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4「横並び」よりも「信賞必罰」

 「信賞必罰」と聞くと、「そんなの厳しそうでいやだな」と思う人もいるかもしれません。  それは、信賞必罰のうちの「必罰」のほうばかりに目がいってしまうからでしょう。でも、信賞必罰の趣旨は、厳しさを求めることではありません。むしろその逆で、「しっかり働いてくれる人に報いる」ということです。それによって、働く人が「もっとがんばろう」と思ってくれるからです。  それはそうでしょう。しっかり働いているのに報われないとしたら、しっかり働く人はアホらしくなってしまいます。企業にとって、しっかり働いてくれる人は、ほんとうに貴重です。逆に言えば、働かない人を働かせるために罰するなんて、暇な会社のやることです。そんな暇があったら、がんばって働いてくれている人の待遇や環境をよくすることに注力すべきです。(ちなみに、ダメな会社とは、しっかり働く人がアホらしくなる会社です。そして、ダメな会社は、できる人から辞めていきます。アホらしいから。よい会社は、働かないでプラプラしている人がいづらい会社です。会社は働きに来るところだからです。もちろん、病気などの理由で働けない場合には、面倒を見るセーフティネットも必要です。)  でも、一方で、なかにはがむしゃらに働き続けることにどうしてもなじまない人がいるのも事実です。実際のところ、全員が全員、野心的でがむしゃらに働くことに生きがいを感じる、という会社は見たことがありません。価値観の違いというのはたしかにあります。  わたしは、理想の組織は「ドイツのアウトバーン」だと思っています。そこでは、中央車線は時速無制限です。二五〇キロで走ってもかまいません。でも、外の車線は違います。外に行くほど最高速度が抑えられています。つまり、自分のとりたいリスクで走れるのです。  時速二五〇キロで走る人は一時間後には二五〇キロ先にいる。その代わり、リスクも高まる。コストもかかる。それなりの装備も必要です。時速一二〇キロで走りたい人も OK。リスクやコストが抑えられる。しかし、一時間後には一二〇キロ先にしかいない。  信賞必罰とはこういうことだと思います。つまり、準備し、リスクをとってがんばった人が報われるということです。  一方、ダメな組織というのは、日本の高速道路みたいなものです。時速一〇〇キロ出すのが精いっぱいの軽トラックの後ろを、高性能の車が十分な性能を発揮せずに走っているのです。軽トラックも後ろからせっつかれて危ないし、高性能車も実力が出せずにいらいらして、こちらも危ない……(「高速道路ならまだましなほうで、うちの会社なんか渋滞している一般道だ」と思った方もいるかもしれません)。  走りたい人を思いっきり走らせてやれる環境をつくるのがリーダーの仕事です。  しつこいようですが、会社はパフォーマンスを出さなければ生き残れません。外に向けてパフォーマンスを発揮し、よい商品やサービスを提供することにより、社会に貢献することこそが、会社の存在意義の第一です。それなくしては、雇用も株主還元も納税もできません。  ですから、組織として最高のパフォーマンスを出す仕組みを持たなければなりません。が、かといって働く人の幸せを無視してよいものでもありません。そのための仕組みが「信賞必罰」なのです。  結果だけですべてを評価する必要はありません。結果を出すためのチームワークや雰囲気づくりも評価する必要があります(「三六〇度評価」などが有効な場合もあります)。  そして、大きな差をつける「評価」である必要もありません。  ただ、これだけは知っておくべきでしょう。  人は、がんばった分だけ評価されると分かると働くものなのです。  がんばってくれていることを何らかの形で表さなければ、がんばっている人はやる気をなくします。

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