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経営者と経営幹部のための9つのコラム

経営コンサルタントとして15 年を越え、さまざまな媒体で経営コラムを書き続けてきま した。時事的な話題を除くと、組織の存続と発展のために必要な内容のものです。その中 で、5S活動と組織運営に関わるコラムを紹介します。 5s活動は実際に組織を動かす活動なので、その活動の中にさまざまなエピソードが あります。経営者の悩みや決断、活動リーダーの献身的行動、後継者の不安定な立場、幹 部たちの成長など組織によって現れ方は違いますが、根底にあるのは組織が変化するため に必要なプロセスの証拠です。 その背景を少し説明しながら、コラムを紹介します。ぜひ、教育や訓練の場で使ってい ただきたいと思います。 なお、文中の「組織活性化プログラム」とは、弊社の5S活動を切り口にしたコンサ ルティング商品のことです。

目次

コラム1 経営ミスマッチ

ある組織で、幹部から社長の悪口がつい出てLまいまLた。「うちの社長は優柔不断で はっきりLない。われわれとしてはどう動けばいいのかわからないのでイライラする」と 言うのです。きちんと経営計画を立てているわけでもなく、ただ売上だけを全員が漫然と 追いかけている組織です。確かに経営陣にいくつかの問題がありそうでLたが、経営コン サルタントの目にはそれだけではない課題が見えていました。すでに充分に幹部とコミュ ニケーションがとれていたので、私は遠慮なく言いました。 「でも部長、今のように5S活動すらまともに仕上げられない組織に、どんな経営方針 や理念を落とし込めるのさ? ベテランが反発Lている? 若手がいうことをきかない? できない理由はかりを並べ立てている組織に、社長が困っているということに気づいて いないのかい? 自分たちの役目を忘れてLまっては困るな。いつ体の中を通った社内ル ールができるのかな。幹部たちで一度本気になって話し合ったほうがいいよ」 こんな会話を幹部たちと交わLたあとに書いたコラムです。

組織の上流と下流

中小企業組織においてわかりやすい現象が「経営ミスマッチ」です。経営者が新しいこ とを始めたいと考えたときに、組織が自分の思うように動いてくれない。同時に社員側か らすると、組織の将来像がよく見えないために、うまくいかないことが少しでもあるとす ぐに不平不満が発生する。つまり、上流(経営サイド)と下流(組織)が対立構造になっ ている場合があります。組織存続の3要件は、①目的・目標の共有、② コミュニケーショ ン、③貢献意欲、ですが、組織の上流と下流でせめぎ合いを行っていると、その3つとも 毀損され、絶えず組織がきしみ不協和音が流れます。 「給料さえ貰えればいい」「上(経営サイド)は勝手なことばかり言う」「ほかの部署(セ クション) のことなど関係ない」「仕事がおもしろくない」「会社なんてどうでもいい」な どと組織人としてあるまじき発言が社員たちの中で絶えず発生してしまう根本原因は、無 意識のうちに組織の根底に流れる対立構造に反応しているからです。

経営計画と組織活性化活動

言葉には「生活言語」と「抽象言語」の2種類があります。生活言語とは、腹が減った、 もう寝ます、急げ、などという単純な言語で、(営業成績が)よかった、悪かった、(売上が)伸びた、減ったなども生活言語に近い性質のものです。それに対して抽象言語とは、 なぜそれをやらなければならないか、どのように協力して目標を達成するか、自分たちは 将来どのようにあるべきかなどという複雑なメッセージを伝えるために必要な言葉です。 普段の業務は生活言語で処理することができますが、組織の将来像は丁寧な抽象言語で しか伝えることができません。当然言葉だけでは通じないので正確な数字を必要とします。 経営計画とはそうした組織の目的。目標を伝える最も重要なものです。建物に例えればそ れは設計図や予算書付きの工程表です。これなしでは建築物は作れません。そして、それ と呼応して組織活性化活動が必要です。これは、自分たちが働きやすく動きやすい労働環 境や組織風土を自ら作り上げる活動のことです。

本当の「全社一丸」

そうした活動の前段に5S活動は実にうまく機能します。整理・整頓・清掃。清潔・ 躾という5要素を組織の中でシステム化する際に、抽象言語を必要とするからです。「な ぜこの書類は不要なのか」「なぜこの機械を移動させるのか」「あいさつはなぜ必要か」な どという理由を、全員が理解して初めて5S活動は形になります。そして、何よりも 5S活動は目に見えるものなので、進捗や課題を全員で理解することができるのです。そうした準備が整った組織では経営計画が絵に書いた餅にはなりません。少々抽象的な言 葉を使ったとしても、活動を通じて組織に所属する人たちの意識は相当上がっているので、 充分に将来のあるべき姿を共有することができるのです。 組織活性化活動に取り組んだ弊社のクライアント企業では、年度末に合宿形式で経営者 と経営幹部が経営計画を立てます。組織の上流と下流が一緒になって翌年の計画を立てる のです。そこで交わされる言葉は真剣なものです。そこで共有されているものは自分たち の将来に関わる危機意識です。そこには対立構造はありません。5S活動を入り口にし た組織活性化活動は目に見える活動なので、小手先の動きを排除します。組織の中のばら つきを、世代や役職や部門の枠を超えて矯正します。つまり、組織として整った状態を作 り出します。そうした新しい風土の中で全員が経営計画を理解し、組織が時代にあった状 態で機能していきます。

