GTDによる統合的な整理システムが実践できるようになると、想像もしていなかったような大きな効果が現れてくる。
気になっていたさまざまなことが頭の中からすっぱりと追い出され、「済んでいないこと」にわずらわされなくなる。また、直感的な判断によって目を向けるべきものにさっと集中することができるようにもなるだろう。
ただしこの恩恵にあずかるには、頭の中の整理システムよりもうまく機能する、物理的な整理システムを確立しなければならない。
「整理ができている」というのは、物事がその「意味」に応じて適切な場所に収まっているという状態だ。
たとえば、何らかの情報を資料としてとっておきたいと思ったら、「資料入れ」にそれを入れれば整理は完了だ。
簡単なことのように思えるが、ここで大事なのは「それが何を意味するか」が見極められているかどうかである。
第6章ですでに触れたように、その意味が自明でないものも多い。また、意味を明らかにしてからも、さらにそれらを細かく区別することによって、創造性と効率性を向上させることが可能だ。
この章では、インボックスで「見極める」作業を行なったものを振り分けていく「整理」のステップと、そのためのツールについて解説していく。
インボックスの中身を見極めていくと、整理する必要があるリストが次々に出てくる。それらを収めるための場所やツールが必要なわけだが、最初から完璧なものを目指す必要はない。
自分にとってベストだと思う場所に組み入れていく作業を繰り返していくうちに、どんなものが必要なのかが自然とわかってくる。
GTDのステップを何度も経験していくことによつて、整理システムが進化していくのだ。
自分にとって物事が何を意味するかは変わるものではないが、物事を管理するための整理システムの構成はどんどん変化させていってもかまわない。
ここでもう一度、ワークフローのフローチャート(203ページ)を見てほしい。
この外側に配置されているのが、「整理」作業が済んだものを分類するカテゴリーである。
基本カテゴリー
「整理する」ステップにおいて管理していくのは、主に次の七つのカテゴリーとなる。
- 「プロジェクトリスト」
- 「プロジェクトの参考情報」
- 「カレンダー」に記入する行動や情報
- 「次にとるべき行動リスト」
- 「連絡待ちリスト」
- 「資料」・「いつかやる/多分やるリスト」
区別はきっちりつける
これらのカテゴリーは、重複しないようにきっちり区別することだ。
それぞれが異なる種類の「やるべきこと」であり、特定の時間に特定の方法でリマインダーの機能を果たすことになる。
これらの区別が曖味になったとたん、「整理する」ことのメリットの大部分は失われてしまうので十分に注意しよう。
そしてまさしくこの理由によって、整理をする前に「把握する」「見極める」を済ましておくことがいかに大事かがわかるだろう。
多くの人は「整理」を単に「整理整頓する」ことだと思っているので、それについてどうすべきかが見極められていないものを単に並べ替えただけになってしまっている。
しかしGTDのステップに沿って進めていけば、把握しておくべきことがはっきりし、合理的な分類方法で整理が行なわれていく。
このステップをきっちりやらずに意味の異なるものを混同していたり、見た目が似ているからという理由だけで同じ場所に入れていたりすると、それを見るたびに「これはどうすればいいのかな……」と悩むことになり、いずれは考えるのがいやになって放置してしまうことになる。
たとえば、単にとっておきたい資料と読みたい本がごっちゃになって積み上げられていると、本が読まれる可能性は低くなる。
「次にとるべき行動リスト」に、本来カレンダーに記入するべき行動が入っていたら、気になってしまってしょっちゅうリストをチェックするハメになる。
しばらくやるつもりのないプロジェクトは「いつかやる/多分やるリスト」に入れておかないと、本来エネルギーを振り向けるべき「プロジェクトリスト」がうまく機能しなくなるだろう。
同じように、「連絡待ち」のものが「次にとるべき行動リスト」に混じっていた場合も、チェックするたびに余計なことを考えるハメに陥ってしまう。
必要なのはリストとファイル
「見極める」作業を行ない、把握しておくべきものがすべて明らかになってしまえば、あとはリストとファイルさえあればリマインダーも資料も参考情報も整理されていく。
リストは、「プロジェクト」「いつかやる/多分やる」「連絡待ち」「次にとるべき行動」を記録しておくのに使う。
一方、ファイル(パソコンの場合はフォルダ)は、資料や現在手がけているプロジェクトの参考情報をまとめておくのに必要になる。

長年リストを使っていながら、効果的にそれらを管理するノウハウをもっていない人が実に多い。そうした苦い経験があるので、GTDにも及び腰になっている人もいるだろう。
うまくリス卜を使いこなせていないのは、不適切なものをリストに入れていたり、いつまでも手をつけないものがそこに残っていたりするからだ。そのせいでリストの機能性が失われているのである。
何をどのリストに入れるべきかをきちんと理解していれば、リストはきちんとその効力を発揮してくれる。すでに述べたように、リストに優先順位を組み込む必要はない。
これをやってしまうと、状況が変わるたびに並べ替えたり、書き換えたりしないといけなくなる。多くの人が整理にストレスを感じるのも、ここが原因だ。
リストが事前にしっかり整理されていれば、眺めただけでさまざまな要因を直感的に判断できるようになり、優先順位は自然とはっきりしてくる。
リストは、現在手がけていることのすべてを集めておいて、いつでも見直して更新できるようにしておくためのものであって、優先順位を管理するためのものではない。
行動のリマインダーを整理する
インボックスが空になっていれば、「保留」スペースには自分がやるべきもので、かつ2分以上かかるもののリマインダーが積み上がっているはずだ。
人によって20件から70件程度があるだろう。そこには人に引き継いだ事柄のリマインダーも積まれているだろうし、カレンダーに記入したり、「いつかやる/多分やる」のファイルに入れたりするべきものもあるはずだ。
これらは自分が納得できるかたちで適切なカテゴリーに分類し、時間ができたときにやるべき行動の選択肢として見直せるようにしておかないといけない。
フォルダでもリストでも、アナログでもデジタルでもいいので、物理的にもっとも理にかなった方法で分類しておくべきだ。
カレンダーに記入するべき行動
「整理する」という観点からは、行動は基本的に2種類に分かれる。特定の日付や時間にやらないといけない行動と、時間ができたときにやる行動だ。
カレンダーに組み入れるべき前者の行動は、「10時から11時の間にジムに会う」といったように時間が決まっているものと、「レイチェルが提案に目を通しているか火曜日に電話して確かめる」といったように日付だけが決まっているものがある。
インボックスの中身を見極めているときに直接カレンダーに書いてしまったものもあるはずだ。
たとえば、人間ドックについて次にやるべき行動が予約することだと気づき、2分以内にできそうなのでその場で電話した場合は、予約の日時をカレンダーに書き込んでいるだろう。
しかし、カレンダーでToDoリストを管理してきた人の多くは、それまでの癖で、月曜日なら「月曜日にやりたいこと」をカレンダーに書いてしまう。
そして、そこには絶対に月曜日にやるべきことだけではなくて、火曜日以降にずれ込むかもしれない行動まで書き込まれてしまうこともある。そのような誘惑にはくれぐれも気をつけよう。
カレンダーは「聖域」であり、その日に絶対やるべきこと以外を書いてはいけない。
ここまで整理できれば、あとは「日付や時間は決まっていないが、時間ができたときになるべく早く実行すること」が残ることになる。
なるべく早く実行する行動を、状況ごとに整理する
これは長年の経験からたどりついた結論だが、「時間ができたときにとるべき行動」のリマインダーは、その行動に必要な″状況″で分けておくのがいちばん効率的である。具体的には、実行に必要な道具や場所、人ごとに分類していくのだ。
たとえば、パソコンが使える状況でないとできない行動は、「@パソコン」のリストに分類する。外出先でやることならば「@買い物・お使い」のリストに入れる。共同経営者のエミリーと直接話す必要があるなら、「@エミリー」のファイルやリストに入れておくといい。
どこまで状況別に分けるかについては、リストにどれだけの行動があるか、そして行動をとることができる環境がどれだけあるかによる。
やや珍しいケースだが、「次にとるべき行動」が25件しかないのであれば、一つのリストで管理してもいいだろう。
その場合、「釘を買う」「人事のことで上司と話す」「ミーティングのアイデアを考えておく」といったものがいっしょに並ぶことになる。
しかし、50件、100件とある場合は、全体を見渡すことが難しいだろう。
時間ができたときに、いちいち状況別にふるいにかけるという作業を行なうのではあまりに非生産的である。
休憩中で電話がかけられそうなときに、電話に関する行動がすぐに見つからないと不便だ。何かで外出したときには、買い物やお使いに関するリストがないと何かをやり残す可能性が出てきてしまう。
次にとるべき行動の基本カテゴリー
以下に挙げるのは、次にとるべき行動の分類に使われることが多いカテゴリーである。
あなたが使ってみたいと思うものもあるはずだ。
- @電話
- @パソコン
- @買い物・@お使い
- @会社
- @自宅
