6,1 リスク及び機会への取り組み
6.1.1(リスク及び機会の決定)
食品安全マネジメントシステムの計画を策定するとき,組織は,4,1に規 定する課題,及び4.2並びに4.3に規定する要求事項を考慮し,次の事項の ために取り組む必要のあるリスク及び機会を決定しなければならない。
a)食品安全マネジメントシステムが,その意図した結果を達成できるとい う確信を与える。
b)望ましい影響を増大する。
| c)望ましくない影響を防止又は低減する。
d)継続的改善を達成する。
注記: 。
この規格において,リスク及び機会と|よ,食品安全マネジメントシステム のパフォーマンス及び有効性に関する事象,及びその結果に限定されるёl l ・組織は,該当する機関の責任下にある公衆衛生上のリスクに直接取り 組むことは,要求されていない。
。
しかし,食品安全ハザード(3.22参照)のマネジメントを要求されており, そのプロセスに関する要求事項は,箇条8に規定されている。
6.1.2(リスク及び機会の計画)
組織は,次の事項を計画しなければならない。
a)上記によつて決定したリスク及び機会に取り組むための処置 b)次の事項を行う方法 1)その取組の食品安全マネジメントシステムのプロセスヘの統合及び実施2)その取組の有効性の評価
6.1.3(リスク及び機会に取り組むための処置)
組織がリスク及び機会に取り組むために取る処置は,次のものと釣り合つ ていなければならない。
a)食品安全要求事項への潜在的影響,及び b)製品及びサービスの顧客への適合,及び c)フードチェーン内の利害関係者の要求事項 注記1:リスク及び機会に取り組むオプションには,リスク回避,リスク源 を排除する機会を追究するためにリスクを負うこと,可能性又は結果を変 更すること,リスクの共有,又は情報を受けたうえでのリスクの存在の容 認がある。
注記2:機会には,組織またはその顧客の食品安全ニーズに対応するための 新技術及びその他の望ましくかつ実効可能な可能性を利用して,新方式 (製品又はプロセスの修正)の採用に至ることができる。
●規格のポイント0解説
*箇条6「計画」と6.1「リスク及び機会への取り組み」は,改訂22000: 2018の目玉の―つとも言える新規の要求事項であり,組織のフードチェー ンでの関わりのなかで,食品安全マネジメントシステムの目標達成と連動さ せた活動を要求している。
*食品安全マネジメントシステムは,PDCAサイクルの運用が基本であり,そ のために計画を策定することによつて,食品安全マネジメントシステムの有 効的活用が可能になる。
*食品安全マネジメントシステムは,組織の活動を通して,顧客満足度を追究 するシステムでもあり,その有効性評価は,組織内外の状況に影響を受ける。
*したがつて,組織の食品安全マネジメントシステムは,組織のビジネス環境 と常に密接な相互的関係を維持し,機能させなければならない。
*組織は,発生した不適合に対処して,原因を追究し,改善へとつなげる活動 を実施しなければならない。
*そのために,計画に基づいた課題に取り組み,新たな改善の機会とめぐり逢 うための努力が求められる。
*箇条6.1頂「リスク及び機会への取り組み」では,箇条4.1項で明確にした 組織内外の課題と,箇条4.2項で検討した利害関係者の要求事項を,その重 要度を尺度にして決定することを要求している。
*決定した事項への対応は,箇条6.2頂で採用することで,利害関係者の要求 事項を含む,組織の食品安全マネジメントシステムの構築を要求している。
*これらの実施は,箇条8の要求事項でもある。
*「リスク」は,不確かさの影響と定義され,将来起きる可能性をいう。
・ リスクは,システムのあらゆる側面に存在し,システムを構成するすべて の前提条件には,不確実さが包含されており,組織のすべてのプロセスと 機能にリスクは存在している。
・システムにマイナスに作用するリスクが,システムを脆弱にする要因とな り,これを排除することで,より安定したシステム構築が可能になる。
・リスクに基づく考え方とは,マイナスに作用する不確かさを含んだ要因と その影響に関して,システム全体の中でこれらを特定し,管理することを 確実にする考え方である。
