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第 5章「読んだら忘れない」精神科医の本の選択術

目次

■本の選び方がわかれば、自分に必要な本を手にできる ビジネス書 1冊、高いのか、安いのか?

「1500円のビジネス書は高い!」と言う人がいますが、あなたはどう思いますか? もちろん、ものにもよりますが、いつも「ビジネス書、 1500円は高い!」と思う人は、本の選び方が間違っている可能性が高いでしょう。

例えば、「 1500円のランチは、高いのか?」これを議論しても意味がありません。

1500円という価格は、サラリーマンが日々食べるランチという意味ではかなり高い値段ではありますが、味がおいしくて、ボリュームもあって、食べた後に圧倒的な満足感に包まれるならば、 1500円は安いと感じるはずです。

1500円の商品から、 1500円以上の価値を得ることができれば、「安い」と思うし、 1500円以上の価値を得ることができなければ「高い」と感じるわけです。

「ビジネス書、 1500円は高い!」と言う人は、つまりその 1冊の本から 1500円の価値を得ていないということを意味します。

1冊の本からたくさんの気づきが得られれば 1500円の価値は絶対にあるはずですが、「高い」と思った本に関しては、あなたはそれを得ていないということです。

それは、本を読み込む能力が低いからでしょうか? それとも、間違った本を選択しているからでしょうか? 読解力の低い人や普段、本を読まない人でも、「この本は素晴らしい!」というホームラン級の1冊と出会うことはあります。

ですから、本を「高い」と思うのは本を読み込む能力の問題ではなく、本の選択の問題なのです。自分にとって気づきが得られない「ハズレ本」を多く買っているのならば当然「ビジネス書、 1500円は高い!」と思うはずです。

本章でお伝えする「本の選び方」を学べば、今の自分にとって最も必要な本を手にできるようになります。結果として、同じ 1冊の本からより多くの気づきを得て、自己成長できるようになります。きちんと実践していただければ「ビジネス書、 1冊 1500円は安い!」が当たり前になるはずです。

【精神科医の本の選び方 1】■ホームラン級の本との出会いが圧倒的な成長を引き起こす〜「ホームラン読書術」本をただたくさん読むだけでは人生は変わらない

私は毎日、 YouTubeチャンネル「精神科医・樺沢紫苑の樺チャンネル」に動画投稿をして、精神医学、心理学、生き方、ビジネスノウハウなどについて発信しています。

動画の内容によっても異なりますが、公開 2日間で約 1000回再生されるものが多いようです。

先日、「失敗しない本選び ハズレなしで『面白い本』を見つける方法」という「本の選び方」をお伝えする動画をアップしたところ、 2日間で 165回しか再生されませんでした。これは、その月、最も再生されなかった動画となりました。

YouTubeで何百本もの動画をアップしていると、視聴者の関心がある話題とない話題がわかってきます。「本の選び方」というのが、多くの人たちにとって全く関心のない話題であることが、この YouTube動画の再生回数によって証明されたのです。

一方で、「月 30冊読書する方法」という動画をアップしたときは、なんと 2日間で再生 2000回を突破し、その月で最も再生された動画となりました。

つまり、多くの人は、本をたくさん読むことには関心がありますが、何を読むかには関心がない、ということです。私は、全く逆だと思います。

読書は「たくさん読む」よりも「何を読むか」のほうが、 10倍重要です。つまらない本を 10冊読むことと、本当に良い本を 1冊読むこと、どちらが自己成長に役立つでしょう。

いうまでもなく「本当に良い 1冊の本を読むこと」です。「本当に良い 1冊の本」は、それほど多くありません。

私の場合、月に 30冊読んで、「この本、凄い本だな」と心から思える本に 1冊出会えれば非常にラッキーです。

つまり、「本当に良い1冊の本」と出会うためにはたくさんの本を読む必要があるのですが、逆にいうと「本当に良い 1冊の本」と高い確率で出会うことができれば、それほど多読しなくても、しっかり自己成長につなげることができます。

ただたくさん本を読むだけでは、人生は変わりません。自分にとって「本当に良い本」と思える本を、どれだけたくさん読むかによって人生は変わるのです。

「本当に良い 1冊の本」と出会うのは、野球でいうと「ホームランを打つ」のと同じことです。どんなに素晴らしい打者でも、全打席ホームランを打つことは不可能です。

ホームランの数を増やすには、まずスターティングメンバーに入って、打席に入る数を増やす必要があるのです。多くの人は「何を読むか」ということをあまり真剣に考えていません。

本をたくさん読んでいるのに成長できない人は、ホームラン本となかなか出会えていない。つまり、本選びの方法が間違っているのです。

「たくさん読む」のではなく、「どの本を読むのか?」にフォーカスし、 1冊 1冊を真剣に選んでいく。そうすることで、真に自己成長につながる「ホームラン本」と出会う確率を飛躍的に高めることができるのです。

本章では、あなたにとっての「本当に良い 1冊の本」と出会う確率を高める方法について、私が行っている全ての方法をお伝えします。

【精神科医の本の選び方 2】 ■今の自分のステージに合った本を読む〜「守破離読書術」なぜか、初心者ほど上級ノウハウを知りたがる

私は、 Facebookや YouTubeなどについてのセミナーを定期的に開催しています。

「 Facebookの上級者向けノウハウが学べます!」と強調すると、たくさん人が集まります。しかし、そこに参加する人の 7〜 8割が Facebook初心者なのです。

以前、「 Facebookの初心者向けテクニックがわかりやすく学べます!」というセミナーを開催したところ、普段の半分も人が集まりませんでした。

初心者の人に限って、基本的な使い方すら知らないのに、なぜか「上級のノウハウ」を知りたがるのです。しかし、そのノウハウが本当に必要となるのは、半年か 1年先かもしれません。

その頃にはもうセミナーの内容は忘れているか、もう使えないノウハウになっている可能性もあります。情報も知識も、今の自分に必要なものを集め、吸収すべきなのです。

そうでなければ、「成長」のためのエネルギー、栄養になりません。今の自分のステージに合った内容を学ぶ。それによって、自己成長を最大化できる。これは「読書」に限らず、全ての「学び」に通じる法則といっていいでしょう。

守破離を意識すると自分のステージが見えてくる自分のステージに合った本を読んでください。言い換えると、「今の自分に本当に必要な本」を読もうということです。

「何を当たり前のことを」と思うかもしれませんが、本を買ってみて「基本的すぎた」「自分の知っていることしか書いてなかった」という体験は誰にでもあるはずです。

ネット書店のレビューで星1つか2つの低い評価をしている人は、たいていそんなことを書いています。

でも、それは本当に本そのものが悪いということなのでしょうか?「初心者向けに書かれた初心者にわかりやすい本」を上級者が読めば、物足りないのは当たり前のことです。

またその反対に、「難しすぎて、よくわからなかった」という体験も、誰にでもあると思います。本を読む場合、自分の知識レベルにピッタリ合った本を買わないと、簡単すぎたり、難しすぎたりして、ちっとも「気づき」や「学び」が得られないのです。

