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第2章 「心が喜ぶ仕事」を見つける自己分析

目次

03「好きなことを仕事に」の勘違い

❶好きなことに「かかわる」仕事を探す

ここからは、仕事選びで陥りやすい失敗を題材に、自己分析を進めていきます。

一番多い失敗は、「好きなことにかかわる仕事」を探すこと。

好きなことにかかわる仕事を探すと次のような2つのミスが起こりえます。

  1. ①好きなことを仕事にするのは難しいとあきらめてしまう
  2. ②好きなことにかかわる仕事に就いたのに、ストレスの多い毎日となってしまう

それぞれの例を見ていきましょう。

「好きなことを仕事にするのは難しい」とあきらめた瑞穂さん

プロのサッカー選手を目指していた瑞穂さんは、けがをしてプロを断念。

その後、サッカーにかかわる仕事を探しはじめたところ、瑞穂さんの頭の中は、ポジティブな言葉とネガティブな言葉が交互に出てきました。

★中学校や高校で、サッカー部の顧問になってコーチができたら楽しいな

いや、今から教員採用試験の勉強をするのは大変だ。教員になれたとしても、サッカー部の顧問ができるとは限らないし。ほかにサッカーにかかわる仕事はないかな?

★スポーツジャーナリストという仕事はおもしろそう。サッカー選手を応援したり、サッカーのすばらしさを伝えたりできるぞ待てよ。新聞社もテレビ局も人気業界で難関だ。そもそも文章を書くのはあまり得意ではないから無理だろう。

★じゃあ、スポーツメーカーだ!

サッカーのユニフォームやスパイクづくりで選手を支えられるぞOB訪問で話を聞くと、営業職はすべての商品を取り扱うらしい。サッカー以外の商品がボクに売れるかな?

★サッカー場のグラウンド整備の仕事で求人があったなんだか、わくわくしない。

……好きなことを仕事にするのは難しいなあ。仕事は仕事で探して、サッカーは休日に楽しんでストレス発散するか。

こうして瑞穂さんは「好きなことを仕事にするのは難しい」とサッカーにかかわる仕事を探すのをあきらめてしまいました。

好きなことを仕事にしたのにストレスだった豊さん

学生時代にバンド活動をしていた豊さんは、音楽が大好きでレコード会社に就職しました。無名のバンドを見つけてプロデュースする仕事です。

「好きな音楽にかかわっていたら幸せ。才能のある人を世に出すのはやりがいがあるだろう」と思っていました。

しかし、仕事になれてきたころ、満たされていない自分に気づきます。今の仕事は自分が本当に求めているものなんだろうか……。

転職すべきか我慢して続けるべきか悩んで、天職コンサルティングにいらっしゃいました。豊さんはバンド・音楽のどんなところに喜びを感じていたのでしょうか。

作曲して音をつくり込んでいく作業が好きで、音づくりに入ると1週間スタジオにこもることもありました。

そして自分がつくった曲で聴いた人の気持ちが癒やされたり、生活が華やいだりするのが喜びでした。

大好きな音楽にかかわるレコード会社で喜びを感じられなかったのは、「集中してつくり込む」ことも「自分の曲で人を癒やす」こともできなかったからですね。

好きなことにかかわるからといって、好きな仕事だとは限らないのです。

本当に「好きな仕事」を見つけるには

好きなことを仕事にするために大切なのは、それを好きだと思う「理由」を考えることです。好きなスポーツ、趣味、教科、よく買っているもの、好きな本、人……。

あなたはそれのどこに魅力を感じているのでしょうか?サッカーが大好きだという2人に、「サッカーの魅力は何ですか?」と聞いてみました。

この2人の〝好きの理由〟に、心が喜ぶ仕事を見つけるカギがあります。

【Aさん】練習をすればするだけ上達していくのがおもしろいんですよ。難しい技を新たに身につけていくのは、なんとも言えない達成感があります。それを試合でも使えたら、さらに嬉しいです。

