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6章 部下の報告と状況把握はもっと真剣に取り組みましょう

41仕事の完了チェックは、だいたいで安心してはいけません部下の仕事が完了できているかチェックが必要です。

だいたいで安心していませんか。

成果が上がらない原因がここにあります。

ある営業所長は、部下の状況把握がおざなりでした。

部下の能力を引き出せていませんでした。

自分の営業に追われて部下を見る意欲に欠けていました。

別のある工場長ですが、第一製造課が溶接で、第二課、第三課が板金加工の現場でした。

工場長は抜群の溶接技術を持っていました。

しかし、板金加工は素人同然でした。

苦手意識があり、第二課と第三課にはあまり顔を出さず、第一課ばかり見ている状態でした。

この二人とも管理者研修に参加され、仕事の問題点を分析していただきました。

成果が上がらないのは、部下からの報告と状況把握がおざなりだからだとわかりました。

基本的な仕事の完了チェックができていなかったのです。

指示したことが実行されていませんでした。

営業メンバーは、お客様から要望やニーズを聞き取ってくるようにと言われていましたが、ほとんど中途半端な聞き取り状況でした。

このため、お客様のニーズに合うような営業活動ができていなかったのです。

工場長は板金加工の品質や精度を上げることができていませんでした。

指示した品質向上の取り組みが完了できずに、放置されたままになっていました。

研修後、仕事の完了チェックを重点的に実行することで、部下からのメール報告を読み流すだけではなく、気になることを必ず部下本人に会って詳しく聞き取りました。

部下の仕事の進捗状況など細かく把握できるようになり、それに対応して新しい具体的な指示を出せるようになりました。

二人とも時間がなく把握できないと悩んでいましたが、やりかたはいくらでもあるとアドバイスしました。

大事なことは仕事の完了チェックをする意欲を持つことなのです。

上司が強い関心を示すと、営業メンバーはニーズを本気になって集めてきました。

工場長が品質向上の対策を毎日ミーティングで聞き取ると、不良品が大幅に減少しました。

上司はだいたいではなく、完璧に仕事をやらせ切る覚悟を持ってください。

部下の状況把握がおざなりだと、部下の能力は引き出せません。

仕事の完了チェックをする意欲があれば、やりかたはいくらでもあります。

42報告の少ない部下から聞いていますか報告が多い部下と少ない部下がいます。

報告が多い部下からは状況がよくわかり、具体的な指示も出しやすくなります。

報告が少ない部下からは、わからないので具体的なことが言えません。

頑張れとか、しっかりやれというような抽象的なことしか言えません。

報告が多い部下は安心して見ていられます。

少ない部下は心配でいつも気がかりです。

ほんとうは報告が少ない部下に多く接して、声かけし報告を受けるべきです。

ところが多くの上司は、報告の多い部下をかわいがり、少ない部下を遠ざけています。

これが人情というものでしょうから仕方がないことかもしれません。

しかし、報告が多い部下は意識が高い部下で積極性もあり、自分から進んで報告してきますから心配はいらないのです。

