輸入の代金決済について、教えてください。
A.輸入の代金決済は国際間の取引であることから、通常国内で行われているような、商品を渡すのと引き換えに現金や手形などで代金を支払うといった方法はあまり行われていません。一般的には大きく分けて次の3つの方法があります。
1. T/Tベース(レミッタンスベース)
送金による決済で、主に電信送金によって行われます。
2. B/Cベース荷為替*というスキームを用い、銀行を媒介にした取立取引で信用状を使わない点が特徴です。
3. L/Cベース信用状(L/C)とは輸入者の依頼に基づき輸入者の取引銀行が発行する保証状で、L/C条件で要求する書類を呈示されれば、受益者である輸出者に代金の支払いを確約す るものです
今回は、1と2について解説します。なお、いずれの方法にもメリット・デメリット(リスク)があり、それらをよく理解 した上で輸入取引の条件にあった決済方法を選ぶ必要があります。
1.T/Tベース(レミッタンスベース)
T/Tとは電信送金(Telegraphic Transfer)のことで、送金(レミッタンス:Remittance) による決済の一つです。支払いのタイミングによって、①前払い(Advanced Payment) ②後払い(Deferred Payment)に分けられます。送金決済とは、売買契約書で取り決めた時期に輸入者が取引銀行を通して輸出者の口座宛に外国送金をする方法で、最近では一番よく使われており、次のようなメリットがあります。
①スピーディーで簡単手続きの時は、銀行窓口で「送金依頼書」 を記入するだけです。さらに銀行に行かなくてもインターネット(当行の場合「外為Web」)で申し込みも可能です。通常、数日で相手側の銀行に到着します。
②コストが低い送金のための費用として送金手数料と為替手数料が掛かりますが、決済方法によっては、さらに発行手数料*、電信料、郵便料等の手数料が必要となる場合もあります。例えば、1万米ドルの送金を行う場合、T/Tベースではおよそ送金手数料4,000円、為替手数料10,000円の合わせて14,000円程度ですが、L/Cベースによる決済では、この2倍以上掛かることもあります。
このようにメリットも多くある反面、リスク(危険)もあります。次の一覧表で挙げるリスクについて理解が必要です。
いつ支払を行うかによって、リスクを負う対象が変わります。今は輸入者の立場で 話を進めているので、確実に荷物を受け取ってから支払をする「後払い」の方が有利です。しかし、輸入契約の条件によっては「前払い」をすることもあるでしょう。その場合には、次に挙げるような方法で、できるだけリスクを減らすことが必要です。
①契約内容を厳密に点検する。契約どおりの船積みを行う輸出者の 責任をできるだけ明確化する契約書 を作成します。実務的には、商業送 り状*の中のプロフォーマ・インボイス*等で、具体的な積荷明細*・船名(便名)・船積予定日*・到着予定日*等を遅滞なく連絡すること等の条件をつけ、スムーズな貨物の引取りができるようにしましょう。②支払い方法を分散させる。全額前払いではなく、一部後払いに してもらう交渉をすべきです。また、不利な支払い条件を受け入れるわけですから、送金費用の先方負担、値引き・増量などに応じてもらう交渉も併せて行いましょう。送金銀行⑦輸入代金送金依頼輸入者(送金人) ⑥貨物引取⑤船荷証券提出支払銀行⑧送金為替(支払指図) ①売買契約締結④船積書類送付⑨送金到着案内⑩代金支払輸出者(受取人)貨物輸送船会社・・日本・・・・外国・・③船荷証券受領②船積手続船会社T/Tベース決済の流れ③前受金返還保証(Refundment Bond)を要求する。一般に金額が高額になるときや、機械等実質的引渡しが長期にわたるときなど、輸出者側に銀行発行の「前受金返還保証」を求めます。一般的には保証状(L/G)*やスタンドバイL/C*が利用されます。これは、相手側(輸出者)が債務不履行をしたとき、相手側の銀行が輸入者に前払い送金した額を支払うことを保証してくれるものです。ただ、現実的に差し入れの同意をさせるのは困難ですので、「前払いを要求するなら、前受金返還保証を差し入れて下さい」等、交渉の一手段として使いましょう。
2.B/Cベース
