
上司や取引先との雑談は、他の雑談よりもずっと気を使うという人が多いでしょう。何を話せばいいかわからない、失礼があっちゃいけない。
完全な無駄話もよくないだろうか、かといって、変に仕事の話もできない。これでは八方ふさがりです。
ですが、ビジネスにおける雑談も、その他の雑談と基本的な仕組みは変わりません。
会話のラリーを続けることで、人間関係を構築する。大事なのは、その過程であって中身ではない。これは同じです。
では、なぜ緊張してしまうのか。
それは、そもそもの関係をはき違えているから。
「雑談とは、仲のいい人と適当におしゃべりすること」という印象が抜けないから、おかしくなるのです。
つまり、気を使う相手に対して、変に友達のようにフランクに接しようとするから、無理が生じるということ。
上司や取引先といった、自分よりも上の相手と、少しだけ距離を縮めつつも、かといって友達ではないという微妙な関係を築くのに、ちょうどよいフレームはないでしょうか?
「教えてください」がビジネス雑談のベストバランス
ビジネスの雑談においては、背伸びをして対等に話すのではなく、シンプルに「相手からものを教わる」というスタンスこそが、正解となります。
上司・取引先のほうも、どういうスタンスで雑談したらいいかわからないでいます。だから、お互い会話がぎこちなくなる。ですから、ここは率先して、「先生と生徒ロールプレイ」を始めましょう。
たとえば、「最近ちょっと悩んでることがあるんですけど」と、少しだけ自己開示をして、身の上相談をする。
たとえば、相手が話している内容について、「はい!」と生徒のように挙手をして、「●●って○○なんですか?教えてください!」と質問をする。
こうすれば、「相手が上、こっちが下」という関係はそのままに、仕事のような、プライベートのような、絶妙なバランスの会話ができます。
あっちも「そういうことなら」と落ち着きを取り戻し、いろいろ教えてくれることでしょう。これこそが、ビジネスの雑談におけるベストバランスです。
これさえあれば、たとえガンダムの名ゼリフについて語られようが、欧州のマーケット事情について論じられようが、まったくあわてる必要はありません。
「門外漢ですみません」「無知で恐縮です」と言いながら、レクチャーしてもらえば、あっちは気分がいいし、こちらの知識も増えて一石二鳥というわけ。
「仕事相手」とへりくだるのではなく、かといって、友達のように対等になるのではない、ちょうどいい上下関係としての「先生・生徒ロールプレイ」。
ちなみに、これは義理の両親や年の離れた目上の人相手にも使える便利なコツです。
ポイント
先生と生徒になってしまえば、気を使う相手とも話が弾む

取引先の人と話を合わせるために、新しい趣味を始めたり、ニュースや時事ネタに精通しようとしたりする人がいます。これは、広い知識で勝負する考えです。
あるいは、「これなら詳しい」というジャンルをつくって猛勉強。オタクとも言える知識を身につけて、それで持ちネタをつくり、会話の糸口をつくる人もいます。
これは、深い知識で勝負する作戦です。もちろん、どちらも素晴らしい努力ですし、そのことで話が弾むこともあるでしょう。
ですが、それでは結局、表面的な会話に終始することが多いはず。結局、知識は知識でしかないので、その人の人柄が浮き出てこないからです。
そこでおすすめしたいのは、知識やジャンルではなく、オリジナルな「視点」「切り口」を持つこと。
たとえば、知人のコンサルタントは「流通」の専門家です。
彼はどんな事象も「物事が行き届くためにはどんな仕組みが必要か」という視点で切り取って、考えて、話すことができます。
すべてのニュースをそういう目で見るので、自然と頭に入ってくるというわけです。僕自身は、というと、「人間関係」のオタク。
なので、あらゆる事象を人間関係で切り取るクセがついています。
政治の話題も、スポーツニュースも、そこでどんな人間模様が繰り広げられて、人がどんな気持ちになっているかを考えるので、すべての事象に関心を持つことができます。
すべての話題を串刺しにする視点を持つ
こういう自分なりの「視点」をひとつ持っておけば、どんなジャンルでも興味を持って人の話を聞くことができるし、自分なりのコメントを言うことができる。
いわば「広くて深い」雑談ができるのです。たとえば相手が「犬を飼っていて、ドッグランによく行く」という話を始めたとします。このとき、犬を飼ってなくても、犬に関心がなくても、「視点」さえあれば大丈夫。
「流通」という視点を持っている人は、「ドッグランって、どういう場所にあるんですか?人が通いやすくなくちゃいけないし、広さも確保しなくちゃいけないし」と関心を持つことができます。