・リスクに基づく考え方の採用によつて,従来の不適合を機に対応する考え 方よりは,より不適合の発生を先取りできることになる。
・すべての品質に関わるシステムの脆弱性に起因すると思われるリスクの要 因とその影響を排除する対応策を採用する。
*「機会」とは,既に明らかになつている事柄で,目的の達成に有利な状況や事 態をいう。
*リスクの可能性が潜んでいる事例 ・使用原材料の品質管理不備に関するリスク (野菜の残留農薬,鶏肉のリステリア汚染,生乳の微生物および薬剤汚染, 青魚のヒスタミン汚染,液卵のサルモネラ汚染など,限りない汚染のリス クを負つている) 。
管理標準/管理基準などの不徹底による不適合製品の流出のリスク(工程製品の中心温度基準の管理不備,金属探矢□機による管理基準の不備 など,CCP/OPRPプランの管理基準の設定の不備に潜むリスク) ・作業手順の不備,工程および設備の不備,作業者への教育や力量不足に起 因するリスク (各製造プロセス管理に潜むリス2清掃から機器類の使用・整備に関す る工程管理の不備に潜むリス2従事者の無知や教育不足に起因するリス クなど,製造工程全般のリスクとの闘いである) 。
食品輸送に関する管理の不備による事故 (食品輸送の温度管理,清掃管理,取扱い,認識などの不備に潜むリスク) 。
測定機器の管理不足,検査機器の管理の不備,取扱い作業者のうつかリミ ス,作業者の教育・訓練不足などによる事故 (製造工程の間接的機器類の管理やその取扱いに潜むリスク) 。
目標の進捗管理の不備によるリスク (目標管理の不徹底による顧客の信頼に関するリスクなど) *食品安全上,あらかじめ発生する可能性が高い問題,影響が大きいと思われ る不具合を絞り込み,その絞り込んだ事項に対する具体的な対策を要求して いる。
(食品安全の観点から,製品・サービスヘの潜在的影響を追究し分析す る組織の力量を要求している) *箇条4.4頂で明確にした個々のプロセスを,全体の食品安全マネジメントシ ステムに統合させ,この中にリスクと機会を取り込ませ,機会を活かし,不 確実性による脆弱性を排除し1より強健な食品安全マネジメントシステムの 構築と運用を要求している。
*何らかの方法で,事前に発生する可能性がある問題(リスク)を想定し,その 重要度に応じた処置や取り組みを要求している。
そのためには,例えば,「監 視プロセスの増強」「製品規格・基準のレビュー」「供給者と供給原材料の基 準の強化」などがである。
*「リスク及び機会」の徹底で防止できた大規模食中毒事例分析 [2000年6月に発生した雪印乳業食中毒事件] 雪印乳業大樹工場の生産設備に氷柱が落下し3時間停電,工場内のタン ク内に保存していた脱脂乳が20℃ 以上に温められ,そのまま4時間滞 留し=その間に病原性黄色ブドウ球菌が増殖し,毒素(エンテロトキシンA)が産生され,食中毒の原因となつた。
① 遠心分離によつて分離された脱脂乳への,病原性黄色ブドウ球菌の汚染の リスク ② 保存タンク内での病原性黄色ブドウ球菌の増殖と毒素(エンテロトキシン A)産生のリスク ③ 氷柱が製造電気設備に障害を与えるリスクとその検索不足(工場の屋根か らの地上までの氷柱は,冬季通常の現象であり,決して珍しくない) ④ リスク①とリスク②を回避する(機会)を検討し,廃棄を考慮したが,後工 程に加熱・殺菌工程があり,病原性黄色ブドウ球菌を死減できると判断し たことによるリスク ⑤ 病原性黄色ブドウ球菌の産生する毒素(エンテロトキシン)に対する知識不 足によるリスク ⑥ 該当仕掛製品の廃棄や廃棄処理による環境などに掛るリスクと消費者に影 響するかもしれない重篤性を考慮した「リスク分析の実施と機会」 以上,本事件について,直観的に「リスク及び機会」を記載したが,改訂 IS022000:2018は,組織の食品安全マネジメントシステムに帰属する, 4.1頂と4.2項に関する「リスク及び機会」の総合的な力量を要求している。
余談:門外漢であるが,アノ原発事故は,原子炉の冷却不能による「リスク 及び機会」を,知的集団の企業がどこまで考慮したのであろうかつ 例えば,電気機能不能緊急時の液体窒素や液化炭酸ガスの投入設備の付設な ど・・・・ 【参考解説】 「リスク」と「食品安全ハザード」と「機会」 「食品安全ハザード」は,健康への悪影響をもたらす可能性がある食品中の生物 的,化学的もしくは物理的物質と定義される。
