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第 5章【思考】プロジェクトマネジメント思考とは ~プロジェクト成功のために ~

思考 01 資源の有限性を認識しベストを尽くす思考 02 合理的思考とは?思考 03 先人から学ぶ思考思考 04 プロジェクトマネジメントとリーダーシップ思考 05 リーダーシップ ①─権限は必要か?─思考 06 リーダーシップ ②─役割、要求・関心事項の期待に応える─思考 07 リーダーシップ ③─複数の手法を知る─思考 08 リーダーシップ ④─コミュニケーションとモチベーション─思考 09 異文化コミュニケーションとは?思考 10 資料の作成は「手段」─本当の目的は?─思考 11 メンタルヘルスの観点思考 12 身近なものを「プロジェクト化」してみる思考 13 【思考】のまとめ

思考 01資源の有限性を認識しベストを尽くす ここまで、プロジェクトマネジメントで最低限知っておくべき重要かつ実践的な基本知識、目標設定、計画、実行を学びました。ここからは、プロジェクトマネジメントで最低限知っておくべき重要な「考え方」「観点」「思考」などをお伝えします。 本書を通じて、プロジェクトでは様々な「調整」や「やりくり」が必要だと感じたと思います。この「調整」や「やりくり」はプロジェクトマネジメントでとても重要です。 では、なぜ「調整」や「やりくり」が必要なのでしょうか? ひとつの観点として、経営資源であるヒト・モノ・カネ・ジョウホウ・ジカンが「有限」であることが挙げられます。未来に設定した目的・目標を達成させるために有限である経営資源を効率的に活用する必要があります。 あらゆる制限や制約があるなかで結果を出すのは大変だと思うかもしれません。しかし、この資源の制限や制約の中で最大限の結果を出すのがプロジェクトマネージャの醍醐味です。 「これしか予算が得られなかった…」「この人数では厳しいよ…」「こんな短期間の納品日では無理だよ…」などと最初から悲観的に考えるのではなく、「よし! この条件で最大限やろう!」という前向きな思考( Positive Thinking)がまず必要です。 また、制限や制約があるから目標設定、計画、実行ができるともいえます。例えば、プロジェクト予算が限られていれば、その予算に見合った製品やサービスを考えられます。ありとあらゆるものが「自由」な場合、意外と目標設定、計画、実行は難しくなるものです。 資源は有限であるという観点のもと、その中でベストを尽くすという考え方がプロジェクトマネージャには求められます。思考 02合理的思考とは? 本書では合理的思考という言葉を使ってきました。では「合理的( Rationally)」とは一体何でしょうか。 実は「合理」の意味や解釈は経済学、数学から哲学まで幅広くありますが、ここでは一般的な言葉の意味として説明します。「合理」の「理」は「ことわり」とも読み、「もっともなこと」「道理」「条理」、という意味があります。 単純化すると「理」に「合う」ことが「合理」です。「合理的」とは、「論理にかなっている」「因習や迷信にとらわれない」「目的に合っていて無駄のないさま」という意味です。 逆に合理的ではないさまとは、迷信や勘、感覚などと解釈できます。結論に対して「筋が通っていない」ことも合理的ではないひとつです。 グローバルプロジェクトではプロジェクト中に「 It doesn’ t make sense!(それは筋が通ってない!)」といったり、いわれたりすることがあります。論理的ではなかったり、論拠がなかったりする場合です。 プロジェクトマネジメントでは、未来の目的・目標をどう成し遂げるのかを計画書として可視化、数値化し、また実行中も計画と実績の差などを数値などで表してきました。さらには、ステークホルダーなど複数人数と合意形成し計画を定めたり、変更をしたりします。【計画】や【実行】の章で「お盆のバランス」の話をしました。これらは合理的な活動の一歩です。 迷信や自分や他人の勘や感覚などではなく、実際の状況、数値、関係者の意見などを総合して考えるようにしましょう。 最後に、自分の過去の成功体験を疑うことをお勧めします。過去の成功体験や教訓は大変重要ですが、今回のプロジェクトでそれが当てはまるという論拠はどこにもありません。常に今の状態を「合理的」に考え、現状に合うものか考えることが重要です。これもプロジェクトマネージャに求められる「経験」のひとつです。

