社長が自分の考えを数値化する習慣は、次の二点で、特に重要だ。
一つは、社長の経営方針を全社員に正しく理解させるということであり、 一つは社長の経
営思考・経営能力の強化ということである。
「考え」というものは、説明の仕方によって、また聞き方によって、相手の解釈の仕方に
大きな幅がでるものである。言葉の使い方、強調の仕方、考えを述べるタイミングを間違え
ると、自分の考えを相手に十分に理解してもらえないことが多い。ところが数字はドライだ。
数字だけでは社長の考えや体温が感じられない。しかし相手によって解釈が分かれるという
ことがない。百は百、千はあくまで千である。そこで社長の考えを数字に込めて、全社員に
徹底を図るのである。
「売上を上げるように一生懸命頑張ってくれ。俺も頑張る」というような方針と、「売上は
一二%増とする」という方針の差は、説明するまでもないだろう。
社長の経営能力の強化については本書の第九章で取りあげたとおりだ。長期計画を立てて
経営していくと、おのずから、社長の考えを常に数値化する習慣ができあがってくることに
なる。数値化することによって、社長の迷いが整理され、対応策の手掛かりが生まれ、とき
には事業転換の契機となる。このことについても、読者の皆さんに多くの説明は必要としな
いだろう。
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