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第 6章 価値

1 ぼんやりした不安を解消するたった1つの方法 2 未来に目的があれば迫害すら乗り越えられる 3 原始人にとって生きる意味は単純だった 4 あなたの人生における価値観とはなにか? 5 ミシシッピ大学の「価値評定スケール」とは? 6 「価値」と「目標」はどこが違うのか? 7 さあ実践!「人生の満足度を高める自己分析」 8 幸福感が高まるのは「貢献した」とき実践ガイド

1ぼんやりした不安を解消するたった1つの方法 本章から不安対策に入っていきますが、具体的な方法論に入る前に、ここからの基本的な戦略を概観しておきましょう。

第 2章では、農耕によって生まれた「未来」が現代人の「ぼんやりとした不安」を生むメカニズムを説明しました。

古代と違って未来の感覚が遠くなったため、先の見えない不安が生まれるわけです。

いっぽうで狩猟採集民の未来は 1日単位なので、先行きの不安は生まれません。

彼らにとってはすべてが現在であり、時間を超越した感覚を持っているからです。

しかし、すでに未来という概念を構築してしまった現代人が、いまから原始の感覚にもどるのは不可能です。

そう考えると、私たちが取れる戦略はひとつしかないでしょう。

すなわち、「未来を今に近づける」のです。

ここでいう未来とは、実際の時間の流れを意味しません。

未来の自分と現在の自分の心理的な距離が、どれだけ近いかを問題にしています。

たとえば、「 5年後の自分を想像してください」と言われたとき、あなたの内面にはどんな感覚が生まれるでしょうか? 5年後のあなたは、いまのあなたと変わらないぐらいの存在感を持った存在でしょうか? それとも、まったく見知らぬ人のように遠い存在でしょうか?もし前者なら未来との心理的距離は近く、後者なら心理的距離は遠いと考えられます。

これは、心理学で「自己連続性」と呼ばれる考え方です。

ここで注意したいのは、自己連続性が「未来の自分を具体的に想像できるかどうか」の問題ではない点です。

もし 5年後の自分を「プールのある一戸建てに住んで、子供は 2人で車を 3台持っていて……」などとリアルに思い描けたとしても、いまの自分とのあいだにつながりの感覚がなければ心理的な距離は遠いままです。

