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自社の経営規模に合った実践的な良い教材を揃える

 教育の世界には、「良い教材を使って学習すると、経験だけに頼っていたときに比べて 3倍以上の学習成果が出る」という教訓があります。  では、良い教材とはどのようなものをいうのでしょうか。  社長にとっての良い教材の第 1の条件は、自社の経営規模にふさわしい内容のものであることです。完全に一致する教材を手に入れるのは、むずかしいかもしれませんが、 5倍以内であれば、まだ応用がききます。  しかし 10倍以上になると、社長の役割も従業員の役割もまるで違ってくるので、参考になりません。逆に、経営のやり方を誤解する可能性が高くなるので、害になることのほうが多くなります。  しばらく前に『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』という本が大変なベストセラーになり、降って湧いたようにドラッカーブームが起きました。  このとき従業員 120人のある会社の二代目社長はこのブームにあおられ、ドラッカーに詳しいコンサルタントに頼んで、毎月 1回 6カ月間にわたり、新入社員まで含めた全社員にドラッカー経営学の話を聞かせました。  そのために 200万円のお金を使いました。  しかしドラッカーの本で紹介されているのは、従業員が 1万人とか 10万人の大会社が中心で、内容の対象は主に社長などの経営トップ層です。中小企業の従業員は対象になっていません。  戦術の改善対策などについての説明はほとんど入っていませんから、従業員の仕事には全く役立たなかったはずです。結局、この教育に使った 200万円の経費は、単なるムダ遣いに終わってしまいました。  このようなケースは、あちこちの会社で見られました。教育を引き受けたコンサルタントの業績は良くなったかもしれませんが、会社としては、何の意味もなかったのです。  有名大学を卒業したあと大会社に就職し、何年か勤めたあとでコンサルタントになった人がつくった CDや DVDでは、仮に教材のタイトルが「中小企業向け」となっていても、どうしても大会社の事例が多くなります。  それに、そうした教材で学習しても「学習の差別化」はできないので、社長の戦略実力が高まる見込みはありません。だから、自社の経営規模に合った内容の教材を選ぶことが大変重要なのです。  では、そのような教材を選ぶときは、どんな点に注意すればいいでしょうか。  1つ目のポイントは、教材制作者の経歴です。  超一流大学を卒業して、数万人も社員がいる大企業で偉くなった人が、いくら「中小企業にぴったりの教材です」と言っても、それはまず無理な相談です。  ほとんどのコンサルタントはホームページをつくっているので、これを確かめると学歴や職歴がわかるでしょう。ホームページに書いていない場合は、そのコンサルタントの著書や、 1万円以下の CD、 DVDなどを購入してチェックすれば、その人が対象にしている大体の経営規模がつかめるはずです。  2つ目のポイントは、自社の業種と同じか、全く同じではないけれど近い業種か、です。まるで別の業種だと応用しづらくなります。  3つ目のポイントは、お客づくりの重要性についての内容に力を入れているかどうか、です。

たびたび説明するとおり、経営で最も大事なのは、お客をつくり出す仕事です。ですから従業員 100人以下の会社では、社長が使う教材も従業員が使う教材も、すべてお客づくりに焦点を当てたものである必要があります。  その意味で、 7年間以上は営業の仕事を経験した人が作成した教材のほうが望ましいでしょう。営業経験が少ない人の教材は、お客づくりの内容がどうしても底の浅いものになりがちで、実際の経営には役立たないのです。  4つ目のポイントは、弱者の戦略を中心にしてまとめているかどうか、です。 1000社中 995社は弱者で、さらにその中の 400社は競争条件が特別不利な番外弱者ですから、ほとんどの会社に必要なのは、弱者の戦略なのです。  どんなに知名度がある人がつくった教材でも、強者の戦略が中心になっている教材は、弱者にとってはむしろ害になってしまいます。  5つ目のポイントは、実践的でレベルが高いものであることです。抽象的な内容ではなく、実際に使われて高い実績を出した、具体性が高いやり方を説明した教材を選ばなければなりません。  例えばある人が、「販売実績の高め方」についての本やマニュアル、 DVDを売っているとします。この場合、その人自身が、何かの商品の販売で 300人中 1位になり、しかも 5年間連続してその結果を出し続けた、ということであればベストです。  ちなみに、営業パーソンが商品の販売で 5年連続 300人中 1位になるには、次の条件が必要になります。 ①その人独自の販売方法をいくつか開発していること。自分独自の販売方法を開発している人は、それまで「無理だ、できない」と言われていたことにあえて挑戦し、試行錯誤を何回も繰り返しながら自分独自のやり方を考え出しているものです。 ②自分が開発した販売方法を、何度も改善していく努力を重ねていること。 1位を連続して 5年以上守るには、改善に次ぐ改善が必要で、その経験もとても役立ちます。 1位になったのは 1回だけという人はマグレが多く、他の人の参考になりません。 ③自己管理能力が高いこと。 1位を連続して守り続けるには、自分の行動と生活内容を一定して守り続ける自己管理が必要です。このような経験があるとたいていは、応用性の高いルールができています。そのルールが、これから販売の仕事をしようとする人にはとても役立つのです。  以上の5つが、良い教材かどうかの主な条件です。  もちろん、この5つの条件に合致しているのにダメな教材もあります。  例えば、最初は役に立つと思ってその教材で学習したけれど、 3カ月、 6カ月たつうちにつまらなくなってきた、という場合などは、その教材はやはり質が悪いのです。  メロンやスイカに当たり外れがあるように、注意をしていても教材には当たり外れが出ます。それを計算に入れて、同じテーマであっても、いくつかの教材を準備することは欠かせません。

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