1 5Sの目指すところ
5Sは「当たり前のことを当たり前にやる」ことが大切です。個人レベルでなく、組織全体ができなければ 意味がありません。そこでポイントとなるのがル…ルづくり、「当たり前のことを当たり前にやる」ルールです。
5S を言葉で表現すると
5Sを実施する意味を表現する と、次のように表すことができま す。 「5Sの取組みは、組織体におけ るモノや情報および人を対象に、 整理・整頓・清掃。清潔。しっけ を全員参加で徹底する活動で、業 務の効率向上、ミス・事故防止、 スペースの有効活用などを実現す るための基盤整備を目的としたも のである。さらに、5S活動を通 じて管理監督者のマネジメントカ の向上と組織の活性化を目指すも のである」 5Sの意味としては、次のよう な点に重要なポイントがあります。
①5Sの対象はモノ、情報、人
5Sが対象とするのはモノ、情 報、人です。モノや情報の対象は 4S (整理・整頓。清掃。清潔)、 人の対象はしつけです。とくに、 モノに対して徹底した整理・整 頓。清掃を実行して成果につなげ るためには、人に対してのしつけ が重要になります。しつけが確立 しなければ5S活動は成功しな いといえるでしょう。 ②全員参加である 5Sは組織全体の運動としての 盛上がりが必要です。そのために 重要になることが「全員参加」と 「率先垂範」です。 率先垂範とは、各自が他の人の 模範となるような行動を自ら進ん で実行することです。とくに、管 理監督者や5Sり―ダーの率先 垂範がポイントです。これができ なければ、部下や他のメンバーは しらけてしまい、全員参加は期待 できません。 ③さまざまな改善の基盤整備 5Sは直接的なムダ排除や事故 防止の効果も期待できますが、さ まざまな改善の基盤づくりとして の位置付けであることを忘れては なりません。5Sが徹底できてい ない組織は、どのような改善に取 り組んでも5Sの不徹底さが障害 となり、期待される効果が実現で きません。 ④管理監督者のマネジメントカ 向上と組織の活性化を目指す 5Sを展開することにより、管 理監督者のマネジメントカの向上 と組織の活性化につなげることが できます。すなわち5Sには、改 善によるムダを削減する直接効果 の側面と、組織のマネジメントカ 向上を図る間接効果の両面があり ます。
5Sは当たり前のことを 当たり前に
5Sは組織全体で取り組み、 「5Sを活動にしていく」と効果 的です。そして5Sの活動とは、当たり前のことを当たり前に実施 することです。 では、「当たり前のことを当た り前に」とは、どういうことでし ょうか。これは一見簡単なようで すが、実際はたいへん難しいもの です。たとえば、「挨拶がきちん とできる」「使用したモノは必ず 元の位置に戻す」「時間を守る」 「約束したことを確実に果たす」 などはごく当たり前のことです。 しかし、これらを個人レベルでな く組織全体として、当たり前に実 行するのはかなり難しくなります。 なぜなら、当たり前のレベルが人 によって異なるからです。 そこで、ポイントになるのが 「当たり前のことをルールとして 明確化する」ことです。当たり前 のことは、言い換えると「決めら れたことを、決められたとおりに 実行すること」とも表現できます。 守るべきルールを当たり前にでき るために明確にすることが重要な ことなのです。


2 5Sの意味を知ろう
まずは「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「しつけ」それぞれの定義と内容を理解することからはじめましよう。 そうすると、5Sが単に職場をキレイにするだけではないことがわかってきます。
5Sとは、整理、整頓、清掃、 清潔、しつけというローマ字表記 の頭文字で表したものです。 5Sの取組みを効率的に進める には、整理、整頓、清掃、清潔、し つけのそれぞれのSを明確に分け て実施することが重要です。まず 整理を実行し、整理が完了した後 に整頓、次に清掃を徹底するとい うように、確実に進める活動が効 果的です。
まず、整理を徹底しよう
職場が乱雑で、どこから手をつ ければよいかわからない、このよ うな状態であれば、まず整理に絞 って活動します。整理とは「必要 なモノと不要なモノを分け、不要 なモノは捨てる」ことです。 ここで重要なのは、まず整理の 基準を作成して、その基準に従っ て不要なモノを捨てることにあり ます。「いつか使うこともあるだ ろうから保管しておこう」といっ た考え方を捨てて、思い切って捨 ててしまいましょう。 整理のコツは「迷ったら捨て る」です。これを徹底してやるこ とからはじめます。
整頓により 管理状態を確立する
整頓とは「必要なモノがすぐに 取り出せるように置き場所、置き 方を決め、表示を確実に行う」こ とです。整頓は、いつでも必要な ときに取り出せるように、モノを 管理状態において、その状態を保 つための方法です。そこで、置き 場所を設定し、置き方のルールを 決めて、そしてその表示を徹底す ることがポイントとなります。し たがって、職場の整頓レベルは、 モノの管理のレベルを表すことに なります。 整頓では「置き場所」「置き方」 「表示」を整頓の3要素と呼んで います。この3要素を明確にして、 確実に実行。徹底することが重要 なポイントです。
清掃とは点検なり
