8どんなときに部下の心は離れるでしょうか社員研修では個人面談をやります。
そのとき上司を尊敬できないという話を聞くことがあります。
もちろん、そうであっても上司には従いましょうと諭します。
ただ、聞く話は「もっともなことだ」と思うことが多いのも事実です。
いちばん多いのは、ルールを守れと部下には命令しておきながら、自分は守らないという上司です。
会議などの集合時間に遅れる。
書類の提出期限を過ぎる。
作業手順を無視する。
報告、連絡、相談をおろそかにする。
基本的な社内ルールを守れない上司は尊敬されません。
心の中で軽蔑されています。
軽蔑されている上司がこうしなさい、ああしなさいと言っても、部下はすなおに受け止めません。
なんだ、自分はやっていないくせにと思います。
部下を統率できない。
部下が思うように動いてくれない。
こういう悩みは多いのですが、原因の8割は部下の心が離れているからです。
まさに面従腹背の状況なのです。
顔では従っているようですが、心の中は別のことを考えています。
上司は厳しい目にさらされています。
次のことには気をつけましょう。
公私混同。
言行不一致。
金品を私する。
部下のえこひいき。
上に弱く下に強い態度。
ウソ、ごまかし、その場しのぎをする。
上司や会社の悪口を陰で言う。
弱音を吐く。
マイナス思考が多い。
部下の手柄を横取りし、責任は下に押しつける。
優柔不断で決定できない。
部下のことより自分を優先する態度。
これらのことは人間的未熟さから、いけないと分かっていてもついやってしまいます。
多かれ少なかれみんなやっていることです。
ある程度ならいいだろうと思って、やっています。
しかし重要なことは、それでよしとしないことです。
うっかりやってしまっていたら、いけないことをしてしまったと反省をすることが「人間的に成長する」ための第一歩です。
社員に尊敬されている二代目社長がいて、私用電話は休憩時間に私用の携帯を使っていました。
まあいいかではなく、いけないことは絶対やらないというけじめを身につけましょう。
基本的な社内ルールを守れない上司は尊敬されません。
いけないことをしたという反省が、人間的に成長する第一歩です。
9明るい上司と暗い上司のもっとも大きな違い、「運気」とは明るい上司からは元気をもらえます。
「運気」があがります。
つらいとき、苦しいとき、なんとかなると思います。
希望を明るい上司からもらえます。
明るい顔をしましょう。
明るい言葉をかけましょう。
営業で売り上げの目標達成がなかなか厳しい。
部下は上司に報告します。
「数字が伸びません。
状況が悪いです」「心配するな。
この方法がある。
やってみなさい。
きっとうまくいく」明るい表情でこう言えば、部下はあきらめずにもっと頑張ってみようと思います。
決して暗い言葉を言ってはいけません。
なぜなら「運気」がさがります。
「そうだね。
厳しいな。
やっぱりムリかな」部下は意欲を失います。
目標達成への動きが弱くなり、惰性に流れます。
製造現場では、計画通りに生産ができなくなることがあります。
機械の不具合や不良品の発生など様々にトラブルが起きます。
このとき明るい上司と暗い上司では、解決のスピードに違いが出ます。
困ったことがあっても、明るい上司は、元気な声を出します。
にこにこしています。
部下は安心して隠しごとがなくなります。
上司にありのままを報告できます。
上司は何がトラブルの原因なのかを早くつかめます。
ですから対策が的確に取れて早く問題が解決します。
暗い表情で陰気な声を出す人は暗い上司です。
部下は緊張します。
暗い気持ちなります。
叱られるかもしれないと恐る恐る報告します。
都合の悪いことを隠そうとします。
言い訳が多くなります。
報告内容が具体性に欠けてきます。
原因を突き止めるのに時間がかかり、対策を打つのが遅れ解決に時間がかかります。
明るい上司は、部下が慕ってくるのでコミュニケーションがよくとれます。
暗い上司は、部下が避けるのでコミュニケーションが不足します。
明るい心で、明るい表情と、明るい声と、明るい言葉をたくさん出していきましょう。
明るい上司のもとでは、部下が安心し、希望を持ち、よく努力します。
明るい心になると「運気」があがり、明るい表情と、声と、言葉が出てきます。
10上司の笑顔に心が引きつけられますあなたは怖い顔をしていますか。
笑顔が多いですか。
上司たるもの、威厳がなくてはいけない。
だから貫録をつけるためにも少しくらい怖い顔をしていたほうがいい。
こう思う人もいるようです。
しかし、部下から見れば、近寄りがたく、困ったことがあっても相談しにくくなります。
部下からの情報が少なくなります。
問題点が部下から上がってこない恐れもあります。
反対に、自信がなくおどおどした上司がいます。
暗い顔をしています。
分からないことを訊いてもはっきり言いません。