思考 03先人から学ぶ思考 プロジェクトマネジメントは学問でいうと社会科学的要素が強いものです。社会科学は自然科学とは異なり、社会における人間の行動を科学的、体系的に研究するものであり、それらの知識の体系です。 プロジェクトマネジメントの知識や技術は先人が経験し、それを科学的アプローチで体系化したものが多く含まれています。 これらの知識や技術の体系化の背景には多くの経験にもとづいた研究や、その研究の成果をまとめた論文も多く存在します。 では、なぜ先人はこのような知識体系をまとめるのでしょうか? それは、先人の知識体系を学ぶことで、後に続く私たちがさらに高度なプロジェクトマネジメントを実現しやすくするためです。知識体系は人間社会の高度化の貢献をしているものなのです。 プロジェクト終結報告書に「教訓」を残すことが重要であるとお伝えしましたが、これも後に続くプロジェクトマネージャが同じ失敗を繰り返さないため、そしてさらに高度なプロジェクトマネジメントを企業や組織で実現していただくためです。 プロジェクトマネジメントの学問を学ぶ、先輩プロジェクトマネージャから対話で学ぶ、コミュニティなどでプロジェクトマネージャがお互いに経験談を共有するなど、先人から積極的に学ぶ姿勢や思考がプロジェクトマネージャのプロジェクトマネジメント力を高めるひとつの要素となります。 先人から教えを乞うことが苦手な人もいるとは思いますが、その「教え」が自らのプロジェクトマネジメント力を高め、目的・目標達成につながり、最終的に仕事の実績や評価につながります。 また、プロジェクトマネージャは自分の経験や、経験をもとに研究し体系化した知識を、後に続くプロジェクトマネージャに積極的に伝えましょう。それが企業や組織、社会の高度化に貢献することにつながります。思考 04プロジェクトマネジメントとリーダーシップ プロジェクトマネジメント経験者はプロジェクトでのリーダーシップを求められたり、その重要性を体感として理解していたりするのではないでしょうか。では、「リーダーシップ」とは何でしょうか? 指導者、指導力、対人影響力、統率力、指導者の素養……など人によって様々な回答が出てくるかもしれません。 実際にプロジェクトマネジメントの教育現場でこの話をすると、人それぞれ異なった回答が出てきます。また実際に「リーダーシップ論」も複数存在し、その着眼点、論拠、分析内容、結論も異なります。人それぞれでリーダーシップの考え方は異なるのです。 まず、皆さんに理解していただきたいことは、「〇〇をやればリーダーシップを発揮できるというものではない」ということです。さらに簡単に説明すると「リーダーシップは画一的なものではない」ということです。 プロジェクト経験者の皆さんもこんな経験があるかもしれません。プロジェクトマネージャの Aさんは非常に厳しい仕事の進め方をするが、なぜかチームメンバーがついてくる、プロジェクトマネージャの Bさんは仕事をしているのかよくわからない状況だけれどなぜかチームメンバーがついてくるなどです。 プロジェクトマネージャの責任は、単純化すれば納期までに目的や目標を達成させるために要求事項を満たす成果物を納品することです。多くのプロジェクトはひとりでは目的・目標達成させることはできません。多くのステークホルダーとともに目的・目標の達成を目指します。この点はどのプロジェクトマネージャにも共通です。 そのために、ステークホルダーに働きかけ、影響を与える必要があります。この方法が画一的ではないのです。しかしながら最低限知るべきポイントはあります。本書で紹介した内容に関連するポイントを以降で紹介します。