コラム2 2種類のプラス

5S活動や絶対利益管理活動を始めながらも、日々の業務に追われてしまい、そうし た活動を重荷に感じてしよう組織がありますが、まさに業務と仕事の違いが理解できてい ません。業務優先となって、5S活動や教育訓練が滞ってしまうのです。 そうLた組織には、他社事例をきちんと教える必要があります。自分たちの今までの常 識では、新Lいことを始めたと思っているかもしれませんが、ライバル企業はすでに先に 向かって進んでいるという現実を、他社の写真やルールを見せて実感させてあげなくては いけません。われわれコンサルタントはそうした事例をたくさん持っているので、適切な 時期にそうした事例を見せて停滞を防いでいます。 最初は新Lいことを始めるのではなく、足りていないものを補う活動から始めなければ ならない組織は少なくありません。全社を巻き込んだ5S活動はそうした側面も持って います。

◎― ―跳ぶためには屈む必要がある

企業組織の究極の目的は存続と発展です。何を置いても存続しなければなりません。そ して、そのためには利益が必要です。その利益を確保するためには、売上をあげる、また は経費を抑えるという組織的行動が必要になります。 ある企業の組織活性化のお手伝いをしていたら、途中でスタツフの一部から不満が出て きました。通常の仕事で手一杯のところに、5S活動や改善活動なんてできない、おま けにマーケティング活動なんてもってのほかだと言うのです。 なるほど、通常業務に追われながらさまざまな仕組みの見直しを行い、その構築のため に何度も会議に参加し、教育をしたりされたり……。そのうちに、売上に関する改善のた めに売上分析やアンケート分析、ホームページ作成やブログ発信が始まる。通常業務は遅 滞させるわけにはいかないので、それぞれが重荷になる。純粋に組織のことを考えれば考 えるほど、その重さが背中にのしかかる……。 「なぜ、いっぺんにいろいろなことをしなければならないのですか。 一つひとっを段階的 に積み上げていけば納得がいくのですが、何もかも一緒には無理です―」 実は、何もかもをいっぺんにやっているわけではなく、5S活動や会議システムという仕組みに関する改善を行い、業務と連動して組織配置を変更した上でマーケティング活 動の準備を進めていくのですが、組織の中では短兵急(たんぺいきゅう)な動きに感じて しまっているようでした。 スタツフの方と話してみると、今までの自分たちに、「新しいものを積み上げている」 と感じていることがわかりました。確かに新しいことに取り組むのですから、新たなプラ スが始まっていると感じても仕方ありません。しかし、実態について正確な表現をすれば、 「不足しているものを足している」という意味のプラスなのですが、そこがうまく組織に 伝わっていないようでした。

◎― ―跳びたければ屈め!

時代変化には波があります。ゆるやかに変化するときもあれば、急速に変わるときもあ ります。国会の機能が強化され、今後は外交問題もさらに顕在化していくのでしょう。名 のしれた大手企業ですら、その存続が危ぶまれています。そうした変化の中で、企業組織 は存続と発展を目指さなければなりません。 これだけ変化の速度が上がり、時代の枠組みの組み換えが進んでいる中では、早い段階 での組織内宣言が必要です。改善活動や組織活性化活動は、右肩上がりの時代には純粋に

新たなプラスの活動でした。しかし、現在は不足しているものを補うためのプラス活動だ という宣言です。つまり、時代変化が大きいのでマイナス地点からのプラスの動きとして 始めなければならないという組織告知です。 そして、伸びている同業他社や異業参入業者は何年も前からそうした活動を行っている ので、その結果として現在はほかの企業の先を進んでいるのです。 硬直した組織はなかなか「屈む」ことができません。骨も筋肉も神経もガチガチになっ ていて、自由な動きに制約がかかっているのです。しかしながら、高く跳ぶためには一度 屈む必用があります。その屈む動作が組織活性化活動なのです。すでに多くの企業組織が その活動に取り組み始めました。たとえ痛みを伴うとしても、深く屈み、大きくジヤンプ しましょう。棒立ちのままでは、高く跳ぶことはできません。 これからの時代変化の中で、企業組織が生き残っていくために残された時間はそう長く はないかもしれないと感じています。ふたつのプラスの意味を組織に伝えていきましよう。

コラム3 5S活動は組織活性化の入口

5S活動は、片付けなどという点の活動ではなく「整理・整頓。清掃。清潔・躾」と いう5つの要素を組み合わせた仕組みです。その結果、その先に何があるのかを明確にし ておかなければ、組織に属する人たちは活動の最中に迷うかもしれません。 時に、何のために5S活動の仕組みを作ったり継続するのかを再確認する必要があり ます。組織存続の3条件なども教育・訓練の中で組織に丁寧に落とし込まなければ理解や 継続が難しくなります。 これは、自分たちの活動の意味を再確認するために書いたコラムです。