「人間関係」という視点を持っている僕は、「どういう人が集まるんですか?飼い主同士で交流があったり?」と興味を持てる、というわけです。
もちろん、こういう切り口は一朝一夕にできるものではありません。
まずは自分が関心があるものを書き出して、それらにはどういう共通点があるのかを考えてみるといいかもしれません。
そうした視点は、人と話す上で、一生モノの武器になります。
ポイント
自分だけの「切り口」があれば、広くて深い話ができる

エレベーターで思いがけず、上司と二人きりになって気まずい……。そんな経験をしたことがあるのではないでしょうか。
ビジネス書には「できるビジネスマンは、エレベーターでの会話を最大限に活用する」なんて書いてありますが、実際にその場に居合わせると、何を言えばいいかわからなくなり、黙ってうつむいてしまいます。
ですがそこで、「話しかけられないように目をそらす」のはNGです。狭いエレベーターの中でのことですから、どんなに気配を隠しても、上司にはバレています。
向こうが何も言わないのは、「気の毒だから話しかけないでおこうか」と思ってくれているだけ。
あるいは「俺の顔を見て、目をそらしやがった」と内心、むかついている可能性すらあるのです。では、エレベーターで上司と一緒になったとき、どのようにふるまえばいいのでしょうか。
正解は「自分から話しかける」です。「無視しなかった」という実績が大事逃げられない個室、相手は気を遣う相手。
これだけ悪条件がそろった場面で、いったい何を話せばいいか。答えは、「なんでもいい」です。エレベーターの中での会話に、明確な話題は必要ありません。
- 「部長、お疲れさまです!」
- 「おお、どう、調子は?」
- 「おかげさまでなんとかやってます」
- 「今日は外回り?」
なんてやり取りをしているうちに、目的の階に到着します。
大切なのは会話の中身ではなく、「積極的に声をかけ、雑談をした」という事実のみです。なんなら「無視をしなかった」というだけで、ファインプレイなのです。ルールだの、コツだの、そんなものは一旦忘れましょう。
もし万が一余裕があって、チャレンジが可能なら、これまでお伝えしてきた「褒める」「教わる」「お礼を言う」を実践しましょう。
- 「いつもかっこいいですね!(褒める)」
- 「そんなことないよ」
- 「どこで洋服買われてるんですか?(教わる)」
- 「おお、今度、教えてやるよ」
- 「えー、ありがとうございます(お礼を言う)。じゃあ、失礼します」
まったくもって無内容な会話ですが、上司はあなたに好印象を持つこと間違いなし。変に仕事の話を持ち出すよりも、ずっと気に入られます。
ポイント
話しかけさえすればいい。それだけでいい

上司との雑談、エレベーターよりも難易度が高いのが「同じタクシーで帰ることになったとき」ではないでしょうか。
エレベーターなら短時間でなんとかなったし、途中の階で人が乗ってくる可能性もありますが、タクシーだとそうもいきません。
腹を決めて、がんばって雑談をしようにも、どうすればいいかわからない。これまで見てきたコツもいろいろ試したけどうまくいかなかった。
そんなときにはどうすればいいでしょうか?実はタクシーの中には、その場所ならではのトークテーマが転がっています。
それは「車窓から見える街並み」。これこそ、会議室や飲み屋にはない、タクシーならではのチャンスです。これを使わない手はありません。
- 「車、混んでますね」
- 「ここの道、ずっと工事してますね」
- 「あれ、あの店なくなってる。ずいぶん街の雰囲気が変わりましたね」
なんでも構いません。
目についたものを片っぱしから口にすればいいのです。
この技術を「ビデオトーク」と言います。
上司はそれをきっかけに日本の景気の話を始めるかもしれませんし、街の思い出話を始めるかもしれません。
相手が話し始めたら、「なるほど」「そうですか」と、あいづちを打ちます。浅い内容でも、ここはOK。
そして、話が途切れたらまた、「うわ、大きな看板!」「あのベンツ、ずいぶん年季入ってますね」などと、再び、見たものをそのまま話題にすればいいのです。
ですから、タクシーの中はむしろ、話題の宝庫と言えます。
風景について話していれば、プライバシーにも踏み込まれない
このように、目にしたものを口にすることの効能には「話題に困らない」以外にもうひとつ、「突っ込んだ質問をされづらい」という点があります。
実は上司は上司なりに、部下に対して気を遣っています。
- 「どこに住んでいるの?」
- 「趣味は何をしているの?」
などと、あなたを質問攻めにしたとしても、それはプライベートを詮索しようと思っているわけではなく、和やかに雑談をしたいがための苦肉の策なのです。