- @場所を問わず
- @協議事項(人または会議)。
- @読む/評価
電話
かけなければならない電話のリスト。電話ができる状況であれば片付けていくことができる。携帯電話をいつも使っている人にはとくに有用だ。
外回りや出張のとき、休憩中、空港のロビーで待っているとき、子どもを迎えに行って学校から出てくるのを待っているときなどの空き時間に利用できるはずだ。
「@電話」のリストがあると電話をかける作業に集中できるし、かける相手もばっと見て直感的に選んでいける。できれば名前の横に電話番号を書く癖もつけておくといい。
いちいち番号を調べずに済めば、より多くの電話を片付けることができる。
スマートフオンでこのリストを管理している場合、番号をタップするだけで電話ができたりもするので便利だろう。
パソコン
パソコンをよく使う人――とくにノートパソコンを持ち歩いている人や、職場と自宅の両方にPCがある人は、それが使えるときにとるべき行動をリストにしておけば便利だ。
パソコンを使う仕事や書く必要があるメール、作成すべき文書などがリストになっていれば、やるべきことをそこからばつと選んでいくことができる。
私はよく飛行機に乗るので、これとは別に「@オンライン」「@オフライン」のリストも作っている。
WiFiが使えない飛行機の中ではインターネットや会社のサーバーにつなげることができない。そのため、オフラインでできるものだけが分けられているとさっと作業に取りかかることができる。
職場のみ、あるいは自宅のみにパソコンがある人は、「@パソコン」ではなくて「@会社」「@自宅」に入れたほうがいいかもしれない(ただし、パソコンが必要な作業であることがわかったほうがよい)。
一方で、パソコンだけでなくてスマートフオンやタブレツトでも仕事をすることができる場合、「@パソコン」ではなくて「@デジタル」というカテゴリーを作ったり、「@場所を問わず」に分類してもいいはずだ。
@買い物・お使い
外に出ているときにやりたいことは、一つのリストにまとめておくのが合理的だろう。車でどこかに行くときなどにこのリストがあると大変便利だ。
「銀行の貸金庫においてある株券を出す」「仕立に出したスーツを取りにいく」「妻に花束を買う」などがこのリストに分類される。
さらに、各項目についてサブカテゴリーも作っておくと便利だ。
ホームセンターで買う物が思い浮かんだときは、「@買い物/ホームセンター」という項目に入れておけばいいわけだ。これはアナログでもデジタルでも好きなツールで実現できるだろう。
@会社
会社勤めの人だつたら、職場でないとできないことがあるだろう。出社したときにこのリストが見えるところにあると便利だ。
私の場合、物理的に会社にいなければできない、「オフィスの整理棚の中身を処分する」「ボリュームのある文書を印刷してスタッフと見直す」といった項目が並んでいる。
最近では、ネットワークを通じたリモートワークを採用する会社も増えてきた。その場合、「@会社」は「@会社関係の仕事ができるとき」と読み替えてもいいのかもしれない。
また人によっては複数のオフィスで仕事をすることもあるので「@会社A」「@会社B」と分けてもいいだろう。
@自宅
自宅でしかできない行動もたくさんある。こちらもリストを作ったほうがいい。このリストに並ぶ項目は、単に実行して終わりというものも多い。
「新しい水彩画を掛ける」「旅行用品を整理する」「服を冬物に替える」などがここに分類される。
私と同じように自宅にも仕事場がある人の場合は、家でしかできない仕事も「@自宅」のリストに入れるといい。仕事場は自宅のみという人は、「@会社」のリスト自体が不要だ。
また、別荘やボート、お気に入りのコーヒーショップやカフェなど、個人的に複数の場所を仕事場にしている場合もあるだろう。
「@スタバ」も行動リストのカテゴリーとなりえることを覚えておこう。
@協議事項
「次にとるべき行動」の中には、人と話し合ったり、委員会やチーム、スタッフ会議で決めたりするべきことも多い。
来年の企画は共同経営者と相談しないといけないし、配偶者のスケジュールを確認したい場合もあるだろう。
メールでは説明が難しいことを秘書に回頭で任せたり、経費に関する変更を次のスタッフ会議で知らせなくてはいけない、といったこともあるだろう。
この「@協議事項」は人物や会議ごとに分けてリスト化しておくと便利だ(「上司と話すことリスト」を持っている人は、すでにこの方法を実践していることになる)。
このリストは状況にもよるが、3件から15件程度必要になってくるだろう。
人物に関しては、上司、共同経営者、アシスタント、配偶者、子どもなどのリストを作っておくのがお勧めだ。人によっては、弁護士、フィナンシャルアドバイザー、会計士なども必要かもしれない。
会議に関してはスタッフ会議、プロジェクト会議、役員会、委員会、保護者会などのリストを作って、そのときに話し合うべきことを書いておくといいだろう。
一時的に相談したい相手用のリストが欲しくなることもあるだろう。家や土地に関する仕事を業者に任せる場合などがこれにあたる。その場合は、そのときだけ使うリストを作るといいだろう。
その日の仕事の仕上がりで気になる点があったら、リストに書き込んでいくといい。もちろん、必要なときにさっと取り出せるようにしておこう。
この種のリストは大変有用なので、手軽に「@協議事項」に加えられるようにしておくことが重要だ。
@読む/評価
「次にとるべき行動」が「読むこと」である場合もあるだろう。
2分ルールを守っていれば、さっと目を通せるものについてはすでに見極めが済んでいるはずなので、ゴミ箱や資料ファイルなど、しかるべき場所に整理されているはずだ。
読むのに2分以上かかるものは、「@読む/評価」というラベルを貼った積み重ね式トレイに入れておくといい。これもリストの一種だが、できれば「@書類」「@雑誌」などの種類別に保管していくと便利だ。「@読む/評価」のカテゴリーは通常かなりの量になる。
2分ルールを守るのが重要なのもそのためだ。
さっと読めるものが片付いていれば、時間があるときに本当に読みたいものを読んでいくことができる。このカテゴリーは整理をきっちりしておかないと、読む気が失せて手に負えなくなってしまう。
すぐ手が届く場所に読むべきものを置いておければ、会議が遅れているときや講義の合間、電車や飛行機での移動中などのスキマ時間を有効活用できるようになる。
「@読む/評価」を消化できる機会はあなたが考えているよりもたくさんある。
このカテゴリーを整理している人と整理していない人では、時間の活用の仕方で大きな差が出てくることを知っておくべきだ。
デジタル情報に関しては、日々大量の情報が舞い込んできているはずだ。これらの多くは仕事や人生にとってさほど重要ではないが、興味深かったり、面白そうだったりするものだろう。
そうしたものをまとめておくためのカテゴリーもあると便利だ。
メールソフトに「@読む/観る」のフォルダを作ったりして、勧められた動画やブログ、記事などのリンクが書かれたメールをとっておくとよいだろう。
「@連絡待ち」の整理
ほかの人に任せて連絡待ちをしている事項についてもきちんと整理をしておこう。これについては自分でやるわけではないので、必ずしも具体的な行動になっている必要はない。
それに関して最終的に望んでいる結果(プロジェクトの内容)、誰から連絡を待っているかさえわかっていればいいだろう。
友人に予約を頼んでいる演劇のチケットや、スタツフに注文してもらっているスキャナー、クライアントからのフィードバックなどがこれにあたる。
このリストは必要な頻度で確認し、進捗状況をチェックしたり、もっとうまくいく方法がないかを評価していく必要がある。
とくに管理職の人にとっては、ほかの人に任せてあることのすべてを把握できていると大きな安心感につながるので、仕事に対して前向きに集中できるようになる。
「@連絡待ちリスト」についても、いつでもさっと取り出して見直せるようにしておこう。
プロジェクトによっては、完了するまでにほかの人との間で何度もやりとりをしなくてはならないものがある。
たとえば、ある販売店に電話をかけて改善点について意見を聞きたかったとしよう。
これは「@電話」のリストに分類される行動だが、電話が終われば向こうの反応を待つしかないので、「@連絡待ちリスト」に入る。
そのあとに販売店から上がってきた意見は評価が必要だから「@読む/評価」のトレイ、または「@パソコン」のリストに移動する。
評価の結果、その意見のとおり改善すべきだと判断したら、上司の承認を得なければならない。これもまた「@連絡待ちリスト」に入ることになる。
このリストは、それに関する責任者と話すときに手元にあると大変有用だ。
早い段階で「そういえば、ゴンザレスの提案書はどうなった?」と確認できたほうがいいからだ。期限をすぎて切迫した状況になってから確認するのでは、合理的とはとてもいえないだろう。
また、このリストについては依頼した日付と決められた期日をあわせて書いておくことが重要だ。
フォローアップの際に「3月20日に頼んだじゃないか」「提案書を出してから3週間になるぞ」と言えたほうがずっと有意義である。
私の経験上、さつと日付を書き加えておくだけで、このリストは絶大な効果を発揮する。
ほかの人に任せたことすべてが「@連絡待ちリスト」に入っているとわかっていれば、大きな安心感を得ることができるだろう。
それ自体をそのままリマインダーにするもの
「気になること」は思いつくたびにメモしておき、「見極め」や「整理」が済んだらそのメモは捨ててしまえばいい。
