どれだけのお金を調達し、そのお金を使ってどれだけの利益を生み出していくか、という
のが、最もシンプルなかたちでとらえた経営の定義であろう。
何のために会社を経営するのか、何を目的に利益を上げるのか、などといったことを抜き
にして考えれば、これがどの企業にも共通した経営の原点ということになる。定義とか原点
ということばが妥当でないなら、最もシンプルな経営の姿と言い換えてもいい。
社長としての第一の仕事は、この事実、すなわち自社にどれだけの資金調達力があり、そ
の資金を使って現実にどれだけの利益を生み出しているのかをしっかりと把握することだ。
そういう現状の把握なしに長期計画も何もありえない。
まず自分が立っている足元を見る。それが社長としての第一の仕事だ。しかる後に自分が
進むべき地平線の彼方を見る。長期計画はそこから生まれる。自分の足元だけを見ていたら
経営はその場かぎりの利益の追求に陥るだろうし、地平線の彼方だけを見ていたら、計画は
単なるお祭り計画に終わってしまうだろう。
自社の資金調達力は、バランスシートを見ればよく分かる。
バランスシートの見方については第二章で詳述するので、ここではくわしく触れないが、
ただ、バランスシートの右側が「資金の調達」をあらわし、左側がその「使途」をあらわし
ているということ、またそういうとらえ方をするのが社長としてのバランスシートの見方な
のだということだけは、ここでよく覚えておいていただきたい。
どちら側が貸方で、どちら側が借方かといった見方は、経理としてのバランスシートの見
方であって、社長としての見方ではない。社長にとって重要なのは、どれだけの資金を調達
し、それをどう使って、どれだけの利益を上げたかという事実の把握なのだ。
バランスシートの右側の記載項目は、次章で説明するように、自分のお金、すなわち資本
金、今までの利益の貯金、あるいは金融力、信用力などをあらわしている。したがつて、そ
の記載項目の一番下に記してあるトータルの数値、いわゆる「総資本」という言葉は、自社
の資金調達力を示しているのだ。
さて、この総資本で、損益計算書に記してある「税引前利益」を割ってみていただきたい。
こうして出てきた数値を「総資本利益率」という。この数値が、実は自社の現状を見るうえ
で非常に重要な意味をもっているのである。
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