当然、レベル違いの本は、あなたの自己成長に全くつながりません。時間とお金の無駄遣いをするだけなのです。そうならないために「守破離読書術」をお勧めします。

「守破離」という言葉を、聞いたことがある人は多いでしょう。「守破離」とは、日本での茶道、武道、芸術などにおける、学びの姿勢を示す言葉です。

この守破離は、学問でもビジネスでも遊びでも、全てにおいて「学び」を効率良く得られる方法だと思います。「守」は、師についてその流儀を習い、その流儀を守って励むこと。「破」は、師の流儀を極めた後に他流を研究すること。「離」は、自己の研究を集大成し、独自の境地を拓いて一流を編み出すこと。

つまり、基本をそのままそっくり、徹底的に真似る「守」のステージ(初級)。他の人のやり方を研究し、さらに成長していく「破」のステージ(中級)。そして、自分流のスタイルを探求し、ブレイクスルーする「離」のステージ(上級)ということになります。

本を読むということは、「そこから何かを学ぼう」ということだと思いますが、あなたはその場合、「学び」のどのステージにいるのかを考える必要があります。「守」なのか、「破」なのか、「離」なのか……。そして、本も「守」「破」「離」それぞれのステージ、どれかに向かって重点的に書かれていることが多いのです。

自分がその分野で「守破離」のどのステージにいて、どこを目指すのか。そこを見極めた上で、自分が買おうとする本が「守破離」のどの部分を重点的に説明しているのかを照らし合わせれば、あなたにとって「最も必要な本」が自ずと明らかになります。

本は、大まかに 3種類に分類できます。

・守 基礎を学べる「基本」本 ・破 他の人の方法を学べる「応用」本 ・離 自分のスタイルを模索するための「ブレイクスルー」本 ほとんどの人は、なぜか「離」の本を買いたがります。

初心者なのに、いきなり達人の「奥義」を学ぼうとするわけですから、理解できるはずがありません。でも、難しいことを学んだかのように錯覚するため、自己満足は得られます。多読しているのにちっとも成長しない人が陥りやすいパターンです。

1冊の本で基本から応用までを通しで説明している本も多いと思いますが、その場合は買う前に、著者がその本の「主な読者層」としてどんな人を想定しているのかを考え、そして見抜いてください。「守破離」のどこに力点が置かれているのか。

目次を読めば、だいたいわかります。

通しで書いてある本の多くは、「初心者」から「初心者に近い中級者」を主な読者層として想定している、つまり「守」か「破」の本であることが多いはずです。

自分の今のステージに合った本を読む。それだけで、自己成長は何倍も加速します。

【精神科医の本の選び方 3】 ■まず「入門書」から学ぶ〜「入門読書術」「入門書」でまず基本知識と全体像を把握する

トマ・ピケティの『 21世紀の資本』(山形浩生、守岡桜、森本正史訳、みすず書房)が、ベストセラーとなりました。728ページもあり、 6000円近くする大著。こうした骨太の本がベストセラーになるのは異例のことです。

果たして買った人は、本当に読みこなせているのでしょうか? 私は、経済や経済学については「守」のステージなので、どう見ても読みこなせそうもありませんでした。

そこで、『日本人のためのピケティ入門 60分でわかる『 21世紀の資本』のポイント』(池田信夫著、東洋経済新報社)を読みました。

先ほども述べましたが、読書しない人ほど「入門書」よりも、「本格的な 1冊」が好きな傾向にあります。「基本」をすっ飛ばして、いきなり「奥義」を知りたがる。

「わかったつもり」にはなるかもしれませんが、実際に「身につくレベル」「人と議論できるレベル」で読むことは難しいと思います。

例えば、「ユング心理学」について学びたいという人は多いかもしれません。

そういう人に私はどういう本をお勧めするかというと、やはり河合隼雄先生の『の『ユング心理学入門』(培風館)が思い浮かびます。精神科医なら一度は読んでいるユング心理学の定番の 1冊です。

精神科医や心理カウンセラー、あるいは心理学や人文系の本を読み慣れている人であれば、是非『ユング心理学入門』を読んでいただきたいところです。

しかし逆に、月に 2、 3冊しか読書していない人、心理学の予備知識が全くない人には、お勧めできません。心理学用語が次々と登場し、 10ページも読んだところで、ギブアップするのがオチです。

「古典を読む」というのは非常に重要です。しかし、いきなり古典から読み始めても、読み通すのは至難の業です。ですから最初は、入門書や解説書から読むことをお勧めします。

ユング心理学でいえば、『ユング心理学(図解雑学)』(福島哲夫著、ナツメ社)がお勧めです。

このナツメ社の「図解雑学」シリーズは、心理学のジャンルだけで 20冊以上出ていますが、非常にわかりやすいのです。

見開き 2ページで 1項目になっていて、見やすい。

右側の図説で直感的に理解でき、また左側の解説文で理論的に納得できます。普段、本を読まない人や、学生でもわかりやすく理解できるようになっています。

この「図解雑学」シリーズは、私の本棚に 10冊以上並んでいます。昔、私が心理学を勉強したときに、非常に助けられました。こうしたわかりやすい入門書でだいたいの概要、アウトラインをつかんでおきます。

ユング心理学ってこんな感じなのか、と。そこで、今度は河合隼雄先生の『ユング心理学入門』を読んでみる。

すると、いきなり読んだときは意味不明で難解な 1冊だったはずが、基礎知識が既にインストールされている状態で読むと、スポンジが水を吸収するように理解できます。

「守」のステージの人は、いきなり「破」や「離」のステージにあたる本格的古典に手を出すのは無理があります。まずは「入門書」で基礎知識と全体像を把握する。

基礎体力を養ってから、次のステージに進むことで、時間を節約できるとともに、より深い学びを得ることができるのです。

【精神科医の本の選び方 4】 ■人が推薦する本を読む〜「お勧め読書術」「なりたい人」の本、「なりたい人」が勧める本をチェックする

「たくさん本を読んでいるのですが、なかなか良い本に出会えません。どうすれば、良書だけを効率的に読めるのでしょうか?」と質問する人が多くいます。

書店に行って手当たり次第に本を買っても、「良書」と出会う確率は低いでしょう。他の人にとって「良書」であっても、自分に必要な本、自分を高めてくれる本でなければそれはあなたにとっての「良書」とはいえません。

