MENU

1 WORD―人生を変える「言葉」と「思考」を知ろう

PROLOGUE

目次

はじめにアファメーションは自分の夢を叶えてくれる魔法の言葉

現在の自分に自信が持てなくて思い悩んでいる人はこの世に数え切れないほどいることでしょう。

特に近年の長引く平成不況の中ではリストラや就職できない若者が街にあふれ、世界中のどこにも夢や希望がないように感じられるかもしれません。

こうした時代では「自分には能力がない」「いまの惨めな状況から抜け出したいが、自分の能力や経済状況から、それは不可能に近い」「いますぐブラック企業を辞めたいが、踏ん切りがつかない」などといった、さまざまなネガティブな声が街中から漏れ聞こえてくるような印象があります。

しかし、逆に言えばそうしたネガティブな思考にとらわれているからこそ、いつまでたっても不満足な境遇のままにいるとも言えます。

とはいえ、だからといって、自己啓発系のセミナーに参加して、「目標を設定し、自分のミッションをはっきりさせましょう」という講師の言葉を聞いても、無理やり何かをやらされているような義務感ばかりが心の奥底に澱のようにたまり、現状を抜け出そうという強い感情が沸きあがることはまずあり得ません。

では、どうすればいいのでしょうか。それは本物のコーチングに出会うことです。そして、それが「アファメーション」という自己変革の方法なのです。

この方法を発見したのは、コーチングの元祖である故ルー・タイスです。

彼は、アファメーションを実践することによってビジネスを大成功させたばかりか、キャリア、財産形成、家庭生活、人間関係などあらゆる面で、豊かで素晴らしい人生を手に入れました。

同時に彼は、自らが見出した方法を世の中に広めることに熱中し、全世界 3300万人の人生を、彼の人生と同じように素晴らしいものに変えてしまいました。

早い話が、ルー・タイスと同じ方法を実践しただけで、地球上の 3300万人もの人々が仕事やビジネスで成功し、富を築き、周りの人々の尊敬を集め、豊かな家庭を築き、幸せな人生を送っているのです。

アファメーションとは、「 ~したい」「こうなれば良いな……」という願望を、「私は ~だ」「私は ~をする」といったようなすでに達成している言い回しをすることで潜在意識に働きかけ、変化や成長(ゴール)が遠くの未来にあるものではなく「今、ここにあるのだ」ということをリアルに感じさせる技法のことです。

人間が自分の望みを実現する原理を突きつめて考えていくと、アファメーションを自分に言い聞かせていくだけで人生のゴールを達成してしまう、とさえ言うことができるのです。

暗示や催眠と一線を画する本物のコーチング理論

アメリカン・フットボールのコーチであったルー・タイスが、アマチュアやプロの選手たちのメンタル強化法をビジネスマンと企業組織に適用し、人材育成や企業の成長に著しい成果を上げるようになったのは、約 40年前のことです。

1990年代になると、コーチング・ビジネスは爆発的に普及。

タイスの弟子や孫弟子たちがコーチングスクールを様々な場所に設立したことで、コーチングのプログラムが乱立するようになりました。

こうしたビジネス上の過当競争は、プログラムの多様化を生み出すと共に、コーチングを受ける人と企業の目標達成のために、さまざまな心理操作の手法を取り入れる一種の流行を引き起こしました。

実はこれが現在のコーチングに対する混乱と誤解の原因になっているのです。

というのも、人の脳を正しく理解することなしに、心理操作テクニックなどを安易に取り入れると、コーチングを受けている人や組織の目標達成を阻害してしまうことがあるからです。

