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第 4章 逆転の思考──ピンチをチャンスに!! 孫正義の成功ルール

22 思考を変えればピンチがチャンスになる! 専門知識がなくてもプロジェクト・マネージャーはできる プロジェクトでは、立ち位置を明確化しておく 大切なことは「何ができるか」ではなく、「何ができないか」 孫正義の成功ルール 23 状況を動かせるポジションについて、「変える」! 時間の短い会議ではなく、実のある会議がいい会議 書記は重要な役割を担っている 重要な仕事は、情報と決定事項に分けること 議事進行役と役割分担し、スムーズな進行を心がける 孫正義の成功ルール 24 公言してやりきる覚悟を持って信頼を得る! 言葉にしたことは、必ずやりきる 孫正義の成功ルール 25 反対意見を熟慮するきっかけにする! 反対するならば、対案を出せ! 孫正義の成功ルール 26 小さな成功の積み重ねが大きな信頼になる! 説得のための実績を積み重ねる 孫正義の成功ルール 27 反対するまわりを味方につける! スペシャリストと、とことん議論する 企画は、上司に話す前に親しい人の意見を聞く 孫正義の成功ルール 28 仕事を選ばず、すべてにおいて全力投球! 便利屋からプロジェクト・マネージャーになった おわりに

自分では到底やり遂げられないような仕事を任されそうになったら、どうするべきでしょうか? 答えは、個人ではなくプロジェクトとして引き受けることです。

プロジェクトとして引き受ければ、どんな仕事でもできます。

例えば、私はソフトバンク時代には、海外企業とのジョイント・ベンチャーの設立のプロジェクトを皮切りに、多くのプロジェクトを担当しました。

中には、株式取引市場の創設や国有化された銀行の買収、さらには通信キャリアの立ち上げというような、まったく専門外の巨大プロジェクトもありました。

専門知識がなくてもプロジェクト・マネージャーはできる ジャパン・フラッグシップ・プロジェクトという自分の会社を立ち上げたのも、様々な巨大なプロジェクトをマネジメントして世の中の役立ちたいと思ったからでした。

実際にその看板を掲げていると、そうした依頼がどんどんくるようになるから不思議なものです。

2010年からは、日本年金機構の非常勤の理事として年金記録問題に関連して多くのプロジェクトをマネジメントしています。

年金関連で最大のプロジェクトはオンラインデータと紙台帳の突き合わせです。

9億 5000万枚の紙の年金記録をデータベース上のデータと突き合わせて、データに間違いがないかどうかを検証するプロジェクトで、 2014年3月までにすべての検証を終える予定でした。

予算 2000億、 1・ 7万人が稼働したこのプロジェクトはおそらく人類史上で「もっとも紙を見た」プロジェクトではないかと思います。

現在は福島原発事故を受けて内閣府の廃炉・汚染水対策チームのプロジェクト・マネジメント・アドバイザーとしてプロジェクト・マネジメントの支援を行っています。

まったく分野が違うことで、しかも専門知識があるわけでもない私が役に立っているのは、すべてプロジェクトだからです。

プロジェクトというのはどういうものでしょうか? 普通の仕事と何が違うのでしょうか? プロジェクトとは、通常の組織目標と異なるゴールが設定されていて、人・モノ・金などのリソースを必要に応じて調整しながら、目標を達成する仕事のことです。

例えば、東京タワーの建設や新幹線の開発などは、テレビ番組でもプロジェクトとして取り上げられたことがあります。

これらは、今までの組織ではつくったことのないもので、新しい技術や新しい発想が必要とされた商品です。

開業までの計画があって社内外の知恵を結集して行うために既存の組織の垣根を越えていかなければなりません。

東京タワーや新幹線は 1社だけでなく、様々な会社が協力してでき上がったのです。

「自分では到底やり遂げられない仕事」を任されるということは、「自分ひとりでは到底やり遂げられない」規模ということです。

仕事を一人で抱え込むのは失敗するパターンです。

必要な知識もなく、人・モノ・金のリソースもなく引き受けてしまえば、間違いなく失敗するでしょう。

当然と言えば当然です。

しかし、プロジェクトとしてなら引き受けることはできます。

プロジェクトでは、立ち位置を明確化しておく プロジェクトとして引き受ける時のコツがあります。

プロジェクトとして進めていくことについての認識合わせです。

プロジェクト・マネージャーとして自分のポジションを明確にしてもらうことです。

プロジェクトは、通常の組織と違ってほかの部や社外の人に直接プロジェクト・マネージャーが指示を出しますから、ある意味権限を移譲してもらうことになります。

端的に言えば、そのプロジェクトについてのみは、取締役や部長のような権限をもらうことになります。

こんなにいい話はありません。

マネジメントの経験を積むために、これ以上の経験はないでしょう。

もう一つは、仕事を依頼してきた人をプロジェクトのオーナーとして位置付けることです。

これは、プロジェクトの最終的な責任を負う人です。

人・モノ・金のリソース獲得を支援・承認してくれる人でもあります。

プロジェクトのオーナーがいないと、必要なリソースもないままに、仕事だけを抱え込むことになります。

このプロジェクトは、プロジェクト・マネージャーは自分で、プロジェクトのオーナーは ○ ○取締役や ○ ○部長と明確にしておくことが大事なのです。

これは、そのようなプロジェクト・オーナーを明確にしておかないと、プロジェクトがうまくいかなくなってきた時に必要な資源を調達できなくなるだけではなく、場合によっては、あなたが勝手にやっていたとして責任を押しつけられる可能性があるからです。