とはいえ、ただでさえ疲れているところに、根掘り葉ほり質問されるとグッタリしますよね。
であれば、目についたものの話題を次々に振って、上司に好きなように話してもらう。そうすれば、あたりさわりなく、平和なまま帰路につけるのです。
ポイント
タクシーでは、目に映る風景がそのまま話題になる

雑談をしていて、いい加減この話を切り上げて本題に入りたい、と思ったとき、どうすればいいでしょうか?「ところで」とさりげなく話題を変えようと思っても、すぐに戻ってしまう。
「そろそろ」と促しても、切り上げない……。とくに、相手が上司や取引先など、目上の人だったりすると、話題変更が難しいことも多いでしょう。
こういうときに役立つのは、「話は変わりますけど……」と、そのままズバリの目的を言ってしまうことです。
身勝手に話を進めるタイプでも、「話が変わりますけど……」と言われて、「いや、話を変えないでこのまま!」と言い出すことはまずありません。
同じように「全然違う話をしてもいいですか?」「これまでの流れを切っちゃって申し訳ないんですが」なども、有効。
とにかく、「これからこういう話をしたい」という目的を、ストレートに伝えてしまうのが正解です。
商談の前の世間話から、そろそろ本題に入りたいな、というときにも、「いやー、おしゃべりが楽しくてキリがないですね」と持ち上げてから「ずっと話していたいのですが、本題に入りましょうか」と言うと、スムーズに商談に移行できるでしょう。
不安な点はあらかじめ「お断り」しておく
自然な流れにこだわるのではなく、最初にバシッと「お断り」を入れるテクニックは、エピソードトークにも使えます。この人に話すのはたぶん初めてだと思う。
けれど、いろんな場所で話している話なので、もしかしたら2度目、あるいは3度目かもしれない。でも、手をこまねいていては機会を逸する。どうしよう……。
そう思ったときには、あっさりと「これ、前にお話ししてたら、ごめんなさいなんですが」「これ、僕の持ちネタなんで、いろんなところで話してるんですけど」と、最初に言ってしまうのが得策。
仮に途中で「それ、前に聞いたよ」と言われたら、「ですよね、すみません」と引っ込めればいいだけの話です。
ただでさえ緊張する相手との雑談。
相手のリアクションを見ながら上手に場をコントロールしようとするのではなく、「話を変えます」「同じ話をします」と高らかに宣言してしまえば、やることはぐっとシンプルになります。
ポイント
「自然な流れ」にこだわらなければ、雑談は超簡単

- 「この間、駅前にできたそば屋に初めて行ったよ」
- 「あの東口のそば屋ですか?おいしいですよね」
- 「うん。わりとよかったね。でね、その隣にハンバーガー屋があってさ」
- 「ハンバーガー、流行っていますね。結構並んでいましたか?」
- 「ああ……うん、まあ、行列といえば、タピオカ屋のほうが……」
- 「タピオカ!そうそう、すごいですよね。どんどん店が増えていて」
相手が取引先や上司ともなると、「仕事だから」という意識が働くせいか、がんばって雑談しなければと考える人が少なくありません。
しかし、そのがんばりが、ときに空回りしてしまうことに。相手のあらゆる発言に反応するのは、そんな空回りのひとつです。
反応するほうとしてはひとつでも多くリアクションし、相手に心を開いてもらおうとするのですが、そうやって落ち着きなく、脊髄反射のように飛びついても、会話も関係もまったく深まりません。
こんなとき、どうすればいいのでしょうか。
ある程度雑談力がついてきたら、ゴールや戦略を意識しましょう。
たとえば、取引先の人に「この間、駅前にできたそば屋に初めて行ったよ」と言われたら、この話題を「駅前」と「そば」(またはそば屋)どちらで受け止めて広げるのか、おおよその方針を決めます。
前者なら「駅前はよく行かれるんですか」「駅前にいろいろ新しいお店ができているみたいですね」などの質問が考えられますし、後者なら「そば屋、どうでしたか」「そばお好きなんでしたっけ?」などと尋ねると話が広がるでしょう。
ときには黙ってうなずくのも雑談力
雑談が苦手な人がついやってしまうのが、「沈黙に耐えられず、とにかく反応」という行為です。
気まずくなるのが怖いあまり、相手が言うことに何でも反応した結果、薄っぺらい受け答えになり、かえって場が盛り下がる……。
必死になって、コロコロ話題を変えるが、どれも盛り上がらない……。すべてのキーワードに反応し、質問を投げかける必要はありません。何も言わずに、ふむふむとうなずきながら話を聞くことも立派なリアクションのひとつ。
深呼吸して、ゆったりした態度で臨めば、その落ち着きが相手にも伝わり、居心地のよさを印象づけることができます。
ポイント
会話のラリーは、息切れしないスピードで行う

