第6章決済にかかわる書類
- ①貿易取引の決済方法とは
- ②送金決済とは
- ③D/P決済とD/A決済とは
- ④D/P決済とD/A決済の為替手形
- ⑤L/C決済とは
- ⑥L/C決済の流れ
- ⑦L/C決済の為替手形
- ⑧信用状の記載項目
- ⑨信用状の種類
- ⑩ディスクレパンシーとは
第6章決済にかかわる書類
貿易取引の決済の種類
貿易取引の決済方法には、銀行を経由した為替を利用する方法と、銀行を経由せずに輸出入者間で相殺する「ネッティング」という方法に大別されます。
為替のしくみには、輸入者が銀行に送金手続きを行う「送金決済」と、輸出者が銀行に代金の取り立てを依頼する「荷為替手形決済」があります。
送金決済は、送金依頼という為替手段と資金の流れが同方向であることから「並為替」または「順為替」と呼ばれます。
荷為替手形決済は、荷為替手形によって取り立てを依頼するという為替手段で、資金の流れが逆方向なので「逆為替」と呼ばれます。
①送金決済の特徴送金決済(並為替)は、銀行手数料が比較的安いメリットはありますが、船積書類と代金決済の間に関連性がありません。
したがって送金決済は、支払いや船積履行で信頼できる企業間での決済方法として主に用いられています。
現在は、スイフト(→第6章②)を使った電信送金が利用されています。
②荷為替手形決済の特徴荷為替手形決済(逆為替)は、為替手形(B/E:BillofExchange)と船積書類を銀行経由で輸入者に送り、為替手形の決済と引き換えに船積書類を引き渡す方法です。
この方法は船積みと決済が関連付けられているため、貿易取引の決済として広く用いられています。
荷為替手形決済には、D/P決済、D/A決済、L/C決済の方法があります。
③ネッティングによる相殺決済の特徴近年は、債権と債務を相殺して決済するネッティングもグループ企業間の決済方法として定着しています。
ネッティングは、銀行手数料の節約や為替リスクの回避として有効な決済方法です。
送金決済のしくみと流れ送金決済(Remittance)では、輸入者は送金の「依頼人」、輸出者は「受取人」、送金を行う銀行を「仕向銀行」、受けた送金金額を受取人に支払う銀行を「被仕向銀行」とそれぞれ呼びます。
送金決済は、仕向銀行から被仕向銀行への支払指図をスイフト*と呼ばれる銀行間の通信システムを使って送る「電信送金」(TelegraphicTransfer)で行われます。
スイフトは、金融機関の間に通信サービスを提供する国際銀行間通信協会で、本部はベルギーにあります。
・電信送金の流れ①輸出者は、輸入者に請求書を送って支払いを指示します。
代金の前払いか後払いかなどの送金時期は、契約時の取り決めに従います。
②輸入者は、送金金額を仕向銀行に支払い、輸出者への送金を依頼します。
「送金依頼書」には、送金金額、受取人の名前と住所、被仕向銀行の名称と住所などを記載します。
③仕向銀行は、受取人への支払指図をスイフトで被仕向銀行に伝えます。
受取人への支払いは即日です。
*スイフト:SWIFT(SocietyforWorldwideInterbankFinancialTelecommunication)
D/P決済とD/A決済のしくみD/P(DocumentsagainstPayment)決済とD/A(DocumentsagainstAcceptance)決済では、輸出者を「手形振出人」、輸出者から取立依頼を受けた銀行を「仕向銀行」、仕向銀行とコルレス契約*をもち輸入者に代金の取り立てを行う銀行を「取立銀行」と呼びます。
輸出者が振り出す為替手形の名宛人は「輸入者」、支払先は「仕向銀行」、支払条件がD/P決済の場合は「一覧払条件」(AtSight)、D/A決済の場合は「期限付き条件」(ユーザンス付)になります。
D/P決済とD/A決済の流れ①輸出者は船積みの完了後、作成した為替手形に船荷証券やインボイスなどの船積書類を添付して「荷為替手形」を用意し、それを銀行に持ち込んで代金の取り立てを依頼します。
②仕向銀行は、荷為替手形を輸入地にあるコルレス契約先の取立銀行に送り、輸入者からの取り立てを依頼します。
③輸入地の取立銀行は為替手形の名宛人である輸入者に荷為替手形を呈示し、手形決済を求めます。
