、リーダーと呼ばれる人たちの多くも自分の利益を優先するようになったのです。 一方、新時代の原則は、これまでと「逆方向」になる。 個人が世界に統合されるのではなく、個人に世界が統合されるのが新時代です。 先の6つの原則もこう変化します。 (1)個別対応: AIがビッグデータを元に、一人ひとりに全体最適な解を供給

(2)統合:マルチに役割を果たす、知識を広く共有、専門家は権威を失う (3)不規則:バラバラの時間に働き、学ぶ (4)分散:地方への人口分散、リモートワーク・リモート授業 (5)極小:大組織から小組織や個人へ、知っている「あの人」なら安心 (6)分権:国に頼らないコミュニティの拡大、一人ひとりの意志で決める いっせいに通学し、いっせいに就職し、いっせいに帰省し、いっせいに退職する。 大人数がいっせいに動くのは、もはや「効果的」でも「健康的」でもありません。 安心や信用も、大手だから安心・信用できるのではなく、私の目が届くから安心・信用できるに変わる。 これからますます「個人の選択」が大事になります。 大量生産・大量消費型の社会が終わり、大きな組織のメリットがなくなれば、おのずと学歴主義も終わります。学歴主義は、官公庁や大手企業など学閥のある大きな組織に特有ですが、学閥の意味もなくなるでしょう。 自分の幸せは、自分で見つけ、自分で選ぶ。 周りと同じ行動をとるのではなく、個性を発揮しつつ、全体と調和する。 私はこれだけやりますではなく、いろんな役割をマルチにこなす。 国家レベルでいえば、他国からの輸入に頼らず、自国で生産することが増えるでしょう。日本も食料自給率の向上など国内生産を増やす流れになります。 大量生産・大量消費型の社会が終わったいま、これからは「個の自立」が、生きがいをもって精神的に豊かに生きる基本です。 近未来に、男社会が終わり、資本主義が終わり、大量生産・大量消費型の社会が終わり、大国家や大組織も終わる。国家や企業だけでなく、宗教も同様です。 大宗教の集会は、世界各国で新型コロナの感染源になりました。また日本では、安倍元総理殺害事件を機に、旧統一教会の問題が取り上げられ、宗教のあり方が改めて問われています。 強い依存心や強迫観念を信者に抱かせる「マインドコントロール」によって、信者やその家族の生活を破綻させるのではと、警戒されています。 一方、古代から宗教に救われた人も数多くいらっしゃいます。 企業が経済的な豊かさを追求する営みだとしたら、宗教は精神的な豊かさを追求する営みです。 新時代に宗教がなくなる、とは思いません。むしろ、生きがいある人生を送るために、有用な知恵を提供可能ではないでしょうか。 ただ、そのあり方は変容するでしょう。「密から疎」「密閉から開放」に向かうことで、宗教も、より個別で不規則で分散した「思い思いの」営みに変容するのではないでしょうか。 スピリチュアルと呼ばれる精神的なことも、個人的な活動や信念ならば、宗教ではなくなります。