送金のリスクを回避しながら、輸入者は荷物を引き取り、輸出者は代金を回収しようという方法です。船積書類*の一つである「船荷証券*」は、輸入者が荷物を引き取るのに必要です。B/Cベースとは、この船積書類*と引き換えに、輸入者が銀行に代金を支払う、または支払いを引き受けるという、銀行を媒介とした取立取引(B/C:Bills for Collection) のことです。そこで、取立銀行がいつ輸入者に書類を引き渡すかが重要になります。書類引渡し条件によって、取立銀行⑦輸入代金決済⑧船積書類引渡⑥船積書到着案内輸入者(送金人) ⑩貨物引取⑨船荷証券提出⑤荷為替手形*取立⑪代り金送金仕向銀行⑫代金支払①売買契約締結④荷為替手形取立輸出者(受取人)船会社③船荷証券受領②船積手続①支払渡し(D/P:Documents against Payment)②引受渡し(D/A:Documents against Acceptance)の2種類があります。支払渡し(D/P)とは、取立代金の支払いと引き換えに船積書類を輸入者に引き渡すという条件です。一方、引受渡し(D/A)は、輸出者が輸入者を支払人として振り出した為替手形を輸入者が引き受けた場合に、取立銀行は輸入者に船積書類を引き渡すという条件です。貨物輸送船会社・・日本・・・・外国・・B/Cベース決済の流れ輸入者にとって見れば、この取立取引(B/Cベース)は、信用状を発行する必要がない、という点が大きなメリットです。信用状は、輸出者の代金回収の確実性を補完するもので、これが不要というのは輸入者にとって大きな負担減です。しかし注意すべき点は、①「荷物と引き換えに代金を支払う」のではなく、「荷物の引取書(船荷証券)と引き換えに代金を支払う」ことです。つまり、貨物を見てから決済するわけではないので、「契約したものより品質が劣るものがきた」等の商品リスクは、依然として存在するのです。②特に、日本と密接な貿易相手である近隣諸国との取引(中国、台湾等)では、荷物が書類より先に到着することが多いにもかかわらず、輸入者は銀行に書類が到着し、決済または引受を行うまでは、荷物の引き取りができません。ですから、国内販売先への納期、生鮮物なら賞味期限等、十分な計画のうえ取引を行う必要があります。③最後に、信用状なし取引のD/P、D/A取引は、国際商業会議所*制定の「ICC取立統一規則(URC522)」(1995年改訂版)に準拠して行われます。この規則の内容について理解したうえで、取引を行うことが肝要です。
荷為替
売り手・買い手のそれぞれの国に銀行を介在させて、取立による代金決済の方法。荷為替決済。
為替手数料
料率は米ドルの場合、通常、1円/1米ドル。この為替手数料は、為替相場の中に含まれ、その相場を「TTS」
商業送り状
Commercial Invoice。輸送荷物の詳細を示した明細書。積荷について品名・数量・単価・金額・船名・船積日・船積港・仕向港などを記載。輸出者が輸入者に対して発行する。代金請求書、出荷案内書、納品書を兼ねることもあり、それぞれ個々に船積送り状、見積もり送り状などと言われる。
プロフォーマ・インボイス
Proforma Invoice。見積送り状。商業送り状の一つ。売買契約の見積書、試算用送り状。輸入の際の通関に使用することもあるが、見積もりなので商工会議所の公的な証明(査証)を受けることは出来ない。
積荷明細
貨物の梱包明細書。Packing List。パッケージ毎に品名・個数・重量・荷印(シッピングマーク)などを記載。数量が少ない場合は、インボイスで兼用されることもある。
船積予定日
荷物を積んだ船の出港予定日。ETD(Estimated Time of Departure)。航空業界でも使用されている。到着予定日荷物を積んだ船の入港予定日。ETA(Estimated Time of Arrival)。航空業界でも使用されている。
保証状(L/G)
Letter of Guarantee。荷物引取保証。船積書類より先に到着した荷物を輸入者が引き取る時に、銀行が連帯保証して船会社に差し入れる補償状。
スタンドバイL/C
スタンドバイ・クレジット(Stand-by credit)。海外現地法人の現地での借入などに対する保証の手段として、日本の銀行が現地の銀行に対して発行する信用状。
船積書類積送貨物の財産権を完全に表すものとして国際貿易界で認められている商用書類。単に書類(ドキュメンツdocuments)ともいう。通常、送り状・船荷証券、および保険証券の3つの書類からなるが、仕向国により、これ以外に領事送り状、または税関送り状、さらに原産地証明書などを必要とすることもある。