④D/P決済の場合、輸入者が手形代金の銀行支払いと引き換えに、銀行は船積書類を引き渡します。
D/A決済の場合、輸入者は手形の引き受けと引き換えに、銀行は船積書類を引き渡します。
⑤輸入者は、入手した船積書類を用いて輸入通関手続きをした後、船会社や航空会社から商品を引き取ります。
⑥取立銀行は、輸入者からの支払いを受けた後、仕向銀行との銀行間決済を行い、仕向銀行から輸出者に代金が支払われます。
D/A決済の場合、輸出者は手形満期日まで代金回収を待つことになります。
⑦輸出者は仕向銀行から代金を受け取ります。
*コルレス契約:CorrespondentAgreement
為替手形のしくみ為替手形(B/E:BillofExchange)は「振出人」(Drawer)が「名宛人」(Drawee)に対して、「受取人」(Payee)に為替金額の支払いを指示する指示書です。
D/P決済とD/A決済の場合は、債権者である輸出者が「振出人」、債務者である輸入者が「名宛人」、輸出者から代金取立の委託を受けた仕向銀行、あるいは貿易保険(輸出手形保険)が付保された手形の買い取りに応じた買取銀行が「受取人」として記載されます。
為替手形には、振出人、名宛人、受取人、手形番号、手形金額(数字と文字の両方)、振出地と振出日、手形支払期限の他、インボイス番号などが記載されます。
D/P決済とD/A決済の為替手形D/P決済の場合、手形の支払条件は「一覧払い」(AtSight)で作成されます。
取立銀行は、「一覧払荷為替手形」を輸入者が決済して支払うことと引き換えに、船積書類を輸入者に渡します。
D/A決済の場合、手形の支払条件は「期限付き*」(ユーザンス付)で作成されます。
取立銀行は、「期限付荷為替手形」を輸入者が引き受けることと引き換えに、船積書類を輸入者に渡します。
支払期限には、「一覧後XX日」(XXdaysaftersight)といった方法があります。
手形の引き受けとは、満期日の支払いを約束することで、手形の裏面に引受文言、引受日、手形満期日を記入し、署名します。
取立統一規則D/P決済とD/A決済の取立業務を円滑に進めるため、国際商業会議所(InternationalChamberofCommerce)は「ICC取立統一規則」(URC522)を策定しています。
*手形期限:UsanceまたはTenorという。
L/C決済のしくみD/P決済とD/A決済では、輸出者が支払いを受けられるかどうかは、輸入者が実際に手形を決済するまでわからず、代金回収の成否は輸入者の信頼性だけにかかっています。
これに対して、輸入者の取引銀行が輸出者に荷為替手形の決済を保証するしくみが「信用状付荷為替手形決済」で、「L/C決済」(L/C:LetterofCredit)と呼ばれています。
信用状(→第6章⑧)とは、輸入者の依頼にもとづいて銀行が輸出者宛てに発行する支払確約書のことで、信用状の記載条件と合致する書類が添付された為替手形の支払いを、銀行が確約するものです。
信用状取引では、輸入者は「発行依頼人」(Applicant)、発行する銀行は「発行銀行」(OpeningBank)または「開設銀行」(IssuingBank)、輸出者を「受益者」(Beneficiary)、発行銀行の指示を受けて輸出者に信用状を通知する銀行を「通知銀行」(AdvisingBank)と呼びます。
また、信用状に確認を加えた銀行を「確認銀行」(ConfirmingBank)と呼びます。
手形の買い取り信用状の条件を満たした荷為替手形は、発行銀行の支払確約があるため、輸出地の銀行で買い取りを行ってもらえるので、輸出者は船積みの後すぐに代金を回収することができます。
手形を買い取る銀行は、「買取銀行」(NegotiatingBank)と呼びます。
信用状には、買取銀行を指定するか、どの銀行でも買い取りを行うことができるかの条件も記載されています(→第6章⑨)。
L/C決済の決済手順①輸入者は、あらかじめ取引銀行と信用状発行にかかわる信用状取引約定書を結び、輸出者との売買契約の締結後に信用状の発行を申し込みます。
発行依頼書には、売買契約で合意した商品、金額、船積条件、要求する船積書類などを記載します。
②輸入地の発行銀行は、輸出地にある通知銀行を経由して信用状を輸出者に送付します。