じつはいま、市場をリードする存在として世界的な潮流になってきたのが SBNR層。「無宗教型スピリチュアル層」と呼ばれる人たちです。 SBNRは「 Spiritual But Not Religious」の略。 特定宗教への信仰はないが、精神的な豊かさを求める人たちを指し、アメリカやカナダ、欧州、オーストラリアで急速に増加しています。 日本の観光関係者の間では、 2025年4月 ~ 10月に開催予定の日本国際博覧会(略称:大阪・関西万博)に向けて、 SBNR層向けコンテンツの強化がはかられています。 アメリカのシンクタンク Pew Research Centerが 2017年4月 ~6月に行った調査によると、アメリカ人のうち 27%が SBNR層だと報告。 2012年の調査では 19%だったので、かなり割合が上昇しました。 欧州やカナダではさらに割合が高く、 2015年に行われたアンガスリード研究所の世論調査では、カナダ人の 39%が SBNRだと自認しています。 国際的な出会い系サイトの多くも「 Spiritual But Not Religious」という選択肢を用意しはじめていて、若い世代を中心に広がっているのです。 関西観光本部デジタルマーケティング室長の桑原宗久氏は、 2025年の大阪・関西万博に向けて、 SBNR層に注目する理由を3つ挙げています。 (1)自然との調和、禅、マインドフルネスやビーガン(完全菜食主義者)などに高い関心をもっており、関西の伝統的・精神的な文化資源に興味をもつ可能性が高い (2)旅行者の中でも自由に使える収入が非常に多い層である (3) 2025年の大阪・関西万博以降は旅行者のボリュームゾーンになる 補足すると、関西といえば、熊野古道、高野山の宿坊、奈良の大仏や春日大社、京都の清水寺や伏見稲荷大社、茶道や華道など、伝統的な精神文化が豊富です。 SBNR層の旅行客は、趣味嗜好や学びへの投資に積極的な層で、特定の興味関心事にはかなりお金を出します。 そして若い世代は近未来の消費の主役です。 若い世代に SBNR層が増えれば、そのニーズに応えるのも自然の成り行き。 とくにアメリカは、日本や欧州・中国・韓国などと異なり、人口がいまなお増加しているため、若い世代が消費の主役です。 日本の伝統的な精神文化に、世界中の SBNR層が興味をもつ日は近いです。もちろんいまでも注目する人はしていますが、さらに多くの人々から注目されるでしょう。 2025年は、日本の精神文化にとって、そしてもちろん神社仏閣にとっても大きなターニングポイントになります。 コアな SBNR層をターゲットにするなら、私も「人にはあまり知られていないけど、精神的な感覚が繊細な人は大満足する神社」をこっそり推薦したいですね。観光名所になってほしくないから、あくまでこっそりです! 文部科学省の宗教統計調査( 2021年度)によると、神社の数は 8万 884社、寺院は 7万 6815寺。全国のコンビニの数が 2022年1月で 5万 6919店(日本ソフト販売調べ)ですから、神社もお寺も、コンビニよりたくさんあります。 なぜ神社もお寺も、日本中に数多くあるのでしょうか? 観光資源として注目されることが多い神社仏閣ですが、観光だけなら、数少ない方が希少価値が出ます。 神社やお寺がコンビニより数多く存在する理由、それは人々の「幸福」にも大きく貢献してきたからです。 私が 1200名を対象に行った調査では、神社参拝とお墓参りは、どちらも幸福度を高める傾向がありました。 400名を対象に行った調査では、年収 1500万円以上あって神社に参拝しない人は、年収 500万円未満で神社に参拝する人よりも幸福度が低かったです。 くわしい内容は、前著をお読みください(『成功している人は、なぜ神社に行くのか?』『成功している人は、どこの神社に行くのか?』)。 お金と幸福の関係でよく指摘されるのは、「ある一定の収入金額から、幸福度は上昇しなくなる」こと。 その「ある一定」は、ダニエル・カーネマン教授らの研究によると、アメリカで世帯年収 6万ドル以上 9万ドル未満です。年収 9万ドル以上になっても、 6万ドル以上 9万ドル未満の人たちより幸福度がとくに高まらないわけです。 どうやら、収入が多くなるほど、もっとお金を稼ぐよりも神社参拝・お墓参りの方が、幸せのために重要そうですね。 神社仏閣が幸福度を高めるのは、大阪大学の研究チームも指摘しています。 小学生のころ、近所や通学路にお寺・お地蔵さん・神社があると、大人になると3つの性格がプラスになるとのこと。 ひとつ目が「一般的信頼」。つまり人間への信頼です。 2つ目が「互恵性」。何かしてもらったら何かお返ししようという気持ちです。 3つ目が「利他性」。他の人にプラスになることをしようとする気持ちです。 お寺とお地蔵さんがあるとこの3つ、信頼も互恵性も利他性もすべて向上します。神社に関しては互恵性のみ向上します。 信頼・互恵性・利他性は、社会学の用語で「ソーシャル・キャピタル」と呼ばれる、人脈よりもうちょっと温かみのある人間関係を築くのに役立ちます。 この温かみのある人間関係も、精神的な豊かさです。 神社の縁結びも、互恵性ある人間関係の構築です。 お互い様の関係を人と築くことで、お互いの願望も成就しやすくなります。 このように、神社仏閣には日本にとって「幸福インフラ」ともいえる重要性があります。 日本が「幸福先進国」になりえると私が思うのは、コンビニよりも多数の神社仏閣が存在しているからです。