◎― 15 S 活動の意味を再確認する

5S活動とは、「整理・整頓・清掃・清潔・躾」という5つの要素を効果的に組織内に 落とし込み、大きな時代変化の中で勝ち残っていくために行う「全社的取組み」のことで す。 「片付けたくらいで会社が活性化するか?」 などという言葉がどこからか聞こえてきそうですが、なかなかどうして、これをある程度 まで仕上げるとかなリタフな組織になります。 何しろ、組織はさまざまな世代や立場で構成されているので、簡単に全社一丸になるこ とができません。当然価値観や危機意識のあり方が違うので、単純に片付けと考えてしま うと一切効果を生み出しません。年末の大掃除や盆前の掃除が3週間で元に戻ってしまう のは、単なる片付けをやっているからです。 それに対して5S活動は、組織運営のシステムツールです。整理で不要なものを捨て るという活動で共有されるものに対する価値観を持ち、整頓・清掃で表示や点検保守活動 という継続を生み出す仕組みを作り、顧客や働く人たちが評価する清潔、そして共通の目 的や目標に向かって全員がしつけられている状態。そうしたものを構築することで、時代 に合った組織イメージを組織の末端を含んだ全員で活動内容を共有することができます。

◎― 組織存続の3条件

組織が存続するために必要な3要件は、①目的と目標の共有、② コミュニケーション、 ③貢献意欲、と経営学者のチェスター・バーナードは定義しています。これを私なりに解 釈してみました。 経営計画での目標の確認、会議等におけるコミュニケーションの確立や経営方針などか ら要求される貢献意欲などは、どこの会社でもやっていることかもしれません。しかしな がら、従来の形の多くは上から下へという業務の流れと同じ命令という性質を持っていま す。それに対して5S活動は、それぞれの構成員が全社と部分(部署)を意識しながら 下と横の活動になります。機械の位置や通路はこれでよいのか? 机の配置や印刷機の位 置は? 書類の数量や保管場所は? 倉庫の作まいと適性在庫とは? 店舗の有り様や社 有車の清潔度は……? こうしたことを全員で考え、全員で動くことにより、目標の共有 やコミュニケーションの質や本来の役割分担を考えるきっかけを持つことができます。

◎― ―世界一の企業を目指す!

社会が成熟し、価値観が多様化した現代において、組織の中で考えておかなければなら ないことは、世代間の意識格差とセクショナリズムの存在です。本来仲間であるべき組織で意識のばらつきがあつたり、部門間でのリレーションがうまくいかない姿はよく目にし ます。先日も、工場の5S活動はできているのに、事務所の様子がとてもおかしい組織 を見てきました。部門間のばらつきや意識の不統一を感じたのですが、これでは時代変化 についていっているとはとても言えません。 『世界一の企業を目指す―』というスローガンを掲げ、組織活性化に取り組み始めた組織 や、『社会人として責任ある発言と行動を―』というテーマで動いている組織があります。 北海道のある組織のスローガンは『世界のコマツを驚かす―』です。 こうした明確なスローガンを掲げ、時代に合った組織作りを進めている企業組織は少な くありません。 5S活動は組織を活性化させるための入り口です、そして、それができて初めて大き な目標に向けて前に踏み出せるのです。

コラム4 場の力を考える

地域・業種。事業規模にかかわらず、それぞれの企業には風土があります。そして、そ の風土は成り立ちや組織を構成する人たちの個性によってずいぶん違います。即物的な表 現をさせてもらえば「温かい組織」「きちんとした組織」「キビキビとした組織」「明るい 組織」。逆に言えば、「暗い組織」「ギスギスLた組織」「いい加減な組織」「ダラダラLた 組織」「潰れる前のような組織」という感じです。もちろん表面的な印象かもLれません が、実は本質を突いたものであることは少なくありません。明るく感じた組織にはその理 由があり、暗く感じた組織にも理由があります。もっと即物的な表現を許してもらえば、 利益の出ている組織には利益が出ている理由があり、伸び悩んでいる組織にはその理由が あるのです。 これは、自分たちではわかりにくい組織風土に関して書いています。

◎― ‐組織風土を考える

講演やコンサルティングの現場で痛感するのは「場の力」です。まったく同じ話をする のだけれど、参加している人たちの姿勢や枠組みによって、浸透度や理解度がかなり違う ことが少なくありません。駆け出しのころは、自分の力量の不足だと思っていたのですが、 どうやらそれだけではなさそうです。 例えば、企業内での研修の際、事前にその組織の中で目的や経緯や必要性が伝えられて いた場合、研修以前に参加者の研修環境が整っているために、開始から終了まで実にスム ーズに話ができると同時に、終了後の質疑応答も高いレベルで意見を交わすことができま す。 一方、とりあえず聞くという状態で始めた研修は、終始全体が浮つき、参加者が終了 時間を気にしてまともな質問すら出てきません。同じ人間が同じ時間、ほぼ同じ内容を話 しながら、研修後の効果とそれからの組織的な動きに差がついてしまうのは実はこうした 入り国の部分からの差が原因なのです。

