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第2章貿易取引で最も重要な書類

目次

第2章貿易取引で最も重要な書類

  • ①船積書類とその流れ
  • ②インボイスとは
  • ③パッキングリストとは
  • ④船荷証券とは
  • ⑤船荷証券の分類
  • ⑥貨物海上保険証券とは
  • ⑦原産地証明書とは
  • ⑧特定原産地証明書とは
  • ⑨領事査証とは

第2章貿易取引で最も重要な書類

船積書類

船積書類は、輸出者が契約どおりに商品を船積みしたことを証明する書類の総称です。

代表的な船積書類としては、次の3つがあります。

①インボイス(商業送り状:CommercialInvoice)②パッキングリスト(梱包明細書:PackingList)③船荷証券(B/L:BillofLading)これら3つの書類に加えて、取引条件により保険証券が追加されたり、輸入者の依頼によって原産地証明書などの書類が追加されます。

④保険証券(I/P:InsurancePolicy)⑤原産地証明書(C/O:CertificateofOrigin)貿易取引では、売り手と買い手が遠く離れていることからモノとカネを直接交換することはできません。

そこで、モノを船積書類というカミに換えて、モノの代わりにカミを売買することで代金を決済します。

輸入者は、船積書類と引き換えに代金決済をしなければならないので、輸送人からの商品引き取りや輸入通関手続きに必要な書類はあらかじめ船積書類に含めて送るよう、輸出者に求めることが大切です。

船積書類の流れ船積書類は輸出者から輸入者に送付されますが、送付するルートは決済方法によって異なります。

荷為替手形決済の場合は、荷為替手形の一部として銀行経由で送付され、送金決済やネッティングの場合は、輸出者から輸入者に直接送付されます。

インボイスインボイス(Invoice)とは、輸出者が輸入者に発行する納品書兼代金請求書のことで、「商業送り状」(CommercialInvoice)とも呼ばれます。

インボイスには、「契約に関する情報」「商品明細」「船積みに関する情報」「代金支払いに関する情報」など、その船積みに関連する主要事項が記載され、契約どおりに船積みされたことが示されます。

主な記載事項は、次のとおりです。

①契約に関する情報……輸出者と輸入者の名前と住所、売買契約番号、価格、取引条件、決済条件など。

②商品明細……商品名、規格や型番、個数、梱包数、重量、容積など。

③船積みに関する情報……本船名、航空機便名、船積港、出港(予定)日、仕向港、引渡場所など。

④代金支払いに関する情報……単価、建値、合計請求金額、支払方法、支払先銀行口座など。

特殊なインボイス通常、インボイスといえば商業送り状のことを指しますが、他にも目的に応じたインボイスが作成されることがあります。

①プロフォーマインボイス(ProformaInvoice)……許認可取得などを目的として船積みの前に作成される見本インボイス。

②税関用インボイス(CustomsInvoice)……輸出申告の際に税関に提出する目的で作成されるインボイス。

③領事送り状(ConsularInvoice)……輸入国における不正輸入申告防止目的で、当該領事館に提出するインボイス。

パッキングリストパッキングリスト(P/L:PackingList)とは、インボイスを補足する目的で作成する貨物の「梱包明細書」のことで、「梱包番号」「荷印」「各梱包の商品明細」「個数」「重量」などが記載されます。

通常、パッキングリストはインボイスと同様の書式で作成されますが、価格や決済に関する情報は記載されません。

輸入者は、パッキングリストを用いて貨物の保管や配送のための荷捌きを計画します。

パッキングリストは、輸出入通関の手続きをするときに、インボイスとともに税関に提出されます。

一方、税関職員は貨物の「現物検査」(→第5章③)を行う際に、パッキングリストを利用します。

荷印貿易輸送は、輸送距離が長く貨物を積み下ろす回数も多いので、輸送中の衝撃に耐えられるように、貿易輸送に適した頑丈な梱包を商品に行ったうえで船積みを行います。

梱包の外面のわかりやすい場所には、中身や仕向地が判別できるように、「荷印」(ShippingMarks)を印字または貼り付けます。

荷印には、その梱包内の商品明細の他、荷主、荷受人、仕向地、荷扱注意事項などが記載されます。

輸入者側はパッキングリストと荷印を照合しながら、荷捌きや商品配送の管理を行います。

船荷証券船荷証券(B/L:BillofLading)とは、船会社が荷主である輸出者に発行する有価証券で、「貨物受取証」「輸送引き受けの証拠書類」(輸送契約書)「仕向港で貨物の引き渡しを求めることができる引渡証」の3つの機能をもっています。