雑談とは会話のラリーであり、話の内容はどうでもいいと、再三お伝えしてきました。ですがだからこそ、話を聞くときの姿勢でひと工夫すると、他の人と差をつけることができます。
- 「ナポレオンは、フランス革命前夜、こんなことを言ってたらしいんだけどね」
- 「いま、ベネズエラで、おもしろいビジネスが流行ってるのを知ってるかね?」
上司や取引先の人が、ちょっとした教訓や、学びのある話を話してきたとき。
いつものように「おもしろいですね!」とリアクションを心がけるわけですが、もうワンランク上を目指すなら、もっと積極的に「すごく聞いてます、大変興味があります」というアピールをしてもいいでしょう。
具体的には、「ちょっとそのお話、メモしてもいいですか?」と言って、手帳なり、スマホなりを取り出すのです。
ビジネスの雑談において、「先生と生徒プレイ」が有効というお話をしましたが、「ノートを取っていいですか?」という熱心な生徒に、気を悪くする先生はいません。
「いやいや、それほどのことでもないけどなあ」と上機嫌になるはずです。そこで本当にメモを取ってもいいですし、まあ、取るフリでもかまいません(笑)。
繰り返しになりますが、雑談というコミュニケーションにおいて内容は重要ではなく、「メモを取りたくなるぐらい、あなたの話はおもしろいです」というアピールこそが重要なのですから。
記憶が定着するコツは「すぐに人に話す」もちろん、メモしたネタを覚えておくに越したことはありません。本当におもしろい話であれば、今後あなたの持ちネタになるでしょう。
でもそうやってメモしたからといって、覚えられるかというと、怪しいものです。メモも、実際にはなかなか見返さないでしょう。人から聞いた話を、自分のものにするぐらいに覚えるには、いいコツがあります。
それは「すぐに人に話す」です。
「聞く」「読む」「メモしながら聞く」など、さまざまな学習法のうち、「聞いて、その内容を人に話す(教える)」が脳に最も定着するという研究があります。
ですから、その上司なり取引先からおもしろい話を聞いたときには、すぐに同僚に話すといいでしょう。
適当な相手がいなければ、SNSで発信(差し障りのない話に限りますが)。自分なりの言葉で解釈して文章にすることもまた、記憶に定着させるよい方法だからです。
ポイント
メモするフリで、熱心さをアピールする

「今度、飲みに行きましょうよ」「ぜひ!」こう言って、結局、飲みに行ったことのない相手、何人いますか?「飲みニケーション」は、ビジネス雑談において根強い人気があります。
いまだに「目上の人や取引先の人と仲良くなるには、飲みに行くのが一番!」と語る人も多いもの。実際、飲み会での談笑は、ラクです。
お酒の力を借りると、簡単に話が弾み、時間もあっという間に過ぎます。正直、たいした雑談力は必要ではありません。
ところが、一晩中飲み明かすと、親しくなれたような気分になりますが、実はそうでもなかったというケースも少なくありません。
お互い酔っ払っていると、何を話していたかも忘れてしまうし、ときにはささいなことでケンカになったりもします。
また、最近では、お酒を飲まない人・場面もずいぶん増えました。ですから、距離を縮めたい相手は、お茶やランチに誘うのがいいでしょう。
お茶やランチのいいところは、時間の見積もりが立てやすいことです。飲み会となると一次会、二次会……とズルズル時間が延びやすいのが悩ましい。
その点、お茶やランチであれば、そもそも長時間一緒に過ごす前提ではないので、「そろそろこのあたりでお開きにしましょう」と切り上げやすいのです。
「お茶ニケーション」はリーズナブルまた、飲み会と比べて、お茶やランチはリーズナブル。うっかり飲み過ぎて懐を痛める、終電を逃す、体調を崩すといった心配もありません。
デメリットがひとつだけあって、それはお酒が入らない分、高い雑談力が求められるということ。本書は、まさにそういうニーズのためにあります(笑)。
話していく中で、共通の趣味・スポーツがあることがわかったら、それに誘うのもいいでしょう。テニスやゴルフ、クライミングや将棋……。
数時間、仕事やお酒を抜きにした、熱中した時間を一緒に過ごすことで、相手との関係は密接なものになります。
ゴルフなどはその典型で、「雑談スポーツ」の最たるものです。ゆっくりと、3人(4人)だけで半日をともにする中で、他愛のない話を楽しむ。商談の前哨戦が繰り広げられることもしばしばです。
知り合いの経営者は、大の麻雀好き。
「お酒はめんどうだし、次の日に差し支えるので、会合はなるべく麻雀にしてもらっている」と語っているほど。
令和の時代、この人と親しくなりたいと思ったら、安直にお酒に誘うのではなく、ぜひシラフで会うことを試みてください!