最終的に、今、自分に必要な本を自分で選べるようになれば一番いいのですが、時間をかけてかなりたくさん読まないと、なかなかそうはならないでしょう。

ところで、あなたには「この人のようになりたい!」という人がいますか? 「心から尊敬できる人」「憧れの人」「目標にしたい人」でもいいです。

思い浮かべたら、まずその「なりたい人」が書いている本を読みましょう。それがおもしろいかどうかは別にしても、あなたが「その人のようになる」ための成長の糧になることは間違いありません。

次に、あなたの「なりたい人」が推薦している本を読みましょう。それは、その人が成長していく過程で役に立った本。

その人にとっての「成長の栄養剤」となった本ですから、その人のようになりたいあなたにとっても、プラスの効果を発揮することは間違いありません。

手当たり次第に読むのではなく、人が推薦する本から読んだほうが、ハズレを引かずに「良書」と出会う確率は高まります。1冊の本を推薦するとき、その背景には 99冊の推薦されなかった本があるはずです。

人が推薦した本を読むのは、濃縮されたスープの一番おいしい部分をいただくのと同じです。

バックグラウンドを知っている人の声を参考にする〜「ニュースフィード読書術」 私が本を選ぶ場合、最も参考にしているのは、 Facebookのニュースフィードです。

Facebookのニュースフィードを見ると、「この本を読みました」「今この本を読んでいます」という投稿が、毎日のように流れてきます。

そこにおもしろそうな本を見つけた場合、私は即購入します。ニュースフィードには自分の「友達」の投稿が掲載されています。

Facebook上の友達は、職業、趣味、嗜好、考え方、人生観など、自分と共通点がある人が多いはずです。そして、リアルでお付き合いしている人も多いでしょうから、その「友達」の専門や性格もわかっています。

その人の知的なバックグラウンドも知っているわけですから、「その人がお勧めする 1冊であれば、読んでも損はないな」という気持ちになります。

「人の価値観」によって、お勧めする本は変わってきますので、どんな人がお勧めしているのか、その人のバックグラウンドが全くわからないと、情報の判断のしようがありません。

「どの本が勧められているのか?」よりも、「誰が勧めているのか?」が重要だということです。

その点でいえば、自分の友達や知り合いが勧める本を読むと、失敗する可能性が低く、それらはヒット本やホームラン本である可能性が高いのです。

友達から直接勧められた場合はもちろん、ソーシャルメディアも本選びにおける貴重な情報源となります。

「ホームラン率」を高める〜「 1万 5000円読書術」

私は、読んだ本の感想や書評を Facebookやメルマガにアップするようにしていますが、「これは読んだほうがいい!」と強くお勧めできる本というのは、実はそんなに多くはありません。

おそらく、自信を持って「これは読んだほうがいい!」と言えるのは、月に数冊でしょう。月に 30冊読む中で、強くお勧めできる本は数冊。

つまり、自分が読んだ 10冊の中のベストワンを推薦しているというイメージです。言い換えると、 1冊を紹介するために、 1500円の本ならば 1万 5000円ほどを投資しているわけです。

1万 5000円を投資した中でのベストワンですから、いうならば「 1万 5000円の価値がある」ということになります。自分でゼロから良書を探して巡り会うためには、自分で 1万 5000円払わないといけません。

それが、私がお勧めした本を買えば、 1万 5000円の投資なしで、最短でホームラン本に到達できる可能性が高いのです。

他の人が「本気でお勧めしている本」というのは、普通に書店に並んでいる本の、何倍もの価値があると考えるべきです。

ただ、私が紹介している本が全てあなたにとっての「ホームラン本」なのかというと、そうはならないはずです。

本を読む目的や、本から何を学びたいのかは、人によって異なるのですから。

その場合は、単に「どの本を勧めているのか?」だけを見るのではなく、「なぜ、その本を推薦しているのか?」まで、きちんと読むべきです。

あなたに必要なものがその本に書かれているのか、あなたが本を読む目的・方向性と同じなのか、ということまでも確認しておくと、「ホームラン率」は飛躍的に高まります。

本のキュレーター「書評家」の意見を参考にする

週刊誌や新聞などに載っている書評欄は本選びに役立ちますが、私が特に参考にするのは「 ○ ○の専門家が選ぶ今週の 1冊」のようなコーナーです。

その道の専門家が、最近読んだ本の中で、とっておきの 1冊を紹介しています。週刊誌や新聞に書評を書くレベルの人たちですから、 1ヶ月で数十冊、人によっては 100冊以上の本を読んでいるかもしれません。つまり、そこで推薦される本は、「上位 100分の 1」の本といえるのです。

週刊誌や新聞など、何十万人、何百万人が目にするメディアで「お勧めの 1冊」を公表するわけですから、下手な本は紹介できません。

本を選ぶ場合、「自分の選択眼」ということが最後には重要になってきますが、日本では年間約 8万冊、 1日 200冊の新刊が発売されており、ゼロから選んでいくと大変なことになります。

そこで、「キュレーター」の意見を大いに参考にすべきです。キュレーションとは、「情報を整理したり分類したり、その意味を翻訳したり、ある程度情報をわかりやすくして人に提供すること」です。

そのキュレーションをする人をキュレーターといい、最近はインターネットの世界で、情報を整理して発信する人のことを指して使われることも増えています。

本についても、この「キュレーター」の意見を参考にすることが重要です。「誰かが推薦している本」からある程度候補を絞って、最後に「自分の選択眼」で決断して選ぶほうが、ハズレが少なく、効率がいいのは間違いないでしょう。

そして、その「推薦者」は、あなたが尊敬できる人、信頼できる人を選びます。尊敬度、信頼度が高い人がお勧めする本ほど、「良書」である的中率は高まるはずです。

インターネット上にも、たくさんの書評サイト、書評ブログがあります。そうしたものから自分に合ったものを選んでいくといいでしょう。

ビジネス書のサマリーが無料で読めるメルマガ

私が参考にしている本のニュース源として、書評メルマガを1つ紹介します。『週末起業』(筑摩書房)の著者でもある藤井孝一さんの発行する「ビジネス選書&サマリー」です。

・ http:// www. bbook. jp/ mag. html

このメルマガは 1999年の創刊で、既に 15年以上発行されている歴史あるメルマガです。日本を代表する書評メルマガといっていいでしょう。藤井さんとは、私がメルマガ発行を始めた 2004年からのお付き合いなので、私も 10年以上購読しています。