思考 05リーダーシップ ①─権限は必要か?─ プロジェクトマネージャが望む権限が与えられずプロジェクトを遂行する場合があります。プロジェクトマネージャの悩みで「もっと権限があればプロジェクトがうまく回るのに」ということをよく聞くことがあります。 確かに、権限が多く与えられればプロジェクトのリードが楽になるかもしれません。 しかし、果たして権限だけでリーダーシップは発揮できるでしょうか? 権限があればプロジェクトの目的・目標を達成できるのでしょうか? 確かにひとつの要因ではありますが、全てではないことに気づかれることでしょう。 例えば、皆さんの会社や組織の経営者は高い権限を持っていますが、果たして権限を持っていれば会社の目的・目標の達成、業績の発展が実現するでしょうか? 現実問題として上り坂の会社や組織もあれば、下り坂の会社や組織もあります。皆さんの会社や組織の中での今までのキャリアパスを思い出してみてください。会社や組織に入ったばかりの時、ほとんど権限は持っていなかったのではないでしょうか? しかし、仕事や活動の中で周りの人々に働きかけ、影響を与え、自らも努力した結果、今の役割や役職となり、一定の権限を得られたのではないでしょうか。 プロジェクト憲章の「役割/責任/権限」の部分で、目的・目標達成のためのプロジェクトマネージャの権限を得て明確にすることはとても重要なことです。しかし、この権限だけがリーダーシップにつながるかというと、ひとつの要素ではありますが全てではありません。思考 06リーダーシップ ②─役割、要求・関心事項の期待に応える─ プロジェクトマネージャがプロジェクトをリードしていく際、プロジェクトマネージャの役割やステークホルダーの要求事項、関心事項への期待に応えることも重要です。 プロジェクト憲章での役割、要求事項文書、スコープ記述書などで調整された要求事項、ステークホルダー分析で特定された関心事項などにしっかりと応えていくということです。 例えば、週 1回の進捗報告をすることを決めていたにもかかわらず、それをせず、一向にそれを改善しようともしないプロジェクトマネージャがいくらリーダーシップを発揮しようと思っても難しいでしょう。なぜなら、基本的な期待に応えていないからです。 また、プロジェクトマネージャは「役割」にもステークホルダーの個別の「期待」があることを知っておくことが大切です。プロジェクトマネージャへのステークホルダーの期待は活動の場面によって変わっています。 例えば、お客様に対して交渉する場面は自組織のステークホルダーが自組織にとってよい条件での交渉を期待していたり、自組織内のレビューミーティングで報告する場面では根拠にもとづく簡潔な報告を期待していたり、プロジェクトチームメンバーと活動している場面ではモチベーションを高める前向きな行動を期待していたりするなど、場面によって、そしてステークホルダーによって役割への期待が変化します。 このように、様々な役割や要求事項、関心事項をしっかりと特定しそれらに応えていくことが、リーダーシップを発揮する基礎になってきます。思考 07リーダーシップ ③─複数の手法を知る─ 既述の通り、リーダーシップの観点や手法、スタイルは様々です。しかし、これらの観点や手法を「知っておく」のはとても大切なことです。複数のリーダーシップ論を学んでおくことで、状況に応じて最適と思われるリーダーシップスタイルを使うこともひとつの方法です。 例えば、とても指示的なリーダーシップスタイルと、協力的なリーダーシップスタイルがあったとします。 指示的とはプロジェクトマネージャが主体で細かい活動の内容、手法、条件などを決め、チームメンバーに対して有無をいわさず指示するスタイルです。 協力的とは、反対に、チームメンバーから内容、手法、条件などを聞き出し、調整し、メンバーが主体となって活動するスタイルです。この双方のパターンは両極端な例ですが、個人的な好き嫌いにかかわらず知っておくことが重要です。 極端な例で考えてみましょう。複数の人と部屋にいた時、大地震や火災などが起こったとします。このような状況で協力的なリーダーシップスタイルは不適切でしょう。どう行動するかを皆で相談している場合ではありません。指示的リーダーシップスタイルで迅速に行動し避難したほうが適切でしょう。 逆に複数の人と時間に余裕があり細かい旅程もないバケーションを楽しんでいたとします。この時に指示的リーダーシップスタイルは不適切でしょう。余裕があるのに指示的な行動をされたら皆のモチベーションも下がってしまうでしょう。協力的リーダーシップスタイルで皆の考えをまとめ、皆が主体でモチベーションを高めながら行動するほうが適切でしょう。 プロジェクトの進捗状況や状態をしっかりと把握し、状況や状態に合わせたリーダーシップスタイルを選択することも重要です。