船荷証券(B/L
Bill of Ladingの略。運送人が荷送人との運送契約に基づいて船積みしたことを証明する書類。荷送人の請求によって運送人が発行する。物品の(海上、複合)受取証、運送契約書。貨物の引き渡しに際し必要となる引換証。貿易代金決済の為、荷為替を取り組む場合に必要となる“荷”を表象する有価証券。
荷為替手形
輸出代金決済のために輸出者が振り出す為替手形に船積書類が添付されたもの。売主が商品を出荷しても買主が代金を支払わない可能性があるため、船積み後に船積書類と為替手形を取引銀行に買い取ってもらい、取引銀行が買主の国にある銀行を通じて代金を取り立てるという方法。買主は代金を支払わない限り(荷為替手形を引き受けない限り)船積書類を入手できないので、代金の支払いが担保される。
国際商業会議所
国際的な経済協力と経済発展を、民間企業の活動によって推進するため、民間の実業家が国際貿易、投資などの問題を検討し、それに対する意見を表明する組織。世界のすべての国の一様な経済発展を目的とする民間企業の世界ビジネス機構。略称ICC (International Chamber of Commerce
今回は、外国送金の3つの方法についてご説明します。
3種類の外国送金方法
貿易取引の支払いは、一般的に銀行経由で行われます。
※郵便為替でも送金できますが、銀行経由が一般的です。
決済方法には、今までご紹介してきた「信用状(L/C)決済」「D/P決済、D/A決済」と呼ばれる荷為替手形決済がありますが、今からご紹介するのは、輸入者が銀行に依頼して商品代金を輸出者に送金する外国送金についてです。
記事のタイトルで挙げた「T/T(ティーティー)送金(=電信送金)」は外国送金の代表的な方法ですが、今回は、この「T/T送金」を含めた外国送金の3つの方法すべてをご紹介します。
電信送金(Telegraphic Transfer/T/T)
輸出者や輸入者の立場から見れば、国内で行われている銀行振込のような感覚でお金を支払い、お金を受け取る送金方法です※。銀行から銀行への支払指示を電信(Cable)で送付するため、電信送金と呼ばれます。
※国内の銀行振込では日本銀行を通して行われますが、国際間の場合は、銀行間で結ばれるコルレス契約によって成り立っています。

普通送金(Mail Transfer/M/T)
基本的には電信送金と同じ仕組みなのですが、銀行から銀行への連絡(支払指図)が電信ではなく、郵便で行われるのが特徴です。郵便で行われるため、銀行への手数料は安く済むのですが、電信送金よりも支払いに時間がかかります。
送金小切手(Demand Draft/D/D)
名前の通り、小切手で支払う方法です。(商品代金を支払う)輸入者が銀行から送金小切手の交付を受け、輸出者(受取人)に送付し、輸出者は小切手を受け取ったら、現地の銀行(支払銀行)に小切手を呈示し(裏書きをして)現金を受け取ります。

外国送金のリスク
最後に、外国送金の注意点をお話ししておきます。
外国送金は、荷為替手形決済(信用状決済、D/P、D/A決済)に比べて手続きが簡単で、銀行手数料も安くなるため、近年は電信送金での支払いは増えている※のですが、この送金方法は、本当に契約通りに送金してもらえるかどうか、輸入者(送金人)次第というリスクがあり、輸出者と輸入者のあいだに信頼関係がなければ成り立ちません。
※海外に支社や事務所を持つグループ企業が増加していることも、電信送金が増えている要因のひとつです。
ですから、初めての取引先との契約における支払条件では、電信送金での支払いを採択するにしても、前金と後払いに分けての支払契約を結ぶなど、上記リスクを軽減させるなど注意が必要です。
貿易事務の仕事では、支払条件を決めるということはあまりないかもしれませんが、外国送金のリスクについては理解しておきましょう。
本日ご紹介した外国送金のうち、もっともポピュラーな送金方法がT/T送金こと電信送金だとご紹介しましたが、実務の現場では「ティーティー送金がありました」「ティーティーでの支払いです」などと使います。今まさに貿易事務を目指している方は、そんな風に使うんだ…ということも頭のスミに入れておいてもらえたらと思います!
