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5ワンランク上の超・段取り術

5ワンランク上の超・段取り術

01仕事の全体像を把握する「ビジネスシステム型段取りチャート」02バリューに直結する最も重要な部分に注力する03仕事全体の「質×スピード」を改善する04仕事にブレイクスルーを起こす

この章では、さらにワンランク上の段取りができるようになるための方法をお話しします。

どうしたらもっと仕事の質とスピードを上げられるか。

私の見る限り、仕事で活躍する人には、共通する段取りのやり方があります。

彼らは、意識的あるいは無意識的に自分の仕事の全体像を可視化できています。

そのとき、仕事のできる人は段取りを3つの視点からとらえ、次のような段階を踏みます。

これを「ビジネスシステム型」段取りと呼んでいます。

①流れ→バリューを生み出すための仕事全体の流れを意識する②括り→バリューを生み出すために必要な括り(ステップ)に分解する③要素→括り(ステップ)の中で行う作業をピックアップする

実際に例を見てみましょう。

たとえば、上司に「自動車業界の動向について調査をするように」と言われた場合、調査の全体像がわかっていれば、次ページ図のような「ビジネスシステム型」段取りチャート(以下、「段取りチャート」)にまとめることができます。

ビジネスシステムを使って、自分の仕事を段取るのです。

「調査」という仕事の内容を、この1枚の段取りチャートに表すことで、確認すべきことや自分がやるべきこと、人にお願いできることなどが明確になり、結果として最も効率よく仕事を進めることができるようになります。

この段取りチャートのつくり方は、大きく次の3段階に分けられます。

①生み出すべきバリューを明確にする(図の例では、自動車業界の成功パターンを見つける)②そのバリューを生み出す流れを考え、流れをステップごとに分解する(図の例では、「目的の確認」→「アウトプットイメージづくり」→「仮説の設定」→「調査実施」→「アウトプット作成」)③分解したステップごとに作業をリストアップするこのチャートは慣れてくれば頭の中でもつくれるようにはなりますが、まずは実際に前ページ図の「段取りチャート」の例を参考にしながら、紙に書いて試行錯誤することを強くおすすめします。

実際に紙に書き出してみて、モレがないか、作業と各項目は整合しているかなどを自己チェックします。

最後に、時間のあるときに先輩や上司に見てもらい、チェックしてもらえば完璧でしょう。

動く前に全体像を把握する「段取りチャート」は、全体と細部を把握する要となる1枚です。

これを常にチェックすれば、自分がどこの作業をしているのか、どこで止まっているのか、あとどのくらいの作業があるのかなどを、随時確認することができます。

また、上司や関係者とも、「段取りチャート」を共有しながら作業を進めることで、「現在地」を確認することができるのです。

仕事を頼まれたら、すぐに動くのではなく、まずは自分の仕事の全体像を1枚の段取りチャートにまとめてください。

それによって段取り自体が格段にスピードアップすることがわかるでしょう。

さらに、自分のいくつかの仕事についても段取りチャートを作成してみてください。

きっと今まで見えなかった仕事の改善のヒントが、たくさん見えてくると思います。

段取りチャートを描けたら、さらに次の3つのことを考えていきましょう。

①バリューに直結する最も重要な部分に注力する②仕事全体の「質×スピード」を改善する③仕事にブレイクスルーを起こす事項からは、それぞれについて具体例を交えながら、お話ししていきます。

段取りチャートを描いたあとにすべきことの1つめは、段取りチャートの中で最もバリューを発揮できそうな分野を見極め、その部分に集中してスキルを磨き、成果を上げることです。

たとえば、あなたが営業部門にいるとして、自部門の営業活動を次ページのような段取りチャートに表したとしましょう。

この中で「成果に直結する最もバリューが高そうな部分はどこか」を考えるのです。

それはビジネスチャンスを見つけ出す「顧客ニーズの把握」かもしれませんし、契約を決める「商談・クロージング」かもしれません。

顧客の離脱を防ぐ「フォローアップ」の可能性もあります。

これは、商品の特性やビジネス環境、部内にそれぞれのプロセスが得意な営業担当者がどれくらいいるかなどによって変わってくるでしょう。

仮に、まわりの営業担当者の商談成功率があまり高くなく、自分はもっと商談の成功率を高められる、と判断した場合、バリューを「商談・クロージング」に設定するかもしれません。

そうしたら商談やクロージングの勉強・練習をし、その部分の経験を多く積んでスキルを伸ばすことに集中するのです。

それによって、商談・クロージングが得意となり、他の同僚よりも高い確率で契約が取れるようになったとしましょう。

この場合、資料づくりや電話でのアポ取りなどの業務までをあなた1人がやるよりも、誰かと分業して、営業現場以外の業務をその人にアウトソーシングしてしまい、あなたは現場での業務に集中するほうが全体の効率ははるかに上がることになります。