このメルマガは、正確にいうと「書評」というよりは「サマリー(要約)」がメインになっています。ビジネス書について、 1500文字ほどのサマリーが読めるのです。要約をチェックすれば、本を読まなくてもだいたいの内容を把握できるので便利です。

メルマガのサマリーだけでも「気づき」が得られるようになっていますし、サマリーを読んでさらに具体的に知りたいと思えば、本を購入して深く学べばいいのです。これだけの内容を無料で読めるわけですから、活用しない手はないと思います。

【精神科医の本の選び方 5】 ■ベストセラーやランキングに頼らない〜「自分軸読書術」「ベストセラー」ではなく「自分が読みたい本かどうか」が大事

「ベストセラーになっている本は、読んだほうがいいのでしょうか?」という質問もよくあります。ちなみに私の場合は、ベストセラーやランキング上位に入っている本は、読んでも月に数冊程度です。

例えば、 2014年の大ベストセラー『嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え』(岸見一郎、古賀史健著、ダイヤモンド社)。

2013年 12月に発売され、 2014年の上半期には書店のベストセラーランキングの上位にずっと入っていましたが、私が読んだのは 2014年の5月でした。

そのときが、私にとって読みたいと思ったベストタイミングだったのです。書店に行くと「今週のベストセラー」や「売れている本」の棚に目が行きます。

しかし、本来本を買う基準、本を読む基準は「自分が読みたいかどうか」のはずです。他の人が読んでいるかどうかは、関係ないのです。

「他の人がやっているから、自分もしないといけない」という発想自体を、根本から捨てるべきでしょう。「他人がやっているから、自分もしないといけない」というのは、心理学では「同調圧力」といわれています。

「人に合わせる」というのは「やらされ感」がともない、ストレスの原因となります。イヤイヤ読んでもためにもならないし、記憶にも残らない。さらに、ストレスにもなるようなら、読む意味はありません。

本を選ぶ場合は、ベストセラーになっているかどうかではなく、その本を読みたいかどうか、自分自身に問うべきです。ベストセラーを本当に読みたければ買えばいいし、読みたいと思わなければ買わなければいい。ただ、それだけです。

ベストセラーは「ベストセラーになっているだけあって、凄くおもしろいな」と思うことも多いのですが、一方で「わかりやすいけれど、内容が少し薄いな」と感じることもあります。

後者は、時流にマッチした、大衆受けした本ともいえます。普段、本を買わない人が購入しないと、大きなヒットにはなりません。つまり、ベストセラーになるためには本をあまり読まない人にとっても「わかりやすい本」でないといけない。

それは、普段からたくさんの本を読んでいる読書家にとっては、わかりやすすぎて「やや物足りない」という場合がどうしてもあるのです。

ベストセラーというのは、「時流」を反映します。集団心理といってもいい。

「今、何が流行っているのか?」を学び、研究することは、新商品や新製品を開発したり、私のように「本」を書いたりする人にとっては、大きな意味があります。「今を知る」という意味において、ベストセラーを読むことには、意義があるでしょう。

ただ、ベストセラーかどうか、売れているかどうかだけに惑わされず、「自分が読みたい本」「自分に必要な本」を厳密に見極めて、それを読むべきだということです。

【精神科医の本の選び方 6】 ■専門書は大型書店で探す〜「専門書読書術」専門書の扱いも豊富な大型書店とは?

「自分の仕事の専門領域で役に立つ本が見つかりません」と言う方がいます。非常に深い内容が書かれた専門書というのは、小さな書店では、なかなか売られていません。書店に置ける本の数は売り場面積でほぼ決まってしまいます。

ですから、小さな書店にはいわゆる売れ筋とはいえない専門書が置かれていないのは当然です。また、自分に役立つ専門書をネットで探すにしても、タイトルに主だった「キーワード」が含まれていないと、検索も難しい。

そういうときには、「ジュンク堂書店」に行きましょう。専門書を探す場合、「ジュンク堂書店」の便利さは格別です。「ジュンク堂書店」に行くと、図書館のように、ジャンル別、内容別に整理された膨大な数の本が陳列されています。

自分の専門領域の棚の前に行けば、探している本やその類書数十冊がズラーッと並んでいます。その数十冊を手当たり次第に手にとっていけば、自分が探している本のイメージに近い本が、必ず見つかるはずです。

先述したように書店の売り場面積は限られていますから、「ベストセラー」「売れ筋の本」「新刊」を中心に陳列されています。多くの書店では、売れない本を長期間並べておく余裕がありません。

ですから、「専門書」や「非常に深掘りした本」などは、小さな書店にはあまり置かれていないのです。何かの領域を「狭く深く調べたい」ときは、品揃えの豊富な大規模書店に行って、たくさんの本に接することです。

「ジュンク堂書店」は、「売れ筋」に限らず、古い本も含めてたくさんの種類の本を揃えています。例えば、私が 3年前に出版した本でも、「ジュンク堂書店」にはしっかりと置かれています。「狭く深い本」を探すのであれば、「ジュンク堂書店」です。もし、家の近くに「ジュンク堂書店」がない方は、その地域で一番大きい書店に行ってみてください。

【精神科医の本の選び方 7】 ■ネット書店のレコメンド機能やレビューを参考にする〜「ネット書店読書術」レビューはあくまでも参考、鵜呑みにはしない

ネット書店で本を買う場合、実物を見ることができないため、注意が必要です。本選びで絶対失敗したくないという人は、ネット書店ではなく書店で実際に本を手にとって読んだほうがいいでしょう。

一方でネット書店で本を選ぶ場合、他の人がどんな本を買っているのか、どんな評価をしているのか、そうした「他者評価」を知ることができるのが大きなメリットです。ランキングを見れば、今の売れ筋の本がわかります。例えばアマゾンランキングは、 1時間おきに更新されています。

また、ネット書店には「この商品を買った人はこんな商品も買っています」「この商品に興味がある人は、こんな商品にも興味を持っています」というお勧め機能があります。

他の人がどんな本に興味を持っていて、どんな本を買っているのか、他の人の頭の中、あるいは他の人の本棚を覗き見しているようで、非常に興味深いものがあります。他の人の興味、購入履歴、そして評価がわかるのが、ネット書店で本を選ぶ場合の大きなメリットです。

しかし、それは裏返すと、ネット書店で見つけた本が「本当にあなたに必要な本」なのかどうかはわからない、ということになります。

1冊、 1冊きちんと吟味しないと、「流行っているけど自分には必要のない本」を買ってしまう可能性も大いにあるでしょう。また、レビューを参考にする場合は、ちょっとした注意が必要になります。

例えば、星1つの最低評価をつけて、ヒステリックなレビューを書いている人も、よく読んでみると「自分に必要のない本」「自分の知識レベルに合致しない本」を買ってしまっただけということがあります。

「当たり前のことしか書いていない」「新鮮味がない」「こんなこと、誰でも知っている」という辛辣な批評が寄せられている本は、裏を返せば「初心者向けの基本的な知識を、丁寧にわかりやすく解説している良質な入門書」であることはよくあります。

レビューは「参考」にはしても、そのまま「鵜呑み」にはしないことです。

「電脳ブックコンシェルジュ」を活用せよ!