輸出取引における決済方式の変更を依頼された際の留意点:日本
海外の取引先から、輸出の決済条件をL/C決済からD/A決済へ変更を要求されました。決済方法を変更する際の対応について教えてください。
L/C決済からD/A決済への変更を依頼された場合、輸出者にとっては輸出代金が回収できないリスクが高まります。輸入者がなぜ決済の変更を要請したのか見極め、適切に対応をしてください。
I. 代金後払いの決済方法と決済リスク
輸出取引には代金前払いと後払いがあります。輸出者にとっては前払い(前受け)が一番リスクの少ない方法である一方、後払いの場合は輸出者にとって一定のリスクが発生します。後払いは以下の3種類に分けられます。
- L/C決済
輸出者が商業信用状(L/C)の要求する船積書類を呈示することを条件に、L/C発行銀行が予め代金の支払いを確約する決済方法です。決済リスクは輸入者からより信用力のあるL/C発行銀行に移ることになり、輸出者にとって安心な決済方法です。 - D/P・D/A決済
輸出者は船荷証券・インボイスといった船積書類に加え為替手形を振り出して、取引銀行経由輸入者の取引銀行に送付します。輸入者は、D/P(Documents against Payment)の場合は支払いと引き換えに、D/A(Documents against Acceptance)の場合は手形の引受(支払確約)と引き換えに、船積書類を受領し、受領した船荷証券により商品を船会社から受け取ることができます。輸出者にとっては、船荷証券と引き換えに輸入者が支払いあるいは支払確約をするため、TT送金に比べれば安心ですが、L/C決済のような銀行の支払確約がないため、輸入者自身の決済リスクにさらされることになります。 - TT決済
TT決済(Telegraphic Transfer Remittance: 電信送金)上述のような仕組がなく、輸入者が合意された期日に銀行間のTT送金の方法で代金を支払う方式です。
輸出者にとってはL/C決済、D/P・D/A決済、TT決済の順にリスクが高くなります。また、それぞれの決済方法のなかでも、支払時期が遅くなるほどリスクが高くなり、一覧払いL/CよりユーザンスL/Cの方が、D/PよりD/Aの方がリスクは高くなります。
II. L/C決済からD/A決済への変更を依頼された場合の対応
- 依頼の理由・背景の確認
輸入者が決済方法を変更する理由や背景を確認する必要があります。業績悪化等により銀行が与信枠を減らしL/Cを発行できなくなった、資金繰りが厳しくなったので一覧払い L/CからユーザンスL/Cに変更すべく銀行に検討を依頼したが謝絶された、といった輸入者の信用悪化が予想される場合は注意が必要です。一方、他の輸出者もD/A決済に応諾している場合や、単純にL/C発行料の削減を目的とした場合もあるので慎重な対応が求められます。いずれの場合も、信用調査機関などを利用して、輸入者の信用調査を行うことが有効な手段となります。 - 輸入者との交渉
- 中間の決済方法を交渉する
L/CからD/Aへの変更をそのまま応諾するのではなく、少しでもリスクを減らす決済方法で合意できないか交渉を行います。例えば、L/C決済のままでユーザンスを長くすることで合意できないか(例:船積後30日払いから船積後60日払いに変更)、L/Cなしへの変更は受け入れるがD/AでなくD/Pで合意できないか等を交渉してください。 - スタンドバイ(Standby)L/Cを要求する
D/A決済を応諾する条件として、「契約履行保証」を目的とするスタンドバイL/Cを要求します。輸入者が支払期日に支払わない場合、輸出者は輸入者の契約不履行を証したレターを作成し、取引銀行経由でL/C発行銀行に呈示して支払いを受けることができます。なお、スタンドバイL/Cは、国際商業会議所(International Chamber of Commerce: ICC)発行の荷為替信用状に関する統一規則および慣習(ICC Uniform Customs and Practice for Documentary Credits 2007 Revision: UCP600)や国際スタンバイ規則(International Standby Practice: ISP98)に準拠します。
