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1 相思相愛マネジメントとは?

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1 相思相愛マネジメントとは?

パート・アルバイトを戦力にする

パート・アルバイトは、正社員に比べて安価な労働力です。これを活用することは経費削減の面から、もちろん企業業績にプラスです。この不況期だからこそ、他社に勝つために、ぜひ活用していきたい戦力です。

しかしこれが、「安かろう、悪かろう」になっては、いけません。

パート・アルバイトに仕事を任せることにより、商品や製品の質が落ちたり、接客サービスが悪くなっては、お客さまが離れてしまいます。これでは本末転倒です。また、他社と同じようにパート・アルバイトを雇用するのでは、他社との差別化もできません。

そうではなく、パート・アルバイトを企業業績を高める人的戦力の一つと明確に位置付け、その特性を踏まえたマネジメントをする必要があるのです。パート・アルバイトの能力を活用し、戦力化していくのです。

小売業・サービス業・製造業など、多くのパート・アルバイトを雇用している企業であれば、なおのことです。

その際、まず考えてみたいのが、なぜパート・アルバイトが正社員に比べ、安価な労働力なのか、ということです。「パート・アルバイトなのだから、賃金が安くて当然」ではありません。安いのは、「正社員とは働き方が違うから」です。

例えばパート・アルバイトは、「週三日勤務」「一日五時間勤務」など、本人の希望をある程度かなえながらの勤務が可能な働き方です。また、転居を伴う転勤や、本人の望まない異動もないことが普通です。

つまり、正社員に比べ、拘束度が高くありません。また、実際に担当する仕事の内容や責任もある程度限定的です。

このように正社員とは働き方が違い、したがって安価なのですから、パート・アルバイトに正社員と同じ働きを求めてはいけません。

しかし一方で、働き方が違うとはいえ、パート・アルバイトも同じ会社のスタッフであることに変わりありません。同じ組織の一員としてしっかり能力を発揮し、「パート・アルバイトとしての仕事」を全うすることを、はっきり要求していくことが必要です。パート・アルバイトを“戦力化”していきたいならなおのことです。

そこで必要になってくるのが、パート・アルバイトに特化したマネジメント・ノウハウというわけです。

ビジネスなのに、相思相愛?

詳しくは後で述べますが、パート・アルバイトは正社員に比べて、一つの会社でずっと働いたり、より高い能力を自ら発揮しようとすることが少ないのが通常です。

そんなパート・アルバイトを長期に雇用し、能力を発揮してもらい、彼らと「相思相愛」関係を築くには、パート・アルバイト側ではなく会社側に、努力と工夫が必要です。

このため相思相愛マネジメントは全体的に、会社側からより意識的、積極的に、率先してパート・アルバイトを「想い」、その結果パート・アルバイトから「想われる」関係作りをするものとなっています。

ここまで読まれて、疑問や違和感を覚えた方がいらっしゃるかもしれません。すなわち、パート・アルバイトにそこまで労力をかけるべきなのだろうか、という疑問です。

そして、ビジネス書や、マネジメントの分野で、「相思相愛」という言葉が使われることへの違和感です。疑問については、これまで述べてきたとおり。不況期にこそパート・アルバイトの力を活用すべきであり、それには努力と工夫が不可欠です。

一方、ビジネスで「相思相愛」という言葉を使うことへの違和感ですが、例えば「面接は、お見合いだ」などという言葉を耳にした経験はないでしょうか。

この面接に代表されるように、人の採用から定着・戦力化に至る人材マネジメントは究極のところ、「想い、想われる」関係作りに他ならないと私は考えています。

ちなみに「相思相愛」とは、パート・アルバイトとして働きたい人と、パート・アルバイトの力を自社に活かしたい企業が、お互いを心から必要とし合う状態です。こうした関係を作ることが、相思相愛マネジメントの主眼です。

