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自己資金で事業を始める VS借入金で事業を始める

自己資金で事業を始める VS借入金で事業を始める  あなたは「借金」に対してどのようなイメージを持っていますか?  おそらくいいイメージを持っている方は少ないのではないでしょうか。  私のクライアントの中にも「できれば銀行からお金を借りずに、自己資金だけで経営していきたいのですが……」とおっしゃる方がいらっしゃいます。  しかし、現実的な話として、自己資金だけで事業を続けている会社はほとんどありません。多くの会社は銀行からお金を借りながら(借金しながら)経営しています。  もちろん潤沢な自己資金があってその中でやりくりできるのであれば、それが理想です。しかし、実際には事務所を借りて家賃を払ったり、従業員を雇用して給与を払ったりなど、少なくない経費がかかってきます。  そのような中で自己資金だけですべてをやりくりしていくというのは、「経営」という観点から考えるとリスクでしかありません。借金で会社はつぶれない  私が会社を経営していく中で最悪だと考えているのが、「倒産して従業員を路頭に迷わせてしまうこと」です。だから、経営者は倒産しないために常日頃から会社の安全性について気を配らなければなりません。  もちろん、収益性や成長性も重要です。しかし、何よりも最優先して担保しなければならないのは、安全性だと言えるでしょう。  では、安全性とはなんでしょうか。それは手持ちの現金預金です。  現金預金さえあれば、基本的に会社は倒産しません。仮に 1億円の借金があったとしても、 1億円の現金があれば問題はないのです。「多額の借金 =倒産」、これを連想される方は多いのですが、借金をして倒産した会社はありません。会社が倒産するのは手持ちの現金預金がなくなるときです。  借金は手持ちの現金預金を増やす資金調達の手段であって、借金をしたから倒産するわけではないことは理解しておくといいでしょう。起業の資金調達には、政策金融公庫の創業融資を検討する  あなたが飲食店を始めようと、自己資金 100万円を元手に事業を始めたとしましょう。店舗を借り、内装工事を行って「さぁ、開店だ!」となったとき、おそらく手元にお金は一銭も残っていないと思います。  飲食店に限らず、創業時というのはそのくらいあっという間にお金が減っていくものです。スタートラインに立つための準備だけでも想定外の費用がかかり、余裕を持って起業したつもりでも、意外とお金はすぐになくなってしまうのです。  これは余談ですが、日本政策金融公庫が発行している「創業の手引 +」によると、 6割の飲食店が開業後に軌道に乗るまでに、 6カ月程度かかっているそうです。  仮に店舗や内装工事のコストがなかったとしても、最低 6カ月の運転資金は手元にないと心許ないということです。なかなか自己資金だけだと厳しいというのがデータからも見てとれますね。  では、自己資金だけでは難しいとなってくると、やはり資金調達をする必要が出てきます。最近ではクラウドファンディングなどを利用した資金調達の手段も増えてきていますが、一般的に起業した多くの経営者が、創業時に利用しているのが日本政策金融公庫の創業融資です。  日本政策金融公庫は、国が 100%株式を保有している政府系の金融機関です。日本の中小企業・小規模事業者など、事業に取り組む方々を支援することにフォーカスしており、民間の金融機関とは異なる立ち位置で、創業したばかりの企業や零細企業などを金銭的な面で支援しているのです。  日本政策金融公庫には新創業融資制度があり、起業したばかりの人でも無担保・無保証人で利用できます。  この創業融資の一番すごいところは、事業計画ベースで融資の申し込みができるということです。たとえばこれから飲食店を開こうと考えたときに、そのお店のメニューを食べず、計画ベースで融資をしてくれるのです。  全然おいしくなかったらどうするのだろう?  と私はいつも思っているのですが、事業計画から審査をして事業性に問題がなければお金を貸してくれます。  民間の金融機関も創業融資は行っていますが、実食せずにお金を貸してくれるというのは、民間の金融機関では考えられない話です。それを考えると、この創業融資がどれだけ柔軟に対応している制度かわかりますよね。  ですから、もし起業するとなった場合に安全性を担保するための資金調達の手段として、新創業融資制度は最優先で検討することをおすすめします。銀行には、晴れているときに相談する!  よく「銀行は雨が降っているときに傘を貸さない」と言いますが、本当にその通りです。銀行はお金のない人にお金を貸してはくれません。正確には、返済できそうにない人には貸さないと言ったほうが正しいかもしれません。  借入れをする際に一番ダメなパターンは、「お金がなくなってから銀行に駆け込む」というものです。これは本当に最悪なパターンだと言っていいでしょう。