あなたに、到底やり遂げられない仕事を振ってきたのですから、一緒に責任を担ってもらうようにお願いしても罰は当たらないでしょう。

もちろん、プロジェクト・オーナーにはプロジェクトの定例会議に参加してもらいます。

大切なことは「何ができるか」ではなく、「何ができないか」

次に重要なことは、プロジェクトのゴールを明確にすることです。

多くの場合、ゴールがはっきりしていないことで、プロジェクトの難易度が高まっているのです。

ひどい場合には、何がゴールかはっきりしていないこともあります。

一旦ゴールがはっきりすれば、必要なリソースも明確になるのですが、ゴールがはっきりしていないと難しい。

しかし、プロジェクトとして一旦立ち上げることができれば、しめたものです。

プロジェクト・マネージャーとしてあなたに必要なことは、プロジェクトを進めていくために社内外の人に仕事を割り振るように分割していくことです。

まずは社内の人で分担できそうなことは社内で割り振りましょう。

それで「何ができないか」を見定めることが重要です。

実は、プロジェクト・マネージャーにとって一番大事なことは「何ができないか?」を知ることです。

できないことがわかれば、その理由を明らかにして、必要ならば、外部から人を連れてきて、解決すればいいだけのことです。

だからプロジェクトにすれば、自分の知識や能力を超えた仕事でも受けることが可能になるのです。

プロジェクトにすれば、「自分では到底やり遂げられない仕事」であってもやり遂げることが可能になるのです。

むしろ、「自分では到底やり遂げられない仕事」が降ってきた時こそ、チャンスだと言えるでしょう。

A 個人ではなく、一つのプロジェクトとして引き受ける

このような悩みを抱えているビジネスパーソンは多いでしょう。

しかも業績が伸び悩んでいる大きな会社ほど会議が多いものです。

業績不振の責任逃れのための会議になっていたり、今やっていることの報告会になっていたりすることがよくあります。

これが無駄な会議の典型です。

無駄な会議はなんとなく始まり、会議の目的とは関係なく、いろいろな部署が出てきて、自分たちの実行している努力を披露します。

それがいいことか悪いことかは、あまりはっきりしません。

そうして会議はなんとなく終わるのです。

みんな「無駄だな」と思いながらも熱心に聞いている振りだけはしているものです。

内心はみんな退屈しているはずです。

意味のある会議とは、問題点が会議の中で浮彫りにされて、出席者との議論の中で解決策がまとまり、会議終了後には出席者が各部署に持ち帰り、問題点を解消するためのアクションを始めるような会議です。

時間の短い会議ではなく、実のある会議がいい会議 さて、無駄な会議をなくすにはどうしたらいいでしょうか? よくある解決策として椅子をなくす会社や会議時間を最初から「 1時間」までと決めたりする会社もあります。

取組みとしてはいいのですが、時間の無駄が減るだけで、会議の効果が上がっているとは言えません。

むしろ、今までより短くなって効果も低下している可能性もあります。

大事なことは会議を効果的にやることであって、時間を短くすることではありません。

私が提案する方法は、読者のあなたが会議の書記になることです。

もちろん議長になってもいいのですが、なかなか議長になるのは難しいかもしれません。

だから、書記になってしまうのです。

実は書記というのは大変重要な役回りなのです。

書記は重要な役割を担っている 1980年代の冷戦時代のことを覚えている読者はいるでしょうか? 旧ソビエト連邦で最高権力者は書記長でした。

ソ連崩壊時のゴルバチョフ書記長なら覚えている人もいるでしょう。

書記長は、会議とその後の指示のベースになる会議録を司る書記の最高位だから、国の最高権力者だったのです。

ところが、日本では書記の重要性は一般的にはそれほど認識されていません。

ここが狙い目です。

「議長をやらせてください」と言っても多くの場合、「出すぎたやつ」と言われるでしょうが「書記をやらせてください」と言えば、「地味な仕事をするいいやつ」と思われる可能性が高いでしょう。

