8 運用 “8運用”は旧規格の箇条7に比べ,大幅に書き換えられた. “8.1運用の計画及び管理”に続き, “8.2前提条件プログラム(PRPs)”, “8.3トレーサビリティシステム”, “8.4緊急事態への準備及び対応”を整備した上で, “8.5ハザードの管理”において, ■HACCP手順1~手順5 ① 原料,材料及び製品に接触する材質の特性 ② 最終製品の特性,さらに, ③ 意図した用途を明らかにし, ④ フローダイアグラム及び工程の記述を行い, ⑤ フローダイアグラムを現場確認し,それらの情報を踏まえて, ■ HACCP手順6 ⑥ ハザード分析を行い,PRPを実施しても発生し,CCP又はOPRPで管 理する必要がある重要なハザードを絞り込み, ⑦ それら重要なハザードの管理手段を決定し,それら管理手段をCCPか OPRPに分け, ③ 管理手段の妥当性確認を行い, ■HACCP手順7~手順12 ⑨ ハザード管理プラン(HACCPプラン及びOPRPプラン)を確立し, 実施し,維持し, ⑩ CCPには許容限界を,OPRPには処置基準を規定し, ① CCPにおける及び各OPRPのモニタリングシステムを確立し, ⑫ 許容限界又は処置基準が守られなかった場合の措置を規定し, ⑬ ハザード管理プラン(HACCPプラン+OPRPプラン)を実施し, ⑭ PRP及びハザード管理プランを規定する情報を更新し⑮ モニタリング及び測定の管理を行い, ⑩ PRP及びハザード管理プランに関する検証活動を確立し,実施し, ⑫ 製品及び工程の不適合を管理し, まで含む箇条となっている。
この中で,“ 8.4緊急事態への準備及び対応”は旧規格には明記されていな かった箇条である。
8。
1 運用の計画及び管理 8 )匡用 8.1 運用の計画及び管理 組織は,次に示す事項の実施によって,安全な製品の実現に対する要求事項を満たす ため,及び6.1で決定した取組みを実施するために必要なプロセスを計画し,実施し, 管理し,維持し,かつ,更新しなければならない. a)プロセスに関する基準の設定 b)その基準に従った,プロセスの管理の実施 c)プロセスが計画どおりに実施されたことを示すための確信をもつために必要な程度 の,文書化した情報の保存 組織は,計画した変更を管理し,意図しない変更によって生じた結果をレビューし, 必要に応じて,あらゆる有害な影響を軽減する処置をとらなければならない。
組織は外部委託したプロセスが管理されていることを確実にしなければならない (7.1.6参照). =規 格解説 “8.1運用の計画及び管理”は“8運用”全体の要求事項を包括して規定 している.この部分はマネジメントシステムの上位構造(High Level Structure: HLS)に基づいており,1日規格にはない部分である。
=具 体的な考え方《8.1》 例えば,プロセスは要求事項を満たし,計画され,実施され,及び管理さ れ,かつ“6.1リスク及び機会への取組み”で特定されたアクションも求めら れる。
それを行うため,プロセスに関する基準の設定,それらのプロセスの管理(control)の実施及び必要となる文書化された情報の保存が求められる。
本規格では安全な製品の実現のため要求事項を満たす必要があるプロセス は,基準を満たすように管理し,文書が必要となった。
また計画の変更及び外 部委託したプロセス(“ 7.1.6外部から提供されるプロセス,製品又はサービ スの管理”)に関する要求もこの箇条に導入された。
8.2 前提条件プログラム(PRPs) 8.2 前提条件プログラム(PRPs) 8.2.1 組織は,製品,製品加工工程及び作業環境での汚染物質(食品安全ハザードを 含む)の予防及び/又は低減を容易にするために,PRP(s)を確立,実施,維持及び更 新しなければならない. =規 格解説 本規格では,PRP[前提条件プログラム,以下“PRP”という.英語では PRP(単数)とPRPs(複数)を使い分けている。
本書での表記を“PRP”に 統一した]を確立し,実施し,維持及び更新することを求めている。
ハザード分析を行う前に,製品,製品加工工程及び作業環境での汚染(食品 安全ハザードを含む)の防止及び/又は低減を容易にするために,PRPを確 立し,確実に実施すべきである。
通常,一般的に呼ばれているPRPは“一般衛生管理プログラム”であり, 製造業であれば適正衛生規範(GHP:Good Hy」ene Practice)や適正製造 規範(GMP:Good Manuhcturing Practice),一次生産であれば適正農業 規範(GAP:Good Agricultural Practice)や適正養殖規範(GAP:Good Aquaculture Practice),適正獣医規範(GVP:Good Veterinary Practice) などが該当し得る。
したがって,食品製造・加工施設であれば,PRPはGHP 又はGMPとなる。
また,衛生標準作業手順(SSOP:Sanitation Standard Operating Procedures)はPRPのうち,主に洗浄消毒等の衛生管理の手順並 びに実施状況の確認の手順及びその記録に特化した部分である。
PRPは“PP”と略していた場合もあるが“prerequisite”の4番目のアル ファベット“r”を略称に含むか含まないかの違いがあるだけで,同じもので ある。
製品中の汚染物質,製品加工工程での汚染物質及び作業環境での汚染物質 (ここでいう“汚染物質”には,食品安全ハザードを含むが,それ以外のカ ビ,酵母,腐敗微生物による汚染物質も含む)の防止, さらには低減を容易に するための手順を確立,実施,維持及び更新する必要がある. 8.2.2 PRP(s)は,次のとおりでなければならない。
a)食品安全に関して組織及びその状況に適している. b)作業の規模及び種類並びに,製造される及び/又は取り扱われる製品の性質に適し ている. c)全般に適用されるプログラムとして,又は特定の製品若しくは工程に適用されるプ ログラムとして,生産システム全体で実施される. d)食品安全チームによって承認されている. =規 格解説 “8.2.2″は,PRPに対する要求事項を記載している。
食品安全に関して組織及びその状況に適していることとは,組織の実情に照 らして食品安全を達成するために必要と判断される事柄を意味する。
例えば, 微生物をコントロールすることが重要な製品を製造している場合では,微生 物の汚染を防ぐPRPが必要になってくる.業種・業態,製品の構成,工場の 設備・レイアウト,要員の構成,工場の立地条件といった様々な要因に影響さ れる。
ある組織にとって必須のPRPが,他の組織にとっては必要のないもの である場合もある。
a)とb)では,食品安全に影響する組織固有の様々な条件 を勘案してPRPを決定することを求めている。
当然,作業の規模及びタイプ (大企業か小企業か,従業員数),製造又は取り扱っている製品の性質(調理済 み食品か原材料か)によってPRPは変わってくる。
c)では,PRPは特定の製品や一部のラインや,一部の区画を対象に計画さ
れるものもある。
しかし,その管理する対象はインフラストラクチヤと作業環 境であるため,周辺の製品・ライン・区画と関連があり,システム全体におけ る連携が必要になってくる。
ここでは,その関連を考慮してPRPの計画を行 うことを求めている。
PRPは工場全体で適用可能なプログラム,特定の工程 (例えば,加熱後の食肉製品のスライスを行う工程。
この工程で働く従事者の 作業服や入室手順は他の作業室より衛生的に厳しいなど)にのみ実施されるプ ログラムがあり得る。
いずれにしても,生産システムで実施するPRPは全て 対象とする必要がある。
d)では,PRPが食品安全チームによって承認されることを求めている. 8.2.3 PRP(s)を選択及び/又は確立する場合,組織は,適用される法令,規制及び相 互に合意された顧客要求事項が特定されることを確実にしなければならない。
組織は, 次のことを考慮することが望ましい。
a)ISO′TS 22002シリーズの該当する部 b)該当する規格,実施規範及び指針 =規 格解説 ここでは外部にある既存の情報(例えば,ISO/TS 22002シリーズの該当す る技術仕様書,食品衛生法,食品衛生法に基づく規格基準などの法令,規制要 求事項,顧客要求事項)を考慮して利用することを要求している。
さらに,認 識されている指針,コーデックス委員会(Codex)の食品衛生の一般原則及び 種々の実施規範等,国際規格又はセクター規格の中で適切なものを考慮するこ とを推奨している. 我が国では,“ 食品等事業者が実施すべき管理運営基準に関する指針(ガイ ドライン)”(平成16年2月27日,食安発第0227012号別添)は,コーデッ クス委員会の“食品衛生の一般原則の規範”(CAC/RCP l‐ 1969 Rev.4‐ 2003) の内容を考慮したものとなっている。
その他,業界団体の指針・顧客の要求な ども,PRPの選択・確立の際に考慮することが推奨されている。
PRPは既存のプログラムから選択してもよいし,組織がゼロから作成し
確立してもよい。
当然ながら,都道府県知事が規定した管理運営基準,食品衛 生法に基づく規格基準等は考慮する必要がある。
また, コーデックス委員会の 実施規範,弁当そうざいの衛生規範等も該当する場合には考慮することが望ま しい。
8.2.4 PRP(s)を確立する場合,組織は,次の事項を考慮しなければならない. a)建造物,建物の配置,及び付随したユーテイリティ b)ゾーニング,作業区域及び従業員施設を含む構内の配置 c)空気,水,エネルギー及びその他のユーティリテイの供給 d)ペストコントロール,廃棄物及び汚水処理並びに支援サービス e)装置の適切性並びに清掃・洗浄及び保守のためのアクセス可能性 0 供給者の承認及び保証プロセス(例えば,原料,材料,化学薬品及び包装) g)搬入される材料の受入れ,製品の保管,発送,輸送及び取扱い h)交差汚染の予防手段 i)清掃・洗浄及び消毒 j)人々の衛生 k)製品情報/消費者の認識 1)必要に応じて,その他のもの 文書化した情報は,PRP(s)の選択,確立,適用できるモニタリング及び検証につい て規定しなければならない. =規 格解説 組織は,a)から1)までの事項に対して,PRPとして確立する必要があるか どうかを検討する必要がある。
a)からk)までは,組織の中で衛生的な環境を 維持するための基本的な事柄である。
a)からk)までの事項は,前述のコーデックス委員会が策定した“食品衛生 の一般原則”の中で食品事業者が一般的な衛生管理を行うに当たって実施すべ き事項として記載されている内容である. PRPを確立する際,考慮すべき事項として,供給者の承認及び保証プロセス, 搬入される材料の受入れ,製品情報/消費者の認識(これはコーデックス委員 会の食品衛生の一般原則には含まれる)が新たに加わった。
また, このセクシ
ョンに特定された文書化した情報,すなわち選択,確立,適用できるモニタリ ング及び検証についても要求されるようになった. PRPの適用できるモニタリングは要求されている(“ 8.7モニタリング及び 測定の管理”)。
また,PRPに対しては,検証することが要求されている[関 連として,“ 8.8.1検証”のa)で“PRPが実施され,かつ効果的である”こと の検証を要求している]. 組織は,PRPが最新であることを確実にする必要がある(“ 8.6 PRPs及び ハザード管理プランを規定する情報の更新”). マネジメントレビューでは,PRPに関する検証活動の結果を考慮する必要 がある(“ 9.3.2マネジメントレビューヘのインプット”)。
食品安全チームは,確立したPRPのレビューが必要かどうかを考慮する必 要がある(“ 10.3食品安全マネジメントシステムの更新”). 結果,必要があるならば,組織はPRPの修正を行わなければならない。
検証とモニタリングは,観察/′測定が伴うという点では似ているが,PRP の検証は活動の後で適用され,適合の確認に関する情報を提供するのに対し て,モニタリングはプログラムの状況を確定するために,点検,監督又は注意 深い観察を行うことであり,活動の最中に適用され,規定された時間内での行 動について情報を提供する[“3.27モニタリング(監視)”“ 3.45検証”を参 照]. 検証及び修正については,記録が要求されている。
検証の記録に関しては, “8.8 PRPs及びハザード管理プランに関する検証”でも要求がある.また, PRPの更新の記録は10.3で規定されている食品安全マネジメントシステム更 新活動の記録というところで同様に要求されている。
8。
3 トレーサビリティシステム 8.3 トレーサビリティシステム トレーサビリテイシステムは,供給者から納入される材料及び最終製品の最初の流通 経路を一意的に特定できなければならない。
トレーサビリテイシステムの確立及び実施 の場合,少なくとも,次の事項を考慮しなければならない. a)最終製品に対する受入れ材料,原料及び中間製品のロットの関係 b)材料/製品の再加工 c)最終製品の流通 組織は,適用される法令,規制及び顧客要求事項が特定されることを確実にしなけれ ばならない. トレーサビリテイシステムの証拠としての文書化した情報は,少なくとも,最終製品 のシェルフライフを含む定められた期間,保持しなければならない。
組織は, トレーサ ビリティシステムの有効性を検証,試験しなければならない。
注記 該当する場合, システムの検証は,有効性の証拠として最終製品量と材料量 との照合を含むことが期待される。
・:・規格解説 “8.3トレーサビリテイシステム”は基本的には旧規格と変わらないが,い くつか新しい要求事項が追加された.トレーサビリテイシステムの確立及び実 施の場合,材料/製品の再加工を検討しなければならなくなった. 第1段落では, トレーサビリティシステムヘの要求として,“ a)最終製品 に対する受入れ材料,原料及び中間製品のロットの関係”“b)材料/製品の 再加工”“ c)最終製品の流通”を考慮して,適用される法令,規制及び顧客要 求事項が特定されることを確実するシステムを確立し,適用することが要求さ れている。
