気になることすべてを「把握する」作業が終わったら、インボックスを「見極める」作業に移ろう。
「インボックスを見極めて空にする」というのは、その中にあるプロジェクトや、しなくてはならない行動をその場ですべて完了させるという意味ではない。
それぞれについて分析し、どういう性質のものか、何をしたらいいかを見極めるということだ。
左ページのフローチャートを見てもらうと、このステップの概要がつかみやすいだろう。

このチャートの中心部が「見極める」ステップとなる。
また、このチャートの周辺部は次章で説明する一整理する」ステップであることにも注意してもらいたい。
この章では、フローチャートの中心部にある、インボックスから「次にとるべき行動」までの流れを解説していこう。
インボックスで把握された「気になること」をこのとおりに見極めていけば、「整理」が自然とできていくことがよくわかるだろう。
たとえば、インボックスから一つ取り出したときに、「アンドレアに連絡事項。彼女が出社する月曜日に電話」と書かれていたとしよう。
これについては「あとでやる」に分類されるとすぐわかるので、カレンダーの月曜日の欄に書き込むことになる。
このように「見極める」作業と「整理する」作業は綿密にむすびついているので、インボックスの見極めにとりかかる前に、本章と「整理する」ステップを扱った次章を先に読むといいだろう。
そうでないと二度手間になるものが出てきてしまうからだ。
クライアントを指導しているときも、「見極める」ステップにおける判断の作業と、実際に整理システムに組み込むための「整理する」作業との間で行ったり来たりするケースは必ず出てくる。
リマインダーのシステムとして、どんなツールを使うべきかを迷っている人もいるかもしれないが、あまり深刻に考えることはない。
最初は紙に書くだけのアナログな方法でも、全然かまわない。システムさえ動きはじめてしまえば、いつでも好きなときに高度なツールに切り替えていくことができるからだ。
「見極める」ステップでの指針
「見極める」作業を習得するいちばんの近道は、実際にやってみることだ。ただし、守るべきルールがいくつかある。
- いちばん上のものから見極めていく
- 一度に1件ずつやる
- インボックスに戻さない
いちばん上のものから見極めていく
いちばん上がどうでもいい郵便物で、そのすぐ下に大統領からの私信があったとしても、一番上から始めることだ。まあこれは冗談だが、「すべてを平等に見極めていく」のがこのステップの絶対原則である。
闇雲に時間をかければいいというものではない。必要なのは内容を吟味し、どんな行動が必要かを判断することだけだ。一つ残らず「見極める」作業を行ない、インボックスをできるだけ早く空にすることが目的になる。
見極める作業では緊急性を考えない
ほとんどの人は、インボックスやメールの受信箱を見極めるときに、緊急性の高そうなものや面白そうなものから手をつけようとする。
もちろん、そのほうがいいこともあるし、私自身もそうすることはある。ミーティングから帰ってきて、あと15分で長い電話会議が始まるようなときがそうだ。
恥をかきたくないので、クライアントからのメールをチェックしておかないといけないからである。
しかし、インボックスの見極めは、あくまで上から1件ずつやっていくのが基本だ。このルールを守らないと、見極めたいものだけが恣意的な順序で処理され、必ず放置されるものが出てきてしまう。
そうなるとこのシステムの機能性が失われ、せつかくインボックスに入れたものがデスクやその周辺に逆戻りしたり、メールが受信箱に残りつづけたりする。
多くの人が緊急性に目を奪われてしまいがちなので気をつけよう。
入れた順番にやるか、最後に入れたものからやるか
普通に考えれば、インボックスに入れた順で見極めていくのが筋だろう。しかし、それにはインボックスをひっくり返さないといけない。結論から言うと、どちらでもたいして違いはない。
要は一定時間内にすべての見極めが済めばいいのである。
ただ、メールに関しては、新しいものからやっていつたほうが効率的だ。やりとりを重ねたあとの最新の結論が書かれているし、まだ結論が出ていないメールに返信してしまうという事態を避けることができるからだ。
一度に1件が原則
インボックスを処理していると、手に取ったものをどう見極めるべきか迷ってしまい、ふと奥にあるものに気づいてそちらを先にやってしまいたくなることがある。
たとえば、それについてとるべき行動がはっきりしていて、一瞬で見極められるものを見つけた場合などだ。しかし、これには気をつけないといけない。
