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過去の償却率から一九%と設定する

以上で新規設備投資の枠が設定された。では減価償却はどのように推移するのであろうか。

それを実証してみることにしよう。

ここで、社長が代わらない限り固定資産の償却率は変わらない傾向がある、と先に述べた

ことを思い出していただきたい。このことは一度、読者の会社でも試算していただければご

納得いただけるはずだが、Jスポーツの過去のデータを分析してみると、直前三期が一八・

一%、直前二期が一八・二%、直前期で一九%であった(紙面の都合で細かな計算は省く)。

あるときは建物、あるときはPOS、あるときは店舗内装の大幅改装というように、償却率

の異なる設備投資をしているはずなのにこの結果である。つまり社長は投資項目別の償却率

を細かく押さえる必要がないのである。社長としてつかむ数字は、これが大事なのだ。そこ

でJ社長は今後の償却率を、固めに一九%としてみた。

次に、既存資産の償却費の算出である。直前期の固定資産の残高は二億六八七八万六〇〇〇

円であった。初年度の期首残高に、この数値を転記し、その一九%、七〇〇六万九〇〇〇円

が償却費となる。二年度は期首残高と償却費の差額、二億九八七一万七〇〇〇円が期首残高

となり五六七五万六〇〇〇円の償却費となるわけである(第15表の上欄参照)。

それでは新規投資分はどうなるのか。さきほど初年度二億円と設定したが、年度のいつの

時期に実施するのかで償却率は違ってくる。年度の冒頭に実施するなら丸々一九%の償却で

あるが、年度末なら二%にもならない。そこで年度の真ん中で実施すると考え、償却の対

象を半分の一億円とするのである。つまり初年度の投資額は、期首残高二億円、償却費は

一九〇〇万円と記入するわけだ。二年度は償却費との差額一億八一〇〇万円が残高となり、

こんどは丸々償却の対象となるから一九%の三四二九万円が償却費として記入されることに

なるわけだ。これに既存資産の償却分五六七五万六〇〇〇円、二年度の新規投資二億円に対

応した償却費一九〇〇万円を加えたものが二年度の償却費総額となる。同様の単純な計算を

繰り返して出来上がったのが、第15

表にほかならない。

さてJ社長の「減価償却に付加価値の五%を配分する」という当初の方針はどうであった

ろうか。第1

6表の別欄にある数字は、運営基本計画から転記したものであるが、社長の示し

た枠内に、各年度の償却費が見事に収まっていることが分かるだろう。J社長の五%という

数値はなかなか的を射ていたことが、これで実証されたわけである。

しかしここで大きな問題は、この五年間の減価償却費の累計と比べて、投資額が著しく上

回っていることである。このことの可否については、次章に述べる資金運用表の手法によっ

て完全にチェックされることは言うまでもない。

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