さて当初の基本計画の数字を実証してみた結果、どうであったか。
五年後の総人件費は七億三二七二万八〇〇〇円と実証された。つまり当初の、付加価値の
二五%を配分して六億九八〇〇万円という数字には、とても収まらない。二五%の配分でや
れるだろう、ということで運営の基本計画を立ててみた。しかし、実際に人件費の推移を
実証してみたら、七億三〇〇〇万円以上かかってしまう。それも一人当たり労働生産性を
五〇%上げ、毎年二人の増員のうち二人はパートにして、この結果である。絵に描いた餅で
あったわけだ。
この差を社長はどう考えるべきか。ここがまた大事なところである。
結論から申しあげると、合わなかったからといってがっかりすることはない。これでいい
のである。ぴったり合うわけがないのだ。
ここに生じた差は、実は、社長の漠然とした野望や夢と、現実との差といってもよいだ
ろう。
逆にいえば、世の社長の多くは、ご自身の野望や夢を膨らませることには熱心でも、それ
を実現させる手段については無頓着である。無頓着というのが言いすぎであれば、ご自身の
こと、自分の会社のことが見えていない、分かっていないとでも言おうか。その結果、実証
作業をすると、これまで見えていなかったわが社の体質が見えはじめ、社員に対して打つべ
き手を打っていなかったことに気づくのである。人件費について、自分のポリシーをきっち
り反映していくと七億円以上必要なんだと、 一刻も早く、だれよりも早く気がつくべきなの
である。こういうやり方が、会社の実態をより正確につかまえることにつながる。
この実証作業をはじめて体験する社長は、ご自身の考え方の整理と自社の「ひと」の面か
らみた体質の把握に、それなりの時間と労力を要するかもしれない。しかし一度コツをつか
んだら、 一通りの計算に三〇分もあれば十分である。そして運営基本計画と人件費計画の差
について、いろいろ試行錯誤を繰り返していけばよいことだ。
結果として、この試行錯誤が、社員に対する社長の実務ノウハウとなるのだ。
さて、結果として合わなかった、ということが先にいってどういうことになるか、論を進
めることにしようc
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