【Bさん】僕のやりがいは、試合に勝つという共通の目標に向かって、チームのみんなと協力することです。仲間と一緒だからがんばれる。意見のぶつかりあいを乗り越えて、一体感を得られる瞬間がたまらないんです。

2人ともサッカーが大好きですが、サッカーに魅力を感じる理由は違っていました。この2人の「好きの理由」から読み解けることがあります。

Aさんは、新しい技をマスターすること、そしてマスターした技を活用できることが、達成感であり喜びです。

仕事も新しい技術を身につけ、それを使えたと成長を実感できるものであれば、充実感を味わえるでしょう。

Bさんの喜びは、チームのメンバーとの一体感ですね。「仲間と団結して同じ目標に向かう」という働き方を選ぶのがよさそうです。

コメントからは、仲よしクラブ的な仲間ではなく、真剣に本音でぶつかりあえる仲間を求めているようですね。

こんなふうに、好きなことを魅力に感じる「理由」を考えていくと、本当に好きだと思える仕事に近づいていきます。

では、好きなことの「理由」を『なぜなぜマップ』で掘り下げましょう。

04喜びの源泉を見つける『なぜなぜマップ』をつくろう

前項の「好きなことの理由」を詳しく考えるために、『なぜなぜマップ』をつくってみましょう。

なぜなぜマップとは、3つの質問で好きなことを掘り下げていき、〝喜びの源泉〟を見つけることができる自己分析ワークです。

あなたにとって宝の地図になること間違いなしです。

『なぜなぜマップ』のつくり方

シート②『なぜなぜマップ』に書き込みましょう!

ステップ1真ん中のハートの中に、『心が喜ぶことリスト』〔*〕で書き出した好きなことや好きなものを1つ選んで書き込んでください。

選ぶものは、趣味でも、仕事でも、勉強でも何でもかまいません。

ステップ2好きなことのまわりに、その魅力やおもしろさを具体的に書いてみましょう。

「なぜ、それが好きなの?」「なぜ、そう感じるの?」「それを魅力だと思うのはどうして?」「どうしてそんなに夢中になったんだろう」答えに対しても、さらに「なぜ?」「なぜ?」を繰り返します。

少しでも「好き」「幸せ」「楽しい」「おもしろい」「うれしい」と思う理由は、何でも書き出してくださいね。

ステップ3ちょっと行き詰まったら、「具体的には?」という質問をはさんでみましょう。

「その魅力をもっと具体的に言うと、どういうこと?」「その喜びを感じるのは、具体的に、どんなときだろう?」「どんなことを考えながらしている?」頭の中に浮かぶ具体的な言葉を書き出してみてください。

書き出した具体的な内容について、再び「なぜ?」と繰り返し、深めていきます。

ステップ4発想を広げる質問、「ほかには?」も活用しましょう。

「ほかに魅力はないかな?」「ほかにどんな楽しみがあるだろうか?」「ほかの人は、何を喜びだと感じているのだろう?」(自分と共通すると思ったら追加)ステップ5ステップ2〜ステップ4で出しきったら、ゆったりとした気持ちで『なぜなぜマップ』を眺めてみましょう。

あなたの傾向が見えてきませんか?※次の図〔*〕の奈緒美さんの例を見てください。

「旅行が好き」からスタートして、次のような喜びの源泉が見えてきました。

  • 立場や要望が違う人すべてが満足するプランを考えること
  • 期待以上の何かを提供すること

ステップ61章のシート①〔*〕に書き出したほかの喜びについても『なぜなぜマップ』をつくってみましょう。

ステップ2~ステップ5がなかなか進まない人は、「モノ」ではなく、あなた自身が動く事柄から取り組んでみてください。

「映画」よりも「ギターを弾く」とか「プレゼン資料をつくる」といったほうが、最初はつくりやすいはずです。

05「好きなことを仕事に」の勘違い

❷ロジカルに考えすぎる

「好きなことを仕事にしたい」と思う人の2番目に多いミスは、本当は求めていないことも、それが喜びややりがいだとロジカルに(理屈で)考えて自分を説得してしまうことです。