信用状は、銀行間の通信システムであるスイフト(→第6章②)を経由して送付されるか、あるいはレターで郵送されます。
③通知銀行は、輸出者に信用状を通知して送付します。
④輸出者は、信用状が契約内容と合致しているかどうかを確認し、合致していれば船積みを行って船荷証券を入手します。
相違点がある場合は、輸入者に信用状の訂正(アメンドメント:Amendment)を依頼します。
⑤輸出者は、船積みを完了した後、船荷証券やインボイスなどの船積書類をそろえ、為替手形を振り出して、信用状の条件に合致する荷為替手形を買取銀行に持ち込み、買い取りを依頼して代金を受け取ります。
⑥買取銀行は、輸出者に代金を支払った後、荷為替手形を発行銀行に送付し、銀行間の決済をします。
⑦輸入者は、発行銀行との決済を行い、船積書類を入手します。
⑧輸入者は、入手した船積書類を用いて輸入通関の手続きをした後に、船会社から商品を引き取ります。
L/C決済の為替手形のしくみL/C決済の場合に輸出者が作成する「為替手形」(B/E:BillofExchange)では、「振出人」の欄には「輸出者」、「名宛人」には「信用状発行銀行」、「受取人」には「買取銀行」が記載されます。
また為替手形には、振出人、名宛人、受取人、手形番号、手形金額(数字と文字の両方)、振出地と振出日、手形支払期限、インボイス番号などの一般記載事項の他、信用状番号、信用状日付、発行銀行、発行依頼者などの信用状に関する情報が記載されます。
L/C決済の手形の支払条件は、「一覧払い」(AtSight)と「期限付き」(ユーザンス付)のどちらの場合もあります。
一覧払いの場合、輸出者は手形買取時に代金を受け取ります。
期限付きの場合は、満期日までの金利を割り引いた代金を受け取ります。
信用状統一規則と信用状の原則信用状統一規則は、国際商業会議所(ICC→第1章⑦、第6章④)が策定した信用状の用語や解釈にかかわるルールで、最新版はUCP600のコード名が付けられています。
信用状統一規則では、信用状の原則を次のとおり定めています。
①独立抽象性の原則信用状は、売買契約にもとづいて発行されますが、発行された後は信用状の条件によってのみ取引されると規定しています。
②書類取引の原則銀行は書類のみで信用状条件を満たしているかどうかを判断すると規定しているため、銀行は書類と現物が一致しているかどうかを確認する責任を求められてはいません。
信用状の役割輸入者は、売買契約の内容に従って信用状の開設を銀行に依頼します。
信用状を受け取った輸出者(受益者)は、信用状に記載されている条件が輸入者との売買契約内容と合致しているか、また要求書類に矛盾がないかを点検します。
受け取った信用状に売買契約と相違点があった場合、ただちに輸出者は輸入者に信用状の訂正(アメンドメント)を依頼します(→第6章⑩)。
信用状の記載項目信用状の主な記載項目と点検事項は、次のとおりです。
・信用状の開設依頼者と受益者の確認・信用状の金額が十分にあるか・信用状の有効期限は十分に余裕があるか・買取銀行は指定されているか・為替手形の支払条件(一覧払いか期限付きか)・商品と数量・価格と取引条件・輸送手段、船積港と仕向港・船積期限・分割船積みの許可または不許可・途中積み替えの許可または不許可・船荷証券の条件(通常は「CleanOnBoardB/L」が要求される)
・保険証券の条件・要求される書類と部数(インボイス、パッキングリスト、原産地証明書、その他要求されている書類や部数に矛盾がないか、確認する)・その他の条件が記載されている場合は対応できるかどうか
いろいろある信用状①取消不能信用状取消不能信用状(IrrevocableCredit)とは、当事者(発行銀行、依頼者、受益者、もしあれば確認銀行)全員の同意がなければ、発行後に変更や取り消しのできない信用状のことです。
最新版のUCP600では、信用状はすべて取消不能と規定されています。
②確認信用状確認信用状(ConfirmedCredit)とは、信用力の弱い発行銀行や送金にカントリーリスクのある国の銀行が発行する信用状に対して、他の信用力のある銀行が支払保証を加えた信用状のことです。
③リストリクト信用状とオープン信用状荷為替手形の買取銀行が指定されている信用状が「リストリクト信用状」(RestrictedCredit)、指定がない信用状が「オープン信用状」(OpenCredit)です。