上司とのミーティングでとったメモは、それに対してとるべき行動がはっきりして、適切な整理が済んだらとっておく必要はない。
ただし、ある種のものはそれ自体がリマインダーとなり、いろいろメモに書き出すよりも効率的な場合がある。紙ベースのものや、一部のメールなどにこの手のものが多い。
紙ベースのアイテムのワークフロー管理
紙ベースのアイテムの中には、そのまま行動のリマインダーにできるものがある。典型的なのは、「@読む/評価」に入る記事や出版物、書類などだ。
こうした雑誌などに関して、わざわざ「〜を読む」とメモしてリストに加えていく必要はない。そのまま「@読む/評価」のトレイに入れておけば、それ自体が行動のリマインダーになってくれる。
もう一つ例を挙げておこう。
まとめて払ってしまえる請求書がある場合は、ファイルやトレイに「請求書」のラベルを貼つてそこに入れておけばいい。
経費精算で使う領収書も、その場で処理されなかったものは「領収書」のファイルや封筒にまとめて入れておけばいいだろう。
業種や職場の状況によっては、書類やメモをそのまま整理システムに入れたほうがいい場合もある。
たとえばヵスタマーサービスの担当者には、決まった書式で意見が大量に送られてくるかもしれない。
その場合、行動が必要なものに関しては、それらをそのまま専用のトレイやパソコンのフォルダ、または物理的なファイルで管理していくのがベストだろう。
リマインダーをリストに記入するか、元の文書をそのままトレイやファイルに入れるかの判断は、そのあとに使いやすいかどうかでも判断するといい。
それらのリマインダーをデスク以外でも使う可能性があれば、リストにして持ち運べたほうが便利だろう。デスクでしか使わないなら、トレイやファイルで管理したほうがいいはずだ。
いずれの方法を取る場合でも、リマインダーは次の行動がすぐわかる明確なカテゴリーに分類しておく必要がある。
次にとるべき行動が電話をかけることなら「@電話」に入れ、情報を評価してパソコンに打ち込む必要があるなら「@パソコン」に入れるわけだ。
一方、うまくいっていない整理システムの特徴として、とるべき行動の違いを考えずに分類してしまう、というものがある。似たようなものだからという理由だけで一つのトレイに入れてしまってはいけない。
「顧客からの依頼」といった具合に、よく考えずに一つのトレイに入れても混乱するだけだ。その中には電話をかけるものもあれば、送られてきたデータを評価しないといけないものもあるだろう。
また、誰かからの連絡待ちの場合もあるはずだ。
このように「次にとるべき行動」がごっちゃになっているとすぐに手がつけられなくなってしまう。
私の整理システムでは、ほぼすべてのリマインダーをリストで管理していて持ち運びが可能になっている。
ただし、「@読む/評価」については職場にトレイを置いているのと、出張時に持ち運ぶことができるプラスティックのファイルで管理をしている。
雑誌はデジタルで読んでいるものもあるが、紙のものを手元に置いておくと機能的だし、見た目にも楽しい気分になるのでおすすめだ。
メールのワークフロー管理
紙ベースのものと同様、なんらかの行動をとるべきメールもそれ自体をリマインダーにしたほうがいいだろう。
とりわけ、メールがたくさん届く人で、頻繁にメールチェックしなくてはいけない人にあてはまる。
こうしたメールは、カテゴリー別の行動リストに書き込む代わりに、そのままメールソフトで管理するといいだろう。
私のクライアントの多くは、GTDを導入してからメールソフトで専用のフォルダをいくつか作るようになった。
こうしたフォルダは受信箱に放置されていることが多い、なんらかの行動をとるべきメールを「整理する」ために使える。
最初に作ってほしいのは、完了までに2分以上かかるメールのためのフォルダだ。
2分以内のものは、例によってその場で実行していく。
フォルダ名の頭に何らかの記号をつけておくと、ほかのフォルダと区別できるし、一覧のいちばん上に来てわかりやすいだろう。
「@行動」といったフォルダにそれらのメールを入れておくといい。
次に作っておきたいのが「@連絡待ち」のフォルダだ(この名前で作れば「@行動」と並んで表示される)。
こちらには、把握しておきたいほかの人の作業についてのメールを入れておくといいだろう。誰かに何かを依頼したときのメールもこのフォルダで管理できる。
何かを依頼したり誰かに任せたりするメールを送信する際にCCやBCCを使って「@連絡待ち」のフォルダにも入るように設定しておくと便利だ。
メールの受信箱を空にする
今述べたような方法で、メールの受信箱は常に空にしておくべきだ。そうすれば気分がすっきりとしてきて、あなたの整理システムがうまく機能しはじめる。
逆に受信箱にメールが残っていると「やるべきことがあるよ―」というシグナルになる(ちょうど留守電があることを知らせるランプのようなものだ)。
ほとんどの人は受信箱になんとなくメールを残しているが、それだと画面を見るたびに「やることがこんなにある……」とうんざりしてしまう。
メールの一覧が1画面に収まりきっていればそれなりに機能するものの、現代ではほとんどのプロフェツショナルが大量のメールを受け取るので、やはり整理用のフォルダを作ったほうがいいだろう。
受信箱を空にするときにすべての行動を終わらせる必要はない。
もう要らないものは削除し、行動を起こす必要のないものは資料として保存し、2分以内でできるものはその場で実行して、2分以上かかるものやほかの人に任せるものはそれぞれのフォルダに移動させよう。
これをやっておくと、「@行動」のフォルダを開いただけで、時間があるときにやるべき行動のリストを見直して更新することができる。
いちいちスクロールや検索をして処理すべきメールを探さなくてもいいし、大事なものを見逃しているかもしれないという不安に悩まされることもなくなる。
リマインダーの保管場所が複数ある時の注意
整理システムのいちばん重要な役目は、リマインダーをいつでも見られるようにすることである。それができてはじめて、そのときにとるべき行動を的確に選択していくことができる。
「@電話」や「@パソコン」に分類したリストと同じように、メールソフトの「@行動」フォルダも扱っていくべきだ。
折をみて定期的にチェックすることを習慣にしてもらいたい。
「次にとるべき行動」のリマインダーを、ファイルやリスト、メールソフトなど、複数の場所で管理することは問題ない。
ただしそれらのすべてを定期的に、または必要に応じてすぐに見直して更新できるようにしておくことが条件となる。
どこか一つでも見直さない場所が出てくると、システムが本来の役目を果たしてくれないからだ。
この観点から言うと、デジタル情報にはとくに注意しておこう。
データが画面上で見えなくなったとたん、それに対する行動が起こされなくなってしまうことが多いからだ。
こういつた事情もあるので、デジタル派だった人の多くが、より信頼できるアナログなツールに戻っていたりもする。
紙のシステム手帳だったらリマインダーが日に入ってくるので、きちんとその機能を果たしてくれるからだ。
何もかも忘れて友人と遊んだり、のんびり散歩したりするには、すべてのリマインダーがしかるべき場所に収まっていて、必要なときに見直せる状態になつていなければならない。
それらを見直すのに時間がかかるようでは困る。いつでもすみやかにリマインダーをチェックできることが絶対条件だ。
プロジェクトのリマインダーを整理する
やるべきことや実現したいと思っていることで、複数の行動ステップが必要なものは「プロジェクト」としてリストにまとめていこう。
これはカレンダーや「連絡待ちリスト」、「次にとるべき行動リスト」に記載された具体的な行動を、すこし上の視点から眺めた「望んでいる結果」である。
このリストを作って管理しておくことで、全体像がよりはっきり見えてくる。
一般的に、1人が抱えているプロジェクトの数は、本人が思っている以上に多いもである。まだリストを作っていない人は、さっそく作ってみよう。
デジタルの管理ツールやシステム手帳を使ってもいいだろうし、ファイルに「プロジェクト」というラベルを貼って、そこで管理してもいいだろう。
プロジェクトリスト
「プロジェクトリスト」は、望んでいる結果を一つ上のレベルから俯雌したものであり、個々の行動リマインダーの全体像を理解するのに役立つ。
したがって、ここでは優先度や規模、緊急性などを考える必要はない。「済んでいないこと」を並べたものになっていれば用は足りる。
プロジェクトリストは日々の仕事において頻繁にチェックすることもない。
あなたの注意は通常、「カレンダー」や「次にとるべき行動」にある具体的な行動リマインダーと、急に降りかかってくるタスクに向けられることになる。
すでに説明したように、実行できるのは「プロジェクト」そのものではなくて、達成までに必要な個々の行動ステップだ。
ただし、一つ上の視点からプロジェクトを認識しておくことは、状況をコントロールしつつ目の前のことに集中するために極めて重要だ。
「プロジェクトリスト」は、最低でも週1回は必ず行なう「週次レビュー」においてその真価を発揮する。
この週次レビューにより、各プロジェクトの行動ステップが決まり、やるべきことの全体像が見えるようになる。
また、ときどきこのリストを眺めることで、すべてを管理できているという自信を深めることもできる。
仕事の量が問題になったときでも、自分が責任を負っている分野が一覧できるので、ほかの人にうまく振り分けることも可能になるだろう。