ある講座の模擬面接で、テニスをしている人が偶然6人いました。

喜びの源泉を聞こうと、みなさんにテニスの魅力を話してもらったところ、全員「テニスは個人プレーに見えますが、実はチームプレーなのが魅力です」と言うのです。

でも、本当に「テニスの魅力はチームプレーだ」と思っているように感じたのは1人。ほかの5人は本心だとは思えませんでした。あとで聞いてみるとこんな声が挙がりました。

「仕事はチームプレーだから、チームプレーが好きな人だと思われたかったし、実際そのおもしろみも感じてはいました」。

チームプレーも魅力の1つかもしれませんが、彼らが本当に喜びを感じていたのは別の理由だったのです。

ロジカルに考えすぎると、本当はそんなに好きではないことも「好きに違いない」と思ってしまい、自分をだまして、好きではない仕事を選んでしまう可能性が高まります。

しかし、面接官はだまされません。ある程度トレーニングを積んだ面接官は、「1対1で15分話せば、ウソはわかる」と口を揃えて言います。

あなたもこれまでに、「この人の言うことはウソくさい」とか、「本音を話してくれていないなあ」「正論かもしれないけれど、響かないなあ」と感じたことがあるのではないでしょうか。

「心を開く」「肚を割って話す」という言葉が示すように、本心でない想いは伝わらないので、いい結果になりづらいものです。

ですから、「自分自身が感じる魅力」に焦点を当ててください。人は、洗脳されやすい動物です。

諸説ありますが、ある研究によると、人は7回同じことを言われたら、それが正しい自己認識だと思い込む性質があるそうです。

そして、いったん認識したことでも、違う情報を10倍インプットすると上書きされるのだとか。

ということは、自分の気持ちだと思っていることの多くが洗脳されたものなのかもしれません。

世の中の常識や固定観念、友だちと話した「○○なところがおもしろいよね」という何気ない会話、親や先生からの教訓、報道……。

わたしたちは、いろんなものから影響を受けています。頭でロジカルに考えるのではなく、感情・感覚に敏感になりましょう。あなたの本当の「喜びの源泉」になっているのは何でしょうか?

06「ハート」や「肚」と対話しよう

先の図〔*〕でつくった『なぜなぜマップ』には、「喜びの源泉」が書き出されていますね。ここからは、「吟味する」という段階に入ります。

書き出したことが本当に自分自身にとって喜びなのかどうか、自分のハートに問いかけるのです。深呼吸して、心を落ち着けてください。

書き出されたものを1つひとつ眺めながら、そのときの状況や気持ちを、ゆったりと想像してみましょう。

そして、自分の〝ハート〟〝肚〟に問いかけてください。

「楽しい?」「うきうきする?」「満たされている?」「わくわくしている?」「心が穏やか?」「幸せ?」その状態を想像して本当に幸せな気分になったら、答えはYES。

書き出した項目の上に「○」をつけましょう。ハートや肚がNOと言ったら「×」をつけて。

ほかの人にとっては喜びの源泉でも、あなたにとってはそうではありません。

「うきうきする気持ちもあるけれど、なんだかもやもやした気持ち」ならば、「?」マークをつけましょう。色分けしてもいいですね。

「YES」であれば赤色で囲み、「うきうき&もやもや」と答えたら黄色、と分類すると、わかりやすいです。

ひととおり「○」「×」「?」をつけたら、「?」をもう少し具体化してください。具体化する質問は、これまでしてきたのと同じ。

「なぜ?」「具体的には?」「ほかには?」です。そこで○がついたものを眺めてみましょう。

どんなことに喜びを感じるのか、傾向が見えてきたのではないでしょうか。それがあなたの「喜びの源泉」です。次の図にメモしておきましょう。

解説『なぜなぜマップ』の効果を高めるために

◉何度か見直そう

ハートや肚と対話する作業は、1回だけではなく1週間後や1カ月後など、期間を空けて何度か取り組むと一段と効果があります。

1回目に「○」にしたものが、見直すと「×」や「?」になることもあるからです。

◉「×」や「?」がなかった人は?