逆に 5年後の自分がいまと変わらないとしても、そこにちゃんとした存在感さえあれば心理的な距離は近くなります。

時間の心理的な距離の問題については、いくつかおもしろい研究例があります。

もっとも有名なのは、 2009年にスタンフォード大学のブライアン・ナットソン氏が行った実験です。

博士は「自己連続性チェック尺度」で被験者の時間感覚を調べ、そのうえで「いま 15ドルをもらうのと一週間後に 30ドルをもらうのとどちらがいいか?」と尋ねました。

第 2章でも紹介した「時間割引率」を調べたわけです。

そこでわかったのは、未来との心理的距離が近い者ほど不安に強く、セルフコントロール能力も高いという事実でした。

実際、自己連続性が高い者は貯金額が 25%も多いとの結果も出ています。

つまり、自己連続性が高い者は、目の前の誘惑に負けない強いメンタルを持っているのです。

ナットソン博士は言います。

「(自己連続性の高さとは)未来の自分の身になって考えられるということだ。

そのため、現在の決定が未来におよぼす影響を実感できるようになる」 ダイエットを例に考えてみましょう。

たとえば、ダイエットで体重を落としたいけれど、いっぽうでは目の前のケーキも食べたいといった状況があったとします。

ここで心理的距離が遠いとダイエットに成功した自分の姿に現実感を持てず、未来が絵空事のようにしか感じられなくなってしまいます。

その結果、つい目の前のケーキに手が伸びてダイエットは失敗します。

ところが心理的距離が近いと、ダイエットに成功した自分の姿にリアリティが生まれ、未来のメリットを我が事としてとらえられるようになります。

その結果、目の前のケーキをひかえるモチベーションが高まり、ダイエットに成功します。

これが、心理的距離によってメンタルが強くなるメカニズムです。

自己連続性が高まれば「ぼんやりとした不安」は生まれません。

つまり、「未来を今に近づける」のが、現代人の時間感覚を正す数少ない抵抗手段なのです。

2未来に目的があれば迫害すら乗り越えられる ナチスの強制収容所で 4年を過ごした精神科医のヴィクトール・フランクル氏は、「夜と霧」にこう記しました。

「強制収容所の人間を精神的に奮い立たせるには、まず未来に目的をもたせなければならなかった。

被収容者を対象とした心理療法や精神衛生の治療の試みがしたがうべきは、ニーチェの的を射た格言だろう。

『なぜ生きるかを知っている者は、どのように生きることにも耐える』。

したがって被収容者には、彼らが生きる『なぜ』を、生きる目的を、ことあるごとに意識させ、現在のありようの悲惨な『どのように』に、つまり収容所生活のおぞましさに精神的に耐え、抵抗できるようにしてやらねばならない」 フランクル氏は、生涯を通して人生の意味の問題を追い続けた人物です。

アウシュビッツでも生き延びる態度を崩さなかった彼はやがて、人間はむしろ人生から「価値観」を問われているのであり、それに責任をもって答えなくてはならない、との境地にいたりました。

明確な「価値観」は、ナチスの迫害すら耐え抜くモチベーションを与えてくれるというのです。

事実、多くのデータがフランクル氏の結論を支持しています。

2014年にロチェスター大学が行ったコーホート研究では、 6千人の男女に「価値感を持って生きているか?」と尋ねたところ、この質問にイエスと答えた者は、 14年後の死亡率が 15%も低い傾向がありました。

自分の「価値観」に沿って人生を生きている人ほど寿命が長いわけです。

データによれば、価値観が明確な人は自然と健康的な食事と運動を実践しているとのこと。

この結果について研究チームは、「人間は人生に何らかの方向性が必要なのだろう」とコメントしています。

さらに、あなたの価値観は収入にも影響します。

5千人のアメリカ人を 10年ほど追跡したコーネル大学の調査では、自分の価値観に従って毎日を暮らす人ほど年収と貯金額が多く、「人生の価値」の強さが標準偏差から1つ高くなるごとに、貯金額は 244万円ずつ増えていました。

この傾向は、被験者の性格や人生の満足度を考慮しても変わりません。

要するに、あなたが商売に不向きな性格だろうが、現在の環境が恵まれていなかろうが、人生の価値観を強く持っていれば年収も増えていきます。

人生の価値観が、仕事のトラブルに対するバッファーとして働くからでしょう。

価値に沿って生きるほど日々の悩みは消え、自然と自分をいたわる行動が増えていきます。

不安に立ち向かうには、まずはあなたの「価値観」を見定めるべきです。

3原始人にとって生きる意味は単純だった なぜ価値観で不安感は減るのでしょう? ぼんやりとした不安が将来への心理的距離によって起こるのなら、価値観には「未来を今に近づける」働きがあるのでしょうか? ここで、いったん狩猟採集民の「価値観」について考えてみましょう。