組織に対し,最終製品のあるロットの製造して用いた原料ロットや 材料がどこから納入されたのか,中間製品の再加工がある場合は, どの最終製 品に用いたのか, さらに組織の最終製品をどこにどのようにして引き渡したの かを明確にするよう求めている。
これは,組織のトレーサビリテイシステムを フードチェーンの上流。
下流のトレーサビリティシステムとつなげるための要 求である.今回の改訂では,原材料又は製品の再加工のトレーサビリティが要 求事項として加わっている。
8.3は,回収と事故の原因究明を容易にすることにつながる.また,過去 に,組織が販売した最終製品の信頼性を確かめる意味でも有効である.我が国 では,“食品等事業者の記録作成及び保存に係る指針”(平成15年8月29日 付,食品安全発第0829001号の別添)に同様の要求がある. 第2段落は, トレーサビリテイ記録について記載している.記録の保管期 間は,食品を取り扱う組織では,賞味期限に基づいて決めている場合が多い が,必ずしもそれだけに限定されるわけではなく,検証の必要性を考慮して決 めるべきである。
第3段落では,組織は, トレーサビリテイシステムの有効性を検証,試験 しなければならないとしている。
注記として,システムの検証には,効果の証拠として,原材料の量と最終製 品の量の確認を行うことを含めることが期待されている。
8。
4 緊急事態への準備及び対応 8.4 緊急事態への準備及び対応 8.4.1 -般 トップマネジメントは,食品安全に影響を与える可能性があり,またフードチェーン における組織の役割に関連する潜在的緊急事態又はインシデントに対応するための手順 が確立していることを確実にしなければならない. これらの状況及びインシデントを管理するために,文書化した情報を確立し,維持し なければならない。
=規 格解説 “8.4緊急事態への準備及び対応”は旧規格では“5経営者の責任”の下位 にあったが,本規格では,“ 8運用”のもとに場所が移動したのと,“ accident” からヽncident”に変更されたが,本質的には変わらない.“incident”は顕在 しないイベントも含むのに対して,“ accident”は実際に悪いことが発生する という,限定された意味合いをもつため,変更されたと考えられる。
トップマネジメントは,発生の可能性のある緊急事態及びインシデントを考
慮し,これらを管理する手順を確立しなければならない.ここでいう“緊急事 態”とは,“ 8.4.2緊急事態及びインシデントの処理”の注記にあるように自 然災害,環境事故,バイオテロ,作業場での事故,公衆衛生での緊急事態及び その他の事故(水,電気又は冷媒供給等食品の製造加工に不可欠なサービスの 中断)などが該当すると考えられる。
“緊急事態及びインシデントを管理する ための手順”とは,発生前の準備と発生時の対応手順,発生後のレビューと改 訂についての手順などが考えられる. これらの状況及びインシデントを管理するために,文書化した情報を確立 し,維持する必要がある. 8.4.2 緊急事態及びインシデントの処理 組織は,次の事項を行わなければならない. a)次により,実際の緊急事態及びインシデントに対応する. 1)適用される法令・規制要求事項が特定されることを確実にする. 2)内部コミュニケーション 3)外部コミュニケーション(例えば,供給者,顧客,該当する機関,メデイア) b)緊急事態又はインシデントの度合い,及び潜在的な食品安全への影響に応じて,緊 急事態のもたらす影響を低減する処置をとる。
c)実務的であれば,手順を定期的に試験する。
d)何らかのインシデント,緊急事態の発生又は試験の後は,文書化した情報をレビュ ーし,必要に応じて更新する. 注記 食品安全及び/又は生産に影響を与える可能性のある緊急事態の例は, 自然 災害,環境事故,バイオテロ,作業場での事故,公衆衛生での緊急事態及び その他の事故,例えば,水,電力又は冷媒の供給などの不可欠なサービスの 中断である. =規 格解説 組織の内部のコミュニケーション及び組織の外部とのコミュニケーション (例えば,供給者,顧客,該当する機関,メディア)により,実際の緊急事態 及びインシデントに対応することを要求している. また,組織は,緊急事態又はインシデントの度合い,及び潜在的な食品安全への影響に応じて,緊急事態の結果の重大性を低減する処置をとることを要求 している. さらに,現実に実行可能であれば,対応手順が効果的に機能するか,定期的 に試験(例えば,模擬緊急事態に対するシミュレーション)することが求めら れている。
最後に,何らかのインシデント,緊急事態又は試験の後は,文書化した情 報,手順をレビューし,問題が発見された場合には,必要に応じて緊急事態及 びインシデント対応手順を更新することが求められている。
8.5 ハザードの管理 8.5 ハザードの管理 8.5。
1 ハザード分析を可能にする予備段階 8.5.1.1 -般 ハザード分析を実施するために,食品安全チームは事前情報を収集し,維持し,更新 しなければならない。
これには次のものを含むが,これらに限らない。
a)適用される法令,規制及び顧客要求事項 b)組織の製品,工程及び装置 c)FSMSに関連する食品安全ハザード =規 格解説 “8.5ハザードの管理”は旧規格の“hazard analysis”すなわち7.3,7.4, 7.5,7.6及び8.2から発展拡大したものであり,ハザード分析を可能とする準 備段階,ハザード分析及び管理手段及びその組合せの妥当性確認,ハザード管 理プラン(HACCP/OPRPプラン)をカバーしている。
“8.5.1.1-般”では,“ ハザード分析を実施するために必要な事前情報を収 集し,維持し,更新しなければならない。
“旨を要求している。
その収集対象 としては“a)法令,規制及び顧客要求事項”“ b)組織の製品,工程及び装置”“ c) FSMSに関連する食品安全ハザード”が列挙されているが,これは例示に過 ぎず,ハザード分析を実施するために必要な関連情報はこれらに限らない。
“8.5ハザードの管理”では,ハザード分析を実施するために必要な関連情報ということで,次の文書化が要求されている. ① 原料,材料及び製品に接触する材料の特性(8.5.1.2) ② 最終製品の特性(8.5.■ 3) ③ 意図した用途(8.5.1.4) ④ フローダイアグラム及び工程の記述(8.5.1.5) 133 8.5。
1.2 原料,材料及び製品に接触する材料の特性 組織は,全ての原料,材料及び製品に接触する材料に対する適用される全ての法令・ 規制食品安全要求事項が特定されることを確実にしなければならない. 組織は,全ての原料,材料及び製品に接触する材料に関して,必要に応じて,次のも のを含め,ハザード分析(8.5。
2参照)を実施するために必要となる範囲で文書化した 情報を維持しなければならない. a)生物的,化学的及び物理的特性 b)添加物及び加工助剤を含む,配合された材料の組成 c)出来(例えば,動物,鉱物又は野菜) d)原産地(出所) e)生産方法 0 包装及び配送の方法 g)保管条件及びシェルフライフ h)使用又は加工前の準備及び/又は取扱い i)意図した用途に適した,購入した資材及び材料の食品安全に関連する合否判定基準 又は仕様 =規 格解説 “8.5.1.2原料,材料及び製品に接触する材料の特性”は,コーデックス委 員会のHACCP手順2(製品の仕様,特性について記述する)に該当し,原 料・材料の情報として,a)からi)を考慮して,原料・材料に由来するハザー ドを遺漏なく列挙し,“ 8.5.2.2.1″で必要となる範囲内で記載することを要求 している。
従来のコーデックス委員会のHACCP手順2では,原料・材料及び製品に 接触する材料については列挙することが求められていたが,本規格では,情報 として挙げるべき事項を, より具体的,かつ, より詳細に示している。
a)の“生物的,化学的及び物理的特性の例”を次に示す。
生物的特性:マイクロフローラ,用いたスターターカルチャー及びその活 性 化学的特性:自然毒(キノコ。
アフラトキシン・フグ毒など),動物用医 薬品・農薬の使用, タンパク質の組成, ラクトースや脂肪 含量,塩分濃度,pH,水分活性又は水分含有量,包材の材 質,アレルギー原因物質の有無 物理的特性:物性(固体,液体,柔らかさ,硬さ,外観,酸化還元電位な ど),異物(金属片,ガラス片など)の混入状況 b)の“添加物及び加工助剤を含む,配合された材料の組成”の例としては, 原料。
材料として使ったもの(牛肉,パン粉,香辛料等),添加物(クエン 酸,レーグルタミン酸ナトリウム,乳酸,塩化マグネシウム,塩酸,二酸化ケ イ素等)などがある。
c)の“由来(例えば,動物,鉱物又は野菜)”は,動物由来,鉱物由来又は 植物由来の油脂なのか等のことを意味する. d)の“原産地(出所)”は,生産者,産地(国。
地域・耕作地,貝の採捕地 など),製造工場,購入先などを意味しており,そこに記載される内容は,組 織が属するフードチェーンにおける位置付けや購買先との関係によって変わっ てくる。
e)の“生産方法”は,水耕栽培や養殖方法,動物の飼育方法(平飼い,ケ ージ飼いなど)を意味している。
0の“包装及び配送方法”は,包装としては,包装形態,包装材料の材質, 封入資材(窒素,脱酸素剤など)などが考えられ,配送方法は,配送時の温度 条件(常温,冷蔵,冷凍など),時間,積載方法,運送会社の指定といった情 報が考えられる。
g)の“保管条件”は,保管時の温度条件(常温,冷蔵,冷凍など)と時間, 許容される箱の積み上げ高さなど,“ シェルフライフ”としては,消費期限, 賞味期限,使用期限といったものが考えられる。
h)の“使用又は加工前の準備及び/又は取扱い”としては,加熱の必要性, 解凍方法, カッターナイフや衝撃による容器の破損などが考えられる。
i)の“意図した用途に適した,購入した資材及び材料の食品安全関連の合否 判定基準又は仕様”は,購買先と交わした原料。
材料を受け入れるための基準 /仕様といったものが考えられる. 8.5.1.3 最終製品の特性 組織は,生産を意図している全ての最終製品に対する適用される全ての法令・規制食 品安全要求事項が特定されることを確実にしなければならない. 組織は,最終製品の特性に関して,必要に応じて,次のものの情報を含め,ハザード 分析(8.5.2参照)を実施するために必要となる範囲で文書化した情報を維持しなけれ ばならない。
a)製品名又は同等の識別 b)組成 c)食品安全に関連する生物的,化学的及び物理的特性 d)意図したシェルフライフ及び保管条件 e)包装 0 食品安全に関する表示及び/又は取扱い,調理及び意図した用途に関する説明 g)流通及び配送の方法 =規 格解説 “8.5.1.3最終製品の特性”も“8.5.1.2原料・材料及び製品に接触する材 料”に続き, コーデックス委員会のHACCP手順2(製品の仕様,特性につ いて記述する)に該当し,法令・規制要求があればその要求を特定すること と,ハザードの評価に必要な情報を記載し,維持することが要求されている。
8.5,1.3は旧規格から変更はない。
最終製品の特性としては,例えば,b)の“組成”については,保存料など の食品添加物だけではなく,アレルギー原因物質の有無についても特定し,記 載する必要がある.また,c)の“食品安全に関連する生物的,化学的及び物 理的特性”には,酸化還元電位・水分活性・pH,最終製品において許容され る一般生菌数や添加物量などが含まれる.d)の“意図したシェルフライフ及
び保管条件”には,シェルフライフとしては消費期限,賞味期限,使用期限と いったものが考えられ,保管条件には,常温,直射日光を避ける常温,冷蔵と 時間,冷凍などが考えられる。
e)の“包装”には,含気包装,真空包装,窒 素の封入。
脱酸素剤の使用などが考えられる。
0の“食品安全に関する表示及び/又は取扱い,調理及び意図した用途に関 する説明”には,加熱加工用か生食用か,加熱調理上の注意事項,加熱条件な どが考えられる. g)の“流通及び配送の方法”には,冷蔵・冷凍配送,積み重ね禁止,食品 以外の貨物との混載禁止等が考えられる。
“8.5.1.2″と“8.5.1.3″で挙げられている事項は,フードチェーンの本流に あり,直接食品を扱っている組織にとっては,妥当な内容のものである。
しか しながら,各種のサービス業者や間接的に関与する組織の場合には,挙げられ た事項を適用できない場合も考えられる。
その場合は,適宜,適用できる範囲 で文書に規定しなければならない。
“原料・材料及び製品に接触する材料”はフードチェーンの上流である供給 者や請負業者から流れてくる情報であり, “最終製品の特性”はフードチェー ンの下流である顧客・消費者に流す情報であることがわかる. 製品の特性及び意図した用途の情報は, フードチェーンの中においては,同 じ事柄を上流と下流から見たものになる。
つまり,供給者にとっての最終製品 の特性と意図した用途は,ユーザにとっては原料・材料及び製品に接触する材 料の情報となる。
したがって,“ 8.5.1.2″や“8.5.1.3″で挙げられた事項を適切に準備するた めには,組織のフードチェーン内の位置付けを考慮して,食品安全を確保する ために必要なフードチェーンの上流から流れてくる情報と,フードチェーンの 下流に流す情報を収集し,それを“原料。
材料及び製品に接触する材料”と “最終製品の特性”の情報を文書化すればよい
8.5.1.4 意図した用途 意図した用途は,合理的に予測される最終製品の取扱いを含めて,最終製品の意図し ないが合理的に予測されるあらゆる誤った取扱い及び誤使用を考慮し,かつ,ハザード 分析(8ふ2参照)を実施するために必要となる範囲で文書化した情報として維持しな ければならない. 必要に応じて,各製品に対して,消費者/ユーザのグループを特定しなければならな い。
特定の食品安全ハザードに対して,特に無防備と判明している消費者/ユーザのグル ープを特定しなければならない。