◎― ―組織風土=場の気配

本来、人間は精度のよいセンサーを持っているので、 一瞬のうちに場の空気を読み取り ます。そして、 一瞬のうちに場の空気に自分を合わせます。緊張感に満ちた空間に身を置くと、その緊張に応じた態度を取ります。逆にだらけた空間では、自分の意思だけではコ ントロールできずに、その場に応じたいい加減な発言や行動を取りがちです。 同じ地域で同じような商品やサービスを提供しながら、組織によって企業収益や成長が 大きく異なるのはなぜでしょう。似たような人員構成でありながら、社員の定着率に差が あるのはなぜでしょう。人材育成に関して次々に新しい世代が育ってくる組織と、いつま でもベテランが大きな顔をしてのさばっている組織の差は何が原因なのでしょうか。経営 者の差、幹部の差、資本力や社歴の差など目に見える差は確かにありますが、その根底に はその組織が有している組織風土の違いがあります。 組織風土は、具体的に目に見えるものではありません。しかしながら、サービスの提供 を受けたり、取引を行ったり、やりとりをする中で、否応なしに見せつけられるものです。 商品やサービスに自信があるか、顧客に関心を持っているか、情熱を持って仕事をしてい るか、などです。

◎― ‐禅は作務を伴う

禅寺を訪れると、実に清々しい気配を感じます。建物の仔まいから庭の手入れ、入り口 からお堂に至るまでの廊下の清潔さ、対応する人々の所作動作から伝えようとする熱意まで、静泌mにして熱いものを感じてしまいます。ある方にその理由を尋ねたところ、「禅は 作務(日常的な作業)を行いますから」という話でした。起床から清掃、配膳、食事、風 呂、就寝まで、禅寺では読経や托鉢などの修行の中にこうした「作務」が組み込まれてい ます。「作務で気配を整え、場の力を高め、その中で悟りを目指す。それが禅寺のやり方 だ」 組織風土に関して、考えさせられる言葉でした。 売上を上げ、利益を生み出すためには人を育てなければなりません。そして、人を育て るためには場の力を整えなければなりません。「最近の若い人たちは」と言い出す前に、 一度自社の企業風土を考えてみる必要はないでしょうか。トンビが鷹を産まないように、 つまらない組織から素晴らしい人材は生まれてきません。 場とは、単なる場所や所を示すものではありません。行動や反応の仕方に直接影響し、 関係する環境や条件のことです。5S活動で場の力を整えなければ、今はじのげても明 日を支えられるかどうか。時代変化の速度が速いので、 一度こうして本質的な問いかけが 組織にとって今は必要な時代です。

コラム5 失われたプロセス共有

経営者が創業者の場合、組織の輪郭がはっきりLていて、物事の進め方がシャープであ ることが少なくありません。何しろ創業者ですべてを自分が判断してきたのですから組織 課題に対しても明確に決断Lます。まLてや、 一緒にいる経営幹部なども誕生から成長ま で共に体験Lているので、時と場合によっては日と目で話せるほどコミュニケーションが 取れている場合もあります。それに対Lて、操業年数が長い組織の場合、組織の輪郭がぼ んやりLていて活気が薄れている場合があります。 違いはどこにあるのかというと、さまきまな組織の状況において、「プロセス」すなわ ち、なぜそうなったのかを一緒になって体験していないからです。多くの中小企業で不協 和音が起こるのは、そうしたプロセス共有がないがしろになっているからです。5S活 動はそのプロセスを改めて行う活動でもあります。

◎― ―プロセス不共有の現実

ある―丁系企業でこんな話を聞きました。 「組織の中で意識の違いが大きくて、いろいろと問題が起こっています。創業メンバーや そのときに仲間に加わった連中はいいのですが、そのあとから入った連中との意識のずれ があって、組織がしっくりとこないんですよ。どうしたものですかねえ」 別の組織ではこんな現象が起きています。 以前の組織が傾いて、その後ある企業と合併を果たし、再び業績が上がったのですが、 その中で苦難の時期を共にした人たちと業績を回復したあとに入った人たちとの間に大き な溝が生じているのです。例えば、以前にはなかった手当がつくようになって以前からい た人たちはありがたいと思っているのに、あとから来た人たちは安いと不満を募らせてい るのです。 こうした現象が起きている理由は、組織の中にプロセス共有というコミュニケーション における重要な要素が希薄になっているという背景があります。プロセス共有とは、共に 働く人たちの間での達成までの共通の体験のことです。小学校や中学校の友人たちとの関 係が何も気を使わず、長い期間維持できるのはこのプロセス共有というコミュニケーショ ンの本質を踏まえているからです。同様に、組織においてもこうしたプロセス共有が必要です。