人類学のデータによれば、彼らが生涯にわたって持つ人生の目的はシンプルで、ひとことで言えば「生きる産む育てる」の3つだけです。

狩りをしながら日々の糧を稼ぎ、部族内のパートナーと子を産み、愛する我が子の成長を死ぬまで見守れば、人生の目的は達成されてしまいます。

すべての生物は遺伝子による「産めよ増やせよ地に満ちよ」という命令に従って行動します。

その点ではヒトも例外ではなく、あなたの喜びも悲しみも生きがいも、すべては種の保存のために備わった機能のひとつに過ぎません。

人生に哲学的な目的などあろうはずがなく、それゆえに原始人にとって人生の意味はいまよりも単純でした。

ところが、ライフサイクルが複雑化した現代では、「生きる産む育てる」の他にも、私たちは様々な行為に価値を見出すようになりました。

「有名になる」「金持ちになる」「良い会社に入る」「好きなことをして生きる」……。

価値観の多様化といえば聞こえはいいですが、定期的に新しいライフスタイルや人生の意味が提示され続ければ、どうしても迷いや不安が生まれてきます。

新しい商品が出て楽しい気分になったものの、どれも選べなくなり、逆にストレスを抱えたようなものです。

価値観の多様化が問題なのは、私たちの未来像を、ぼんやりとしたものに変えてしまうからです。

狩猟採集民のように「生きる産む育てる」だけを目的にすれば、その時点で未来の姿は 100%確定し、もはや次の行動に思い悩む必要はなくなります。

いっぽうで現代のように選択肢が豊富な社会では、未来の姿はいくつにも分岐をくり返し、決してひとつに定まることがありません。

あいまいな将来は私たちのなかで明確な像を結ばなくなり、結果として未来との心理的距離は遠くなっていきます。

これが、価値観のブレによって不安が起こる理由です。

この問題を解決するには、いったん分岐した未来をまとめるしかありません。

自分のコアとなる価値観を絞り込み、未来を今に近づけるのです。

4あなたの人生における価値観とはなにか? 「ACT(アクト)」をご存じでしょうか? 「アクセプタンス&コミットメントセラピー」の略で、不安な感情に対処する方法を学ぶと同時に自分の価値観を見定め、それに合った行動を増やしていくことを目指す最先端の心理療法です。

その効果は数百の研究で確認されており、たとえば 1821人のデータを精査したメタ分析では、 ACTはサイコセラピーや心理教育などの治療よりも不安障害への効果が高く、人生の満足度も上がるとの結論が出ています。

また別のメタ分析によれば、肥満体型( BMI 25以上)の者が ACTを 12時間ほど続けた場合、平均で 7・ 6キロもの減量効果が認められたとの報告もあります。

これは、価値観を明確にしたおかげでダイエットの悩みがやわらぎ、健康的なライフスタイルへのモチベーションが上がったのが原因です。

ACTの効果が高い理由はそれだけではありませんが、価値観のメリットを示す証拠としては十分でしょう。

ACTでいう「価値」とは、次のようなものです。

「個人のさまざまな外的または内的世界と関わりを持つ際にわきあがる確信、迷いなくゴールを達成する際の動機づけとなるもの、などから構成される特定の心理的な現象」 やや難しい定義ですが、「人生のモチベーションを与える基本原理」ぐらいに考えて構いません。

こんなふうに生きていきたいと、心から思えるような人生の方向性のことです。

というと、多くの人は「自分の価値観などわかっている」と考えがちです。

「金が欲しい」「幸福になりたい」「尊敬されたい」など、欲望の方向性は違えども、誰でも己が何を求めているかぐらいはすぐ思いつくでしょう。

しかし、本当の価値観とは、あなたが人生でどのように行動したいのかを問い続けるプロセスです。

自分の人生に足りない要素を補うのが目的ではありません。

この考え方がわかりづらいようなら、試しにこう自分に問いかけてみてください。

「もしすでに使いきれないほどの金を手に入れ、理想の仕事につき、毎日が幸福感に満ち溢れていて、誰からも尊敬されていたとしたら、私はどのように行動するだろうか? 自分や他者との関わり方はどう変わるだろうか?」 すべてが満ち足りた状態でもなお行動せずにはいられない物事こそが、あなたの心の底に眠る本当の価値観なのです。

5ミシシッピ大学の「価値評定スケール」とは? あなたの真の価値観を探り当てるには、どうすればいいのでしょうか? 現時点でもっとも科学的に正当性が高いのは、ミシシッピ大学のケリー・ウィルソン氏が開発した「価値評定スケール」です。

いまも多くの臨床現場で実際に使われており、鬱病や不安障害などの治療に大きな効果を発揮しています。

このスケールは人生の重要な領域を 12種類にわけたもので、それぞれのジャンルについて、あなたがどのように行動したいかを 1 ~ 2行の短い文章で書き込んでいきます。

たとえば「キャリア・仕事」であれば「困った人の役に立ち自分も成長する」でもいいですし、「余暇・レジャー」であれば「自然のなかでリラックスしながら過ごす」でも構いません。

直感で重要だと思ったものだけを記入していってください。

その際には、自分に次の質問をしてみると、答えを思いつきやすくなります。

6「価値」と「目標」はどこが違うのか? 注意したいのは、自分の価値観を考えたつもりが、気づかずに人生の目標を書いてしまう人が多い点です。

価値観と目標には、明確な違いがあります。

目標は未来に達成すべきゴールのことであり、いったんクリアすればそこで終わり。

成功することがあれば、失敗することもあります。

しかし、価値はつねに現在のプロセスなので、どこまで行っても終わりはありませんし、成功も失敗も存在しません。

「クリエイティブな仕事につく」は目標ですが、「クリエイティブな人間でいる」なら価値、「結婚する」は目標ですが、「好きな人と楽しく暮らす」なら価値になります。

価値の裏づけがないと、目標は不安の原因になります。

弁護士になりたいと考えて猛勉強を始めた人がいたとしましょう。

この時点で彼の中には「試験に受かる」と「試験に落ちる」という2つの未来が生まれ、将来があいまいになったぶんだけ現在との心理的距離は広がり、不安も悪化していきます。