=規 格解説 “8.5.1.4意図した用途”は, コーデックス委員会のHACCP手順3(奥食 方法,使用方法について確認する)に該当する。
“8.5,1.4″も旧規格から大き な変更はない。
意図した用途の情報は,喫食段階において許容水準を逸脱しないための組織 の製品における許容限界を設定し,それに必要な管理手段の組合せを選定する ための助けとして必要となる。
製品又は製品分類別に消費者/ユーザを明らかにし,特定のハザードに対す る感受性の高い集団(ハイリスク・グループ)があれば,その影響を考慮しな ければならない.ハイリスク・グループの例としては,特定の食品に対してア レルギーをもつ人,腎臓や肝臓に疾患をもつ人,免疫不全者,老人,乳幼児, 妊婦などが考えられる. “合理的に予測される最終製品の取扱いを含めて,最終製品の意図しないが 合理的に予測されるあらゆる誤った取扱い及び誤使用”というのは,当然予測 されてしかるべき問題が発生しないように,誤使用や誤った取扱いの可能性を 考慮しておくということである.例えば,冷蔵で保存することを想定して設計 されているが, レトルトパウチ食品(常温保管品)と酷似したパッケージで販 売された製品があった場合に,消費者が間違って室温で保管することにより, 食中毒事故が発生する可能性がある。
また,クッキーを焼成する前の生地をペ ロッと紙めないようにと表示しても,消費者が焼成前に味見のために紙めるの
で,紙めても安全なように組成を変更した事例もある。
8.5。
1.5 フローダイアグラム及び工程の記述 8.5。
1.5。
1 フローダイアグラムの作成 食品安全チームは,FSMSが対象とする製品又は製品カテゴリー及び工程に対する 文書化した情報として,フローダイアグラムを確立,維持及び更新しなければならな い。
フローダイアグラムは工程の図解を示す。
フローダイアグラムは,食品安全ハザード の発生,増大,減少又は混入の可能性を評価する基礎として,ハザード分析を行う場合 に使用しなければならない. フローダイアグラムは,ハザード分析を実施するために必要な範囲内で,明確で,正 確で,十分に詳しいものでなければならない。
フローダイアグラムには,必要に応じ て,次の事項を含めなければならない. a)作業における段階の順序及び相互関係 b)あらゆる外部委託した工程 c)原料,材料,加工助剤,包装材料,ユーテイリテイ及び中間製品がフローに入る箇 所 d)再加工及び再利用が行われる箇所 e)最終製品,中間製品,副産物及び廃棄物を搬出又は取り除く箇所 =規 格解説 “8.5.1.5フローダイアグラム及び工程の記述”は作成,現場での確認並び に工程及び工程環境の記述の3部分から構成される。
“8.5.1.5フローダイアグラム及び工程の記述”は,コーデックス委員会の HACCP手順4(製造工程をフローダイアグラムとして示す)とHACCP手順 5(フローダイアグラムを現場で確認する)に該当している。
工程の流れと工程間の相互関係を把握するための手段として,フローダイア グラムの作成が求められている。
“フローダイアグラム”(3.17)は,“プロセ スにおける段階の順序及び相互関係の図式的並びに体系的提示”と定義されて いる.フローダイアグラムの最も重要な目的は,工程に由来する食品安全ハザ ードの発生,増大,減少又は混入の可能性を評価し,重要なハザードの特定を 容易にすることである。
フローダイアグラムは,製品又は工程の種類に対して作成しなければならない。
本規格におけるフローダイアグラムヘの要求では,必要に応じて,a)から e)までの事項を含めるように規定されている. a)は, フローダイアグラムの定義における表現とほぼ同様の内容であり, 通常の作業工程における仕事の流れとその結び付きを意味している。
b)は,製造。
加工工程の一部又は全部が外部に委託された場合や,敷地内 の業務を委託した場合にも同様に,工程の流れとその中での相互の結び付き及 び組織の工程との結び付きをフローダイアグラムとして表現することが求めら れている。
作業を組織外に委託したとしても,その部分をブラックボックスと して扱うことは許されず, フローダイアグラムの中に正確に記載することが求 められている。
c)は,原料,材料,加工助剤,包装資材,添加物などの副原材料,ユーテ イリテイ及び中間製品(前処理)したものが工程に入り込む(合流する)位置 を明確にし,それをフローダイアグラムの中で表現することを要求している。
d)の“再加工及び再利用”とは,製造・加工中に不適合など何らかの理由 でいったん工程から取り除かれた中間品が再び工程に戻されて利用されるよう な場合や,一度は製品になったものが何らかの理由で販売できなくなり,工程 に戻されて利用されるような場合,納入された原材料が何らかの理由でそのま までは使えない状態であることが判明した場合などが考えられる.そして,こ れらのものが工程に戻される場合には,そのまま又は別途の製造・加工工程を 経て使用されることとなる.こういったものが工程のどの位置に入れられるの か,そして,工程に入れられる前には何らかの製造。
加工工程を必要とするの かしないのかといったことを明確にした上で,それをフローダイアグラムの中 で表現することを要求している。
なお,工程内で仕掛品が発生し,一時的に保 管された後に再び使用されるといったことが起こるのであれば,それについて もフローダイアグラムに盛り込まなければならない。
e)では,工程内で発生したもの(最終製品,中間製品,副産物及び廃棄物) が工程から排出又は取り除かれる位置をフローダイアグラムの中で明確にする
ことを要求している.取り除かれる理由としては,製品の完成や出荷,不適合 品の発生,利用できない部分が集められて廃棄されることや,仕掛品を一時的 に保管庫に移動といった様々なことが考えられる。
参考として,図2.1にフローダイアグラムの一例を示す.この例は,ハザー ド分析の手順を説明するために作成したもので,必ずしも現実の製造現場にお ける工程の流れが同じ方法で表現できるとは限らない。
業界団体等が作成した HACCP手引書等にも, フローダイアグラムの例が種々示されているが,個々 の組織における製品・工程・設備等の特異性を考慮したフローダイアグラムを 作成することが,より実情に即した結果が得られ,ハザード分析に必要な情報 を提供することになる。
現場の状況は変化する可能性があるものなので,一度作成されたフローダイ アグラムが現場の変化についていけなくなることを防ぐために更新を行わなけ ればならない。
このようにして,フローダイアグラムを検証した結果は,後の 解析に役立てるため,記録として維持することが求められている。
8.5.1.5.2 フローダイアグラムの現場確認 食品安全チームは,現場確認によって,フローダイアグラムの正確さを確認し,必要 に応じて更新し,文書化した情報として保持しなければならない. =規 格解説 “8.5.1.5.2フローダイアグラムの現場確認”は,コーデックス委員会の HACCP手順5(フローダイアグラムを現場で確認する)に該当している.1日 規格では7.3.5.1(フローダイアグラム)の最終段落であったが,今回の改訂 では独立している。
フローダイアグラムは,図上で作成されればそれでよいというものではな く,その中で表現されている工程の順序や相互関係が現場で行われている作 業と一致していなければ意味をなさず,ハザード分析の資料として役に立たな い。
食品安全チームによる現場確認はそのために行われる。
現場確認によって フローダイアグラムの正確さを検証した結果,必要に応じて更新したフローダ イアグラムは文書化した情報として保持しなければならない。
8.5。
1.5.3 工程及び工程の環境の記述 食品安全チームは,ハザード分析を行うために必要な範囲内で,次の事項を記述しな ければならない. a)食品及び非食品取扱い区域を含む構内の配置 b)加工装置及び食品に接触する材料,加工助剤及び材料のフロー c)既存のPRPs,工程のパラメータ,(もしある場合は)管理手段及び/又は適用の 厳しさ,若しくは食品安全に影響を与え得る手順 d)管理手段の選択及び厳しさに影響を与える可能性のある外部要求事項(例えば,法 令及び規制当局又は顧客から) 予想される季節的変化又はシフトパターンから生じる変動は,必要に応じて,含めな ければならない. 記述は必要に応じて更新し,文書化した情報として維持しなければならない
=規 格解説 “8.5.1.5.3工程及び工程の環境の記述”は旧規格では“工程の段階及び管 理手段の記述”(7.3.5.2)であったが,本規格では“工程及び工程の環境の記 述”に改められた表題であり,環境もコントロールする必要があるというコン セプトを明確に示している. 食品安全チームは,ハザード分析を行うために必要な範囲内で,次の事項を 記述しなければならない。
a)の“食品及び非食品取扱い区域を含む構内の配置”は,工場配置図や説 明図を使って,製品以外の流れ(例えば,空気の流れや人の移動,機材の移 動,供給資材の流れ)を把握するための補助的な図面を作成することがハザー ドの発生・増大の可能性を知る上で有用な場合もある。
例えば,工場配置図面 上に人の移動や原料資材の移動などを書き込んだ動線図は,交差汚染の可能性 について有益な情報を与えてくれる。
ハザード分析のために, どのようなフロ ーチャートが必要かということについては,業種や製品の構成,規定要求事項 の内容などによって判断されることとなる. b)の“加工装置及び食品に接触する材料,加工助剤及び材料のフロー”は 加工装置のハザードコントロールに影響を与え得る特性,性能,能力及び加工 装置等の食品に接触する部分の材料(これは食品への移行の可能性を含め), 加工助剤のハザード分析に影響する特性,材質,性能等の記述が含まれる。
ま た材料のフローは施設の図面上に記載することもできる. c)の“既存のPRP,工程のパラメータ,(もしある場合は)管理手段及び/ 又は適用の厳しさ,若しくは食品安全に影響を与え得る手順”は,PRPとし ては,洗浄消毒の洗剤や消毒剤の種類と濃度と作用時間,加エパラメータとし て温度と時間など,ハザード分析に影響し得る情報を記載する。
d)の“管理手段の選択及び厳しさに影響を与える可能性のある外部要求事 項(例えば,法令及び規制当局又は顧客から)”としては,食品衛生法に基づ く製造基準であるとか,顧客から低温殺菌でχ日の消費期限を求められたと か,塩分濃度を抑え,かつy日の賞味期限を求められたなどが考えられる。
これらの情報として,季節的変化で数値の変化が予想される場合や,シフト パターンから変動が生じる可能性がある場合には,必要に応じて,そういった 情報も含めることが求められる.これは新しい要求事項である. これらの記載は必要に応じて更新し,文書化した情報として維持しなければ ならない。
8.5.2 ハザード分析 8.5.2.1 -般 食品安全チームは,管理が必要なハザードを決定するため,事前情報に基づいてハザ ード分析をしなければならない。
管理の程度は,食品安全を保証するものでなければな らず,必要に応じて,管理手段を組み合わせたものを使用しなければならない. =規 格解説 “8.5.2ハザード分析”はコーデックス委員会のHACCP手順6(ハザード 分析を行う)に該当している.事前情報,すなわち“8.5.1ハザード分析を可 能にする予備段階”で収集した情報に基づいてハザード分析をしなければなら ない. 本規格では,ハザード分析は次の三つの段階で行うとしている。
① ハザードの特定及び許容水準の決定(8.5.2.2) ② ハザード評価(8.5.2.3) ③ 管理手段の選択及びカテゴリー分け(852.4) 8.5.2では,これらの評価を通じて,各ハザードに対して要求される管理の 程度とその管理を行うための管理手段の組合せを決定することを要求してい る。
=具 体的な考え方《8.5.2.1》 コーデックス委員会の原則1・原則2は,CCPを決定するためのものであ る。
本規格では,特定された食品安全ハザードをOPRPとHACCPプランの 組合せで管理するためのハザード分析を要求している。
本規格では,ハザード分析の手法について指定はしていないが,表2.6に示すような様式を用いて, PRPではコントロールできない重要なハザードを特定し,それらをOPRP又 はCCPでコントロールすることになる。
ここでは,図2.1(140ページ参照) で取り上げた加熱スライスハムの“9加熱”及び“11スライス”工程のハザ ード分析の例を示した。
これもOPRPとCCPの説明のためのものであり,実 際の製造工程にそのまま適用できるものではない. ハザード分析にはいろいろなフォーマットが存在するが,潜在的なハザード を重要なハザードに絞り込めれば, どのようなフォーマットでも構わない。
表 2.6にハザード分析の様式(ワークシート)の一つを示す。
このフォーマット では,第1欄は“原材料/工程”となっている.そして,第2欄で食品安全 ハザードを生物的,化学的,物理的に分けて,その工程で混入/増大/管理す る可能性のあるハザードを列挙することを求めている(“ 8.5.2.2ハザードの 特定及び許容水準の決定”に対応).第3欄では,それぞれのハザードに対し て,“ 食品安全に対する重要なハザードか?”という設間に対して“イエス/ ノー”で答えるようになっている.この設間は“8.5.2.3ハザード評価”のハ ザード評価に対応しており, この設間に対して“ノー”と答えた場合には,該 当するハザードはPRPで管理されていなければならない。
第4欄では第3欄 の根拠を示すことになっており,これは8.5.2.3で要求しているハザード評価 結果の根拠を示した記録となる。
第5欄では,“ その重要なハザードに対する 管理手段”を記載することになっており, これは“8.5.2.4管理手段の選択及 びカテゴリー分け”における管理手段の選択に該当する。
第6欄では,“ この 工程は重要管理点(CCP)か?”という設間に答えることになっている.“ 9 加熱”は最終製品の安全性を確保するために不可欠の工程であり,“ イエス” と評価され,その管理手段はHACCPプランで管理することになる。