網羅的なプロジェクトリストの価値
「プロジェクト」について理解し、うまく管理することができるようになれば、心の中にある細々としたストレスからすっきりと解放されることになる。
このレベルでシステムを維持していくことこそが、ストレスフリーの整理術を実現するにあたって、もっとも重要なことの一つと言える。
その理由のいくつかを次に挙げていこう。
- コントロールを保ちつつ、対応すべき物事に集中できる。
- 緊張を和らげる。
- 週次レビューの核となる。
- 人間関係がうまくいく。
コントロールを保ちつつ、対応すべき物事に集中できる
ことの大小にかかわらず、しなければならないと自分に言い聞かせたことが意識の中にひっかかっていると、心からリラックスして生産性を発揮することができない。
やるべきことを個々の行動だけでなく、一つ上の視点からもすべて把握し、定期的に見直せていないと、「運転免許を更新しなくては」といったことが「年次総会の議題を決めなくては」という重大なことと同じくらい頭のスペースを使ってしまうこともありえるからだ。
緊張を和らげる
小さなことや目に見えにくい些細なことは、それがストレスの要因であることがはっきりとわかりにくいため、対処するのが難しい。
「なんとなく気になる」「漏れがないだろうか」といった心配から解放されるには、″プロジェクトクのリストが必要だ。
単に行動だけを管理していると見えてこないこともある。
娘を保育園に通わせる段取りがついたと思いきや、入園手続の書類に不備があることが判明したり、通園の状況が変わったり、といったことも起こりうる。
クライアントに合意された請求書を送ったつもりだったのに、そんな内容は聞いていないと言われる場合もあるだろう。
個々の行動ではなくて、一つ上の視点から「何がしたかったのか」を把握しておくことで、こうした予想外の状況にも対応できるようになる。
週次レビューの核となる
すでに述べたように、より重要な物事をきちんと管理していくには週次レビューが不可欠だ。そしてそのためには、すべてを網羅したプロジェクトリストも重要となる。
子どものために飼う大についても、次回の年次総会についても、きちんと対応できているか(あるいはできていないか)を週に1度は確認しなければならない。
だがこの視点から物事を考えるには、プロジェクトリストがきちんと更新、管理されていることが前提となる。
人間関係がうまくいく
相手が上司でもスタッフでも、共同経営者でも家族でも、誰かと話をするときに、その人に関して自分のやるべきことがリストになっていると非常に有益だ。
人間関係において時間やお金、労力などの配分で悩むことも多いだろう。
そうしたときにこうしたリストがあって、それをもとに交渉することができればストレスを効果的に解消することができるはずだ。
仕事や人生においてやるべきことがプロジェクトのリストとしてまとまっていれば、相手が経営者でもスタッフでも人生の伴侶でも、非常に有意義で建設的な対話をすることができるようになるだろう。
見落としているプロジェクトを見つけるには
見落としているプロジェクトは、主に次の3箇所にある。
- 現在の活動
- 一つ上のレベルの関心事や約束事
- 現在の問題、課題、機会
現在の活動
カレンダーや次にとるべき行動のリスト、職場などを見渡してみると、把握しておくべきプロジェクトが見つかることが多い。
スケジュールに書き込まれている開催予定の会議(あるいは開催済みの会議)に関して、会議に出席する以外にやらなければならないことがあるだろうか?そう考えてみたところ、次の電話会議ではクライアントと今後のことを話す予定だったと思い当たる。
ほらあった―「クライアントのために提案可能なプランを考える」というプロジェクトだ。次は……息子の学校の保護者会があるな。そうだ、時間割の件で先生に相談しなくちゃいけないことがあったぞ。
ほかにはないだろうか。そういえば、もうすぐ出張だったな。それと、カンフアレンスの予定はどうだろうか……。
このように、現在の活動から見落とされたプロジェクトを残らず把握していくといいだろう。
「次にとるべき行動」に関連するプロジェクトが隠れている場合も多い。
私が指導した経験からも、「資金集めのイベントの件でマリオに電話する」という行動を「@電話」のリストに入れてはいるが、「資金集めの計画を詰める」というプロジェクトがあることに気づいていないようなケースが多々あった。
また、わかりそうなものなのだが、読まなくてはならない提案書や契約書がブリーフケースに入ったままだったり、記入しなくてはならない銀行の書類が自宅のデスクに放置されていたり、ハンドバックには修理に出さなくてはならない腕時計が入っているのに、それらが「プロジェクト」だと気づいていないこともある。
こういったものを取りこぼすことなく、すべてを「望んでいる結果」に関連付けて把握できるようにしておこう。
一つ上のレベルの関心事や約束事
自分が負っている責任や目標、ビジョン、価値観を一つ上のレベルから見渡したときに、小さな関心事や約束事を取りこぼしていることに気づく場合もある。
仕事上の目標や会社の戦略計画を進めていくにあたって、ほかにも対応すべきプロジェクトがないだろうか。
私が管理職のクライアントを指導していて長期計画を見直してもらうと、必ずそれに関連するプロジェクトが一つは見つかる。
また、人生を長い目で見たときに、行動を起こすべきなんらかの事柄はないだろうか。成長する子どもや老いていく両親、自らの退職のこと、配偶者の希望、始めてみたい趣味などを考えてみよう。
するとたいてい何個かのプロジェクトが見つかるものだ。こうした思考ができるようになると、人生をうまく管理できているという安心感を得ることができる。
現在の問題、課題、機会
見落としているプロジェクトを見つけやすい場所はほかにもある。
きちんと対応すべきプロジェクトとして認識しておかないと集中力の妨げになると思われる、次の三つの分野である。
- 問題
- プロセス上の課題
- 能力開発の機会
「問題」はどういうときにプロジェクト」となるのだろうか。答えは、「常に」である。
現状をそのままではよしとせずに、「問題」としたとらえた時点で、それに対して何らかの行動を起こそうと考えているからだ。
実際に問題を解決するための方法があるかどうかは別として、こうした「問題」もプロジェクトとして把握しておこう。
たとえば「息子の学校での問題を改善する方法がないか調べてみる」「家の補修に関するトラブルを解決する」「共同経営者との間で報酬についての問題を解決する」といったものだ。
こういった「問題」についてもきちんと考えて書き出しておこう。
そして次にとるべき行動を判断してリストで管理していくのだ。
こうするだけでどれほどストレスが減り、生産性が上がるか、あなたはきっと驚くことになるだろう。
また、仕事でもプライベートでも、物事の進め方、ワークフローなどのプロセスの中にもプロジェクトが潜んでいるはずだ。
業務上のシステムや手続きについて不満はないだろうか。
ファイリングや保管の方法、コミュニケーション、採用、評価などについて、納得できないところはないだろうか。
経費精算や、銀行とのやりとり、投資のプロセス、または友人や家族との連絡方法などにおいて、改善すべきところはないだろうか。
こうした改善の余地がある事柄もプロジェクトとして把握しておこう。
さらに、自分の能力や創造性を高めるために学んでみたいこと、体験してみたいと思うこともあるだろう。
イタリア料理を習ってみたい、絵画を習ってみたいという願望がないだろうか。
写真教室やソーシャルメディアマーケティングのオンラインコースを受講できたらいいなと思ったことはないだろうか。
こうした「いつかやってみたい」と思えるプロジェクトは、とりあえず「いつかやる/多分やる」のリストに入れておくといい。
ただ、GTDに慣れてきてその効果が実感できるようになってきたら、これらについても望むべき結果と次にとるべき行動を定義しつつ、プロジェクトリストで管理していこう。
そうすることでより豊かな体験を日々の生活に取り入れていくことができるようになるだろう。
一つのリストで管理するか、サブカテゴリーを作るか
プロジェクトに関しては、たいていの人は一つのリストのほうが便利だと感じるようだ。優先順位を気にする必要がないので、実際にはこれで十分である。
ただ、そこにある量によってはサブカテゴリーがあつてもかまわない。必要な頻度ですべてを見直すことさえできればいい。たいていは週次レビューで一気にやってしまうので、どちらでも同じことだ。
プロジェクトの下位分類
プロジェクトリストは、次のようにより細かいカテゴリーに分けたほうが便利なこともある。一つずつ見ていこう。
仕事/プライベート
仕事とプライベートでプロジェクトリストを分けるとやりやすいという人も多い。
もしそうしたいなら「プライベート」のリストも「仕事」のリストと同じようにきちんと見直して更新していくことが重要だ。
プライベートのプロジェクトだから週末にやればいいや、と思ってはいけない。平日に片付けられるプライベートな行動も多いはずだ。
仕事でストレスを感じてしまう理由の一つは、プライベートの行動をおろそかにしているためであることも少なくない。
誰かに任せた仕事
管理職や役員の役職についている人は、責任を負つているプロジェクトを部下などに任せているケースもあるだろう。
それらは「連絡待ちリスト」に入れてもいいが、「プロジェクトー委任」のリストで管理していくこともできる。
