社長が自分の判断を委任するときの「良い人材」とは、自社の理念に共感していることを前提として、良い「人格」という土台の上に、必要な「能力」を備えている人材、ということになる。 その上で、ある程度の自由度をもって判断を委任するには、ひとりひとりについて十二分に理解することも必要になる。 私自身も、スタッフやメンバーの細かな管理はあまりしない。大事なのはあくまで目的に向かうことなので、目的に向かっているのであればそれでよく、プロセスは各自に任せることが多い。一定の基準を与えたら、あとはそれぞれの裁量に任せている。 目的に妥協はしない。だが、方法はそれぞれに任せる──これは、判断を委任する際の重要なルールだ。これを実践できるようになると、会社やビジネスに関わるひとりひとりの個性や能力が最大限に生かされ、会社はあなたの限界を超えて成長することになる。 多くの社長は、その人が「やれるか、やれないか」だけで評価しがちだが、私はそれよりも、メンバー個々人が「できること」と「やりたいこと」を一致させることが大切だと考えている。 と言うのも、「やれる」けれども「やりたくない」ことを任せても思うように進まず、結局、誰か別の人間が管理しないといけなくなることが往々にして起きるからだ。いくらスキルはあっても、そもそもやりたくないから精度は上がらず、ミスも増える。 一方で、「やりたい」し「できる」ことは、得意でやりたくて仕方がないのだから、管理などしなくてもどんどん進めて、どんどん成果を上げていく。好きだから上達も早く、集中力も続くため、結果的にミスが少ない。 そのとき、共有された会社の目的(あるいは、その業務の目的)にさえ向かっていれば、やり方は人それぞれでいい。社長である自分とメンバーでは、目的に向かうための方法や道筋が違う、ということはよくある。だが、全くの正反対を向いてさえいなければ、大枠としては前に進む。それで良しとするのだ。 また、なかには「自分は判断したくない」というメンバーもいる。そういう人に無理に委任することはない。誰かから受けた指示を作業としてこなすことが好きな人もいるのだ。反対に、「どんどん判断を任せてほしい」という人も、当然いる。 いずれにせよ、会社やチームというのは「人ありき」なので、その人たちの希望を踏まえた上で、判断を委任するか、誰に委任するかを考える必要がある。 私は一緒に働くメンバーに対して、「やりたいことをやってもらう」と同時に、「やりたくないことをやらせない」ことを大切にしている。だから、それぞれのやりたいこと・やりたくないことを理解する努力を惜しまないし、能力や実績、あるいは性格をわかっていない状態で判断を委任することはしない。
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