MENU

組織の状況

4 組織の状況 “4組織の状況”は,FSMS(食品安全マネジメントシステム)を導入する 前に,組織が置かれた状況を把握し,かつ,理解するところから開始し,それ に適切に対応するためにマネジメントシステムの適用範囲を決定するという過 程を記載している.この箇条のほとんどは,マネジメントシステムの共通要素 のうち,共通の要求事項で組み立てられている.従来のマネジメントシステム 要求事項は,すでに決まった適用範囲があることを前提に,そこにシステムを 導入するところから要求事項が始まっていた. これに対し,共通要素を採用したマネジメントシステム要求事項では,組織 の状況を理解した上で,組織が意図した成果を達成するために必要な適用範囲 を決めてマネジメントシステムを構築するという構成になっている.“ 4組織 の状況”はいわば,FSMS構築の前段階といえる. 4.1 組織及びその状況の理解 4 組織の状況 4.1 組織及びその状況の理解 組織は,組織の目的に関連し,かつ,そのFSMSの意図した結果を達成する組織の 能力に影響を与える,外部及び内部の課題を明確にしなければならない. 組織は, これらの外部及び内部の課題に関する情報を特定し, レビューし,更新しな ければならない. 注記1 課題には,検討の対象となる,好ましい要因又は状態,及び好ましくない 要因又は状態が含まれ得る. 注記2 組織の状況の理解は,国際,国内,地方又は地域を問わず,法令,技術, 競争,市場,文化,社会及び経済の環境,サイバーセキュリテイ及び食品 偽装,食品防御及び意図的汚染,組織の知識及びパフォーマンスを含む. ただし,これらに限定されるわけではない。

外部及び内部の課題を検討す ることによって容易になり得る. =規 格解説 FSMS導入の前段階として,組織の内部及び外部の課題を明確にすること

を要求している。

“課題”とは, フードチェーン内における組織の役割と目的 に関連したものであり, またFSMSを導入して一定の成果を得ようとする組 織の能力に影響を与えるものである。

組織はこういった内部及び外部の課題に関連した情報を特定し,見直しを行 い,適切に更新する必要がある。

内部及び外部の課題を明確にし,正確に把握しなければならないのはトップ マネジメントである。

したがって,これらの課題及び関連した情報の特定,見 直し,更新といった活動は,マネジメントシステム導入の前段階とはいうもの の,マネジメントレビューを通して行うことになる。

また, “9.3.2マネジメ ントレビューヘのインプット”のb)では,組織及びその状況の変化や外部及 び内部の課題の変化を取り上げることを要求しているように, これらの課題に ついては,あらかじめ定めた間隔で見直しを行う必要がある。

また注記では, 課題を検討する上でヒントになる事項が記載されているので参考にするとよ い。

=具 体的な考え方《4.1》 内部の課題を抽出するに当たっては,次のような視点で検討するとよい ① 現在製造販売している製品及びその製品構成 ② それらを生産するために保有する工場や設備 ③ 管理者や作業者を含めた従業員の力量及び組織体制 ④ 自社で保有する技術及び商品開発力 外部の課題については,次のような視点がある. ① 顧客 ② 供給者 ③ 外部委託先 ④ 市場動向及び競合他社 ⑤ 業界の技術動向 ⑥ 法令及び公的規制

また新しい視点として,次のようなものが組織を取り巻くFSMSの状況を 理解する上で重視されるようになることが予想される。

① 食品への意図的な汚染を扱う食品防御及び食品偽装の予防 ② 情報処理のIT(情報技術)化に伴うサイバーセキュリテイ ③ 地球環境の保護及び持続可能な開発を含めた環境経営 組織の事業をこれらの視点で見たとき,食品安全を管理する上でどのような 課題があるか,それをあらかじめ把握しておくことを求めている. 4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解 4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解 組織が食品安全に関して適用される法令,規制及び顧客要求事項を満たす製品及びサ ービスを一貫して提供できる能力をもつことを確実にするために,組織は,次の事項を 明確にしなければならない。

a)FSMSに密接に関連する利害関係者 b)FSMSに密接に関連する利害関係者の要求事項 組織は,利害関係者及びその要求事項に関する情報を特定し, レビューし,更新しな ければならない. =規 格解説 a)FSMSに密接に関連する“利害関係者”(3.23),及びb)これら利害関係 者の要求事項を決定することを要求している。

このことは,組織として食品安 全に関して適用される法令,規制及び顧客の要求事項を満たす製品及びサービ スを一貫して提供する能力をもつことを示す第一歩となる。

組織は,利害関係者及びその要求事項に関する情報を特定し,見直し,更新 する必要がある。

=具 体的な考え方《4.2》 “4.2利害関係者のニーズ及び期待の理解”もトップマネジメントが大きく 関与する部分であり,マネジメントレビューを通してa),b)の決定を行うこ

とになる。

また, レビュー及び更新についても,“ 9.3.2マネジメントレビュ ーヘのインプット”のf)では,利害関係者からの要望及び苦情の情報を取り 上げることを要求しており,マネジメントレビューのアウトプットとして“更 新する/しない”を判断することが適切であると考えられる。