「×」や「?」がない人は、2つのタイプに分かれます。直感タイプと、理性タイプです。それぞれのタイプの対応策についてお話ししておきましょう。

【直感タイプとは……】普段から好きなことをしている人、直感が強い人、『なぜなぜマップ』をつくるときに無意識に本音と対話していた人です。

「好き」「うれしい」「楽しい」「幸せ」という気持ちを感じながら書き出しているので、「×」や「?」になることをもともと書いていないのです。

だから「×」や「?」があまりないのは当然。無理に優先順位をつけて削除する必要はありません。

【理性タイプとは……】日本人に多いのですが、「忍耐は美徳だ」とか「好き・嫌いでものごとを決めてはいけない」と育てられたため、感情を押し殺して生きている人です。

たとえば、足を骨折して1カ月ギプスをしていると、使わない筋肉は細くなり、ギプスをはずしても、すぐには思うように歩いたり走ったりできません。

同じように感情や感覚を押し殺していると、感じる筋力が落ちて、いざ感じようと思っても、うまくできないのです。

だから、うきうき・わくわくするのかしないのかを感じにくく、「○」「×」「?」の見分けがつかないのです。

「心が喜ぶ」×「得意」な仕事をして幸せで充実した人生を送るには、ハート・肚と対話して本当に自分が求めるものを感じる力が不可欠です。

感情・感覚の筋力が弱っている人は、これからきたえて取り戻していきましょう。日常のささいなことから、ハートと対話して決めるとよいですよ。

たとえば、「今、何が食べたい?」。健康にいいとか、値段が安いといった思考を取っ払って、心や体が求めるものを感じてみましょう。

まずは、すぐに実現できなくてもOK。感情・感覚に敏感になる練習として、問いかけをはじめてみてください。

3〜5章と続く自己分析ワークでも、ハート・肚との対話の場面が出てきます。ワークでも感情・感覚の筋力を復活させていきます。ここで立ち止まらずに先へ進みましょう。

07「好きなことを仕事に」の勘違い

❸喜びの拡大解釈

喜びの源泉を見つけたら、仕事選びをしたくなるかもしれませんが、もう少し我慢してください。

好きなことを仕事にしたい人が犯しやすいミスがもう1つあるのです。それは、「喜びの拡大解釈」です。

喜びの拡大解釈とは、言葉のイメージに引きずられて、もともとの意図とは異なる仕事をやりたいと解釈することです。

好きな仕事を選んだつもりが、興味をもてなかったりストレスが多かったり、ということがあるのです。陽子さんの例を参考にしましょう。陽子さんは、「ものづくり」が喜びの源泉だと思って就職活動をしました。

しかし、不採用が続き、天職コンサルティングを受けました。

【陽子さんの例】陽子さんが「ものづくり」が喜びの源泉だと思ったのは、こんな経験からです。

①小学校時代は学級新聞委員に。いつも人が驚くものをつくろうと工夫していた。

②高校時代には、学園祭の出し物の集客用チラシのデザインに力を入れた。

③大学の学園祭では、サークルで焼きそば屋を出店。新メニュー「デカエビ塩焼きそば」をつくって、売り上げアップに貢献。

わたしの喜びの源泉は「ものづくり」だ!そして、「ものづくり」をキーワードに選び、実際に応募したのは次の求人でした。

  • ●ゼネコンの営業(総合建築業界。ビルや橋や道路、ダムなどをつくる会社)
  • ●システム会社のSE(コンピューターシステムをつくるエンジニア)
  • ●自動車メーカー、アパレルメーカー、鋼材メーカーなど製造業全般
  • ●広告代理店の制作(テレビCM、ポスター、販促グッズなどをつくる)
  • ●携帯電話などに使われる極小ネジの製造会社
  • ●住宅コーディネーター(家を建てる人の希望を聞いて、必要な内装建材を手配し、建築現場で施工管理担当者と折衝しながら完成する、家づくりの仕事)
  • ●教育業界のテキスト開発(テキストをつくる仕事)
  • ●劇団(ミュージカルをつくる会社)
  • ●信託銀行(地元でものづくりをしている工場を金銭面でサポートする)

