中途採用で幹部強化を図るのは、例えばプロ野球のチーム編成と基本的には酷似している。
プロ野球の場合は、毎年ルーキーとして入団させ、計画的な戦力強化を図っている。
企業でもルーキーからチームづくりをするのが基本になっている。野球の場合は戦力化が
早いが、セールスマンの場合は、即戦力にはなり難い。学校でいかに教育を受け、販売理論
を勉強した成績優秀なものでも、期待する業績を上げ得るものではない。そこであわてて経
験者の中途採用へ走るということになる。
そうした企業に多く見られるのが、ルーキーに対する放任とでもいうべき態度である。何
となく体験させ、頭を打ちながら見よう見真似で揉まれて、急流を流された石が、角を取る
ようになるのが現状だといえないことはない。
中途採用がいけないとはいわないが、ベテランと称されるセールスマンの多くは長続きし
ない例が多く、本人自身も「助っ人」的立場で企業に対する使命感が、いまひとつ希薄な感じ
がする。
長続きしない要因の一つに「くせ」があり過ぎるという問題がある。過去の会社との相違、
物の見方、待遇、ギャップなどのための不満が噴出するのは「熱しやすく冷めやすい」タイプ
にみられ、 一〜二年で退社するということになるのだ。
ルーキーに対しては、経営陣が必死になって三年間を目標にして教育、訓練に専念すれば、
一人前のセールスマンにすることができる。
この辛抱ができないのか、やたらとセールスマネージャーらしき人材を引き抜く。また、
あちこち手足をのばして採用を依頼する。こうしたやり方に走る経営陣は、まず自らが売る
先兵となって、セールス活動を展開しなければいけないという気迫に欠けている人達である。
どのようなビジネスでも経営者はセールスマンでなければならない。
セールスマンは経営者ではないが、経営者はセールスマンであれということを強調したい。
また、事実、経営者がセールスマンでなかったならば、中堅企業への発展、成長はおぼつか
ないと思う。
他社からセールスマネージャーを引っ張ってくるのではなく、まず「我こそが、我が社の
トップセールスマンである」との自覚の下に指導力を発揮することに意を注ぐべきである。
社員の技量には当然、得手、不得手がある。だからといって育成を怠っていては、人材は
成長するものではない。トップ自らが、得手、不得手を乗り越えて、手づくりというか、自
らの手で育てるべきである。第一ボタンの掛け方が間違えば、最終的にどうなるか白明の理
である。
他社の部長クラスとかトップセールスマンをスカウトしたり、また大企業から引き抜いて
きたという場合、そういう立派な人でも即座に動けるものではない。商社、金融機関など、
わけあって販売会社へ採用された人達の例をみても、かなりの失敗例を目の当たりにしてい
る。
基本的には、中小のセールスマネージャーは、スカウト人事では成功し難いといえる。
助っ人に頼るならば、助っ人を一匹狼的に使わずに、指導役としてのその下にプロパーを
つけ、助っ人のノウハウを伝授させ、我が社のセールスマンをつくり上げていく管理体制を
築くべきである。助っ人の売上げ増強のみに目を光らせるという、日先的先行管理では、助っ
人採用の意味がない。
昨日より今日、今日より明日と、売上げだけを注目するのではなく、セールスマンの力量
が昨日より今日、今日より明日へと成長しているかを注目し、その管理が重要であることを
強調したい。
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