ルー・タイスが一般向けに教えているプログラムは、言葉を重視したものです。そして、その中核にあるのがアファメーションなのです。

ルー・タイスの方法論が注目されるようになると、アファメーションを「暗示」と誤解する人が増え、暗示や催眠を使った亜流の自己変革法が登場するようになりました。

しかし、これは決定的に誤った方法論なのです。

自己実現プログラムなどでよく見られるのは、暗示や催眠を用いて、現実には貧乏であるのに、「私は大金持ちだ」と思わせる方法です。

しかし、こうした暗示が一時的に効果をもたらしたとしても、その思い込みがその人の本当のゴール達成に役立つかといえば、決してそうではありません。

というのも、暗示や催眠でできることは、正しいゴール達成とは無関係だからです。つまり、暗示や催眠によっては真のゴールを見つけることは不可能なのです。

だから、暗示や催眠により、自分が有能だと思い込んだり、ポジティブな思考に変わったりしても、それは単なる空中楼閣に過ぎず、その人が具体的に何らかの成果を示すことはありえません。

逆に誤ったゴールに邁進し、組織や企業の奴隷と化す人が多いのです。

これに対して、ルー・タイス・プログラムでは、ゴールの設定がすべてであると言えます。

ルー・タイス・プリンシプルの本質は、「ゴールの世界を強くリアルに感じるとゴールの世界が現実になる」というものです。

そして、このとき、アファメーションはゴールの世界の臨場感を上げる道具として使われるのです。

「できない」が「できる」に変わるワクワク感を体感する

アファメーションを実践することによって、あなたが最初に感じることのできる効果は二つあります。

一つは、自らを縛り、制限している言葉から自分を解放することができたという実感です。

そして、もう一つは、これまで「できない」と考えてきたことに、自分がごく自然に積極的に取り組めるようになったという実感でしょう。

アファメーションのルールにのっとった言葉を自分に語りかけると、これまでの自己イメージはすぐに変わっていきます。それは「人生のゴールを達成する」ための第一歩と言えるでしょう。

また、アファメーションによって人生のゴールを自分に刷り込んでいけば、「目的的志向」が働くようになります。

目的的志向については本文で詳しく述べますが、「これをやろう」と強く意識して力を注がなくても、自動的にゴールを達成するよう自分を導いてくれる「無意識の働き」のことです。

「やらなければいけない = have t o」という意識が働いているうちは、何もかもが苦痛に思われます。しかし、「楽しくてしかたがない」という心理をつくり出せば、やることのすべてが「ハッピー」なことに変わり、疲労感や倦怠感は払拭されます。

その意味で、アファメーションは、目的的志向を働かせ、自動的に人生のゴールを達成するための方法と言うこともできるでしょう。

課題をクリアしていくことで人生を劇的に変える 最後になりましたが、ルー・タイスには『アファメーション』(フォレスト出版)という、そのものずばりの名著があります。

日本語版を世に問うに当たり、私が監訳を引き受けています。

含蓄のあるルーの思想と方法論を学ぶにはうってつけの本ですが、大著ゆえ、「アファメーションを手軽に学べるハンディな本を」という強い要望が読者から多く寄せられることにもなりました。

そこで私は、認知科学の知見を交えながら、 TPIE(タイス・プリンシプル・イン・エクセレンス =ルーと私が開発した最新のコーチングプログラム)に則した形で簡潔にアファメーションを解説することを思い立ち、『「言葉」があなたの人生を決める』(フォレスト出版)を上梓しました。