あとは定期的に見直して、そこに書かれているものがきちんと前進しているかを確かめればいい。
繰り返しになるが、プロジェクトをすべて把握し、最新の状態に保てていることが大事なのであって、それらをどう分類するかはたいして重要ではない。
どちらにしても仕事や人生で大事なことは変わっていく。それにあわせて整理システムにおける分類方法も柔軟に変えていけばいい。
サブプロジェクト
プロジェクトの中には、それ自体に複数の行動が必要なサブプロジェクトが含まれている場合もある。
たとえば新しい家に引っ越して大幅なリフォームを行なうときは、「テラスの造り替え」「キツチンのリフォーム」「ホームオフィスの設置」といったサブプロジェクトが考えられるはずだ。
これらをまとめて「新しい家のリフォーム」としている人もいれば、サブプロジェクトとしてそれぞれを独立させている人もいるだろう。どちらの方法を採用しても構わない。
要は、高い生産性を維持していける頻度でプロジェクトの各要素を見直して更新できればいいのだ。
大きなプロジェクトのままプロジェクトリストに入れた場合は、サブプロジェクトのリストを「プロジェクトの参考情報」としてどこかに置いておき、そのプロジェクトを検討するときに参照できるようにしておこう。こうした分類に関しては、あまり悩む必要はない。
とりあえずどちらかの方法で分類しておいて、週次レビューを通じて違和感を覚えるようなら、別のやり方を試せばいい。
いずれにせよ、どちらのほうがよいということではない。
大事なことはプロジェクトの全てが認識されていて、それらについて起こすべき行動のリマインダーがどこにあるかを把握できていればいいだけだ。
プロジェクトの参考情報
プロジェクトの参考情報とは、プロジェクトについて考えたり、行動を起こしたりするときに助けとなる情報や資料を指す。これらは行動に関するリマインダーとは区別しておかないといけない。
参考情報自体をリマインダーにしない
分厚い書類やファイルの束、あるいは溜まったメールやデジタル文書などの参考情報はそのままでは「プロジェクト」になったり、「次にとるべき行動」になったりはしない。
こうした参考情報はプロジェクトについて考えたり、実際に行動を起こす際にひっぱり出して使うものになる。
次にとるべき行動が誰かに電話をすることなら、その参考情報を見ながら話す、といった具合だ。また参考情報はどこに置いてもかまわない。
現在関わっているプロジェクトに関するものだったらすこしだけ目立つ場所に置いておいてもいいだろう。
ただ、他のリストとごっちゃにならないように、週次レビューではきちんと区別をつけられるようにしておこう。
先ほどの新しい家に引っ越す例ならば、ファイルに「リフォームの参考情報」というラベルを貼り、そこにテラスやキッチン、ホームオフィスに関する計画や注意点のメモをまとめて入れておくといい。
そして週次レビューでプロジェクトリストに「新しい家のリフォーム」という項目が見つかったら、そのファイルを引っ張り出し、すべてのメモに目を通してから「次にとるべき行動」がないかチェックするのだ。
もし「次にとるべき行動」が見つかったら、その場で実行するなり依頼するなりして整理システムに組み入れていこう。
そこまでやったらファイルの中身は戻して、実際の行動をとるときや、次の週次レビューで参照できるようにしておけばいい。
プロジェタトに関してひらめいたアイデ一アを整理する
第3章で、行動を起こす必要がないプロジェクトについても自由にアイデアを出しておいたはうがいいという話をした。
これらのアイデアも「プロジェクトの参考情報」の一種だ。
次の休暇でやりたいことがひらめいたり、プロジェクトを達成するうえで重要な事柄に気づいた場合などがこれにあたる。
車を運転しながらニュースを聞いているときや、プロジェクトに関係があるものを読んでいるときにそうしたアイデアが浮かんできたら、参考情報として保管しておいて、必要なときにひっぱり出せるようにしておくべきだ。
これらはプロジェクトに紐づいたかたちで管理していくことが重要となる。メモやメール、データベースや紙の書類やルーズリーフなどを活用していくといいだろう。
メモ
タスク管理ソフトの多くは、リストやカレンダーにメモ(コメント)を付けられるようになっている。
「プロジェクトリスト」をソフトウェアで管理している場合は、アイデアが浮かんだプロジェクトのメモを開いてそこに書き込むといい。
「プロジェクトリスト」を紙に書いている人は、そのプロジェクトの横に付箋紙を貼るといいだろう。
やるべきことを1枚の紙で管理しているならそこに貼ればいい。いずれにしても、プロジェクトを見直して更新する際にはそのメモにも目を通せるようにしておこう。
そうでないと、その情報が有効活用されることはないだろう。
メール、データベース
テクノロジーの進歩により、プロジェクトに関する情報やアイデアを整理するために使えるツールやソフトウエアが数多く登場してきている。
参考情報となりうるメールは、適切な名前でフォルダを作って入れておくこともできる。
あるプロジェクトに関して参考となるメールが多すぎる場合はさらに複数のフォルダに分けてもいいだろう。
「ジョンソン・パートナーシツプー‐現行」「ジョンソン・パートナーシップーー履歴」といつた具合だ。
また高機能なデータベースソフトウェアを使ってより大量のデータを整理してもいいかもしれない。今世紀、こうしたツールが飛躍的に進化した。
使い方を無限にカスタマイズできる、クラウドベースのシンプルなノートアプリや、グループでファイルを共有できるプロジェクト管理ツール、ちょっとしたマインドマップから大規模な執筆作業や調査をまかなえるアプリケーションなどもある。
ただし、プロジェクト支援のためのデジタルツールが豊富にあることの難点は、有用かもしれない情報があちこちに散らばってしまいがちなことだ。
これでは元も子もない。
どこに何があるのかわからなくなってしまうと、必要なときに適切な視点から見直すことができなくなってしまう。
また、どこに何のデータを入れるかのルールが定まらない場合も多いだろう。そうなると結局は「頭の中で整理しておかないと……」となってしまいがちだ。
参照情報をまとめるツールはうまく使いこなしていきたいところだが、プロジェクトリストを適切な頻度で見直せるようにしておくことがもっとも大事である。
紙の書類
ファイルキャビネツトにプロジェクトごとのフォルダを用意しておくと、紙ベースの参考情報を収納するのに便利だ。
アナログではあるが、優れたやり方であることはまちがいない。シンプルで使いやすく、資料のファイリングにはもってこいである。
会議で配られたものをまとめておきたいときなども、簡単に整理することができる。
プロジェクトプランニングをしているときや会議のときは、デジタルデータであっても物理的にファイルにまとめてあったほうが便利な場合もある。
私の場合はプロジェクトに役立ちそうなメールやスプレツドシート、ウェブページなどは印刷しておいてその場で参照できるようにしている。
ルーズリーフ
ルーズリーフ式の手帳やバインダーは、一つのプロジェクトに1ページでも複数のドージでも自由に割り当てられるのが強みだ。
私は長年、持ち運べるくらいの大きさのバインダーを愛用し、最初のページに「プロジェクトリスト」を、その後ろに「プロジェクトの参考情報」を綴じている。
新しいルーズリーフも入れてあるので、プロジェクトの計画や具体的な内容、思いついたことをいつでも書き留めることができる。
デジタルツールにかなり押されてはいるが、整理システムの中でルーズリーフを利用するのは、複数の視点から思考を整理していくのに大変有益である。
右に説明した方法はいずれも、プロジェクトに関する思考の整理に効果を発揮する。
ポイントは、書き込んだことをそのプロジェクトに必要な頻度で確認し、やるべき行動が忘れられていないかを常にチェックしていくことだ。
これらの書き込みは、不要になったり現実的でなくなった時点で捨てたり削除したほうがいい。でないとシステムの「鮮度」が落ちてしまう。
これらのアイデアはすべてを活用するわけではなくて、思考するときに参考にする情報にすぎない(実際に使うアイデアはごく一部にすぎない)。
プロジェクトに関するアイデアを集めることは大事だが、古くて価値のなくなったものはできるだけ削除するように心がけよう。
行動をとる必要のない情報を整理する
行動をとるべきことと、そうでないことは明確に分けておくべきだ。大きな価値があったとしても、行動を起こす必要のない情報をそこにまぎれこませてはいけない。
行動する必要のないものをシステマチックに管理することは、行動を起こす必要があることを管理することと同じくらい重要である。
そうでないと、システム全体の効率に支障が出てくるからだ。行動を起こす必要のないものは大きく三つのカテゴリーに分かれる。
資料となるもの、今は行動する必要がなくても潜在的に行動する可能性があるもの(いつかやる/多分やる)、そしてまったく行動を起こす必要がないもの(ゴミ)だ。
資料
仕事やプライベートであなたのところにやってくるものの大半は、いわゆる「資料」である。これらについて行動を起こす必要はないが、さまざまな理由でとっておきたい情報だ。
ここで求められる判断は、どれをとっておいて、どこにどれだけのスペースを割り当て、どんな形式で保管するかである。
その大部分は、物理的・法的制約や好みなど、会社や個人の事情で決まってくる。
ほとんどの人は、入ってきた「気になること」がそのままになっている。つまりそれについて行動が必要かどうかを見極めきれていないのだ。