清掃とは「掃除をしてゴミ、汚 れのないキレイな状態にすると同 時に、細部まで点検すること」で す。この「細部まで点検する」と ころがミツです。 一般に、清掃とは「見た目をキ レイにするために掃除をするだ け」という印象を持っている人が 多いものです。医療機関にとって 見た目ももちろん大切ですが、さ らに清掃の積極的な意義を理解す ることが重要です。すなわち清掃 とは、「自分たちが使用している ものをキメ細かく管理して、常に 最高の状態を維持していく、守っ ていく」という意味があるのです。
清潔の意味
清潔とは「整理・整頓・清掃を 徹底して実行し、汚れのないキレ
イな状態を維持すること」です。 清潔では、汚れのないキレイな状 態が維持されるかどうかを、いか に管理するかがポイントとなりま す。 整理・整頓。清掃の3Sを管理 するために必要なのは「ルールづ くりと標準化」です。さらに、「目 で見てわかる管理体制」を確立す ることが必要となります。
しつけの意味
しつけとは「決められたことを、 決められたとおりに実行できるよ う習慣づけること」です。しつけ のポイントは、この「習慣づけ る」という点です。そして習慣づ けるためには、繰返し、繰返し実 行することです。ある行為を何度 も繰り返していると、それを実行 しなければ落ち着かない、さらに は、無意識に実行してしまう状態 にまでなります。このレベルまで 到達してはじめて、習慣づいたと いえるのです。

3 5Sは人づくりが大切
5Sの本質は、モノの環境整備だけではありません。5Sは人材育成のすばらしいツールです。 その点を理解しておかないと、単なるキレイな職場づくりに終始してしまいます。人づくりの観点が重要なのです。
「5Sはモノを対象にした環境整 備の手法である」と理解している 人が多いようです。確かにそのと おりなのですが、5Sの本質はモ ノの環境整備だけに留まるもので はありません。 5Sにはもっと重要な側面があ ります。それは人材育成の側面で あり、5Sを通じた人づくりの側 面です。この人づくりの観点こそ が、5Sを実践する意義としても つとも価値があります。
当たり前のことを当たり 前に実行できる人づくり
人づくりの意義としては、次の ような点を指摘できます。 第一は、「当たり前のことを当 たり前に実行できる」人づくりで す。「当たり前のことを当たり前 に」とは、実際の職場ではわかり にくい表現かもしれません。そこ で「決められたことを決められた とおりに実行する」と言い換える とわかりやすいでしよう。 そして、5Sの決められたルー ルが守られているかどうか、その 大部分は日で見てわかります。す なわち、5Sの取組みにより、決 められたことを決められたとおり に実行できているかどうかが日で 見てわかるのです。 仮に、当た噂前のことが実行で きていなければ、周囲からの指摘 を受けて修正されることが多くな ります。この点が当たり前のこと を当たり前に実行できる人づくり につながるのです。
「ムリだ発想」から「できる発想」ができる人材づくり
第二が、「ムリだ発想」から「で きる発想」に変わる人づくりです。 上司が部下に対して、よく「この ような点を改善できないか」と問 題提起することがあります。それ に対して「ムリです。できません」 と、いとも簡単に否定する人がい ます。筆者は、こうした人を「ム リだ発想」の人と呼んでいます。 このような発想では何も前に進み ません。 5Sの改善を進めた叩成果を出 すためには「ムリだ発想」ではな く「できる発想」で臨み、成果に つなげることが重要です。
今やるべきことを今やる ことのできる人材づくり
第三は、「今やるべきことを今や る」という姿勢の醸成です。5S では、使用した器具や備品は使い 終わったら必ず片づけることが基 本です。また後で使うからと、片 づけないまま放置するのは許され ません。「どうせまた汚れるから、 あとで掃除すればよい」という考 え方は認めないのです。 すなわち、使用後には必ず片づ けるという「けじめをつける」こ とが大切なのです。やりっばなし、出しっばなし、汚れたままといっ た状態を絶対に放置しない、これ が5Sの基本姿勢です。 この基本姿勢を「習慣として身 につける」ことがミスや事故の防 止に欠かせません。ミスや事故の 多くは、ダラダラとけじめのない 行動をしている場面で発生します。 こうした状況を避けるために有効 な習慣、それが「今やるべきこと を今やる習慣」なのです。

5Sは態度面の人材育成の 効果的ツール
5Sの実践を通じて、この3項 目の人材育成が期待できます。こ れらは何かの本を読んで、また、 研修などを受けて身につくもので もありません。5Sの実践を通じ て、実際に体験することによって はじめて習得できるのです。 この点が、5Sが人材育成のす ばらしいツールであり、人の態度 面の教育に有効に機能する教育手 段であるといえるでしょう。

4 5Sは業務を進める基本
5Sはさまざまな業務を進めるための基本であり、業務の基本はPDCAを確実に回すことです。 PDCAを回すごとに5Sが効果を発揮して、業務を確実に進めることができるようになります。
業務の基本はPDCAを確実に回すこと
5Sは、さまざまな業務を進め るための基本です。そこで、業務 を進める上で大切なことは何かに ついて考えてみましょう。 そこで留意すべきポイントは、 確実に目的を達成することです。 業務の目的とは安全・品質・納 期・効率であり、これらを達成す るために業務を確実に実践して、 サービスを提供される側の満足感 を引き出すことが求められます。 とくに医療現場では、安全が最 優先で求められます。こうした業 務の目的を確実に達成するための ポイントとは何でしょうか。業務 の目的を確実に把握して、実行の ための計画・準備を行い、実行段 階では実施状況をチェックしなが ら、計画とのズレがあればアクシ ョン・改善する、これはつまり、P D C A (P l a n ・D O ・C h e Ck ・ Action)を確実に回すことだ といえます。