◎― ―偽りの経営計画書

「毎年経営計画書を作っているんですが、まともにそれを達成したことがないんです。あ んなの意味はないですね」という経営者がいます。「経営計画なんて、どうせ絵に書いた もちなんだから、作ったって一緒だろ」と言う経営幹部がいます。詳しく聞いてみると、 経営計画を社長だけで作ってみたり、何回かの幹部会議で数字合わせとしたりして作って いるようです。 逆に、組織活動の統制が取れて顕著な業績を残している組織の経営計画書の作成プロセ スは、何度もの幹部会議のあと、役員や幹部が合宿をしてへとへとになりながら作り上げ ています。当然経営計画発表会のときの経営者や幹部たちの言葉には力がこもっていて、 なおかつ魂が込められているので組織の中に強く浸透しています。四半期の計画検証や部 下たちからの疑間にも、役員や幹部たちが明確に答えることができるのです。 これは、まさに会社の将来に関するアプローチについてプロセス共有がなされていると いうことです。

◎― ―体の中を通った言葉

組織が健全に機能するためには、コミュニケーションが大切です。コミュニケーション の大元は言葉です。組織を活性化させるために、さまざまな取り組みを行いながらなかな か成果が上がらないのは、そのときに「体の中を通った言葉」すなわちプロセス共有がな されていないからです。 創業ではない企業がプロセス共有を行うためには、丁寧な全社的取り組みが必要です。 現代のプロセス共有を行うひとつのツールが5S活動です。整理・整頓・清掃・躾と いうシンプルな要素を組織特性に応じてシステム化する活動は、全社を巻き込んだ活動に なります。経営者や幹部、中堅、 一般という職位や世代、部門や部署というセクションを 越えて、全社で完成までの「プロセスを共有していただければと思います。

 

コラム6 一幹部育成と後継者育成の違い

組織の中で人が育たたないという話はよく耳にします。正直に言えば、コンサルティン グ依頼の一番のテーマでもあります。人が育たない原因のひとつは、業務の中で人を育て ようとLているからです。業務は基本的に上からの命令で行うものですから、社員の多く は受け待ちになります。それに対して、5S活動は組織のセクションを越え、下と横か ら行うプロジェクトです。 「受け待ち社員が多くて困る」 という経営者は、 一度自分の会社の状況を冷静に見つめ直す必要があります。自分たちで 考えるというスペースを、 一度でも与えたことがありますか。与えてもいないのに人が育 つわけなどありません。5S活動は、自分たちで考えるプロジェクトです。プロジェク トの中からしか、組織を牽引する「人財」は現れてきません。

◎― ―プロジェクトで人を育てる

このところ、後継者に関わる依頼ごとが急増しています。わが国の企業設立時期から考 えて、2代目3代目の登場時期であり、同時にM&Aの必要性も増しています。右肩上 がりの時代ならばビジネスモデルがあったので、時代の風に乗ることだけに専念すればよ かったのですが、今は逆風だけでなく乱気流の時代ですから、関係者も後継者自身も実に 悩ましい状態のようです。

◎― ―人材育成と人財育成

組織の仕組みは、時代変化に合わせて大きく変わっているように見えますが、油断をす ると目に見えにくい部分については何も変わっていない可能性があります。 伝票処理や配送システム、情報共有・伝達などという見えやすいところは、業界の常識 や顧客の要求に従つてインフラ投資も積極的に行われ変化しています。しかし、その仕組 みを扱う人間に対する「仕組み」すなわち教育訓練や人材育成は、旧態依然としています。 技術変化に関わる研修会などへの参加はあっても、その組織にとって必要な人間の育成 「人財育成」には無関心なようです。 これからの組織にとって必要な人間の条件は、次の3つに集約されます。

①時代変化を認識できる ②その時代変化を先取りする感性を持っている ③その先取りした情報を組織の中に落としこめる ①と②については、個人的資質が大きく関係します。例えば、コンピュータや通信に一 切興味を持っていない人間に「時代変化を感じ取れ」と言っても少々ムリな部分がありま す。世の中の変化に興味がないわけですから、ここは研修や教育で組織的に対処しなけれ ばなりません。年間計画や定期的な会議の中で、システマティツク対応を図る必要があり ます。

◎― ―組織を牽引する能力

③については、単なる研修などで育つスキルではありません。組織は人間の集団ですか ら、そこには経営者や経営幹部の明確な意思が必要です。③のことをするために、彼らに どのような権限を与え、どこまで自由度を与えるのかという意思決定がなければ、組織に 落とし込むという重要な行為を実現できるはずがないのです。 ①と②の行為は「人材育成」であり、③は「人財育成」であることに気づいている経営 者はそう多くはありません。「人材」とは、組織を支える人たちのことであり、「人財」とは組織を引っ張る人たちのことです。そして①と②は幹部育成というプロセスであり、C は後継者育成のことなのです。 便利な時代になりましたから、さまざまな組織の二―ズに外部研修機関やコンサルタン トは素早く対応して、それなりの効果を出してくれます。さまざまなレトルト商品に代表 されるような、途中の手間を省くインスタントの時代です。しかしながら、「人財」はイ ンスタントからは育ちません。 これから‐ 0年、 20 年組織を引っ張っていく人間が、電子レンジの「チン」でできるはず はないのですが、多くの経営者たちは、人材と人財を同列に扱い、人財をインスタントで 育てようとしています。言葉を変えれば、手塩にかけて育てるということが少なくなって きているのです。 「桃栗3年、柿8年、梨の大馬鹿18 年……」 こんな言葉さえ、今の若者の多くは知りません。そうした時代に組織を引っ張っていく 人間を育てる義務が、経営者にはあるのですが……。 人財は、業務活動や研修からは育ちません。5S活動というプロジェクトを通して育 てるものです。『3週間でわかる○○○』『3カ月でできる○○』などという本には嘘しか 書いてないのですが、どこかの経営者の本棚にはそんな本ばかりが並んでいます。

コラム7 頼りない後継者?