そして、本書はその本のワークブック的な側面を持っています。

本書の解説やチャート部分を読み、それに基づいて様々な課題(ワーク)をクリアしていくことで、あなたは人生を劇的に変え、成功をつかむことができるはずです。

ルー・タイスの『アファメーション』にまだ目を通していない方は、ぜひ併せて読むことをお勧めしておきます。

いっそう深い理解に達することはもちろん、言葉ひとつで人生が変わることを発見した彼の驚きと情熱が伝わり、長く強く心に残ることは請け合いです。

残念ながら、彼は 2012年に日本から帰国して間もなく、 76年にわたる人生の幕を閉じました。

本書を、故ルー・タイスに捧げます。

はじめに 「アファメーション」は夢やゴールをかなえてくれる魔法の言葉 言葉の持つ力があなたに幸福をもたらす 人生の成功ではなく「人生のゴール」を目指す 「なりたい自分を望む」だけでお金や地位が手に入る 人間は自分が見たい現実だけを見て生きている 「自分は当然…である存在だ」と念じるだけで、新しい自分になれる! 自己イメージを書き換えることで、充実した人生を送れる 本当にやりたいことをやり遂げてしまう人間のパワー 人間が選択と行動を行う際の「3つの意識」 「目的的志向」ですべてが「ハッピー」に変わる あなたの夢を食いつぶす「ドリームキラー」に気をつけろ! 他者による洗脳から自由になる! 努力せずにアファメーションの効果を上げる方法 自分の価値観を明らかにする5つの方法 「しなければならない」を捨てれば生きることが喜びであふれる 外部の言葉を受け入れることによって人間のブリーフシステムは形成される 自己イメージを破壊することで飛躍的に成長する! 「プライミング」を仕掛けることでゴール実現へのモチベーションがアップ! 成功を邪魔する情動記憶を消すことでゴール達成に近づく 今までと違う行動をとることで新しい世界が見えてくる 「スマートトーク」でポジティブで前向きな自分に生まれ変わる 「目的的志向」を身につけるための8つの原則 ゴール達成のための 3要素はイメージ・言葉・情動 マイケル・フェルプスはいかにして 8冠王に輝いたか?

複数のゴールを設定するとき「バランス・ホイール」をイメージする 人間は一番臨場感の強い世界を選びとって生きている アファメーションの実践的なつくり方 相手のゴールを見抜いて自分の話を聞いてもらう 商談や人付き合いにおいては「自分のルール」を貫く 現在の自分の価値を評価するのは自分自身である 空気が読めないことと、空気を無視することは違う 相手の感情にうまく訴えかけるテクニックを身につける 「一目ぼれテクニック」で相手を魅了する 相手の要求を聞き出す「抽象度の高い会話」をする 自分に付加価値があると認識される自己演出を実行してみる 臨場感を共有することで、利益率が 750倍もアップ! 抽象度を高めてお金を稼ぐ 抽象度がアップする「瞑想術」を学ぶ VOICE TPIEを体験された方々の声

[この世界は言葉で成り立っている]

アファメーションとは、端的に表現するならば、「あるルールにもとづいて作った言葉を自らに語りかけること」と定義づけられます。

そして、その言葉によって、自らの夢やゴールが実現できるのです。私たちの思考は、すべて言葉で成り立っています。

たとえば、夜空の星を見て「きれいだなあ」と感じるのは、その昔に「ほら、あれがデネブ、アルタイル、ベガの夏の大三角形だよ。きれいでしょう」と誰かに星を見ながら教えられ、あなたがその言葉を受け入れたから、そう思うのです。

一般に人間には自分独自の思考様式・考え方のパターンがあると考えられていますが、本当はそうではありません。

感情だけでなく、考え方や判断、評価基準など、ありとあらゆることを他人から刷り込まれ、その言葉を受け入れたことによって、ひとりの人格のある人間ができあがっているのです。

[「できない」から「できる」に変える]

他人から刷り込まれた思考のパターンは選択と行動として表出しますが、それはもちろんその人が過去にどんな言葉を受け入れているかによって決まってしまいます。

たとえば「自分は能力のない人間だ」という言葉を受け入れている人は、能力のない人間の選択と行動をとるし、逆に「自分は能力のある人間だ」という言葉を受け入れている人は、能力ある人間にふさわしい選択と行動をとります。

あるいは、「私はお金持ちになれる」という言葉を受け入れている人は、見事にお金持ちになっていきます。それができないのは、その人が「自分には無理だ」という言葉を受け入れているからです。

「自分にはできない」と思って、自らの可能性にフタをしているわけですから、できなくて当然ですね。素晴らしい人生を手に入れたいなら、「自分にはできる」と心の底から思うことがとても重要です。アファメーションは、「自分にはできない」から「自分にはできる」に変える、いわば「自己改造」の方法です。