アマゾンで私が最も購入の参考にしているのは、ランキングやレビューではありません。「この商品を買った人はこんな商品も買っています」という欄に表示される本です。

いわゆるレコメンド(推薦)の欄には、今見ている本の「類書」が表示されますし、ある程度、売れ筋の順に表示されているようです。ですから、関連する本を何冊かまとめ読みする、深める読書をしたいときは、このレコメンド機能はとても便利です。

例えば「ポジティブ心理学に関して深める読書をしたい」と思った場合、「ポジティブ心理学」というキーワードでアマゾン内を検索しますが、そうすると「ポジティブ心理学」という言葉がタイトルに含まれる本が上位に表示され、内容としてはポジティブ心理学について書いてあるのにタイトルにその言葉が入っていない本は、下位に表示されます。

検索結果の上から順番に購入していくと、自分にとってのハズレ本を引いてしまいかねません。それよりも、深める読書をしたいときは、レコメンドを参考にしたほうがいいのです。

私の中でのポジティブ心理学の決定版ともいえる『幸福優位7つの法則 仕事も人生も充実させるハーバード式最新成功理論』(ショーン・エイカー著、高橋由紀子訳、徳間書店)。

この本のページの下部に表示されているレコメンド欄を見てみると、私のパソコンでは『成功が約束される選択の法則 必ず結果が出る今を選ぶ5つの仕組み』(ショーン・エイカー著、高橋由紀子訳、徳間書店)、『ポジティブ心理学の挑戦 〝幸福〟から〝持続的幸福〟へ』(マーティン・セリグマン著、宇野カオリ監訳、ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『幸せがずっと続く 12の行動習慣 自分で変えられる 40%に集中しよう』(ソニア・リュボミアスキー著、渡辺誠監修、金井真弓訳、日本実業出版社)、『ハーバード大学人気 1講義 HAPPIER 幸福も成功も手にするシークレット・メソッド』(タル・ベン・シャハー著、坂本貢一訳、幸福の科学出版)などの本が表示されます。

私はポジティブ心理学の本は 20冊以上読みましたが、『幸福優位7つの法則』を含めた上位ベスト 5が、レコメンドとして見事に一致して表示されているではないですか! アマゾンのレコメンド機能では、アマゾンが保有する膨大な購入履歴、いわゆる「ビッグデータ」を利用し、さらにそのユーザーの購入履歴、「個人情報」もふまえて、そのユーザーにとって購入確率の高い商品を表示するプログラムが動いています。

他社でも同様のプログラムが使われていますが、アマゾンのレコメンド機能の精度は、業界でも最高水準で他社には真似できないといわれています。

レコメンド機能は、自分にとって必要な本を世界最高水準の人工知能、電脳ブックコンシェルジュがお勧めしてくれているようなものだと考えることもできます。

アマゾンがレコメンドする本は、実際に自分にとって必要な本が多いので、それを本選びに上手に活用するといいでしょう。

【精神科医の本の選び方 8】 ■偶然の出会いを大切にする〜「セレンディピティ読書術」「セレンディピティ」を高めておく

大きな書店の中をぶらっと歩いていると、「こんな本が出ていたんだ!」と予期せぬ 1冊と運命的に出会うことがあります。

私は興味のある領域については、アマゾンでもチェックしているし、かなり幅広く情報を集めているので、新刊本についても既刊本についても情報量はかなり持っているつもりです。

それでも大型書店に行くと「この分野で、こんな本が出ているとは知らなかった」「この著者が、こんな本を出していたとは知らなかった」という 1冊を発見することがあります。

インターネットの時代では、「検索」が重視されます。自分の関心のあるキーワードを入れて、それに関連する情報を引き出す。

先ほどの例でいうと「ポジティブ心理学」の本を探す場合、タイトルにも、そしてネット書店の説明文にも「ポジティブ心理学」という言葉が入っていないと、内容が「ポジティブ心理学」についての話であっても、検索結果として表示されてこない、ということがあります。

検索は重要ではありますが、万能ではないのです。

「セレンディピティ」という言葉があります。セレンディピティとは、何かを探しているときに、探しているものとは別の価値あるものを見つける能力や才能のことです。ふとした偶然をきっかけにひらめきを得て、幸運をキャッチする能力です。

「本のセレンディピティ」というのも、間違いなくあると思います。本との偶然の出会い。

しかし、偶然に出会っているようで、それは実は偶然ではないのです。どの本棚の前を歩き、どこに目を光らせているのか。

私たちは何もしていないようで、無意識に注意力を働かせて、「選択」しているのです。人間の脳というのは、自分にとって必要な情報、重要な情報を積極的に集めてきます。

一方で、自分が興味のない情報や知らない情報は、脳を素通りする仕組みになっています。これを心理学用語では、「選択的注意」といいます。

例えば、たくさんの人が集まるカクテルパーティーの会場。いろいろな人が雑多な話題で話しているので、その内容を聞きとることは容易ではありません。

しかし、どこかのグループの会話の中で自分の名前が出てきたとしたら、「あっ、どこかで自分の名前が呼ばれた!」と瞬間的に反応します。

自分の名前に対して選択的注意を払っているため、パーティー会場のような騒がしい場所においても、その「言葉」に反応することができるわけです。

ですから、「自分の知らない素敵な本」と出会うためには、あらかじめ「注意の網」を張っておく必要があるということです。あらかじめ自分の欲しい情報を明確にしておくこと。自分の興味、関心、自分が欲しい情報・知識はどういうものなのか。

そんな、自分だけの「情報フィルター」をあらかじめ準備しておくだけで、今までと同じように同じ時間書店を歩いていても、ホームラン本と出会う確率は倍増するでしょう。

また、関心の幅を広げておくことで、それだけ「素敵な本」との出会いも増えていきます。自分の関心領域に加えていろいろなことにアンテナを張っていると、さまざまなジャンルで良い本に巡り会えるでしょう。

【精神科医の本の選び方 9】 ■直感を信じて、従う〜「直感読書術」最後は「直感」を信じる!