業務の計画。準備段階と5S
この中でも、まずは業務の目的 を確実に把握して、実行のための 計画・準備をする段階が重要です。 これは確実な業務の達成には欠か せません。 5Sは、この事前準備の段階に 密接に関係しています。つまり、 準備を徹底する基本条件として、 職場の環境整備を充実させておか なければならないのです。 たとえば、業務に必要な情報、 器具・機材、関係メンバーとのコ ミュニヶlション、その他業務に 必要なモノを迅速に準備します。 こうした職場の環境整備には、5 Sの徹底が必須なのです。作業環 境が乱雑だと、準備の漏れや抜け が発生しがちです。その結果、業 務の間違いやミスにつながる可能 性が高まります。業務の準備にと って、職場の5Sを徹底すること が基本的な条件となっているので す。
業務の実施段階と5S
業務の実施段階で大切なポイン 卜は、マニュアルや手順書にした がって、ミスなく確実に進めるこ とです。その重点とは、すでに解 説したように業務を進めるけじめ を明確にして進めることです。手 順。けじめが曖昧だと、ミスを誘 発してしまいます。こうしたミス を排除するために5Sを徹底す るのです。 使用したものを片づける、汚れ たら必ず掃除をする、定期的に整 理するなどの行動を身に付ける取 組みが、けじめを意識して確実に 実行できることにつながります。は、業務が計画どおりに実施でき ているかをチェックし、ズレがあ れば迅速にアクション(改善)し ます。その際、上司から指摘され たチェック・アクションだけでは 不十分です。担当者自らが自分の 業務を自己チェックし、問題があ れば直ちに改善などのアクション につなげることが求められるので す。 しかも、このチェック・アクシ ョンという行動が習慣化され、常 に自主的に実施できることが大切 です。5S では、決められた基準 どおりに実施できているかを、自 己チェックや他者チェックを取り 入れて継続的に活動します。この チェック結果から、問題があれば 即改善する、これを継続的に展開 します。このことで、チェック・ アクションの習慣づけが実現でき るようになり、これが業務の実施 状況をチェックする習慣づけにつ ながります。

5 5Sは素直な姿勢で取り組もう
5Sで大切なのは「まずやってみる」「人の意見を聴く」という素直な姿勢です。 うまくいかなければやり直します。こうした試行錯誤によつて、5Sの中身がレベルアツプしてきます。
素直な姿勢とは
5Sの取組み方について説明し ましょう。5Sは素直な姿勢で取 り組むことが大切です。 では、その意味とは何でしょう か。素直な姿勢とは、「人の成長 には欠かせない」また「物事の改 善には欠かせない」姿勢です。他 人から自分の改善点を指摘された 場合、まずその指摘を受け止めて、 改善してみる行動のことです。も ちろん、その指摘事項はまったく 事実と異なる誹謗中傷ではありま せん。その指摘事項を実現するこ とにより、職場が改善できたり、 本人の成長につながる前向きな内 容です。すなわち、改善すべき事 柄を受け入れて行動してみる姿勢 を素直な姿勢だと位置づけていま す。
まずやってみるという素直 な姿勢
5Sに取り組むときの姿勢とし て重要なのは、まず実行してみる ことです。そして実行するために は、5Sをどのように展開するか について事前に考えておかなけれ ばなりません。そして、それを実 施することになります。 ところが、いざ行動に移してみ ると、事前のイメージとは異なる ことが多いものです。そうした場 合には、やり直しも必要です。何 度もやり直すことで、具体的なや り方が固まっていきます。 こうした試行錯誤を繰り返すこ とにより、5Sの中身がレベルア ップしていきます。そのために大 切なのが、まず実施してみるとい う姿勢なのです。
素直な姿勢が問題の発見に つながる
5Sが問題解決の取組みである ことはいうまでもありません。職 場環境の観点から問題を発見し、 解決する取組みです。 この問題発見には素直な姿勢が 必要です。人は業務に慣れてしま うと、なかなか問題を発見できな くなってしまいます。素直に現状 を見つめて、ミスを起こしやすい、 作業がやりにくい、必要以上に時 間がかかるなどの現象に気づく姿 勢を身につけましょう。 素直な姿勢で問題を発見するた めには、専門家の目線を捨てて、 素人の目線、あるいは新人職員の 目線で業務を見直してみましよう。 そして、素人の目線で見るため には、これまでの経験を忘れて、 新人の立場で見ることが必要です。
対象となる個所で仕事をす る人の意見を素直に聴く
5Sの改善は、対象となる個所 で仕事をする人の立場で考えまし ょう。その人の立場で具体的な方 法を検討。実施します。 そこで、もっとも重要になるのが 、 実 際 に 仕 事 を す る 人 の 意 見 を 聴くことです。たとえば、ナース ステーション内を改善するのなら ば、そこで働く看護師の意見を聴 くのは当然ですが、それだけでは 不十分です。そこを使用する医師 の意見にも耳を傾けてください。 使用頻度はやはリナースが圧倒的 に多いので、医師の意見まで気が 回らないケースも見かけますが、 これではよい5Sの取組みとはな りません。 とくに重要な点は、患者に対す る事故防止という視点です。これ は、5Sが目指すべき目的でもあ ります。したがって、患者の立場 から考えた5Sの改善が必要で す。ところが、実際に5Sを展開 してみると、医療機関の立場から 問題点や改善課題は出てきても、 患者の立場から問題を探る視点に 欠ける場合があります。素直な姿 勢で患者の立場から、問題を発見 する取組みが求められます。