一方,「リスク」|ま,不確かさの影 響と定義されている。
よつて,牛の内臓肉に含まれる0157,鶏肉・鶏卵に含ま ねるカンピロバクター・サルモネラ,青魚加工の不備によつて発生するヒスタミ ン(ヒスタミン産生細菌のヒスチジン脱炭酸酵素による反応)などの物質を「食品 安全ハザード」といい,それらの細菌類によつて引き起こされるかもしれないそ れぞれの疾病現象などが「リスク」である。
また,「機会」は,それらの「リスク」の発生と結果の現象を回避するための適 切な技術的改善策をいう。
食品安全ハザードとリスクと機会

情報,理解,知識の不備によるリスクと機会

*(参考規格)リスクマネジメントー原則及び指針/JlSQ31 000:2010/JISQ2001:2001
● 審査のポイント
*食品安全マネジメントシステムのPDCAを実施し,好ましい結果を達成する ために,組織や利害関係者に関して,可能な限りのリスクと改善の機会とな る事項を特定すること。
(組織の4.1項と4.2頂で規定した要求事項を考慮すること) *特定したリスクおよび機会と取り組むための処置方法と食品安全マネジメン トシステムとの相関関係を明確にし,その処置方法の有効性を評価すること が求めらねている。
*特定したリスクおよび機会と,取り組むための処置方法は,食品安全要求事 項への考えられる影響,製品やサービスの顧客への適合性,並びにすべての 利害関係者の要求事項の程度に釣り合つたものであること。
○審査指摘事例
蜃冷凍食品製造に関する最終製品の潜在的なリスクと,その機会に関する事項 が明確になっていません。
例えば,製品解凍時の残存微生物のリスクと,その具体的な対策など。
璽入手原料,例えば,冷凍肉に関するリスクと機会が特定されていません。
例えば,使用原料冷凍肉の潜在的なリスク(飼育時使用の薬剤=病原菌など)と! その対応策など。
M組織は,製品である冷凍食品を,遠距離にある顧客の店舗に配送していますが| そのプロセスに関するリスクと機会が明確になっていません。
■ 組織は, フライ麺製造に関する含有油脂の法的要求事項に関するリスクは明 確にしていますが,実際のそのリスクの機会に関する処置方法が,食品安全 マネジメントシステムのプロセスと整合していません。
■ 組織は,関連冷凍会社から,冷凍青魚を仕入れ,缶詰を製造していますが, 関連会社が保管する原漁のヒスタミンに関するリスク管理の不備が観察され ました。
原漁冷凍庫の温度管理と冷凍能力の関係による鮮度低下のリスク管 理と機会の明確化などが求められます。
【参考】食品安全マネジメントシステムヘの「リスク及び機会」導入手順
I.食品安全チームは,「リスク及び機会」導入に先駆けて,「組織の企業方針と 現状と将来の課題等」について,より具体的に把握し,文書化すること。
* 営業関係:顧客等利害関係者(例えば,アウトソース先からの安定的供 給・品質維持向上など)に関する * 原材料資材購入関係:海外及び国産に関する安定供給及び品質維持・向 上に関する * 工場運堂関係全般関係:フローダイアグラム・QS工程表・作業分析な どに関する,PRPs(ISO/TS22002-1)該当事項及び主要機器類の総合 的メンテナンス事項(例えば,主要部品の安定的供給など)に関する * 人的資源に関する事項:要員の安定的確保及びコミュニケーション不足 による。
教育訓練不足等(例えば,従事者の長期疾病による体職などに 対する)に関する
Ⅱ.食品安全チームは,関係部門のスタッフと分担して,「リスク及び機会」抽 出チームを編成し,例えば,KJ法などを活用しながら,抽出した「リスク 及び機会」を,部門ごとの関係事項事にまとめる。
* 「リスク及び機会」抽出事例は,本書「規格のポイント・解説」「参考事例」 参照。
* 工場運営関係全般に関する,「リスク及び機会」の抽出対象事項は,ハ ザード分析で特定した,CCP及びOPRP以外の懸念さねる事項である。
Ⅲ.食品安全チームは, Ⅱ.で抽出した「リスク及び機会」について,企業とし て優先して運用・管理すべき事項を特定し,各部門の活動目標に展開し,例 えば定期的な部門会議等でその進捗管理状況等を議論し,その結果を,マネ ジメントレビューのインプット情報とする。