答えないで逃げます。
部下が頼りなく思うでしょう。
自信がない上司はきっと心に余裕がないのでしょう。
怖い顔の人も同じです。
精いっぱい突っ張っているのは、余裕がない表れです。
怖く見せないと、部下は言うことをきかないと思っているのでしょうね。
ではどういう表情がいいのでしょうか。
笑顔がいちばんだと思います。
怖い顔をする必要はありません。
笑顔の多い上司に、部下の心は引きつけられます。
叱られたとき、どうなるかと思ったが、最後の上司の笑顔で救われたという部下がいました。
難しい仕事を与えられて不安だったとき、「だいじょうぶ。
君ならきっとできる」と、笑顔で言われて元気が出たという部下がいました。
笑顔の上司からは信頼と安心感を得られます。
笑顔には人の心を動かす力があります。
笑顔が足りない上司は、「笑顔トレーニング」をしましょう。
目を閉じて、顔の筋肉をやわらかくなでて緩めてください。
次に眉を引きあげて上を見ます。
そのあと、目じりをさげ口角を上げます。
前歯を少し見せるぐらいにします。
「ウイスキィー」「キウイ」「キムチ」など「イ」の発音が多い言葉を言いましょう。
鏡を見て、自分の笑顔を作ってみましょう。
にっこり10回ほど微笑んでください。
毎朝、出社する前に自宅で笑顔を作ると、心が明るく変化してきます。
怖い顔、暗い顔よりも、笑顔のある上司に心を引きつけられます。
出社する前に自宅の鏡の前で、「笑顔トレーニング」をしましょう。
11あいさつに表れた品格には説得力がありますあいさつはその人の人柄を表します。
あいさつの良し悪しで、好感を持つこともあれば、嫌な気持ちにさせられることもあります。
部下の皆さんからこんな不満を聞いたことがあります。
上司にあいさつしたときに、上司があいさつを返してくれませんでした。
その部下は肩透かしを食ったような気持になったそうです。
部下は上司に従うものだという組織のルールがあります。
ところが、部下が上司に従わず動きの悪い職場があります。
決まってあいさつの悪い職場に多い現象です。
納品クレームが多く、悩んでいる運送会社の社長から相談を受けたことがあります。
納品のとき、チェックが不徹底で、納品ミスが起きていました。
なんど注意しても、会議をおこなっても、勉強会を開いても、なかなかミスは減りません。
配送するのに時間が足りない。
急ぐのでチェックに手間をかけられない。
ある程度の誤配は仕方がない。
こんな言い訳が出てきました。
この会社もあいさつが悪い職場でした。
あいさつは仕事に関係ない。
上司があいさつしないのだから自分たちもしなくてよい。
こう考える人が多くいました。
その社長に、納品ミスが月間ゼロを更新している会社を紹介しました。
そこを訪問すると、駐車場で通り過ぎる人が立ち止まって「いらっしゃいませ」と言い、深くお辞儀をしました。
受付では近くにいた人が総立ちであいさつし出迎えてくれました。
悩んでいた社長は帰るとき、「とても品のいいあいさつですね」と言いました。
そして自分があいさつの模範を示し、管理者のあいさつをしっかりさせていくと決意していました。
その後、社長や管理者が研修を受け、社員も研修を受けるようになると、職場のあいさつがすばらしく良くなりました。
納品ミスもすっかりなくなりました。
あいさつは人の品格を高め、説得力があり、仕事を丁寧にしていく効果があると確信します。
あいさつは人柄を表し、品格を表します。
あいさつが丁寧な人は、仕事も丁寧です。
13部下の心に残った感謝の言葉上司の言葉は影響力があります。
自分のミスでお客様のクレームが起きて、その対応で苦労した人の体験です。
やっと解決して上司に報告したとき、厳しく叱られるかと覚悟していたら、「たいへんだったね。
丁寧に対応してくれて、ありがとう」と言われたそうです。
この部下は、一生この上司についていこうと思ったそうです。
ある人はこの上司を甘いと思うかもしれません。
ミスをした部下にもっと厳しく言わないと、同じミスを繰り返す。
厳しく叱るべきだ。
たしかにそういうことも言えます。
ただ、この場合はたぶん充分に部下が反省していると、上司は思ったのでしょう。
そして部下の真剣なお客様への対応と苦労に心を通わせ、心を一つにしたのだと思います。
簡単に言えば、部下の気持ちを分かってあげたのです。
上司と部下の関係は、仕事を中心にした関係です。
ですから上司が嫌な人だなと思っても、部下は従わなくてはなりません。
好き嫌いで上司を選べません。
それだけに部下の心が分かる上司の「ありがとう」が深く響いたのでしょう。
しかし、部下に迎合して、仕事を甘くする上司は最低です。
こんな上司は部下も軽蔑するでしょう。
そうではなく、仕事は厳しく部下に求めてください。
そして、上司に持ってほしいのは部下への「感謝の心」です。
部下が一生懸命に仕事に取り組んでいる。