資本主義が終了し、経済成長しなくなるこれからの時代は、ものの豊かさから心の豊かさにシフトする大きなチャンスともいえます。観光だけでない神社仏閣の精神的な価値も、改めて見直されるのではないでしょうか。「幸せに長く生きる」は人類全体のキーワード。 健康に長生きする心のあり方こそ「生きがい」でした。 日本は長寿企業が世界でもっとも多い国です。 日経BPコンサルティング社の「世界の長寿企業ランキング」( 2020年版)によると、創業年数が 100年以上の企業の数で、日本は世界 1位でした。

創業 100年以上の企業の総数は、世界全体で 8万 66社。そのうちの 41%強にあたる 3万 3076社が日本企業で、 2位のアメリカを大きく上回りました。 さらに創業 200年以上になると、 1位は同じく日本の 1340社ですが、比率は 2061社中 65%にまで上昇するのだから、驚きです。 なぜ日本の企業は長続きするのか? この秘訣を探ることは、長寿社会を幸せに生きる大きなヒントになるはずです。 本書ですから、もちろん神社仏閣の存在が大きいといわせていただきます。 なかでも、 1000年以上続く千年企業は、神社仏閣関係の分野に多いのです。 578年創業、世界最古の企業「金剛組」は大阪の建設会社で、聖徳太子が四天王寺を建てるために百済から招いた宮大工・金剛重光によって創業。以後、四天王寺を始めとする寺社建築を中心に手がけています。 京都府京都市・今宮神社の旧参道にある「一文字屋和輔」は、 1000年に創業した日本最古の和菓子屋さん。「あぶり餅」のみを提供しており、今宮神社の疫病退散祈願のときに参拝者に振る舞われたのが始まりです。 その他にも 885年ごろ創業の「田中伊雅仏具店」は、京都府最古の製造業者で、真言宗や天台宗といった密教の仏具などを製造。 愛知県一宮市に本社がある「中村社寺」は、 970年創業と金剛組の次に古い建設会社で、同じく神社仏閣の建設が専門です。 千年企業の多くにおいて、本当のお客様は、目の前の人間ではなく、神仏です。 国民的な演歌歌手の故・三波春夫さんは、「お客様は神様です」の名言を残しました。いまも多くの人が使う言葉ですが、これほど誤解された言葉もありません。 三波さんが伝えたかったことは、本当のお客様は、目の前の人間ではなく、神様だということ。けっしてお客様を神様扱いすることではなかったのです。 日本の今後に希望を見出せない「日本悲観論」は、多くの日本人が思うことです。しかし日本は「幸せに長く生きる」ことに関して、世界一の精神文化があります。 第 2次世界大戦に敗れた後、この日本の精神文化の継承がうまくいかない時期が続きました。しかし、けっして消えたわけではありません。「お客様は神様です」の真意を多くの人が理解する状態に戻れば、これからも千年企業が生まれる日本であり続けますし、日本的な精神文化が世界に広がれば、世界中で千年企業が生まれるでしょう。 あなたも、日本の精神文化を受け継ぎ広げていきませんか?