これを身につけると、脳が「自分にはできる」という言葉を受容し、あなたを素晴らしい人生へと導いてくれるようになります。

[アファメーションを自分に言い聞かせる]

ルー・タイスのコーチングプログラムの全体を支える思想的土台に、「はじめに言葉ありき」というフレーズがあります。

これは言葉が単なるコミュニケーションの手段ではなく、この世界、あるいは宇宙そのものの理を支配していることを示唆しています。実際、私たちは、言葉によって目の前にある物事を認識し、何が起こっているか解釈します。

また、解釈するだけでなく、言葉によって私たちは世界を分節化し、それによってあるものと別のあるものを区別できるのです。

たとえば、「人間とはこういうものだ」「猫とはこういうものだ」「人間と猫は別個の存在だ」などと、あなたが信じている現実も、すべてあなたが受け入れた言葉によって成り立っています。

また、預金通帳の数字が増えると嬉しいと感じるのも、数字という言語によって規定された感情です。

[言葉が人生を決める!]

言葉の持つこうした力を鑑みると、現在あなたが受け入れている言葉を変えるなり、捨てるなりしたならば、現在の満足のいかない状況をいともたやすく変えたりすることが可能になると考えられます。

したがって、人生のゴールを達成するには、これまで自分を縛ってきた言葉とブリーフ(信念)を壊す方法を、よく理解することが大切になります。

そして、そのためにあるのが、自分で自分に語り聞かせる言葉であるアファメーションなのです。

ルー・タイスは「言葉が人生を決定する」と述べました。

それは、言語世界の中で人生のゴールを達成しようとするならば、言葉の持つ影響力を重く受け止めなければならないという戒めです。

加えて、ルー・タイスはあなたに、まず自らにこう語りかけるよう勧めます。

「私はもっと大きな人間になれる。もっと多くのことができる。もっと多くを手にすることができる。まずは自分のことから始めよう。自分に語りかけることで可能性を切り開こう」

これは、『アファメーション』の中で彼が最初に読者に示した、自分の可能性を引き出すためのアファメーションの第一歩とも言える言葉です。

[「成功」と「ゴール」の明確な違い]

仕事であれ、お金のことであれ、人生には必ず「成功」や「失敗」がついてまわるものです。よく人は「あの人は成功者だ」といった人物評をしたりしますが、言われた当人は、その時初めて「自分は成功者だ」と実感するような場合があります。このように「成功」という言葉には、必ず他者からの評価が介在するのです。しかし私は、そのような他人からの評価には何の意味も見出すことができません。

功なり名を遂げてどんなに世間から高く評価されたとしても、本人自身が心から満足することがなければ、それは決して幸せな人生とは言えないからです。

こうした理由から、私とルー・タイスは、「成功」という言葉をあえて使わず、「人生のゴールを達成する」と言っています。

ゴールを達成すれば世間的には当然「成功者」とみなされるでしょう。しかし、重要なのは、他人の評価ではなく、本人が心から「嬉しい」「楽しい」と思っていることです。

だから、他人の評価が入り込む余地をなくす意図を込めて、「ゴール」という表現を使っているわけです。

[ゴールはあいまいでよい]

では、「人生のゴール」とは何でしょう。

自己啓発系のコーチの中にはコーチングの最初の段階で目標を明確にしようとする人が多く見られますが、私は「人生のゴールは設定時点では漠然としたものでかまわない」と思っています。

なぜならば、いま明確にすることのできるゴールというのは、いまの現状の延長線上にあるものである危険性が高いからです。

私はそれを「理想的な現状」と呼んでいますが、現状にとどまったまま捉えることのできる理想的な現状を目標にしているかぎり、どんな試みも現状を肯定し、維持するための手段になってしまうでしょう。