「見極める」ステップで、処理が簡単なものや重要そうなもの、面白そうなものを優先させてしまうと、先に手にしていたものをデスクの横に置いてしまいたくなるからだ。
ほとんどの人はインボックスの中身をすべて取り出し、めぼしいものから手をつけようとする。大きなものを先に片付けたいという気持ちはわからないではない。
しかし私の指導では、いちばん上にあったもの以外はすべて戻させるようにしている。
そうすることで、「見極める」作業に必要な集中力と判断力が持続し、途中で邪魔が入った場合でも(実際によくある)、インボックスの中身が散乱した状態で席をたつのを避けられるからだ。
マルチタスクが許されるケース
一度に1件という原則には例外がある。人によっては、1件に絞ると考え込んでしまう場合があるのだ。そういう人の場合、2件または3件を一緒に見極めてもらう。
すると、それぞれに必要となる行動の判断がラクになり、時間が短縮されることもある。ただし、これはあくまで例外である。
複数の「気になること」を同時に見極めていても、すべての判断を1分ないし2分以内に行なうようにしよう。
インボックスに戻さない
インボックスからの流れは一方通行でなくてはならない。そこから取り出したものについてどうすべきか悩み、もとに戻してしまわないようにしよう。
それについて必要となる行動と、どこに分類すべきかをその場で判断し、絶対にインボックスに戻してはならないのだ。
最近の認知科学では、「選択をするたびに脳がすこしずつ疲れていく」ということがわかってきた。
「インボックスから取り出したけどもとに戻してしまおう」という選択自体にも脳のエネルギーが必要になってくる。
どちらにしても脳のエネルギーを消費するのだったら、きちんとその場で判断を下していくほうが賢明だし、効率的だろう。
「見極める」作業のポイントー「次にとるべき行動は何か」
一度に1件という原則はおわかりいただけたと思うが、その1件1件について、次にとるべき行動を決定していかなければならない。
一見簡単そうだが(実際慣れてくれば簡単である)、これをやるには集中して頭をすばやく回転させる必要がある。行動が自明ではないものも多く、それらについては何をすべきかを考えなければならないからだ。
あなたが最初に手にしたものは、誰かに電話をかける必要があるものだろうか。何かを書いたり、インターネットで情報収集したり、何かを買ってこないといけないものだろうか。秘書に話したり上司にメールしたりするものもあるだろう。それらの行動がわかれば、次の選択肢もわかってくる。
しかし、何もする必要がないものだったときは、どうすればよいだろうか。
行動の必要がないとき
インボックスの中には、行動を起こす必要のないものが一定量混じっているはずだ。
これらは次の三つのタイプに分かれる。
- ゴミ
- 保留にするもの
- 資料
ゴミ
これまでの説明どおりにやってきた人は、すでに大量のゴミを捨てているはずだ。しかしインボックスを見てみると、それでもまだ必要のないものもたくさん入っているのが普通だ。
このステップで捨てるものがたくさん出てきても驚く必要はない。
身の回りにあるすべてのものを「見極める」作業をしていると、やるべきことと、やるべきでないことの違いを意識できるようになる。
ある財団の理事は実際に見極めてみて、永遠に返信することのないメールを何千通も溜め込んでいたことに気がついた。
今では、GTDのおかげで「済んでいないことのダイエット」ができたと喜んでいる。「見極める」作業をしていると、これはとっておくべきか迷うものも出てくる。これらについては、次のいずれかの方針を決めておくといい。
- 迷ったときは捨てる。
- 迷ったときはとつておく。
- どちらでもかまわない。
いずれの方針を選んでもうまくいくはずだ。家やオフィスのスペースを考慮しつつ、直感で判断すればいい。
それまでのシステムが不完全だったせいで迷ってしまう人は多いが、行動が必要なものとそうでないものの区別ができて、整理システムがきちんと機能していれば、モノはいくらでも保管しておける。
あとは物理的なスペースと出し入れの問題だ。
デジタルにしてもアナログにしても、どれくらいのスペースなら使ちてもよいと思えるだろうか?・それを考えればよい。
それぞれについてどれだけ保管しておくべきなのかは専門家に聞けばよい場合もあるだろう。特定の会計書類をいつまで保管しておけばいいかは公認会計士が教えてくれる。