自分はどの本を読めばいいのか? どの本を買えばいいのか? 最後は、「直感」だと思います。「この本は、おもしろそうだ」「この本は、自分の役に立ちそうだ」という直感を信じるしかない。

たくさん本を読むことで、そうした「本を選ぶ直感」も研ぎ澄まされてきて、本の選択で失敗する確率は減っていきます。直感は、たいていの場合正しいものです。

プロのチェスプレーヤーを使った研究では、ある局面を見せて、最初に思いついた一手と、熟考して決めた一手を比べたところ、 90%が同じ手になったそうです。

つまり、直感ですぐに判断しても、長く考えても、ほとんどの場合結果は同じということ。もう1つ、興味深い話があります。

プロ棋士である羽生善治さんは、著書『直感力』(PHP研究所)の中で、「ひとつの局面で、『この手しかない』とひらめくときがある。

一〇〇%の確信をもって最善手が分かる。

論理的な思考が直感へと昇華された瞬間だ」と述べています。

羽生さんは、幼い頃から長年にわたって日常的に思考訓練を繰り返してきた結果、瞬時に最善手を導き出す直感が自然と身についたということなのでしょう。

実は、最新の脳科学で、直感を生む「基底核」という部分は、大人であっても成長を続けるということがわかってきました。

つまり、訓練によって基底核を鍛えることで、「最善の一手」が直感的に思い浮かぶようになる、訓練によって正しく判断できる直感力が養われる、ということが脳科学的に支持されたわけです。

そしてそれは、今からでも遅くないのです。直感とは、人間の膨大な知識と経験というデータベースにもとづいて、無意識下で瞬間的に行われる判断のことです。人間の行動の 99・ 9%はいちいち思考することなく、無意識下の「直感」によって行われているのです。

ですから、しっかりとした「経験値」があるのならば、直感こそがその人のベストの判断軸だということがいえるのです。

読書の場合でいえば、本をたくさん読めば読むほど、自分にとって「良い本」「役に立つ本」についてのデータベースが充実していくわけですから、直感で正しく判断できる確率が高まっていきます。

たくさん本を読む読書家の直感は正しいことが多いので、たくさん読んでいる方は自信を持って、その直感を信じて本を選びましょう。

一方、あまり本を読まない人の場合は、本に関する知識と経験のデータベースがまだ脆弱ですから、その直感はあまり正しいとはいえません。

本を多く読むようになるまでは、自分の直感より、たくさん本を読んでいる人たちの推薦する本から自分が読みたい本を選んだほうが、ハズレ率は低くなると考えられます。

直感で本を選ぶためには、書店で実際に本を手にとってみたほうがいいでしょう。そして、その本を手にとった瞬間、「ワクワク」するかどうか。そこが重要です。

ワクワクするのであれば、「即買い」。難しいことを考える必要はありません。すぐレジに持って行きましょう。

「ワクワク」しながらその本を読めるのなら、脳内物質ドーパミンが分泌されるので、記憶に残り、高い学習効果が得られます。

【精神科医の本の選び方 10】 ■ 1冊の本から複数の本へドンドンたどっていく〜「数珠つなぎ読書術」 参考文献、引用元、原典をフル活用する

本の巻末に「参考文献」や「参考図書」がついていることがあります。または、本文中に逐一引用元、参考元が書かれていることもあります。

残念なことに、多くの人は、この「参考文献」「参考図書」のページを注意して読まないものです。しかしながら、「参考文献」は読書家にとっては極めて重要な情報源となります。

この「参考文献」に書かれている本は、読んで損のない本が多いのです。なぜならば、その本の著者が、「参考」にした本だから。

つまらない本、役に立たない本は、参考にしたり引用したりもしません。「参考文献」というのはその本の著者が少なからぬ影響を受けた本のリストです。

あるいは、その著者の「お勧め本リスト」ともいえるでしょう。

あなたがある本を読んで「もっと深く知りたい」と思った場合は、その本の「参考文献」の中から興味深い本をピックアップして読んでいけば、その分野の知識がさらに深まるのです。

章別に「参考文献」が書かれている場合もありますが、例えばあなたがある本の「第 4章」に強く共感したなら、その内容と強く関連しているであろう第 4章の「参考文献」をチェックして、そこから何冊か買って読んでみる。

そうすると、その本の内容の理解が圧倒的に深まります。そして「参考文献」を取り寄せて読んだ場合は、さらにまたその本の「参考文献」をチェックして欲しいと思います。そして、その中からまた何冊か読んでいく。

このように、「参考文献」の数珠つなぎを数回繰り返すと、その領域で重要とされる本を網羅的に読むことができます。

これが、「数珠つなぎ読書術」です。数珠つなぎ読書術を取り入れることで、その分野に関する知識が猛烈に深まっていきます。数珠つなぎ読書術は、究極の深掘り読書術といっていいでしょう。

同じジャンルの本を何冊か立て続けに読むと、複数の本の「参考文献」に決まって名を連ねているような本があることに気づくはずです。

その本は、その領域における「古典」あるいは「名著」「代表的な本」である可能性が高いので、必ず読んでおきましょう。

数珠つなぎ読書をする場合は、 1ヶ月に 1冊ずつ数珠つなぎで読んでいってもあまり意味がありません。数珠つなぎで読むのなら、短期間で何冊もの本を「固め読み」してください。

そのほうが、圧倒的に記憶に残りやすくなります。人間の記憶は芋づる式になっている何かと関連づけて記憶すると、覚えやすい。記憶術の本には必ずといっていいほど書いてあることです。人間の脳は、物事を芋づる式に記憶するからです。

例えば、 1ヶ月の間に、全く異なるジャンルの本を 5冊読む場合と、同じジャンルの本を 5冊立て続けに読んだ場合、どちらが記憶に残るでしょうか?「固め読み」したほうが圧倒的に記憶に残りやすくなります。

同じジャンルの 5冊の本の間で相互に関係性が生まれるので、意識しなくても比較・対照しながら読むことになります。

私は先日、ポジティブ心理学の本を 2週間で 10冊読みました。

そうすると、「ポジティブ思考の人は健康で長生きできる」ということが、ほとんどの本に共通して書かれていることがわかりました。

一方で、ある学者は「ポジティブ」と「健康」の関連を重点的に語り、ある学者は「ポジティブ」をどう「仕事」に役立てるかについて語り、別の学者は「ポジティブ」と「生き方」の関係について語っていました。