6 瞬間の5Sではなく、習慣の5S
5Sでは、 一時的でなく継続して高いレベルを維持することが重要です。そのキーワードが「行動の習慣化」です。 自主的に、主体的に、納得して取り組むと、行動を習慣化することができるようになります。
5Sは一時的なレベルアップで はなく、継続して高いレベルを維 持することが重要です。しかし、 多くの医療機関は、短期的にはレ ベルが向上しても、長期的な観点 からみると、維持は難しいようで す。 継続的に5Sを維持したいので あれば、5Sの定着化を目指すこ とです。すなわち、瞬間的な5S ではなく、5Sを習慣にするとい う視点です。 それでは、5Sを習慣にするた めのポイントを説明しましよう。
行動を習慣にするには
行動が習慣となるためには、ど のようなことが必要でしょか。行 動を習慣にするためには繰返しの 取組みが重要です。人は何度も繰 返して行動していると、それがか なり面倒なことであっても、行動 自体が当たり前になってきます。 そして、行動しないことに対して 不自然さを感じるようになります。 ここまで到達すると、習慣づいた といえるでしょう。 大切なのは繰返しの行動です。 そして、さらに重要なのが繰返し の行動のやり方です。上司の注意 によって繰り返す、先輩に言われ たから繰り返すといった受け身の 行動では習慣になりません。行動 が習慣となり身につくためには、 受け身ではなく、自主的に行動し なければなりません。すなわち、 「他人から言われたから行動する」 のではなく、「自分が必要性を感 じるから行動する」「実施する意 義を感じるから行動する」のです。 この点がとても重要です。このよ うに主体性を持った行動を展開す ることにより、行動が習慣づくこ とになります。
自主的・主体的に行動するには
では、どうすれば自主的。主体 的に行動できるのでしょうか。こ の点が5Sを定着化させるために 押さえるべきキーポイントになり ます。 それは「納得」です。すなわち 5Sの必要性や意義について理解 し、なぜ5Sに取り組むのかを納 得していることが大切です。これ は5S への取組みだけではあり ません。何事も納得できるかどう かで、その行動力は大きく異なる ことになります。 では、納得して5Sに取り組む ための要因としては、どのような 点があげられるでしょうか。もち ろん、納得する要素は人により異 なるでしょう。そこでここでは、 共通すると思われる項目について 紹介しておきましょう。 ① 5S の重要性・必要性を 理解する 5Sの重要性・必要性を理解す ることが、納得するための出発点 になります。 一般的に、5Sという用語自体は理解していても、そ の本質的な意味。意義を理解して いる人は少ないようです。 5Sの本質が理解できると、納 得して5Sに取り組めるように なります。 ② 5Sの改善を実際に実施し、 その成果を実感する たとえ5Sの重要性・必要性を 理解していても、取組みに対する 納得までには至らない人も多いで しょう。そこで、5Sの改善を実 際に実践してみて、その成果を実 感することが大切です。実感は納 得につながります。 ③ 5Sは自分のためだけでなく、 他人のために実行する 5Sは自分のためでもあります が、その本質は他人のためにあり ます。医療備品などを使用後確実 に元に戻すのは、次に使う人が使 いやすくするためです。そして最 終的には、患者の皆さんの安全を 確保する、そのための取組みなの です。


7 成功の秘訣はチームを活かすこと
5S成功の秘訣はチームカを活用することです。方向づけ、シナリオ、役割分担、仕組みづくり、 行き詰った場合の対応方法を明確にすることで、チームは有効に機能するようになります。
5Sはチームを 有効活用すること
ここでは、5S の取組みを成功 させるための有効なポイントを説 明しましょう。それは、チームを 有効に活かす活動にすること、す なわちチームカを活用することで す。 チームカがさまざまな改善に有 効なのはいうまでもありませんが、 実際にうまく活用できているかと いうと、機能できていないケース が多いようです。そこでここでは、 5S の改善を効果的に展開するた めのチーム活用のポイントを説明 しましょう。
チームが有効に 機能するには
5S への改善活動がチームとし て有効に働くためには、いくつか のポイントを押さえておくことが 必要です。 ① 5Sに取り組むチームの 方向づけが明確になっている まずチームで取り組むために必 要なのは、取り組むべき方向が明 確になっていること、すなわちチ ームの方向づけができていること です。具体的には、職場の5Sビ ジョンと職場の5S目標を設定し ます。 職場の5Sビジョンとは、チー ムが目指すべき5Sのあるべき姿 を明確に表現したものです。また、 職場の5S目標とは、3ヵ月程度 の期間で5Sが到達すべき具体的 なゴールを示したものです。たと えば、「3ヵ月後には棚の上にはモ ノが置かれていない」「床にはモノ が直置きされていない」というよ うに、明確でわかりやすい水準を 示すことがポイントになります。 ②目指すべき方向を実現する シナリオが描かれている 目標が明確に設定されると、次 に必要なのは目標達成までのシナ リオ設定です。