では、経営戦略の研究に取り組んだ場合、どれくらいの期間で社長の戦略実力が高まり、その結果が経営に反映して業績が良くなってくるのでしょうか。 本気で取り組んでも 2 ~ 5年はかかります。少しペースが遅いと、 10年もかかってしまいます。 こう言うと、中には「なんだって? すぐにでも実力が高まって業績が良くなるのではないのか。話が違うではないか」と思う人もいるでしょう。しかしこれにはちゃんとした理由があるので、ここで諦めず、続けて読んでください。 2 ~ 5年以上もの長い期間がかかるのには、いくつかの理由があります。 第一の理由は、社長の仕事の範囲がとても広いことです。 社長は、利益性の原則を初めとして、商品戦略、地域戦略、客層戦略、営業戦略、顧客維持の戦略など、経営を進めるときに欠かせない「 7大戦略」を、すべて 1人で担当しなければなりません。 しかも7つの戦略はすべて掛け算になるので、どれか1つが業界の平均より低いと、総合力がガクンと低下してしまいます。ですから社長は、まず 7大戦略の「フルライン」を研究し、1つひとつの戦略実力が同業者の平均よりも上回るようにしなければならないのです。 第二の理由は、人の考え方に変化が起こるには、多くの時間がかかるからです。 ほとんどの人は、大企業の経営原則と強者の戦略が正しいやり方だと固く信じ込んでいて、その先入観からなかなか抜け出せません。 強者の戦略とは、 1.市場規模が大きな商品を取り扱うと、売上が多くなって利益も多くなる。 2.商品の種類を多くして範囲を広げると、お客の数が多くなって利益も多くなる。 3.人口が多い地域で営業をすると、人も会社も多いので、売上が上がって利益が多くなる。 4.営業地域の範囲を広くすると、市場規模が大きくなるので、売上が上がって利益が多くなる。 というものです。社長に強者の戦略が正しいやり方であるという強い思い込みがあると、これが潜在意識となって強い抵抗勢力になるのです。 そのため、たとえ自社の経営規模に合っていて、しかも弱者の戦略ルールの学習を始めても、潜在意識が強く抵抗してハネ返してしまうので、頭に入ってきません。多くの人はこの状態が 1年 ~ 1年半は続くので、この間は戦略実力の向上が全く見られないのです。 しかし、それでもなお学習を続けていると、潜在意識の抵抗力が徐々に弱くなっていき、ようやく学習効果が出始めるのですが、この段階になるまでに 2年程度はかかります。思い込みが強い人や、学習のペースが遅い人の場合は、その人の戦略実力が高まるのに 5年以上もかかってしまうのです。
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