あなたの価値が10倍になる!数字で考えてみましょう。

他の営業担当者の現場での成功率が20%、あなたの成功率が60%として、1人の営業担当者は、アポ取りや資料づくりもしながら、1カ月で100件のお客様を回れるとします。

あなたが1人ですべてをこなすとすると、契約できる人数は100人×60%で、60名。

他の営業担当者は20名です。

ところが、現場以外の業務をもう1人の営業担当者に任せ、あなたが現場の業務をすべてやれば、1カ月で2名分の200件のお客様を回ることができ、2名の営業担当で120件の契約が取れることになるのです。

さらに、あなたが現場でやっていることを、作業ごとに他の営業マンに教育できるようにすれば、他の営業担当者のバリューも高めることができるでしょう。

あなたの成功率60%ほどではなくても、普通の営業担当者の20%の成功確率を、もし40%に高めることができれば、営業担当者が何人いようとも全体の効率を2倍に高めることができたといえるのです。

そうであれば、あなたは自分の価値を10倍以上に高めたと言えますし、成果も見えてくるのではないでしょうか。

作業を2つに分け、最も重要な領域に集中する自分の価値を高め、全体の仕事の効率を上げるために仕事の全体像を把握して、バリューに直結する最も重要な領域を知ることが大切です。

それぞれのプロセス・作業を次の2つの分野に分けてみてください。

①誰にでもできる分野→他の人に任せる②バリューに直結する最も重要な分野→100%注力するもちろん、特に若いうちは自分の仕事の幅を広げることも大切ですから、どの分野にも積極的に挑戦すべきです。

しかし、ある程度仕事に慣れてきたら、他の人に任せて自分はバリューに直結する最も重要な分野に集中するようにしましょう。

前項で例として挙げた自動車業界の動向調査の仕事で、最もバリューのある作業を「調査結果の分析」と考え、そのスキルを高めていたとします。

すると調査方法まで決めてしまえば、あとは手分けして調査を実施するとか、アウトプットのフォーマットが決まっていれば手書きの分析結果を渡して得意な人に書いてもらうといったアウトソーシングの方法が考えられます。

あなたが、調査そのものは他の人に任せ、空いた時間でその調査結果を使ってより深い分析をすることに注力すれば、「調査」という仕事全体のクオリティーを高めることができるのです。

段取りチャートを描いたあとにすべきことの2つめは、全体の割合から見て最も重要な部分の仕事のスピードアップと質の向上を図ることです。

全体像をきちんと押さえていれば、世の中でよく紹介されている仕事のスピードアップ術に惑わされなくなります。

たとえば、次のような仕事のテクニックを聞いたことはないでしょうか?・マウスを使わずにキーボードだけで資料をつくり、スピードアップを図る・エクセルのショートカットキーやマクロを組むことを覚えて、作業のスピードアップを図る・調査のための情報ソース(情報の出所、たとえば業界のキーマンや業界紙など)をいくつかつくっておくこれらはTips=ティップス(日本語で言うと「ちょっとしたコツ」といったところでしょうか)と呼ばれます。

たしかにTips=ティップスを知っておくことで仕事のスピードを上げることはできますが、それらは一つひとつの作業のスピードを速めるものでしかありません。

いわば小手先のテクニックなのです。

たしかにテクニックは大事ですが、全体像をとらえたうえで最も効果的なテクニックを使うことで、その威力は最大化されます。

全体の100分の1にすぎない作業をいくら速くやったとしても、全体の時間はほとんど短縮されません。

また、最初の方向性が間違っていたら、そもそも途中の作業を速くやること自体、意味がなくなってしまいます(早く間違いに気づくかもしれませんが……)。

だからこそ、まずは全体像を可視化し、次の2つを洗い出すことが大切です。

・ボトルネック(延びてしまうと、全体にかかる時間も延びてしまう作業)・工数の割合の多い作業これらを洗い出したうえで、それらの作業のスピードを上げたり、ひな型を用意したりするほか、時間を短縮するために投資(スキルアップを図る、機器・ソフトウェアをそろえる、アウトソーシングするなど)すべきかどうか、といったことを考えてほしいのです。

先ほど例に挙げた営業活動の段取りチャートで言えば、たとえば、「提案資料、見積書作成」に時間がかかり、完成するまでプレゼンテーションができないという場合、この作業がボトルネックに該当します。