報告が少ない部下は報告が苦手なのです。

ダメな部下だとあきらめないで育ててください。

報告を待っていないで、上司から声をかけましょう。

ほんらいは部下から報告するのが義務ですが、意識が低く消極的なのです。

叱られ、問い詰められたくないのです。

説明も下手です。

どう報告してよいかも分からない人たちです。

報告しなさいと叱ってもあまり効果は期待できないでしょう。

追い詰められて会社を辞める人もいます。

辞めた人に理由を聞いたら、報告、報告とうるさく言うので辞めたそうです。

上司のあなたが笑顔で、報告の少ない部下に直接聞き出してはいかがでしょうか。

決して怒らず問い詰めたりしないで、温かい雰囲気で聞いてください。

話しやすくしましょう。

成績の悪い営業所に赴任した所長が、報告を受ける時間を作って、これまで報告が少ないと言われていた所員と優先的に会い、細かな報告を聞きました。

それだけでその所員たちはヤル気が出てきたそうです。

彼らは所長が話をしっかり聞いてくれたと喜んで、意欲的に仕事に取り組むようになり業績が上がりました。

ヤル気がない人、元気がない人、結果が出ていない人、つまり問題がありそうな人から報告を聞いてあげましょう。

聞いてあげることが激励となり意欲を引き出せるのです。

報告の少ない部下に声をかけ優先的に聞いてあげましょう。

ヤル気のない人でも報告を聞いてあげることが激励となり意欲を引き出せるのです。

43報告を受けるときは、客観的事実を見抜いてください報告内容に騙されないようにしましょう。

部下が意図して、上司を騙すような悪い部下のことを言っているのではありません。

まじめで正直な部下からも上司が騙されていることがよくあるからです。

報告内容に、事実と推測が混在していることに気づかない上司がいるので警告を発しているのです。

つまり部下本人も悪意はなく誤解して、事実とは違う推測で報告することがあります。

ある建設現場を視察した部下が、「作業は遅れていましたが、期限には間に合います」と上司に報告しました。

ところが期限が迫ってくると、何か対策を立てないと間に合いそうにないことが分かってきました。

上司は慌てて応援体制を作りましたが、社長からは見通しが悪いと叱られました。

部下が視察したとき、現場の責任者はいませんでした。

作業員に状況を聞いて「何とか間に合いますよ」という言葉をうのみにしていたのです。

あとで現場責任者からは、このままでは間に合わないという報告がきたので上司は慌てたのです。

報告を受けるときは、客観的事実かどうかを見抜いてください。

「期限までには間に合います」という部下の主観を事実と誤解して判断の根拠にしたのが間違いなのです。

上司は事実を引き出す問いかけが必要です。

「作業はどれくらい遅れていますか?」「たいしたことありません。

少しです」この答えは推測になります。

答えは数字で求めてください。

「何日分遅れていますか」「何メートル分工事が遅れていますか」と質問してください。

これが客観的事実です。

部下には数字で報告するように指導しましょう。

「少ししかありません」「かなり余裕があります」という報告ではなく、「在庫は30ケースあります」と報告させれば、あとは上司が「少し」だと思うか、「余裕」だと思うか判断できます。