そして、そうした行為は真のゴールに向かうことを阻害するように働くのです。

後で述べますが、本当のゴールとは常に現状の外にあります(たとえば、ビジネスパーソンにとっては、起業していることになるのではないでしょうか)。

そのことを理解しておかないと、一生かかっても自分の望む真の夢にはたどり着けないでしょう。

[現状の外側に設定する「5つのゴール」]

ルー・タイスは、「人生のゴールは、現状の外側に設定しなさい」と教えていました。

「現状の外側にあるゴール」とは、簡単にいえば、いまの自分とはかけ離れ、いまの仕事や環境では考えつかないような突飛なゴールのことです。

社長になるだけでもたいへんなのに、果たしてそんなにかけ離れた人生のゴールを達成することができるだろうかと考えるかもしれませんが、実は事態はまったく反対なのです。

いまの現状からかけ離れた人生のゴール、つまり現状の延長線上にはない突飛なゴールだからこそ、逆に私たちはそれを 100%実現することができるのです。

社長になれるかどうかは確率の問題であり、従業員の多い大企業に勤めていればその確率はかなり低く、 100%と言えるはずもありません。

ところが、現状からかけ離れた、とんでもないゴールは、それを本心から強く望んでさえいれば、必ず実現することになります。

そこには何の秘密もありません。ただ、「なりたい自分を望む」だけでいいのです。これに対して、自分には夢を実現するのに必要な人並み外れた優れた能力がない、といった反駁がなされるかもしれません。

しかし、この考えは因果関係が転倒しています。なぜなら、まず強い望みが先にあり、それが必要な能力の獲得という結果をもたらすからです。ところで、ゴール(夢)は複数用意しておく必要があります。

たとえば、

①自分の欲求のゴール、 ②自分の欲求を少し広げたゴール、 ③社会的なゴール、 ④さらに抽象度の高いゴール、 ⑤誰の役にも立たないゴールなどです。

①は、とにかく自分のためにお金を稼ぐ、地位を得たいと思うこと。②は自分だけでなく、たとえば家族や身近な人などに対すること。③は自分から離れたコミュニティのこと。④はたとえば世界平和や宇宙のことなど、自分の思考や行動範囲をはるかに超えたより抽象的かつ高踏的なもの。そして、 ⑤は自分の趣味のことです。

[ゴールを見えなくさせるスコトーマの呪縛]

たとえば、あなたは自分がふだん身につけている腕時計の文字盤を正確に絵として描くことができますか。おそらく、多くの人はきちんと描くことができないでしょう。

なぜならば、時計の文字盤の図像を脳は重要ではないと判断しているからです。

重要でない情報(一般にはネガティブな感情を伴わない記憶)を無意識のうちにシャットアウトしているのは、 RAS(網様体賦活系)と呼ばれる脳内のフィルターです。

そして、 RASによってシャットアウトされた記憶に残らない情報こそが、スコトーマ(心理的盲点)と呼ばれているものなのです。

毎秒毎秒、五感を通じて入ってくる大量のメッセージをすべて受け取っていたら、脳は処理が追いつかずにパンクしてしまいます。

だからこそ、 RASによって、必要な情報と必要でない情報が振り分けられているのです。しかし、ここで問題なのは、我々は「脳が重要だと判断したもの」しか見えないということです。

私たちは、身の回りの情報をすべて理解しているように感じていますが、実はスコトーマのせいで、見えているものと見えないものが存在しているのです。

このようなスコトーマの働きによって、仮にあなたが夢を叶えたくても、ゴールに関係のあるものが見えないために、現状から抜け出せなくなっています。

多くの人の無意識の選択と行動は、現状を維持する方向に向かいますが、自分がいちばん楽に自然でいられる、慣れ親しんだ領域のことをコンフォートゾーンと言います。

そして、現状のコンフォートゾーンと合致していないものは重要度が低いため、スコトーマが働いて、目の前にあっても見えなくなってしまいます。

たとえ、それがあなたの夢に関わるものであっても、それは変わりありません。人間は、その人が見たい現実だけを見て生きています。

すなわち、あなたのブリーフシステム(信念体系)がスコトーマを作り出し、見える範囲を狭めているのです。

[自分で自分の限界を決めてしまう]