陽子さんはなぜ不採用になったのでしょうか。

陽子さんが応募した求人はたしかに「ものづくり」をしていますが、「ものづくり」の〝種類〟や、陽子さん自身の〝かかわり方〟は大きく異なります。

陽子さんは、自分の手で何かをつくりたいのでしょうか。それともものづくりをしている会社に入りたいのでしょうか。

コンピューターシステムをつくる仕事とダムをつくる仕事、テレビCMをつくる仕事は、同じ喜びでしょうか?陽子さんは言葉のイメージに引きずられて、もともとの意図とは異なる「ものづくり」まで自分のやりたいことだと思ってしまいました。

これが「喜びの拡大解釈」です。「ものづくり」は、漠然とした言葉です。

このように、いろんな意味や解釈が含まれるあいまいな言葉でやりたい仕事を表現すると、拡大解釈の原因になります。

面接官は、おそらく陽子さんが求めている「ものづくり」が自社のものとは違うことに気づいて、採用を見送ったのでしょう。

では、喜びの拡大解釈を防ぐにはどうしたらいいでしょうか?それは「具体化」です。

喜びの拡大解釈を防ぐ「具体化」わたしが天職コンサルティングや採用面接でよく聞くのは、5W3Hの質問です。

「ものづくり」にこだわって就職活動をした陽子さんだったら、

  1. どんなものをつくれたらうれしいですか?(What)
  2. 誰に喜んでほしいですか?誰の悩みを解決したいですか?(Who)
  3. どこでそれをしているイメージですか?(Where)

5W3Hのすべてに明快な回答がなくてOK。こだわるポイントとこだわらないポイントがわかればいいのです。

陽子さんの場合は、

  • ●興味がわくのは、個人向けの商品やサービスを扱っている会社。特にお母さん世代向けがおもしろそう。お母さんが元気だと子供も元気でいられるから。
  • ●数十万とか数百万の高額商品ではなく、日常的に使うものを取り扱いたい。チープではなく良質なもので、まだあまり知られていないものを広めたい。
  • ●何かをつくり上げる過程で、ああでもない、こうでもないと、試行錯誤したり、自分らしい工夫を考えたりする仕事が楽しいと思う。
  • ●販売促進の企画をしたい。1人でも多くの人に喜んでもらうには、買ってもらわないと!まず、お店や商品の認知度を高めるPR。

そして、お店に足を運んでもらう仕掛け。わかりやすい商品陳列……。そんなことを考えはじめたら止まらない。

「ものづくり」というキーワードを具体化した陽子さん。ここまで具体化できたら仕事選びはしやすくなります。

いくつかの企業を回って選んだ就職先は、「自然派化粧品や健康食品に力を入れているドラッグストア・チェーンの広告宣伝部」でした。

もう一度、例〔*〕にある陽子さんの今までの経験と喜びの拡大解釈を防ぐ「具体化」〔*〕の喜びの源泉を見てみてください。

選んだ仕事につながっていますね。この仕事であれば陽子さんがこれまで感じてきた喜びを得られそうです。

陽子さんのように、最初に思い立ったときのイメージから言葉を独り歩きさせ、拡大解釈をしないよう注意しなくてはなりません。

客観的に見ると、陽子さんが最初に思い描いていた「ものづくり」と、拡大解釈をして応募した会社は、何となく違うのでは!?とすぐにわかるかもしれません。

しかし、自分のこととなると見えにくいものなのです。拡大解釈を防ぐ方法は「具体化」です。

次の項目で具体化のワーク『5W3H法』をしてみましょう。

08『5W3H法』で具体化しよう

『5W3H法』の目的は、抽象的なキーワードや短い文章で表現している喜びの源泉を文章で表現できるまで具体化することです(喜びの源泉は自己分析を進めることで深まっていきます)。

