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第5章通関にかかわる書類

目次

第5章通関にかかわる書類

  • ①通関手続きとは
  • ②輸出通関の船積依頼書とは
  • ③輸出許可取得の流れ
  • ④特別な輸出通関手続きとは
  • ⑤輸入許可取得の流れ
  • ⑥関税評価制度とは
  • ⑦関税率のしくみ
  • ⑧特別な輸入通関手続きとは
  • ⑨AEO制度とは

第5章通関にかかわる書類

通関手続きと税関システム

貿易貨物を輸出入するには、税関に輸出入の申告を行い、税関による書類審査と、税関の判断によって現物検査を受けた後、輸出入許可を得る通関手続きをする必要があります。

通関手続きは輸出入者自らが行うこともできますが、一般的には通関関連法規や諸手続きに精通している通関業者に業務を委託する、代理申告の方法が採られています。

日本の税関での通関手続きは、ナックス(NACCS)と呼ばれる税関システムによって処理が行われます。

ナックスは、税関と通関業者、輸出入者、船会社、航空会社、銀行、海貨業者などの関係者をつなぐネットワークシステムを利用して、輸出入通関や行政機関の許認可の手続き、船積指図の登録、関税納付などを効率的に処理しています。

ナックスは、「輸出入・港湾関連情報処理システム」(NipponAutomatedCargoAndPortConsolidatedSystem)の略称です。

通関業者と海貨業者通関業者(CustomsBroker)は、通関業法にもとづいて税関長の許可を得た業者で、事務所に通関士を配置し、委託者の申告内容を精査したうえで、税関への申告を代行します。

通関業者は事務所の端末からナックスシステムにアクセスして通関手続きを行います。

多くの通関業者は、港湾地区での荷捌きを行う海貨業者も兼業しているので、輸出者は貨物の搬入、通関、船積みの一連の港湾地区での作業をまとめて海貨・通関業者に委託して、効率よく船積み作業などに対応しています。

船積依頼書船積依頼書(S/I:ShippingInstruction)は、輸出者が海貨・通関業者宛てに出す業務指示書で、通関と船積みを的確に行うための情報を記載します。

主な指示内容としては、次の項目があります。

①契約に関する情報輸出者、輸入者、商品名、数量、重量、価格、取引条件などです。

②船積みに関する情報船積予定本船、船積港、船積予定日、貨物の搬入場所、仕向地など。

③書類作成に関する情報船荷証券の記載事項(受荷主、到着案内送付先、運賃記載方法など)。

輸出者は、船積依頼書とインボイス、パッキングリスト、および輸出規制品目の場合は関係省庁から取得した輸出許可・承認証(E/L)など、輸出通関に必要な書類を海貨・通関業者に送付します。

S/I情報はナックスのACL業務によるデータ送信も行われ、下流に位置するB/IにもB/L情報が共有されます。

輸出申告を行う場所税関への輸出申告は、従来は保税地域に貨物を搬入した後に行うのが原則でしたが、関税法改正(平成23年)により、保税地域搬入前にできるようになりました。

ただしその後、税関検査を受けたり輸出許可を得るために、貨物をCYなどの保税地域に搬入する必要があります。

一般的に利用されている保税地域には、コンテナヤード(CY)やコンテナフレートステイション(CFS)、船会社の保税上屋、海貨・通関業者が港湾地区に所有する保税倉庫、フォワーダーの保税倉庫、航空会社の貨物ターミナルなどがあります。

輸出申告から許可までの基本的な流れ①海貨・通関業者は、輸出者から受け取った船積依頼書やインボイスの情報から輸出申告に必要な項目をナックスの端末に入力して、税関に輸出申告(E/D:ExportDeclaration)をします。