書記になったらまずは、議事録のフォーマットを作ることから始めます。

まず、重要なことは出席者の欄を明確にすることです。

「部署名」「役職」「名前」が一目でわかるようにフォーマットを決めましょう。

今までの議事録のフォーマットに近いものでいいのです。

フォーマットを変更すると読む人が頭を整理するのに時間がかかり、場合によっては「読みにくい」などと言われかねないからです。

もし、フォーマットが決まっていないような場合はチャンスです。

これを機に自分がベストと思うフォーマットを作って、会社の一般的なフォーマットにしましょう。

次に、日程や開催場所などの一般的な事項を決め、明確にわかりやすく配置するべきなのは出席者のリストです。

会議を生産的にするために、もっとも重要なのは出席者です。

意思決定できる人がいるかどうか、必要な情報を持っている人が集まっているかどうかがわかることが重要です。

例えば、営業会議で「新入社員研修のカリキュラムを実践的なものに強化する」ことが議論に出てきたとしましょう。

このような場合に人事部の人がいなくては、カリキュラムの変更はできないでしょう。

呼んでいない会議では、結論は出ません。

ただ、検討事項としてあがっただけで、場合によっては、立ち消えてしまうかもしれません。

もし人事部の社員がいれば、即断はできなくても議論は深まり、次回につながることは確実です。

会議の価値は出席者で決まります。

また、営業会議でも営業方針を決めるような重要な会議では、営業部長や担当取締役など意思決定できる人が出席していることが重要条件です。

意思決定できる人がいれば、一回の会議で結論まで出せるからです。

キーパーソンがいない会議と、いる会議の機能は違います。

出席者を見て、会議の議事録を読めば、会議がどれほど効果的だったかどうかもわかるのです。

重要な仕事は、情報と決定事項に分けること 次に重要なことは二つのことを明確に区別することです。

情報と決定事項を分けることです。

情報とは会議の中で共有するべき情報です。

例えば、営業の会議では、日本の各地区の本部ごとの営業報告です。

その月の売上実績や計画との差異の理由について共有されるような例です。

情報はいろいろなパターンがあります。

文字に落とすと長い文章になる場合もあるでしょうし、添付資料で内容は十分だったりすることもあります。

いろいろな内容が入るでしょうから、この部分はシンプルに自由に書けるように枠だけ取っておけばいいでしょう。

もう一つは、決定事項です。

これは、その会議で次回まで実行するべきことです。

フォーマットとして重要なのは、「誰」が「いつまで」に「何」を出すのかを明確にすることです。

「担当者」「納期」「成果物」とフォーマットに書くことをおすすめします。

これらのことが会議の中ではっきりしないことが多いからです。

次回までに会議参加者が何をしたらいいかわからない会議はよい会議ではありません。

「担当部」ではなく「担当者」と書くのには理由があります。

担当部署を書いているだけで誰が担当かはっきりしないため、部に持ち帰ってうやむやになりかねません。

「○ ○さんが担当」と会議で決めてしまえば、担当者自身が他部署に対してコミットしたことになるので、やらないわけにはいかなくなります。

また、「成果物」を明確にすることも非常に大事です。

よくない会議の議事録には、何が担当者に割り当てられたアウトプットなのかが明確でないことがあります。

なんとなく議論してなんとなく決まったような感じがする会議です。

ここで、「成果物」と書いたのには理由があります。

「成果物」は「物」ですらからアウトプットを明確にするためです。

「納期」となっているのも同じ理由です。

ちょうど工場が営業会社に納品する納期を守るのと同じように「守りましょう」ということです。

ここで大切なのは、まとめ方です。

議事録は可能な限り A 4のサイズに収めましょう。

議事録を読むのに長時間をかける人はあまりいないはずです。

さっと回覧できるように A 4一枚にするのです。

なぜ A 3などでなく A 4なのかと言えば、 A 3では読むのに時間がかかるからです。

A 3の資料は回覧時に間違いなく折り込まれているでしょう。

開くのが面倒ですし、時間がかかります。

A 3の資料はパッと見ただけでは全体を理解することは難しいのです。

A 3の資料をもらってもどこから読んだらいいかわからず、説明を聞いて初めて中身を理解できた経験のある人は多いでしょう。

しかもなぜか A 3の資料だと説明を 20分ぐらい聞いて初めてわかってくるのです。

その点、 A 4の資料ならばサッと読めるはずです。

A 4ならサッと脳の中にすべてが入り整理可能です。

A 3だともう一回、頭の中で書いてある事柄を整理する必要があります。

だから議事録だけでなく、すべての書類を A 41枚で作ることをおすすめします。

最後に重要なのは、次回の会議日程を決めることです。

ですから、議事録にも次回の会議日程を入れ込んでしまいましょう。

これを会議の最後に確認しておくことは非常に重要です。

なぜならば、次回の会議が決まっていれば、その前に資料提出などの納期が来る人は「納期」を強く認識するものです。

また、スケジュールの調整もその場でやっておけば、その後の面倒な調整の手間はなくなります。

このように、会議の前にフォーマットを作っておき、可能であれば、会議の主催者の上司や先輩に事前にこのフォーマットを見せておきましょう。

会議の最後に「議事録の確認を取らせてください」と言います。