思考 08リーダーシップ ④─コミュニケーションとモチベーション─ 第 4章【実行】で、コミュニケーションには相手との良好な関係が必要であるとお伝えしました。コミュニケーションとリーダーシップとは切り離せないものです。 皆さんもイメージできると思いますが、良好な関係でないとコミュニケーションが円滑にならず、最終的にリーダーシップを発揮できる状況ではなくなってしまいます。 良好な関係のためには、自分を開示すること、そして相手を理解することによる「相互理解」が極めて重要です。その時にお互いの「価値観」の理解が大切です。私はこういう人です、こういう価値観の人ですということをお互いに共有し、尊重し合うことが良好な関係に結びつきます。 このことは本書のチームビルディング(第 4章「実行 02 チームとは何かを改めて考えてみる」の項参照)で説明した「補完関係」にも関係します。価値観の尊重はモチベーションにも関連します。 様々なモチベーションに関する理論はありますが、価値観が尊重されている状況での仕事や活動はモチベーションを高めます。モチベーションが高まるとチーム全体の士気が高まり、目的・目標達成に向けた推進力が高まります。このような状況・状態・環境を構築することがリーダーシップに求められます。 残念ながら、これらは簡単なことではありません。しかし、プロジェクトマネージャはこれらの状況・状態・環境を構築する努力をし続ける必要があります。 グローバルプロジェクトではプロジェクトマネージャに「ポジティブ」な態度( Attitude)が期待されることがあります。良好な関係、良好なコミュニケーション、モチベーションを高めるためには「ポジティブ」な前向きな態度が大切だからです。プロジェクトでは大変なことも多いですが常にポジティブであることが大切なのです。思考 09異文化コミュニケーションとは? 現代では海外の人と一緒にプロジェクトを行うことも増えてきています。異文化コミュニケーションについて、重要な思考の観点をお伝えします。 すでに、本書では異文化コミュニケーションにおいて、情報が伝達できたかを確認する必要性、そのために相手に対して情報のフィードバックをもらい確認する必要性を述べました。 異文化でのチームビルディングでは、基本として相手の文化、風習、価値観をしっかりと知ることが重要です。 そのためには「相手を知りたい」という思いと、「 Active Listening(積極的傾聴)」が重要です。 グローバルプロジェクトの現場では、現地現場の会議、テレビ会議や電話会議などで自分では納得できないことを相手に積極的に質問しない、自分の考えを述べない場面が見られる場合があります。 例えば、相手の様々な意思決定に対して「なぜ」その意思決定になったのかを聞かなかったり、自分の考えを伝えなかったりすることです。グローバルプロジェクトでは「 Why?(なぜ)」という質問が多くあります。これは「相手を知りたい」という思いと、そのための「 Active Listening」のためです。 お互いの思考は文化、風習、価値観により異なります。したがって、これらのコミュニケーションの密度を高めることが異文化コミュニケーションの基本です。「相手を知りたいために質問している」という思いが伝われば、相手も嬉しいものです。 他には相手の文化や風習の「 Do’ s and Don’ ts(やっていいこと、悪いこと)」、相手の国の祝祭日以外の休みの習慣、相手の国の労務上の法規など、プロジェクトに直接・間接に関係することを積極的に Active Listeningすることも大切です。

