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スタッフの肥大化を防げ
自ら苦労して創業し、自分中心の考えで走り回り、ガムシャラに企業を育ててきたいわゆ
る叩き上げの創業社長には、二つのタイプがある。
一つは、組織とか権限の何たるかを知らず、価値判断にうといので、ムヤミに大手のマネ
をしてスタッフ部門を強化し大きくする。
もう一つは、営業中心の考えに凝り固まっているので、本部機能とか管理部門などを重要
視しない、というタイプである。
こうした中小企業でも、その成長の過程では、管理部門スタッフの充実を行なわないと、
規模と実際にズレがみられる。
ナポレオンの軍事戦略から、参謀― いわゆるスタッフ作戦室存在の重要度が叫ばれて久し
いが、経営規模が大きくなって戦闘体制をつくる段階で、本社本部のスタッフのあり方が重
要視されてきた。
私も、この考え方、スタッフの役割は必要だと思っているが、その必要性の着眼すべきと
ころは、あくまでもラインのためのスタッフであり、ラインに連結したスタッフがもっとも
良いと思っている。分社制の組織の場合でもスタッフは不必要ではなく、そこへ繋げればよ
いわけだ。
とはいえ本部スタッフは、 一定期間ほっておけば必ず肥大化してしまう。というのは、あ
る程度スタッフが揃ってくると、その本部の仕事をするために仕事の量を増やしていくから
だ。生産部門では、仕事の無いときは手持ちの時間として仕事をやらないが、管理部門とか
事務部門では、ボサーとしてはいけないので勝手に仕事をつくり出すきらいがある。「人間は
ヒマになれば仕事をつくり出す。仕事のために仕事をつくり出す」という法則があるが、こ
の法則通りである。
収益のよくない会社は、だいたい本部機構が大きく、そのスタッフ数が多くみられる。儲
からないのは管理が悪い、本部が良くないという陰の声が出てくる。
儲け頭は、基本的にラインであって、スタッフではない。スタッフは儲けの手助けをする
ための作戦を立てるのが第一の使命である。
スタッフの存在を見てみると、いわゆるゼネラルスタッフ的なものとサービススタッフ的
なものと、計数を見るアカウンティングスタッフ的なものといった部門があり、それが肥大
化してくる。
そうした費用は、本社費とか管理費とかいう名日で部門に付け替えされるのが一般的であ
り、ライン部門では、この付替経費にクレームを付けがたく無統制という結果になっている。
肥大化を防ぐには「小さな本社」をめざし、スタッフを増やさず、余剰と思われるスタッフ
は、ラインの長の下に付けるという組織の変革をすべきである。
総務部。経理部。人事部・企画室、会社によってはまだ開発部・財務部。社長室などもあ
るが、そういった部署は、最低の人員にとどめ、「小さい本社」の実現をめざせ。
さらにいうならば各事業部長へ直結する体制にして、スタッフが必要であれば、その必要
な事業部長のスタッフとすべきである。
トップの立場にすれば、自分の周囲に多くの取り巻き的な人達を配置しておけば、何とな
く安堵・安心感があるという。この考え方は「小さい本社」制を否定して、間接費のムダ使い
をしているといっても過言ではない。これがスタッフ肥大化の元凶である。
オフィスにしてもロッカーなどでの間仕切りをなくする。いわゆる大部屋制度にし、管理
職クラスに個室があるとすれば、この大部屋に移す。間仕切りが必要ならば透明ガラス張り
程度にする。スタッフを強化する場合は、ラインのスタッフとして強化すればよいわけだが、これもす
べて社員として採用せず、外注化すべきである。
サービススタッフ・クリエイティブスタッフなど、社内にデスクを置いてでも外注方式で
やらせる。
肥大化を防ぐと、経費の削減は目にみえてくる。
京都に本社を置く機材器具の貿易商社の例だが、徹底的な外注制度を行なっている。スタッ
フ部門の正社員としては、総務部長が一人だけ、部員的仕事をやる人達は全部外注(契約会社)
で運営されている。庶務と人事は社会保険労務事務所へ、経理は会計事務所、販売促進・宣伝・
社内報の制作などは専門エージェント、コンピューターはサービス会社という具合である。
給食、警備や輸送、役員の車もハイヤーヘと当然外注でやっている。しっかりした契約を
しておけば、こうしたスタッフの仕事は一石二鳥のメリットが大きい。
これからはOA機器の進歩がすさまじい速さで進むはずである。事務の定型業務、また通
信の進捗で、スタッフの肥大化は防げるのだ。
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