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高い価格でないと利益は出ない

売上げを上げようと思えば、どのようにして価格を上げるかが、まず第一歩である。不況

期には、どうしても価格訴求度が強調される。平成不況の折には「価格破壊」「EDLP」(エ

ブリデー・ロー・プライス)の時代と言われ、世の中あげて経営の課題が「安く売れ」の感があっ

た。

私は経済環境の変化のなかで「価格」「品質」「サービス」の二つの重点課題が、景気下降期、

景気上昇期、好況期に伴って変わっていくと申し上げている。長期的に見れば「安い単価」で

数量を売る商いは長続きできないし、肝心の利益も「高い単価」のほうが獲得できるのである。

世の中変わってきていると言いながらも、まだ多くの経営者は「安く大量に」という数量にこ

だわって、数量を多く売ろうとしている。

日本の成熟マーケットを理解しようとしない人が多いのには驚かされる。この供給過剰の

市場で、他社の商品を排斥してでも自社の商品を無理矢理に売ろうとする、現在のマーケッ

トの状況を知ろうとしない面があまりにも強すぎる。

これから二〇年後、三〇年後も企業が存在し、生き残っていこうとするならば、数量ベー

スでの拡大というやり方から、単価を上げていくという戦術への転換を志向しなければなら

ない。こうした時代が来ていると言っても過言ではない。

ただ、価格政策については、前にも述べたように経済環境に伴って変化するし、読者の皆

さんの企業体の置かれているポジションによっても異なってくる。つまり「天」「地」「人」「処」

によって変わってくる。

「天」(環境)― ―好況か不況か

「地」(市場)― ―生産財か消費財か、受注産業か見込み産業か

「人」(顧客)― ―高額所得者向きか、大衆消費者向きか

「処」(場合)――安全性か、稀少性か、大衆性か、価格訴求か

読者の皆さんにわかりやすく理解していただくために、ポピュラーなお菓子を例にあげて

みよう。ひとくちにお菓子と言っても、いろいろな需要なり顧客の要望なりにマッチしなけ

れば売れない。その場合、自社の商品をどのポジションに置こうとしているのか、また、そ

のためにどのような製品づくり、販売方法に力を入れているか、などの点ですべて変わって

くる。

経営者が戦略、戦略と言う前に、自社の商品のスタンディングポイント(生きる世界、活

動分野)に最大の注意を払うべきで、狙っている方向と違うマーチャンダイジング(商品計画)

や価格政策も含めた販売方法を実施しても、利益につながらないことは言うまでもない。

図表113のように、お菓子といえども四つの市場が考えられる。そして、価格弾力性の

ない、つまり(安くしたからといって売れない)ギフトマーケットやもてなしマーケットが存

在していることを知るべきである。これに対し、おやつマーケットは、価格である。とはい

え、価格訴求度の高いおやつマーケットであっても、価格を引き下げて数を売って、販売額

の増大を図ろうという販売政策、価格競争を行なうよりも、マーケティング・ミックスを考

えることが大事である。

品質、デザイン、パッケージに工夫をし、新商品投入、技術革新、広告宣伝を行ない、企

業イメージや商品イメージで品質イメージを高め、非価格競争の分野での諸策を展開しなけ

ればならないだろう。また、系列化や独自の販売網の確保など、販売経路の面でも顧客に対

し優位性を打ち出す方策もある。

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