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2「スキル」よりも「価値観」

 スタンフォード大学の元教授、 J・ C・コリンズ氏の『ビジョナリーカンパニー 2』(日経BP社刊)は、『ビジョナリーカンパニー』(同)とともに名著です。よい経営を志す人は、一度は読まれることをお勧めします。  『ビジョナリーカンパニー』は、ビジョンや理念がしっかりした会社のほうが、金儲けだけを目指していた会社よりも、結局経済的にもうまくいっている事例を多く示し、『ビジョナリーカンパニー 2』のほうは、長い間業績がパッとしなかったのに、あるときを境に業績が向上し、それが長く続いた会社の特徴を分析しています。  その特徴のひとつに、「適切な人をバスに乗せる」というのがあります。  「適切な」というと、スキルのある「即戦力」を想像するかもしれませんが、そうではありません。「熱意や職業観、倫理観」といった基本的な価値観が一致する人を会社というバスに乗せることが大切だというのです。何をするかはそのあと、考える。つまり、  考え方をいっしょにする人をバスに乗せてから、  自らの強みを生かせる行き先(戦略)を考える会社のほうが、先に戦略ありきの即物的な会社よりも結果的にうまくいっているというのです。  たしかに、自分の小さな会社も含めて多くの会社を見てきましたが、そこで働く人の価値観が合っているかどうかがいかに大切かは、日々、痛感することです。  価値観の対立は、結局、組織を空中分解させてしまうのです。  もちろん、戦略は「方向づけ」ですからそれを誤ることは致命的です。しかし、それを行う人たちの気持ちや価値観がバラバラでは、十分な力が出ません。また、価値観が統一されていたら、戦略を行うときにも気持ちが一致し、修正も比較的容易に行えるはずです。  「適切な人をバスに乗せる」とはすなわち「採用」です。「採用」がつくづく肝心だと思います。採用後の教育に時間をかけて価値観を統一させようとすることよりも、もともと価値観の合った人を採用するほうがずっといい。  また、採用の際、「価値観」と並んで見極めなければならないのは、「先天的」な性格だと思います。「明るさ」、「素直さ」といったものは、いくらあとから教育しても身につきません。明るさはチームを生き生きとさせますし、お客さまにも喜ばれます。素直でさえあれば、価値観を教えることもできるし、スキルの習得も早いでしょう。曲がった枝を矯正するよりは、まっすぐな枝を最初から選んだほうがよい。  「スキル」はそこそこの「地頭」があれば、あとで身につけることができますし、場合によっては専門家をお金で雇うこともできますが、先天的な性格はあとからではむずかしい。  お金で解決できるものとそうでないものを区別することは、経営だけでなく人生においても、重要です。

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