[エピローグ] epilogue ありのままでいれば人生大逆転 ◉「しくじり世代」が人口の多くを占める現代 この本を最後までお読みくださり、ありがとうございます。 エピローグをあえて最初に読んでいるあなたも! 手に取ってくれてありがとうございます。 あなたは、〝たまたま〟この文章を読んでいるのかもしれません。 じつは、「成功の 8割はたまたま」とスタンフォード大学の調査で判明しています。 人生うまくいっている人は、ただ〝たまたま〟を受け入れただけです。 そんな、たまたまお読みになっているあなたに、どうしても伝えたいことがあります。 これから 40年、景気の良いことを言ってもウソになる時代です。 だからこそ、「大丈夫だよ」とお伝えしたい。 これから 2060年くらいまで、日本はしんどくなるばかりです。 日本の人口予測をご存じの方は、皆知っていることですね。 私は、就職氷河期を経験し、非正規雇用や無職の増えた「ロスジェネ世代」( 1970年ごろ ~ 1982年ごろ生まれ)です。ロストジェネレーション、直訳すると「失われた世代」で、日本では「不運な世代」とされます。 1975年の早生まれで、私のひとつ下の学年から人数が減りだす「人口がもっとも多い学年」でもありました。 我々の世代は、一番「しくじりが多い世代」です。「ロスジェネ世代」がすべて高齢者になる 2042年、高齢者の人口がもっとも増え、貧困層の高齢者も激増すると予測されています。高齢者の比率が下がるのは 2065年以降なので、死ぬまで下り坂の人生が約束されている世代ともいえますね。 不運なのか、自己責任なのか、日本低迷の犯人なのか。 いずれにせよ、しくじり世代です(苦笑)。 しくじり世代が人口の多くを占める現代こそ、本書は必要だと確信します。 ◉あなたも大丈夫! 神社仏閣がサポートしてくれる みんなで同じ方向を目指して経済成長する時代は、終了しました。 では、どうするのか?・現実をありのままに認め、受け入れること・一人ひとり、自分の生きがいを見つけること・神仏と共に健康に長生きする日本のスピリチュアルな文化資源を活用すること この 3点が、本書でお伝えした「幸せに長く生きるコツ」。「不景気でも大丈夫」な生き方です。「自分にもそんなことができるのだろうか?」 こうお思いになる方もいらっしゃるでしょうけど、できます。 できないと思ったらできませんが、できると思ったら誰でもできます。 本書でご紹介した幸せに長く生きる人生は、けっして特別なものではありません。 6章で紹介した長寿地域のひとつ、沖縄県北部ではこんな生きがいの調査がありました。 102歳の空手の達人の生きがいは、空手の技を磨くこと。 100歳の漁師の生きがいは、家族のために週 3回魚をとってくること。 102歳の女性の生きがいは、 101歳半も年の離れた曽曽曽孫を抱くこと。 幸せに長く生きることは、一部の人にしかできないことではないのです。 あなたもきっと、あなたの生きがいをすでに見つけていますし、もしなかったとしても、その気になれば必ず見つけられます。 できる、できないではなく、ちょっとした意識のもちようです。 その意識のもちようを、神社仏閣はサポートしてくれます。 ◉しくじりが負債から財産になる 人生の大逆転はいますぐ起こせます。 大逆転の方法は 3章でお伝えした通り、体を水で清めればいいだけです。 そうすれば、しくじりは黒歴史から財産になります。 水で清めれば、自分に都合の悪いことを無視しなくなり、ネガティブ感情が除去され、自分らしさを取り戻して人間的に成長すると、統計的に示されていました。 たったこれだけのことで、しくじりは負債から財産に逆転します。「え? どういうこと?」と思った人は、ぜひ本書をくわしくお読みください。

本当のことをいうと、あなたが自覚していないだけで、しくじった経験はすでに成長の肥料になり、精神的な財産になっています。 ただ、自分は豊かだと認識していないだけです。 神社仏閣の存在は、自分が豊かだという現実を多くの方々に認識してもらうための、いにしえよりあるしくみなのです。 もちろん、神社仏閣に私は影響を受けていないという人や、そもそも影響を受けたくない人もいるでしょう。 ただ、そんな人も自分で気づいていないだけで、すでに影響を受けています。 6章で紹介した大阪大学の研究報告にもある通り、子供時代に近所や通学路に神社仏閣があるだけで、人間関係が良くなります。 神仏は、あなたがどう思おうと、あなたを勝手にサポートしています。 あきらめてください(笑)。 イスラエルの歴史学者で、世界的ベストセラー『サピエンス全史』(河出書房新社)の著者ユヴァル・ノア・ハラリ博士は、未来の我々に2つの提言をしました。「物語を生きるな」「自分を観察しろ」 人は真実っぽいウソの物語が好きだし、信じやすい。 だからこそ「操作されるな」と言うのです。 大量生産・大量消費型の社会が終了したいま、みんなの生きがいになる物語も消滅しました。そして、ごく一部が共有する物語は、他の大勢を否定しカルト化します。 だからこそ、「自分の物語を生きろ」。 日本の神様は、八百万の神というように、たくさんたくさんいます。 あなたにはあなたの神様がいるし、私には私の神様がいる。 自分の神様を信じてください。他人の神様はジャマせず放っときましょう。 たとえ資本主義が終わっても、人間がもつ最大の資本は残ります。 それは私の夢であり、希望であり、私の物語です。 本書のエネルギー、受けとっていただければ幸いです。

