◆9割の社長が間違える「ナンバー2の選び方」
会社は、ナンバー2の実力で決まる。よく「社長の実力で会社は決まる」と言われますが、じつはそれは大間違い。本当に大事なのはナンバー2の方です。しかし、これを安易に捉えてはいけません。「ナンバー2が大事」と聞くと、ほとんどの人が「それなら優秀な人をナンバー2に据えよう」とすぐに考えるが、これがまた、とんでもない間違いだからです。ナンバー2を選ぶ際、大切なのは「社長とレベルに差がない」という点。社長がAランクの優秀者なら、ナンバー2もAランクかBランクの人を選ぶのは大いにけっこうです。しかし、社長がCランクなのに、優秀なAランクをナンバー2に据えても絶対にうまくいきません。うまくいかないどころか、会社は赤字続きになります。社長が五〇メートルを一五秒で走るのに、ナンバー2が九秒で走るようでは、その会社はダメになるに決まっています。優秀なナンバー2に、肝心の社長がついていけないからです。反対もまた同様です。これが「ナンバー2の実力で会社は決まる」という言葉の真意です。こうしたことは実際よくある話で、株式会社オフィスダイナマイツの内山雅貴社長は夫婦で同じ会社で働いています。旦那が社長で、奥さんがナンバー2。奥さんがとにかく優秀で、能力が高いです。この会社がどうなっていたかといえば、定石通り、損益分岐点をヨタヨタと越えていた。あるとき私は実践幹部塾に参加している奥さんにこっそり言いました。「会社が儲らないのは、奥さん、あなたのせいですよ。社長は能力が低いんだから、奥さんは社長のスピードに合わせて仕事をしなきゃいけない。奥さんが実力通りのスピードで仕事をすると夫婦が〝フーフー〟になっちゃって、会社がうまくいかなくなるよ」もちろん奥さんは驚いていました。しかし賢い奥さんは、自分のレベルを下げて、社長に合わせて仕事をするようになり、その後、会社は三年間で売上げが二倍になり、インフラに投資して利益が向上してます。会社とはそういう所です。人間の心理を考えれば、じつに当たり前の話です。高校野球を思い浮かべてみてください。地区大会でいつも出ると負けのチームに、全国大会で決勝に進む強豪校から選手が一人入ってきたら、チームは強くなるでしょうか。
何もわかっていない人ほど「戦力アップだ!」と無邪気に大喜びしますが、そんなもの、うまくいくわけがありません。一流の選手から見れば、チームメイト全員が下手クソに見えるし、練習もぬるく感じられて仕方ありません。反対にチームメイトから見れば、一流選手は上手すぎて一緒にがんばろうという気持ちになれません。一流選手の言うこと、やることに、いちいち反感を覚える選手も出てきます。それが人間の心理です。会社も同じで、人間の心理を無視して経営などできません。ナンバー2は、社長に比べて優秀すぎても、無能すぎてもダメです。◆「優秀すぎる人」は迷わず不採用これはナンバー2に限らず、社員すべてに言えることです。だから武蔵野は「能力がこの範囲内の人」とレベルを決めて採用しています。優秀すぎる人間も、無能すぎる人間も、同じく不採用にする。こう言うと「優秀すぎる人材も不採用にするんですか?」と驚かれますが、人間心理を理解していれば当たり前です。高校野球の例でもわかる通り、ずば抜けて優秀な人が入ってきたら、本人も、周りもおもしろくない。できる人はできない人の気持ちがわからないし、できない人はできる人をやっかむから、結果としてお互い居心地が悪い。そんな状況で、いい仕事ができるはずはありません。経営で大事なのは人間心理に則ること。それを無視して、「とにかく優秀な人材を採ろう!」「優秀な人材をナンバー2に据えよう!」と考えるから、会社がダメになる。
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