会社はどんなときに倒産するか、ご存じですか? 答えは簡単。「お金がなくなったとき」です。 な ーーんだ、と言うなかれ。だから、利益が出ていても会社は倒産します。いわゆる「黒字倒産」です。わたしもこれまで何度か、近くで黒字倒産を見てきました。 経営をよく知らない人は、「利益が出ていて、なぜお金がなくなるの?」と考えるかもしれません。経営者が最初に覚えるのが、「利益」と「キャッシュフロー(お金の流れ)」は違う、ということだと思います(幸いなことに資金繰りに困らず気づかないでいたとしても、最初の決算で納税をするときになれば、だれでも身にしみて分かります)。 簡単な例でご説明しましょう。 ご存じのように、利益とは、売上高から費用を引いたものです。けれども、売上が上がってもすぐにお金が入ってくるとは限りません。小売店ならお客さまからその場で現金をいただけますが、たいていの企業間での取引は後日、決済されます。この場合、売上は立ちますが現金は入ってこないで、「売掛金」となります。手形をもらっても同じです。 つまり、表面的に利益は出ても、現金は増えません。先に経費を支払ってしまっていると、資金的にはマイナスとなってしまう場合もあります。そこで、会社に十分な現預金や借入れ枠があれば資金繰りは回りますが、そうでなければ、黒字倒産ということになるわけです。在庫や投資を必要以上に増加させても同じです。 というわけで、会計や財務を経営の現場で実践するうえでもっとも大切なのは、現預金などすぐに資金化できるもの(「手元流動性」)を 必ず一定上、常に確保しておくことです。では、一定以上ってどのくらい? 中小企業なら月商の一・七ヵ月分、大企業でも一ヵ月分は最低限必要でしょう。 実践的には、資金繰りを気にしなくてもよい額を確保することです。資金繰りにびくびくしているようでは、よい仕事はできませんから。特に、日本のバブル崩壊時や、昨今のような金融危機をともなう景気後退期には、ふだんより手元流動性を多く持っておくことが重要です。何が起こるか分からず、短期的に頼りになるのは、自社でコントロールできる「お金」だけだからです。 手元流動性(現預金 +すぐに現金化できる資産 +すぐに借入れできる資金)が乏しくなると、何も見えなくなり、「資金繰り第一」となってしまいます。そういう経営者をこれまでたくさん見てきました。 万一、手元流動性が十分でない場合は、即座に資金を手当てしておくことです。「自己資本比率」や「流動比率」などの指標のことはすべて忘れて、安心できる水準まで手元流動性を高めることです。 銀行や知り合いに頭を下げてでも、資産を売却してでも、何でもよいから、手元流動性を確保することに全力を尽くさないと、会社をつぶしてしまうことにもなりかねません。
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