輸出者としては、自社の取引銀行で買い取りができるオープン信用状のほうが便利です。
④譲渡可能信用状譲渡可能信用状(TransferableCredit)とは、受益者が信用状の使用権の全部または一部を他社に対して、1回に限り譲渡できる信用状のことです。
⑤回転信用状回転信用状(RevolvingCredit)とは、荷為替手形の買い取りにより減少した信用状の金額を一定条件のもと、自動的に更新させるオートチャージ方式の信用状のことで、継続的な船積みを行う取引先の場合に用いられます。
ディスクレパンシー輸出者が船積みを完了して買取銀行に荷為替手形を呈示した際、その添付書類の文面に信用状の条件と一致しない箇所があった場合、その箇所をディスクレと呼びます。
信用状統一規則は、書類取引の原則により書類文面上の厳格一致を要求しているので、単純なタイプミスや船荷証券の軽微なリマークなどもすべてディスクレの対象となります。
①アメンド依頼アメンド(Amendment)依頼とは、信用状の訂正を輸入者に依頼することです。
船積みの実行段階で、船積予定本船の遅れなどでディスクレの発生が予期された場合、輸出者はできるだけ早く輸入者に信用状のアメンド依頼を出し、銀行買取時点でのディスクレ回避に努めます。
信用状の訂正には、輸入者、発行銀行、もしあれば確認銀行の同意が必要であり、輸入者に変更手数料が発生します。
②ケーブルネゴケーブルネゴ(CableNegotiation)は、輸出者の依頼を受けて、買取銀行が発行銀行にディスクレの内容をもとに電信で買い取りの可否を問い合わせ、発行銀行の承諾を得たうえで、荷為替手形を買い取る方法です。
信用状のアメンド手続きを行う時間的余裕が残されていない場合の手段として用いられます。
③L/GネゴL/Gネゴ(LetterofGuaranteeNegotiation)は、輸出者が買取銀行に「発行銀行が手形支払いを拒否した場合は手形の買い戻しに応じる」という主旨の念書を差し入れて、ディスクレを抱えたままの荷為替手形の買い取りを行う方法です。
この方法では、信用状の本来の機能である発行銀行の支払確約は喪失しています。
第6章決済にかかわる書類
貿易取引の決済の種類
貿易取引の決済方法には、銀行を経由した為替を利用する方法と、銀行を経由せずに輸出入者間で相殺する「ネッティング」という方法に大別されます。
為替のしくみには、輸入者が銀行に送金手続きを行う「送金決済」と、輸出者が銀行に代金の取り立てを依頼する「荷為替手形決済」があります。
送金決済は、送金依頼という為替手段と資金の流れが同方向であることから「並為替」または「順為替」と呼ばれます。
荷為替手形決済は、荷為替手形によって取り立てを依頼するという為替手段で、資金の流れが逆方向なので「逆為替」と呼ばれます。
①送金決済の特徴送金決済(並為替)は、銀行手数料が比較的安いメリットはありますが、船積書類と代金決済の間に関連性がありません。
したがって送金決済は、支払いや船積履行で信頼できる企業間での決済方法として主に用いられています。
現在は、スイフト(→第6章②)を使った電信送金が利用されています。
②荷為替手形決済の特徴荷為替手形決済(逆為替)は、為替手形(B/E:BillofExchange)と船積書類を銀行経由で輸入者に送り、為替手形の決済と引き換えに船積書類を引き渡す方法です。
この方法は船積みと決済が関連付けられているため、貿易取引の決済として広く用いられています。
荷為替手形決済には、D/P決済、D/A決済、L/C決済の方法があります。
③ネッティングによる相殺決済の特徴近年は、債権と債務を相殺して決済するネッティングもグループ企業間の決済方法として定着しています。
ネッティングは、銀行手数料の節約や為替リスクの回避として有効な決済方法です。
送金決済のしくみと流れ送金決済(Remittance)では、輸入者は送金の「依頼人」、輸出者は「受取人」、送金を行う銀行を「仕向銀行」、受けた送金金額を受取人に支払う銀行を「被仕向銀行」とそれぞれ呼びます。
送金決済は、仕向銀行から被仕向銀行への支払指図をスイフト*と呼ばれる銀行間の通信システムを使って送る「電信送金」(TelegraphicTransfer)で行われます。