ポイント
雑談力はノンアル時代の必須スキル

「今度、私の知り合いを紹介がてら、一杯どうかな?」
「季節もいいし、ゴルフでもご一緒しましょうよ」
上司や取引先との雑談が盛り上がり、その勢いで飲みや遊びの誘いをうけること、ありますよね。
あるいは仕事の流れで「これから打ち上げでもどう?」と誘われたり。
正直、行きたくない。行くにしても、もう少し詳細を知りたい。
そう思って「ちょっと予定を見てみますね」「他に誰が来るんですか?」と保留をするのはNGな雑談です。
この場合は「いいですね」「ぜひ行きたいです」と、即答することが正解です。
そのうえで、「スケジュールを見てみたのですが、すみません、先約がありました」とか「ちょっと仕事の繁忙期でした」などと、あとから断ってもOKです。
雑談では内容は問題ではなく、気持ち・姿勢が大事、という話をしてきました。
それと同じで、こうしたビジネスなのかプライベートなのかわからない「ビジネス遊び」の誘いも、「行くかどうか」ではなく、「行きたい」という前向きなポーズを示せるかどうかが、関係構築には重要なのです。
お礼のメールもひと工夫するそうやってノリよく返事をしていると、断りづらい案件も増えてくるでしょう。
そういうときは、「接待」「仕事」と割り切って行くと、気持ちもモヤモヤしないはず。上司や同僚を一緒に巻き込むのもおすすめです。
さて、ポイントは、終わってからのお礼のメール。
「ごちそうさまでした」「ありがとうございました」、と、ここまでは、ビジネスマナーの基本ですが、雑談力としては、もうひと言加えたいところ。
- 「電車混んでましたけど、無事に帰れましたか?」
- 「帰り道、寒くなかったですか?」
このように、相手の気持ちに寄り添う優しいひと言をかければ、単なるビジネスの相手ではない、適度な距離感をつくれるわけです。
仕事相手との遊びは「仕事」と割り切る。終わってからのひと言で、「仲良し」をアピール。
このバランスで、乗り切ってください!
ポイント
「行きたいです」でやる気アピール。その後、断ってもOK

雑談とは、会話のラリーであり、話の内容いかんにかかわらず、肯定して、話に乗っておくべきという話を、何度となくしてきました。
が、唯一、例外があります。それは、うわさ話。
- 「◎◎さんって、女グセが悪いって評判じゃない?」
- 「■■くんって、ほんとに仕事できないよね。ひどい目に遭ったよ」
うわさ話がやたらと好きな人がいます。
パーティや異業種交流会、あるいは職場で、うわさ話を振られて、どう対応しようか迷ったことがあるのではないでしょうか。
これまでの例で言えば、これは相手が気持ちを吐き出しているわけですから、「そうですね」と乗っておけばよかったわけです。
そこで言われているのが、自分の知らない人、関係のない人であればそれでOK。
たとえば、芸能人とか政治家であれば、一緒になって悪口を言ってもいいでしょう。ですが、そのうわさ話の対象が、自分の知ってる人だとそうもいきません。
うっかりそれに同調すると、どこで話の尾ひれがつくかわからず、あなた自身が悪いうわさを流していたということにもなりかねないからです。
ですから、世の中のあまたある雑談の中で、唯一、「知っている人のうわさ話」だけは、なるべく乗らずに、距離を置くことが大事です。
これまで見てきた「遠ざけるテクニック」で、なんとか危険を回避しましょう。
とにかくネガティブなことは言わないこれはうわさ話に限ったことではなく、「むかついた」「嫌だった」という話は、雑談では避けたほうがいいでしょう。
喜怒哀楽のような生の感情を表現することはよいことですが、悪意のある話、ネガティブな話だと、聞いているほうも気分が悪くなります。
- 「タレントの◎◎、全然かわいくないですよね!」
- 「あ、私、ファンなんですけど……」
- 「●●っていうお店、超まずくない?」
- 「僕、結構好きで、よく通ってるんですよね……」
一緒になって誰かの悪口を言うのは、とてもとても楽しいものですが、それはだいぶ仲良しになった人や、気の置けない友達とやること。
上司や取引先などの仕事相手には、そこまで心を開くべきではありません。無難なテーマ。毒にも薬にもならない話題。それでいかに盛り上がれるかが、雑談力の極意です。
「悪口」「うわさ話」には、手を出さない覚悟を貫いてください。
ポイント
無難な話題でいかに盛り上がれるかが雑談力
おわりに
――「人に興味が持てない」という病
ふたたび、こんにちは!著者の五百田達成です。
「超雑談力」、いかがでしたか?なんとなく、「こうすればいいのかな?」と思ってもらえたでしょうか?であれば、とてもうれしいです。
だいじょうぶ、あなたの雑談力は、確実に向上しています。間違いありません!さて。少し話は変わります。
突然ですが、「人に興味が持てない」って思ったことありませんか?
