前の章でも、あちこちで、「お客さま志向」の大切さを説明しましたが、この章では、同じことを、より商品やサービスにそった形で説明します。お客さま第一を徹底することが、とにかく会社成功のためのキーなのです。 さて、最初に、申し上げます。 ダメな会社は新規営業がうまい。 「えっ、ウソ! 新規営業がうまいのはよい会社でしょう?」という声が聞こえてきそうですが、でも、ほんとうです。経営コンサルタントとして現場で会社を見ていてほんとうにそう思います。 実際、ダメな会社は既存のお客さまがどんどん逃げていくから、新規営業が上手でないとやっていけないのです。そうやって新規でお客さまを獲得しても、ダメな会社はお客さまを大切にすることができませんから、またそのお客さまはすぐに離れていくので、いたちごっことなります。そのプロセスで新規営業だけはうまくなるのです。 既存のお客さまが離れていくのは、その会社に不満があるからです。その不満は、悪い評判となって広がります。がんばって獲得した新規のお客さまも対応が悪ければまた離れていきますから、悪い評判を立てる人がさらに増えていきます。悪循環です。 会社はお客さまを見れば、そのレベルが分かります。よい会社には、よいお客さまが長くつきます。よい人には、長く続くよい友人がいるのと同じです。 京都あたりでは「一見客お断り」の料亭がありますが、これは、高飛車な営業をしているのではなくて、既存のお客さまをより大切にすることがビジネスの根本であり、 そのほうが結果的に儲かる ということを長い経験から知っているからです。 ところで、「リレーションシップ・マーケティング」という考え方があります。一回のお客さまに一生のお客さまになっていただこうという考えです。たとえば、カーディーラーなら、若いうちに一度車を買ってくれたお客さまに、その後も一生、自分のところで買っていただくことができたら、数千万円の売上になる、ということです。 このリレーションシップ・マーケティングでは、お客さまを 「潜在客 →顧客 →得意客 →支持者 →代弁者 →パートナー」と分類します。 得意客というのはよく買ってくれるお客さま、 支持者というのは「化粧品なら ○ ○」、「百貨店なら △ △」と、一〇〇%のブランドロイヤルティや店舗ロイヤルティを持ってくださる有り難いお客さまで、よほどのことがない限り他社へは浮気をしません。 代弁者となると、さらに一歩進んで、お友だちなどに勧めてくれます。代弁者のお客さまが増えると、下手な宣伝などしなくとも売上は上がります。いわゆる口コミです。ネットの時代には、この口コミが非常に重要なことはお分かりになると思います。 最後のパートナーというのは、好きが高じて、その会社のために働きたいと思い、実際に手伝ってくれるお客さまです。 このように、 ほんとうによい会社は営業をしなくてもよいのです。 では、得意客、支持者、代弁者、パートナーと、お客さまとの関係を「深化」させていくにはどうすればよいのでしょうか? これについて、次項以下で説明していきましょう。
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