ポイントは、行動が必要なものとそうでないものをきっちり区別することだ。
行動する必要がないことがはっきりわかつたら、あとは個人的な好みや保管スペース、出し入れのしやすさを考慮しながら判断すればよい。
デジタル領域においては、事態はやや複雑だ。
パソコンやクラウドの容量が飛躍的に増えつづける現代では、好きなものを好きなだけとっておけるスペースがある。検索機能も進化しつづけている。
ただ、デジタルデータの場合、深く考えずに保存してしまうことも多いので、活用されないままのデータが増えつづける可能性が非常に高い。
データが膨大な量になってしまい、重要な仕事に有効活用できなくなってしまうのだ。こうした状態に陥らないためには、定期的に中身を確認して古い情報を処分することだ。
また、インボックスに入れる段階で「これは本当にとっておく必要があるだろうか」「これは本当に役に立つだろうか」「必要になったときにはネットで見られるだろうか」と、より意識的に考えるといいだろう。
保留
インボックスの中には、「今は何もする必要がないが、あとで行動する必要が出てくるかもしれない」というものもあるはずだ。
いくつか例を挙げてみよう。
・商工会議所からの講演案内。
興味はあるが、講演は2週間後で、その日には出張に出ているかもしれないので行けるかわからない。
・3週間後の役員会の議題を書いた紙。
前日に目を通しておく以外、とくに行動すべきことはな・愛用しているソフトウェアのアップグレードのお知らせ。新しいバージョンが必要かどうかよくわからない。1週間くらい考えてみたほうがよさそうだ。
・来年度の年次営業会議で提案してみたいこと。
現時点で行動の必要はないが、会議が迫ってきたら見直してみたい。
・行ってみたい水彩画教室に関するメモ。
今のところは習いにいく時間はとうていとれないのだが、、、
これらには次の二つの選択肢がある。
- 「いつかやる/多分やるリスト」に加える。
- カレンダーに記入するか、備忘録ファイルに入れる。
保留の目的は、とりあえずそれを頭の中から追い出して、リマインダーを設定しておくことで「時期が来れば思い出せる」という安心感を得ることにある。
これについては次章の「整理する」で詳しく解説していこう。
今のところは付箋紙に「いつかやるかも」「10月17日に再チェック」などと書いて、あとで選別するために「保留」のトレイに入れておくといいだろう。
資料
インボックスからは、それについて行動を起こす必要はないものの、いつか何かの役に立ちそうな参考情報の類もたくさん出てくる。
インボックスや受信箱を見極めていく作業で、とっておきたいものやあとで参照したいものが出てきたら、どんどん資料としてファイルしていくといただ、くどいようだが、60秒以内で楽しく整理ができて、座ったままで手が届くようなファイリングシステムがないとGTDはうまく機能しない。
仕事の現場で気軽にファイリングができないと整理せずに積み上げてしまい、見極める作業もどんどん面倒になっていく。
資料としてとっておきたいものが出てきたときは、必要ならばラベルをつけて、さっさとファイリングシステムに入れてしまおう。
秘書がいるなら、指示を書いた付箋紙をつけてその作業を任せてもいい。
私がGTDの指導を始めた当初は、ひとまず「あとで資料ファイルに入れるもの」としてどこかに積んでおくよう指示していたが、今ではもう勧めていない。その場でシステムに入れないと放置される可能性が高いとわかったからだ。
今やらなければ、あとでやることはまずないと思ったほうがいい。資料としてとっておきたいデジタルデータに関してはさまざまな選択肢がある。
あとで必要になつたときに読みたいメールの場合、メールソフトの保存フオルダの利用をお勧めする。
多くの人は、行動を起こす必要のない雑多なメールを受信箱に入れたままにしており、整理されない書類棚のような状態で放置している。
これではシステムがうまく機能しない。テーマやトピック、人物、プロジェクトごとのフオルダを必要に応じてさっと作り、その場でメールを入れられるようにしたいものだ。
とつておきたい添付文書、メールの内容、写真や画像などは、自分に合った整理方法を確立しておくとよい。
最近では、複数のデバイスからアクセスできる便利なアプリが数多く登場している。こういったアプリは種類が豊富にあるだけでなく、バージョンアップも頻繁に行なわれるため、これが最善だという絶対的なものはない。
各自でいろいろと試してみて、どれが最適かを判断すべきだ。そして、定期的にデータを確認して整理し、必要なときに最新の情報がすぐに使える状態にしておくといいだろう。