自分が議長でないからこそできる技です。

議事進行役と役割分担し、スムーズな進行を心がける 準備したフォーマットを使い、会議中に議論を聞きながら議事録に落とし込んでいきます。

万が一、はっきりしないことがあれば、会議の最後に確認しましょう。

例えば「営業研修を検討する」では、あいまいすぎます。

「検討する」は議事録に絶対に残してはいけない言葉です。

「検討する」という言葉は、途中経過を意味しているだけです。

完了する何らかの明確な動作を示しているわけではありません。

「作成する」「提出する」などは完了する動作を示しています。

「検討」が終わってもどんなアウトプットができるのかわかりません。

検討結果のレポートが出てくるのか、何らかの意思決定がなされるのかも不明確です。

アウトプットを明確にすることは大変重要です。

先の例であれば「営業研修」でもあいまいすぎます。

「中堅社員向けの営業研修計画書を作成する」など、もっと明確にする必要があります。

もし可能であれば、議事録を PCで作りながら、プロジェクターで投影するのもいいでしょう。

こうすれば、全員で決まったことを確認しながら進めることができます。

議事進行役とうまく役割分担できれば、非常に有効な手法になります。

議事進行役が、みんなの意見を取りまとめたことを口頭で言って、その場で文字にして投影する。

そうすれば、参加者全員が取りまとめた内容を確認することが可能になります。

こうして議事録を作っていけば、会議の生産性が上がり会議の時間も短くなるはずです。

議事録のフォーマットを作ってその作法に従って埋めていくだけで効率的に会議が運営できます。

会議の運営がうまくいくだけでなく、会議の議題になっている仕事自体がうまく進むようになるのです。

ぜひとも、試してみください。

だんだんとあなたの評価が上がっていくでしょう。

A 議長か書記になって進行を行い、実のある会議にする

やりたいことがあれば、その場で口に出しましょう。

その理由の一つは、言葉にすることで自分の意識が明確になるからです。

なんとなく思っていることだけでなく、口に出すことで明確になります。

思っているだけでは、まわりの人にはわかりません。

「いつまでに、何を、どうやって」達成するかについても、まとまっていないことがよくあります。

しかし、口に出すことで一つの考えにまとまります。

言葉にしたことは、必ずやりきる 口に出すとよいことのもう一つの理由は、ほかの人に話をするので、自分も恥をかかないようにより一層頑張るようになることです。

ただ、この時に気をつけることは一旦口にしたら絶対に達成することです。

もし、公言しても達成できないことが続くと、あなたは「口だけの実行の伴わない人間」という評価になってしまいます。

それではあなたにとってマイナスにしかなりません。

例えば、ソフトバンクのブロードバンド事業の初期には、申し込みが殺到したものの準備が到底対応できる状態ではなく、数ヵ月以上もの間、お客さまに開通を待ってもらう事態になりました。

この時は非難が殺到し、ソフトバンクと孫正義の信頼は地に落ちたと言ってもいい状態だったでしょう。

しかし、孫正義は「 10営業日開通キャンペーン」という申し込みから 10営業日で開通することをコミットしたキャンペーンを行いました。

これを達成できなければ、さらに信用が失墜してしまいます。

孫正義自身も、毎晩午前 2時まで仕事をして、時には孫正義自身が開通させるための手続きの申請書を自分でファックスに押し込んで、先方の課長宛てに確認の電話をしていました。

今ではちょっと考えられないでしょうが、当時は、それほど鬼気迫る仕事ぶりでした。

社長だけでなく、社員も同じように「口に出した」ことを守るために全力投球しました。

私自身もこうしたお客さまからの電話対応をするコールセンターを主幹するサービス・プロセス・マネジメント本部という本部長でしたが、全力で働きました。

コールセンターでは 1日に 3万件の電話を受けました。

これらのコールの分析をして適切に対応をするために、毎日朝と夕方にコールセンター内の各部門と会議をしていました。

コールセンターは、 24時間 365日営業でしたから、本部長でいる間は正月もお盆も、土曜日曜も関係なく毎日会議を続けました。

コールをいただいたお客さまには対応についてのアンケートを送っていたのですが、その返信が毎日 2000通弱送られてきます。

これについてもすべて確認していました。

2年で 1000万通以上は読んだはず。

こうして、ブロードバンドで 500万の加入者を達成するまでは、ソフトバンクはブロードバンド事業の立ち上げだけに総力を結集していました。

その後、段階を経て、日本テレコムの買収、ボーダフォン日本法人の買収と進んでいったのです。

同じように孫正義が「口に出した」最近の例として、ソフトバンクモバイルのアンテナのつながりにくさを解消したことが挙げられます。

ボーダフォンはもともと、他社に比較して「つながりにくい」という問題を抱えていました。

ソフトバンクが買収しても、やはり「ソフトバンクはつながらない」と言われ続けたのです。

そこで孫正義は次のように宣言しました。

ソフトバンクモバイル電波改善宣言 1.基地局倍増計画 2.自宅用小型基地局無料提供 3.店舗・企業用小型基地局無料提供 4.店舗・企業用 W i- F iルーター無料提供 こうして、基地局のカバー率を、 98%から他社に負けないように 99%まで上げるための投資を行い、漏れてしまうところには無料で小型の基地局を提供することにしたのでした。