コンフォートゾーンのレベルのことをエフィカシーと呼びます。エフィカシーとは自分のゴール達成能力の自己評価と考えてください。

たとえば、「どんなに頑張っても、年間ホームラン数は 10本」というエフィカシーを持っているプロ野球選手がいたとしましょう。すると、「年間 10本」がその人のコンフォートゾーンということになります。

そして、困ったことに、コンフォートゾーンにどっぷりと浸かると、心の中にスコトーマ(心理的盲点)が生じ、「年間 10本」の世界しか視界に入らず、「年間 50本」の世界は見えなくなる――すなわち、年間 50本のホームランを打つ方法がわからなくなってしまうのです。

[「なりたい自分」になるための心の持ち方]

これと逆に 2010年サッカーW杯南アフリカ大会で岡田監督は本大会での目標に「ベスト 4」を据えました。そして、下馬評では予選グループ敗退が確実視されたのに、アウェー開催で初のベスト 16という最高の結果を残せたのです。

これはおそらく岡田監督のコンフォートゾーンが「ベスト 4」にあり、それに伴ってエフィカシーが上昇したからでしょう。つまり、岡田監督には世界の強豪チームと互角に戦う日本のイメージが臨場感を伴って見えていたのです。

コンフォートゾーンはその語義通り、本人にとってとても居心地がいい場所です。ですから、わざわざその場所から抜け出して、あえて不快な状態に身をおくことを人は本能的に避けます。

また、対象や出来事がコンフォートゾーンから外れると、良い方に外れても、悪い方に外れても、無意識はそれをあらかじめ設定された元の状態に戻そうとします。

しかし、それでもあなたが今のコンフォートゾーンから抜け出して、新しいゴールを目指そうとするのならば、「やりたいこと」「なりたい自分」のゴールを設定して、「自分は当然……であるべき存在だ」と強く思うことです。

そうした高いエフィカシーを持てば、自然とコンフォートゾーンが高いレベルにずれて、スコトーマが外れ、新しい自分に生まれ変わることができるでしょう。

[自己イメージが形成されるプロセス]

自分の自己イメージがどのようにして成り立っているのか、考えたことがあるでしょうか。自己イメージとは、他人の目に自分がどのように映っているかということをその人が思い描いている意味内容を指します。

もう少し詳しく言えば、自分は他人からこう見られているに違いないという、その人自身の確信であり信念です。つまり、自分がそう思うだけでなく他人からもそう思われているはずの、「私はこういう人間だ」という自分像です。

この自分像のすべては、あなたが持つブリーフシステムが生み出しています。

[自己イメージを変えてみる]

ところで、「私はこういう人間だ」というブリーフのそもそもの成り立ちは、あなたの内部から生まれ、成立したものではありません。

それは、あなたが外部の情報を認識し、それを受け入れたことによって生まれたものです。

あなたは自分に関連する様々な情報を吸収し、受け入れた情報に対して評価と判断を加え、そこで初めて「私はこういう人間だ」という確信にたどり着けるわけです。

外部の情報を受け入れたことによって、あなたのブリーフが生まれているという点が、この場合のミソと言えます。

たとえば、親が「こうすべきだ」と話したこと、「そんなことをしてはいけない」と叱ったこと、学校の先生や親友があなたについて語ったこと。過去に外部の人が発し、あなたが肯定した情報が、あなたの自己イメージをつくっているのです。