スイフトは、金融機関の間に通信サービスを提供する国際銀行間通信協会で、本部はベルギーにあります。
・電信送金の流れ①輸出者は、輸入者に請求書を送って支払いを指示します。
代金の前払いか後払いかなどの送金時期は、契約時の取り決めに従います。
②輸入者は、送金金額を仕向銀行に支払い、輸出者への送金を依頼します。
「送金依頼書」には、送金金額、受取人の名前と住所、被仕向銀行の名称と住所などを記載します。
③仕向銀行は、受取人への支払指図をスイフトで被仕向銀行に伝えます。
受取人への支払いは即日です。
*スイフト:SWIFT(SocietyforWorldwideInterbankFinancialTelecommunication)
D/P決済とD/A決済のしくみD/P(DocumentsagainstPayment)決済とD/A(DocumentsagainstAcceptance)決済では、輸出者を「手形振出人」、輸出者から取立依頼を受けた銀行を「仕向銀行」、仕向銀行とコルレス契約*をもち輸入者に代金の取り立てを行う銀行を「取立銀行」と呼びます。
輸出者が振り出す為替手形の名宛人は「輸入者」、支払先は「仕向銀行」、支払条件がD/P決済の場合は「一覧払条件」(AtSight)、D/A決済の場合は「期限付き条件」(ユーザンス付)になります。
D/P決済とD/A決済の流れ①輸出者は船積みの完了後、作成した為替手形に船荷証券やインボイスなどの船積書類を添付して「荷為替手形」を用意し、それを銀行に持ち込んで代金の取り立てを依頼します。
②仕向銀行は、荷為替手形を輸入地にあるコルレス契約先の取立銀行に送り、輸入者からの取り立てを依頼します。
③輸入地の取立銀行は為替手形の名宛人である輸入者に荷為替手形を呈示し、手形決済を求めます。
④D/P決済の場合、輸入者が手形代金の銀行支払いと引き換えに、銀行は船積書類を引き渡します。
D/A決済の場合、輸入者は手形の引き受けと引き換えに、銀行は船積書類を引き渡します。
⑤輸入者は、入手した船積書類を用いて輸入通関手続きをした後、船会社や航空会社から商品を引き取ります。
⑥取立銀行は、輸入者からの支払いを受けた後、仕向銀行との銀行間決済を行い、仕向銀行から輸出者に代金が支払われます。
D/A決済の場合、輸出者は手形満期日まで代金回収を待つことになります。
⑦輸出者は仕向銀行から代金を受け取ります。
*コルレス契約:CorrespondentAgreement
為替手形のしくみ為替手形(B/E:BillofExchange)は「振出人」(Drawer)が「名宛人」(Drawee)に対して、「受取人」(Payee)に為替金額の支払いを指示する指示書です。
D/P決済とD/A決済の場合は、債権者である輸出者が「振出人」、債務者である輸入者が「名宛人」、輸出者から代金取立の委託を受けた仕向銀行、あるいは貿易保険(輸出手形保険)が付保された手形の買い取りに応じた買取銀行が「受取人」として記載されます。
為替手形には、振出人、名宛人、受取人、手形番号、手形金額(数字と文字の両方)、振出地と振出日、手形支払期限の他、インボイス番号などが記載されます。
D/P決済とD/A決済の為替手形D/P決済の場合、手形の支払条件は「一覧払い」(AtSight)で作成されます。
取立銀行は、「一覧払荷為替手形」を輸入者が決済して支払うことと引き換えに、船積書類を輸入者に渡します。
D/A決済の場合、手形の支払条件は「期限付き*」(ユーザンス付)で作成されます。
取立銀行は、「期限付荷為替手形」を輸入者が引き受けることと引き換えに、船積書類を輸入者に渡します。
支払期限には、「一覧後XX日」(XXdaysaftersight)といった方法があります。
手形の引き受けとは、満期日の支払いを約束することで、手形の裏面に引受文言、引受日、手形満期日を記入し、署名します。
取立統一規則D/P決済とD/A決済の取立業務を円滑に進めるため、国際商業会議所(InternationalChamberofCommerce)は「ICC取立統一規則」(URC522)を策定しています。
*手形期限:UsanceまたはTenorという。