報告の中身が大事です。

報告の質が悪いと、上司は間違った判断をして失敗をします。

部下に対して、ものごとを客観的に見る目を養うように教育していきましょう。

報告内容に、事実と推測が混在していることに気づかない上司がいます。

部下には数字で報告するように指導し、客観的に見る目を養う教育をしましょう。

44スピード感ある報告を求めましょう部下にしっかり報告させるように指導するのは上司の責任です。

とくに終了報告をすばやくさせてください。

仕事が遅い職場がありました。

社長が課長に指示したことがすぐに実行されないのです。

このため社長はこの課長にいつもイライラさせられていました。

課長は研修に参加してきました。

わたしは「あなたは仕事が遅いそうですね」と言いました。

「速いつもりです。

なぜそう思われるのでしょうか」という課長の答えでした。

わたしはここでピンときて、「あなたはすぐ報告していますか?」と質問しました。

「仕事のキリの良いところで報告しています」と課長は答えました。

これです。

遅いと思われたのは、これが原因だったのです。

社長の指示命令を受けて、課長はそれを部下に伝えます。

部下はそれを処理してもすぐ報告しないでキリが良いときに課長へ報告し、受けた課長も同じようにしていたのです。

社長のところへ仕事の終了報告が入るのは、かなり時間や日にちがたってからでした。

社長は与えた仕事が終了したら、次の手を打ちたくてじりじりしながら待っていたのです。

課長はこの社長の心理を理解していませんでした。

課長にアドバイスしました。

部下に仕事を与えるとき、仕事が終わったら3分以内に報告させるよう徹底すること。

部下の報告を聞いたあなたは社長に1分以内に報告すること。

わたしは「必ずですよ」と、かなり強く念を押しました。

数カ月後、「お蔭様で課長の仕事が速くなりました」と、社長がニコニコして言いました。

上司は部下に対して、スピード感ある報告を求めましょう。

キリの良いところで報告するのは、自分中心の考えかたです。

実際の仕事は終了していても、社長にとっては、終了報告がないかぎり課長に与えた仕事は終わっていないのです。

仕事が遅いと思われている部長や課長は、だいたい報告が遅い人です。

上司が社長への報告を早くしようと思っていると、部下へは早い報告を求めるようになります。

すると、与えられた仕事の処理も優先しておこなうようになり、処理作業そのものも速くなります。

報告を早くさせ、上司は早く上へ報告すると、「運気」もスピードを増して高まります。

仕事が遅いと思われている部長や課長は、だいたい報告が遅い人です。

報告を早くしようと思っていると処理作業も速くなります。

45報告を受ける上司に問題があります部下の報告が少ないとなげく上司は、原因が自分にあるとは思っていないようです。

報告をするように厳しく言っているが、よくならないのはなぜか。

理由ははっきりしています。

わたしにも経験があるからです。

部下は報告するのが嫌になったからです。

報告の重要性は分かります。

しなくてはいけないと思っています。

ですから最低限の叱られない程度の報告しかしないのです。

報告するたびに追及され、叱られ、感情的になってあれこれ言われれば、気の弱い人でなくても誰だって報告が嫌になります。

報告を受けるときに大事なことは、冷静でなければならないことです。

アラ探しが目的ではないのです。

報告を聞く姿勢ができていなくてはなりません。

そうでなくては、報告内容を正しく判断し適切な対策は立てられません。

第二に先入観を持ってはいけません。

部下が失敗の報告をしました。

取引先のせいにしているが、部下の不注意だろうと決めつけて聞いていると、ほんとうの原因が分かりません。

第三に、対応策を示すことです。

終了報告であれば「ごくろうさま」で済みますが、失敗やクレーム、トラブルなどの問題発生には、それなりの対応策を出してください。

決定権がない案件に対しては、「上と相談して〇時までに指示する」と答えましょう。

部下は上司の対応策がないと報告する意欲がなくなります。

報告しても上司は何もしてくれないと思います。

小さいことなら報告しないで自分で処理するようになり、手に余ることなら上司を飛ばしてもっと上の幹部に報告するようになります。

対応策や反応を示さない上司は、部下の報告が少なくても自業自得なのです。

感情的になる上司からは部下の心は離れます。

ある程度の期間は上司に合わせていますが、それにも限度があるのです。

社長はもちろん、部長、課長と、上の立場にある人は裸の王様にならないように謙虚な心を持って報告を聞きましょう。

報告を受ける姿勢のある人には自然に報告が集まってきます。

部下の報告が少ないのは、上司の報告を聞く姿勢に原因があります。

冷静に、先入観を持たず、報告を聞いて、対応策を示しましょう。

46良く見せたいという思いが入った報告は逆効果です報告は自分の評価に関係するので、良く見せたい心理が働きます。

管理者も、上級上司に報告するときは、できるだけ良い報告がしたくなります。

どれだけ自分が頑張って成果を上げたか、結果を出すためにどれだけ苦労したかをぜひ分かってもらいたいのです。

このため、くどくどと苦労話を続ける人がいます。

「本部長、A社の社長がキャンセルしたいと言ってきました」「そうか、困ったな。

担当は誰だ」「K君です。

そこでわたしがK君と一緒に交渉してきました」「課長が行ってくれたのか。

うまくまとまったか」「粘って交渉したのですが、頑固でどうにもなりませんでした」「そうか、ダメだったか」「いえ、たまたまわたしの学校の先輩がそこに居合わせて、キャンセルはいけない、このシステムは導入するべきだと、A社の社長を説得してくれたのです」「ほう、それで?」「キャンセルを撤回して導入が決定です」「そうか、君はいい人脈を持っているな」人脈の豊富さや手柄を誇りたい気持ちは分かりますが、いささか幼稚な報告です。