“11ス ライス”工程は,第3欄では“イエス”と評価されたもののHACCPプラン で管理することは難しいため,第6欄で“ノー”とし,OPRPで管理すると 判定する.これは8.5.2.4の管理手段の判定に該当する。
ここで示した表2.6は判定の事例を示したものである。
8。
5.2.2 ハザードの特定及び許容水準の決定 8.5.2.2.1 組織は,製品の種類,工程及び工程の環境の種類に関連して,発生すること が合理的に予測される全ての食品安全ハザードを特定し,かつ,文書化しなければなら ない。
特定は,次の事項に基づかなければならない. a)8.5。
1に従って収集した事前情報及びデータ b)経験 c)可能な範囲で,疫学的,科学的及びその他の過去のデータを含む内部及び外部情報 d)最終製品,中間製品及び消費時の食品の安全に関連する食品安全ハザードに関する フードチェーンからの情報 e)法令,規制及び顧客要求事項 注記1 経験は,他の施設における製品及び/又は工程に詳しいスタッフ及び外部 専門家からの情報を含めることができる. 注記2 法令・規制要求事項は食品安全目標(FSOs)を含むことができる.コー デックス食品規格委員会はFSOsを“消費時の食品中にあるハザードの 最大頻度及び/又は濃度で,適正な保護水準(ALOP)を提供又はこれに 寄与する.”と定義している. ハザード評価及び適切な管理手段の選択を可能にするために,ハザードを十分,詳細 に考慮することが望ましい. =規 格解説 ここではまず,発生することが合理的に予測される全てのハザードを特定す ることを要求している.つまり,生産物(例えば,家禽,乳,魚),工程(例 えば,搾乳,と殺,発酵,乾燥,貯蔵,輸送),処理施設(例えば,閉鎖/開 放回路,乾燥/湿潤処理環境)の形態によって理論的に起こる可能性のあるハ ザードをリストアップしなければならないということである. 特定されたハザードは,文書化しなければならない。
ハザードの特定は,“ 8.5.2.2.1″の次のa)からe)の事項に基づかなければ ならない。
a)の“8.5.1に従って収集した事前情報及びデータ”とは,次のものである。
① 原料・材料及び製品に接触する材料に関する情報(8.5.1.2) ② 最終製品の特性に関する情報(8.5.1.3)
③ 意図した用途(8.5.1.4) ④ フローダイアグラム(8.5.1.5) ⑤ 工程及び工程の環境の記述(8.5.1.5.3) b)の“経験”とは,食品安全チームのメンバー若しくはFSMSの要員がもつ食 品安全に関する経験的な知識である。
経験には,他の施設における製品及び/ 又は工程に詳しいスタッフ及び外部専門家からの情報を含めることができる。
c)の“疫学的な情報”とは,食中毒調査の結果から判明した病因物質と食 品と汚染因子(原料・材料。
工程・設備・製品など)に関する情報や食品中の 食中毒菌汚染実態調査の結果など,起こりやすいことが予測されるハザードの 種類といった情報や,内閣府に設置される食品安全委員会のリスクプロファイ ルなどである。
また,組織内部で蓄積した原材料や最終製品の自主検査の結果 も科学的な情報に含まれる。
d)の“フードチェーン”からの情報としては,上流からは原料・材料の管 理状況に関する情報,下流からはクレーム情報や製品の使用目的といった情報 などが考えられる.また,監督官庁や業界団体などから得られる食品安全に関 する情報もハザードを明確化するために考慮する必要がある. e)の“法令,規則及び顧客要求事項”で,ハザードの特定に関連する部分, 例えば,規格基準が設定された背景となった食品中のハザードに関する情報や それによる食中毒情報は考慮する必要がある。
ハザード評価及び適切な管理手段の選択を可能にするために,ハザードを十 分に,詳細に考慮することが望ましいとされている。
8.5.2.2.2 組織は,各食品安全ハザードが存在し,混入され,増加又は存続する可能性 のある段階(例えば,原料の受入れ,加工,流通及び配送)を特定しなければならない. ハザードを特定する場合,組織は次の事項を考慮しなければならない. a)フードチェーンにおいて先行及び後続する段階 b)フローダイアグラム中の全ての段階 c)工程に使用する装置,ユーテイリテイ′/サービス,工程の環境及び要員
=規 格解説 “8.5.2.2.1″のa)からe)までがハザードを特定するために利用することが 要求されている情報源であり, “8.5.2.2.2″では,そのハザードが存在し,混 入し,増加又は存続する可能性のある段階を特定することが要求されている. ハザードを明確にするためには,8.5.2.2.2のa)からc)の事項を考慮するこ とを要求しているが,これらの多くは8.5.2.2.1のa)からe)で与えられた情 報から読み取られるべきものである。
a)は,組織がヒスタミン産生魚の加工施設である場合,漁船やその後の輸 送段階におけるヒスタミンコントロールの情報は必須である。
さらに,仮に一 度加熱してヒスタミン産生菌を死滅させたとしても,その後,二次汚染を受け た場合,出荷後の流通や配送の工程でのヒスタミン産生をコントロールする手 段を考えなければならない。
また,b)の“フローダイアグラム中の全ての段階”をなぜ考慮する必要が あるかというと,ハザードが発生する工程(例えば,冷凍魚を切断する鋸の刃 の破片混入)とそのハザードに対する管理手段(包装後に,全ての製品を作動 確認した金属探知機を通過させる)が適用される工程が違う場合があるので, 工程の流れをよく考えなければならないということで挙げられている。
c)の“工程に使用する装置,ユーティリティ/サービス,工程の環境及び 要員”は,使用する装置によっては,ある組織ではそこでハザードが発生する かもしれないが,別の組織の類似装置であっても,ハザードが発生しない装置 がある。
あるいは同じ工程でも,要員の経験が豊富で二次汚染のハザードを起 こさない組織がある一方,同じ作業を行っても経験不足で二次汚染の確率が高 い組織もあり得るので,ここに掲げた事項はよく考慮する必要がある。
なお, “工程の環境(process enviroment)”は旧規格の“surroundings”から置き 換わった用語,また“要員”は本規格で追加された事項である。
8.5.2.2.3 組織は,特定された食品安全ハザードのそれぞれについて,最終製品におけ る許容水準を,可能なときはいつでも決定しなければならない. 許容水準を決定する場合,組織は次の事項を行わなければならない. a)適用される法令,規制及び顧客要求事項が特定されることを確実にする。
b)最終製品の意図した用途を考慮する。
c)その他の関連情報を考慮する. 組織は,許容水準の決定及び許容水準を正当化する根拠に関して文書化した情報を維 持しなければならない。
=規 格解説 最終製品におけるハザードの許容水準は, フードチェーンの次の段階で食品 安全を確保するために達成しなければならないその製品固有のハザードの水準 を意味する。
決定するハザードの許容水準は,“ 8.5.2.2.3″のa)からc)の事 項を考慮したものでなければならない。
組織は,許容水準の決定及び許容水準を正当化する根拠に関して文書化した 情報を維持しなければならない。
=具 体的な考え方《8.5.2.2.3》 例えば,図2.2はカレーの調理工程におけるウェルシュ菌によるハザードを 考えた場合である.材料の肉。
野菜・香辛料は原料の段階からの汚染により, ウェルシュ菌が存在する。
このハザード(ウェルシュ菌)は,冷却工程の不適 切な温度/時間の管理により加熱工程で生残した芽胞が発芽し,増殖する。
ま た,再加熱の温度/時間が不十分だと生残する.文献によれば,ウェルシュ菌 の発症菌量は107~ 8 CFU/人以上であると報告されているので,当該最終製品 を100g喫食する場合,許容水準は105~ 6 CFU/最 終製品(g)と考えられ,そ れを達成するため,冷却工程及び再加熱の温度/時間を管理することが管理 手段となる(許容水準に関するデータは,文献や情報によって差異があり, ま た,取得したデータもその後の研究の進展によって変更が必要になってくる場 合もある).
ハザードを明確にするためには,適切な文献を参照することが望ましい。
特 に原材料に存在するハザードについては,病原微生物の種類(例えば,牛肉中 の腸管出血性大腸菌,卵のサルモネラ,二枚貝のノロウイルス),物理的な異 物(例えば,どの工程・機械器具由来の鉄片,ガラス片,骨片),化学的成分 (例えば,鉛,水銀又は殺虫剤のような化学物質)などである。
工程において は,微生物の汚染,増殖,生残はまったく異なる事象なので,分けて考えるべ きである. 8.5.2.3 ハザード評価 組織は,特定されたそれぞれの食品安全ハザードについて,その予防又は許容水準ま での低減が必須であるかを決定するために,ハザード評価を実施しなければならない。
組織は,次の事項に関して,それぞれの食品安全ハザードを評価しなければならな い。
a)管理手段の適用の前に最終製品中で発生する起こりやすさ b)意図した用途(8.5.1.4参照)との関連で起こる健康への悪影響の重大さ
組織は,あらゆる重要な食品安全ハザードを特定しなければならない。
使用した評価方法を記述し,また食品安全ハザード評価の結果を文書化した情報とし て維持しなければならない. =規 格解説 ハザード分析の第2段階である“8.5.2.3ハザード評価”では,先の“8.5.2.2 ハザードの特定及び許容水準の決定”において,特定された潜在的なハザード に対して,その予防又は許容水準までの低減が必須であるかどうかを決定する ために評価する. 評価のポイントは,a)管理手段の適用の前に最終製品中で発生する起こり やすさと,b)意図した用途(8.5.1.4参照)との関連で起こる健康への悪影響の 重大さを評価して,本規格で新たに導入された重要な食品安全ハザード(si」‐ nincantおOd saおty hazard)を特定することである。
PRPの運用や通常の加工手順を実施することにより,その食品安全ハザー ドに対して決定した許容水準以下を達成できるのであれば,次の8.5.2.4で要 求される管理手段の選択は必要ではない. ハザードに対して,健康への悪影響の重篤性及びその起こりやすさについ て,その程度をどのように評価し,その組合せをもとに管理の必要/不必要を 判断するための方法論の決定は,組織に任されている。
使用した評価方法を記載し,また食品安全ハザード評価の結果(すなわち, 重要な食品安全ハザードの選定結果とその理由)を文書化した情報として維持 しなければならない. ハザード評価の手法の例としては“COMMISSION NOTICE on the imple― n■ entation of food safety rnanagement systen■ s covering prerequisite progralis( PRPs)and procedures based on the HACCP principles,including the facilitation/nexibiity of the inlplementation in certain f。
。
d businesses (2016/C278/01)”に詳細に紹介・報告されているので,参照されたい。
=具 体的な考え方《8.5.2.3》 健康への悪影響の重大性では,致死的なのか,後遺症が残る場合があるの か,一過性の患者に限定された下痢程度,発生した場合の広がりの可能性など を考慮した上で,その程度を判断する。
ハザードが許容水準を超えて危害が発 生する可能性をプロセスや設備,環境,製品の種別,過去のデータ,最近の事 例などをもとに判断する。
表2.6で示した様式を使ってハザード分析を行うことが,ハザード評価の方 法論の一つとなり得る。
8.5.2.4 管理手段の選択及びカテゴリー分け 8.5.2.4.1 ハザード評価に基づいて,組織は,特定された重要な食品安全ハザードを予 防又は低減して,規定の許容水準にすることができる,適切な管理手段又は管理手段の 組合せを選択しなければならない. 組織は,選択され特定された管理手段を,OPRP(s)(3.30参照)又はCCPs(3.11 参照)として管理するようにカテゴリー分けしなければならない. カテゴリー分けは,系統的なアプローチを用いて実施しなければならない。
選択した それぞれの管理手段については,次の評価がなければならない. a)機能逸脱の起こる可能性 b)機能逸脱の場合の結果の重大さ.この評価には,次を含む。
1)特定された重要な食品安全ハザードヘの影響 2)他の管理手段との関係における位置付け 3)管理手段が特に,ハザードの許容水準までの低減のために考案され,適用される のか否か 4)単一の手段か又は管理手段の組合せの一部であるかどうか =規 格解説 “8.5.2.4管理手段の選択及びカテゴリー分け”がコーデックス委員会の HACCP原則2(CCPを決定する)に該当する。
表題は旧規格では“管理手 段の選択及び評価”であったが,本規格で“カテゴリー分け”と変更された。
“8.5.2.4.1″が本規格の特徴の一つであり,組織が“8.5.2.3ハザード評価”で 特定した重要な食品安全ハザードに対し,適切な管理手段又は管理手段の組
合せを選択しなければならず,かつ,その管理手段はOPRPかCCPのいずれ かにカテゴリー分けされるということである。
すなわち,重要なハザードは CCP又はOPRPで管理しなければならない。
また,CCPかOPRPであるかのカテゴリー分けは系統的に行わなければな らない. “管理手段”(3.8)の定義は“重要な食品安全ハザード(3.22)を予防又は 許容水準(3.1)まで低減させるために不可欠な処置,若しくは活動。
”であ る。
その記載に当たっては,“8.5.2ハザード分析”を十分信頼に足るものに するために,必要な情報を与える程度に詳細であることが要求される。
管理手段の記載内容には,関連あるプロセスのパラメータ(例えば,温度, 時間,塩分,糖度,水分,pH,圧力,比重,残留塩素濃度)やパラメータの 許容範囲,要求される精度,実施される手順/方式などが含まれる。