このように自己イメージとは、オリジナルの個性にもとづいた、変えがたいものではなく、もともと外部の情報が生み出したものなのです。

だから、「私はこういう人間だ。それは、私本来のものであり、簡単に変わるものではない」と、唯一絶対の不可変で固定的な存在と捉えなければならないものではありません。

つまり、裏を返せば、自己イメージは、あなたがその意思さえ持てば、簡単に変えることができるのです。自己イメージを変えることは、他人から押し付けられた自画像からの脱却です。新しい自己イメージを作り出すことで、仕事も趣味も充実した楽しい人生が送れるようになります。

[「なりたい自分」を強く思うだけで、実現する]

ゴールを達成するためのルー・タイスの方法論は、決して難解なものではありません。

ルーとともにプログラムの開発に携わった私が太鼓判を押しますが、その全体像さえ理解すれば、むしろきわめてシンプルな方法と言えます。

その証拠に、ルーの教えを実践して、秘められた可能性を次々に顕在化させる人々が現在もどんどん増えています。

現状をどうしても抜け出したい、心の底から満足する人生を手に入れたい、これまで想像もしなかったような未来の自分になりたいなどといった思いは、必ず実現します。

[人間の持つ無限の力]

人間というものは、自分に本当にやりたいことがあるとき、たとえそれがどんなに途方もないことであっても、また客観的に見てできない理由が山のようにあることであっても、やり遂げてしまう存在なのです。

たとえば、いつの間にか世界的なアーティストになっているバイオリニスト、いつの間にかノーベル賞クラスの学者になっている物理学者、あるいはいつの間にか世界的なコンピューターの専門家になっているシステムエンジニア、いつの間にか英米などで高い評価を受けるようになったロックバンドのギタリスト……など、国内ではほとんど知られていないにもかかわらず、世界的に有名な日本人は意外なほどたくさんいます。

彼らがそのような人生を手に入れることができたのは、現状の延長線上にはない人生のゴールを思い浮かべながら、その実現をひたすら望んで選択と行動をくり返してきた結果です。

強く望んでいれば、人間はその実現のために必要なことしかしなくなり、ついには思いどおりのことを実現してしまいます。それは、並外れた能力や条件を備えている人だけにできる、特別なことではありません。

経済力や環境条件とは異なり、思いどおりのことを実現する能力は、むしろ人間に等しく備わっています。とすれば、あなたはいますぐに、考えを変える必要があります。

自分は人生のゴールを達成し、心の底から深く満足する人生を手に入れることができる、と考えるべきなのです。

[創造的無意識が持つ働き]

物事をどう捉えるか、どのような視点で見るかによって、人生の質は大きく変わってきます。

物の見方は大きくポジティブ思考とネガティブ思考に分けられますが、一般的にはポジティブに考えることのできる人の方が、ネガティブな思考法を持つ人よりも、問題解決などでより多くの成果を上げられるとされています。

ところで、人間が選択と行動を行う際に働く思考は、ポジティブとネガティブという基準だけでなく、次のように分類することもできます。

①意識的思考 ②潜在意識 ③創造的無意識 意識的思考とは、ふだん私たちが意識して行っている思考です。仕事上の問題や課題に対して論理的に解決法を導こうとするのは、意識的思考の代表格と言えます。しかし、意識的思考が必ずしも論理的に最善の答えを導き出してくれるわけではありません。

潜在意識とは、顕在化していない意識のことです。潜在意識は、人々の選択と行動を自動的に決めてくれます。たとえば、靴ひもを結ぶ、クルマを運転する、相手にあいさつするなど、いちいちやり方や手順を考えなくても、手やからだが勝手に動いてくれます。

潜在意識は、そこにどのような内容を記録するかによって、ゴール達成のための強い味方にもなり、それを阻む手ごわい敵にもなります。

創造的無意識はその人に対して、自己イメージに見合った行動を強制的にとらせます。もし、自己イメージから外れるような行動をとろうとすると、元の自己イメージの状態に戻るよう、その人に強烈に働きかけます。創造的無意識が人間にいまの現状を維持させるようにするのは、ホメオスタシス(元に戻す力)が働くからです。つまり、自己イメージから離れた状態から自己イメージどおりの状態に、無意識のうちに戻ろうとするわけです。