②税関はナックスの端末から入力された申告データを審査し、「1.簡易審査」「2.書類検査」「3.現物検査」の区分判定を行います。

この判定結果は、申告後すぐにナックスの端末で確認できます。

③区分判定が「1.簡易審査」の場合は、その時点で輸出通関手続きは完了し、輸出許可通知書(E/P:ExportPermit)はナックスの端末から出力できます。

海貨・通関業者は、輸出許可通知書にインボイスと他の必要添付書類を添付して期日内に税関に提出します。

④区分判定が「2.書類審査」の場合、海貨・通関業者は端末に出力される輸出申告の控えに、インボイスなどの必要書類を添付して税関に提出し、書類審査を受けます。

税関は、書類審査を実施した後、輸出許可あるいは現物検査実施の判定を行います。

⑤区分判定が「3.現物検査」の場合は、書類審査と現物検査が行われます。

どの判定の場合も、税関の許可後に、輸出許可通知書がシステム端末に送られます。

⑥海貨・通関業者は、輸出許可通知書を印刷して輸出者に送付します。

輸出許可通知書(E/P)に記載される主要事項は、次のとおりです(→次図)。

・税関に関する情報……申告税関、申告日、申告番号など。

・輸出者や輸入者に関する情報……名前、住所など。

・商品に関する情報……商品名、数量、重量、価格など。

・輸送に関する情報……海上か航空の区別、本船(航空便)名。

・許認可に関する情報……輸出承認証番号(→第3章②)など。

保税地域外などでの輸出通関輸出申告は、CYなどの保税地域搬入前に行うこともできますが、必要な税関検査や輸出許可は貨物を保税地域に搬入後に行われるのが原則です。

ただし、税関長の許可を得て次のように保税地域外でも検査を受けたり輸出許可を得られる制度が設けられています。

①他所蔵置巨大重量物や危険品など、保税地域への搬入が不適当を判断される貨物に適用され、保税地域外において指定地外検査を受け輸出許可を得ることができる制度です。

②本船扱い・艀中扱いバラ貨物などをはしけ輸送で本船に横付けして直接本船に積み込む場合に、はしけ上あるいは本船積込後に本船上で必要な検査を受けて輸出許可を得ることができる制度です。

保税運送保税運送(TransportationinBond)とは、輸出通関済みの貨物を他の保税地域に回送する際に必要な手続きで、陸路保税運送(OLT:OverlandTransportation)、空路保税運送、海路保税運送、あるいはその組み合わせで行われます。

特定輸出申告特定輸出申告とは、貨物を保税地域に搬入することなく輸出申告ができて、許可も下りる制度です。

ただし、この申告制度は、コンプライアンスに優れた輸出者として、税関から認定を受けた特定輸出者が利用できるものです(→第5章⑨)。

輸入申告から許可までの基本的な流れ①海貨・通関業者は、輸入者から受け取ったインボイス、船荷証券のコピー、運賃や保険料明細書などから、輸入申告に必要な事項をナックスの端末に入力して、税関への輸入申告(I/D:ImportDeclaration)をします。

②税関は入力された申告データをシステムで審査し、「1.簡易審査」「2.書類検査」「3.現物検査」の区分判定を行います。

この判定結果は、申告後すぐにナックスの端末で確認できます。

③区分判定が「1.簡易審査」の場合は、輸入者が関税などの納税を行えば輸入通関は完了し、輸入許可通知書(I/P:ImportPermit)はナックスの端末から出力できます。

輸入者が銀行自動引き落としや納期限延長の納税手続きを事前にしていれば、輸入許可はすぐに出されます。

海貨・通関業者は、輸入許可通知書にインボイスなどの通関書類を添付して、税関に指定期日内に提出します。

④区分判定が「2.書類審査」の場合、海貨・通関業者は輸入申告控えにインボイスなどの必要書類を添付して税関に提出し、書類審査を受けます。

税関は、書類審査を実施した後、輸入許可あるいは現物検査実施の判定を行います。

⑤区分判定が、「3.現物検査」の場合は、書類審査と現物検査が行われます。

どの判定の場合も、審査が通って納税を完了したら、輸入許可通知書がナックスの端末から出力できます。

⑥海貨・通関業者は、ナックスの端末上で出力された輸入許可通知書をプリントアウトし、輸入者に送付します(→次図)。

関税評価のしくみ関税評価とは、課税価格を法令に従って算出することです。

輸入する商品に課せられる関税は、課税価格(輸入商品の価格)に関税率を乗じて算出することができます。

日本の場合、課税価格は輸入港到着価格、すなわちCIF価格またはCIP価格が原則となっています。

したがって、例えばFOB契約など他の取引条件で輸入した場合は、インボイス上の取引価格には含まれていない運賃と保険料を加算して、課税価格を算出します。

関税評価は加算するだけでなく、輸入港到着後の内陸輸送費など日本国内で発生した費用が減額されるなど、減算されることもあります。

評価申告のしくみ関税評価に際して、インボイスや運賃と保険の明細書などの添付書類で簡潔に説明できない加算・減算要素がある場合、例えば輸入者が無償で提供した材料や別途支払った手数料など本来その商品の価格に含まれているべき費用がある場合は、税関に評価申告書を提出して、加算・減算要素を申告します。