これで、「つながりにくい」という疑念もだんだんと解消されて、現在のソフトバンクモバイルの快進撃につながっているのです。

孫正義は口に出すことで自分にプレッシャーをかけ、失敗した時にはそれに見合うだけの苦労を味わっています。

「やりたいこと」がある時には、口に出すべきでしょう。

同時にプライドを持って、失敗しないように全力を尽くし、仮に失敗しても信頼回復のためまた全力を尽くす覚悟が必要になってきます。

A やりたいことがあれば積極的に口に出す

私は、孫正義ほど人の話をよく聞く人はいないと思っています。

実際に、孫正義はどんな人間の言うことでも、役に立つ情報であると感じれば真摯に聞きます。

会社の外や内、ポジションの上下は関係ないのです。

特に新規事業の立ち上げの時に集まってくる情報は、何が重要な情報かもわからないのです。

誰もやったことがないのですから、当然です。

孫正義も、「情報やノウハウを持っていて、本当に仕事ができる人は誰か」がわかりません。

反対するならば、対案を出せ! 孫正義は、ソフトバンクの幹部とも徹底的に議論します。

各部門の長の仕事の中でもっともプライオリティが高いのは社長との議論です。

会議は、朝から始まって深夜に及ぶことも珍しくありません。

それほど徹底的に議論するのです。

この議論で重要なことは孫正義が達成したい目的を把握した上で、反対するだけではなく、対案を出すことです。

ここで対案がなく「反対のための反対」ではソフトバンクの幹部は務まりません。

ワンマンだと思われているかもしれませんが、そうではありません。

ソフトバンクは取締役会に孫正義と議論できるような経営者を多く招聘しています。

例えば先日お亡くなりになった富士銀行元副頭取の笠井さんや著名な経営コンサルタントの大前研一さんやユニクロの柳井正さんなどです。

こうした人々と取締役会で侃々諤々の議論をするのです。

参加される経営者は、孫正義に勝るとも劣らない経験と実績をお持ちですから、ズバズバと厳しい意見が飛んできます。

それに一つ一つ孫正義は丁寧に答えていくのです。

孫正義にぶつけられるのは、反対される案件、厳しい意見ばかり。

いつも、「親や信頼できる人の反対」にあっているのです。

それでも孫正義はあきらめません。

達成したい目的に合わせてやり方を改善したり、まったく違う角度から解決策をひねり出したりします。

達成したい目的がぶれないことが大事なのです。

目的がぶれずに、達成の方向に進めばいい。

反対する人の意見があっても、それ以外の方法を編み出せばいいからです。

孫正義は反対意見にあっても、自分の意思を曲げることはほとんどありません。

私の知る限り一回だけ、意見を曲げたことがありました。

先日の笠井取締役のお別れ会で弔辞を孫正義が読んだのですが、その中でのエピソードです。

孫正義は、リーマンショック後に株価が低迷するなどの批判を受けて、会社を上場廃止して、公開会社からプライベートカンパニーに戻すかどうかを考えたそうです。

上場廃止をすれば、株主は自分だけになって、自由に経営することができるのです。

経営者にとっては、株式を上場していることは大変な負担になります。

政治家で言えば、毎日が選挙のような状態です。

何かをやれば、証券会社のアナリストやマスコミに丁寧に説明する必要があります。

そこで、上場廃止を笠井取締役に相談したそうです。

いつもは「よっしゃ、よっしゃ」と孫正義のアイデアには賛成する笠井取締役が「それだけは身をもって反対します。

夢を小さくしていいんですか」とまで言ったそうです。

孫正義は笠井取締役がそこまで言うのだからと、上場廃止をやめたのでした。

この笠井取締役の反対意見は大きな意味がありました。

もし、この時にソフトバンクが上場廃止していれば、巨額の資金調達をする能力はなくなっていたでしょう。

株式を上場していれば、資金調達を市場からできる可能性がいつも残されています。

そこで、銀行などの金融機関や社債市場も資金を貸し付けてくれるのです。

こうした上場廃止を笠井取締役の反対にあって撤回したことで、ソフトバンクは 2013年にアメリカの通信会社のスプリントを買収することができたのです。

その買収資金は 1兆円以上にもなり、上場廃止していれば、調達できていなかったでしょう。

事実、孫正義自身も、「あの時止めてくれなかったら、その後のスプリント買収も無理だっただろう」と弔辞の中で涙ながらに語ったのでした。

こうしたことを考えると、反対意見に対しての対応は次のようなことになるでしょう。

自分の目的を達成するためであれば、反対意見に負けずに解決策を探る。

反対意見を単なる反対と捉えず、考えるきっかけにする。

達成したい目的から離れているという理由で反対されたら、立ち止まって考える。

自分が達成したいことを再確認することが大切です。

A 反対意見をしっかり聞き、説得できるまで企画を煮詰める

自分は「できる」と思っても、みんなに理解されず反対されるという展開は、ソフトバンクの歴史そのものですし、孫正義の人生そのものと言えるでしょう。

そもそもソフトバンクを孫正義が創業した時に、ミカン箱に立って話をした時のエピソードからしてそうでした。

「我が社は 1兆、 2兆と数えて計算する会社になる」と孫正義が言うと、最初の社員となったアルバイトの二人は、この社長は気が狂っていると思い、退職してしまったそうです。

その後もソフトバンクが新規事業や企業買収をやるたびに、「ソフトバンクの資金繰りが危ない」「ソフトバンクのやっていることはハゲタカだ」「孫正義は虚業家だ」などと批判されたものです。

通常は、新規事業を発表すると株価は上がるものですが、ソフトバンクが新事業を発表すると、逆に株価は下がることのほうが多かったものです。

株価とは経営者の経営能力についての株主の投票のような側面があります。

その新規事業の評価が低いから株価が下がるわけです。

つまり、それだけ株主にも理解されないことが多かったということになります。

説得のための実績を積み重ねる「できる」と思っているのに、みんなに反対されるというケースは、新しい企画を社内で提案する時に多いのではないでしょうか? 私もある会社の若手社員から相談を受けたことがあります。