思考 10資料の作成は「手段」─本当の目的は?─ プロジェクトマネジメントをしていると、多くの資料を作成する機会があります。特に計画時などは資料の作成機会が増えます。大量の資料作成に追われ、ついつい「資料作成」がプロジェクトマネージャの仕事と思ってしまいがちです。 すでに学んできたように、資料作成は見えないものを可視化したり、合意形成をしたり、エビデンス(証拠)を残したりする大切なものですが、それ自体は「手段」でしかありません。 今一度プロジェクトマネージャの役割を思い出してみてください。プロジェクトマネージャは、目的や目標を期日までに達成させ、プロジェクト完了に責任を負う役割です。この役割を全うするために手段として資料作成をしているのです。 プロジェクトの現場では、プロジェクトマネージャがパソコンに向かって時間をかけて資料を作ったり、資料類の見た目に凝って時間を費やしたりする場面を見ることがありますが、果たしてそれが目的や目標達成のために直結しているのかを考える思考が重要です。 資料類はシンプルにわかりやすく作成し、チームビルディングやステークホルダーマネジメント、リーダーシップを発揮するためのコミュニケーションに時間を費やしたり、実際の成果物や要素成果物の確認や活動の確認に時間を費やしたりするなど、目的や目標を達成させるために何に時間を使うべきか、その配分をどうするかを考える思考がプロジェクトの成功に結びつきます。思考 11メンタルヘルスの観点 プロジェクトマネジメントの知識体系や教材類の中で、あまり紹介はされていないですが「重要な観点」としてプロジェクトにおける「メンタルヘルス」の観点があります。 メンタルヘルスとは、いわゆる「こころ」における健康のことです。既述の通り、プロジェクトは定常・継続業務とは異なり、未来の目標を期限までに達成させる一連の活動です。そこには定常・継続業務のように成功や成果を出すための画一的なマニュアルなどはないのが現状です。 プロジェクトに直接、関与しているステークホルダーは、努力し目的・目標を達成させるために頑張っています。 この点において、プロジェクトチームメンバーが肉体的疲労ではなく、心の疲労、ストレス、悩みなどを抱えることもあります。そして、何よりもプロジェクトマネージャ自身が、これらを抱えることもあります。 プロジェクトマネージャは、プロジェクトチームメンバーや自身の稼働時間の管理だけではなく、「こころ」の健康についても目を向けなければなりません。 メンタルヘルスチェック、日々のコミュニケーション、プロジェクトチームメンバーのケア、そしてプロジェクトマネージャ自身のケアなどもプロジェクトマネジメントで重要な要素です。 これらの観点を、プロジェクトを推進する上での思考に組み込むことも重要です。法人格に資本金があるように、会社や組織を構成する従業員個人にも健康という資本があります。 プロジェクトマネジメントでは、人的資源やその稼働に無理はないのかという観点がありますが、それに加え、「こころ」の無理はないかという観点が現代のプロジェクトマネジメントに求められているのではないかと考えます。思考 12身近なものを「プロジェクト化」してみる 本書ではプロジェクトマネージャとしての重要な要素には「知識・技術」「経験」「人間性」があるとお伝えしてきました。この中の「経験」については、日々の生活で身近なものを「プロジェクト化」してみることでも鍛えられます。 例えば、ちょっとした外出、旅行、引越し、飲み会やパーティーの設定、買い物、料理などを「プロジェクト化」してみるなどです。「皆さんの一日」を「プロジェクト化」してみることもできます。また、出勤時の電車の中で今日の目的を設定、目的達成のための目標を設定、目標達成に必要な簡単なスコープを設定、スケジュール・コスト・リスクなどを簡単に設定、これらを実行し、結果を帰宅の電車の中で振り返り教訓を得る、などです。 