その場合、「提案資料、見積書作成」については、ひな型や作成マニュアルを用意して標準化を図ったり、過去に作成した提案資料をストックしておいて類似案件については流用できるようにしたり、提案書を作成する専門チームをつくったり、といった改善が考えられます。

そうすれば、結果として全体の質やスピードを上げることにつながるのです。

「部分」にこだわるより「全体」の改善を優先するさらに、全体像を押さえておけば、作業に優先順位をつけたり、作業そのものをなくしたり、組み合わせたり、アウトソーシングすることによって、より効率的に作業を進められる戦略を立てることが可能になります。

単にひとつの作業をスピードアップするよりも、仕事の全体を眺めながら、どこに手をつければより仕事のスピードやクオリティーを上げられるかを考えたほうが、よほど効率がいいでしょう。

たとえば、先ほどの自動車業界の「調査」のフローを改善するならば、次のような選択肢が考えられます。

・調査目的を確認し、似たような状況のレポートが世の中にすでにあれば、ほとんどの作業を省略できる可能性がある・すでに類似の調査をしたような先輩を探し、「どこが大変だったか」「押さえるべきポイントは何か」といったことを聞き出す(できれば、その際のアウトプットを入手し、参考にする。

ただし、結果には引きずられないように注意すること)・上司がすでに仮説をもっているのであれば、最初の段階でそれを聞き出すことによって(もちろん、その仮説に引きずられないよう注意が必要ですが)、調査内容を絞り込むことができるかもしれないこのように、仕事全体の改善を図り、仕事のスピードやクオリティーを劇的に高めることも可能になってくるのです。

段取りチャートを描いたあとにすべきことの3つめは、仕事にブレイクスルーを起こすことです。

ブレイクスルーとは、今までなかったような発想で仕事を劇的に改善してしまうこと。

いわば仕事の革命です。

例としては、今まで店舗でしか販売していなかったものをウェブでも販売したり(住宅や車など。

最近はお坊さんもネットで予約できる時代です)、それまで売れると思われていなかったものを販売したり(お茶や水、空気など)といったことが挙げられます。

先ほど紹介した自動車業界の「調査」のやり方についても、自社だけでなく大学と協力して実施する、本部や各国の支店を巻き込む、他社とジョイントして実施するなど、発想を変えることで仕事そのものを変えることも可能です。

異なる業界、趣味の世界が大きなヒントになるブレイクスルーは、方法論化することがむずかしいのですが、異業種や趣味から出てくるケースが多くあります。

なぜなら、その業界の常識の範囲では、その枠組みを壊すような発想は生まれにくいからです。

「まったくの異業種の考え方が、その業界の常識を壊す」ということも実はよくあります。

たとえば、日本伝統の「華道」。

華道は家元制であり、いくつもの流派があります。

お弟子さんは、好きな流派・家元に弟子入りし、技術を磨いていくことで級や免状をもらえます。

技術が向上していくと「師範代」となり、他の生徒さんを教えることになり、さらに技術や人格も高まっていると家元が判断すれば、奥義を伝えられ、他の場所で自分の教室を開けるようになるでしょう。

家元も自分の流派を1人だけで教えていくより、はるかに効率よく広げることができます。

趣味として華道を習っていて、なおかつ華道のしくみに詳しく、家元制のことがよくわかっている人ならば、たとえば、エステやネイルサロン、カウンセリング、セミナーなどの業務に家元制度のようなしくみを導入することも可能でしょう(実際に「家元制」のようなしくみを取り入れて、ブレイクスルーを果たした業界は数多くあります)。

ほかにも「マンガ」は、以前は1人で描くのが当たり前でしたが、最近は映画業界からヒントを得て、映画をつくるようにプロデューサー、脚本、作画を分担するようなケースが増えています。

ストーリーはいいけれど絵が苦手、逆に絵はうまいけれどストーリーが下手、というマンガ家は売れる見込みが低いと思われますが、プロデューサーがマンガに取り上げる題材を指示して、この2人を組ませたとすると、ヒットコンテンツを生み出す確率は上がるでしょう。

異業種や趣味の世界からヒントを得て、仕事そのものに革命を起こしてしまう例が増えています。

そのためにも仕事一辺倒ではなく、好奇心を強くもち、アンテナを広く張って、いろいろなことに取り組んでみてください。

いわゆる「仕事バカ」「専門バカ」という状態に陥らないよう気をつけましょう。

超一流のビジネスパーソンは、幅広い趣味をもっていたり、まったくの異業種の人とつながったりしているものだからです。

次の章では、さらに仕事の質を高める「『五感』を研ぎ澄ます習慣」についてお伝えしたいと思います。

 

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