L/C決済のしくみD/P決済とD/A決済では、輸出者が支払いを受けられるかどうかは、輸入者が実際に手形を決済するまでわからず、代金回収の成否は輸入者の信頼性だけにかかっています。
これに対して、輸入者の取引銀行が輸出者に荷為替手形の決済を保証するしくみが「信用状付荷為替手形決済」で、「L/C決済」(L/C:LetterofCredit)と呼ばれています。
信用状(→第6章⑧)とは、輸入者の依頼にもとづいて銀行が輸出者宛てに発行する支払確約書のことで、信用状の記載条件と合致する書類が添付された為替手形の支払いを、銀行が確約するものです。
信用状取引では、輸入者は「発行依頼人」(Applicant)、発行する銀行は「発行銀行」(OpeningBank)または「開設銀行」(IssuingBank)、輸出者を「受益者」(Beneficiary)、発行銀行の指示を受けて輸出者に信用状を通知する銀行を「通知銀行」(AdvisingBank)と呼びます。
また、信用状に確認を加えた銀行を「確認銀行」(ConfirmingBank)と呼びます。
手形の買い取り信用状の条件を満たした荷為替手形は、発行銀行の支払確約があるため、輸出地の銀行で買い取りを行ってもらえるので、輸出者は船積みの後すぐに代金を回収することができます。
手形を買い取る銀行は、「買取銀行」(NegotiatingBank)と呼びます。
信用状には、買取銀行を指定するか、どの銀行でも買い取りを行うことができるかの条件も記載されています(→第6章⑨)。
L/C決済の決済手順①輸入者は、あらかじめ取引銀行と信用状発行にかかわる信用状取引約定書を結び、輸出者との売買契約の締結後に信用状の発行を申し込みます。
発行依頼書には、売買契約で合意した商品、金額、船積条件、要求する船積書類などを記載します。
②輸入地の発行銀行は、輸出地にある通知銀行を経由して信用状を輸出者に送付します。
信用状は、銀行間の通信システムであるスイフト(→第6章②)を経由して送付されるか、あるいはレターで郵送されます。
③通知銀行は、輸出者に信用状を通知して送付します。
④輸出者は、信用状が契約内容と合致しているかどうかを確認し、合致していれば船積みを行って船荷証券を入手します。
相違点がある場合は、輸入者に信用状の訂正(アメンドメント:Amendment)を依頼します。
⑤輸出者は、船積みを完了した後、船荷証券やインボイスなどの船積書類をそろえ、為替手形を振り出して、信用状の条件に合致する荷為替手形を買取銀行に持ち込み、買い取りを依頼して代金を受け取ります。
⑥買取銀行は、輸出者に代金を支払った後、荷為替手形を発行銀行に送付し、銀行間の決済をします。
⑦輸入者は、発行銀行との決済を行い、船積書類を入手します。
⑧輸入者は、入手した船積書類を用いて輸入通関の手続きをした後に、船会社から商品を引き取ります。
L/C決済の為替手形のしくみL/C決済の場合に輸出者が作成する「為替手形」(B/E:BillofExchange)では、「振出人」の欄には「輸出者」、「名宛人」には「信用状発行銀行」、「受取人」には「買取銀行」が記載されます。
また為替手形には、振出人、名宛人、受取人、手形番号、手形金額(数字と文字の両方)、振出地と振出日、手形支払期限、インボイス番号などの一般記載事項の他、信用状番号、信用状日付、発行銀行、発行依頼者などの信用状に関する情報が記載されます。
L/C決済の手形の支払条件は、「一覧払い」(AtSight)と「期限付き」(ユーザンス付)のどちらの場合もあります。
一覧払いの場合、輸出者は手形買取時に代金を受け取ります。
期限付きの場合は、満期日までの金利を割り引いた代金を受け取ります。
信用状統一規則と信用状の原則信用状統一規則は、国際商業会議所(ICC→第1章⑦、第6章④)が策定した信用状の用語や解釈にかかわるルールで、最新版はUCP600のコード名が付けられています。
信用状統一規則では、信用状の原則を次のとおり定めています。
①独立抽象性の原則信用状は、売買契約にもとづいて発行されますが、発行された後は信用状の条件によってのみ取引されると規定しています。
②書類取引の原則銀行は書類のみで信用状条件を満たしているかどうかを判断すると規定しているため、銀行は書類と現物が一致しているかどうかを確認する責任を求められてはいません。