行動の必要があるとき
インボックスから取り出したものが、行動を起こす必要があるものだった場合はどうすべきだろうか。ここがGTDのいちばんの醍醐味とも言えるだろう。この場合、どんな行動をとるべきなのか睦はっきりさせなければならない。
もう一度説明しておこう。
「次にとるべき行動」とは、現状を望んでいる結果に近づけるために必要な、日に見える物理的な行動である。これを決めるのは簡単でもあり難しくもある。「次にとるべき行動」は、たいていすぐに思い浮かぶはずだ。
しかし、ちよつと分析してみないとそれが正しい行動かどうかわかりにくいことも多い。一見単純に見えるものであってもだ。実際の例で見ていくとわかりやすいだろう。
- ガレージの片付け。
- 確定申告
- 〈本一峨
- 友人の誕生目
- プレスリリース
- 人事評価
- 管理体制の変更
これらのタスクやプロジェクトは一見明快に思えるが、ちゃんと考えないと次にとるべき行動を見極めることができない。
ガレージの片付けこれは簡単だ。中に入って片付けるだけでいい……。ん?待てよ、大きな冷蔵庫があったな。あれを最初に何とかしないと。
ジョンがキャンプで使いたがるかもしれないから聞いておいたほうがいいな。
﹇次にとるべき行動﹈←ガレージの冷蔵庫が欲しいかジョンに電話して聞く次は何だろう。
。確定申告何々財団の収益の報告書がないと無理だな。あれがないと先に進まない。
﹇次にとるべき行動﹈←財団の収益報告書を待つよし、次だっ
会議
サンドラがプレスリリースの資料を作成するのか聞いておかないと。
﹇次にとるべき行動﹈←サンドラにメールしてプレスリリースの資料のことを聞く
と、こんな具合だ。
「ジョンに電話する」「報告書を待つ」「サンドラにメールする」などの具体的な行動を、インボックスの中にある行動が必要なものすべてに対して決めていこう。
行動ステップは、次にとるべき物理的な行動でなければならない
目に見える物理的な行動、という点がポイントだ。
「会議をセツティングする」で、会議に関して次にとるべき行動が決まったと思い込んでしまう人は多い。
しかし、これは物理的な行動にはなっていない。問題はどうセッティングするかだ。最初にとるべき行動は、電話やメールかもしれない。もちろん相手も決まっていないといけない。それらをその場で決めることだ。
今やらなくてもいつかは決めなければならないし、そもそも私たちがここでやろうとしているのは、それらについて考えずに済むようにすることなのだ。
次にとるべき物理的な行動を決めておかないと、そのことが意識にのぼってくるたびにもやもやした気持ちになり、ますます行動から遠ざかってしまう。
すべての行動についての分析が済んでいれば、やるべきことがわかっているので、電話やパソコンの前に来たときに、すみやかに行動に移すことができる。
「次にとるべき行動は……これについて何をするかを決めることだ」という考えが浮かんできた人もいるかもしれない。
これには気をつけるべきだ。「決断」は、物理的行動とは呼べない。ただ、「決断」に至るための物理的な行動は必ず存在する。
その99%は、判断をするために必要な情報の収集だ。
「スーザンに電話して意見を聞いてみる」のような受け身の行動に限らず、「新しい組織についてアイデアを出してみる」のように自分自身で導き出す行為もこれに含まれる。
いずれにしても、次の具体的な行動を決めない限り、プロジェクトが前に進んでいくことはない。
行動ステップが決まったら
次にとるべき具体的な行動が決まつたら、あなたの選択肢は次の三つのどれかになる。
- 実行する(2分以内にできるとき)。
- 誰かに任せる(ほかにふさわしい人がいるとき)。
- あとでやる(すぐに実行できなくて人にも頼めないものは、行動の選択肢の一つとして整理システムに移しておく)。
実行する
「次にとるべき行動」が2分以内にできることなら、その場でやってしまおう。
たとえば、30秒以内に読んで返事することができるメモがあったときは、即座に実行しよう。1分か2分でカタログをチェックできるときは、目を通して捨てるなり、人に渡すかなりしてしまおう。
そのカタログから買いたい物があるなと思えば「資料」として保管しておけばいい。
何かのプロジェクトの「次にとるべき行動」が、留守電に簡単なメッセージを残すというものなら、今すぐやってしまおう。優先順位が高いものでなくても、いつか行動するつもりならここでやってしまうことだ。