人に話したときに「なるほど、そういうことが好きなんだ」とイメージしてもらえ、「こんな仕事/こんな会社があうんじゃない?」と言ってもらえるくらいになったらGOODです。

具体化に有効なのは5W3Hに当てはめていくことです。具体的な文章になればなるほど、拡大解釈をしにくくなるので、嫌な仕事、あわない仕事を避けることができます。

就職や転職なら面接で言いたいことをすんなりとわかってもらえるので、穏やかで楽しい面接になります。

自分でビジネスをする人は、ホームページや自己紹介の場面で同業者との違いや自身の特色を打ち出すことができます。では、実際にやってみましょう。

『5W3H法』の進め方

  1. ステップ1 まず、シート④〔*〕のワークシートのA欄に「喜びの源泉」(シート③〔*〕参照)を書き込みましょう。喜びの源泉がいくつかある人は、そのうちの1つだけを書き込んでください。
  2. ステップ2 5W3Hを当てはめてB欄を記入しましょう。書けないところは空けたままでOK。
  3. ステップ3B欄に書き出した内容をまとめてワークシートC欄に「具体化した喜びの源泉」を書きましょう。
  4. ステップ4C欄に書いた内容を新しいワークシートのA欄に記入します。同じようにステップ2、3を繰り返します。この手順を5~7回行なってください。

では次の陽子さんの例を参考にして、あなたも『5W3H法』で喜びの源泉を具体化していきましょう。

思っていることが書けないなら原始反射の影響かも頭に浮かんでいることが、ワークシートに書けないならば、「手の反射」「ATNR」という原始反射が残っているからかもしれません。

原始反射とは、赤ちゃんのときに出る、思考を通さない自動的な動き(反射)なのですが、大人になっても残っていると、読み書きに影響したり、生きづらさにつながったりします。

次の要素に当てはまるものがあれば、それは、原始反射の影響かもしれません。チェックしてみましょう。

【ATNR(非対称性緊張性頸反射)が残っていると】

  • □作文、SNS、アンケートなど文章を書くことにエネルギーを使う
  • □頭で考えていること・本当に書きたいこととは違うことを書いてしまう(本当はこういうことを書きたいんじゃないんだけど……)
  • □ノートを取るとき、どちらかに身体がズレたり、首が傾いたりする
  • □横書きの文章を読むと、同じところを何度も読むことがある
  • □集中していると、頭を傾ける/片方の手首が曲がる
  • □ほおづえ
  • □関節の怪我が多い
  • □テニスなどで、フォアは得意だがバックは苦手
  • □上手投げよりも、下手投げ・横投げが得意
  • □髪の毛は横わけ
  • □顔や身体の左右差が大きい
  • □足首が硬く、しゃがむのが苦手
  • □文字や英語のスペルが入れ替わって見えることがある
  • □横書きをすると、斜めにあがったりさがったり、まっすぐに書けない
  • □聞き間違いが多い。特に高音の聞き取りが苦手
  • □人と並んで歩くと、そちらに寄ってしまう
  • □学んだことを、自分の言葉で伝えるのが苦手
  • □テストで、書くのが遅く、時間切れになったことがある
  • □お箸や鉛筆の持ち方が下手。力が入っている
  • □問題発見、課題解決が得意
  • □人が思いつかないようなやり方、新しいやり方を考える
  • □問題に目がいきすぎる

【手の反射(手掌把握反射/パーマー反射)が残っていると】

  • □考えていることが、(言えるのに)書けない
  • □気持ちを表現するのが苦手
  • □指の間に水かきがある
  • □指がそっている
  • □手の平をあわせたとき、親指のはらがくっつかない
  • □緊張すると、手が動く
  • □何かもっているほうが、落ち着く
  • □鉛筆やお箸のもち方が下手
  • □筆圧が高い/シャーペンの芯がよく折れる
  • □字を書くと疲れる/背中や肩が痛む
  • □字を書く、作業に集中すると、口・舌が動く
  • □文字を書くよりも、スマホやパソコンのほうが楽
  • □不器用
  • □手放すことが苦手/依存傾向がある
  • □吃音がある/滑舌が悪い