その見極めさえついていれば、「資料」は「行動を起こすべきこと」と切り離され、それ以降、気にならなくなる。
あとは、それらを保管する場所をどれだけ確保するかを決めるだけだ。GTDがいったん機能しはじめれば、物理的、電子的な保管場所はどれだけ大きくなっても大文夫だ。
さまざまな資料システム
「資料」はその種類や形態もさまざまなので、整理する方法も多岐にわたる。一般的なものを簡単に見ていこう。
- 一般資料のファイリングー紙、メール、データ保存
- 専門資料のファイリング・連絡帳ソフト・文書管理システム
一般資料のフアイリング
くどいょうだが、「気になること」を「見極めて」「整理する」には、優れたファイリングシステムが不可欠である。
できればインボックスの中身を「見極める」段階で、1枚の紙から手軽にファイルできるシステムが準備されているとよい。
それがまだという人は、第4章を参考にしてすみやかにファイリングシステムを作ってもらいたい。
多くの場合、一つから四つの引き出し、複数のフォルダ、そしてたくさんのフォルダを作ることができるデジタルストレージが必要となるだろう。
ウェブそのものが、デジタル情報が詰まった巨大なファイルキャビネットのようになっている現代において、個人的なライブラリを作っておく必要があるだろうか、と思う人もいるだろう。
その気持ちはわからないでもないが、やはり個人のシステムに取り込んで整理しておきたい情報も膨大にあるはずだ。
情報を管理し、整理していく方法が増えつづけているが、行動を起こすべきものとそうでないものをきつちりと区別し、自分にとって使いやすいシステムで資料を管理していくことが不可欠である。
専門資料のファイリング
50以上のファイルや大量の文書を入れておきたいトピックに関しては、独立したコーナーや引き出しを用意して、その中でアルファベット順(もしくは五十音順)に整理しておくといい。
たとえば、企業合併を担当していて大量の文書を保管する必要があるときは、ファイルキャビネットを二つか三つ用意して調査データを入れておきたくなるだろう。
庭いじりやョット、料理などを趣味にしている人も、専用の引き出しが欲しくなるかもしれない。
ある分野の参考情報がほかの分野と一部重なっている場合は、専門資料と一般資料のどちらに入れるか迷うケースもあるかもしれない。
垣根に関する面白い記事を見つけたときに、「庭いじり」の専用キャビネットと、「家」関連の一般資料のどちらに保管するべきかという問題だ。
こうした場合、基本的には一般的な資料として分類するほうがいい。専門資料ヘファイリングするのは例外だと思ってほしい。
連絡帳ソフト
とっておきたい情報には、自分とつながりのある人に関する情報も多いだろう。そういった人たちと連絡を取るための情報も保管しておく必要がある。
携帯と会社と自宅の電話番号、メールアドレスなどだ。その人の誕生日や家族の名前、趣味、関心ごとなどを覚えておきたい場合もあるはずだ。
その人が部下ならば、雇った日や評価を行なった日、その人に求めているもの、教育に役立ちそうな情報なども保管しておきたいかもしれない。
デジタルの管理ツールやシステム手帳で最も活用されているのは、おそらく「連絡帳」(とカレンダー)だろう。
これらも「資料」に属する情報で、それに対して行動を起こす必要はまったくない。ただ、将来必要になったときにさっと参照できなくてはならない。
それについてどういう行動を起こしたいのかさえ決めておけば、連絡先の整理はさほど難しいことではない。
ただし、連絡帳ソフトをリマインダーとして使わないように注意しておこう(行動を起こすべきことがそこに入っていてはいけない)。
顧客情報と行動に関するリマインダーが精妙に組み込まれたCRM(顧客管理)ツールを利用しているのでない限り、これでは機能しない。
知人に関するすべての行動が完全に見極められ、行動のリマインダーリストに入っていれば、連絡帳ソフトにはデータの保存場所という以外の役割はないのだ。
結局、資料のためのシステムで考えなければならないのは、どこにどれだけ保管するか、どんなツールを使えばアクセスしやすいかということに尽きる。
昨今ではモバイル機器でいつでもクラウドストレージにアクセスできるようになったので便利ではあるが、アクセスのしやすさと選択肢の多さによる混乱も生じやすい。
目的の情報をさっと取り出せるように、自分だけのシステムを組み上げていこう。
文書管理システム
本気で調べればほとんどのことがわかる時代になった。どれだけの情報をどれだけ手近に、どのような形式で保管しておくかは、個人のニーズや、どのようなツールを利用しているかで変わってくる。
整理や生産性の問題に比べれば、こちらはそれほど深刻な問題ではない。
プロジェクトと、とるべき行動のすべてが整理システムで管理されていて、きちんと稼働していることが大事なのであつて、資料を保管・参照するためのシステムは好きに作っていけばいい。
いつでもどこでも参照したいものは、常に持ち歩いているモバイル機器やノートに入れておくといい。
会議やミーティングなどで必要になる情報は、ブリーフケースやリュック、カバンなどに入れればいいだろう。職場で参照するものなら、ファイリングシステムやパソコンに入れておこう。
また、普段は必要ないが、たまに必要になる情報もあるだろう。これらは部門ごとのファイルや、どこかの倉庫、あるいはクラウドのストレージに保管しておけばいい。
インターネットですぐに参照できるものについてはとくに何もする必要はない。オフラインで必要になるなら、印刷してファイルに入れておくといいだろう。
資料の整理がうまくいっているかどうかを決める一つ目のポイントは、行動の必要があるものとそうでないものがきちんと分けられているかどうかである。
二つ目のポイントは、その情報をどう使うかを考慮し、どこでどのように保存すればよいかを判断することだ。この二つさえきちんとできていれば、いくらでも情報を保管・管理していくことができる。
万人にとっての「完璧なシステム」など存在しない。
情報を収集・維持するための時間と、その労力から得られる利益がどの程度かを、個々人がそれぞれに判断してシステムを構築していけばいいだろう。
まずは本当にとっておきたい情報から始めて、使い勝手を考慮しつつ、最適な保存場所を決めていこう。小難しい理論や緻密な設計などは必要ない。
まずはシンプルにそこから始めてシステムを作り上げていくのだ。慣れてきたらすこしずつシステムを拡大し、日々の生活にあわせて細かくチューニングしていけばよい。
何が最適か迷ってしまうこともあるだろうが、ポイントは定期的にシステムを見渡して再評価し、必要な場合には大胆に軌道修正することだ。
いつかやる/多分やる
行動を起こす必要がないものの二つ目は、後日検討し直す可能性があるものだ。
いつか旅行してみたい場所や読んでみたい本、来年度中に取り組んでみたいプロジェクト、伸ばしてみたい才能やスキルなどがこれにあたる。
こういったものを把握しておくには、それらを何らかの方法で保管しておく必要がある。こうしたものはいくつかの方法で管理していくことができる。
「いつかやる/多分やるリスト」に入れたり、カレンダーに記入してリマインダーにしたり、紙ベースの備忘録ファイルに入れていくといいだろう。
そうすればそれらの「気になること」を頭の外に追い出しておくことができる。
いつかやる・多分やるリスト
「把握する」作業で気になることを頭の中から追い出していると、その中には本当にやるかどうか迷ってしまうものもあるはずだ。
「スペイン語の勉強」「子どもに馬を買ってやる」「何々山に登る」「推理小説を書く」「別荘を買う」といったものだ。
こうしたものは、「いつかやる/多分やるリスト」に入れておくといい。リストに書き込んでいるうちに、もっとアイデアが浮かんでくるかもしれない。思いついたものはすべて入れてしまおう。
驚くべきことに、このリストに書いておいたことが、いつのまにか実現してしまうこともよくある。
「いつかやる/多分やるリスト」を意識していれば、仕事にも人生にも、さまざまな素晴らしい可能性が開けてくる。
意識してイメージすることが人の認識や能力に及ぼす影響力を考えれば、これは驚くことではない。
やるかもしれないと認識していれば、チャンスがめぐつてきたときにそれが実現する可能性がぐっと高まってくる。
私自身、そういうことを何度も経験している。
フルートを吹けるようになりたい、海で帆船を操縦できるようになりたいという夢をこのカテゴリーに入れておいたら、いずれも現実となった。
なお、「いつかやる/多分やる」に入れたいものはインボックスだけから見つかるわけではない。
創造的な思考をしているときや現在抱えているプロジェクトリストを確認しているときにも思いついたりするので、きちんと管理できるようにしておこう。
創造的な思考に身を任せてみよう
時間やお金が充分にあって、気持ちにゆとりができたらぜひやつてみたいということは何だろうか。こういったものも「いつかやる/多分やる」のリストに入れてみよう。
たとえば、次のようなものが考えられるだろう。。
- 家に関して買いたいもの、作りたいもの
- 始めたい趣味
- 習得したいスキル
- 創造的な活動
- 欲しい洋服やアクセサリー
- 買いたい小道具やガジエツト
- 旅行したい場所
- 参加してみたい団体・してみたい奉仕活動・体験してみたいこと、見てみたいもの
現在のプロジェクトを再評価する