食品安全基礎知識
化学物質とリスク評価 フードチェーンの生産,供給,加工,保存,すべての段階での食料の安全 性向上には,農薬,殺菌剤,洗浄剤,食品添加物などが使用されるが,それ らの特性を正しく理解する必要があり,消費者に健康被害をもたらさないた めの使用基準が定められている。
フードチェーンの最上流の農業生産では,各種農薬・殺虫剤をはじめ農作 物の成長抑制・促進剤があり,畜産業では,動物医薬品や各種飼料添加物(栄 養剤,品質低下防止剤)などさまざまな添加剤が使用されている。
食品製造 加工では,食品添加物が保存の目的や品質改良の目的で広く使用されている が消費者の健康被害リスクを増加させないようにリスク分析, |リスク評価や リスク管理が行われ,「ファームからテーブル」までの安全性がコントロー ルされている。
食品安全基本法における安全確保の手法は,第一に動物実験による毒性試 験で無毒性量(NOAEL:no observed adverse e∬ ect levet)を確認する ことです。
第二に1日摂取許容量(ADI:acceptable dally intake),すなわち人が生涯にわたつて毎日摂取することができる体重lkg当たりの量の 算出,第三に摂取量がADIを超えない使用基準の設定である。
これらのリスク評価手法は,対象となる物質の摂取によって発生するかも しれない健康被害の発生率とその深刻程度を推定する手法である。
有害性の確認と用量反応特性テストは,動物実験が行われ,食品添加物の 指定申請には,安全性確認資料として,その起源,発見の経緯,外国での 使用実績,物理化学的性質および成分,有効性,安全性(毒性に関する資料, 体内動態に関する資料,1日摂取量に関する資料),使用基準案などの詳細 な資料が要求される。
長期の摂取量毒性試験結果について検討され,無毒性量のうち最も低値の 無毒性(NOAEL)から1日摂取許容量(ADI)を求める。
げつ歯類(哺乳綱智 歯目に属する動物の総称で,ネズミ,リス, ビーバーなど)の2年間試験は| ヒトの一生涯に対応する試験として慎重に検討・評価される。
なお,「ヒト」 は生物学的存在を意味し,「人」は社会的存在を意味することで,区別して 使用される。
ADIは,実験結果から得られるNOAELの1/100を想定する。
この 100の根拠は,種差10,イ固体差10の積である。
例えば,NOEAL:10ミ リグラムは,ADI:0.1ミリグラムである。
リスク管理のステップとして基準値の設定のまえに,理論最大摂取量を求 め,摂取量の目標値を設定する。
残留農薬や食品添加物の場合,マーケットバスケット法や陰膳法などに よつて,人の推定摂取量(暴露法)を求める。
リスク特性は,有害性の確認や用量反応評価として得られるADIと暴露 量(目標値の摂取量または推定および調査の実態からの1日摂取量)の比較 値によつて判断される。
安全性確保としての基準値の設定は,NOAELをヒトの1日摂取量で除し たものであり,安全係数における種差と個人差の積に相当する100倍程度 を基準値としている。
使用基準の設定は,残留基準値を超えないように農薬や食品添加物の使用 法が制限され,また,使用してよい対象作物や食品が定められ,それによる 使用法や使用量が規定される。
各作物あるいは食品ごとに最大残留量が推定され,その総和がADIよりも十分に余裕をもつて小さくなるように使用基 準が設定される。
6.2 食品安全マネジメントシステムの目標及び それを達成するための計画策定
6.2.1(FSMSの目標設定)
組織は,関連する部門及び階層において,食品安全マネジメントシステム の目標を確立しなければならない。
食品安全マネジメントシステムの目標は,次の事項を満たさなければなら ない。
a)食品安全マネジメントシステム方針と整合していること。
b)測定可能(実行可能な場合)であること。
c)法令/規制要求事項及び顧客の要求事項を含む,適用される食品安全要 求事項を考慮に入れていること。
d)監視(モニタリング)され,検証されること。
e)伝達されること。
f)必要に応じて適宜,維持及び更新されること。
組織は,食品安全マネジメントシステムの目標に関する,文書化した情報 を保持しなけねばならない。
6.2.2(FSMSの目標達成のための計画策定)