船荷証券の主な記載項目は、次のとおりです。

①荷主(Shipper)や受荷主(Consignee)に関する情報輸出者や輸入者、あるいは到着案内送付先など。

②輸送手段に関する情報本船名や航海番号、船積港、船積日、仕向地など。

③船積みした商品に関する情報商品名、数量、重量、容積、梱包、荷印など。

④その他の情報船荷証券番号、運賃先払いまたは後払いの区別、運賃率(記載されない場合もある)、船会社の署名など。

船荷証券の原本船荷証券は原本(Original)が3通発行され、1通目には「FirstOriginal」、2通目には「Duplicate」、3通目には「Triplicate」といった文言が、印刷またはスタンプされています。

この3通はいずれも1通で貨物の引き渡しを請求する効力をもっているため、3通のうちどれか1通を船会社に差し入れれば貨物の引き渡しは行われ、その時点で残りの2通の引渡請求権はなくなります。

これは万一の場合の紛失に備えた措置なので、船積書類を送付する際は3通の原本は別々に郵送します。

いろいろある船荷証券船荷証券は、書式や記載項目の種類によっていろいろな呼び名があります。

主な分類は次のとおりです。

①船積式船荷証券と受取式船荷証券船荷証券の書式による分類で、証券面に「Shipped」と印刷されているB/Lを「船積式船荷証券」(ShippedB/L)、「Received」と印刷されている書式のB/Lを「受取式船荷証券」(ReceivedB/L)と呼びます。

船積式は、本船に貨物が船積みされた証として発行され、在来型貨物船輸送で使用されています。

一方、受取式は、輸送人が貨物を受け取ったことの証として発行され、コンテナ輸送や複合一貫輸送で使用されています。

②記名式船荷証券と指図式船荷証券船荷証券の記載事項による分類で、受荷主(Consignee)欄に受荷主を特定して記載したB/Lを「記名式船荷証券」(StraightB/L)、受荷主欄に「toorder」または「toorderof〜」と記載し、受荷主を特定していないB/Lを「指図式船荷証券」(OrderB/L)と呼びます。

記名式船荷証券は、仕向港では船荷証券面に記載されている荷受人にのみ貨物が引き渡されます。

指図式船荷証券は、荷主が船荷証券に裏書き署名をすることにより貨物引取権を譲渡でき、正当に裏書きされた船荷証券の所持者に貨物が引き渡されます。

③無故障船荷証券と故障付船荷証券船会社が受け取った時点で貨物に損傷があった場合、その損傷の内容は船荷証券に摘要事項(リマーク)として記載されます。

リマークが記載されたB/Lを「故障付船荷証券」(FoulB/L)、リマークのないB/Lを「無故障船荷証券」(CleanB/L)と呼びます。

貨物海上保険証券貨物海上保険証券(InsurancePolicy)とは、損害保険会社が保険契約者に発行する貨物海上保険の引受証明書のことです。

主な記載項目は、次のとおりです。

①被保険者に関する情報……被保険者やインボイス番号など②保険の対象物に関する情報……商品名、梱包状態など③輸送手段に関する情報……本船名や航空機便名、船積港、船積日、仕向地など④保険条件に関する情報……保険基本条件、戦争約款などの特約、保険金額、保険区間、保険求償代理人など貨物海上保険証券の書式保険証券は、各損害保険会社が自社のフォームを作成していますが、記載される保険条件は、ICC(InstituteCargoClauses)約款と呼ばれるロンドン保険業者協会が策定した約款が使用されます。

ICCの保険条件は、3種類の基本条件(→第7章③)に各種特約を追加する構成となっており、これらが保険の引受条件として保険証券の表面に記載されています。

保険証券の裏面には、保険契約内容の詳細が記載されています。

実務的には、「保険証明書」(InsuranceCertificate)と呼ばれる裏面の契約詳細記載を省略した簡略書式も使用されており、保険証券と同等の効力をもっています。