[仕事が楽しくて仕方なくなる心理]

アファメーションによってエフィカシーを高め、人生のゴールを自分に刷り込んでいけば、自然と「目的的志向」が働くようになります。

目的的志向とは、次章でも詳しく説明しますが、「イメージ・言葉・情動」を用いて目的論的なプロセスを使って前進し、「なりたい自分」になることです。

それは「これをやろう」と強く意識して力を注がなくても、自動的にゴールを達成するよう自分を導いてくれる「無意識の働き」と言えるでしょう。

「やらなければいけない」「やらされている」という意識が働いているうちは、やることなすことのすべてに苦痛が伴います。

しかし、取り組むことに対して「楽しくて仕方がない」という自分の状態をつくり出せば、すべてが「ハッピー」なことに変わり、疲れたり、飽きたりということがありません。

たとえば、インターネットでいろいろな情報を調べるのが好きな人は、毎日、朝から晩までパソコンにかじりついていても、疲れないし、逆に楽しくて仕方ない状態にあります。

俗に「インターネット依存症」と評されますが、それは依存症なのではなく「楽しくてわくわくした」状態を継続的に維持しているのです。

人生のゴールを達成するなら、これと同じ状態で物事に取り組めるようにしてやることが肝心です。

あなたの周りにもひとりやふたりは必ず例が見つかると思いますが、目的的志向が働いている人間は、「楽しくて仕方ない」と感じて取り組んでいるうちに、ふと気づくと大きな仕事を成し遂げているものです。

アファメーションの使い方を身につければ、このような人たち以上に成果を上げ、評価を受けられるようになるのはもちろん、彼らよりももっと大きなゴールを達成することができるようになります。

その意味で、アファメーションは、目的的志向を働かせ、自動的に人生のゴールを達成するための方法と言うこともできるでしょう。

[善意の人ドリームキラー]

人生のゴールを思い描いたとき、もし周囲にそのゴール設定を邪魔するような人間がいたら、叶うはずの夢も叶わなくなります。このように他者のゴールに何らかの影響を与えて、ゴールそのものを諦めさせる存在をドリームキラーと呼びます。

ドリームキラーとは文字通り、「夢を殺す、壊す、諦めさせる、邪魔をするような人」のことを指します。そして、厄介なことにそのような人は、両親や家族、恋人や親友、学校の先生など身近なところに存在して、悪意ではなく、むしろ善意から夢をつぶそうとしているのです。

[人生のゴールは秘密にしておく]

では、どうしてドリームキラーは他者のゴール設定やその達成を邪魔しようとするのでしょうか。その源泉は自分のコンフォートゾーン(居心地の良い空間)が、そうでなくなる恐怖心にあります。

たとえば、人生のゴールを達成したときを、想像してみてください。そのときのあなたは、現状のコンフォートゾーンとはまったく異なる、遠く離れたコンフォートゾーンにいます。

コンフォートゾーンとは、心地よく感じ、ごく自然に行動や思考ができるゾーンのことですが、ゴールを達成したあなたにとって、そういう場所や環境こそが、一番快適で自然にふるまえる新しいコンフォートゾーンになっているわけです。

すると、今まで同じ空間を共有していた者、特に自分の家族などの近しい人にとっては、それは自分だけが取り残されたかのような疎外感と孤独感、恐怖心を喚起します。だから、新しいゴールに何が何でも進ませたくないのです。

コンフォートゾーンが低い人は自分のコンフォートゾーンを乱されることを極度に警戒します。そして、コンフォートゾーンの高い人の足を引っ張ろうとするのです。人生のゴールは、そっと自分だけのものにしておきましょう。

それを伝えてもいいのは、専門的知識と技能を持ったコーチングの専門家だけです。「自分の夢を誰かと分かち合いたい」という気持ちは、あなたをゴールから確実に遠ざけることになるでしょう。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次