組織は,食品安全マネジメントシステムの目標をどのように達成するかに ついて計画するとき,次の事項を決定しなければならない。
a)実施事項 b)必要な資源 c)責任者 d)達成時期e) 結果の評価方法
● 規格のポイント・解説
*新規の見出しであり,1日版の箇条5.3項「食品安全マネジメントシステムの 計画」に該当し,日標管理について,より具体的にその計画や達成の方策を 規定している。
*箇条6.2,1頂は,食品安全マネジメントシステムの目標を設定し,箇条6.2.2 頂は,日標の達成計画についての要求事項である。
*組織の食品安全目標は,食品安全マネジメントシステム方針と整合し,判定 可能で,かつモニタリングや検証さねるなど,より具体的な目標達成の進捗 管理が要求されている。
*目標達成計画には,いつまでに,誰が,どのようになど,例えば,「食品安全 目標管理シート」などによる進捗状況の管理や具体的な評価が要求されてい る。
● 審査のポイント
*組織の食品安全マネジメントシステム方針と整合した目標が設定さね,各部 署に展開され,具体的な目標達成のための要件を満たし,計画どおりに,そ の進捗状況が適切に管理されているかが,審査の重要ポイントである。
*目標の設定とその達成は,すべての要員自身の業務と整合していること。
・審査指摘事例
霞組織は,食品安全マネジメントシステム(FSMS)の導入間もないこともあっ てか,食品安全目標として,① 整理・整頓の徹底,② 洗浄。
殺菌の慣行, ③ 5S活動の実施,などが設定されていますが,食品安全目標としては,半」 定がやや困難です。
組織の安全。
安心な製品の実現に直接影響するような目 標の設定が望まねます。
例えば,初年度からでも,次のような製造部門の食品安全目標も考えられます。
① 昨年対比,食品安全クレームを半減させる。
② 毛髪や昆虫など製品への異物混入を昨年対比30%削減する。
③ 魚介類 加工冷凍食品製造プロセスにおいて,急速冷凍前の一般生菌数を10,000/g 以下にする。
④ ハム・ソーセージ製造プロセスにおける塩漬前豚肉の生菌数 を100,000/g以下にする。
⑤ 全製造作業要員に食品安全衛生教育を年6回 以上実施する,などが挙げられます。
■ 食品安全目標として,例えば,「昨年対比,食品安全クレームを半減させる」 の目標に対して,1年後のゴールを見据えた進捗状況が監視さねていませんし, 継続的改善への手順も確認できません。
例えば,「食品安全目標管理シート」 などによる監視・測定など,FSMSをより有効にする手段とその運用が望ま れます。
またI直接の製造作業員自身の日常業務との関わりが明確になつていません。
食品安全基礎知識
サルモネラ 世界中の食中毒件数。
患者数で上位を占める重要な食中毒菌であり,大腸 菌に近い性状を示すが,大腸菌と異なり乳酸を発酵せず,クエン酸を利用し, 硫化水素をつくる。
しかし,例外もあるので注意を要する。
サルモネラ菌の 種類には,ヒトにチフス症を起こすチフス菌,パラチフス菌,および食中毒 を起こす血清型がある。
油脂類と共存するとヒト腸管内での殺菌に逃れやすく,最小発症量は, 10個以下といわれている。
食中毒の潜伏期間は,18時間から36時間と いわれ,吐き気,発熱(38℃ 前後),腹痛,下痢で,2,3日で軽快,約 1週間で回復するが,幼児などは警戒を要する。
サルモネラ菌は熱に弱く, 70℃ ,数分の加熱で死滅する。
サルモネラは,哺乳類などあらゆる陸上動物の腸内に生息し,感染源は鶏 肉をはじめとする肉類,鶏卵,およびその加工品などがその原因食品となる。
わが国でも1995年以降特にサルモネラ・エンテリティディスによる食中 毒が急増している。
鶏卵からの汚染は近年特に多く,卵表面からだけでなく 鶏の母体内での垂直感染も確認されており厄介な問題である。
(インエッグ
のサルモネラ汚染) したがつて,育雛農場や採卵養鶏場における鶏の健康管理や衛生管理の 徹底,生の卵を使用する食品工業分野の衛生的取扱いが必要である(因みに, 育雛農場では,厳密なワクチネーシ∃ンプログラムによる徹底した管理が実 施されているが…)。
6.3 変更の計画
組織が,人事異動を含めて食品安全マネジメントシステムヘの変更の必要 性を決定した時,その変更は計画的な方法で実施され,伝達さねなければな らない。