“密接に関連する利害関係者”の日本語訳はIS0 9001:2015に倣ったもので ある。

組織のFSMSを考える上で,必要不可欠な利害関係者を意味する。

顧 客や法令規制当局はもちろんのことであるが,製品の最終消費者,親会社,従 業員,近隣住民などが考えられる。

しかし,組織の業態や事業環境によって, “密接に関連する利害関係者”は異なり,一律に考えることができないのは当 然である. “法令及び規制の要求事項”について,本規格では次の箇条で,全部で16 箇所使われている。

5.ld), 5.2.lc), 6.2.lc), 7.4.3h), 7.5.lc), 8.2.3, 8.3, 8.4.2a)1), 8.5.1.la), 8.5.1.2, 8.5.1.3, 8.5.1.5.3d), 8.5.2.2.le), 8.5.2.2.3a), 8.5.2.4.2, 8.9.5a) これらが,法令及び規制の要求事項をFSMSに取り込むことの重要性を示 していることはいうまでもない.しかし,単に法律を守るというだけでなく, マネジメントシステムとして法律を守る仕組みづくりがこれらの要求事項の中 に見える.つまり,“ 5リーダーシップ”では,方針やトップマネジメントの コミットメントとしての法令遵守であり,これは社会的責任を意味する。

“7支援”では, コミュニケーションにおいて法令及び規制の制定及び改正 情報をタイムリーに捉え,文書化した情報としてシステムに取り込むことを要 求している. “8運用”では,個々の法令及び規制の要求事項を的確に取り込んでそれを 遵守した運用を要求しており,様々な活動において該当する法令の有無を確 認することになる。

しかし規格では, これらの法令及び規制の要求事項が守ら れていることの評価,つまり遵守評価についての直接の要求事項は見当たら ない.強いて言えば,“ 8.8■ 検証”のe)における“組織が決定したその他活動”として, これら法令及び規制の要求事項に基づく活動を取り上げ,検証の 対象とすることである.これによって遵守状況が検証・評価され,更新や改善 の必要性の特定,マネジメントレビューでの処置の決定というようにPDCA を回すことができることになり,仕組みづくりが完結する. 4。

3 食品安全マネジメントシステムの適用範囲の決定 4.3 食品安全マネジメントシステムの適用範囲の決定 組織は,FSMSの適用範囲を定めるために,その境界及び適用可能性を決定しなけ ればならない.適用範囲は,FSMSが対象とする製品及びサービス,プロセス及び生 産工場を規定しなければならない。

適用範囲は,最終製品の食品安全に影響を与え得る 活動,プロセス,製品又はサービスを含まなければならない. この適用範囲を決定するとき,組織は,次の事項を考慮しなければならない. a)4.1に規定する外部及び内部の課題 b)4.2に規定する要求事項 適用範囲は,文書化した情報として利用可能な状態にし,維持しなければならない. =規 格解説 組織として,FSMSを導入して活動する範囲を決めるため,マネジメント システムを適用できるかどうかを検討し,その境界を決定することを要求して いる。

この範囲を“FSMSの適用範囲”という.適用範囲には,対象とする “製品”(サービスの場合もある)(3.37),製品を実現する/サービスを提供す る“工程(プロセス)”(3.36),及び生産工場(サービスの場合はサービス提 供の場所)を規定する必要がある。

また適用範囲には,組織の“最終製品”(3.15)の食品安全に影響を与える 可能性がある活動,工程(プロセス),製品又はサービスを必ず含める必要が ある.これはフードチェーンの中の組織の役割を考えた場合,当然のこととし て理解できる.こうして決定した適用範囲は,“ 4.1組織及びその状況の理解” 及び“4.2利害関係者のニーズ及び期待の理解”で取り上げた内容を考慮した ものであり,かつ,文書化した情報として維持する必要がある。

=具 体的な考え方《4.3》 通常, “適用範囲を定める”とは, ① 範囲に含まれる組織 ② 対象とする製品(サービスの場合もある) ③ 生産工場などの場所 の三つの要素を決定することである。

組織及び場所を決めると,同時にその組 織が責任をもつ工程(プロセス)が決まることになる。

注意すべき点は,“ 3.32 外部委託する”で解説したように(63ベージ参照),外部に委託した工程(プ ロセス)はマネジメントシステムの範囲の一部であるが,委託を受けた組織は 適用範囲の外にあるという考え方である。

適用範囲を文書化した情報には,このように組織,製品(サービスの場合も ある),場所の三つの要素が含まれる. 4.4 食品安全マネジメントシステム 4.4 食品安全マネジメントシステム 組織は, この規格の要求事項に従って,必要なプロセス及びそれらの相互作用を含 む,FSMSを確立し,実施し,維持し,更新し,かつ,継続的に改善しなければなら ない. =規 格解説 組織に対し,本規格の要求事項に従って,FSMSを確立することを要求し ている。

これは同時に,システムを構成するプロセス及びこれらプロセス間の 相互に作用する関係を決定することになる。

このように確立したシステムを, 決められた手順に基づき運用し,使える状態を維持し,常に最新情報を適用す るために更新し,そして継続的に改善することが必要である。

=具 体的な考え方《4.4》 4.1,4.2,4.3の要求事項を前提にして4.4があると考えられる.ここで要求

している“確立し,実施し,維持し,更新し,かつ,継続的に改善する”ため の要求事項の詳細が,本規格の箇条5から箇条10に展開されている。

また, このようなマネジメントシステムを“確立し,実施し,維持し,更新し,か つ,継続的に改善する”ための背景にある理論については,序文の“0.3プロ セスアプローチ”に詳しく紹介されているので,参照するとよい。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次