評価申告には、輸入申告ごとに行う「個別申告」と、継続的な取引の場合に一定期間適用を受ける「包括申告」があります。

関税評価の事前教示制度輸入を予定している商品の関税評価の方法に不明点があれば、税関の解釈を事前に文書で照会すれば回答をもらえる「事前教示制度」があります。

輸入者はこの制度を利用することで、原価計算の精度を上げることができます。

関税率の見方日本の関税率は、税関のHPに掲載されている実行関税率表で閲覧できます。

実行関税率表は、次のサンプル表のように縦軸に品名と税表番号、横軸に関税の種類が記載されています。

貿易取引で取り扱われる商品は、H.S.条約(1988年発効の商品分類に関する条約で、H.S.はHarmonizedSystemの略)と呼ばれる国際条約により、10桁の数字で表示され、最初の6桁が世界共通の番号、下4桁は各国の裁量で自由に使用できます。

日本の税表番号(税番)は、H.S.Code番号6桁に続いて3桁の細分番号を追加して作成されています。

10桁目はNACCSで使用しています。

関税率の種類日本の関税率は、国内法で定められた「国定税率」と、条約で定められた「協定税率」に分類されます。

国定税率には、長期的に適用される「基本税率」、一時的に適用される「暫定税率」、開発途上国からの輸入品に適用される「特恵税率」があります。

協定税率には、WTO協定にもとづく税率と、EPA(経済連携協定)にもとづく税率があります。

適用される優先順位は、①特恵税率、②協定税率、③暫定税率、④基本税率の順となっています。

関税率の事前教示制度輸入を予定している商品が、関税率表のどの番号に該当するか、またどの関税率が適用されるかなどについては、事前に税関に照会することができる「事前教示制度」があります。

輸入者は、この制度を利用して事前に税率を確認しておくと、原価計算の精度を上げるとともに、輸入申告時の税関審査を円滑に進めることができます。

予備審査制度予備審査制度とは、貨物が日本に到着する前に税関へ輸入申告書類を提出して書類審査を受ける制度のことで、貨物到着後の税関検査の要否通知を事前に受け取ることができます。

生鮮食料品や正月用品など納期や商機が限られている商品の場合、輸入者はこの制度を利用して引き取りの準備を効率よく進めています。

輸入許可前引取承認制度輸入許可前引取承認制度(BP:BeforePermit)は、税関長の承認のもと、税関の輸入許可前に貨物を引き取ることのできる制度で、関税額に相当する担保の提供を前提としています。

この制度の適用が認められるのは、危険物や変質のおそれのある商品で貨物を保税地域に留めておくことが適切でないと認められる貨物や、荷揚げ後に数量を確定する契約の商品など、貨物の到着時点では課税価格が確定していない契約の商品に限られます。

3カ月以内に輸入者が本申告(IBP:ImportPermitofTheGoodsDeliveredBeforePermit)を行って関税を納付した後に、輸入許可が下ります。

納期限延長制度輸入申告時に税関に納付する関税や消費税の支払い業務の簡便化として、納期限延長制度が設けられています。

納期限延長制度は、税額に相当する担保を税関に提出することを前提条件として、関税や消費税の納付を一定期間猶予する制度で、個々の申告ごとに延納する「個別延長方式」、1カ月間の申告をまとめて延納する「包括延長方式」、特例輸入者(→第5章⑨)に適用される「特例延長方式」の3種類の方法があります。

AEO制度のしくみ税関は、貨物のセキュリティ管理と貿易コンプライアンス社内体制が整備されている企業を、AEO(AuthorizedEconomicOperator)事業者として認定し、輸出入通関手続きに優遇措置を与える「特定輸出者制度」と「特例輸入者制度」を設けています。

特定輸出者制度では、特定輸出申告の貨物は、保税地域に搬入する前に輸出通関手続きを行うことができ、また税関審査も優遇されるので、リードタイムの短縮などができるようになります。

特例輸入者制度では、特例輸入者は貨物の到着前に輸入通関手続きを行い、納税申告を通関と分離して後日行うことができます。

これにより、貨物を迅速に引き取ることができるようになります。

認定の手続き「特定輸出者」や「特例輸入者」の認定は、あらかじめ税関に申請書を提出し、審査を受けて取得します。

審査内容は、安全保障貿易管理や通関管理に関する社内体制と規則の整備、貨物の管理状況、帳簿の保管、コンプライアンス社内教育、監査体制など多岐にわたります。

認定されているAEO事業者は、税関のHPで閲覧できます。

その他のAEO事業者認定税関によるAEO事業者認定は、輸出入者だけでなく、通関業者、倉庫業者、運送業者、および製造業者にも拡充されており、「認定通関業者制度」「特定保税運送者制度」「特定保税承認者制度」「認定製造者制度」が設けられています。

 

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