. . ‐ 組織は,次の事項を考慮しなければならない。
| a)安全な食品生産の供給及び維持のための変更の目標及びそねによって起 こり得る結果 b)食品安全マネジメントシステムの「完全に整つている状態」 c)変更を効果的に実施するための資源の可用性 d)責任及び権限の割り当て又は再割り当て
・規格のポイント・解説
*新規の見出しであるが,1日版の箇条5.3項「食品安全マネジメントシステム の計画」の変更に関する要求事項の詳細版である。
*この要求事項は,食品安全マネジメントシステムの変更を計画的,かつ適切 に実施しないと,日寺として,新しい食品安全ハザードの混入やリスクを見落 とすことが懸念されるからである。
*食品安全マネジメントシステムヘの変更の必要性には,例えば,大幅な人事 異動,技術革新(新技術の導入),利害関係者の要求事項の変更, ビジネス環 境の変化(対外的な販売システムの変更,国内における主力原料の調達困難 など),箇条アに関連するインフラの変更,箇条8に関連する運用プロセス の変更などが挙げらねる。
これらの変更のすべてを,箇条9でレビューし,箇条10で改善に結びつけ,食品安全マネジメントシステムをより効果的に 変更することを目的としている。
*変更は,「リスク及び機会」へも直結した関係事項でもある。
●審査のポイント
*食品安全マネジメントシステムに影響を与える変更が発生した場合の処置は, 規定されている要件を満たして,計画・実施されているかがポイントである。
*食品安全マネジメントシステムに影響を与える製造プロセスの変更について, 人的資源も含めた適切な計画の基に確実に実施されているかが審査される。
● 審査指摘事例
■ 組織は,大幅な人事異動を実施しているにもかかわらず,食品安全マネジメ ントシステムヘの影響などレビューした計画が確認できませんでした。
■ 製造プラントや製品仕様が大幅に変更になつているにもかかわらず,その具 体的な計画が確認できませんでした。
■ 食品安全目標が変更になっていましたが,その具体的な変更理由などを食品 安全チームで検討した記録が確認できませんでした。
■ 主要原料が,国内から国外に変更になつているにも関わらず,関連した要求 事項,例えば,「リスク及び機会」「ハザード分析」などをレビューする計画 が確認できませんでした。
食品安全基礎知識
腸管出血性大腸菌と食中毒 015アが代表的な菌株で,発症事例が多い。
1982年のアメリカオレゴ ン州,ミシガン州でのハンバーガー事件をはじめ,カナダ・オタワでの力二 サンド事件など各国で発症し,我が国では1996年の岡山県・大阪府をは じめとする全国的な集団発生が社会問題となつた。
特に幼児,老人の被害が 顕著である。
赤痢菌と同じようなべ□毒素(アフリカミドリサルのベロ細胞を破壊する作用に由来)を産生する。
これらの菌種の鑑別は難しく,血清型試験やべ□毒素のDNAなどの同 定が必要である。
この感染症の潜伏期間はかなり長く,普通4~ 8日である。
発症菌数は極めて少ないため,水などからヒトヘと伝染するものと考えられ る。
汚染源はアメリカにおいては,ハンバーガーが多く,わが国では,古く はカイワレ大根の種子が疑われたが,2011年の富山県をはじめ3県で発生 したユッケによる食中毒事件では5名が死亡し,患者数は181名,2012 年の札幌市を中心に発生した白菜浅漬による食中毒事件では8名が死亡し, 患者数は169名であつた。
また,最近では,2017年9月13日,埼玉・ 群馬両県の系列惣菜店のポテトサラダ ` などによる0157集団食中毒で,3 歳の女児が死亡した。
ほかの大腸菌同様に熱に弱く,68℃ までに速やかに死減する。
しかし 015アを含むこれらの菌は,酸に強くpHl.5でも生存するデータもあり, pH3.8~ 4.0のマヨネーズや,pH3.6~ 4.0の果汁炭酸飲料では,長期生存 したとの報告もある。
また水分活性の低い発酵,乾燥食品や,-20℃ で の保存においても長期間生存するので,食品製造加工においては,特に衛生 的な取扱いに注意を要する。
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