最近は、後継者育成が仕事の重要なウエイトを占め始めています。何しろ若い後継者た ちは、情報もどきはたくさん持っているのですが、本当の情報を持っていないのです。よ って、彼らと会話をすると、ネットに書かれていた借り物の言葉を平気で言ってくるので す。 九州や東京で後継者塾の講師をしながら感じる腹立たしさや、彼らの誤解を解くために 書いた文章です。とにかく自分の言葉を持っていない後継者が多すぎます。ある意味、後 継者が軽いという現実があるように思います。

◎― ‐後継者との戦い

昨年、ある大手建材メーカーから取引先の後継者に対する後継者育成研修の依頼を受け ました。福岡や東京で後継者育成の講師をしているので、テーマも内容もすぐに準備でき るのですが、依頼主が大手企業だったので、その趣旨を担当の方に尋ねました。 「いやぁ、今の取引先の社長たちは何も心配はいらんのです。オイルショックも金融ショ ックもり―マンショツクもちゃんと対応してきた強者ですから、これからも少々のことで つまずくことはありません。しかしながら、そのあとがどうも心配です。代が変わったと たん、おかしくなりそうな組織が少なくないんですよ」 「954 (昭和29 )年から始まった日本の高度経済成長の中で、起業件数のピークは3 回あります。1955年前後、1970年代前半、1990年前後です。1955年のこ ろ創業した組織はそろそろ60 年、1970年代前半の組織は40年、1990年前後の組織 は2 5年ということになります。そして、そうした企業が2代目3代目として、 一斉に事業 承継やM&Aという時期にきているのです。その結果、大手企業が本気で心配するよう な現状が始まっています。

◎― ‐不勉強と無関心と他者依存

前後の出来事はさておき、後継者研修会で新聞を毎朝読んでいるかどうか問いかけたと ころ、全員が読んでいませんでした。なぜ読まないのかと聞くと、スマホやネツトでニュ ースは見ているのでそれで充分だと彼らは言うのです。さて、これが日本の中小企業の実 態です。後継者が読んでいないとすれば、幹部たちも読んでいないかもしれません。「今 は時代が違うのだから、ネツトで充分だろう。無駄な経費をかけてまで新聞なんて読む必 要はない」という若者たちに対して、コンサルタントはこう答えます。 「大きな書店に行ったとして、 一生その本棚の前に立ちそうもないコーナーはないかい? 例えば、私はガーデニングや盆栽の本の前には立ちそうもない。料理コーナーにも立たな いかな。洋裁や編み物の本棚の前にも立たないな。代わりに、パソコンや経営書のコーナ ーには必ず立ち寄る。歴史関係や心理学のところにも行く」 「実は人間は興味の生き物なので、興味のないことや興味のないところには絶対に行かな いんです。ということは、ネツトでニュースを見るということは、興味のあるニュースし か見ない、ということと同じですね。さて、これから何十人か何百人を率いて組織運営を しなければならない人が、自分の興味のある情報だけで満足しているとは何事ですか?」 「少なくとも、新間の一面には、そのときの一般的な日本人が知っておくべき記事が書かれています。興味があろうがなかろうが、その時代、そのとき、その日に知っておかねば ならないことが書かれています。ネットで充分という人間は、そうした基礎的情報を必要 ではないと言っているのと同じです」 「本当に後継者として組織を率いていく覚悟と意欲はあるのかい? 困ったときに誰かが 助けてくれるのは、組織の中で下の部分にいるときだけ。組織のトップは誰も助けてはく れません。すべてを自分で判断し、自分で決断する孤独な地位が経営トツプです。その孤 独さを克服できるのは、それまでの努力以外ないのですが、新聞も読まない人にそれが務 まるとは思っているのですか?」 実は、 ニュースはネツトで充分というビジネスマンが増えているのです。必要な情報さ えあればいい、と彼らは言うのですが、そんなことを言っているから世間の動きや社会の 変化に気づかず、教養に欠けるのです。健康に関して偏食がよくないように、ビジネスの 世界でも適切なバランスが必要です。自分の興味のあるところにしか反応しないような人 間が、これから組織を率いていけるわけがありません。 ところで、社長はちゃんと毎日、新聞を読んでますよねえ。