シナリオとは具体 的な行動計画ですから、チームの 活動内容を具体的に設定します。 その内容は、「どの場所を」「い つまでに」「どのようなイメージ に仕上げるか」「そのために必要 な備品は何か」「その時間はどの ようにしてつくるか」などです。 ③実施すべき課題の役割分担が 明確になっている シナリオの中でも、人の役割分 担はとくに重要です。誰が、どこ を担当するかがポイントです。こ の役割分担が曖味だと、なかなか 5Sの改善は進みません。人が具 体的に行動を起こして結果を出す ためには、行動すべき責任を明確 にすることが大切です。 ④組織的な展開ができる 仕組みづくりができている 組織的に展開できる仕組みとし ては、職場の中に小さなチーム (2〜5人程度)を編成して、改善に取り組む受け皿を構築すること があげられます。 改善は二人寄れば文殊の知恵で すcl人ではうまくいかなくても、 チームのメンバーの1人ひとりが 違った視点で考え、意見を出し合 うことによって、成果につながり やすくなります。とくに、5Sの 改善はチームでの取組みが有効で す。 ⑤行き詰まった場合の 対応方法が確立できている 5Sの改善は、常にうまく進ん でいくわけではありません。順調 に進む場合はいいのですが、うま く進まないケースもあります。そ のようなときにどう対応するかが 重要なポイントになります。 たとえば、高度な判断を要する 場合などは、管理職に判断を仰ぎ ます。このような場面での対処方 法をルール化して取り組みます。 そして、このシナリオは活動計 画書として見える化されます。

8 5Sの苦手な人を巻き込むには
組織的に5Sに取り組むためのポイントは、苦手な人をどうやって巻き込むかです。 苦手意識を解消して「自分もできる」と思つてもらえるように働きかけるのが肝要です。
5Sに対して 苦手意識のある人とは
5Sを組織的に展開していくと、 関心を持って積極的に取り組む人 が出てくるものです。こうした人 は、潜在的に興味や関心を持って いるようで、5S活動がきっかけ となって、より積極的な姿勢が醸 成されていきます。こうしたタイ プの人は、5Sを展開するにはた いへん貴重な存在です。 反対に、5S活動に対して消極 的な人もいます。ときには消極的 だけでなく、積極的な反対勢力に なることもあります。そのような 人の共通した特徴の1つに、5S のような取組みが苦手だというこ とが指摘できます。苦手意識を持 つ人をどうやって5Sに巻き込ん でいくか、この点が重要な課題と いえ士二9。 実は、5Sを組織的に展開する 重要なポイントは、苦手な人を巻 き込んで、苦手意識を解消してい くことにあります。苦手な人が当 たり前のように活動できるように することが大切なのです。 では、5Sに苦手意識のある人 に対するアプローチの仕方につい て説明しましょう。
小さなことでの成功体験を
まずは、本人自身が5Sをムリ にでも実行して、成功体験を得る ことです。これはもっとも効果が 期待できます。苦手な人の多くは、 自分で苦手だと思い込んでいたり、 決めつけているものです。その結 果、背を向ける状況につながって いるのです。 こうした人に対しては、まず自 分の周りの5S (とくに整理)を強 制的にでもやらせることです。実 際にやってみると、業務がやりや すくなるのが理解できます。それ が「自分もやればできる」という 自党につながり、こうした小さな 成功体験が苦手意識の克服につな がるのです。
5sルールの作成メンバーに参画
「5Sは苦手だから」と積極的で ない人は、ルールも守らない人が 多いようです。こうした場合、後 ろ向きな人を、5Sルールの作成 メンバーとして改善チームに参画 させることも効果的です。自らル ールを作成することで当事者意識 が醸成され、ルールを守る意識が 向上します。
5Sの得意な人と ペアを組む
5Sの得手・不得手は、人によ って差があります。そこで、苦手 な人と得意な人がペアとなって改 善に取り組むと効果的です。具体 的な行動を自分の目で見ることに より、苦手意識のある人もさまざ まなことを感じられるようになりま す c ただし、ここで大切なのは「5S や自分自身の行動に対して素直な 姿勢を忘れない」ということです。 素直な姿勢でしっかりと学習しよ うとする意識・態度が大切です。
5Sり―ダーを体験する
5Sの苦手な人に職場の5S リーダーを担当してもらうことも 5S意識の向上には効果的です。 ルール作成のメンバーに参画する 以上に、5S実践への当事者意識 が向上します。 ただし、少々リスクがあること も事実です。それは、改善意識の ない人が5Sリーダーを担当する と、メンバー全員が5Sリーダー の影響を受けて、職場全体の5S の進行が妨げられるという結果に つながる可能性があるからです。 この点は、よく人を見て判断しな ければならないところでしょう。

9 上司をうまく動かして結果を出すには
職場がどれだけ積極的でも、上司の協力がなければ成果にはつながりません。そこで、5Sビジョンを 共有してコミュニケーションを円滑にし、上司が率先垂範してくれるように働きかけます。
5Sが進まない職場の共通する 要因の1つとして、上司の関わり 方があげられます。5Sリーダ! 自身が積極的に改善しようと取り 組んでも、上司の協力が得られな くては成果にはつながりません。 こうした状況を克服するには、ど うしたらいいのでしょうか。
上司と職場の5Sビジョン (あるべき姿)を共有化する
