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長い繁栄を狙う「五本の柱」を築くこと

救い難い会社というのがある。なかでも、稼ぐ柱が一つしかなくて危険に陥っている会社がそうである。

得意先が一社しかない、単一商品、 一店舗、 一つの技術……こういう会社が結構多い。

社長が事業をロングランに考えていない証拠であり、危機に対策がとれない会社になってしまう。

事業は、収益源となる柱が多いほど安定性が高い。まず、一本の柱からスタートし、二本、三本……と、五本以上の柱の構築を目指すべきである。

一本しか柱がない場合に、もし、三〇%以上の売上減少を来したら、経験的に言って、助けることに大苦労を強いられたり、ほとんど助けることができない状態になってしまう。

大半の会社は、粗利益の範囲が二〇%を内外しているからである。だから、マイナスの範囲が二〇%以内であれば、自信をもって助けることができる。三〇%が、生死を決定する経験値なのだ。

もし、柱が一本しかなければ、そのマイナス三〇%の売上減少は致命傷である。

しかし、二本の柱があれば、一本の柱のマイナス二〇%は、全体のマイナス一五%でしかない。それぞれの柱が同じ程度のボリュームだとしたらであるが……。

優秀な会社は、幾つもの柱を持っている。

リョービは、浦上浩氏が経営している。この会社は、ダイカストという自動車エンジンの受注生産が一つ目の柱であった。

受注は、数量と単価の決定権を発注側が持っている。つまり、いつでも売上高は数量と単価の積であるから、発注側に成長性から、収益性まで握られていることになる。

儲からない会社に陥ってしまうことを懸念した浦上社長と先代は、幾つもの完成品を製造販売する経営を指向した。

柱の開発に意を注いだわけだ。

私は印刷会社のオーナー経営者をやっていて詳しいのだが、リョービはアメリカの小型印刷機メーカーであるマルチプライの約半額で高性能の小型印刷機を開発している。

自社開発の商品であるから、日本の約二万一千社の印刷会社に自社で決定した値段で商品を販売している。私の会社でも小型の両面印刷機が七台入っているが、評判はすこぶる良い。今や、小型印刷機分野のトップとなっている。

昨今、釣リブームであるが、リョービは、印刷機メーカーとしてょりも、はるかに釣り具メーカーとして有名である。全国の釣り具の販売店に来る顧客にリョービのファンは多い。

また、電動工具メーカーとしてのリョービを、建築関連の職人で知らない人はいない。電動工具分野から生まれたのが建築用品であるが、ここにも進出している。

私は、時々、このリョービの浦上社長とゴルフをするが、ロングヒッターである。それは、自社にゴルフ道具の部門があるからだ。

東京企業情報管理協同組合の代表理事をしている友人の眩ヶ山さんがデパートのスポーツ用品のコーナーでリョービの短尺のクラブを見つけてこっそり贈ってくれたが、なかなか手触りが良い。

このように、柱が多く、また、それぞれの柱の展開を海外で積極的に進めている。

一つに偏重することは、危ない会社をつくる典型である。

旭化成は宮崎輝氏の社長時代から多角的な柱の構築をしてきた会社で、三百三十もの分野を持っている。多少の不況には耐えられる態勢である。

鐘紡も、紡績以外にカネボウ化粧品や、ハリスをM&Aしてカネボウ食品を築き、機械や住宅まで柱を作って久しい。

大きくても、小さくても、業種や業態が異なっていても、事業家は新しい柱の構築を怠ってはいけない。

ホリプロは、芸能プロダクションとしてはじめて東京証券取引所に店頭公開した会社である。

公開する何年も前に、社長(当時)の堀威夫さんは、和田アキコをはじめ、どんなメインタレントでも、一人の全体に占める売上比率は二五%以上にしないと言っていた。

つまり、柱が少ないと危機に耐えられないことを、賭け事のような芸能業界で既に知っていたのだ。

事業を長く続けていくためには、事業も、商品も、得意先も、マーケットも、店舗も、工場も、 一つから、二つ、三つと増やし、五つ以上の収益の柱を築いていくことを勧めてやまない。

そうすることが危機へのヘッジであり、永く続けていくための急所なのだ。企業は、急激な根本の変化に追随できない。

原材料の変化、システムの変革、法律の改正、マーケットの変貌、敵の急登場、地震をはじめ天変地異、方法の変化など、根本の変化に対応するためには、長期の視点で考えると、五つの柱を築く以外にない。

つまり、 一つが三〇%のマイナスになっても、全体が五つあれば全く問題ないし、もし、五つのうち一つが完全にゼロになっても、全体では二〇%のマイナスでしかない。そういう要素を作ることだ。

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