コラム8 群衆・集団・組織

5S活動をきちんと回そうとすると、組織課題が噴出Lます。その組織でもっとも弱 い部分が露出して、時に痛みを感じるかもしれません。逆にそうした課題が出なかったと すれば、それは形だけの掛け声だけの運動(標語)だったということになります。組織が 生まれ変わろうとすれば、当然組織の「膿」を押し出さなければなりません。 そうした思い切った活動から、組織の正Lい姿が理解できるようになります。価値観が 違う人たちが、ひとつの目的を共有する上で大切な組織の有り様に対する解説です。最初 からこんな話を組織の人たちが理解できる訳ではありませんが、5S活動を行った組織 では容易に理解されます。

◎― ―バズワードとは

バズワード(σcN〓oa)という言葉があります。意味は「一見、説得力があるように 見えるが、具体性がなく明確な合意や定義のないキーワードのこと」です。多くの経営書 やビジネス書を読んでいるときに「書いている意味はわかるのだけれど、具体的に言うと どういうことなのさ?」という素朴な疑間を覚えることがあるのですが、まさにこのバズ ワードなのだろうと思います。特に、大学教授や官庁上がりの人物が書いたものや発言し たものにこの手の話が多く、現場の皮膚感覚からすると違和感になることが少なくありま せん。つまり表面的すぎて、あるいはカッコをつけすぎていてわかりにくい話のことです。

◎― ―「組織」の定義

組織という言葉もバズワードです。辞書によれば「ある目的を目指し、いくつかの物と か何人かの人とかで形作られる、秩序のある全体。そういう全体としてのまとまりを作る こと。また、その組み立て方」などと書かれているのですが、さっぱり具体的なイメージ が浮かびません。企業組織にとって一番重要な定義がこの程度なのですから、組織のこと を考えるのは骨が折れます。骨が折れるので、多くの組織では本質的な論議が深まらず、 わかりやすい売上や利益、人材育成にしても単純な好き嫌い程度のレベルで済ませてしまっているのではないでしょうか。 そこで、毎月博多で開催している経営研修会で、私流にこれを定義してみました。 「同じ場所に同じ時刻に集まって同じ目的を持っていたとしても、それを組織とは呼ばな い。なぜならば、コンサートや観劇に集まった人々は群衆だからである。同好会やクラブ 活動などで集う人々は集団にすぎないからである。 組織とは、同じ目的と目標を持って、なおかつそれを達成するために機能性を理解した 人々の集まりである。そして企業組織とは、同時に理念と価値観と献身性を兼ね備え、社 会性を持たなければならない」 献身性とは、セクショナリズムの排除ということです。他部門が忙しく働いているとき に知らん顔をしている他部署の人間はいませんか。若手が苦労しているとき、適切なアド バイスをするベテランはいませんか。お年寄りや女性が重いものを抱えているとき、素早 く持ってあげる若手はいませんか。 そして、社会性とは顧客二―ズのことです。お客の顔が見えていますか。お客の声を聞 いていますか。そして、時代変化をきちんと理解していますか。残念なことに、群衆のような組織が存在します。同好会やクラブ活動の延長のような甘 ちゃん揃いの組織もどきの集団が存在します。そうした団体では、理念や価値観などとい う発想も必要性も理解されません。ましてや、献身性や社会性などイメージすらできませ ん。研修後のアンケートでは、「うちはまさに群衆である」「確かに社内での仲はよさそう に見えるが、それはクラブ活動的な仲のよさであり、機能性を磨く意識がない」などとい う経営者の言葉が並びました。 群衆。集団・組織は、外見は同じです。同じ場所に同じ時間に集いながら、そこからの 方向とレベルの違いによって、展開がまったく異なってきます。 ここに来て、グローバルでダイナミックな動きが社会に影響を与え始めました。中東の 不安定な情勢が、中国の経済減速と領土的野心が、これからの世界にどのような影響をお よぼすのでしょうか。誰も傍観者ではいられません。組織を鍛え、組織を磨かなければや がて組織は消滅してしまいます。20「5年の残り数十日をどのように過ごすのか。何を 考えるのか……。バズヮード頼みでは、明日が見えてきません。

コラム9 正義の人

数多く書いてきたコラムには、実際にお付き合いをしている経営者や後継者のさまさま ェピソードがあるのですが、その中からの一編です。コンサルタントにコストを支払って も組織をよくしたいと考える経営者たちですから、それぞれに意識の高い優れた人物たち です。当然活動の途中や十年近いお付き合いの中ではさまきまな悩みを抱えますが、彼ら は基本的に果断です。真の経営者たちなので、発生した課題の原因は自分にあるという意 識を持っています。部下のせいにしたり外部要因のせいにしたりは一切Lません。 まさに真剣勝負としか表現Lようのない経営の現場に、私は何度も立ち会ってきました。 多くの後継者や経営幹の方々に、経営者の覚悟を知っていただきたいと思います。

◎― ―経営者の本当の覚悟

「組織活性化プログラム」は弊社が勧めるプロジェクト型のコンサルティングです。プロ ジェクトなので、当然リーダーを決めなければなりません。ある日、久留米市の企業トッ プと誰をリーダーにすべきかの打ち合わせをしているときに「正義の人をり―ダーに据え たい」という発言が出ました。思わず手帳にその言葉を書き留めたのは、今までそうした 表現で次世代リーダーの資質をした人がいなかったからです。もちろん、その社長のいう 正義とは、社会的正義という意味ではなく、組織にとって正しいと思われることを敢然と 行う、いわば企業正義のことです。リーダーを誰にするかは組織の今後に深く関わること であり、慎重に行う必要があるのですが、「正義の人」という言葉には、その経営者が持 っている強い意志が感じられました。

◎― ―専務、降格!