「職場の5Sレベルをどのような 状態にしたいのか」という上司の 5Sビジョンを示してもらい、そ のビジョンを5Sり―ダーが理解 することから始めなければなりま せん。5Sビジョンをベースに、 相互理解を深めることが大切なの です。そして、この5Sビジョン の実現するために上司と5Sリー ダーが相互に協力して取り組むこ とが、5Sのレベルアップには必 須要件だといえます。 もし、上司が具体的な5Sビジ ョンを持っていなかったり、描け ていない場合は、ビジョンの作成 を上司に働きかけてください。難 しいことかもしれませんが、5S の成功には不可欠です。
5Sビジョン実現のための 役割の明確化
5Sビジョン実現のためには、 上司と5Sリーダーの果たすべき 役割分担を明確にして、相互に確 認し合っておきましょう。役割分 担は、相互の連携を強化すること につながります。具体的な役割分 担は、各職場によって、また上司 や5Sリーダーの個性によっても 変わってきますが、 一般的な役割 について参考までに解説しておき ましょう。 上司(部長・課長)の役割は、基 本的に職場の5Sの方向を明確に し、それを浸透させ、職場メンバ ーを動機づけることです。とくに 動機づけの役割は大きくなります。 それに対して、5Sリーダーの 役割は、具体的な5Sの課題を実 践するための計画策定と実行に向 けてのしくみづくりと指導です。 もちろん、計画についての進捗状 況などは上司と協力してフォロー するようにします。
上司との コミュニヶlションの徹底
いうまでもなく、上司と5Sリ ーダーとのコミュニケーションが 重要です。中でも上司への報連相 は、上司と部下との信頼関係を構 築するうえでもっとも重要です。 日常の報連相の徹底によって部 下である5Sり―ダーヘの信頼が 高まり、信頼関係が深まります。 こうして、より部下の意見を上司 が取り入れてさまざまな仕事を任 せてくれるようになります。これ は部下の意見を聴こうという意識 が高まった証拠であり、結果とし て、部下の意見が上司を動かすことにつながります。
上司の率先垂範をお願いする
職場の上司が率先垂範しなけれ ば、5Sは絶対に成功しません。 これはもっとも基本的なことです が、非常に重要です。ここでいう 上司とは部。課長です。部。課長 が5Sを自ら実践できないと、周 りのメンバ!は「5Sは実行しな くてもいい」と勝手な判断をして しまいます。 5Sは日常業務以外で取り組む 活動ですから、多くのメンバーが 「面倒だ、自分の業務が忙しい、時 間がない」と考えがちです。その ような人からすると、「上司も5S に積極的でないのだから、自分も やらなくていい」と思いがちです。 こうした状況を防ぐためにも、上 司に率先垂範で5Sを実行しても らうよう、働きかけてほしいので す。

決めたことを守らない人へ
決められたルールも、守らなければ意味がありません。守らなかった人には、それによるデメリットを知らせ、 守られなかったという事実をフイードバツクすることで、決めたことを守る体制ができてきます。
決めたことを決められたとおり に実行できる人を育てるのが5S の取組みでもあります。その意味 からも「決めたことを守らない人 をいかにしてなくすか」が5Sの 重要な課題だといえます。 しかし、実際に5Sに取り組ん でみるとわかりますが、決めたこ とを守らない人はどの組織にもい るものです。こうした人にどう対 処すればよいかをここでは解説し ましょう。
なぜ守らないのかという 理由を知る
まずは、決めごとを守らない人 の現状を把握することから始めま す。なぜ、守らないのかがわかれ ば、その理由に対する対応が変わ ってきます。 守らない理由を大別すると、 ・決められたルールがない 。決められたルールを知らない 。決められたルールを守れない 。決められたルールを守らない の4つの項目になります。最初の 3項目は組織の責任ですから、組 織としての対応を改善しなければ なりません。しかし、最後の4つ めの理由は決められたルールを守 らない本人の責任です。これは上 司などによる「しつけ」の行動が 求められるでしょう。 ここからは、4項目めの「決め られたルールを守らない」人に対 して守らせるための対応策につい て解説することにしましょう。
守らなかったとことのデメリットを知らせる
決められたルールを守らないと 具体的にどのようなデメリットが 発生するかについて理解させるこ とが大切です。 ルールを守らない人の特徴とし て、自分中心に物事を考える傾向 があり、他の人の目線で物事を見 れない人が多いようです。そこで、 自分自身がルールを守らなかった ことが他のメンバーにどのような 不便を与えるかという事実を教え ることが重要です。 たとえば、使用した医療器材を 元の位置の戻さないと、次に使用 する人の探すムダを引き起こしま す。場合によっては見つからず、 代替え品を使用せざるを得ないこ とも起こります。そうなると、医 療事故が発生するリスクも高まり ます。 このように、ルールを守らない ことによる他のメンバーヘの影響 を考えさせ、感じさせる指導が大 切です。
守れられていない事実をフィードバック