募集・採用はお見合い結婚

半面、「相思相愛マネジメント」は「男女の出会い ~継続的な結婚生活(共同生活)」の各段階に、驚くほどぴったりとなぞらえられるのも特徴です。

また、これに従って考えると、一つひとつのマネジメントの意味や意義が理解しやすく、また実践も容易になります。

例えば、募集・採用は、まさにお見合い結婚そのものです。募集は、「結婚相手を探しています」ということを、周囲にきちんと伝えること。つまり、結婚紹介所に登録したり、顔が広く世話好きな親戚や知り合いに「誰かいませんか」と相談したりすることです。実際には、募集広告を出したり、「募集中」の貼り紙をします。

その後、お見合いは、相手候補の中から、相手の写真や自己紹介書の情報を手がかりに、実際に会う相手を決定し、実施します。募集・採用の場合、履歴書などの情報をもとに、実際に会う相手を決める段階です。

こうしてお見合い相手つまり、面接相手を決定したら、まずは、実際に会ってみることです。会ってみて、いろいろと話をし、お互いの希望や価値観を確認します。

「自分がどんな生活をしたいのか」「相手はどんな家庭を築きたいのか」。つまり「どんな仕事をしてほしいのか」「どんな働き方をしたいのか」など、お互いの望みを確認し合います。

ここが合致しない結婚は、極めて破綻しやすいものだからです。

その結果「この人なら」と思えたら、結婚の申し込み、つまり「採用」を決定するわけですが、このとき、こちらが「いいな」と思っても、相手から断られる可能性があることまで、実際のお見合い結婚そのものです。

定着・戦力化は、幸せな結婚生活

募集・採用が、出会い ~結婚に至る各段階であるならば、その後の定着・戦力化は、末永く幸せな結婚生活を手にすることと、そのための努力そのものです。

例えば、入社は入籍です。

パート・アルバイトと雇用契約を結ぶことは、婚姻届に署名・捺印し、届けること。つまり、雇用契約なら働く条件について互いに合意し明示して、入籍であればお互いの気持ちを確かめあって、今後の長いお付き合いを約束する瞬間です。

しかしながら、こうしてきちんと書類を交わし、約束しても、まだまだ油断はなりません。新婚旅行中に、お見合いの場や事前情報ではわからなかった相手の意外な一面を見て、「こんなはずじゃなかった」「もう嫌だ」という思いに至ってしまう可能性はゼロではありません。

もちろん、こんな状態では結婚生活は続けられず、最悪の場合、かつてよくいわれた「成田離婚」となってしまいます。

こうした悲しい結果を防ぐには、お互いが思いやりの気持ちをもって、相手を理解し許容するよう努めること。パート・アルバイトのマネジメントの場合なら、導入 ~新人教育を、丁寧にしっかり行うことになるでしょう。

ようやく二人の生活が走り出しても、まだまだ山あり谷ありです。互いが生活に充実感を感じ、満足感を得ていくためには、公平な家事分担や、日々の会話、情報共有や、まめな連絡などのコミュニケーションが欠かせません。

また、相手の個性や考え方を尊重し、認め合った上で、日々接していくことが大切でしょう。こうしたことも、パート・アルバイトのマネジメントにおいて、すべて必要になってきます。

想う力が試される

しかし、究極的には、すべては次の一言に、集約できると思います。それは「愛すればこそ、愛される」ということです。

相手を嫌うと、不思議と必ず相手からも、嫌われてしまうもの。パート・アルバイトのマネジメントでも、それは全く同じです。

だからこそ、まずは雇う側から、パート・アルバイトにプラスの気持ちを届けること。このことにより、パート・アルバイトにもプラスの気持ちを抱いてもらうことこそが、マネジメント成功のカギであり、近道です。

繰り返すようですが、多くの場合、パート・アルバイトにとっての仕事や職場は、正社員ほど大事だったり、固執すべき対象ではありません。

そんな彼らに「働くのはここでなければならない」と思ってもらうこと。その結果、長く頑張ってもらうこと。つまり「定着」「戦力化」するための方策が、“まずは自分から愛すること”。