「新規事業を進めようとしても、社内で予算が取れない。

どうしたらいいか?」 話を聞いていると彼は、過去にいくつもその会社の稼ぎ頭になる商品を開発しているのです。

どうやって実現してきたかを聞くと「非公式プロジェクト」だったのです。

「非公式プロジェクト」とは、会社の正式なプロジェクトではありません。

取締役会や会社の幹部が認めたわけでもない単なる私的なプロジェクトです。

親しい人や志を同じくする人と議論して、新商品を企画して、プロトタイプまで作ってしまったのです。

できたプロトタイプを取締役会に上げると取締役会のメンバーは、その商品のよさを即時に理解したのでした。

こうして彼は「非公式プロジェクト」を本物のプロジェクトにして商品化してしまったのでした。

新商品などの新しい企画は反対に遭いやすいものです。

なにしろ、まだこの世の中にないモノやサービス、企画のよさを説得しなければならないのですから。

反対の理由はいくらでも見つけることはできます。

説得材料が「想定」だけでは弱いのです。

「市場の成長がこれだけ伸びる予定です」とか「この点で既存商品より優れている」とかいくら主張しても、反対すると決めた人の気持ちを動かすには弱すぎるのです。

反対する人を説得するのに大事なことは「説得のための事実」です。

新しいアイデアだからこそ、事実をベースに説得することが大事なのです。

先ほどの若手社員の例でも、プロトタイプがあり、はじめて説得できたのです。

プロトタイプがあれば、技術的には可能かどうかも取締役会のメンバーにも容易にわかります。

また、実際に触ってみることで、その商品のよさも確実に伝えることができます。

言葉だけで伝えるのと比べれば、どちらが有効かははっきりしています。

ソフトバンクの立ち上げでも「説得のための事実」の積み上げが効を奏しています。

ソフトバンクはソフトウェアの流通(卸)として創業しました。

つまり、ソフトウェアを作るソフトハウスと家電量販店を結ぶのが仕事だったのです。

もちろん創業直後には何の実績もありません。

孫正義は、当時の一番人気のゲーム・ソフトを作っていたハドソンを訪問し、独占的に販売権を 5000万円でコミットして確保したのでした。

さらに当時の家電量販店で最大規模だった上新電機と契約を取り付けて事業を立ち上げたのでした。

孫正義が英語で商談をする時に何度も繰り返して言う「説得のための事実」を説明するのにもっともふさわしい言葉があります。

「This is proven success!」 日本語に翻訳すると「成功することが証明された事例」という意味になります。

この言葉は、アメリカで成功したビジネスモデルを日本でも展開しようとする時にその成功事例を指して使います。

「 proven success」だから当然、孫正義がやろうとしている新事業も成功するという話の展開です。

反対する人を説得する時には、無理やり論理づけて説得しようとするのは、あまりよい方法ではありません。

結局は、言い合いになってしまう可能性が高くなります。

それよりは、自分がやろうとしていることの裏付けになる事実を積み重ねていくことが効果的なのです。

A 自分ができることをしっかりやり、実績を残す

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問いの答えは「自分の意図(意見でなく)は変えずに、関係者との合意できる案を探す」ということでしょう。