また、守られていなければ、そ の事実を具体的に本人にフィード バックすることが、指導のための 基本です。問題は、どのようにして本人に事実をフィードバックす るかです。現実的にすべての事象 をカバーすることは困難ですが、 やはり守られていない事実があれ ば、その場で問題現象(たとえば、 汚したままにしている現場)を写 真などに撮影し、その事実を見せ ることです。 守られていない事実の確認方法 としては、相互にチェックし合う ようなしくみが効果的です。たと えば、引出しの中の確認をチェッ クする人を決めて、その結果を職 場メンバーにフィードバツクする ことも効果的です。このように事 実を相互にフィードバックするこ とによって、事実を理解し合うの です。 さらに、自分自身で自分の行動 のチェックをして、自分自身にフ ィードバックするようなアプロー チも効果的です。自分自身の行動 を自己チェックし、自分の行動を 振り返ることが自分の行動改善の 基本になります。

共通ルールの設定で障害を乗り越える
医療の現場は専門家の集まりなので、共通のルールをつくりにくいという特徴があります。 そこで推進委員会などの全体組織で共通ルールを設定し、組織全体で守る体制を築いていきます。
医療機関における5S実施の障害
実際に医療機関で5Sの指導を している立場から、推進の障害に なっていることについて解説しま す。それはひと言でいうと、医療 機関の特殊性にあります。 医療機関は、医師、看護師、薬 剤師、臨床検査技師、放射線技師、 理学療法士、栄養士というように、 「師」「士」などの公的な資格を持 った専門家の集団です。高度な医 療を提供するために必要な専門知 識・技術を持った人たちの組織で す。これは医療行為。医療サービ スからすれば当然であり、重要な ことです。ところが、専門家集団 であるがために5S推進では障害 にぶつかるのです。 それは専門家集団であるがゆえ、 他の職場(専門家集団)に対して意 見を言いにくいという点です。そ れが5Sを組織的に展開する場合 に、相互のコミュニヶlションが 取りにくい、職場相互に関係する ような問題解決が難しいという事 象にぶつかるのです。その結果、 組織全体の共通のルールを確立し にくいということになります。
共通ルールで専門の 壁を超える
こうした専門家の壁を乗り越え る1つの手段として、5Sに関す る共通ルールの構築というアプロ ―チがあります。これは5Sを成 功させる重要なポイントです。 組織の共通ルールは、医療機関 に限らずどの組織においても必須 です。組織全体の共通ルールが基 本となって、複数の職場間にまた がる問題の解決に効果を発揮しま す。また、このルールが職員のし つけなどにつながってきます。 5Sでは、職員全員が当たり前 のことを当たり前に実施できるこ とが求められます。そこで「当た り前とは何か」を共通ルールとし て明確にすることが大切です。 共通ルールが設定されると、職 員への指導が可能になります。仮 に、決められた共通ルールがなか つたとしたら、職員の指導の徹底 には難しい場面がかなり出てきま す。
共通ルールの設定方法
組織の共通ルールをつくるため に、5S推進委員会を設置して具 体的に検討します。委員会は各職 場の科長・課長・師長などでメン バーを構成することになります。 そこで、自職場の立場を乗り越え たところで発言できる人を選定す ることがポイントです。共通ルー ルはあくまでも組織全体に関わる ルールですから、大まかで基本的 なものです。各職場は、この共通 ルールを元に、職場の5Sを徹底 するためのさらに具体的なルール を設定することになります。
「師」や「士」の壁も 共通ルールで
共通ルールの設定は、医療機関 特有のもう1つの課題解決につな げたいところです。「師」「士」の 資格が、5Sのような基本行動の 徹底にジャマをしているように感 じます。 個人の性格という視点もあるの で、断言できませんが、 一般論で いうと、取得が難しい高度な資格 を有している人ほど「基本的な 5S活動は自分たちがやることで はない、それは掃除を担当する会 社がやることだ」といった雰囲気 を感じます。 しかし、それは5Sの理念から は外れています。5Sは組織全体 での全員参加を基本とします。全 員が共通ルールを守る組織づくり を目指しています。すなわち、当 たり前のことを当たり前に実行で きる組織づくりを目指しているの です。


5Sセンスのある人を活かす
活動を進めていると、必ず5Sセンスのある人が出てきます。重要なのは、そのセンスを認め、 組織全体に広げていくことです。他部署に対してアドバイザーとして活躍してもらうと、全体の底上げができます。
5S への取組みが、5Sセンス のある人の発掘につながることは よくあります。人は、思いもよら ない潜在能力を発揮することがあ るもので、5Sを進めていると、 そのような場面を頻繁に見かける ことができます。 そこで重要なのは、こうした潜 在的な能力を引き出すことです。 潜在的な能力は、引き出されては じめて価値を発揮します。このよ うに、5Sセンスを潜在的に持っ ている人の活かし方について解説 しましよう。
センスのある人の センスを引き出す
5S のセンスがもともと顕在化 している人は、即、活躍する場を 与えられるのでいいのですが、潜 在化している人もいます。実際に 5Sに取り組んでみてはじめて、 そのセンスが顕在化する人も多い のです。人によっては、本人自身 も自党しておらず、5Sを始めて やっと、その価値に気づいて、党 醒する人もいます。 重要なのは、いかに潜在化して いる人の能力を見い出すかです。 やはりこれは「実際に任せて、や らせてみる」ことが基本です。 その場合注意が必要なのは、5 Sに取り組む目標水準を高いとこ ろに設定するということです。す なわち、自分のイメージよりも高 いレベルを期待されると、さらに 高い次元を探ることになります。 この行為によって、潜在化してい る5Sセンスを引き出す可能性が 高まるのです。