より高い視点(仕事における責任、目標、個人的なやるべきこと)からプロジェクトリストを見直し、現在のやるべきことの中で「いつかやる/多分やる」に移せるものがないかを考えてみるのもいいだろう。
数力月先まで考えてみて、今はやる余裕がないけれど、近いうちにやってみたいと思えるものもあるはずだ。
「いつかやる/多分やる」は、サブカテゴリーに分けると便利な場合もある。
時間やお金に余裕ができたらすぐに実行したい家庭内のことと、「ネパールで登山をしたい」「恵まれない子供のための基金を設立したい」などの壮大なことは同じカテゴリーで管理しなくてもいいはずだ。
このあたりは、さまざまな分け方を試してみて、その分類の仕方で気力が失せるか、それとも気力が湧き出てくるかで判断するといいだろう。
行動を検討してみたい「いつかやる・多分やる」
おそらく、「いつかやる/多分やる」に分類した興味がありそうなことの中には、何らかの行動について検討してみたいものがあるだろう。
こういったものをリストに集めてみるのもなかなか楽しい。
たとえば次のようなことだ。
- 食べたいもの、飲みたいもの、行ってみたいレストラン
- 子どもといっしょにすること
- 読みたい本
- ダウンロードする曲
- 観たい映画
- 贈り物のアイデア
- チエツクしたいウエブサイト
- 週末に旅行したい場所
- その他のアイデアーどこにも分類できないもの
このようなリストは、「資料」と「いつかやる/多分やる」の中間のようなものだ。
お勧めのワインやレストラン、本などをリストとしてまとめておいて、必要なときに見たいと思ったら「資料」だし、定期的に見直していつかやってみたいことのリマインダーとすることを考えると「いつかやる/多分やる」ことともいえる。
いずれにしても、人生に豊かさをもたらしてくれる可能性のあるものを手軽に集めて整理しておけるシステムがあれば、頭の中やデスクをすっきりした状態に保っておくのに役に立つ。
これがGTDを実践すべきもう一つの理由でもある。
あとで判断するものを積み上げない
「いつかやる/多分やる」と「あとで判断する」は大きく違う。たまに「あとで判断しよう」というものを「いつかやる/多分やるリスト」に片付けて安心している人がいる。
しかし、こういう人は、「時間ができたときにどうするか判断しよう」と自分に言い聞かせて、とりあえずそこに置いているだけだ。
このようなやり方はお勧めできない。私の経験からすると、そのような人があとで「判断」をすることはほとんどない。
「あとで判断する」に投げ入れてしまったものについては、さつさと「見極める」作業をしておくべきだ。
「@読む/評価」に回したり、「資料」としてファイリングしたり、あるいはカレンダーに記入したり、備忘録ファイル(247ページ参照)に入れたりして適切に整理し、定期的に確認していこう。
また、中には「次にとるべき行動」がまぎれ込んでいることもあるだろう。
あとで検討してみたい行動をカレンダーに記入する
カレンダーは後日検討してみたいことを記入しておくツールとしても活用できる。私が指導したほとんどの人は、カレンダーをうまく使いこなせていなかった。うまく活用できていれば、書き込めることはもっとたくさんある。
カレンダーには三つの用途があるが(77ページ参照)、その一つが特定の日に関わる情報の置き場所としての使い方だ。ある特定の日に検討したいものを書き込むことによって、そのことから頭を解放することができる。
たとえば、次のようなものがあるだろう。
- 検討してみたいプロジェクト
- 検討してみたいイベント
- 検討してみたい決断
検討してみたいプロジェクト
今は考える必要はないが、将来検討する価値があるプロジェクトは、適当な日付を選んでそこにリマインダーを置いておくといい。
時間単位ではなくて日単位のスペースに記入しよう。そしてその日が来たら、行動を起こすべきものとして「プロジェクトリスト」に入れるといい。
典型的な例を見てみよう。
ある程度、時間的な猶予があるもの(新商品の発売、資金集めのイベントなど)予算報告、年次会議、イベント、その他の会議など、ある時期が来たら準備が必要なもの(たとえば来年の営業会議の企画、子どもの新学期の準備などを、適当な時期にプロジェクトリストに入れる)誰かに対してやることがある日(誕生日、記念日、年中行事の贈り物など)
検討してみたいイベント
セミナーやカンファレンス、講演、文化的行事など、ある時期が近づいたら行くかどうか決めたいこともある。これらについては、その「時期」を決めておき、カレンダーにリマインダーとして記入しておこう。
たとえば、「明日、商工会議所の朝食会」「フットボールのチケット発売日」「気候変動に関する特集番組午後8時から」などがあるだろう。
検討してみたい決断
重要な決断の中には、今すぐ決める必要がない、あるいはまだ決めたくないものもあるかもしれない。
その決断に何らかの判断材料が必要なら、「次にとるべき行動」か「連絡待ち」リストに登録して、判断材料を入手するべきだ。
そうではないものに関しては頭の中だけで考えればいいが、まだ決断しなくて大文夫という安心感をもつには、後日また考えられるようにしておかないといけない。
カレンダーにそのリマインダーを置いておけば、その目的を達成することができる。これに該当するのはたとえば次のようなものだ。
雇用/解雇合併/買収/売却/分離転職/転身戦略転換「時期が来たときに思い出せれば、今は気にしなくてもいい決断はないだろうか」と考えてみてほしい。
そういうものがあれば、カレンダーにこの種のリマインダーを書いておこう。
備忘録ファイル
「今は行動を起こす必要はないが将来必要になるかもしれないもの」を管理するスマートな方法の一つに、この「備忘録ファイル」がある。
一種のカレンダーではあるが、将来思い出したいことのリマインダーをそのまま放り込んでおける物理的なファイルである。
将来の決まった日に自分に届けたいものを投函する私設ポストのようなものだが、とにかく便利で、私自身、何年も使ってきた。
テクノロジーの進化で、このようなリマインダーもソフトウェアやモバイル機器で簡単にデジタル化できるようになったが、アナログ式のほうが使いやすい場合も多々あるだろう。
私自身の整理システムでも、アナログ式で物理的に管理したほうがいいものがまだいくつも残っている。
「備忘録ファイル」とは要するに、紙などの実体のあるリマインダーを、将来の特定の日に確認するインボックスに入れておいて、その日が来たら″自動的クに見られるようにしておくというシンプルなシステムである。
秘書やアシスタントがいるなら、この役目をすべて(一部でもいい)任せてしまってもいいだろう(それには彼ら自身もきちんと機能するシステムを持っていなければならないが)。
具体的には次のような例が考えられる。
- 「会議の日の朝にこの議題のファイルを渡してほしい」。
- 「水曜日の会議で使うので月曜日に関係のあるファイルを渡してほしい」。
- 「香港出張の行程を計画できるように、2週間前に確認してほしい」
そして毎日、その日に該当するフォルダを出して確認していこう。
スタツフに任せられるものは任せてしまうこともできるが(実際そのほうが効率的なことも多い)、重要なポストに就いている人でも、自分だけの「備忘録ファイル」を持っていたほうがいい。
このファイルはさまざまなものに活用できるし、中にはアシスタントの手をわずらわせたくないものもあるからだ。
私の場合、出張で必要となる書類、誕生日や特別なイベントのリマインダー(カレンダーのスペースに書き込みきれないもの)、近い将来、時間があるときに検討したいことの資料を印刷したものなどを入れている。
「備忘録ファイル」に必要なのは、毎日数秒の更新作業だ。費やす労力に比べれば、その効果は絶大である。
「時期が来るまで判断しない」という判断を整理しておくためのユニークな仕組みであることは間違いない。
備忘録ファイルを作る
使うファイルは全部で43個。

そのうち31個には1から31までのラベルを貼り(日別ファイル)、残り12個には1から12までのラベルを貼る(月別ファイル)。
日別ファイルは手前に置き、明日の数字のものがいちばん前に来るようにする。
今日が10月5日なら6のファイルだ。
その後ろには7から31までのファイルを並べる。
31のファイルの後ろには、翌月(この場合11月)の月別ファイルを置き、その後ろに1から5までの日別ファイルを置く。
さらにその後ろに、12月と、1月から10月までの月別ファイルを並べる。
手前の日別ファイルに入っているものはその日が来たらインボックスに入れ、空になったファイルは日別ファイルのいちばん後ろに挿入する(この時点で10月6日ではなくてH月6日のファイルになる)。
同様に月別ファイルが手前に来たら(10月31日のファイルを空にするとH月の月別ファイルがいちばん前に来る)中身をインボックスに入れ、来年のファイルとして月別ファイルのいちばん後ろに置く。
これは永久に使うことができるファイルシステムで、常にその日から始まる31日と12ヵ月分のファイルが並ぶことになる。
「備忘録ファイル」を使うと、物理的な書類や資料をそのままリマインダーとして使えるというメリットがある。
特定の日に記入しなければならない用紙や、チェックしないといけない会議の議題、その日まで支払う必要のない請求書などを直接入れておけるわけだ。
このシステムを機能させるには、毎日更新していく必要がある。その日のファイルを空にするのを忘れると大事なものを取りこぼしてしまうので注意しよう。出張や週末などで空にできないときは、″事前に″空にしておくといいだろう。
