親父が亡くなるとき主治医の先生が言っておられましたが、人間は食事が摂れなくなると 1週間で死ぬらしいです。 会社の経営って、人間に似ているなって時々思います。 人間の体を想像してみてください。 口から食べ物を入れて、消化したときにできたエネルギーは体を動かしたりすることに使われたり、筋肉を増やしてより力を出せるようにしたりして、余ったら脂肪として蓄積される。 人が食事から摂る栄養で生きているように、会社は、お客様が商品やサービスを買ってくださることにより得られる売上を栄養にして生きています。 必要な売上が不足すると、会社は死にます。これが倒産ですよね。 倒産しないためには、お客様に商品やサービスを買ってもらい続ける必要があります。 エネルギーを使わないようにじっとしていても、食べ物を食べられなくなるとダメなんですよね。 世の中に「経営コンサルタント」と名乗る人はたくさんいます。彼らや、税理士がよく使う言葉が、「損益分岐点」です。 損益分岐点とは、売上高と費用の額がちょうど等しくなる売上高等を言い、損益分岐点を下げれば、その分だけ利益が出て経営はうまくいくとされています。 これって一見、正しそうに思えますよね。 損益分岐点を下げる方法は2つ、1つは売上原価を下げること。 具体的には、材料などを仕入れ業者に無理を言って値段を下げてもらうか、商品や材料を質の悪いものに変えて下げることで可能になります。 もう1つは、経費を削減すること。 具体的には、社員の給与を減らしたり、人通りの多い街中のお店から人通りの少ない地方へ引っ越したりするなどがあります。 実はこれらの方法が、とんだ間違いなのです。 これらの方法をとるのは、人間の体で言う「エネルギーを使わないようにじっとしている」状態と同じです。 私は経営が苦しくなって、経営コンサルタントや税理士のアドバイスの下、損益分岐点を下げるなどと社長が言い出しておかしくなった会社をたくさん見ています。「損益分岐点を下げる」この考え方は、昭和の時代の日本や今の中国のように、モノがガンガン売れるときに有効なものです。 モノが世の中に不足している時代、モノを作れば作っただけ売れた時代には、この考え方を取り入れて経費を削減することで会社の利益は増加しました。 でも今はモノが売れない時代です。 ライバルの会社もみんなどうやってモノを売ろうかと必死になっているときに、自社だけが損益分岐点を下げるために仕入れ先の反感を買いながら値切って、従業員の反感を買いながら給与を下げて、今の場所より人通りの少ない場所に移動して家賃を下げる。 そりゃあそのときの利益は出るかもしれませんが、長い目で見て、売上を下げる方に会社が向かっていると思いませんか? この状況を、私は医者が栄養失調の人に、患者の状況を考えずに「ダイエットをすれば健康になる」とアドバイスしているように思えて仕方ないのです。 それで健康になるわけがありません。死期を早めているだけです。この患者に必要なのは栄養を摂ることです。 しかし、多くの中小企業の社長は、将来への不安とお金を失う恐れから、売上を増やすよりも経費削減の方向に意識が向かいます。 中小企業の社長が 100人いれば、 99人はこの方向です。 しかし、 1%の成功する中小企業の社長は、無意味な経費の削減よりも、世の中の問題を解決し、お客様の役に立って売上を上げることを優先しておられます。 成功する中小企業の社長は、事業の成功には、事業計画書や損益計算書、キャッシュフロー計算書より大切なものがあることを知っているのです。 私が成功している中小企業と考えているうちの 1人、医療法人くろだ歯科医院の総務長は言われます。「ムダを省くことは必要かもしれないが、経費を減らそうとは思わない。 新しくお客様に喜んでもらえるアイデアが思いついたときは、お金がかかってもかまわない。これがいいと思ったら、それが利益につながるかより、本当にお客様に喜んでもらえるものができるかどうかで決めている。 コンサルタントから『経費が多い』とか文句を言われるが聞き流している。彼らが目指すもの(利益)と私たちが目指すもの(患者さんが喜ぶこと)が違うのでかみ合わない。だから聞き流すようにしている。 彼らには、『ここで経費を使ったとしても、患者さんが喜んでくれるので』ということが伝わらない。考え方が違う、大切にしているものが違う」。
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