OPRPは製造環境からの汚染をコントロールする点ではPRPに近いが, PRPよりもハザード分析の結果,特定されたハザードを許容範囲にコントロ ールする傾向が強い。
また,OPRPの中にはCCPに近いが,数値化された 許容限界を設定できない,あるいは連続的なモニタリングができないため, OPRPと分類される管理手段もある.例えば,加熱食肉製品であるハムを加 熱冷却後スライスする工程で,スライサーの刃がLι sたrじαれοれοりιοgθ “ sに 汚染されている場合,スライスしたハムに同菌が移行することになり, このス ライサーの刃の管理はOPRPとなる.管理手段は,例えば4時間ごとに,ス ライサーの刃を洗浄後,loo(ppm)の次亜塩素酸ナトリウム溶液に浸漬し, 殺菌することとなる。
さらに,選択したそれぞれの管理手段については,次の評価がなければなら ない。
a)機能逸脱の起こる可能性 b)機能逸脱の場合の結果の重大さ,この評価には次を含む. 1)特定された重要な食品安全ハザードヘの影響 2)他の管理手段との関係における位置付け
3)管理手段が特に,ハザードの許容水準までの低減のために考案され, 適用されるのか否か 4)単一の手段か又は管理手段の組合せの一部であるかどうか。
b)1)では,管理手段が機能しなかったときの影響の大きさについて記載し ている。
病原菌を含む可能性がある原材料を扱う場合,加熱工程の機能が不十 分であれば病原菌が生残するため,加熱時間や温度がHACCPプランとして 管理される必要がある。
b)2)は,あるハザードに対する一連の管理手段のフローダイアグラム内の 位置について記載している。
例えば,工程中に金属探知工程が2箇所あり, 前の金属探知工程は後ろの金属探知工程に対して補助的な役割を果たしてお り,後ろの金属探知工程が金属異物の混入というハザードを低減するために主 要な役割を呆たしているということがある。
そういった場合,後ろの工程は CCPと判定される。
b)3)は,ハザードを低減又は除去するために設定された管理手段について 記載している.これはコーデックス委員会のHACCP指針の“decision tree” で,間1,問2ともに“Yes”に場合に該当する。
牛乳の処理工程における殺 菌工程,あるいは金属異物を発見し,除去するための金属探知工程などがハ ザードを低減又は除去するために特別に導入された工程と考えられ,通常は CCPとして管理される。
b)4)は,単一の手段か又は管理手段の組合せの一部であるかどうかという 質問であり,管理手段は単独で機能する場合(例えば,工程の最後に唯一設置 された金属探知機)と,殺菌効果を高めるためにpHと水分活性や加熱を組み 合わせるといった管理が行われることがある。
後者の場合には,pH,水分活 性,加熱温度と時間などをパラメータとして,CCPとして管理することが考 えられる. ハザードを管理するための管理手段の組合せは,“ 8.5.1.5.3工程及び工程の 環境の記述”において,食品安全に影響する可能性のある管理手段として規定 されたものの中から選択されることとなる。
=具 体的な考え方《8.5.2.4.1》 “管理手段の組合せ”とは,一つのハザードについて,それを制御(予防。
除去又は低減)するために必要な管理手段(CCP又はOPRP)のことであり, 必要な管理手段は一つで十分な場合もあれば,複数組み合わされることもある. 8.5.2.4.2 更に,それぞれの管理手段に対して,系統的なアプローチは次の可能性の評 価を含まなければならない. a)測定可能な許容限界及び/又は測定可能/観察可能な処置基準の確立 b)許容限界及び/又は測定可能/観察可能な処置基準内からのあらゆる逸脱を検出す るためのモニタリング c)このような逸脱の場合の, タイムリーな修正の適用 意思決定プロセス及び管理手段の選択並びにカテゴリー分けの結果は,文書化した情 報として維持しなければならない。
管理手段の選択及び厳格さに影響を与える可能性がある外部からの要求事項(例え ば,法令,規制及び顧客要求事項)も文書化した情報として維持しなければならない。
=規 格解説 それぞれの管理手段に対して,次の可能性の評価を含めるとしており,それ は, a)測定可能な許容限界及び/又は測定可能/観察可能な処置基準を設定で きるか, b)許容限界及び/又は処置基準からのあらゆる逸脱を検出するためのモニ タリング方法を設定できるか,さらに, c)許容限界及び/又は処置基準からのあらゆる逸脱の場合の, タイムリー な修正を適用できるか, ということで,これは管理手段に対し,コーデックス委員会のHACCP原則 3,原則4及び原則5を適用できるか,系統的アプローチで評価することを求 めている。
また,重要なハザードに対する管理手段を決定するまでの意思決定プロセ ス及び管理手段の選択の議論の過程やその根拠並びに管理手段をCCPとした
か,OPRPにカテゴリー分けしたか,その判断根拠や上記の評価の結果を文 書化した情報として維持することを求めている。
ハザード分析の最終段階である“8.5.2.4管理手段の選択及びカテゴリー分 け”では,先の“8.5.2.3ハザード評価”において,許容水準を逸脱しないよ うに維持するために管理が必要であると評価された重要なハザードに対して, 予防・除去又は許容水準への低減ができるような管理手段の組合せを選択する 必要がある. 各管理手段について,管理するハザードに対する有効性を確認する。
有効で あれば管理が必要なものとしてOPRPかCCPに分類されることとなる。
管理手段が機能しなくなるおそれがある場合や,製造・加工工程において, ハザードに重大な影響を与える変動がしばしば起こるような場合は,そのハザ ードの管理を十分に行うために,CCPにおいて管理することを求めているが, やむを得ずOPRPで管理しなければならない場合もある. 管理手段の選択及び厳格さに影響を与える可能性がある外部からの要求事項 (例えば,顧客要求事項)も文書化した情報として維持しなければならない。
a)において, “許容限界”(3.12)の定義は,“許容可能と不可能とを分ける 測定可能な値.”であり,その許容の対象は製品そのものである.“総合衛生管 理製造過程”における“管理基準”は,この許容限界のことを指しているが, いわゆる品質管理上の管理基準とは異なる。
“処置基準(action criterion)” (3.2)の定義は“OPRP(3.30)のモニタリング(3.27)に対する測定可能な 又は観察可能な基準.”であり,OPRPが管理されているかどうかを判断する ために,また,許容できるもの(基準が満たされている,あるいは達成されて いることは,OPRPが意図されたとおりに機能していることを意味している) と,許容できないもの(基準を満たしておらず,手段が実施されておらず, OPRPが意図されたとおりに機能していない)とを区別するために処置基準 を確立する。
b)の“許容限界及び/又は測定可能/観察可能な処置基準内からのあらゆ る逸脱を検出するためのモニタリング”では,許容限界又は処置基準を必要な精度で, また速やかに結果が得られる方法で限りなく全数モニタリングできる 方法があるかを記載している.そのようなモニタリングが技術的に不可能であ れば,その管理手段をCCPとして管理することは難しい。
一般的に,設備や 環境からの製品への汚染はPRP又はOPRPで管理することが妥当であると判 断されることが多い。
例えば,加熱食肉製品の加熱後の包装前のスライスエ程 に用いるスライサーの刃の汚染防止は,OPRPで管理されることが一般的で ある. c)は,許容限界又は処置基準からの逸脱の場合,タイムリーな修正が実施 可能かの検討である.“修正”(3.9)の定義は“検出された不適合(3.28)を 除去するための処置。
”となっており,安全でない可能性がある製品の処理を 含む.修正は,例えば,再加工,更なる加工,及び/又は(他の目的に使用す るために処分すること,又は特定のラベルを表示することなど)不適合の好ま しくない結果を除去することが挙げられる。
OPRPとHACCPプランに分類された管理手段も,それらは固定的なもの ではなく,イ可らかの事前情報の更新(原料,設備,要員など)やクレーム, 新たな知見(事故事例,新しいモニタリング技術など)に従って,CCPから OPRPへ, .又はOPRPからCCP′ヽと変更されることがある。
しかしこの場 合は,必ず“8.5.3管理手段及び管理手段の組合せの妥当性確認”の要求事項 に従って,妥当性確認を行わなければならない. OPRPとCCPの分類を行うための方法論とその判断のために用いたパラメ ータ,カテゴリー分けの結果は,文書化した情報として維持しなければならな い。
一般的には,そういった文書として表2.6“ハザード分析ワークシート” のようなものでもよい(145ページ参照).判定した結果は,記録として残さな ければならない. 管理手段の選択及び厳格さに影響を与える可能性がある外部からの要求事項 (例えば,顧客要求事項)も文書化した情報として維持しなければならない。
8.5.3 管理手段及び管理手段の組合せの妥当性確認 食品安全チームは,選択した管理手段が重要な食品安全ハザードの意図した管理を達 成できることの妥当性確認を行わなければならない。
この妥当性確認は,ハザード管理 プラン(8ふ4参照)に組み入れる管理手段及び管理手段の組合せの実施に先立って, また管理手段のあらゆる変更の後に行われなければならない(7.4.2,7.4.3,10.2及び 10.3参照). 妥当性確認の結果,管理手段が意図した管理を達成できないことが明らかとなった場 合,食品安全チームは,管理手段及び/又は管理手段の組合せを修正し,再評価しなけ ればならない。
食品安全チームは,妥当性確認方法及び意図した管理を達成できる管理手段の能力を 示す証拠を,文書化した情報として維持しなければならない。
注記 修正には,管理手段の変更(すなわち,工程のパラメータ,厳密さ及び/又 は管理手段の組合せ)及び/又は原料の生産技術,最終製品特性,流通方法 及び最終製品の意図した用途の変更を含むことができる. =規 格解説 “8.5.3管理手段及び管理手段の組合せの妥当性確認”がコーデツクス委員 会のHACCP原則6(検証方法を設定する)の一部(妥当性確認)に該当し, 旧規格では“8.2管理手段の組合せの妥当性確認”であったものが本規格では 8.5.3に移動したものである。
CCPやOPRPのモニタリングを始める前に妥 当性確認をしなければ意味がないので,作業の順番を考え,この位置に“妥当 性確認”が入っている。
OPRP及びCCPと分類された管理手段及びその組合せは,最初にそれを実 施する前及び変更があった場合には,管理手順が重要な食品安全ハザードの意 図した管理を達成することができるかについて,妥当性確認を行わなければな らない. 妥当性確認の結果,管理手段が意図した管理を達成できないことが明らかと なった場合,食品安全チームは,管理手段及び/又は管理手段の組合せを修正 し,再評価しなければならない。
修正には,管理手段の変更(すなわち,プロ セスパラメータ,厳密さ及び/又は管理手段の組合せ)及び/又は原料の生産 技術,最終製品特性,配送方法及び最終製品の意図した用途の変更を含むこと
ができる。
食品安全チームは,妥当性確認の方法及び意図した管理を達成できる管理手 段の能力を示す証拠を文書化した情報として維持することが求められる。
=具 体的な考え方《8.5.3》 妥当性確認の方法としては,次の各項目が挙げられるが,これに限定される わけではない。
① 他の製品で行われた妥当性確認又は過去の事実に基づく知識の参照 他の製品で適用された妥当性確認に頼る場合には,参照する妥当性確認 で特定されている条件が意図する用途に一致しているかどうかを確認する よう注意することが必要である。
② 模擬的プロセス条件への実験的試行 パイロツトプラント,あるいは研究所ベースの実験的試行をスケールア ップするときは,試行内容が実際の処理パラメータや条件を適切に反映し ていることを確認することが要求される. ③ 通常の活動条件における生物的,化学的及び物理的ハザードのデータの 収集 統計的サンプリング計画と妥当な試験方法を使用して,中間及び/又は 完成した製品の採取と試験を行うことによって収集できる. ④ 統計学的に設計された調査 管理手段のモニタリング結果を統計学的に処理し,その分析結果によっ て妥当性を判断するようなやり方が考えられる。
例えば,過去の製品検査 の実績を判断して妥当であると判断されるような場合である。
⑤ 予測微生物学の利用 例えば,予測微生物学によるモデルを使用して,微生物の増殖等をシミ ュレーションする. ⑥ 規制当局・業界団体の定めた基準/指針の利用
8.5.4 ハザード管理プラン(HACCP′ OPRPプラン) 8.5.4.1 -般 組織は,ハザード管理プランを確立,実施及び維持しなければならない。
ハザード管 理プランは,文書化した情報として維持され,かつ,各CCP又はOPRPの管理手段ご とに,次の情報を含まなければならない。
a)CCPにおいて又はOPRPによって管理される食品安全ハザード b)CCPにおける許容限界又はOPRPに対する処置基準 c)モニタリング手順 d)許容限界又は処置基準を満たさない場合に行うべき修正 c)責任及び権限 0 モニタリングの記録 =規 格解説 “8.5.4ハザード管理プラン(HACCP/OPRPプラン)”には, コーデック ス委員会のHACCP原則3(管理基準を設定する)とHACCP原則4(モニ タリング方法を設定する),HACCP原則5(改善措置の方法を設定する), HACCP原則7(記録の文書化)に該当する部分が含まれている。
本規格には,1日規格にあった“HACCPプラン”という言葉はない。
その代 わり,“ ハザード管理プラン”が用いられている.これは管理手段がCCPと OPRPの2カテゴリーがあるため,ハザード管理プランには,CCPとOPRP の許容限界と処置基準や,それらのモニタリング方法,修正,その記録方法が 含まれることになる。
