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経営理念やルールは必要か?

コミュニケーションの世代間ギャップ問題  最近の若者のコミュニケーションは、私たちの世代とは仕組みがまったく違います。生まれたときから携帯電話が身近にあり、 LINE、 Messenger、 Youtubeなどの便利なツールを使って育ってきました。思考回路が違うと言っても言い過ぎではありません。  先日、顧問をしている会社でおもしろい光景を目撃しました。  お昼時になり、二人の社員が昼食を一緒に食べようと相談しています。二人の席は近いので、「お昼、一緒に行かない?」と気軽に声をかけられる距離です。しかし、彼らは LINEでやりとりをするのです。「え、 LINEで話すの?」と驚くと、「フツーですよ」と言われてしまいました。  これがフツーの世の中ですから、基本的なコミュニケーションができない、いわゆるコミュニケーション・ロスが起こっても不思議ではありません。  大切な得意先からかかってきた電話を取っても、満足な応対ができないケースもあります。最悪なのはクレーム対応で、私も悲惨な現場をいくつも見てきました。それ以前に、電話が苦手、電話で知らない人と話せないと言う若者が世の中にはたくさんいるのが実態です。  考えてみれば、携帯電話では、誰が出るのか、誰がかけてきたのかがわかっています。誰からかかってきたかわからない電話を取りたくないという心理はフツーなのかもしれません。  私たちから見れば、赤ちゃん並みの人間が社会に出て、中小企業の席についているような感覚です。組織の質を上げるためには、会社の基本ルールは必要  ある会社の社長さんは、そんな状況を見かねて、社内のルールブックをつくることにしました。それまでは、何かあるたびにいちいち注意していましたが、どうにもならず、当然の決まり事を一つにまとめてみようと考えたのです。「学校にも規則があるんだから、会社にルールがあってもいいですね」  と私も賛成しました。  学校に規則がなくなったら、無法地帯になって大変な混乱が起こるでしょう。基本的なルールがあってこそ、組織の質は上がると言えます。  その社長は、独自のルールブックづくりに取り組み、 3年がかりで 1冊にまとめました。  そこには、「朝のあいさつ」から始まって、「電話を取ったときの対応」「業務を受けたときの手順」「ルール違反をしたときのペナルティー」などがわかりやすく書かれています。  まさに日々の会社生活をマニュアル化した内容となりました。  完成してみると、それまでバラバラだった会社がビシッとまとまり、規律がしっかりしたようでした。当然、業績も上向き、会社の経営も良くなりました。ポイントは、単なる規則ではなく、「文化」をわかりやすい言葉で言語化する  そのルールブックが良かったのは、社員を管理するだけの単に規則ではなく、「こんな会社にしたい」という社長の思いが表れていることでした。  私はそれを「文化」と呼んでいます。  成功したルールブックは、文化の言語化に成功したわけです。  似たような事例に「経営理念」があります。  ある会社には、みんなからよく見える壁に経営理念が掲げられていました。歴史上の人物が記したという立派な言葉です。  社員に聞いてみると、毎朝、全員でそれを読み上げるのだそうです。「それで、どうなの?」と聞くと、「あれでやる気がなくなるんですよねぇ」と、急に顔を曇らせてしまいました。  立派な人物が書いた立派な理念かもしれませんが、難しすぎて、彼らにはまったく響いていません。  外部から見れば、社長の自己満足にしか思えません。社員に理解できない言葉を唱和させて、朝からやる気を削いでは、まったくの逆効果です。  経営理念を掲げるなら、わかりやすい簡潔な言葉にするべきです。誰が聞いても同じ内容を共有できなければ、何の意味がありません。  たとえば、ゲームの任天堂の経営理念は「人々を笑顔にする娯楽を作る会社」です。これくらいわかりやすいものであればいいでしょう。  つまり、経営理念とは、社長が一番社員にわかってほしい会社の取り組み姿勢です。社長が社員に「こういう思いで会社を興し、こういう思いで会社を運営しているんだ」とわかってもらうものです。その目的を忘れてはいけません。

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