中小企業では、大企業の下請けである場合も少なくありません。逆に言えば、下請け企業があるから、大企業が存在できているわけです。 下請けはうまくいっているときは、ある意味、楽です。特に大手会社一社の下請けをしていれば、その元請会社がうまくいっていて、自社を使ってくれる限り、安泰。営業も一社だけに行えばいいし、企画開発もその会社対象だけですみます(特に、その大手会社が公共投資を請け負っていたりすると、ほんとうに楽です。いえ、楽でした)。 けれども、以前、日産が経営危機に陥ったとき、系列部品メーカーの多くは外資に身売りという憂き目に遭いました。現在、日産はもちろん、トヨタもソニーも、たいへんなことになっています。下請け企業は、もっとたいへんなことになっています。 冷たい言い方ですが、下請けは、元請会社にとってみれば自社のパートや派遣社員以下の存在だと思っていたほうがいいでしょう。パートさんに辞めてもらうには、呼び出して話をしなければなりませんが、下請けを切るには、注文の連絡をしなければそれで終わりです。派遣を切れば、「派遣切り」と世間から非難されますが、下請けを切っても非難されることなどありません。ニュースにすらなりません。 もちろん多くの企業はサプライチェーンのなかに組み込まれていて、何らかの元請会社が存在するものです。そうしたときに重要なのは、元請会社から見て、自社が「下請け」なのか「パートナー」なのか、ということです。 下請けというのは、ほかの下請けに代えても元請けにとって大きな影響のない会社(だから、元請けの言いなりにならざるをえません)。パートナーとは、その社がなくなれば元請会社が困る存在。つまり「自立」できる会社です。パートナーを目指すべきなのはいうまでもありません。 でも、たとえパートナーであったとしても、一社だけに大きく依存している体質は危険です。元請会社がこけると自社もこけてしまうわけですから。特定の元請先がなくなったら自社も存亡の危機というのでは、あまりにバランスを欠いています。 望ましいのは、いちばん大きな取引先一社がなくなっても利益が出せる収益構造にしておくことです。つまり、お客さまの「ポートフォリオ(組み合わせ)」をつくること。 ビジネスでも人生でも、大切なのは「自立」を保つこと。 自ら、選択権をもつこと。 特定の人、お客さま、株主、銀行、仕入先などに、コントロールされないことです。 組合や一部の従業員にコントロールされるのも問題です。 これは、短期利益に反応する株主やヘッジファンドなどのプレッシャーがにわかに高まってきた大企業にとっても同じことでしょう。ワールドやポッカなど上場を廃止する大企業が増加していますが、強みを生かしてよい商品やサービスを提供することがビジネスの本質ですから、そのために第三者から過度のコントロールを受けないようにするのは賢明なことだと思います。 十分な自由度をもって行ってもむずかしいのが経営です。お客さまや環境がどんどん変化するからです。まして、そのなかで、だれかにコントロールされて自由度が小さい状態では、その分、経営の成功確率が低くなることはいうまでもないでしょう。
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