“8.5.4.1-般”は,8.5.4.2から8.5.4.5の要求事項のまとめを行っており, 8.5.4.1のa)から0の事項で特に違ったものがあるわけではない。
ここではハ ザード管理プランを全体として文書化する要求を行っていることと,ハザード 管理プランはORPR及びCCPごとに作成することを求めている。
d)で要求している修正の文書化は,予想できる範囲内で発生する可能性の ある事態に対する対応を決めておいて,それ以上のことについては責任及び権 限を決めた手順を用意しておいて対応できるようにしておくことである。
具体 的な要求事項は“8.9.2修正”と“8.9.3是正処置”にある。
CCP又はOPRPの管理手段ごとに,次の情報を含むハザード管理プランを 確立,文書化し,実施及び維持することが必要である.a)からd)に示された 内容は,いわゆるHACCP整理表(例えば,後述する表2.9)にある内容である。
a)CCPにおいて又はOPRPによって管理される食品安全ハザード b)CCPにおける許容限界又はOPRPに対する処置基準 c)モニタリング手順 d)許容限界又は処置基準を満たさない場合に行うべき修正 e)責任及び権限 0 モニタリングの記録 表2.7はPRPとOPRPとの比較したものである.OPRPは重要なハザー ドに対する管理手段であり,ハザード分析の結果,決定される。
PRPは通
常,ハザード分析を実施する前に実施され,特定のハザードをコントロールす るのではなく,いわゆる汚染物質を可能な限り低減する性質のものであり, HACCPやOPRPを実施する前に,すべての食品事業者によって行われるべ きものである. 表2.8には,OPRPとCCPとなった管理手段の間で要求される管理の比較 を行ったものである。
CCPの管理手段は,モニタリングにおける許容限界を明確に示す必要があ り,また即応性が求められるという点で特に大きな差がある。
=具 体的な考え方《8i4.1》 表2.9にハザード管理プランの例を示す。
同表は,図2.1(140ベージ参照) の事例をもとに8.5.4.1から8.5.4.5までの要求事項を考慮して作成したもの であるが,必要な事項が入っているのであれば,様式はどのようなものであっ てもよい。
8.5.4.2 許容限界及び処置基準の決定 CCPsにおける許容限界及び,OPRPsに対する処置基準を規定しなければならない。
この決定の根拠を,文書化した情報として維持しなければならない. CCPsにおける許容限界は測定可能でなければならない。
許容限界に適合すること で,許容水準を超えないことが保証されなければならない. OPRPsにおける処置基準は,測定可能又は観察可能でなければならない.処置基準 に適合することで,許容水準を超えないことの保証に寄与されなければならない. =規 格解説 “8.5.4.2許容限界及び処置基準の決定”は, コーデックス委員会のHACCP 原則3(管理基準を設定する)に該当する(ただし, コーデックス委員会に は,OPRPとOPRPに対する処置基準の概念は含まれていない). CCPにおける管理手段が予定どおりに機能し,ハザードが許容水準を逸脱 していないことをモニタリングで速やかに判定できるように許容限界(許容可 能と不可能を分ける判断基準)を決定する。
また,OPRPにおける管理手段 が予定どおりに機能し,ハザードが許容水準を逸脱していないことをモニタリ ングで測定又は観察で判定できるように“処置基準”(3.2)[OPRP(3.30) のモニタリング(3.27)に対する測定可能な又は観察可能な基準]を決定する ことが求められる. 許容限界は,“ 8.5.2.2ハザードの特定及び許容水準の決定”で特定された ハザードのうち,その管理手段がCCPとカテゴリー分けされた手段に対し, 決められた許容水準が確実に達成されるように設定し,測定可能なものでなけ ればならない.測定可能という要求は,“許容限界”の定義である許容可能と 不可能を分けるということを実現するためには不可欠である. 処置基準は8.5.2.2で特定されたハザードのうち,その管理手段がOPRPと カテゴリー分けされた手段に対し,決められた処置基準が確実に達成されるよ うに設定し,測定又は観察可能なものでなければならない。
選択した許容限界及び処置基準の根拠は文書化することを要求しているが, これは,FSMSの見直しに必要となるからである。
特にこれらの情報は“8.6PRPs及びハザード管理プランを規定する情報の更新”や“8.5.3管理手段及 び管理手段の組合せの妥当性確認”において重要である。
8.5.4.3 CCPsにおける及びOPRPsに対するモニタリングシステム 各CCPにおいて,許容限界内からのあらゆる逸脱を検出するために,それぞれの管 理手段又は管理手段の組合せに対してモニタリングシステムを確立しなければならな い.このシステムは,許容限界に対する全ての計画された測定を含まなければならない. 各OPRPに対して,処置基準を満たしている状態からの逸脱を検出するために,管理 手段又は管理手段の組合せに対してモニタリングシステムを確立しなければならない。
各CCPにおける及び各OPRPに対するモニタリングシステムは,次の事項を含め て,文書化した情報で構成されなければならない. a)適切な時間枠内に結果をもたらす測定又は観察 b)使用するモニタリング方法又は機器 c)適用する校正方法又は,OPRPsの場合,信頼できる測定又は観察を検証するため の同等の方法(8,7参照) d)モニタリング頻度 e)モニタリング結果 0 モニタリングに関連する責任及び権限 g)モニタリング結果の評価に関連する責任及び権限 各CCPにおいて,モニタリング方法及び頻度は, タイムリーに製品の隔離及び評価 ができるように,許容限界内からのあらゆる逸脱をタイムリーに検出できるものでなけ ればならない(8。
9.4参照). 各OPRPにおいて,モニタリング方法及び頻度は,逸脱の起こりやすさ及び結果の 重大さと均衡のとれたものでなければならない。
OPRPのモニタリングが観察(例えば, 日視検査)による主観的データに基づいてい る場合は,その方法は指示書又は仕様書によって裏付けられたものでなければならない. =規 格解説 “8.5.4.3 CCPsにおける及びOPRPsに対するモニタリングシステム”は , コーデックス委員会のHACCP原則4(モニタリング方法を設定する)に該当 する(ただし, コーデックス委員会には,OPRPとOPRPに対する処置基準 のモニタリングという概念は含まれていない)。
CCP及びOPRPにおける管理手段又は管理手段の組合せが予定どおりに機
能し,ハザードが許容水準を逸脱していないことを判定できるように,モニタ リング方法を決定する。
CCP及びOPRPが管理されている(許容限界/処置基準から逸脱していな い)ことを証拠として提供できるよう,モニタリングシステムを確立すること が求められる。
モニタリング方法の選択及び頻度の設定に当たっては,逸脱が 発生した場合,適時にそれを検出し,修正及び是正処置がとれることをより詳 細に求めている。
モニタリングシステムは,a)からg)の事項を含んでいなければならない. a)の“適切な時間枠内に結果をもたらす”という要求は,許容限界を逸脱 したときに,使用又は消費される前に製品の隔離を決定できるように設定され ているものである。
したがって,a)は言い換えれば“タイムリーに結果を知 ることができる測定又は観察”ということになる.d)の“モニタリング頻度” も同様である。
b)の“使用するモニタリング方法”は, 中心温度の測定,加熱時間の測定な どをいい,“使用するモニタリング機器”には中心温度計,放射温度計,タイマー, pHメーター,秤,流量計,糖度計,水分活性計,金属探知機などがある。
c)の“適用する校正方法”は ,一般的にb)の機器の精確さの管理を意味する. 主観的データを用いる場合には,文書による規定若しくは教育訓練により,人 による検査の正確さが維持できるように処置を行うこととなる.OPRPの場 合,例えば,OPRPで消毒塩素に用いる次亜塩素酸ナトリウム溶液の濃度を 市販のpH試験紙で確認する場合は,試験紙の製造元に確認したデータを求め るとか,製造ラインにおけるアレルゲンの存在をELISAキットで確認する場 合は検出下限値や特異性等のデータをキットの製造元から入手すべきである。
d)の“モニタリング頻度”は,CCPにおいて許容限界からの逸脱をオンタ イムでモニタリングできる頻度で,OPRPにおいて処置基準からの逸脱を起 こりやすさ及び結果の重大さと均衡のとれた頻度で行うことが求められてい る。
その管理手段の安定性やばらつきによって頻度は変わってくる。
CCPモ ニタリングの場合は,理想的には連続式又は全バッチが基本である.
e)のモニタリング結果では,どのような様式を使い, どのような項目につ いて,記録を残すのかについては,FSMSを運営する組織に任されている。
しかしながら,その記録はCCP又はOPRPが管理されていることを実証でき るものでなければならない。
モニタリング結果の文書化の方法。
手順を規定す ることを求めている. 0の“責任及び権限”では,モニタリングを行う要員の責任及び権限を定め ることを求めている. g)では,モニタリング結果の評価に関連する責任及び権限を定めることを 求めている。
CCPにおいて,モニタリング方法及び頻度は,タイムリーに製品の隔離及 び評価ができるように,許容限界内からのあらゆる逸脱をタイムリーに検出で きることが求められ,一方,OPRPにおけるモニタリング方法及び頻度は, 逸脱の起こりやすさ及び結果の重大さと均衡のとれたものであることが求めら れる.主観的データに基づくモニタリングはOPRPでのみ認められる。
=具 体的な考え方《8.5.4.3》 ハザード管理プランの中でどのようなモニタリングを行うかという選択は, FSMS構築後にシステムを容易に維持できるかどうかに関わってくる. モニタリングの対象として考えられるものは複数ある。
表2.9では,次の三 つの選択肢が考えられるが,この場合はオプション3を選択している(オプ ション2を選択してもよい). オプション1:ハザードの許容水準である病原菌を測定する。
オプション2:病原菌を許容水準以下にできるような加熱条件が達成できる よう,最も温度の上がりにくい食肉製品の中心温度を測定す る。
オプション3:オプション2の条件が達成できるような,加熱器の雰囲気 温度と加熱時間のパラメータの許容限界を決めてモニタリン グする。
管理手段の機能が維持されていることをどのような手段により確認するか は,規格を適用しようとする組織の判断に委ねられている。
オプション1の方 法は,時間とコストがかかり, また,抜取検査にならざるを得ず,CCPを管 理するためのモニタリングには不向きである。
オプション2の方法は,現場 での管理として行うことはできるが,オプション3の方法に比べると現場作 業員への負担は増える.オプション2やオプション3のような方法をモニタ リング手段として採用した場合には,その管理条件の下ではハザードが許容水 準を逸脱していない(すなわち,対象ハザードは死滅している)ということの 裏付け(すなわち,妥当性確認のデータ)をもっておく必要がある(“ 8.5.3管 理手段及び管理手段の組合せの妥当性確認”“ 8.5.4.2許容限界及び処置基準の決定” を参照).このように,モニタリング方法を決定する場合には,管理手段のば らつきや現場への負担,コスト,結果が得られる迅速性, どのような裏付けを とる必要があるのかといった,様々な要素を考慮に入れることが必要である。
上述のオプション1で述べた培養法に基づく微生物検査は,通常,CCPの モニタリングとして設定されることはない.その理由は,多くの組織で上記の “適切な時間内に結果を提供する”ことと, “適切なモニタリング頻度”という 要求を満たすことが難しいからである.しかし,組織内で行っている微生物検 査は検証及び妥当性確認の手段として必要である. 8.5.4.4 許容限界又は処置基準が守られなかつた場合の処置 組織は,許容限界又は処置基準が守られなかった場合にとるべき修正(8.9.2参照) 及び是正処置(8.9.3参照)を規定し,かつ,次のことを確実にしなければならない. a)安全でない可能性がある製品がリリースされていない(8.9.4参照). b)不適合の原因を特定する. c)CCPにおいて又はOPRPによって,管理されているパラメータを許容限界内又は 処置基準内に戻す。
d)再発を予防する。
組織は,8.9,2に従って修正を行い, また8.9.3に従って是正処置をとらなければな らない
=規 格解説 “8.5.4.4許容限界又は処置基準が守られなかった場合の処置”は,コーデ ックス委員会のHACCP原則5(改善措置の方法を設定する)に該当する(た だし,コーデックス委員会には,OPRPとOPRPに対する処置基準のモニタ リングという概念は含まれていない). ハザード管理プランは,許容限界又は処置基準が守られなかった場合にとる べき修正及び是正処置をあらかじめ計画としてその中に含めておかなければな らない。
修正及び是正処置は,不適合の原因を特定にすることにより,逸脱し たCCP又はOPRPを管理下に引き戻し,再発を防止する(不適合の原因を除 去する)ものでなくてはならない。
また,安全でない可能性がある製品がリリ ースされないことが求められる。
8.5.4.5 ハザード管理プランの実施 組織は,ハザード管理プランを実施し,維持し, また実施の証拠を文書化した情報と して保持しなければならない. =規 格解説 “8.5.4.5ハザード管理プランの実施”は旧規格にはなく,本規格で新たに 導入された箇条である. 組織は,作成したハザード管理プランを実施し,すなわち,CCPには許容 限界を,OPRPには処置基準を設定し,CCP及びOPRPのモニタリングを行 い,許容限界又は処置基準が守られなかった場合にとるべき修正及び是正処置 を計画し,実施し,モニタリング,修正及び是正処置等の実施の証拠(モニタ リング記録,改善処置記録,検証記録等)を文書化した情報として保持するこ とが求められている.