ところが、弁護士という目標の向こうに、「弱い人を救う」や「新たな知識を学ぶ」といった価値観があったらどうでしょう? その瞬間から司法試験の勉強は「他人を救うための実践のひとつ」か「新たな情報を学ぶ喜び」に変わります。

遠くてあいまいだった未来が、価値観のおかげで現在進行系のプロセスに切り替わったのです。

このように、価値にもとづく行為は時間の心理的距離を〝いまここ〟に収束させ、未来への不安を消し去ります。

長期的な目標を抱えた人ほど、価値観のメリットは大きくなっていくでしょう。

さて、「価値評定スケール」の記入が終わったら、今度は人生のジャンルの「重要度」と「一致度」を 10点満点で採点します。

・重要度……それぞれの価値観について、自分の人生にどれだけ重要かを採点します。

まったく重要でなければ 1点、最高に重要なら 10点です。

・一致度……過去 1ヶ月間を振り返って、自分がどれだけそれぞれの価値観にもとづいた行動を取れたかを採点します。

まったく一致していなければ 1点、完璧に一致していれば 10点です。

この作業でわかるのは、いまのあなたがどれだけ自分の心に背を向けているかです。

重要度と一致度の数字が離れれば離れるほど、あなたは自分の価値観に背きながら生きている証拠。

日々の不安やストレスは高まり、メンタルのパフォーマンスが低下する確率も高くなります。

そんなとき、このエクササイズは、人生の行き先を指し示すコンパスとして働きます。

たとえば、あなたが家を買うかどうかを迷い始めたとしましょう。

その裏には、どのような価値観があるでしょうか? もし「子供を幸せにするため」という価値観の重要度が高かったなら、仕事量を減らして時間を作り、子供と遊んであげたほうが幸福の総量はあがるかもしれません。

もし「精神的な安心を得たい」のほうが重要だったなら、インデックスファンドに投資して 8%の年利を稼いだほうが生活は安定するかもしれません。

人生に完全な正解を出すのは不可能ですが、少なくともあなたにとって満足感の高い選択を可能にしてくれるのは間違いないでしょう。

かつてドイツの文豪ゲーテも言ったとおり、「どこに行こうとしているのかわからないのに、決して遠くまで行けるものではない」からです。

7さあ実践!「人生の満足度を高める自己分析」 自分の価値観を探すのは、思ったよりも難しい作業です。

「価値評定スケール」に書き込むたびに「これが本当の価値観だろうか?」「こんなことを考えても意味がないのでは?」といった思考がわき上がり、せっかくの作業を止めてしまうのが普通です。