2分以内という基準を設けているのは、2分以内でできるならその場でやってしまうほうが、整理したあとにやるより時間を節約できる可能性が高いからだ。要するに効率の問題だ。
行動する価値のないものは迷わず捨てて、行動が必要でいつかやるつもりのものは、効率を基準にして今やるかどうかを判断していこう。
この「2分ルール」が習慣になると、あなたの生産性は劇的に向上する。
あるクライアントは、このルールのおかげで自分で使える時間が1日あたり1時間も増えたと喜んでいた。
彼は毎日何百通ものメールを受け取るハイテク企業の幹部で、平日のほとんどの時間を会社の目標達成のために費やしていた。
メールの多くは部下からの報告で、把握しておかないといけないものだったり、彼の返事や許可がないと前に進まなかったりするものだった。
しかし、本人はより大きな目標について考えていたため、受信箱のメールを「あとで読む」に分類し、何百通も溜まってから週末にまとめて処理していた。
26歳の若者なら、そういう無理も利くだろう。しかし、彼は30代で、小さな子どもたちもいる。週末に仕事をやるのはそろそろ限界だった。
私が指導したとき、彼の受信箱には800通を超えるメールが溜まっていた。大半は捨てられるもので、残りのかなりの部分は資料としてファイリングした。
また、2分で行動できるものも多く、それらについてはその場でどんどん実行していった。1年後に彼と話してみると、彼は私の教えたことをきちんと守りつづけていた。
メールの受信箱は、常に1画面以内に収まっていた。メールに対応するまでの時間が劇的に短くなったおかげで、担当部門のワークフローそのものまで大きく変わったという。
これはかなり劇的な効果があった例の一つだが、シンプルな「見極める」習慣を身につけるだけでも、これだけ大きな変化が出てくる。
とくに、毎日大量の「やるべきこと」が入ってくる人ほど、驚くほどの効果が期待できる。2分というのはあくまで目安にすぎない。
インボックスの見極めにもっと時間を割ける人なら、5分や10分に設定してもいい。インボックスをすみやかに空にして午後のスケジュールについて考えたいときは、1分や30秒に短縮することもできる。
このステップに慣れるまでは、何度か時間を測ってみてもいいだろう。2分で終わると思っていたらそうでもなかった、ということもある。
たとえば、誰かに電話で伝えることがあつたとしよう。
留守電ならすぐに済むかもしれないが、本人が出た場合は2分を大きく超えてしまうことも少なくない。2分でできる行動はシステムに移す必要はない。その場で実行して終わりだ。
ただ、その行動が終わっても望んでいる結果が得られなかった場合、さらに次の行動を明らかにし、同じように見極める作業を進めていこう。
インボックスを「見極める」ステップでは、ぜひ2分ルールを実践してみてほしい。2分でで」ド憐r動が憶外に」多い‐ことに驚くだろう。
重要なプロジェクトの場合でも、2分で完了する行動は結構あるものだ。私のクライアントの中には「長々と放置されていた雑務が一掃されてすつきりしました」と喜ぶ人も実に多い。
誰かに任せる
「次にとるべき行動」が2分以上かかる場合は、自分でやるのがベストかどうかを考えてみよう。答えがノーなら、ほかに適任の人や部署に回すといい。任せるのは部下だけとは限らない。カスタマーサービスなどの別部署や上司、共同経営者などに引き継ぐケースもあるはずだ。
人に任せるときの物理的な行動には次のようなものがある。
- メールを送る。
- メモを書いて渡す。
- テキストメッセージかボイスメールを送る。
- 今度会ったときに話すという予定をリストに加えておく。
- 直接会って話すか、電話、テキストメッセージ、インスタントメッセージで伝える。
どのやり方でも用は足りるが、右から順に検討していくといいだろう。通常はメールがシステムにもっとも速く組み込まれるし、電子的な記録も残る。受け取った側が自分の都合に合わせて対応できるのもメリットの一つだ。
同様にメモもすぐにシステムに組み入れることができるし、物理的なリマインダーとしても利用できる。また、メモもメールと同じく、受け取った人は自分の都合にあわせて対応することができる。
テキストメッセージやボイスメールも実用的で、多くのプロフェッショナルが常時活用している。
ただし、これについては送った側も受け取った側もそれを覚えておく必要があるし、言ったことが正確に伝わらないこともある。テキストメッセージは文字数が少なくなりがちで、解読が難しいケースも多いので注意が必要だ。