8.6 PRPs及びハザード管理プランを規定する情報の更新 8.6 PRPs及びハザード管理プランを規定する情報の更新 ハザード管理プランを確立した後,組織は,必要ならば,次の情報を更新しなければ ならない. a)原料,材料及び製品と接する材料の特性 b)最終製品の特性 c)意図した用途 d)フローダイアグラム及び工程並びに工程の環境の記述 組織は,ハザード管理プラン及び/又はPRP(s)が最新であることを確実にしなけれ ばならない
=規 格解説 “8.6 PRPs及びハザード管理プランを規定する情報の更新”では,組織が FSMSの構築をした後の更新の対応について記載している.更新の対象とし ては,a)からd)のハザード分析を行うために収集した事前情報を取り上げて いる.確立したPRP及び/又はハザード管理プランは,組織内外の状況の変 化によって様々な影響を受けることとなる.これらの有効性を維持するために は,その成立の根拠となっているa)からd)の事前情報の変化の有無を確かめ ることが必要になってくる。
更新を適切に行うためには, “7.4.3内部コミュ ニケーション”における要求を理解し,確実に実施されることが重要である。
事前情報に変化があって,そのことにより修正の必要があるのであれば, “ハザード管理プラン及び/又はPRP”を適切に修正することを要求している.
8.7 モニタリング及び測定の管理 8.7 モニタリング及び測定の管理 組織は,指定のモニタリング及び測定方法及び使用される装置が,PRP(s)及びハザ ード管理プランに関連した,モニタリング及び測定活動にとって適切であるという証拠 を提示しなければならない。
モニタリング及び測定に使用する装置は,次の事項を満たさなければならない. a)使用前に,定められた間隔で校正又は検証する。
b)調整する又は必要に応じて再調整する。
c)オ交正の状態が明確にできるように特定する. d)測定した結果が無効になるような調整からの安全防護 e)損傷及び劣化からの保護 校正及び検証の結果は,文書化した情報として保持しなければならない.全ての装置 の校正は,国際又は国家計量標準までトレースできなければならない。
標準が存在しな い場合は,校正又は検証に用いた基準を文書化した情報として保持しなければならない. 装置又は工程の環境が要求事項に適合しないことが判明した場合,組織は,それまで に測定した結果の妥当性を評価しなければならない.組織は,関連する装置又は工程の 環境及び不適合によって影響を受けたあらゆる製品について適切な処置をとらなければ ならない。
評価及びその結果としての処置は,文書化した情報として維持されなければならない。
FSMS内でのモニタリング及び測定で使用するソフトウェアは,組織, ソフトウェ ア供給者,又は第三者が,使用前に妥当性確認をしなければならない。
妥当性確認活動 に関する文書化した情報は組織が維持し,かつ, ソフトウェアはタイムリーに更新しな ければならない。
ソフトウェアの構成′/市販の入手可能なソフトウェアヘの修正を含む変更があったと きは必ず,その変更を承認し,文書化し, また,実施前に妥当性確認をしなければなら ない。
注記 設計された適用範囲内で一般的に使用されている市販のソフトウェアは,十 分に妥当性確認がされているとみなし得る。
=規 格解説 “8.7モニタリング及び測定の管理”は,1日規格の8.3(モニタリグ及び測 定の管理)とほぼ同じ内容であるが,CCP,OPRP及びPRPのモニタリング 装置の管理ということで箇条8に置かれている. CCP及びOPRPとなった管理手段は,ハザード管理プランの中で,また PRPについても,モニタリング又は校正を行うことが要求されている[“ 8.5.4.3 CCPsにおける及びOPRPsに対するモニタリングシステム”のc)]ので,い ずれのモニタリング及び測定のために使用される装置及び採用する方法は,信 頼できる測定又は観察できる方法として管理される必要がある.ここで“装 置”だけではなく,“方法”が管理される対象として挙げられているのは,微 生物検査や官能検査などの検証が重要になる場合が考えられるからである。
“測定値の正当性が保証されなければならない”モニタリング及び測定に使
用する装置は,8.7のa)からe)の事項を満たす必要がある。
また,全ての装置の校正は,国際標準又は国家標準へのトレーサビリテイの 確保を意味している.既知の科学的知見に照らして,組織の定められた管理手 段や管理状況を評価しようとしたとき,測定によって得られた値が既存の体系 に対して一定の関係をもっていなければ,評価することは不可能になる。
これ は,科学的な根拠に基づいて管理を行うためには必要な要求である。
しかしな がら,そもそもそういった国際標準や国家標準がない場合には,組織内で装置 の精度を管理するために行った校正又は検証に用いた基準を記録する。
校正によって,装置又は工程の環境(プロセス:モニタリング及び測定手順 に基づいた作業,例えば,作業室の室温を10°C以下で管理)が要求されてい る精度を満たしていないことが明らかになった場合には,組織はその装置で行 ったモニタリング又は測定が妥当であったかを評価することが求められる.妥 当性の評価は,装置の狂いがモニタリング又は測定結果に与えた影響を考慮し て行う.その結果として,製品への要求事項が満たされないため,安全でない 可能性があると評価された製品があれば“8.9.4安全でない可能性がある製品 の取扱い”に従って取り扱う.この評価の結果とそれに応じてとった処置は記 録することが求められる. 校正及び検証の結果は,文書化した情報として保持する必要がある.全ての 装置の校正は,国際的又は国内の測定標準までトレースすることが必要であ る。
国際的又は国内の測定標準がない場合は,校正又は検証をどのような考え 方で実施したのか,文書化した情報として保持することが求められる。
FSMS内でのモニタリング及び測定でソフトウェアを使用している場合は, その性能を盲目的に信じてモニタリングや測定に使用した場合には,当初期待 した役割を果たせないことがある。
そのような事態を防ぐために,意図した用 途を満たす能力をもつことを確認するという要求がある。
すなわち,組織,ソ フトウェア供給者又は第三者が,使用前にソフトウェア等の妥当性確認が必要 となる。
この妥当性確認活動の内容は文書化した情報として組織が維持し,か つ,ソフトウェアはタイムリーに更新する必要がある。
ソフトウェアの構成/市販ソフトウェアヘの修正を含む変更があったときは 必ず,その変更内容を承認し,その経緯,変更内容等を文書として記録し, ま た,実施前に妥当性確認を行う必要がある. 8.8 PRPs及びハザード管理プランに関する検証 8.8 PRPs及びハザード管理プランに関する検証 8.8.1 検証 組織は,検証活動を確立,実施及び維持しなければならない.検証計画では,検証活 動の目的,方法,頻度及び責任を明確にしなければならない. 個々の検証活動は,次の事項を確認しなければならない。
a)PRP(s)が実施され,かつ効果的である. b)ハザード管理プランが実施され,かつ効果的である. c)ハザード水準が,特定された許容水準内にある。
d)ハザード分析へのインプットが更新されている. e)組織が決定したその他の活動が実施され,かつ効果的である. 組織は,検証活動を,同じ活動のモニタリングに責任を有する人が実施しないことを 確実にしなければならない。
検証結果は,文書化した情報として保持され,また伝達されなければならない。
検証が最終製品サンプル又は工程から直接とったサンプルの試験に基づき,かつ,そ のような試験サンプルが食品安全ハザード(8ふ2.2参照)の許容水準への不適合を示 した場合,組織は影響を受ける製品ロットを安全でない可能性があるもの(8。
9.4.3参 照)として取り1扱い,かつ,8.9.3に従って是正処置を適用しなければならない。
=規 格解説 “8.8 PRPs及びハザード管理プランに関する検証”は,コーデックス委員 会のHACCP原則6(検証方法を設定する,ただし,妥当性確認部分は除く) に該当している。
1日規格でも検証プランがあったが,今回の改訂で,CCP及 びOPRPだけでなく,PRPが効果的であるかも検証する検証計画を確立する ことが求められる。
また検証を行う者はモニタリングを行った者以外でなけれ ばならないことが明記された. 検証は,組織によって実施されるFSMSへの信頼性を提供する手段である. 本規格は,検証の要素[a)~ e)]の実施を要求している。
妥当性確認,モニタリング及び検証の概念を混同してはならない。
妥当性確 認は,活動に先立って行われる評価であり,その役割は,個別の(又は組合せ としての)管理手段が,意図された水準の管理(又は許容水準への適合)を 達成できることを証明することである.モニタリングの役割は,管理手段で示 されている活動状況を継続的に監視していくことである。
検証は活動後(一部 は活動中)に行われる評価であり,その目的は意図された管理水準が実際に達 成されてきた(及び/又は許容水準を満たしている)ことを証明することであ る.検証の結果,適合性を疑われるバッチの存在が明らかになった場合,その バツチは“8.9.4安全でない可能性がある製品の取扱い”に従って取り扱われ る[“ 3.27モニタリング(監視)”“ 3.44妥当性確認”“3.45検証”を参照]. 検証計画では,a)からc)の事項の確認を含んだ計画(検証計画の目的。
方 法。
頻度・責任。
記録)を作成することが求められる. 検証頻度は適用される管理手段の確実性に依存する。
例えば,モニタリング の信頼性が高ければ,管理手段の有効性の検証頻度は低減し得る. 検証の結果は記録が要求されている。
この記録は必ず食品安全チームに報告 されなければならず,“ 9.1.2分析と評価”“9.3マネジメントレビュー”及び “10.2継続的改善”に使えるようなデータでなければならない. 検証が最終製品サンプル又は直接プロセスサンプルの試験に基づき,かつ, そのような試験サンプルが食品安全ハザード(“ 8.5.2.2ハザードの特定及び 許容水準の決定”)の許容水準への不適合を示した場合,“ 8.9.4.3不適合製品 の処理”に従って,影響を受ける製品ロットを安全でない可能性があるものと して取り扱い,かつ,“8.9.3是正処置”に従って,是正処置を適用すること が求められる。
=具 体的な考え方《8.8.1》 表2.9(164ページ参照)のハザード管理プランにおける検証はb)とc)の一 部が該当する。
その他検証の要素は別途計画する必要がある。
例えば,PRP が実施され,かつ効果的であることや,OPRPが特定されていれば,CCPと
同様に,手順の中にモニタリングと検証計画を決めておくなどが考えられる 8.8.2 検証活動の結果の分析 食品安全チームは,FSMSのパフォーマンス評価(9.1.2参照)へのインプットとし て使用する検証の結果の分析を実施しなければならない. =規 格解説 “8.8.1検証”に従って行われた検証の結果は,食品安全チームによって体 系的にFSMSのパフォーマンス評価されなければならない。
そのためには, 検証結果は結果の分析を可能にするような形で食品安全チームに提供されなけ ればならない. この分析は,特定されたハザードの許容水準を満たす最終製品を出荷する上 での食品安全マネジメントシステムの全体的パフォーマンスの評価手段を提供 するものである.その結論は,組織の内部に対しては,システムを見直すため の重要な情報となり,組織の外部に対しては,公的機関や顧客とのコミュニケ ーションにおける主要な情報となる。
食品安全チームが分析を行う検証活動として,ここでは“FSMSのパフオ ーマンス評価(9.1.2)”が記載されているが,実際には各箇条で引用を繰り返 しているため,対象となる検証活動の範囲は広がる。
検証活動の結果の分析は,9.1.2に記載されている,次のa)からe)の事項 のために行う。
a)システム全体の適合性を確認する。
b)更新又は改善の必要性を明らかにする。
c)安全でない可能性のある製品の増加傾向を明らかにする. d)効果的な内部監査を計画するための情報を明確にする。
e)不適合に対する処置(修正,是正処置)が有効であるという証拠を提供 することを確認する。
8。
9 製品及び工程の不適合の管理 8.9 製品及び工程の不適合の管理 8.9.■ 一般 組織は,OPRPs及びCCPsにおけるモニタリングで得られたデータが,修正及び是 正処置を開始する力量及び権限をもつ指定された者によって評価されることを確実にし なければならない. =規 格解説 この箇条は旧規格の“7.10不適合の管理”を移動し,“製品及び工程”の不 適合であることが明記された. OPRP及びCCPのモニタリングで得られたデータは,修正及び是正処置を 開始する力量及び権限を有し,指定された者によって確実に評価される必要が ある.“修正及び是正処置を開始する力量及び権限をもつ指定された者”は , モニタリングで得られたデータを解析し,評価し,OPRP及びCCPにおける 管理の状態が意図したものでないことを判断できる力量があり,組織からその 判断権限を任されている者であり,ハザードとその管理方法に関する十分な知 識と力量を有している者である必要がある.その決定プロセスや当該者の要件 は組織が決めることができる. 8.9.2 修正 8.9.2.1 組織は,CCP(s)における許容限界及び/又はOPRPsに対する処置基準が守 られなかった場合は,影響を受けた製品を特定して,その使用及びリリースについて管 理されていることを確実にしなければならない. 組織は,次を含む文書化した情報を確立,維持及び更新しなければならない。
a)適切な取扱いを保証するための影響を受けた製品の特定,評価及び修正の方法 b)実施した修正のレビューのための取決め =規 格解説 “8.9.2.1″の“CCP(s)における許容限界及び/又はOPRPsの管理に対する 処置基準が守られなった場合”というのは,ハザードが許容水準を逸脱した可
能性があることを示しており,不適合である。
修正では,そのことによって安 全が損なわれている可能性のある製品がほかに影響しないように管理すること を要求している。
修正の手順としては,a)とb)の二つの要求をしている. a)は,安全でない可能性のある製品が間違って顧客のところに届かないよ うに,もしその製品がすでに顧客に渡されてしまっていたとしてもそれが間違 って使われないようにするための処置である。