保険証券や保険証明書は有価証券ではありませんが、裏書きによって輸出者から輸入者へ、被保険者の権利を移転させることができます。

原産地証明書原産地証明書(C/O:CertificateofOrigin)とは、貿易取引商品の原産国を証明する公的な書類のことで、日本では商工会議所で発給を受けます。

原産地証明書は、輸入者が輸入通関手続きを行う際に税関に提出し、関税率の確認や貿易管理の目的に使用されます。

原産地証明書の書式日本の原産地証明書は、商工会議所の偽造防止処理が施された所定の書式で作成されます。

輸出者は、商工会議所に会社と署名者の登録を行ったうえで、船積みごとに原産地証明書の発給を申請します。

申請は、証明発給申請書に輸出者が記入・署名した原産地証明書とインボイスを添付して提出し、商工会議所の証明・署名を取得します。

原産地証明書の記載事項原産地証明書の主な記載項目は、次のとおりです。

①インボイスに記載されている情報……契約情報、輸出者名、輸入者(受荷主)名、インボイス番号と日付・商品情報……商品名、荷印、個数、数量、重量など・船積情報……輸送本船名、積揚港、船積日など②原産国名(COUNTRYOFORIGIN)……日本を原産国として輸出する場合はJAPANと記載します。

③輸出者の宣誓と署名……記載した事項が真実であることを宣誓する文言(DECLARATIONBYTHEEXPORTER)が印刷されており、登録署名者が署名します。

④商工会議所の証明文言と署名⑤リマーク欄……原則、空欄。

必要に応じてL/C番号などを記載します。

特定原産地証明書日本は多くの国とEPA(EconomicPartnershipAgreement)と呼ばれる「経済連携協定」を締結しています。

特定原産地証明書とは、EPAで取り決められた原産地基準を満たしていることを証明する公的書類のことで、輸入国側でEPAの関税優遇措置の適用を受けるために使用されます。

日本では、商工会議所で発給を受けますが、前節の原産地証明書の書式例とは異なり、また申請方法もHP上で一連の申し込み手続きをする発給システムになっています。

特定原産地証明書は、次のような手順で船積みごとに発給申請をします。

①輸出者は、商工会議所に会社と署名者の登録を行い特定原産地証明書発給システムのユーザーIDとパスワードを取得する②申請対象の商品のH.S.コード(→第5章⑦)や原産品判定基準などをインターネットを経由して発給システムに入力し、原産品判定依頼を申し込む③商工会議所の審査により日本の原産品と認定されたら、原産品判定番号が付与される(これで事前準備は完了)④特定原産地証明書の申請は、船積みごとに発給システムに商品や船積みなどのインボイス情報を入力して行う⑤申請が承認されれば、輸出者は所定用紙にプリントして宣誓署名をしたうえで商工会議所に提出して発給を受ける特定原産地証明書の記載事項特定原産地証明書には、通常の原産地証明書と同様の契約、商品、船積みなどの情報に加えて、該当する経済連携協定名、商品のH.S.コード、原産地判定の基準が記載されます。

*原産地証明の自己申告制度(自己証明制度)は、巻末資料(→貿易資料2−1)を参照。

領事査証領事査証(VISA)とは、輸入者が書類の偽造や不正な価格申告を防止するために、輸出国の在日公館で認証を行う制度のことです。

輸出者は、輸入者からの依頼にもとづいて、在日領事館または公館で領事査証を取得します。

領事査証の書式領事査証は、輸出者が作成するインボイス(CommercialInvoice)に、領事査証のスタンプを押印する形式で発給する方式が現在は一般的です。

輸出者は船積み完了後に、在日領事館に領事査証申請を提出して、発給を受けます。

申請には、インボイスの他に原産地証明書や船荷証券の写しの添付が必要な国もあります。

また多くの場合、商工会議所によるインボイス証明が求められるので、事前に手続きを取っておく必要があります。

インボイス証明とは、そのインボイスが輸出者により正規に作成され、商工会議所に提示されたという事実を証明するもので、「SeenbytheTokyoChamberofCommerceandIndustry」という文言がインボイスに記載・署名されます。

査証の取得には、思わぬ日数がかかる場合があるので、信用状の要求書類に査証が含まれているような場合は、信用状の買取期限に注意を払う必要があります。

領事査証が求められる国領事査証は、世界的な貿易自由化の流れのなかで徐々に廃止されていく傾向にありますが、中近東の一部の国では現在も輸入通関時の提出が義務付けられています。

 

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