しっかりとしたプロジェクト計画書類を作るというよりは、プロジェクトマネジメント思考で考え、目的・目標、スコープ、スケジュール、コスト、リスクなどの要素を手帳などにメモ書きし、実践し、振り返ることです。ここで重要なことは、プロジェクトマネジメント思考で「考えてみる」というクセをつけることです。 これらを日々繰り返すことで、本書で紹介した「スコープ vs時間 vs資源 vsコストの視点」が養われます。このように、お仕事だけではなく、日々の活動でも経験値を高めることができます。 筆者の経験ですが、旅行、引越し、結婚式、パーティー、研究、会社の起業など、あらゆる活動でプロジェクトマネジメント思考を活用し、コスト削減、スケジュール短縮などを行ってきました。さらには本書の執筆にも活用しています。プライベートの活動でもプロジェクトマネジメントの知識や経験を活用できます。ぜひチャレンジしてみてください。思考 13【思考】のまとめ ここまで、プロジェクトマネジメントを実践するために筆者が重要だと思う思考を紙面が許すかぎりお伝えしてきました。実は、最も重要な思考は「目的・目標達成思考」です。 プロジェクトの目的・目標を達成するために何が必要か、どう行動すべきかなどを考えることが思考の基本となります。 本書でお伝えしてきたように、プロジェクトは定常・継続業務とは志向性が異なります。プロジェクトは期日までに目的・目標達成することに徹底的にこだわります。 この目的・目標達成のために、紹介したリーダーシップ、コミュニケーション、チームビルディング、異文化コミュニケーション、モチベーション、目的と手段の適切な認識、身近なもののプロジェクト化の習慣化、先人の教えを大切にする姿勢、メンタルヘルスなどの思考が必要なのです。 また、目的・目標達成思考がしっかりとできるように、自分自身をしっかりと管理していくことが必要です。 例えば、長時間労働による疲労が重なると、適切な思考ができなくなってしまうこともあります。 企業や組織には適切な活動をするための資本金があります。プロジェクトマネージャは適切な活動や行動をするために「健康」が資本になります。自分の活動を見直し、適切な稼働と健康を重視し、目的・目標達成に向けた適切な思考を保つことがプロジェクト成功に結びつきます。

本書では実践的かつ最低限必要な知識や技術を紹介してきました。以降に複数のケーススタディ(ストーリー)を掲載しています。これらを活用し、本書で紹介した知識や技術を実際に使ってみましょう。 ケーススタディではあえて皆さんの現在の仕事とは違うような内容を題材にしています。それは、現在のお仕事に近い内容であると、詳細な成果物の視点になりすぎるあまりプロジェクトマネジメントの視点にならないためです。 ケーススタディはひとりでも実施できますが、可能であれば複数人数で実施することをお勧めします。複数人数でのディスカッションを通じて多面的に考えることができ、またそれらの考えをまとめる体験ができます。 なお、ケーススタディで皆さんが導き出す「結果」はひとつではありません。ワークを実施する人やチームで「結果」が変わることでしょう。目的・目標達成までのルートはひとつではありません。目的・目標達成までのベストな目標設定・計画・実行を目指し、自由な発想でワークを実施してください。 企業や組織にてケーススタディを「研修」として実施する場合は、結果を先輩プロジェクトマネージャが評価しフィードバックする機会を設けるとより効果的です。 本書ではこれまで、プロジェクト憲章、ステークホルダー登録簿、要求事項文書、スコープ記述書、 WBS、 WBS辞書、ガントチャート、コスト管理表、リスク登録簿、定性リスク分析結果、定量リスク分析結果、リスク管理表、プロジェクトマネジメント計画書、変更登録簿、進捗報告書、プロジェクト終結報告書などのツールや技術を紹介してきました。ワーク課題に応じて適切なツールや技術を選択し体感してください。 また、ワークで指定されていないツールや技術でも必要なツールや技術があれば積極的に使ってみましょう。では、始めましょう!

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