- 中間の決済方法を交渉する
- その他のリスク軽減方法
- 貿易保険の利用
貿易保険の利用は、填補額の上限や保険料の問題と取引の採算性を併せて検討する必要があります。具体的な条件や料率については日本貿易保険(NEXI)にご確認ください。 なお、貿易保険を利用するには契約相手先、支払人等をNEXIの「海外商社名簿」に登録します。海外商社名簿への登録と同時に、信用危険を引き受けるための与信審査も行われ、審査結果は「海外商社格付」としてNEXIから申請者に連絡されます。また、民間損害保険会社の「輸出取引用・取引信用保険」もあるので、各保険会社へお問い合わせください。 - 銀行等のサービス利用
大手邦銀や在日外資系銀行では、国際ファクタリング(銀行やファクタリング会社が海外との取引に伴うリスクを輸出者に保証する)、フォーフェイテイング(Forfaiting)(輸出者が振り出す輸出手形を、輸出者が買戻義務を負わないで銀行が買取をする)など、輸出者の売掛債権回収のリスクを軽減する方法もあります。
- 貿易保険の利用
こんにちは。
貿易実務に関わって20年以上、の神高(かんだか)です。
職場の若い仲間から「取引先が電子メールに『支払いを L/C から T/T remittanceに変えたい』と書いてきていますけど、T/T とはどんな意味ですか?」との問い合わせを受けました。
通称、ティーティー。
100% advance payment by T/T みたいな表現ですね。
貿易実務の中で使われているあれば、T/T は Telegraphic Transfer (テレグラフィック・トランスファー)の略です。
- Telegraphic: 電信(でんしん、電気的な通信のこと)
- Transfer: 送金(そうきん、お金を銀行口座などに振り込むこと)
- Remittance: 送金(同じく送金の意味)
「T/T remittance= 電信送金」という訳語が貿易事務などでは充てられていて、単に T/T とだけ書かれることもあります。
あとは、前受金( down payment )を T/T にする、なんて使い方もあります。
- 契約金額の30%:契約後30日以内に T/T remittance(前受金、前払い、Down Payment)
- 契約金額の70%: 船積30日前に開設する L/C で決済(残金、後払い、Outstanding Payment)
今回は、T/T の意味や使い方、なぜこのような申し入れがあったのか、について、一緒に整理しておきましょう。
【貿易】T/T決済とは?|Telegraphic Transfer の意味(仕向と被仕向)
貿易実務の世界で、T/T決済とは「国を超えた銀行同士の送金で決済すること」と認識されています。
まあ、「銀行振込(ふりこみ)」みたいなものだと理解しておきましょう。
銀行同士、というところがポイントで、それぞれの銀行口座の間で口座の所有者の間でお金のやりとりが発生します。
その時、L/C (信用状)取引などと異なり、船積書類などの条件は付きません。
単に払う側( remitter、送金人 )が「送金金額」や「送金時期」を確認すれば、受け取る側( remittee、送金受取人 )の口座に指定の金額が振り込まれます。
一般的には、送金人が銀行に書類を提出する、あるいはインターネットなどで電子的に確認をすれば、指定日に指定された金額が送金されます。
送金する側からみて、「仕向送金(しむけそうきん)」とも呼ばれます。
逆に受け取る側なら「被仕向(ひしむけ)」ですね。
営業部門であれば、社内の会計部門などとやりとりする時に「このインボイスに当たる被仕向、当座に入金されてませんか?」みたいな使い方をします。
この「仕向(しむけ)」「被仕向(ひしむけ」は銀行と電話や打ち合わせをするときにも使われる用語なので、憶えておきましょう。
それでは今回、買主(かいぬし)が L/C の代わりに T/T を提案してきた理由は何でしょうか?
なぜ、買主(かいぬし)はT/T決済を提案してきたのか?|T/T のリスクとは?