これはまわりの空気を気にして無難な落としどころを探すのとはまったく違います。

自分の意見そのものにはこだわる必要はないでしょう。

しかし自分の意図もぶれてしまっては、成功には恵まれないでしょう。

会社で新しい企画を思いついた場合でも、なかなか上司や他部署の関係者を説得することは簡単なことではありません。

新しい企画ですから当然そこには、粗削りな面があるわけです。

売上・利益が上がるかはわからないし、いろいろなリスクもあるでしょう。

非常に簡単に「ダメ出し」されるかもしれません。

私もサラリーマン時代には、新しい企画を出しても、承認されず悔しい思いをしたことは数限りなくあります。

例えば、新キャンペーンの企画が進んでいるのに、突然法務部から待ったをかけられるようなことは数多くありました。

スペシャリストと、とことん議論する 意外なことに、社内の関係者を説得することを、孫正義でもいつもやっています。

孫正義は、資金事業でも企業買収でもアイデアが浮かぶと、まずは社長室経営戦略担当のメンバーで一度議論をします。

社長室経営戦略担当のメンバーは、もともと事業会社で企画系の仕事をしていたり、経営コンサルティングファーム出身だったりという若手社員で構成されるメンバーです。

孫正義のディスカッション・パートナーというと聞こえがいいですが、社長室ですから孫正義からすれば壁打ちの壁のようなものでしょう。

当然ですが、いろいろな問題点や課題点が出てきます。

問題点や課題点を議論して多少形になったら、次には法律面であれば法務部、会計的なことであれば経理部などの各部門の部長が呼ばれます。

議論は、朝の 9時 15分から始まって夜まで続くこともあります。

昼食もミーティングしながら、夕食もミーティングしながらということもあります。

孫正義の考える新規事業ですから、新規性が高く、規模も大きなものなので検討するべきことはいくらでもあるからです。

このようなミーティングが何日も続いた後に、社内会議で一定の結論が出てきます。

この結論は、通常、孫正義の当初のアイデアと異なったものになります。

孫正義にとっての新規事業や企業買収という最終ゴールは変わってなくても、そこに至るまでの手法については議論の中で出てきた各部門からの意見が取り入れられています。

こうなると今度は、外部のパートナーになる企業との交渉が始まります。

資金調達をするために銀行の担当者とミーティングが始まったり、商品の販売チャンネルを作るために、さらに代理店の幹部が呼ばれたりすることもあります。

外部のパートナーも、新しい提案を持ってきます。

このようにしてアイデアがブラッシュアップされていき、実際に実行する事業プランに近づいていくわけです。

この孫正義の進め方は、社内の根回しと同じような側面があります。

オーナー企業ですからソフトバンクでは孫正義が、アイデアをぶち上げて、各部門が実行しているだけのように思う人もいるかもしれませんが、そうではありません。

ソフトバンクは、常に身の丈を超えた規模の事業にチャレンジするわけですから、社外からの資金調達や代理店網の活用が必要なのです。

そのためには、まずは社内の人間と議論して問題点をつぶしておかないと他社も説得できないわけです。

他社を説得するためのロジックをつくり上げるためにも、社内の各部門を説得するとも言えるでしょう。

ある段階からは、孫正義から各部門に仕事が委譲されてきますから、各部門がその意図をよく理解しておくことも、仕事を進めるために必要なことです。

企画は、上司に話す前に親しい人の意見を聞く 孫正義の仕事のやり方を参考にするならば、どのようにして新しい企画を社内で通せばいいでしょうか。

まずは、当初のアイデアの段階で上司に話すのはちょっと待ちましょう。

当初のアイデアには問題点や課題点がたくさん存在しているはずです。

そのまま持っていったら、経験豊富な上司はすぐに欠点を見抜いてしまいます。

そうならないように、非公式にそれぞれの部署の親しい人にちょっと話を聞いてみましょう。

ランチでも、スモーキングルームでたばこをちょっと吸いながらでもかまいません。

きっと自分で気がつかないことをコメントしてくれるでしょう。

こうして、ブラッシュアップした案を上司に説明します。

上司もいろいろな指摘をしてくるかもしれませんが、各部とのやり取りをしているから答えられる可能が高いはずです。

正式に社内の各部に根回しをしながら、稟議、会議での承認というプロセスを踏んでいきます。

反対意見もあるでしょうが、そこは当初のアイデアからぶれないように議論しながら、むしろ各部門の知恵と知識を活用していきましょう。

逆に各部門から批判ばかりで、こちらの意図を汲んで建設的な意見が出ない場合もあります。

最初のアイデアと異なる案であっても意図が変わらないので、どんどん出す必要があります。

「これならどうですか」と何度でも出します。

ここで根負けしてはダメです。

孫正義は、各部署の担当者と何時間もミーティングして、相手が根負けするぐらい議論をします。

オーナー社長でないビジネスマンではそのような缶詰にすることはできませんが、しつこく通って検討を依頼することはできるはずです。

そのうちに、相手もこちらの熱意を感じて、建設的な提案を出してくれるようになることもあります。

さて、一生懸命に「自分の意図(意見でなく)は変えずに、関係者との合意できる案を探す」ことをやっても、実際には上司や各部門からダメ出しを食らうこともあるでしょう。

しかし、腐る必要はありません。

孫正義ですら、必要な助力を得られないで進められなかったり、失敗したりするアイデアは数多くあります。

まだ、そのアイデアを実現するだけの実績や信用力がなかったということでしょうから、ここは一旦引き下がり、切り口を変えたり、規模を縮小したりして再挑戦するべきです。

A 自分の意図は変えずに、まわりの人と合意ができる案を探す

会社でチャンスを回してもらえないというのは、質問者の主観です。

チャンスを回してもらえないという質問が出てくる時点で、この人はチャンスをふいにしているとも言えるでしょう。

私は、ソフトバンクには孫正義の秘書として入社しました。

プロジェクト・マネージャーとしてプロジェクトを立ち上げたりするとは、私自身も思ってはいませんでしたが、秘書として最大限に努力をしていたら、気がつくとそうなっていたのです。

私が秘書として心がけていたことは、孫正義の役に立つことは当然として、ほかの社員の役に立つことでした。

孫正義の時間効率を最大化することを考えるのは、秘書ですから、当然です。

しかし、それだけを考えるとほかの社員に大変な迷惑をかけてしまうことになるのです。

孫正義は、一度会議を始めたら、朝から夜まで同じテーマで会議をぶっ続けでやったりもします。

そんな日であっても、他の社員には必ず社内の別案件のミーティングが入っているものです。

しかし、これまで進めていた案件でも、孫正義が全力を注ごうとしている新規事業に比べて優先順位が低く、「延期する」と言われたり、ずっと待たされたりすることがあります。

便利屋からプロジェクト・マネージャーになった また期限のある契約書に孫正義の印鑑をもらう必要がある場合など、担当者が何時間もずっと待ち続けたりすることもありました。

何時間も待ったのに社長が社外でのミーティングにすごい勢いで出て行って、結局印鑑がもらえないということもありました。

こういうことが繰り返されているうちに、私としてはなんとかそのような待ちぼうけをなくすようにしたいと思い、担当者から、私がその資料について説明を受けて預かるようにしたのです。