b)のレビューは,実施した活動の評価・見直しのためである. 8.9.2.2 CCPsにおける許容限界が守られなかった場合は,影響を受けた製品を特定し て,安全でない可能性がある製品として取り扱わなければならない(8.9.4参照). =規 格解説 CCPにおける許容限界が守られなかった場合は,その間に製造加工された 製品はハザードが許容水準を逸脱した可能性があることを示しており,不適合 であり,安全でない可能性がある製品として取り扱わなければならない。
これ はCCPと許容限界の定義から考え,自明の要求事項である。
修正では,その ことによって安全が損なわれている可能性のある製品がほかに影響しないよう 管理することを要求している. 8。
9.2.3 0PRPに対する処置基準が守られなかった場合,次のことを実施しなければ ならない。
a)食品安全に関する逸脱の結果の判断 b)逸脱の原因の特定 c)影響を受けた製品の特定及び8.9.4による取扱い 組織は,評価の結果を文書化した情報として保持しなければならない. =規 格解説 “8.9.2.2″がCCPで許容限界が守られなかった場合の処置のことを規定し
ているの対し,“ 8.9.2.3″はOPRPにおいて処置基準が守られなかった場合, 実施する必要があることが記されている. OPRPに対する処置基準が守られなかった場合には8.9.2.2と異なり,即座 に安全でない可能性のある食品として取り扱う必要があるというわけではな い.逸脱したことが食品安全上どのような影響があるのかを評価し,逸脱原因 を究明し,影響を受けた製品を特定し,a)の評価の結果,安全でない可能性 があると評価された場合には“8.9.4安全でない可能性がある製品の取扱い” に従った取扱いが必要となる。
この場合,a)の判断の結果を文書化した情報として保持することが求めら れる. 8.9.2.4 文書化した情報は,次を含め,不適合製品及び工程について行われた修正を 記述するために保持されなければならない. a)不適合の性質 b)逸脱の原因 c)不適合の結果としての重大性 =規 格解説 対象となった不適合製品のロット及び工程,不適合の性質,逸脱原因,不適 合の結果としての重大性,実施した修正が明らかになるように記録をとってお かなければならない. 8.9.3 是正処置 CCP(s)における許容限界及び/又はOPRPsに対する処置基準が守られていない場 合,是正処置の必要性を評価しなければならない. 組織は,検出された不適合の原因の特定及び除去のため,再発を防止するため,及び 不適合が特定された後に工程を正常(管理状態)に戻すための適切な処置を規定した文 書化した情報を確立し,維持しなければならない. これらの処置は,次の事項を含まなければならない. a)顧客及び/又は顧客苦情及び/又は法律に基づく検査報告書で特定された不適合を
レビューする. b)管理が損なわれる方向にあり得ることを示すモニタリング結果の傾向をレビューす る. c)不適合の原因を特定する. d)不適合が再発しないことを確実にするための処置を決定し,実施する. e)とられた是正処置の結果を文書化する。
0 是正処置が有効であることを確実にするため, とられた是正処置を検証する。
組織は,全ての是正処置に関する文書化した情報を保持しなければならない。
=規 格解説 “是正処置”(3.10)の定義は“不適合(3.28)の原因を除去し,再発を防止 するための処置.”である。
コーデックス委員会のHACCP原則5に該当する. CCPが許容限界を逸脱したときと,OPRPが処置基準から逸脱したときに は,是正処置の必要性を評価することを要求している。
今回の改訂で,保健所による監視報告及び顧客からの苦情で特定された不適 合について, レビュー項目として追加された。
a)とb)は,組織の内外から伝達されるハザードの管理状況に関する情報を 適切に評価した上で,確実に是正処置へとつなげる活動のことを記載してい る。
是正処置は,原因を除去することによって問題の再発を防止する処置である ところから,c)の原因の特定は,是正処置を行う上で必須である. 特定された不適合の原因に対して,それを除去するための活動は再発を防止 するために必要である。
しかしながら,挙げられた原因が発生した不適合の原 因の主要なものであるとは限らない.d)では,挙げられた原因を除去するこ とが,再発を防止するために十分であるかを検討することとなる。
さらに,第 1段落にある“必要性を評価しなければならない。
“という語句には,処置の 有効性ばかりでなく,経済性や危害の可能性なども考慮に入れることが含めら れている。
e)の“是正処置の記録”は,システムの有効性の評価やシステムが有効に 機能しなかったときの原因を調べるために必要なものである.そういったこと
のために,是正処置には記録が要求されている. 0での“行った是正処置”に対しては,その処置の有効性を確認するための 検証が要求されている.よいと思って行った処置でも,実際に行ってみると期 待していたような効果を挙げることができないことがある. 全ての是正処置の記録を文書化された情報として維持する必要がある. 8.9.4 安全でない可能性がある製品の取扱い 8.9.4.1 -般 組織は,次の事項のいずれかを提示することが可能である場合を除き,安全でない可 能性がある製品がフードチェーンに入ることを予防するための処置をとらなければなら ない. a)対象となる食品安全ハザードが規定された許容水準まで低減されている. b)対象となる食品安全ハザードが,フードチェーンに入る前に規定された許容水準ま で低減される。
c)製品が,不適合にもかかわらず,対象となる食品安全ハザードの規定された許容水 準を引き続き満たしている. 組織は,安全でない可能性があるとして特定された製品は,評価され,処理が決定さ れるまでは,組織の管理下に置かなければならない. 組織の管理を離れた製品が,その後,安全でないと判定された場合,組織は関連する 利害関係者にそのことを通知し,回収/リコール(8.9.5参照)を開始しなければなら ない. 当該管理及び関連する利害関係者からの反応並びに安全でない可能性がある製品を取 り扱うための権限を,文書化した情報として保持しなければならない. =規 格解説 “安全でない可能性がある製品”(不適合が発生している状況下で生産された ものの,その製品が要求事項を満たしているかどうかについては,確定してい ない製品)は,不適合製品がフードチェーンに入ることを防ぐために,a)か らc)のいずれかの要件を満たさない限り,出荷してはならない。
すでに出荷 してしまった製品が安全でないと判断された場合,回収/リコールを行わなけ ればならない(895参照). a)からc)は“8.9.4.2リリースのための評価”の視点を示している.a)は
ハザードがすでに低減されていたといえるか,b)はこれから何らかの活動に より低減することができるか,c)は安全に問題があることが疑われたが調べ た結果問題がないことが証明できるかを示している。
評価の結果,安全でない ことが確定した製品は“8.9.4.3不適合製品の処理”で取り扱われることが要 求されている。
安全でない可能性があるが,それが確定していない製品については,組織の 管理下に置くことが要求されている。
こういった製品が組織内にある場合に は,識別・隔離といった方法で,組織外への流出や組織内での誤使用を防止す る必要がある。
また,当該製品がすでに組織外にある場合には,問題となって いる製品の所在を明らかにした上で,保管している組織/個人が誤使用しない ように通知し,回収/リコールを開始する必要がある. 安全でない可能性がある製品を取り扱うための手順及び権限は,食品安全に 及ぼす影響が大きいため,文書化が要求されている。
“不適合製品”“安全でない製品”“安全でない可能性がある製品”の関係を まとめたものが図2.3である。
8.9.4.2 リリースのための評価 不適合によって影響を受けた製品のそれぞれのロットは,評価しなければならない. CCPsにおける許容限界内からの逸脱によって影響を受けた製品はリリースしてはな らず,8.9.4.3に従って取り扱われなければならない。
OPRPsに対する処置基準を満たしている状態からの逸脱によって影響を受けた製品 は,次のいずれかの条件に該当する場合のみ,安全な製品としてリリースされなければ ならない. a)モニタリングシステム以外の証拠が,管理手段が有効であったことを実証してい る。
b)特定の製品に対する管理手段の複合的効果が,意図したパフォーマンス(すなわ ち,特定された許容水準)を満たしていることを実証する証拠がある. c)サンプリング,分析及び/又はその他の検証活動の結果が,影響を受けた製品は, 該当する食品安全ハザードの特定された許容水準に適合することを実証している。
製品リリースのための評価の結果は,文書化した情報として保持されなければならな い
=規 格解説 CCPにおける許容限界からの逸脱によって影響を受けた製品はリリースし てはならず,“ 8.9.4.3不適合製品の処理”に従って取り扱われなければなら ない. 一方,OPRPに対する処置基準を満たしている状態からの逸脱によって影 響を受けた製品は,不適合の影響を受けて安全でない可能性をもったために出 荷止めとなった製品の制限を解除するための条件について記載している. a)は,例えば,スライサーの殺菌の次亜塩素酸ナトリウム溶液の濃度がモ ニタリングの結果,処置基準を満たしていなかったとしても,ATPでの検証 により,管理手段は有効であったと判断されたようなケースが考えられる. b)では,ある管理手段で不適合が発生しても,そのハザードを管理する他 の管理手段と組み合わせてその効果を考えた場合に,許容水準からの逸脱はな かったと判断されるような場合である。
例えば,スライサーの刃の殺菌条件が 処置基準を満たしていない場合に,スライサーの刃の殺菌頻度が十分に高く, 微生物汚染予防効果が得られたと判断されるケースが考えられる。
=規 格解説 CCPにおける許容限界からの逸脱によって影響を受けた製品はリリースし てはならず,“ 8.9.4.3不適合製品の処理”に従って取り扱われなければなら ない. 一方,OPRPに対する処置基準を満たしている状態からの逸脱によって影 響を受けた製品は,不適合の影響を受けて安全でない可能性をもったために出 荷止めとなった製品の制限を解除するための条件について記載している. a)は,例えば,スライサーの殺菌の次亜塩素酸ナトリウム溶液の濃度がモ ニタリングの結果,処置基準を満たしていなかったとしても,ATPでの検証 により,管理手段は有効であったと判断されたようなケースが考えられる. b)では,ある管理手段で不適合が発生しても,そのハザードを管理する他 の管理手段と組み合わせてその効果を考えた場合に,許容水準からの逸脱はな かったと判断されるような場合である。
例えば,スライサーの刃の殺菌条件が 処置基準を満たしていない場合に,スライサーの刃の殺菌頻度が十分に高く, 微生物汚染予防効果が得られたと判断されるケースが考えられる。
理に関する手順,実施した記録を文書にした情報として保持することが求めら れる. 8.9.5 回収/リコール 組織は,回収/リコールを開始及び実施する権限をもつ,力量のある者を指名するこ とにより,安全でない可能性があると特定された最終製品のロットのタイムリーな回収 /リコールを確実にできなければならない. 組織は,次のために文書化した情報を確立し,維持しなければならない. a)関連する利害関係者(例えば,法令及び規制当局,顧客及び/又は消費者)への通 知 b)回収/リコールした製品及びまだ在庫のある製品の取扱い c)とるべき一連の処置の実施 回収/リコールされた製品及びまだ在庫のある最終製品は,8.9.4.3に従って管理さ れるまでは確実に保管されるか,組織の管理下に置かれなければならない。
回収/リコールの原因,範囲及び結果は,文書化した情報として保持され,またマネ ジメントレビュー(9.3参照)へのインプットとして, トップマネジメントに報告しな ければならない. 組織は,回収/リコールプログラムの実施及び有効性を適切な手法(例えば,模擬回 収/リコール,又は回収/リコール演習)の使用を通じて検証し,かつ,文書化した情 報として保持しなければならない. =規 格解説 旧規格では“回収”(wlthdrawal)という表題であったが,今回の改訂で “回収/リコール”となった(旧規格には“`回収’は, リコールを含む.”と いう注記があったが,本規格では分かれている). 回収は,管理されていると思われていたハザードが管理されずに安全でない と判断された製品が組織外に出てしまった場合に行わなければならない。
回収/リコールの開始及び実施する権限を有する,力量のある者を指名する ことにより,安全でない可能性があると特定された最終製品のロットをタイム リーに,確実に回収/リコールできなければならない. 不適合製品の外部への流出は,問題となっているハザードによる健康被害が 発生する可能性があるので,回収は遺漏なく迅速に行う必要がある。
回収の利
害関係者への通知のための手順は重要であるため,文書化した手順が要求され ている。
回収/リコールされた製品及び, まだ在庫のある最終製品は,“ 8.9.4.3不 適合製品の処理”に従って,管理されるまでは確実に保管するか,誤って使用 されないように管理しておかなければならない。
回収された製品は次の処置により,安全であると判断されるまでは,組織の 管理下に置く必要がある. ① 食品安全ハザードが許容水準まで低減されることを確実にするための, 組織内又は外での再加工又は更なる加工 ② フードチェーン内の食品安全が影響を受けなければ,他の用途への転用 回収/リコールの原因,範囲及び結果は,文書化した情報として保持され, またマネジメントレビュー(9.3)へのインプットとして, トップマネジメン トに報告することが求められる。
これは,回収がマネジメントシステムに与え る影響が大きく, システム見直しの重要な要素であることから要求されてい る。
回収/リコールプログラムを行うために定められた手順は,実際の問題が発 生したときに不備が明らかになるということがないよう,実際に実施する,あ るいは適切な手法(例えば,模擬回収/リコール,又は回収/リコール演習) の使用を通じて有効性を検証し,かつ,その検証結果は文書化した情報として 保持することが要求されている。
例として示されている“模擬回収/リコー ル”や“回収/リコール演習”は,いずれも回収が行われる状況を想定してそ れを試行することで,現在の手順の不備を見つけ出すための方法となる。
ただ し,その演習をどの程度,現場の設備・製品や人員を使って実施するかは,組 織の判断に任されている。
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