ごめんなさい。
今回、買主(かいぬし)が L/C の代わりに T/T を提案してきた「本当の理由」はここ(ブログ)では書けません。
ただ、一般的には、L/C(信用状)決済 を T/T 決済に変更したい、ということは、L/C 決済では何らかの不都合が買主側にある、と考えられます。
- L/C (信用状)を開設できない事情が買主側にある(できない)
- 手数料やその他の事情で、L/C (信用状)をやめたい(したくない)
いかにもありそうなのは、上記のいずれかでしょう。
この時、貿易事務(船積をして代金回収をする担当)であれば、上司に相談の上で営業担当(海外営業、といった部署名の企業もあります)にもこの情報を伝えるべきです。
というのも、客先(買主)側に何らかの変化が生じている可能性が高いからです。
契約書の中でも代金決済方法は重要な条件の一つですから、売主、買主、お互いに合意し、さらに何らかの書面を交わしてから変更をするべきです。
特に L/C 開設ができない、という時は買主側の資金繰りが悪くなっている可能性までありますから、営業部門へ早めに相談しましょう。
前受金を T/T で決済し、残金を L/C 決済とする使い方もあります

貿易の世界では、代金の一部を前受金(まえうけきん、手付金などの前払い)を T/T で決済して、残りを L/C 決済とする取引も行われています。
- 契約金額の30%:契約後、〇〇日以内に T/T remittance(前受金、前払い、Down Payment)
- 契約金額の70%: 船積△△日前に開設する L/C で決済(残金、後払い、Outstanding Payment)
といった具合ですね。
T/T は送金を実行(じっこう、と銀行の業界は呼びます)するタイミングを送金する側( remitter )が自由に決められるので、貨物の出荷のタイミングや客先(買主)の動きを見ながら、次のアクションを変更できます。
たとえば、〇〇日以内に送金がなければ督促(とくそく)をする、さらに□□日が経過したら貨物の出荷を取りやめて新しい納期を設定する、といったこともできるわけです。
T/T をうまく使えれば、扱う商品のリードタイム(仕様決定や製造に必要な日数)や品質を保つ期間(錆びたり腐ったりするものであれば)にあわせて決済方法を決めていくこともできます。
その点、L/C (信用状)だけの決済は日本と外国、二つの銀行が決済の条件に関わってきますから、T/T ほどの自由度をもって動くことは難しいのが実情でしょう。
前受金は「買う側」からすれば怖い仕組みですから、そもそも受け入れられない可能性もあります。
まとめ:T/T決済、Telegraphic Transfer の T/T は他にも使われます
最後に、今回の内容をまとめておきましょう。
貿易実務に関わっていると T/T という形式で Telegraphic Transfer という用語に接していますが、実はこれ以外にも営業や資材部門であれば、ふだんから目にしている TT を含む略語があります。
それは、TTS と TTB です。
- TTS: Telegraphic Transfer Selling rate(銀行から見て「売る」為替レート)
- TTB: Telegraphic Transfer Buying rate(銀行から見て「買う」為替レート)
固い訳語をあてると、それぞれ「対顧客電信売相場(たいこきゃくでんしんうりそうば)」「対顧客電信買相場(たいこきゃくでんしんかいそうば)」となります。
こういった用語を互いにリンクさせて憶えていけば、いざという時にイメージしやすくなりますよ。なかなか、憶えられませんけどね。
貿易LCと貿易TTの意味とは?
LC(Letter of Credit)とTT(Telegraphic Transfer Remittance)ともに貿易の実務用語で、貿易取引における輸出入時の決算手段です。
LCは、簡単に説明すると信用状であり銀行による支払確約状です。輸入者側の銀行と輸出者とが保証契約を結ぶ為、代金の支払い保証が強くなります。この支払保証が強くなる事が、LC取引の最大のメリットです。
一方、TTとは、一般的には通常の銀行振込を意味します。LCよりも支払保証が強いとは言えませんが、船積み書類を輸入地へ直接送付すれば良い為、輸入地への書類到着遅延のリスクは低いです。船積み書類の作成や手配については、銀行を介さない為、LC取引よりも厳密な注意は要求されず事務関係の手間が省けます。
T.T
電信送金
貿易資金決済に関連した用語。
Telegraphic Transferの略、Wire Transferともいう。
仕向送金の一方法。
受取人に支払内容を記載した「支払指図」を支払銀行あてに電信で送る。かつて電信送金は急を要する場合に利用されたが、現在では海外への資金支払時にはほぼすべての場合に利用される。
受取方法には通知払い、口座振込、請求払いの3つがあるが、マネーロンダリング排除の関係で口座振込が強く推奨されている。
ワンポイント:
海外送金のトラブルを回避するために、
1. 受取人の口座番号、口座名義だけでなく、IBANやBICコードなども受取人から正確な情報を得る。
2. 送金通貨は相手国の通貨かUSDで取り組むようにする。(日本円は相手銀行によっては受渡し不能の場合がある)
3. 取引口座の無い銀行で送金を依頼する場合は、本人確認などかなり手続き面が煩雑であるので、事前に必要書類等確認のうえ訪問する方が良い。
関連用語:
T/T Remittance
仕向送金
T/T Remittance
T/T送金
国際金融決済用語。
T/Tは、Telegraphic Transfer Remittanceの略。
電信為替送金のこと。銀行経由の外貨送金の意味。
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