チェックリストークリエイティブなリマインダーを作る
GTDの整理システムに関してはもう一つやっておくといいことがある。
プロジェクトや作業プロセス、関心のあること、やるべきことなどに関して、改善のためのアイデアが浮かんできたら、それらを随時まとめてチェックリストにする癖をつけておくといい。
これまでに述べてきたリストやリマインダーもある意味チェックリストではあるが(定期的に更新して見直すという意味において)、より一般的な意味でのチェックリストも必要に応じて気軽に作っていくといいだろう。
「仕事や人生で取り組んでいきたいこと」「ウェブサイトに写真をアップロードする手順」といったリストがあれば便利なこともあるはひと昔前、アルフレッド・ノース・ホヮィトヘッドは「文明は、考えずに実行できる重要なオペレーションの数を増やすことによって進歩する」と述べたが、、なるほどと納得した。チェックリストはまさにこの考え方に基づくものだ。
「年末には毎年これをする」といったチェックリストを作っておけば、新たな視点で定期的に物事を見直すことができるだろう。
また「セミナーを開催する前にすること」といつたチェックリストがあれば、ある状況下において頭で覚えきれない詳細を確認することができる。
こうした思考は、「外部の脳」、つまり必要に応じて必要なことを確認できるシステムに任せるべきなのだ。
仕事や人生において、リラックスしながら生産性を高めていくために作っておくといいチェックリストは実にたくさんある。料理本のレシピもその一種といえる。
そのとおりに進めていくことで、集中しながら生産的に作業をすすめていくことができるからだ。会社で決めた「今年の3大目標」もそうだろう。
GTDを実践するプロセスにおいても、チェックリストが活躍するケースがある。それらについて説明していこう。
忘れたくないことは何か
クライアントを指導して頭の中の「気になること」を整理してもらうと、たとえば次のようなメモが出てくる。
- 定期的に運動できるようにする
- 子どもと過ごす時間を増やす
- 部門編成について計画しておく
- チームの士気を維持する
- 会社の戦略をもっと意識する
- クライアントヘの請求手続きをスムーズにやる
- 精神修行を怠らない
- 部下の目標を尊重する
- 仕事へのモチベーションを維持できるようにする
- 社内の重要人物とのコミュニケーションを欠かさない
このように、やったほうがいいかもしれないと思っていたり、関心をもっていたりしながら、どこか曖味な感じのするものについてはどう扱うべきだろうか。
まずはプロジェクトや行動を明らかにする
こうしたものについては、まずは今までどおり、望んでいる結果(プロジェクト)と次にとるべき行動を明らかにしていこう。
ここで出てくる大部分のものにはそうした対応をしてシステムに組み入れることで解決する。
たとえば、「定期的に運動できるようにする」は、「運動メニューを決める」というプロジェクトだったり、「サリーに電話してトレーナーを紹介してもらう」という、次にとるべき行動だったりする。
「チームの士気を維持する」の場合は、「チームビルディング手法を模索する」というプロジェクトを設定し、次にとるべき行動は「人事部長にメールし、意見を求める」とすればいいだろう。
ただ、中にはこれに該当しないケースもある。その場合は、チェックリストで対応できることが多い。
仕事や責任を負っている重要な分野の青写真
こうして書き出したアイデアの中には、いますぐ具体的な行動をとる必要はないが、普段から意識しておきたい、漠然とした目標のようなものもある。
「ベストコンディションを保つ」「健康管理」などがそうだろう。
こうした日々の作業よりも高いレベルでの目標やアイデアも、チェックリストに入れておいて定期的にレビューするといいだろう。
こうした高いレベルの目標を意識し、それがどういった意味をもつかを考えることは、日々の生活において、今、何をするべきかの選択を助けてくれるはずだ。
たとえば、いちばん上のレベルに該当するのは、次のようなものだろう。
- キャリアにおける目標
- 奉仕活動
- 家族
- 人間関係
- コミュニティ
- 健康、気力
- 資金
- 表現、創作
もう一つ下のレベルに降りると、仕事で責任を負っている分野、長期的な構想について考えることになる。
たとえば次のようなものがある。
- チームのモチベーション
- 業務プロセス
- 時間管理
- スタッフの問題
- 仕事量
- コミュニケーション
- テクノロジー
こういったものを必要に応じてリストにしておき、適切な間隔で見直すことができれば、日指すべき方向がはっきりとしてきて、仕事の現場においても正しい選択ができるようになる可能性が高まるはずだ。
現状がうまくいっているという確認になるだけの場合も多いが、今の状況を知っておくだけで、よリリラックスして適切な分野に焦点が当てられるようになる。
慣れない状況ほど、より厳密な管理が必要
チェックリストや整理システムでの管理がどの程度必要かは、その責任分野にどれほど不慣れかということに関係してくるだろう。
長い間その分野に携わっており、少々の変化が起きても大丈夫という自信があれば、整理システムでの管理は最小限でいいはずだ。
いつ何をどのようにすればよいのかを心得ているからだ。だが、そうはいかない場合も多々ある。誰でも、あらかじめ定められた手順を踏まなければならなかった経験があるだろう。
たとえば金融取引における手続き、ソフトウェアを更新する手順、あるいは友人の別荘を使わせてもらつたときのチェックイン手続きなどだ。
実際にやる段になって「待てよ、どうすればいいんだっけ?」といったケースである。こうした場合に困らないようにするにはチェックリストが必要だ。
私はコンピュータやソフトウェアの知識に疎いので、専門家に困ったときの手順を教えてもらつたときは必ずリストにするようにしている。
ある状況に慣れるまでは、チェックリストを活用するとよい場合も多いだろう。
たとえばCEOが突然いなくなってしまい、あなたがすぐさま代理を務めなければならなくなったとしたらどうだろう。
基本業務がきちんと稼働するように、重要事項を記した何らかのリストを作り、必要に応じてチェックすべきだろう。
または新しい職務についたばかりで、あまり経験のない分野の責任を担うことになったとしたら、最初の数ヵ月は同じようにチェックリストが必要になるはずだ。
私の会社では新しい組織とワークフローを導入したため、スムーズに稼働するまでのサポー卜として、いくつかの重要なチェックリストを利用している。
個人的にも、コントロールが保てていると自信がもてるまで、いくつかのリストを作らなければならなかった経験がある。
たとえば、妻と共に何年も携わっていた事業を再編成することにしたとき、私はまったく経験のない分野の責任を担うことになった。
会計、IT、マーケティング、法務、管理などの分野である。
私は何ヵ月かにわたリチェックリストを利用して、やり忘れているところがないかをすべての面から確認し、軌道に乗るまでの時期をうまく乗り切ることができた。
こうしたチェックリストはその状況にある程度慣れてしまったら不要になる。もうそのリストを見なくても大丈夫、という自信をもつことができたら捨ててしまうといいだろう。
すべてのレベルでチェックリストを作る
どんなチェックリストでも、作りたいと思ったときに作ちてしまうことだ。
「人生で大事なこと」から「キャンプに持っていくもの」「クリスマスプレゼントのアイデア」まで、さまざまなものが考えられるだろう。
思いついたときにリストを作るというごく簡単な習慣が、日には見えない大きな変化を人生にもたらしてくれるはずだ。
参考までに、私がこれまで日にしてきたチェックリストをいくつか紹介してみよう。一部は私自身も使っている。
- 仕事上の責任(重要な責務となっている分野)
- 運動プログラム(筋トレ)
- 旅行用チェックリスト(旅行に先だってやっておくことや準備)
- 週次レビュー(毎週見直しを行ない、更新すべきこと)
- トレーニングプログラムの要件(裏方の作業も含め、指導しなくてはいけないこと)
- 主要なクライアント
- 連絡を絶やさないでおく人(保つておきたい人脈すべて)。
- 年末の行動(1年のまとめとして行なうすべてのこと)
- ・自己開発(自分の能力を伸ばしていくために定期的に見直したいこと)
- ・ジョークのネタ思いつきでも、じっくり練ったものでもいい。
さまざまなチェックリストを自分のものにしていこう。好きなときに作って、不要になったら捨てることを習慣にするといい。
新しいチェックリストを簡単に入れておけるような場所を作っておけば生活も楽しくなってくるはずだ。ルーズリーフを使ってもいいし、デジタルの管理ツールを使ってもいい。
チェックリストをうまく活用することができれば、ストレスなく高い生産性を発揮できるようになるはずだ。
すでにあなたは仕事と人生における「気になること」をすべて「把握」し、それらの意味と必要な行動を「見極め」、信頼できるシステムにそれらを「整理」した。
あなたのシステムには、あなたが現在抱えている「プロジェクト」と「いつかやる/多分やる」ことが、大きなものから小さなものまですべて収まっているはずだ。
次章では、ストレスフリーの整理術を実現するための次のステップ、「更新する」を見ていこう。
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