これに対して当たり前だという気持ちでいるのと、ありがたいことだ、部下のお蔭で自分の仕事と責任が果たせるという感謝する気持ちがあるのとでは、発する言葉に人間味の違いが出てきます。
部下の努力と苦労に、「ありがとうございます」と、感謝の心を伝えましょう。
ここで紹介した上司と部下は、私の知人ですが、上司が事情により会社を辞め、起業したとき、その部下はあとを追って入社し、上司を支え新しい会社を大きくしました。
上司に持ってほしいのは、部下への「感謝の心」です。
部下に対する感謝の気持ちがあると、発する言葉に人間味が出てきます。
14身だしなみに表れる品性と信用あなたの部下は身だしなみが良いでしょうか。
あなた自身はどうでしょうか。
ひげが伸びて、頭髪や服装が乱れてはいないでしょうか。
女性の方なら、化粧が濃く極端ではありませんか。
上司は自分だけではなく、部下を通して部門の仕事をやり遂げ責任を果たしています。
その部下はいろいろな人と接して仕事を進めています。
相手があなたの部下をどう判断するかで仕事が進めやすくなるか、やりにくくなるかに関係してきます。
人間的に信用できるのか。
疑わしい、信用できそうにないと思われれば、受け入れてくれるまでに説得の時間もかかり、理解されるにはかなりの努力が必要でしょう。
会ったときの最初の印象が大事です。
この印象が悪いと、警戒してなかなか相手は打ち解けてくれません。
印象が良ければ、信用してくれて話を進めやすくなります。
印象は何が決め手になるでしょうか。
身だしなみが印象の9割を決めるという統計があります。
ある意味、これは真理です。
人間的にしっかりして信用できる人は、外見の身だしなみにも気を配り、清潔にして服装なども整えているからです。
身だしなみには、人としての品性が表れるのです。
上司は、部下の身だしなみに関心を持ちましょう。
注意するのは、頭髪、ひげ、フケ、爪、服装、ネクタイ、靴、女性ならそのほかに化粧、アクセサリー、ヘアスタイルなどです。
清潔が第一です。
頭髪、ひげ、爪は、毎日の手入れを徹底しましょう。
服装は、ユニフォームや作業服など常に洗濯させましょう。
女性には控えめな化粧を選ばせましょう。
上司自身が身だしなみを整えましょう。
できていないと規律が乱れがちになります。
寝癖を髪に残して出社するような上司だと、一事が万事、部下も気が緩みます。
服装が乱れるだけでなく、時間にもルーズになりなにごとも徹底しなくなります。
営業、店舗スタッフ、サービス業など、お客様と接する人は、身だしなみがとくに重要です。
信用される人は身だしなみに気を配り、そこに品性が表れています。
上司の身だしなみが悪いと、規律が乱れなにごとも徹底しなくなります。
15気配りの声かけを部下は待っていますいつもより部下は元気がありません。
あなたはこういう部下を見てどうしていますか。
とくに何もしない。
この上司は鈍感か、面倒くさがり屋のなまけものです。
ヤル気がないので気合を入れる。
ピントはずれの指導で自己満足する上司です。
元気がないのは部下自身が問題を抱えているからだと思える上司は、気配りができる能力があります。
部下の心を引き寄せる何かを持っている人です。
もちろん、部下はただなんとなくヤル気がないときもあるでしょう。
それでも、そこにはそれなりの原因があるものです。
たとえば仕事がマンネリになって、仕事の目標を見失っていることがあります。
これを放置していると、とくに若い社員は転職を考えだします。
社員の定着率が悪くなります。
新卒社員などは、学生気分が抜けず友達と夜遅くまで遊びまわり、睡眠不足で元気がないこともあります。
生活指導をしないと、仕事のミスが増え退職につながります。
ベテラン社員の場合は、私生活に問題を抱えていることがあります。
子供の不登校や病気、親の介護、近所とのトラブル、経済問題など様々あります。
いつもは元気で動きも良かったのに、最近、仕事に集中できていないようだと思ったら、上司から声かけしてください。
「元気がないようだが、心配ごとがありそうだね。
よかったら相談に乗るよ」ベテラン社員は責任感が強いので、上司に迷惑をかけたくないと思っています。
相談したい気持ちがあっても遠慮をするのです。
上司から気配りしてあげましょう。
仕事の目標を持っている部下は目が輝いているものです。
そうでなければマンネリになっていることが考えられます。
部下から愚痴や言い訳が出てくることもあるでしょう。
頭ごなしに抑えるのではなく、よく聞いてあげて新しい目標を探してみましょう。
仕事だけではなく、私生活や健康面までともに悩みともに喜ぶ上司でありたいものです。
いつもより元気のない部下は、それなりの問題や原因を持っているものです。
「よかったら相談に乗るよ」と、上司から声かけしてください。
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