報告のとき、女性や新人に前置きや経過説明が長くなる人が多いと言われていますが、管理者にもこういう人がいます。

自分を認めてもらいたいと焦る人にこういう傾向が強いです。

上級上司にとっては、状況がよくのみ込めずに思考が混乱して迷惑ですし、子供がカブトムシを捕ってきて母親に自慢したい心理に似て幼稚です。

かえって評価をさげてしまうでしょう。

報告は簡潔な結論を先にしてください。

「K君担当のA社のキャンセルですが、交渉してキャンセルを撤回させ、導入が決定しました」簡潔に報告するのがスマートです。

経過を求められたら細かく説明しましょう。

前置きや経過説明が長い報告は、手柄を誇りたい心理で幼稚に見られます。

報告は簡潔な結論を先にして、経過を求められたら細かく説明しましょう。

47失敗の報告に価値があります報告の価値はどこにあるのでしょうか。

仕事が終了したことを確認できる。

進捗状況を把握できる。

仕事の問題点を発見する。

そして失敗の原因を探る。

失敗の防止策を作るには、失敗の報告事例がないと取り組めません。

とくに小さな失敗の報告が重要です。

これを小さいからいいだろうと報告しないでいると、根本的な失敗の原因が放置されて、大きな失敗を誘発します。

すなわち仕事がうまくいって成功した事例より、失敗に終わったことや予定通り進まなかったという報告事例は、価値が高いのです。

しかし、失敗の報告はやりづらく、隠す傾向があります。

某大企業が業績の失敗を隠して決算報告をごまかしていました。

この会社は批判を浴び倒産しました。

コンプライアンスができない会社は、失敗の報告が正しくできないからです。

「納期に間に合いそうにありません」「不良品が多くなりました」「機械のトラブルです」こうした悪い報告をすると、上司が不機嫌になります。

「いったいどうしたのだ。

真剣にやれ」と、怒られます。

反省はしても、萎縮した部下は悪い報告をしなくなります。

ちょっとした失敗は失敗ではない。

結果オーライだから報告しないでおこう。

上司に心配をかけないでおこう。

部下がこういう心理になるのは悪い報告が言いづらい雰囲気があるとみて間違いありません。

優れた会社は、ミスや失敗を報告しやすい雰囲気があります。

小さい失敗でも報告しておこうと部下が思えればすばらしい。

しかも部下が小さな失敗を自分の責任で適切に処理したことも報告してくるなら、良い雰囲気があるといえます。

それは上司の人間性によって決まります。

一生懸命やって失敗したのなら許してあげてください。

ギリギリ追い詰めても意味はありません。

上司の自己満足で終わるだけです。

悪い報告でも冷静に聞き、最高最善の手を打つことが肝要です。

安心して報告できる人間の器を作ることで、上司への価値ある報告が増えてきます。

小さな失敗の報告事例があると、大きな失敗を防ぐ対策が立てられます。

失敗を報告しやすい雰囲気が作れるのかは、上司の人間性で決まります。

コラム尽きない上司の悩み解決術②年上の部下を気持ちよく働かすベテランの部下が動いてくれないと悩んで相談を受けました。

Mさんは、34歳の女性で、ショッピングセンターの係長になり職場を異動しました。

部下は40代50代の女性パート社員が多く、動きが遅いと悩んでいました。

言ったことをすぐやらない。

報告が少ない。

失敗を隠す。

言い訳が多い。

また女性特有の職場の雰囲気があり、グループ化して指示や命令事項に反発し、やりたくないことや面倒なことには「ムリだ」「できない」と言って抵抗してくるのだそうです。

「とても陰湿です」とMさんは自分の上司である男性課長に、こうしたことを訴えたのですが相手にしてくれません。

その上司は「思い過ごしだよ」と言うばかりです。

わざと小さなミスをして知らないふりで、M係長の管理が悪いと言うそうです。

男性課長には女性特有の媚を売りご機嫌を取って、課長の指示に対してはわざとのミスは絶対やらないのです。

個人面談の場で、Mさんは泣きそうな顔で、「もう疲れました」と言いました。

そこで、「相手を知ることです」とアドバイスしました。

孫子の兵法に「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」とあるように、年上の部下のことをよく知ること、なぜそういう態度をとるのか、口の利き方など自分に原因はないのか、考えてみることを提案しました。

一般に男性は理論的に判断して従いますが、女性は感情的に受け止めます。

まず陰のリーダー的な年上の部下を見つけて、その人に敬意を持って接し味方につけることを勧めました。

年上の部下はメンツもあり、プライドもあります。

組織や役職の力などで動かそうと思っても彼女らは、おいそれと従いません。

男性の年上の部下もこのことは同じです。

上級上司の虎の威を借り、課長はこう言っていましたなどと抵抗してきます。

もう一つしたアドバイスは、年上の部下が、頑張ったこと、よくやったことを朝礼などの人前で誉めることはとても効果があるということです。

認められれば誉めてくれた人に好感を持ちます。

その後、Mさんはアドバイスを実行し、年上の部下が気持ちよく動くようになったそうです。

年上の部下は大人の良い知恵も悪知恵も持っています。

それをよく知ることと、良い知恵を出させるように、誉めてプライドを満足させ、良い方向への動機づけをしてください。

 

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