5Sのセンスを認めよう
5Sセンスの高い人に対して、 そのセンスや能力を周囲が認める ことが重要です。 一般に、5Sの センスや能力は、通常の業務能力 とは違って、あまり評価されない 傾向にあります。5Sをがんばっ ても評価されず、結果としてやる 気につながらなくなってしまうの です。 そこで、よいところ、がんばっ たところを見つけて、積極的に評 価するよう心掛けます。評価され ることで、5Sへのやる気が引き 出され、5Sセンスを顕在化させ ることができるのです。
5Sのセンスのよい事例を他の箇所にも活かそう
5Sセンスのよい人の能力を組 織的に活用して成功に導くことが 有効です。センスのよい事例をピ ツクアツプして、それを他の職場 にも共有化すると、組織的な底上 げに効果的です。 5Sは言葉の理解はもちろんで すが、自分の目で実際の事例を見 ると、とても有効です。その場合、 他の医療機関も悪くないのですが、 つい自分の職場と比べてしまい 「参考にならない」という意識が働くこともあります。その意味で、 自分の医療機関の事例は、説得力 が高くなる場合も多いのです。
5Sのセンスを他部署の アドバイザーとして 活躍してもらう
積極的に5Sセンスを活用して いる医療機関があります。今回事 例も提供いただいている東京医科 歯科大学・歯学部附属病院では、 5Sセンスのよい人を数人ピック アップして、進捗が悪い職場にア ドバイスするアドバイザーとして 位置づけ、底上げのための取組み をしています。 アドバイザーも、アドバイスし たことの評価もされるため指導に 力が入るようです。同じ医療機関 にいるのですから、アドバイスは その職場にマッチしています。よ く業務や組織を熟知した立場から のアドバイスは本当に有効です。 また、他の職場へのアドバイス をすることは、アドバイザー自身 のスキルアップにもつながります。


5Sを楽しんでいますか?
せつかく5Sをやるのなら、楽しんでやりましょう。創意工夫をして成功すれば満足感が得られます。 また、競争するなどのゲーム感覚を取り入れることも、楽しんで5Sをするために有効です。
5Sを楽しむことが重要
5Sは、楽しみながら取り組む ことが成功の基本条件です。しか し実際には、楽しむどころか「い やいや5S」の姿勢で取り組んで いる医療機関を見かけます。いや いや5Sのスタンスでは、成功は おぼつきません。いやいや5Sは 「上司がうるさく言うからやる」 「5Sラウンドがあるから仕方な くやる」といった受け身の姿勢に なってしまいます。結果的に、長 続きもしないし、成果にはつなが りません。5Sは前向きに、自ら 積極的に取り組むことが求められ るのです。 自ら積極的に取り組むためには 「5Sの取組みが楽しい」ことが重 要な要素となるでしょう。 では、どのようにして取り組む と、楽しさを引き出すことができ るのでしょうか。ここでは、5S を楽しんで取り組むための方策を 解説します。
創意工夫を取り入れよう
人は、改善に取り組んだ結果と して成果が出たときに、楽しいと いう感情を持つものです。5S の 改善では、よく市販のケースや容 器を使うことがあります。とくに 100円ショップの商品などは有 効に活用できます。もちろん、そ うした市販備品の活用もいいので すが、それよりもっと5Sが楽し く、やる気につながる方法があり ます。それは、不要品などを有効 活用するような改善です。本来捨 ててしまうような廃棄品を活かし て有効活用できたときには、満足 度は非常に高まるようです。 自分独自の改善もまた、満足感 を得ることができます。5Sはあ る程度ルールを設定するので制約 もありますが、自由に独創的に考 えられる分野もあります。たとえ ば、表示のやり方などはルールが 設定されますが、容器の形やモノ の置き方などは自由に自分で決め られます。そうしたところを探し 出して、自分のアイデアを盛り込 んだ改善にすることがより楽しく 取り組むためのポイントになりま す。
評価をして競争を取り入れる
5Sの取組みに楽しさを盛り込 むもう1つの要素は「競争」です。 人はゲーム感党に楽しさを感じる ものです。結果を評価して5Sレ ベルにランキングを付けることも、 5S活動に楽しさを感じてもらう 1つの方法です。とくに評価を定 量的に示し、ランキングすること がポイントです。 ただ、問題は誰が評価するかで す。ここはなかなか難しいところ です。医療機関内の職員が評価す ることは、現実的に難しいでしょ う。ここは外部の専門家などから評価されるような手段を講じる必 要があります。良い成果を出した 職場に対して表彰するような取組 みをしている医療機関が多いよう です。表彰を受けることでよりや る気につながり、楽しい5Sにな っているようです。 筆者は数多くの医療機関の評価 (ラウンドして点数を付ける)を 実施してきました。多くの職場は、 評価を受けることで改善すべき課 題が見つかり、その課題に取り組 んで、その結果として高い評価を 受けるという過程で、改善の達成 感を感じています。 実際に5Sの改善に取り組ん で評価ランクが上がってくると、 その職場の雰囲気がよくなります。 そして、5Sの取組みによって職 場が活性化してくることが実感で きるようになります。 職場の活性化を実感することに より、さらに活動に楽しさが加わ ることになるのです。


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