◎参考文献『第三の波』アルビン・トフラー著/中央公論新社『日本書紀』(上)井上光貞監訳/中央公論新社『成人発達理論による能力の成長』加藤洋平著/日本能率協会マネジメントセンター『生きがいについて』神谷美恵子著/みすず書房『諏訪の神さまが気になるの』北沢房子著/信濃毎日新聞社『マキアヴェッリ語録』塩野七生著/新潮社(新潮文庫)『ファスト&スロー』(下)ダニエル・カーネマン著/早川書房『ご縁をつなげば、奇跡が起こる』築山知美著/サンマーク出版『名草戸畔 ~古代紀国の女王伝説増補改訂三版』なかひらまい著/スタジオ・エム・オー・ジー『新版古事記現代語訳付き』中村啓信訳注/角川学芸出版(角川ソフィア文庫)『ケガレの構造』波平恵美子著/青土社『謎の古代豪族葛城氏』平林章仁著/祥伝社(祥伝社新書) 『「君が代」は九州王朝の讃歌』古田武彦著/新泉社『成功している人は、なぜ神社に行くのか?』八木龍平著/サンマーク出版『成功している人は、どこの神社に行くのか?』八木龍平著/サンマーク出版 『21 Lessons』ユヴァル・ノア・ハラリ著/河出書房新社 ◎参考・引用論文伊藤高弘・窪田康平・大竹文雄「寺院・地蔵・神社の社会・経済的帰結:ソーシャル・キャピタルを通じた所得・幸福度・健康への影響」大阪大学社会経済研究所 DP. No. 995, pp. 1–37. Kaspar, K. Washing one’ s hands after failure enhances optimism but hampers future performance. Social Psychological and Personality Science, 4( 1), pp. 69–73. Kahneman, D., & Deaton,-. Highincome Improves Evaluation of life but not emotional well-being. Proceeding of the National Academy of Sciences, 107( 38), pp. 16489–16493. García, Héctor & Miralles, Francesc. Ikigai: The Japanese secret to a long and happy life. Penguin Life.桜井芳生「『ハレ・ケ・ケガレ』問題への五極モデルの提案」年報社会学論集( 5), pp. 49–60.下山晴彦「大学生のモラトリアムの下位分類の研究─アイデンティティの発達との関連で─」教育心理学研究 40, pp. 121–129. Michael Lipka & Claire Gecewicz, C. More Americans now say they’ re spiritual but not religious. Pew Research Center, 2017–09–06. Mitchell, K. E., Levin,-. S., & Krumboltz, J. D. Planned happenstance: Constructing unexpected career opportunities. Journal of Counseling & Development, 77( 2), pp. 115–124. Lee, S. W. S., & Schwarz, N. Dirty hands and dirty mouths: Embodiment of the moral-purity metaphor is specific to the motor modality involved in moral transgression. Psychological Science, 21( 10), pp. 1423–1425.渡邊ひとみ「青年期のアイデンティティ発達とネガティブ及びポジティブ経験に見出す肯定的意味」心理学研究 91( 2), pp. 105–115. ◎参考 W E Bページ九頭竜大社 https:// www. kuzuryutaisha. or. jp/日本電産株式会社 https:// www. nidec. com/ jp/株式会社プラネット「 Vol. 90お寺・神社に関する意識調査」 2018–07–19. https:// www. planet-van. co. jp/ shiru/ from_ planet/ vol 90. html

【著者】八木龍平(やぎ・りゅうへい)京都市出身。 P h. D.社会心理学者にして、神社の案内人。大学卒業後、NTTコムウェアのシステムエンジニアを経て退職し、大学院に進学。 2006年 11月、博士論文の執筆で追い込まれていた深夜、寮の自室に仏様の映像が現れ、メッセージを聴く神秘体験をする。以来、見えない〝氣〟に敏感になり、スピリチュアルな感覚が開花する。富士通研究所シニアリサーチャー、北陸先端科学技術大学院大学・客員准教授、青山学院大学非常勤講師、武蔵野学院大学・兼任講師を歴任。現在は、〝リュウ博士〟の愛称で、書籍や雑誌の執筆、 SNSの発信で「科学とスピリチュアルの視点をあわせたいままでにない説明」が好評を博している。著書『成功している人は、なぜ神社に行くのか?』『成功している人は、どこの神社に行くのか?』(共にサンマーク出版)は累計 32万部を突破。その他の著書に『成功する人が磨き上げている超直感力』( KADOKAWA)、『最強の神様 100』(ダイヤモンド社)などがある。八木龍平オフィシャルブログ「リュウ博士の自分で考えるスピリチュアル」 https:// ameblo. jp/ shoutokureiki/

 

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