このように複数の本を一気に固め読みすると、「あの本にはこう書いていたが、この本には別の表現がされていた」と、さまざまな記憶の連結が起こってきます。

結果として、圧倒的に記憶に残りやすくなるのです。

学術論文はこう探す

本の巻末に掲載されている参考文献、参考図書を利用して、さらに理解を深める次の本を探しましょうというのが、数珠つなぎ読書術でした。

自分で論文を書いたり、自分で本を書いたりする場合、自分の論拠を補強するために適切な学術論文を参考、引用する必要も時には出てきます。

しかし、引用する論文をゼロから探すのは意外に苦労するものです。

そんなときに、絶大な威力を発揮するのが、「 Google Scholar」です。

・ http:// scholar. google. co. jp/

「Google Scholar」は、ネット上にある膨大な情報の中から学術資料のみを、簡単に検索できるサービスです。

分野や発行元を問わず、学術出版社、専門学会、プレプリント管理機関、大学、およびその他の学術団体の学術専門誌、論文、書籍、要約、記事を検索できます。

学術研究資料の中から関連性の高い資料を探す際に「 Google Scholar」が、凄い威力を発揮します。ほとんどの学術論文は、論文本体は有料であっても、「要旨(アブストラクト)」を無料で読むことができます。

さらに、出版社のサイトでは閲覧するのに料金が発生する論文も、本人のウェブサイトに論文が無料でアップロードされている場合は、そのリンクなども検索結果として表示してくれます。

「Google Scholar」では、 Googleウェブ検索と同様、最も関連性の高い情報がページの上部に表示されます。

Googleの優れた技術によって、それぞれの記事の全文、著者、記事が掲載された出版物、他の学術資料に引用された回数などが考慮された検索結果が表示され、影響力のある重要度の高い論文が上位に表示されます。

また、通常の Google検索と同様に、日本語・英語の選択、期間や著者での絞り込みなど、演算子や複雑な検索にも対応していますので、慣れれば自分に必要な学術論文を自由自在に取り出すことができます。

本を執筆する人や卒業論文、修士・博士論文、学術論文を執筆する人にとっては非常に便利です。あるいはビジネスのプレゼンテーションやレポートなどで科学的根拠を補強したい際にも使えます。学術論文を網羅的に探すことができる Googleのサービスがあるということは、覚えておいて損はないでしょう。

【精神科医の本の選び方 11】 ■「失敗しない4つの基準」失敗しないための本選びとは?

これまでお伝えしてきたように、「どの本を選ぶのか?」は非常に重要な問題です。特に読書量が少ない人は、漫然と読書をするのではなく、「目的」を持って読書をするべきです。目的地を決めないと、いつまでたっても目的地には到達できません。

何冊も本を読んでいるのに、結果として自分の生活は何一つ変わらない、ということになってしまいます。目的を持って本を選ぶ。そのためには、本を選ぶ「基準」が必要となります。

失敗する確率を減らすための本選び、という意味でも「基準」が必要です。無作為に選ぶのと、「基準」に従って選ぶのとでは、やはり「ホームラン率」は何倍も違います。私が本を選ぶ際に大切にしている「基準」は、以下の4つです。

【失敗しない基準 1】広く、深く、バランス良く読む〜「温泉採掘読書術」

知識を広げるために本を読むのか、それとも知識を深めるために本を読むのか? あなたは、どちらの読書が多いでしょうか?「広げる読書」ばかりしていると雑学王のように幅広くいろいろなことを知ることはできますが、いつまでたっても何かの専門家にはなれません。

一方で「深める読書」ばかりをしていると、自分の専門領域については圧倒的な知識を持っているものの、それ以外の領域は全く知らない「専門バカ」になってしまいます。

「広げる読書」と「深める読書」、そのバランスが重要なのです。

まずは「広げる読書」で自分の興味や関心を広げて、そこから「おもしろい!」「もっと知りたい!」という好奇心をくすぐるジャンルや話題を発見したのなら、そこをドンドン深めていく「深める読書」にうつるべきです。

これは、いうなれば温泉採掘のようなものです。温泉採掘には、「試し掘り」と「本掘り」の2つがあります。温泉が出そうな場所を予想して、試しにそこを掘っていく。いきなり温泉が出る場合もあるし、出ない場合もあります。何箇所か「試し掘り」を繰り返して、ようやく温泉が出る場所を発見します。

その後、安定的に温泉を供給するための太い穴を「本掘り」していくことになります。温泉というのは、あなたの興味や関心、そして好奇心をくすぐる領域です。

そうした領域にこそ、あなたの「適性」「個性」「特性」「長所」、あるいは「才能」「隠された能力」が埋もれているのです。あなたの可能性を引き出すための読書をする。

そのためには、「試し掘り」を繰り返し、「ここだ!」と思ったなら、徹底的に「本掘り」していくことです。これが、最も効率がいい自己成長につながる読書術です。

一番もったいないのは、「試し掘り」をして温泉が微量にわき出ているのに、あっさりと次の試し掘りに移動してしまう場合です。

例えば、大ベストセラーとなった『嫌われる勇気』を読んでみて、「おもしろい! アドラー心理学って凄いなあ」と思った。でも、それっきりにしてしまう。

「アドラー心理学って凄いなあ」という興味のアンテナが反応した、つまり「ここに温泉はある」という反応が出ているのに何もしない。

これは、非常にもったいないことです。

アドラー心理学に興味を持ったのなら、アドラー心理学に関する別の本を何冊か読んでみるのです。

「本掘り」することで、さらに知識は深まり、記憶にも残り、アドラー心理学を普段から実践できるようになるでしょう。

もう1つのよくある失敗パターン、それは、温泉が出るかどうかわからないところを、いきなり「本掘り」してしまうことです。

これは、大きな時間の無駄になります。

例えば、これまであまり本を読んだことがない新人ビジネスマンが、先輩から「ビジネスマンなら、ドラッカーくらい読んでおけよ」と言われて、「よし、勉強しよう!」と一念発起し、『マネジメント』(上田惇生訳、ダイヤモンド社)を買ってきて読み始める。

しかし、この大著を最後まで読むだけで一苦労ですし、これまでビジネス書を読んだことがなければ内容の深い部分まで理解するのは難しいでしょう。

これが、最初から「本掘り」して失敗する悪い例です。

普段から本をたくさん読んでいる人は、いきなり「本掘り」しても強引に温泉を掘り当てることができるかもしれませんが、本を読み慣れていない人の場合や、自分の関心領域、専門領域ではない本を読む場合は、いきなり「本掘り」しないほうがいいでしょう。

普段、本を読まない人が「ドラッカーについて勉強しよう!」と思ったなら、大ベストセラーとなった『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』(岩崎夏海著、ダイヤモンド社)や、漫画や図解でわかりやすく解説したドラッカーの入門書、解説書から入ったほうがいいでしょう。