特に、期限のある案件については、よく確認していました。

そして、孫正義の時間がちょっと空いた隙に端的に説明して、承認をもらえるものは代わりにもらうようにしたのです。

孫正義が納得しない場合は、すぐに電話して走ってきてもらうようにもしました。

却下の場合には、その理由を聞いて担当者に説明して、再挑戦できるように段取りをつけるようにしたのです。

便利屋のような仕事は、非常に社内で好評でした。

それはそうでしょう。

今まで待ちぼうけ覚悟で何時間も待っていたのが、書類を渡して帰れば白黒つけてくれるのですから、便利です。

この便利屋の仕事は、非常に私自身の勉強にもなりました。

承認をもらいたい書類を見るとだいたい、孫正義がどんなコメントをするのかの予想がつくようになってきたのでした。

社内の人からも「三木は便利なやつだ」と思ってもらえたのです。

こうしたことがプロジェクト・マネージャーとしてソフトバンクでやっていくための基盤になりました。

なにしろ、プロジェクト・マネージャーは基本的には孫正義の意向をどう実現するかが仕事ですから、孫正義の思考パターンをよく理解することは当然非常に重要なことです。

プロジェクト・マネージャーには、基本的に直接の部下はいません。

結局、ソフトバンクの社内の各部やグループ会社の社員をプロジェクト・メンバーとして集めてやっていくしかないのです。

「三木が頼むから手伝ってやろう」と言ってもらうことは、非常に大事なことでした。

チャンスとも思えない便利屋の仕事が、プロジェクト・マネージャーとして活躍するためのベースになっていたのです。

どんなつまらないことでも全力でやってみればそのうち大きな仕事が回ってくるでしょう。

たとえそれが、新人歓迎会の幹事であっても、年末の打ち上げ会のオードブルの手配であっても、そこにはあなたしかできないような付加価値をつけることができるはずです。

小さな仕事でもキラリと光る付加価値があれば、誰かが見ています。

努力を積み重ねるうちに必ずあなたにも大きなチャンスがやってくるでしょう。

A つまらない仕事も全力でやる。

そのうちに大きな仕事が舞い込む

おわりに この本を書き終えて、再確認できたことが1つあります。

それは、孫正義の人生に対する態度や経営手法の本質的な要素は変わらないということです。

結局、どのような質問に対しての答えにも共通した3つの要素があります。

1つは、現実をありのまま正確に認識するということです。

ソフトバンクでは、数字で現実を歪みなく捉えることが当然とされています。

現実から目をそらしたり、歪んだレンズで見たりすることはあってはならないのです。

現実をできるだけリアルタイムで把握することが当然とされています。

2つ目は、多くの人の知識と知恵を集約していくということです。

孫正義は社内の人や社外の人の区別もなく、設定した課題のための議論を徹底して行います。

3つ目は、素早く実行して素早くフィードバックすることです。

ソフトバンクでは、素早く実行することが求められます。

そして、失敗することも批判されません。

これは、失敗も含めてフィードバックであり、そのフィードバックを他社よりも早く何回転もすればその分、早く学習することができます。

結果、より早くよりニーズに合った、よりよい品質でより低価格な商品・サービスが実現すると考えられています。

要素をまとめると、「より多くの人の知恵と知識を集約して、現実の商品・サービスをつくり、市場に投入し、フィードバックを受けながら、より消費者ニーズに合った、より品質がよく、より低価格になるような改善を迅速に行っていく」ことになるでしょう。

また本文でも触れたマズローの 5段階の欲求をすべて満たして「自己実現」した人の特性に近いということです。

マズローは「自己実現」した人の特性を 15ほど挙げています。

それは次のようなものです。

1、現実をより有効に知覚し、より快適な関係を保つ 2、自己、他者、自然に対する受容 3、自発性、単純さ、自然さ 4、課題中心的 5、プライバシーの欲求からの超越 6、文化と環境からの独立、能動的人間、自律性 7、認識が絶えず新鮮である 8、至高なものに触れる神秘的体験がある 9、共同社会感情 10、対人関係において心が広くて深い 11、民主主義的な性格構造 12、手段と目的、善悪の判断の区別 13、哲学的で悪意のないユーモアセンス 14、創造性 15、文化に組み込まれることに対する抵抗、文化の超越 結局、問題を解決する答えも、私たちの中にあるということかもしれません。

こうした解決策に気づくかどうかは、その人の心の持ち方ひとつなのです。

今このページを読まれているみなさんは、すでに自分の悩みなどに関連したページを読まれているかもしれません。

しかし、そこだけでなく全体を読み通してほしいのです。

なぜならば、答えの背後にある、より本質的な要素について考えてみてほしいからです。

この本質的な要素について読み取ることができれば、どんな問題が起きても対応できるでしょう。

そして、ぜひとも読者のみなさんにはビジネスで人生での悩みや壁を打ち破って成功してもらいたい。

必ずどんな問題にも解決策はあります。

みなさんの人生が実り多きものになることを祈りながら筆をおきたいと思います。

三木 雄信

〔著者紹介〕三木 雄信(みき たけのぶ) 1972年、福岡県生まれ。

久留米大学附設中学校・高等学校を経て、東京大学経済学部卒業。

1995年、三菱地所株式会社に入社。

丸の内活性化プロジェクトを企画。

1998年にソフトバンク入社。

カーポイント(現カービュー)、ナスダック・ジャパン(現 JASDAQ)、あおぞら銀行買収などを担当。

2000年、社長室長就任。

2001年にはブロードバンド・プロジェクトを担当した。

その後、管理本部長、サービス・プロセス・マネジメント本部長、サービス企画本部長、品質管理本部長、光事業本部長を兼任・歴任。

2006年、ジャパン・フラッグシップ・プロジェクト株式会社、トライオン株式会社を設立。

2010年、日本年金機構理事、厚生労働省 システム開発委員に就任。

2013年、内閣府原子力災害対策本部廃炉・汚染水対策チーム プロジェクト・マネジメント・アドバイザーに就任。

写真提供:ソフトバンク

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