雇う側からパート・アルバイトに、プラスの気持ちを届けることです。「そんなことできない」と思いますか。あるいは「そんな打算的な」と否定的に思われるかもしれません。

そうした感想をもたれることも覚悟で、やはり私は「雇う側から、パート・アルバイトにプラスの気持ちを届ける」ことが大切だと、申し上げたいと思います。

また、「打算的な」と感じるのは、それが打算であるから、と言えないでしょうか。本気で愛すれば、それはすでに、打算ではありません。

部下の育成は、愛情が大事といわれます。対象がパート・アルバイトであっても、同じです。パート・アルバイトを本気で育成したいなら、つまり「定着」「戦力化」したいなら、そこには愛情が不可欠なのです。

あるいは、心からの愛情をもって時に厳しく接することこそが、パート・アルバイトを高レベルに育成する、最短ルートといえるかもしれません。

一〇ステップ相思相愛マネジメントとは

本書が提唱する「相思相愛マネジメント」は、そんな愛情の示し方を、一〇のステップに分けて、具体的にどうすればいいのかを解説したものです。

ちょっとした工夫で、本来辞めずとも済む人を「辞めさせない」ことは可能です。

特に新人については、すでに募集のときから「辞めさせない」マネジメントを意識して一貫して行うことにより、早期離職を減らせます。

また既存スタッフを含めた全パート・アルバイトに、できるだけ長く勤めてもらい能力を発揮してもらうためには、日常的なコミュニケーションなどすべての局面において、相思相愛を意識します。

ちなみに、各ステップを具体的に記すと、以下のようになります。

  • ステップ 1 募集 …お見合いの相手探し
  • ステップ 2 応募受付 …「ぜひ会ってみたい」と思わせる
  • ステップ 3 面接 …いざ、お見合い!
  • ステップ 4 入社(雇用契約)…長いご縁の第一歩
  • ステップ 5 導入 ~新人教育 …成田離婚しないために
  • ステップ 6 シフト管理 …家事分担は夫婦でバランスよく
  • ステップ 7 コミュニケーション …会話と連絡が円満のもと
  • ステップ 8 教育 …効率的な家事と自己実現
  • ステップ 9 評価と賃金 …頑張っても、認められない?
  • ステップ 10 正社員登用と退職 …より永いご縁になるとき、別れるとき

「短時間労働者」への愛情のかけ方

各ステップについて、「具体的にどうすればいいのか」は、第二章以降でお話しします。

その際、全体を通じ注意してほしいのは、パート・アルバイトへの愛情のかけ方は、正社員と同じではないということです。会社への要望や働く志向性など、パート・アルバイトの特性に応じたアレンジや工夫が必要です。

これを意識せず、パート・アルバイトに、正社員に対してと同様に接していては、相思相愛の関係は作れません。「愛情表現している」つもりがそうは受け取ってもらえず、かえって嫌がられてしまう……そんな愚だけは、犯していただきたくないのです。

ちなみに本書でいうパート・アルバイトは、正社員より働く時間が短い「短時間労働者」それも、パート・アルバイトでの仕事以外に「本業」がある人を主に想定しています。

例えば「主婦業」という本業があり週五日一日四時間働く主婦パートや、「学業」という本業があり週三日一日三 ~五時間働く学生アルバイトといった人たちです。

自社でパート・アルバイトと呼んでいても、正社員同様フルタイム働いている人や、フリーターなどそれ自体が「本業」となっている人に関しては、適用される法律やマネジメントのあり方が違う場合がありますので、注意してください。

 

。それも、パート・アルバイトでの仕事以外に「本業」がある人を主に想定しています。

例えば「主婦業」という本業があり週五日一日四時間働く主婦パートや、「学業」という本業があり週三日一日三 ~五時間働く学生アルバイトといった人たちです。

自社でパート・アルバイトと呼んでいても、正社員同様フルタイム働いている人や、フリーターなどそれ自体が「本業」となっている人に関しては、適用される法律やマネジメントのあり方が違う場合がありますので、注意してください。

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