業績が悪くなってきたのでお金を借りたいと相談する。つまり「雨が降っているときに銀行に傘を借りに行く」ということです。  大前提として忘れてはいけないのは、銀行は営利目的の企業だということ。銀行は、利益を得るために、ビジネスとして融資をしています。  ですから、返せる見込みが薄い人にお金を貸すことは絶対にありません。  ちなみにこの件に関して、よくある失敗談として挙げられるのが、創業時の借入れです。「借金はしたくないから自己資金だけで事業をやっていくんだ」、そう意気込んで借入れをせずに無理して、なんとか大赤字で 1期目を終えたとします。そしてようやく自己資金だけでは厳しいと考え、銀行や公庫から借入れすることを決断。一生懸命、今後の事業計画を練り、膨大な資料も作成して、いざ融資の申し込みをする。  しかし結果としてはどこからもすべて断られてしまう……というもの。  基本的に融資の審査は、決算書が出ている時点で事業計画ではなく実績ベースで審査に入ります。そのため、赤字で決算をしてしまったら「実績として赤字になっていますから、お金は貸せません」と断られてしまうのです。  事業を 1期続けて赤字の実績を作ってしまったのであれば、翌期以降も期待はできないと判断されるわけです。  銀行も日本政策金融公庫もどちらもお金は貸してくれます。しかし、それはあくまで返せる見込みがあると考えているから貸してくれます。返済が難しそうだと判断されれば、当然ですがお金は貸してもらえません。  ですから、私は自分のクライアントには必ず、「お金に余裕があるときに借りてください」とお伝えしています。つまり「晴れているときに銀行に行って借りておきましょう」とアドバイスしているのです。外部環境の変化に耐えるためにも、現金が必要  経営者の中には、意味のない借入れは避けたいと考える方も多くいらっしゃいます。もちろん気持ちはわかります。使わないのにお金を借りた場合は、ただ金利を払うだけになってしまうので、金銭的な損得で考えるならばむしろ損をしていることになってしまうからです。  しかし、それでも私は、借入れはできるタイミングでしておいたほうがいいとアドバイスするようにしています。  それはなぜか。  これはよく言われていることですが、大体 10年に一度くらいの割合で、大きな社会の変化が起きているからです。  たとえば 1990年代ではバブル崩壊、 2000年代ではアメリカの同時多発テロやリーマンショック、そして最近では新型コロナウイルス感染症の流行……。このような形で 10年ごとの頻度で社会環境が大きく変化するような事象が起きているのです。  こうした外部環境の大きな変化は経済活動にも影響を及ぼし、日本の中小企業の経営にも少なからずダメージを与えています。  また 10年後にこのような大きな外部環境の変化が起こるかどうかは、もちろんわかりませんが、そのようなリスクが発生した際の安全性の担保という側面から、手持ちの現金預金に関しては常に余裕があるほうがいいでしょう。  もし仮に使わない現金があったとしても、繰上返済はせずに手持ちとして持っておくことが大事なのです(ちなみに、繰上返済は、今後もその銀行と取引する場合にはやめたほうがいいです。その理由は、第 4章の「借入金を一括で繰上返済する vs借入金を残しておく」で後述します)。「金利がかかるなら、とっとと返済したほうがいいのでは?」とおっしゃるクライアントもいますが、そのときは「借入金の金利は、会社の安全性を担保する『保険料』と考えてください」と伝えています。  会社にとって現金預金は、それほど重要なのです。

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