当てはまるものはありましたか。

該当するものがあったら、身体の未発達が原因なので、発達(原始反射を統合)することで解消していきます。

苦手だとあきらめることはありません(発達については、私のブログやホームページをご覧ください)。

人の思考パターンを活用するいよいよ「喜びの源泉」を見つける最後のステップです。『5W3H法』でできあがったシート④の内容を人に聞いてもらいましょう。

というのも、人それぞれ思考パターンに特徴があるので、自分1人でバランスよく考えようとしても、漏れが出たり、思い込みに左右されたりするからです。

ですから、1人で考え続けるのではなく、ほかの人の力を借りて具体化を進めましょう。

自分では考えつかない質問をしてもらうことができますし、1人で考えているときには思い浮かばなかった言葉がドンドン出てきます。

そして、効果的なやりとりにするために、次の3点に気をつけましょう。

①聞き手の考えに惑わされない

聞き手の考えに惑わされないように、前もって2つお願いをしておくとスムーズです。

  • やりたいことを否定したり評価したりしないことあくまでも、あなたの自己分析を助けるための質問のやりとりなのだと理解してもらいましょう。
  • もしアドバイスや意見があったら、終わってから話すことアドバイスや意見が質問の途中にはさまると、否定されたように感じ、続きを話せなくなってしまう人が多いからです。

アドバイスや意見をもらったら、肯定も否定もいったん受けとめて、うのみにするのではなく自分のハート・肚と対話しましょう。

できれば、「そういう意図ではなかったのに」と、感じることがあれば、あなたの想いが伝わるまで語ってみてください。

だんだんと、誤解されにくい表現に研ぎ澄まされていきます。

もし、こういったやりとりはストレスが大きいという人は、天職コンサルティングにいらしてください。わたしが「あなたを伝える言葉」をつくります。

②年齢性別問わず、いろいろな人にたずねる

質問のやりとりは、できるだけたくさんの人としてください。

あなたが話す内容は同じでも、聞き手の思考パターンや興味の方向が違えば、まったく違う方向に質問が展開します。

複数の人とやりとりすることで、バリエーション豊かな質問をもらえ、自己分析を深めることができるのです。

③厳しい質問も自分自身を責められているわけではないと心する

キャリアカウンセリングや面接のトレーニングを積んでいない人にお願いする場合は、少し注意が必要です(資格をもっていても適任者とは限りません)。

相手も質問のプロではないので、言葉の選び方が上手ではないかもしれません。

そのため、相手の投げかける質問の意図がわかりづらくて混乱したり、責められているような気持ちになったりする可能性があります。

それでも、ほかの人からの素朴な疑問を聞くのは自己分析を深めるキッカケになりますので、ぜひ挑戦してみましょう。

もし責められているような気持ちになっても、言葉じりにとらわれずに、「なぜ、その質問をされたのだろう」と質問の意図に注目して考えると、いい自己分析につなげられます。

以上の3点に気をつけて「人の思考パターンを活用するワーク」を行ないましょう。

相手から質問されて話した内容は、さらに具体化し、人に伝わりやすくなった喜びの源泉です。忘れないように2章のまとめとして次の図に書き込んでおいてください。

そして、聞かれたけれど答えられなかった質問も次の図にメモしておきましょう。その質問に答えられるようになったら、さらに一歩、自己分析が深まったということです。

面接官や、あなたに仕事を頼もうとしている人も同じところに疑問をもつかもしれませんね。こうして少しずつ、喜びの源泉を掘り下げていきましょう。

次章では、心が喜ぶ仕事で成功するために、仕事で活かせる強みを見つける自己分析に入ります。

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