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第15章 正直の法則

あなたが自分のネガテイブな面を認めたら、 顧客はあなたにポジテイブな評価を与えてくれるだろう。

問題点を認めることは、企業や人間の本性に相反する行為である。長年にわたり私 たちは、ポジティブ思考の持つ力ということを頭の中に叩き込まれてきた。「ポジテ ィブ思考」は、無数の書物や記事のテーマだったのである。 だから、顧客の心の中に入り込む一番効果的な方法はまずネガティブ面を認めて、 それをポジテイブ要素に変えることだと聞けば、あなたは驚くかもしれない。 「エイビスはレンタカー業界で、ナンバーツーに過ぎません」 「スマッカーといった名前では、せめて品質をよくせぎるをえないのです」 「一九七〇年型フォルクスワーダンは、いつまでも醜いスタイルのままでいます」 「ジョイ。世界一高価な香水」 ぃったい、どうしたことだろう?・なぜ正直の一服が、 マーケティングのプロセス でこんなにも効果を発揮するのだろうか。 まず何よりも正直は、相手の心を開かせる。あなたが自分について語るネガティブ な言葉は、即座に本当のこととして受け入れられるのである。これに対して、ポジテ ィブな発言は、せいぜい疑って見られるのが落ちだ。とりわけ広告においてはそうで

ある。 あなたが顧客を納得させるためには、ポジティブな発言の正しさを証明して見せな くてはならない。ネガティブな発言の場合、証明は不要である。 「一九七〇年型フォルクスワーゲンは、 いつまでも醜いスタイルのままでいます」。 すると顧客は考える。そんなに醜い車なら、信用できるに違いない、と。 「ジョイ。世界一高価な香水」。みんなが喜んで一オンスに三七五ドルも出す香水な ら、きっと素晴らしい香水であるに違いない。 「スマッカーといった名前では、せめて品質をよくせざるをえないのです」。たいて いの会社、とりわけ同族会社の場合は自社の社名を笑いものにはしないものだ。とこ ろが、スマッカー家ではそれをした。スマッカーがジャムとジェリーのナンバーワ ン・ブランドであるのは、 一つにはそのためである。あなたの名前がよくない時、あ なたには二つの選択肢がある。名前を変えるか、その名前を笑いものにするか、その どちらかである。 一つだけしてならないのは、その名前を放っておくことだ。ガブリ ンガー、グロールシュ、グリースディクといったビールのブランドが、今日スーパー

の店頭から姿を消した理由の一つはこれである。 「エイビスは、 レンタカー業界でナンバーツーに過ぎません」。そうか、では利用し てやろうではないか、きっと一生懸命やってくれるだろう。エイビスがレンタカー業 界の第二位であることは、実はだれもが知る事実だった。 このような単純明快なことを、なぜもっと利用しないのだろうか。 マーケティング とは多くの場合、単純明快さの追求である。いったん固まった顧客の心の中を変える ことはできないのだから、あなたのマーケティング努力は、すでに顧客の頭の中に定 着しているアイデアやコンセプトを利用することに注がれるべきである。マーケティ ング計画は、それを″しつこく繰り返し″ 、徹底させることに使われるべきなのだ。 エイビスのナンバーツー計画ほど、これを見事にやり遂げたマーケティング計画はほ かにない。 ポジティブ思考はあまりにも過大に評価されてきた。社会における情報量が爆発的 に増大した結果、人々は何かを売りつけようとする企業に対して身構えるようになり、 警戒心をつのらせるようになった。そうした中にあって、自らの問題点を進んで認め

ようとする会社は極めて数少ない。 ある会社が、問題点を認めることによってメッセージを発信しようとすると、人々 はほとんど本能的に心を開くものだ。だれかが何か問題を抱えてやってくると、人は たちまち彼の身になって、助けてやりたくなるものだということを思い起こしてほし い。では、自分がやっている何か素晴らしいことから自慢げに会話の口火を切る人に ついてはどうだろうか。あなたの興味はすっかり冷めてしまうに違いない。 さて、そのように相手が心を開いていれば、あなたは、あなたのセリングポイント であるポジティブな内容を伝えることができるのである。何年か前、スコープ社が洗 口液リステリンの恐ろしくひどい味につけ込んで、「いい味のする」洗口液というセ リングポイントで市場に参入したことがあった。 この場合、リステソンはどのように対応したらいいだろうか。もちろん、リステリ ンの味は「そんなにひどくはない」、といったのではだめである。そんなことをいえ ば、危険信号の赤旗を掲げたことになり、ネガティブな認識が強まってしまう。事態 は悪化するだけだ。ソステリン社はここで「正直の法則」を見事に活用したのであっ

た。「一日に二回いやなお味を」と。 同社は、自社商品の味が悪いだけでなく事実人々に嫌われていることも認めたので あった(これこそ正直というものだ)。そしてここから、ソステリンは「多くの細菌 を殺す」というセリングアイデアが生まれたのである。 顧客たちは、消毒薬のような味がするくらいだから、実際に殺菌効果があるに違い ないと考えた。正直薬の大量投薬によって危機は通りすぎていった。 事例をもう一つ。ゼネラル・フーズでは、同社のグレイプナッツ・シリアルは「味 が分かるまでに時間がかかる」ことを認め、消費者に一週間食べ続けてみて欲しいと 訴えた。この結果、売上げは二三パーセント上昇した。 最後に忠告を一つ。正直の法則は注意深く、かつ巧みに利用しなくてはならない。 まず第一あなたのネガティブなメッセージが、ネガティブなものとして広く認知 15. The Law of Candor さ れることが肝心である。顧客の心に瞬間的に同調が湧くようでないといけないの だ。もしネガティブ性がとっさに理解されないようだと、顧客は戸惑い、 これは何だ」と、疑間を抱くことになるからだ。

次には、ポジティブな訴えに素早く移ることだ。正直であることの目的は、何も弁 解をすることではない。その目的は、あくまで

一顧客を納得させるようなプラス面を掲示することである。

この法則はひとえに、古くからの格言の正しさを証明してくれる。正直は最良の策 なのである。

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