別の日に、長く付き合いのある社長と、今後の組織改善の打合せをしたあと、「それで は詳しい日程などは専務の方と打ち合わせをします」と私が言うと、その社長が打ち合わ せをするべき別の人間の名前を挙げられ、こう言いました。 「○○は専務から部長に降格しました」「えっ―」と思わず声を上げてしまったのは、8年近いお付き合いの中で、部長から常務 へ、常務から専務へというプロセスを充分に知っていたからです。 「何かありましたか?」 「いや、別に何があったということではなく、私が育てられなかったということです。3 年間ずいぶん指導したつもりだったのですが、最後まで現場から離れられなくて経営がわ からなかったようです。私の責任ですな」 確かに、現場叩き上げの専務なので意味は理解できました。現場に精通した人間は、基 本的に現場が楽なのです。かつて建設会社で現場員から常務までしてきた私には、専務の 困難さと社長の歯がゆさがよくわかりました。しかしながら「専務、降格―」というのは まさに英断という他なく、同時にどの経営者にでもできることではないということもわか ります。

◎― ―自責と他責

専務を降格させた社長はまさに正義の人です。人間である以上、それなりの人情と思い やりを持っています。ましてや企業経営ならば、体面ということもあります。しかしなが ら、その社長は見事に組織正義を貫いたのでした。同じように、愛知県のある企業の2代目会長は、7年近いお付き合いの中で、3人のグ ループ企業の社長の首を切りました。コンサルタントとして社長解任までのプロセスもわ かっているのですが、それでもその会長の決断は果断なものでした。そして、その会長も また自責の人でした。グループ会社のトツプを解任したあと、長く自らが会長と社長を兼 任して、組織の立て直しを図りました。 「まぁ、選んだ私の責任ですから」というのも、その会長の言葉です。 正義は立場によって変わります。何が正義であるかという定義も時代変化の中では難し いものです。しかし、企業経営の中ではどこかでその正義を経営トップが判断しなければ なりません。選ぶ正義と切る正義。どこまで行っても経営者はその困難さから逃れられま せん。有能な経営者たちの共通点は、人事ですら自責として捉えていることです。誰にで もチャンスはありますが、資質は誰にでも備わっているわけではありません。その資質を 見抜けなかった自分や育てられなかった自分を認識するところから始まる組織の成長もあ ります。 「景気が悪いので」「政治が悪いので」「取引業者が悪いので」「○○が悪いので」と口に 出した瞬間、自責は遠くなります。いつも原因は他責にあるのではなく自責にあります。 今一度、御社の企業正義、考えてみませんか?

おわりに

最終章の「正義の人」というコラムの文章をお伝えしたいために本書を書いたのだとい うことに気づきました。 「正義は立場によって変わります。何が正義であるかという定義も時代変化の中では難し いものです。しかし、企業経営の中ではどこかでその正義を経営トップが判断しなければ なりません〜」 15 年以上中小企業の経営者の方々と会い続け、組織の活性化のお手伝いをして確信して いるのは「自分の身は自分で守れ」という素朴で普遍的なことです。確かに他人の芝生は 青く見えますが、青い理由は部外者からは見えません。つまり、他の会社を羨んでもそれ は意味のあることではありません。大切なことは「うちの組織では1」という経営者の覚 悟だと思います。 その覚悟を従業員たちと共有するツールが5S活動です。単なる片付けや大掃除とは違う活動を通じて、間違いなく人が育ち社員の意識が変わります。そのことによって利益 や組織の将来像さえも大幅に書き換えることもできます。 従業員を信じてみてください。特に若い世代の可能性を信じてください。多くの組織で ベテランの意識が変わり、若者たちが自分の役割を理解して高い意識で組織を支えている 風景を、私は毎日目にしています。従業員に、5S活動によって方向と活動できるスペ ースを与えることで、間違いなく組織は変わります。 ただし、組織の将来に対して正義の人である必要があります。自由や平等を誤解した社 会に対して「駄目なものは、駄目―」と言い切れるのは経営者だけです。真偽の定まらな い情報を並べるマスコミやネガティブ情報を流し続けるネット記事などに惑わされてはな りません。自分たちで判断して経営者と一緒になって「駄目なものは、駄目―」と言える 人材を、5S活動というプロジェクトを通して作りましょう。 中小企業が可能性の宝庫であることに間違いはありません。日本の外需はGDPのH %程度です。残りは内需であることをマスコミは伝えません。内需を支えているのは中小 企業なのです。まだまだ戦えるスペースはどんな業界にも残っているのです。自分たちの将来に向かって「駄目なものは、駄目―」と言い切れる組織作りを5S活 動で実現していただきたいと願っております。 著 者

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