うまくいくと満足してしまい、新しいことを求める熱意に欠けてしまうのが人間である。だからこそ、今が最善と満足せずに、まだまだほかに道があると考える。そう考えるならば、道は無限にある。
松下 経営にあたりましても、いろいろな問題もそうでありますが、結局隠された問題といいますか、きょうは分からないが、あすは新しいものを発見するということが無限に私は蔵されておると思うんです。
二、三日前の新聞の報道によっても分かるように、宇宙の旅行と申しますか、衛星船から外へ出て、そしてしばらくのあいだ船とともに飛んでおったというようなソビエトの報道がありましたが、ああいうようなことは夢にも考えられないことだった。
夢にも考えられないことが現に実現しつつあるわけなんです。
われわれの身辺に、きょうはこれが最善と思っておったことでも、考え方によれば、これはまだ最善でないんだと、まだほかに道があるかもしれないと、こういうふうに考えれば、道は無限にやっぱりある。
人類がこの世に存在する以上、日一日と新しいものを発見していくだろうということは、一応考えていいと思うんです。
まして経営のうえにおきましては、あるいは製造のうえにおきましては、いろいろ私はそうだと思う。
それはなぜかという一つの疑問といいますか質問といいますか、そういうものをみずからもてば、それは発見されていくと。
しかし、〝これはこんなものだろう、これでいいだろう〟ということで、みずから限界をつくってしまえば、一歩も進歩することができないだろうと。
進歩は無限であるというふうに考えてそれと取り組んでいけば、際限なく私は進歩していくと思うんです。
皆さんもいろいろおやりくださっていると思いますが、今までと同じことをやっておってはいけないということであります。
もう世界は非常に進歩が激しいのでありますから、絶えず新しい道、新しいやり方というものを考えて、そこに興味をもっていかないと、少しうまくいきますと、それでいいということになる。
新しいことを求める熱意が欠けてくるというようなきらいが人間の一面にありますから、これは無理からんことだと思いますけども、産業とかこういう仕事に携わっておる者は、常に新しいものを呼び起こして、呼び出して、そしてそれに取り組んでいかなければならないという感じがします。
〔一九六五〕
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