- ・どうでもいい人の話に、興味が持てない
- ・知らない人を、知ろうという気が起きない
- ・自分のことで精いっぱいで、他人にかまってられない
- ・仲のいい人は何人かいるから、それ以外の人と仲良くなろうとは思わない
そのいっぽうで、
- ・それじゃいけない気もする。さみしい人生になるのはイヤだ
- ・交友関係が閉じてしまっていて、これでいいのかな、と不安
- ・友達は、みんな学生時代からの関係。大人になってから、友達ができたことがない
- ・もっと人に興味を持たないと、仕事も、恋愛も、結婚もできないかもと思ったり。
よく、わかります。
本当に、よーく、わかります。僕自身、結構つきあう人を選ぶほうです。「どうでもいいな」って思う人を、シャットダウンしてしまうこともよくあります。
初対面の相手や社交の場ではいまだに緊張するし、知らない人だらけのパーティは憂鬱です。
それでも、大人になってからできた友達が、何人かはいます。その人たちも、最初は知らない人だった。どうでもいい人だった。興味がなかった。仲良くなろうとも思わなかった。
そんな人と、どうやって今の関係を築いたのか。そう、まずは雑談をしたのです。なにかの集まりで会った人。少しずつ話すうちに、気が合うことがわかってきた。もう少し話してみた。
「あれ、この人おもしろいんじゃないか」と思うようになった。もう少し話してみる。お茶したり、遊びに行ったりして、徐々に仲良くなる。
結果的に、「この人とは一生、友達だろうな。あー、うれしいなあ。信頼できるし、相談できるし、一緒にいて楽しいし。よかった、よかった」と感謝するまでになる……。
仕事でも、プライベートでも、そういう人が、多くはありませんが、何人かいます。そういう意味では、雑談ってすごいよな、と思います。
なぜなら、最初の最初のところで、雑談したからこそ、少しずつ、その人と関係を築くことができたわけだからです。
雑談を通じて少しずつ関係が深まると、相手のことがちょっとわかってきます。そうすると、「知らない人」から「少し知っている人」に格上げされます。
そうすると、興味が湧いてきます。さらに話すと、もう少し興味が湧いてきます。
信頼関係、交友関係とは結局、そういうものの積み重ねだよなあと、この年になってしみじみ思うわけです。
雑談力を身につけると、人に興味が持てるようになります。結果的に、人づきあいが広がったり、深まったりします。
そしてごくたまに(そんなに頻繁には起きませんが)、一生モノの友人やパートナーを得ることもあります。
本書「超雑談力」が、あなたの人生にそうしたことをもたらすきっかけとなれば、著者としてこれ以上にうれしいことはありません。
最後になりますが、いつも本づくりを支えてくださる編集の大竹朝子さん、谷中卓さん、編集協力の島影真奈美さん、デザイナーの小口翔平さん、喜來詩織さん、岩永香穂さん、三沢稜さん、ディスカヴァー・トゥエンティワンの干場弓子さんに、この場をお借りしてお礼を言いたいと思います。
彼女たち・彼らとの出会いもまた「雑談」で始まりました。今後ともよろしくお願いいたします。ここまで読んでくださったあなたの、豊かで楽しい毎日を、心から祈っております。本当にありがとうございました。
2019年12月五百田達成
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