価値の明確化が難しいのは、私たちが抽象的な問題の取り扱いに慣れていないからです。

古代のシンプルな環境においては、「今日の天気は?」や「獲物はどこにいる?」といった問題について考えればそれで十分。

人智を超えた不幸や自然現象を目の当たりにしたときも、精霊や妖怪の姿を思い描けば世界観の説明としては事足りました。

「愛」や「理想」といった概念について私たちが考え始めたのは、ごく最近のことです。

そのため、私たちの脳は抽象より具象を扱うときにこそ万全の機能を発揮します。

いきなり「愛とはなにか?」と問われて即答できる人は少ないでしょうが、「どんなタイプの異性が好きか?」と言われれば急に答えやすくなるでしょう。

その点、「価値評定スケール」はトップダウン型のツールなため、脳の仕組みからすればやや使いづらい側面もあります。

慣れないうちは、手がかりのないパズルを解いているような気分になるかもしれません。

そこで、もうひとつ「パーソナルプロジェクト分析( PP A)」というボトムアップ型のアプローチも紹介します。

これは、ケンブリッジ大学のブライアン・リトル氏が考案した自己分析メソッドです。

この手法がユニークなのは、「人生の満足度を高めるための自己分析」に特化している点です。

世の中には様々な性格テストがありますが、いくら自分の才能や得意な分野がわかっても、眼の前の作業から生きがいを得られなければ人生の満足度は上がりません。

その前に、自分が抱えるプロジェクトを細かく分析し、より幸福度が高まりやすい行動を増やしていくほうが実りは多いでしょう。

PPAには 30年以上ものデータの蓄積があり、実践した被験者は、おおむね人生の満足感が上昇することがわかっています。

少し複雑なテクニックなので、ここでは価値観の明確化に役立つポイントだけを見ていきましょう。

ステップ ① パーソナルプロジェクトのリストアップ まずは「いま自分が取り組んでいるプロジェクト」をリストアップします。

プロジェクトと言われると身構えてしまいそうですが、「お菓子の量を減らす」

や「部屋を掃除する」といった日常的なタスクでもいいですし、「 TOEICで 900点を取る」「営業成績 1位を目指す」のような中長期的な目標でも、「もっと良い人間になる」「何かおもしろいことをする」ぐらいのふわっとした願望でも問題ありません。

現時点で自分が取り組んでいることはすべてプロジェクトです。

リトル博士の調査によれば、多くの人は平均で 15種類のパーソナルプロジェクトに取り組んでいるとか。

10 ~ 15分をかけて、思いつくだけリストアップしてください。

ステップ ② プロジェクトのレーティング リストアップしたプロジェクトから、自分が重要だと思うものを直感で 10個だけ選択します。

選んだ選択肢は「 PP Aレーティングマトリックス」に書き込み、それぞれの「重要性」や「困難さ」を 10点満点で採点しましょう。

各項目の意味は以下のとおりです。

・重要性:そのプロジェクトが自分にとってどれだけ重要か・簡単さ:そのプロジェクトに取り掛かるときの敷居の低さ・透明性:友人・家族がそのプロジェクトの内容や進み具合を知ることができる、または理解できるかどうか・管理性:そのプロジェクトに対して、どれだけ「自分でコントロールできている」という感覚があるか・責任:そのプロジェクトには社会的な責任があるかどうか・時間適正:そのプロジェクトをやるだけの十分な時間があるかどうか・成功率:そのプロジェクトを達成、または満足できるレベルまでこなせる確率は高いかどうか・自己同一性:そのプロジェクトが、自分のアイデンティティに沿っていると感じられるかどうか。

または、自分の性格に適していると思えるかどうか・他者からの重要性:他人から見て、そのプロジェクトを重要だと感じてくれそうか・進捗状況:いまの時点で、そのプロジェクトをどれだけ達成できているか・やりがい度:そのプロジェクトにやりがいが感じられるかどうか・没頭度:そのプロジェクトに夢中になってのめり込めるかどうか・支持レベル:そのプロジェクトを達成するためのサポートが得られるかどうか(金銭的なサポートでもアドバイスでも何でも OK)・自律性:そのプロジェクトに対して、誰から強制されるわけでもなく「自分の意思でやる」と感じられるか すべての採点が終わったら、各項目につけた点数を合計して、それぞれのプロジェクトの合計点を出してください。

点数が高いものほど、あなたにとって重要なコアプロジェクトになります。

ステップ ③ プロジェクトの上位分析 最後に各プロジェクトを深掘りします。

ステップ 2で浮かび上がったコアプロジェクトのなかから得点が高い5つを選び、上位の概念に展開していきましょう。

具体的には、それぞれのプロジェクトに次のような質問をぶつけてください。

・このプロジェクトをふくむもっと長期的なプロジェクト、またはもっとスケールが大きいプロジェクトはなにか?・そもそも自分はなぜこのプロジェクトをやっているのか? 一例として、「食べ過ぎを止める」というプロジェクトを展開させてみたのが、次の図です。

このように何度も問いを重ねていき、もっともトップに出てきた上位概念があなたの価値観になります。

リトル博士のデータによれば、だいたい 5 ~ 6段目まで進んだあたりで自分の価値観にたどりつくケースが多いようです。

もちろん、ひとつのプロジェクトに対して、複数の上位プロジェクトを展開しても構いません。

たとえば「食べ過ぎを止める」というプロジェクトには、「体重を 10キロ減らす」のほかにも「健康になる」という目的もあるかもしれません。

そんなときは、「体重を 10キロ減らす」と「健康になる」の両方を上位に展開させてください。

1 ~ 2段目あたりで詰まってしまったときは、 PP Aレーティングマトリックスの点数を参考にしてみてください。

「食べ過ぎを止める」というプロジェクトの「他者からの重要性」の点数が高ければ、あなたにとっては友人や家族への印象が大事なのだと考えられますし、「自己同一性」の点数が高ければ、ダイエットによって自分らしさを取り戻したいのだと考えられるでしょう。