その次の選択肢は、今伝えるかわりに予定表に書き込んだり、その人と次に会うときに使うファイルにリマインダーを入れておく、というものだ。
デリケートな問題や突っ込んだ内容のときはこの方法でないとまずいこともあるが、その日が来るまで待たなければならないのが難点である。最後の選択肢は、直接会って話すか電話で伝えるパターンだ。
これは自分も相手も今やっていることを一時中断しないといけないのであまり望ましくない。すぐには伝わるものの、お互いのワークフローが滞る上、紙の記録が残らないというデメリットもある。
人に任せたことの記録をとる
ほかの人に引き継いだ行動の結果を知るには、そのことを覚えておく必要がある。次の「整理する」の章で説明する「連絡待ちリスト」がこれにあたる。このリストをどこで管理するかは人によって違うだろう。
システム手帳のリストに書き込むなり、紙のファイルに1枚ずつ書くなり、ソフトウェアの「連絡待ちリスト」に入れるなり、そのうち自分なりのやり方が固まってくるはずだ。
信頼できるシステムがまだ完成していない人は、とりあえず紙に「ボブからの連絡待ち」などと書いて、「保留」のスペースに置いておこう。ほかの人に引き継ぐものについては、必ず日付を書くようにしよう。
整理システムの中でも、とくに日付が重要となるのがこのカテゴリーだ。
「3月12日に指示したはずだ」といつたように、あとで確認したくなるケースが出てくるので、日付を書くことをぜひとも習慣にしてもらいたい。
あとでやる
インボックスの見極めで明らかになった「次にとるべき行動」のほとんどは自分自身がやるべきもので、なおかつ、2分以上かかるものだろう。
顧客への電話や、内容に一考を要するメール、兄に贈るプレゼントの購入、ネットからダウンロードして試す必要のあるソフト、配偶者と相談したほうがいい娘の進学問題などだ。
これらの行動についてはカテゴリー別に分類し、必要なときに参照できるようにしておかないといけない。
とりあえず今は必要な行動を紙に書いて「保留」のスペースに積んでおこう。
この章の説明どおりにやってきた人は、大量のゴミを捨て、たくさんのファイルを作り、2分でできる行動が片付き、多くのことを人に引き継いだはずだ。
一方で、特定の日や不特定の日に自分でやる行動と、ほかの人からの連絡を待つためのリストなども出てきただろう。
こうした「誰かに任せる」ものや「あとでやる」ものは、「保留」のトレイにとりあえず分けておいたはずだ。これらについては、適切なかたちでシステムに組み込んでいくことになる。このあたりは次の「整理する」の章で具体的に説明していこう。
現在抱えている「プロジェクト」を知る
インボックスを空にする最後のステップは、個々の行動を「プロジェクト」という、より大きな視点でとらえることである。
本書で言う「プロジェクト」とは、達成するのに一つ以上の行動ステップが必要なもので、なおかつ1年以内に達成できる事柄のことである。
あなたが明らかにした「次にとるべき行動」を眺めてみてほしい。
「車の防犯アラームのことでフランクに電話する」「会議の資料に関して同僚にメールする」のように、それに関してより大きな目的があるものがたくさんあるはずだ。
車のアラームはフランクに電話すればそれで終わりというわけではない。同僚にメールしたあとも、会議に関していろいろとやることがあるだろう。
私が「プロジェクト」という言葉を広い意味で用いる理由もそこにある。
行動ステップを完了しても「やるべきこと」が終わらないときは、まだ行動が残っていることを示す目印を残しておかなければならない。
それが「プロジェクトリスト」だ。
具体的には、「休日にパーティを開く」「一部のソフトウェア生産ラインを売却する」「報酬体系を決める」といつたものである。このリストは、優先順位を判別するためのものではない。
「済んでいないこと」をすこし上の視点から見渡し、すべてを把握しておくためのものだ。
プロジェクトのリストを作るのは、インボックスを「見極める」作業のときでも、「次にとるべき行動」のリストを作成したあとでもかまわない。
いずれにしても、いつかは作って管理していく必要がある。このリストを確認することで、今自分がどの場所にいるか、どこに向かっていきたいのかが見えてくる。
さて、「整理する」準備はできただろうか。いつでもオーケーという人は、さっそく次章に進んでほしい。
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