何冊かドラッカーの入門書を読んで、知識の基礎体力をつけてから、はじめて本元の『マネジメント』を読んでみる。そうすると、より深いレベルで理解できるはずです。

「広げる読書」と「深める読書」。今の自分に必要なのはどちらなのか。本を選ぶ場合、そこを意識するだけでも、自分に必要な本と巡り会える可能性が飛躍的に高まります。

【失敗しない基準 2】両輪で成長する〜「長所伸展/短所克服読書術」

人が成長するためには、2つの方法があります。「長所伸展」と「短所克服」です。

自分の得意な分野、能力をさらに伸ばすのが「長所伸展」、自分の不得意な分野、苦手な部分を克服するのが「短所克服」です。

読書の場合は、 長所伸展 知っていることを深める読書(もっと知りたい) 短所克服 知らないことを学ぶ読書(知らないことを知りたい) と言い換えてもいいでしょう。

例えば、スマホを使ってスケジュールを管理して、毎日膨大な仕事をこなすといった時間の使い方には少なからず自信があるけれども、もっと小さな無駄を排除して、さらに時間を効率的に活用したい人が読むべき「時間術」の本。

いつも約束の時間に遅れてしまう、書類提出もいつもギリギリになってしまう、という時間にルーズな人が読むべき「時間術」の本。

同じ時間術の本であっても、前者は「長所伸展」を目的としており、後者は「短所克服」を目的としています。同じ「時間術の本」ではありますが、当然、 2人が読むべき本は違ってくるはずです。

あなたが本を選ぶ場合、「長所伸展」と「短所克服」のどちらを目的にしているのかを明確にしておくべきです。

「短所克服」したい人は、守破離でいうと「守」の本から読むべきですが、「長所伸展」したい人は「破」か「離」の本を読むべきでしょう。

「長所伸展」と「短所克服」は、どちらを優先するべきか? 子育てにおいては、「長所伸展」を先にしたほうが、やる気を引き出しやすいといわれています。

成功体験がほとんどない子供に、その子の嫌いなことを強制的にやらせても、前向きに取り組むことは困難です。まず好きなこと、得意なことをやらせて成功体験を積み上げて自信をつけてもらう。

その上で、「短所克服」に進むべきです。読書においても同じです。読書が苦手な人にとっては、自分の欠点に関連した、自分の苦手分野の本を読むのはかなり大変です。

苦手意識が心にブレーキをかけ、かけ、最後まで読むだけでも骨が折れます。

読書が苦手な人は、興味のあるジャンル、自分の読みたい本の領域から「長所伸展」的に読んでいく。

その後に本を読む習慣ができて、ある程度「深読」できるようになってから「短所克服」に取り組むと、物凄い効果が出るはずです。

【失敗しない基準 3】「情報」と「知識」の偏りをなくす〜「栄養バランス読書術」

「情報」というのは、コンビニのオニギリのようなものです。パクッと食べて「おいしかった」と思います。

炭水化物は私たちの空腹を満たし、今日活動するためのエネルギー源になります。一方で「知識」というのは、いわばカルシウムや鉄分などのミネラル。血液や骨を作るための材料です。

今日 1日カルシウムや鉄分をとらなくても支障はありませんが、長期的に不足すれば骨粗鬆症や貧血など病気になってしまいます。

「炭水化物」と「ミネラル」。どちらが重要ということではなく、どちらも重要です。どちらも摂取しないと生きていけません。大事なのはそのバランスです。

今日生きていくために必要なエネルギーが「情報」で、明日のために、普遍的に私たちの身体の一部となって私たちを助けてくれるのが「知識」。

栄養と同じように、重要なのは「情報」と「知識」のバランスですネットだけをやって本を読まないのは、「おかず」のない「白米」だけの弁当を食べるようなものなのです。

ネットやスマホで情報チェックするのももちろんいいのですが、スマホ、つまりインターネットで得られるものの大部分は「情報」です。

熱心なスマホユーザーのほとんどは「情報過多」で「知識不足」に陥っているはずです。栄養バランスがいい食事をとらないと病気になってしまうように、「情報」と「知識」をバランス良く吸収しないと、非常に不自然な状態に陥ります。

目先の情報に踊らされて、本質的な思考・判断ができなくなります。「情報」と「知識」のバランスを上手にとるように、その比率を意識しながら読む本や読む量を決めていくのが「栄養バランス読書術」です。

第 2章でも書きましたが、電車の中ではスマホをさわらないで読書をすべきです。

そうすれば、読書による知識獲得の時間が増え、相対的にスマホによる情報収集の時間が減る。これによって「情報」と「知識」のバランスを最適化できるでしょう。

【失敗しない基準 4】読書のポートフォリオを作る〜「分散投資読書術」

「本を読んでもなかなか結果が出ない」ということをよく聞きますが、実は本の種類によってすぐ結果に結びつく本と、なかなかそうはいかない本があります。

投資の世界では、超短期投資、短期投資、中期投資、長期投資など、利益確定するまでの時期によって、投資の方法が分類されています。

一般的に、 1日で利益確定する超短期投資、数日から数週間で利益確定する短期投資、数ヶ月から 1、 2年くらいの間保有する中期投資、 5年以上にわたり保有する長期投資、という具合に分かれているのです。

本によって得られるメリットや自己成長を「利益」と考えれば、読書は「投資」ととらえることも可能です。そして、読書のスタイル、内容によって利益が得られるまでの期間も変わってきます。

例えば、 超短期投資 ネット情報、新聞、週刊誌 短期投資 ノウハウ本(今すぐ活用できるノウハウ) 中期投資 仕事術、勉強術についての本(働き方や勉強法) 長期投資 思想、哲学、生き方についての本(心の栄養) といった感じに分類できるでしょう。

ノウハウ本が好きな人はノウハウ本ばかりを読むし、思想や哲学が好きな人はそうしたジャンルばかりを読む傾向があるのではないでしょうか。

投資の世界では、短期、中期、長期投資の商品をバランス良く持つ、バランスのとれたポートフォリオが推奨されますが、読書の世界でも同じことがいえると思います。

短期投資の本ばかりを読んでいると、いろいろなノウハウが身につき仕事上手になれるかもしれませんが、本質的な人間的成長はいつまでたってもできない可能性があります。

思想や哲学の本をきちんと読んでいる人は、長期的に厚みのある人間へと成長していけると思いますが、短期では目立った結果が出ず、モチベーションが続かないかもしれません。

「本をたくさん読んでいるのに、何の結果も出ない」「目立った成長がない」という人は、読書のポートフォリオが偏っている可能性があります。

投資の世界と同じように、読書の世界においても、短期投資、中期投資、長期投資の本をバランス良く読みましょう。

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