信用状の役割輸入者は、売買契約の内容に従って信用状の開設を銀行に依頼します。
信用状を受け取った輸出者(受益者)は、信用状に記載されている条件が輸入者との売買契約内容と合致しているか、また要求書類に矛盾がないかを点検します。
受け取った信用状に売買契約と相違点があった場合、ただちに輸出者は輸入者に信用状の訂正(アメンドメント)を依頼します(→第6章⑩)。
信用状の記載項目信用状の主な記載項目と点検事項は、次のとおりです。
・信用状の開設依頼者と受益者の確認・信用状の金額が十分にあるか・信用状の有効期限は十分に余裕があるか・買取銀行は指定されているか・為替手形の支払条件(一覧払いか期限付きか)・商品と数量・価格と取引条件・輸送手段、船積港と仕向港・船積期限・分割船積みの許可または不許可・途中積み替えの許可または不許可・船荷証券の条件(通常は「CleanOnBoardB/L」が要求される)
・保険証券の条件・要求される書類と部数(インボイス、パッキングリスト、原産地証明書、その他要求されている書類や部数に矛盾がないか、確認する)・その他の条件が記載されている場合は対応できるかどうか
いろいろある信用状①取消不能信用状取消不能信用状(IrrevocableCredit)とは、当事者(発行銀行、依頼者、受益者、もしあれば確認銀行)全員の同意がなければ、発行後に変更や取り消しのできない信用状のことです。
最新版のUCP600では、信用状はすべて取消不能と規定されています。
②確認信用状確認信用状(ConfirmedCredit)とは、信用力の弱い発行銀行や送金にカントリーリスクのある国の銀行が発行する信用状に対して、他の信用力のある銀行が支払保証を加えた信用状のことです。
③リストリクト信用状とオープン信用状荷為替手形の買取銀行が指定されている信用状が「リストリクト信用状」(RestrictedCredit)、指定がない信用状が「オープン信用状」(OpenCredit)です。
輸出者としては、自社の取引銀行で買い取りができるオープン信用状のほうが便利です。
④譲渡可能信用状譲渡可能信用状(TransferableCredit)とは、受益者が信用状の使用権の全部または一部を他社に対して、1回に限り譲渡できる信用状のことです。
⑤回転信用状回転信用状(RevolvingCredit)とは、荷為替手形の買い取りにより減少した信用状の金額を一定条件のもと、自動的に更新させるオートチャージ方式の信用状のことで、継続的な船積みを行う取引先の場合に用いられます。
ディスクレパンシー輸出者が船積みを完了して買取銀行に荷為替手形を呈示した際、その添付書類の文面に信用状の条件と一致しない箇所があった場合、その箇所をディスクレと呼びます。
信用状統一規則は、書類取引の原則により書類文面上の厳格一致を要求しているので、単純なタイプミスや船荷証券の軽微なリマークなどもすべてディスクレの対象となります。
①アメンド依頼アメンド(Amendment)依頼とは、信用状の訂正を輸入者に依頼することです。
船積みの実行段階で、船積予定本船の遅れなどでディスクレの発生が予期された場合、輸出者はできるだけ早く輸入者に信用状のアメンド依頼を出し、銀行買取時点でのディスクレ回避に努めます。
信用状の訂正には、輸入者、発行銀行、もしあれば確認銀行の同意が必要であり、輸入者に変更手数料が発生します。
②ケーブルネゴケーブルネゴ(CableNegotiation)は、輸出者の依頼を受けて、買取銀行が発行銀行にディスクレの内容をもとに電信で買い取りの可否を問い合わせ、発行銀行の承諾を得たうえで、荷為替手形を買い取る方法です。
信用状のアメンド手続きを行う時間的余裕が残されていない場合の手段として用いられます。
③L/GネゴL/Gネゴ(LetterofGuaranteeNegotiation)は、輸出者が買取銀行に「発行銀行が手形支払いを拒否した場合は手形の買い戻しに応じる」という主旨の念書を差し入れて、ディスクレを抱えたままの荷為替手形の買い取りを行う方法です。
この方法では、信用状の本来の機能である発行銀行の支払確約は喪失しています。
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