いずれにせよ、プロジェクトが上に向かうほど価値観は見つかりやすくなります。

いったん最上位の価値観が見つかれば、あとはそれに沿って毎日の暮らしをコントロールしていくだけです。

その具体的な方法については、第 9章から細かく考えていきます。

8幸福感が高まるのは「貢献した」とき 先にも述べたように、本当の価値観を見つけ出す作業は難しいものです。

それゆえに、「価値評定スケール」や「 PP A」などのツールを駆使しても、自分がしっくりくるような価値が出てこないケースは多々あります。

そもそも「価値観の明確化」がヒトの生理に反した行為なので、何も浮かばなかったとしてもしかたありません。

そんなときは、いったん「最大公約数の価値観」に従ってみるといいでしょう。

多くの人に共通する価値観をとりあえず採用して、自分の不安感がやわらぐかどうかを確かめるのです。

ミシガン州立大学が約 20万人分のデータを精査したメタ分析によれば、人間は以下の4つの価値観に幸福を感じやすい性質を持っています。

・自治:どれだけ人生を自由にコントロールできるかどうか・多様性:仕事や人間関係に多彩さがあること・困難:人生のタスクに適度な難しさがあること・貢献:他者の役に立っているかどうか いずれも納得の要素ですが、このなかで飛び抜けて抜けて影響が大きいのは「貢献」です。

自分の行動が他者に良い影響を与えていると確信できたときほど、私たちの幸福感は高まりやすくなります。

かつてキング牧師が聴衆に語りかけた「人生で最も永続的でしかも緊急の問いかけは、『他人のために、いまあなたは何をしているか』である」という言葉は、定量的なデータでも裏付けられた事実なのです。

もし未来の選択に不安を感じたら、試しに「誰かの役に立つ行動はなにか?」を考えてみてください。

その瞬間にあいまいだった未来は〝いまここ〟に収束し、不安が情熱に変わります。

価値観に沿った行動を取る限り、あなたの未来には、もはや失敗がありえないからです。

第 6章 実践ガイド・パーソナルバリューリスト:本章『 6 ミシシッピ大学の「価値評定スケール」とは?』のリストを参考に、もっとも自分にしっくりくる価値観を選択。

重要度が高いものから順番にランク付けしましょう。

あまり時間をかけず、 10分ぐらいで直感に従って選ぶのがコツです。

・価値評定スケール:パーソナルバリューリストをもとに、「 12種類の人生のジャンル」に記入してみましょう。

手間がかかる作業なので、最低でも 2時間をかけて取り組みます。

ただし、 1回の記入で本当の価値観がわかるケースは少ないので、 1ヶ月おきに見直してみるのをオススメします。

・パーソナルプロジェクト分析:上位プロジェクト分析(本章『 7 さあ実践!「人生の満足度を高める自己分析」』のステップ 3)は、必ず 5段目より上まで自分の価値観を追い込んでください。

価値観が定まったら、今度は下位プロジェクト診断( 7章『 4 幸福感が上がりやすくなる「 3のルール」』)を使って、「自分の価値観に沿った行動」を決定。

これに「イフゼンプランニング」( 7章『 5 現在と未来の心理的な距離を縮める方法』)の技法を組み合わせ、日々の行動に落とし込んでください。

・ジョブクラフティング:仕事へのモチベーションがわかない場合も、上位プロジェクト分析(本章『 7 さあ実践!「人生の満足度を高める自己分析」』のステップ 3)を使います。

一番下の段にあなたの仕事の内容を書き込み、「この作業はなんのためにしているのか?」という質問を重ねても 5段目より上まで書き出してみてください。

どうしても価値観が見つからなければ、その仕事によって具体的な恩恵を受けている人(医者であれば患者、コンビニ店員であれば常連客など)のことを想像してみるのも有効です。

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