こうした話を聞いて、読者の皆さんのなかには、かつて(あるいは今)似た経験をしてきたなと思う社長の方もいれば、想像するだけでも胃が痛いと思う会社員の方もいるでしょう。 実際のところ、どれだけ会社が大きくなっても、資金の手当ては常に会社の重要テーマであり、会社が成長し、「入りと出の差」が広がるほど経営に与えるインパクトも大きくなります。 私自身も、長らく経営をしているなかで、苦しいときは、朝から晩までお金回りのことが頭から離れず、資金繰りに行き詰まる夢を見て、夜中にハッと目覚めたことも数えきれないほどありました(夢ならいいのですが、起きても何ら解決はしていないのが悲しいところです)。 それでも、社長にとって資金が集まるというのは、エクイティであれば自分ないし自社の未来を信じて投資してくれる投資家の方々の存在、デットであれば自社の与信を認めて貸してくださる金融機関さんの存在あってこそです。いずれにしても本当にありがたいことです。 売上が立つのもお客様がいてくれるからであり、本来はコストであっても、給与や外注費もかかわってくれる他者や会社がいるからこそ生じるわけです。 給料日や支払い日とは本来、社長にとって最も感謝すべき瞬間なのだと私は思います。 どの社長も同じ思いでしょうが、最初にお金を拠出いただく連絡をもらったときのこと、売上の入金があった瞬間のこと、そして会社設立後最初に給与を振り込んだときのこと、いずれも鮮明に覚えています(*)。「カネ」という言葉だけ切り取ると、いろんな意味を想像するかもしれません。しかし、カネがあるからこそ、経営が成り立ち、会社が持続的に存続するのです。 キレイ事では経営はできませんが、こうしたお金回りの問題に対して、当事者として逃げも隠れもしない責任を持つこと。それが社長になるための第一歩なのかもしれません。*入金額を記帳しに行くと「本当に入っていた!」と喜んだり、人件費の振り込みボタンを押して「ああ、今月も支払いができたな」と胸をなでおろしたりした日々を今でも思い出します。第 1章社長の心得 ●創業初期は、「カネのマネジメント」が計画通りにいかず「残念な現実」に直面するケースが多い。 ●会社の舵取りをすべき社長が「資金繰り」に奔走してしまうと、事業が推進できず、成長は必ず止まる。 ●「会社のカネ」を正確に把握するには、 P/ L、 B/ S、 C/ Fすべてをチェックすること。「全部を見ないといけない」ということの意味に、経営して初めて気づく。 ●経営においては、未来を見据えた「資金計画と調達のサイクル」を、前倒しかつ高速で回すことが不可欠。 ●株式(エクイティ)の調達は不可逆。投資家選びは非常に重要であることを肝に銘じる。 ●投資家や銀行が判断する企業の価値は、必ずしも数値的な指標だけでは決まらない。経営チームの実績や事業の将来性なども大きく関係する。なにより「社長本人」の資質を見られている。 ●カネがあってこそ、会社が成り立つ。人を雇えて、給料を払える。自分や自社の未来を信じて応援してくれる投資家や金融機関の存在、支払いができることへの感謝を常に忘れないこと。
Column session 1「企業支援のプロ」を自負して起業したが……
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